JP2010126629A - プリプレグ及び金属・樹脂積層体 - Google Patents

プリプレグ及び金属・樹脂積層体 Download PDF

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JP2010126629A JP2008302371A JP2008302371A JP2010126629A JP 2010126629 A JP2010126629 A JP 2010126629A JP 2008302371 A JP2008302371 A JP 2008302371A JP 2008302371 A JP2008302371 A JP 2008302371A JP 2010126629 A JP2010126629 A JP 2010126629A
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Abstract

【課題】高周波領域における誘電特性に優れ、且つ難燃性、耐熱性、及び金属層と樹脂層との間の密着性に優れた金属・樹脂積層体を与えるプリプレグ、及びこのようなプリプレグを用いて得られる金属・樹脂積層体を提供すること。
【解決手段】共役ジエン系ポリマー、硬化剤、ハロゲン系難燃剤及び金属水酸化物を含む硬化性樹脂組成物を強化繊維に含浸してなるプリプレグであり、好ましくは、前記硬化性樹脂組成物中における前記金属水酸化物と前記ハロゲン系難燃剤との割合が、金属水酸化物/ハロゲン系難燃剤の重量比で、1/99〜70/30の範囲である。
【選択図】 なし

Description

本発明は、電子回路配線基板を含む多層配線基板等に好適なプリプレグ、及びこのようなプリプレグを用いた金属・樹脂積層体に関する。
回路基板は、一般に誘電体層と導体層とから構成される。近年、高度情報化時代を迎え、情報伝送は高速化・高周波化に向って動き出し、マイクロ波通信やミリ波通信が現実になってきている。これらの高周波化時代の回路基板の誘電体層は、高周波におけるノイズや伝送ロスを極限まで軽減する必要があり、そのためこのような誘電体層を形成する材料として、Q値の高い誘電体材料の選定が重要な課題となってきている。
このような回路基板用の誘電体材料として、従来の低周波(KHz〜MHz領域)の回路基板ではQ値が通常10〜30程度のエポキシ樹脂が用いられてきた。しかしながら、GHz領域の高周波回路基板においては、Q値が低いと回路基板の性能や信頼性が十分でなく、従来用いられてきたエポキシ樹脂のQ値に対して数倍〜10倍以上、具体的にはQ値が100以上の材料で、且つ難燃化がなされている材料が求められている。
高いQ値を有する誘電体材料として、ポリブタジエンやポリイソプレン等の共役ジエン系ポリマーが注目されている。たとえば、特許文献1には、室温液状の分子量5,000未満である1,2−ポリブタジエン、固体ポリマーであるスチレン−ブタジエン−スチレントリブロックポリマー等の熱可塑性ブロックコポリマーを用い、これらに、ジクミルペルオキシドやt−ブチルペルオキシヘキシン−3などの有機過酸化物(硬化剤)、ジビニルベンゼン、多官能アクリレート等の架橋助剤、エチレンビステトラブロモフタルイミド、テトラデカブロモジフェノキシベンゼン、デカブロモジフェノキシルオキシドなどの臭素含有難燃剤、シリカやチタニア等の充填剤及びシランカップリング剤などを混合してスラリーとして強化繊維に含浸させた後に溶媒除去してプリプレグを作製し、次いで2枚の銅箔間に複数枚のプリプレグを積層し、硬化してなる積層体が開示されている。
特許文献2には、ポリブタジエン若しくはポリイソプレン樹脂がその全体の25〜50体積%の割合で含まれる熱硬化性組成物と、その全体当たりの10〜40体積%の割合で含まれる織布と、その全体当たりの5〜60体積%の割合で含まれる粒状フィラーと、フリーラジカル硬化イニシエーターと、難燃剤とを含んで構成される配線基板材料が開示されている。難燃剤としては、臭素含有難燃剤が例示されている。
また、特許文献3には、重量平均分子量が5,000以下の1,2−ポリブタジエン樹脂、重量平均分子量が50,000未満のエチレン−プロピレンゴム、引火遅延剤、編織物、粒状充填剤、及び過酸化物硬化剤を含む電気回路材料が開示されている。引火遅延剤としては、エチレンビステトラブロモフタルイミド、テトラデカブロモジフェノキシベンゼン、デカブロモジフェノキシルオキシドなどの臭素化物が例示されている。
さらに、特許文献4には、ポリブタジエンまたはポリイソプレン樹脂、架橋剤、粒子状フッ素ポリマー、及び全量に対して20〜50重量%の水酸化マグネシウムを含む難燃性の熱硬化樹脂組成物からなる絶縁層と導体層とからなる電子回路部材が開示されている。
特開平8−208856号公報 特開平10−117052号公報 特表2003−528450号公報 米国特許公報7,022,404号
しかしながら、本発明者が検討したところ、特許文献1〜3のように、誘電体層に、ハロゲン系難燃剤を配合すると、該誘電体層を銅箔等の導体層と積層する際に、積層温度を高くする必要があったり、また、積層時間のバラツキなどが原因となり、耐熱性や誘電体層と導体層との間の密着性が大きく低下してしまうという問題が認められた。また、特許文献4に記載の電子回路部材では、難燃化が必ずしも充分でなく、さらには耐熱性も低いという問題が認められた。
本発明の目的は、高周波領域における誘電特性に優れ、且つ難燃性、耐熱性、及び金属層と樹脂層との間の密着性に優れた金属・樹脂積層体を与えるプリプレグ、及びこのようなプリプレグを用いて得られる金属・樹脂積層体を提供することである。
本発明者は、上記課題に鑑み鋭意検討の結果、共役ジエン系ポリマー、硬化剤及びハロゲン系難燃剤を含む樹脂組成物を強化繊維に含浸したプリプレグ及び該プリプレグを用いて得られる金属・樹脂積層体において、該樹脂組成物中に金属水酸化物を配合することで、Q値を高く保ちながら、難燃性、耐熱性、及び金属層と樹脂層との間の密着性に優れた金属・樹脂積層体を与えるプリプレグ、及び金属・樹脂積層体が得られることを見出した。さらに、本発明者は、配合するハロゲン系難燃剤と金属水酸化物との割合を特定範囲とすることでその効果は格段に向上することも見出した。本発明者は、これらの知見に基づいて本発明を完成させるに至った。
すなわち、本発明によれば、
〔1〕共役ジエン系ポリマー、硬化剤、ハロゲン系難燃剤及び金属水酸化物を含む硬化性樹脂組成物を強化繊維に含浸してなるプリプレグ、
〔2〕前記硬化性樹脂組成物中における前記金属水酸化物と前記ハロゲン系難燃剤との割合が、金属水酸化物/ハロゲン系難燃剤の重量比で、1/99〜70/30の範囲である前記〔1〕記載のプリプレグ、
〔3〕前記金属水酸化物の平均粒子径が0.001〜50μmの範囲である前記〔1〕又は〔2〕記載のプリプレグ、
〔4〕前記金属水酸化物の嵩比重が0.1〜5g/ccの範囲である前記〔1〕〜〔3〕いずれか記載のプリプレグ、
〔5〕前記〔1〕〜〔4〕のいずれかに記載のプリプレグと、金属層とを積層し、硬化することにより得られる金属・樹脂積層体、並びに
〔6〕前記金属層の、プリプレグと接着させる表面の表面粗度(Rz)が、5,000nm以下である前記〔5〕記載の金属・樹脂積層体、
が提供される。
本発明によれば、Q値が高く、且つ難燃性、耐熱性、及び金属層と樹脂層との間の密着性に優れた金属・樹脂積層体を与えることのできるプリプレグ、及びこのようなプリプレグを用いて得られる金属・樹脂積層体が提供できる。このような本発明の金属・樹脂積層体は、Q値が高く、且つ難燃性、耐熱性、及び金属層と樹脂層との間の密着性に優れるため通信機器用途等のマイクロ波またはミリ波等の高周波回路基板に好適に使用することができる。
本発明のプリプレグは、共役ジエン系ポリマー、硬化剤、ハロゲン系難燃剤及び金属水酸化物を含む硬化性樹脂組成物を強化繊維に含浸してなるものである。
まず、本発明で用いる硬化性樹脂組成物を構成する各成分について、説明する。
(共役ジエン系ポリマー)
本発明で用いる共役ジエン系ポリマーとしては、共役ジエン単量体単位を少なくとも含むポリマーであれば格別に限定はされないが、共役ジエンホモポリマー及び共役ジエン系共重合ポリマーからなる群から選ばれる少なくとも1種が好適に用いられる。
共役ジエンホモポリマーは、共役ジエン単量体のみを重合してなる重合体であれば良く、工業的に一般に用いるものを格別な限定なく用いることができる。共役ジエンホモポリマーを形成する共役ジエン単量体としては、例えば、ブタジエン、イソプレン、クロロプレン、シアノブタジエン、及びペンタジエンなどが挙げられる。これらのなかでも、ブタジエンやイソプレンが好ましく、ブタジエンがより好ましい。これら共役ジエン単量体は、それぞれ単独で、あるいは2種以上を組み合わせて用いることができる。
共役ジエンホモポリマーの具体例としては、ポリブタジエン、ポリイソプレン、ポリクロロプレン、ポリシアノブタジエン、及びポリペンタジエンなどが挙げられる。これらのなかでも、ポリブタジエンやポリイソプレンが好ましく、ポリブタジエンがより好ましい。共役ジエンホモポリマーの重合様式としては、特に限定されず、使用目的に応じて適宜選択すれば良い。また、共役ジエンホモポリマーの製造方法としては、特に限定されず、公知の方法により製造すれば良い。
また、共役ジエン系共重合ポリマーとしては、共役ジエン単量体単位を少なくとも含む共重合ポリマーであれば格別な限定はない。共役ジエン系共重合ポリマーを用いることにより、プリプレグとする際における、硬化性樹脂組成物の強化繊維への含浸性と、得られる金属・樹脂積層体の金属層と樹脂層との間の密着強度及び耐熱性と、を高度にバランスさせることができる。
共役ジエン系共重合ポリマーの共役ジエン単量体単位を形成する共役ジエン単量体としては、上述した共役ジエンホモポリマーと同様のものを用いることができる。
また、共役ジエン系共重合ポリマーの共役ジエン単量体単位以外の単量体単位を形成する単量体としては、共役ジエン単量体と共重合可能な単量体であれば格別な限定はないが、例えば、シアノ基含有ビニル単量体、アミノ基含有ビニル単量体、ピリジル基含有ビニル単量体、アルコキシル基含有ビニル単量体、芳香族ビニル単量体などが挙げられる。これらの中でもシアノ基含有ビニル単量体や芳香族ビニル単量体が好ましく、芳香族ビニル単量体がより好ましい。これらの、共役ジエン単量体と共重合可能な単量体は、それぞれ単独で、あるいは2種以上を組み合わせて用いることができる。
芳香族ビニル単量体としては、例えば、スチレン、α−メチルスチレン、2−メチルスチレン、3−メチルスチレン、4−メチルスチレン、2,4−ジイソプロピルスチレン、2,4−ジメチルスチレン、4−t−ブチルスチレン、5−t−ブチル−2−メチルスチレン、N,N−ジメチルアミノエチルスチレン、N,N−ジエチルアミノエチルスチレンなどが挙げられる。これらのなかでも、スチレンやα−メチルスチレンが特に好ましい。これら芳香族ビニル単量体は、それぞれ単独で、あるいは2種以上を組み合わせて用いることができる。
共役ジエン系共重合ポリマー中における、共役ジエン単量体と、共役ジエン単量体と共重合可能な単量体との割合は、使用目的に応じて適宜選択すれば良く、「共役ジエン単量体単位/共重合可能な単量体の単位」の重量比で、通常5/95〜95/5、好ましくは10/90〜90/10、より好ましくは20/80〜80/20の範囲である。かかる割合を上記範囲とすることで、得られる金属・樹脂積層体の金属層と樹脂層との間の密着強度、機械的強度及び靭性等の各特性を高度にバランスさせることができる。
また、共役ジエン系共重合ポリマーは、ランダム共重合ポリマー及びブロック共重合ポリマーのいずれをも用いることができるが、ブロック共重合ポリマーが好ましい。共役ジエン系ブロック共重合ポリマーの結合様式は、2ブロック共重合体、3ブロック共重合体、4ブロック共重合体、及び5ブロック共重合体等、使用目的に応じて適宜選択される。これらのなかでも、3ブロック共重合体が、得られる金属・樹脂積層体の金属層と樹脂層との積層性、及び機械的強度を高度にバランスさせることができるため、好ましい。このような3ブロック共重合体の具体例としては、スチレン−ブタジエン−スチレンブロック共重合ポリマー、スチレン−イソプレン−スチレンブロック共重合ポリマー、α−スチレン−ブタジエン−α−スチレンブロック共重合ポリマーなどが挙げられる。これらのなかでも、スチレン−ブタジン−スチレンブロック共重合ポリマーが好ましい。なお、共役ジエン系共重合ポリマーの製造方法としては、特に限定されず、公知の方法により製造すれば良い。
本発明においては、共役ジエン系ポリマーとしては、上述の共役ジエンホモポリマー、及び共役ジエン系共重合ポリマーを、それぞれ単独で、あるいは2種以上組み合わせて用いることができるが、共役ジエンホモポリマーと共役ジエン系共重合ポリマーとを組み合わせて用いることが好ましい。これらを組み合わせて用いることにより、得られる金属・樹脂積層体の金属層と樹脂層との間の密着強度、耐熱性、機械的強度及び靭性を高度にバランスさせることができる。
本発明で用いる共役ジエン系ポリマーの共役ジエン部の1,2−ビニル結合量は、特に限定されず、使用目的に応じて適宜選択すれば良いが、通常5モル%以上、好ましくは40モル%以上、より好ましくは60モル%以上、さらに好ましくは80モル%以上である。共役ジエン部の1,2−ビニル結合量を上記範囲とすることにより、得られる金属・樹脂積層体の金属層と樹脂層との間の密着強度、及び耐熱性を向上させることができる。
本発明で用いる共役ジエン系ポリマーの分子量は、特に限定されず、使用目的に応じて適宜選択すれば良いが、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(ポリスチレン換算、トルエン溶離液)で測定される重量平均分子量で、通常500〜5,000,000、好ましくは1,000〜1,000,000の範囲である。
また、共役ジエン系ポリマーとして、共役ジエンホモポリマーと共役ジエン系共重合ポリマーとを組み合わせて用いる場合における、共役ジエンホモポリマーの分子量は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(ポリスチレン換算、トルエン溶離液)で測定される重量平均分子量で、通常500〜500,000、好ましくは1,000〜10,000、より好ましくは1,000〜5,000の範囲である。一方、共役ジエン系共重合ポリマーの分子量は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(ポリスチレン換算、トルエン溶離液)で測定される重量平均分子量で、通常1,000〜1,000,000、好ましくは5,000〜500,000、より好ましくは10,000〜300,000の範囲である。共役ジエンホモポリマーと共役ジエン系共重合ポリマーとを組み合わせて用いる場合に、これらの分子量を上記範囲とすることにより、得られる金属・樹脂積層体の金属層と樹脂層との間の密着強度、機械的強度、耐熱性等の各特性を高度にバランスさせることができる。
さらに、共役ジエンホモポリマーと共役ジエン系共重合ポリマーとを組み合わせて用いる場合における、これらのポリマーの割合は特に限定されず、使用目的に応じて適宜選択すれば良いが、「共役ジエンホモポリマー/共役ジエン系共重合ポリマー」の重量比で、通常5/95〜90/10、好ましくは10/90〜90/10、より好ましくは30/70〜80/20の範囲である。かかる割合を上記範囲とすることにより、得られる金属・樹脂積層体の誘電特性、金属層と樹脂層との間の密着性、耐熱性を高度にバランスさせることができる。
(硬化剤)
本発明で用いる硬化剤は、上述の共役ジエン系ポリマーにおいて架橋反応を誘起し得るものであれば何でも良く、格別な制限はないが、通常ラジカル発生剤が用いられる。ラジカル発生剤としては、有機過酸化物、ジアゾ化合物及び非極性ラジカル発生剤などが挙げられる。これらのなかでも、有機過酸化物や非極性ラジカル発生剤が好ましく、特に得られる金属・樹脂積層体の樹脂層のQ値を高度に高め、且つ金属層と樹脂層との間の密着性も高めることができるという点より、非極性ラジカル発生剤がより好ましい。
有機過酸化物としては、例えば、t−ブチルヒドロペルオキシド、p−メンタンヒドロペルオキシド、クメンヒドロペルオキシドなどのヒドロペルオキシド類;ジクミルペルオキシド、t−ブチルクミルペルオキシド、α,α’−ビス(t−ブチルペルオキシ−m−イソプロピル)ベンゼン、ジ−t−ブチルペルオキシド、2,5−ジメチル−2,5−ジ(t−ブチルペルオキシ)−3−ヘキシン、2,5−ジメチル−2,5−ジ(t−ブチルペルオキシ)ヘキサンなどのジアルキルペルオキシド類;ジプロピオニルペルオキシド、ベンゾイルペルオキシドなどのジアシルペルオキシド類;2,2−ジ(t−ブチルペルオキシ)ブタン、1,1−ジ(t−ヘキシルペルオキシ)シクロヘキサン、1,1−ジ(t−ブチルペルオキシ)−2−メチルシクロヘキサン、1,1−ジ(t−ブチルペルオキシ)シクロヘキサンなどのペルオキシケタール類;t−ブチルペルオキシアセテート、t−ブチルペルオキシベンゾエートなどのペルオキシエステル類;t−ブチルペルオキシイソプロピルカルボナート、ジ(イソプロピルペルオキシ)ジカルボナートなどのペルオキシカルボナート類;t−ブチルトリメチルシリルペルオキシドなどのアルキルシリルペルオキシド類;3,3,5,7,7−ペンタメチル−1,2,4−トリオキセパン、3,6,9−トリエチル−3,6,9−トリメチル−1,4,7−トリパーオキソナン、3,6−ジエチル−3,6−ジメチル−1,2,4,5−テトロキサンなどの環状パーオキサイド類;などが挙げられる。これらのなかでも、ジアルキルペルオキシド類、ペルオキシケタール類、及び環状パーオキサイド類が好ましい。
ジアゾ化合物としては、例えば、4,4’−ビスアジドベンザル(4−メチル)シクロヘキサノン、2,6−ビス(4’−アジドベンザル)シクロヘキサノンなどが挙げられる。
非極性ラジカル発生剤としては、例えば、2,3−ジメチル−2,3−ジフェニルブタン、3,4−ジメチル−3,4−ジフェニルヘキサン、1,1,2−トリフェニルエタン、1,1,1−トリフェニル−2−フェニルエタンなどが挙げられる。
硬化剤として、ラジカル発生剤を用いる場合における、1分間半減期温度は、用いるラジカル発生剤の種類及び使用条件により異なるが、通常、50〜350℃、好ましくは100〜250℃、より好ましくは150〜230℃の範囲である。
これらの硬化剤は、それぞれ単独で、あるいは2種以上を組み合わせて用いることができる。硬化剤の使用量は、共役ジエン系ポリマー100重量部に対して、通常0.01〜10重量部、好ましくは0.1〜10重量部、より好ましくは0.5〜5重量部の範囲である。
(ハロゲン系難燃剤)
本発明で用いるハロゲン系難燃剤は、工業的に使用されるものであれば格別な限定なく用いることができる。ハロゲン系難燃剤の具体例としては、トリス(2−クロロエチル)ホスフェート、トリス(クロロプロピル)ホスフェート、トリス(ジクロロプロピル)ホスフェート、塩素化ポリスチレン、塩素化ポリエチレン、高塩素化ポリプロピレン、クロロスルホン化ポリエチレンなどの塩素含有難燃剤;ヘキサブロモベンゼン、デカブロモジフェニルオキシド、ビス(トリブロモフェノキシ)エタン、1,2−ビス(ペンタブロモフェニル)エタン、テトラブロモビスフェノールS、テトラデカブロモジフェノキシベンゼン、2,2−ビス(4−ヒドロキシ−3,5−ジブロモフェニルプロパン)、ペンタブロモトルエンなどの臭素含有難燃剤;などが挙げられる。これらのなかでも、得られる金属・樹脂積層体の樹脂層のQ値、及び難燃性をより高度にバランスさせることができるという点より、臭素含有難燃剤が好適である。
本発明で用いるハロゲン系難燃剤中のハロゲン原子の含有量は、特に限定されず、使用目的に応じて適宜選択すれば良いが、通常30重量%以上、好ましくは30〜90重量%、より好ましくは40〜80重量%の範囲である。
これらのハロゲン系難燃剤は、それぞれ単独で、あるいは2種以上組み合わせて用いることができる。また、公知の難燃助剤を共に配合してもよい。ハロゲン系難燃剤の配合量は、共役ジエン系ポリマー100重量部に対して、通常10〜500重量部、好ましくは20〜200重量部、より好ましくは30〜150重量部の範囲である。
(金属水酸化物)
本発明で用いる金属水酸化物は、工業的に使用できるものであれば格別な限定なく用いることができる。金属水酸化物の具体例としては、水酸化マグネシウム、水酸化アルミニウム、水酸化マンガン、水酸化スズナトリウムなどが挙げられる。これらのなかでも、水酸化マグネシウム及び水酸化アルミニウムが好適である。このような金属水酸化物は、通常、150℃より高温に加熱された場合に、結晶水を脱水放出する化合物、または化学分解により水を放出する化合物である。
本発明で用いる金属水酸化物は、表面吸着水を含むものであってもよい。表面吸着水は、150℃で1時間、熱風乾燥機中で金属水酸化物を乾燥することにより加熱減量として測定される。表面吸着水の含有量は、通常、0.01〜5重量%であり、好ましくは0.1〜3重量%の範囲である。
また、本発明で用いる金属水酸化物は、粒子状のものが好ましく、その平均粒子径は、粒子を三次元的にみたときの長手方向と短手方向の長さの平均値で、通常0.001〜50μm、好ましくは0.01〜10μm、より好ましくは0.1〜5μmの範囲である。金属水酸化物の粒子径を上記範囲とすることにより、得られる金属・樹脂積層体の難燃性、及び金属層と樹脂層との間の密着性を高度にバランスさせることができる。金属水酸化物を構成する各粒子の粒子径は、略揃ったものを使用してもよいし、大きな粒子径を有するものと小さな粒子径を有するものとを混合した状態のものを用いても良い。
本発明で用いる金属水酸化物の嵩比重は、特に限定はされないが、好ましくは0.1〜5g/cc、より好ましくは0.2〜3g/ccの範囲である。金属水酸化物の嵩比重を上記範囲とすることにより、得られる金属・樹脂積層体の難燃性、及び金属層と樹脂層との間の密着性を高度にバランスさせることができる。なお、金属水酸化物の嵩比重は、適当量の金属水酸化物をメスシリンダーに入れ、加重をかけることなく、重量と体積とを測定し、これらの比(重量/体積)として表される。
これらの金属水酸化物は、それぞれ単独で、あるいは2種以上を組み合わせて用いることができる。また、これらの金属水酸化物は、Si、Ti、Al、及びZrなどを含むカップリング剤などで表面処理されているものが好適である。
本発明で用いる金属水酸化物の配合量は特に限定されず、使用目的に応じて適宜選択すれば良いが、硬化性樹脂組成物中のハロゲン系難燃剤の配合割合に対して、「金属水酸化物/ハロゲン系難燃剤」の重量比で、通常1/99〜70/30、好ましくは5/95〜60/40、より好ましくは10/90〜50/50の範囲である。金属水酸化物とハロゲン系難燃剤との割合を上記範囲とすることにより、得られる金属・樹脂積層体の難燃性、耐熱性及び金属層と樹脂層との間の密着性を高度にバランスさせることができる。
(硬化性樹脂組成物)
本発明で用いる硬化性樹脂組成物は、上記共役ジエン系ポリマー、硬化剤、ハロゲン系難燃剤及び金属水酸化物を含有してなるものである。また、本発明で用いる硬化性樹脂組成物には、所望により、充填剤、老化防止剤、硬化助剤、及びその他の配合剤などを添加することができる。
充填剤としては、工業的に一般に使用されるものであれば格別な限定はなく、無機系充填剤や有機系充填剤のいずれも用いることができるが、無機系充填剤が好ましく用いられる。硬化性樹脂組成物に充填剤を配合することで、得られる金属・樹脂積層体の耐熱性の更なる向上が可能となる。
無機系充填剤としては、例えば、鉄、銅、ニッケル、金、銀、アルミニウム、鉛、タングステン等の金属粒子;カーボンブラック、グラファイト、活性炭、炭素バルーン等の炭素粒子;シリカ、シリカバルーン、アルミナ、酸化チタン、酸化鉄、酸化亜鉛、酸化マグネシウム、酸化すず、酸化アンチモン、酸化ベリリウム、バリウムフェライト、ストロンチウムフェライト等の無機酸化物粒子;炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、炭酸水素ナトリウム等の無機炭酸塩粒子;硫酸カルシウム等の無機硫酸塩粒子;タルク、クレー、マイカ、カオリン、フライアッシュ、モンモリロナイト、ケイ酸カルシウム、ガラス、ガラスバルーン等の無機ケイ酸塩粒子;チタン酸カルシウム、チタン酸ジルコン酸鉛等のチタン酸塩粒子、窒化アルミニウム、炭化ケイ素粒子やウィスカー等が挙げられる。
有機系充填剤としては、例えば、木粉、デンプン、有機顔料、ポリスチレン、ナイロン、ポリエチレンやポリプロピレンのようなポリオレフィン、塩化ビニル、各種エラストマー、廃プラスチック等の化合物粒子が挙げられる。
これらの充填剤は、それぞれ単独で、あるいは2種以上を組み合わせて用いることができる。充填剤の配合量は、共役ジエン系ポリマー100重量部に対して、通常1〜1,000重量部、好ましくは10〜500重量部、より好ましくは50〜350重量部の範囲である。
老化防止剤としては、フェノール系老化防止剤、アミン系老化防止剤、リン系老化防止剤及びイオウ系老化防止剤からなる群から選ばれる少なくとも1種が挙げられ、このような老化防止剤を硬化性樹脂組成物に配合することにより、硬化反応を阻害しないで、得られる金属・樹脂積層体の耐熱性の更なる向上が可能となる。これら老化防止剤のなかでも、フェノール系老化防止剤およびアミン系老化防止剤が好ましい。これらの老化防止剤は、それぞれ単独で、あるいは2種以上を組み合わせて用いることができる。老化防止剤の使用量は、使用目的に応じて適宜選択すれば良いが、共役ジエン系ポリマー100重量部に対して、通常0.0001〜10重量部、好ましくは0.001〜5重量部、より好ましくは0.01〜1重量部の範囲である。
硬化助剤としては、工業的に一般に使用されるものであれば格別な限定なく使用でき、例えば、炭素−炭素不飽和結合を2つ有する2官能性化合物、炭素−炭素不飽和結合を3つ以上有する3官能性以上の化合物などの多官能性化合物を挙げることができる。硬化性樹脂組成物に硬化助剤を加えることで、得られる金属・樹脂積層体の金属層と樹脂層との間の密着強度、及び機械的強度を高度にバランスさせることができる。硬化助剤の具体例としては、p−ジイソプロペニルベンゼン、m−ジイソプロペニルベンゼン、o−ジイソプロペニルベンゼンなどの2官能性化合物;トリイソプロペニルベンゼン、トリメタアリルイソシアネートなどの3官能性化合物;などが挙げられる。これらのなかでも、トリイソプロペニルベンゼン、p−ジイソプロペニルベンゼン、m−ジイソプロペニルベンゼン、及びo−ジイソプロペニルベンゼンが好ましく、m−ジイソプロペニルベンゼンがより好ましい。これらの硬化助剤は、それぞれ単独で、あるいは2種以上を組み合わせて用いることができる。硬化助剤の使用量は、使用目的に応じて適宜選択すれば良いが、共役ジエン系ポリマー100重量部に対し、通常0.1〜100重量部、好ましくは0.5〜50重量部、より好ましくは1〜40重量部、さらに好ましくは5〜30重量部である。
その他の配合剤としては、上述したハロゲン系難燃剤以外の難燃剤、着色剤、光安定剤、顔料、発泡剤などを挙げることができる。ハロゲン系難燃剤以外の難燃剤としては、リン系難燃剤、窒素系難燃剤、三酸化アンチモンなどのアンチモン化合物などが挙げられる。着色剤としては、染料、顔料などが用いられる。染料の種類は多様であり、公知のものを適宜選択して使用すればよい。これらのその他の添加剤は、それぞれ単独で、あるいは2種以上を組み合わせて用いることができ、その使用量は、本発明の効果を損ねない範囲で適宜選択される。
本発明で用いる硬化性樹脂組成物は、上記各成分を混合して得ることができる。混合方法としては、常法に従って行なうことができる。
(強化繊維)
本発明で用いる強化繊維としては、格別な制限はないが、例えば、PET(ポリエチレンテレフタレート)繊維、アラミド繊維、超高分子ポリエチレン繊維、ポリアミド(ナイロン)繊維、液晶ポリエステル繊維などの有機繊維;ガラス繊維、炭素繊維、アルミナ繊維、タングステン繊維、モリブデン繊維、ブデン繊維、チタン繊維、スチール繊維、ボロン繊維、シリコンカーバイド繊維、シリカ繊維などの無機繊維;などを挙げることができる。これらの中でも、有機繊維やガラス繊維が好ましく、特にアラミド繊維、液晶ポリエステル繊維、ガラス繊維が好ましい。ガラス繊維としては、Eガラス、NEガラス、Sガラス、Dガラス、Hガラス等の繊維が好適に用いることができる。
これらの強化繊維は、それぞれ単独であるいは2種以上を組み合わせて用いることができる。強化繊維の配合量は、特に限定されず、使用目的に応じて適宜選択されるが、プリプレグまたは積層体中において、通常10〜90重量%、好ましくは20〜80重量%、より好ましくは30〜70重量%の範囲である。配合量をこの範囲とすることにより、得られる金属・樹脂積層体の樹脂層の誘電特性及び耐熱性のバランスを良好なものとすることができる。
(プリプレグ)
本発明のプリプレグは、上記硬化性樹脂組成物を上記強化繊維に含浸することにより製造される。
本発明のプリプレグを製造する際における含浸方法としては、常法に従えばよく、例えば、ウェット法やホットメルト法(ドライ法)などが挙げられるが、通常は、ウェット法が用いられる。
ウェット法によれば、共役ジエン系ポリマー、硬化剤、ハロゲン系難燃剤、金属水酸化物及び所望により添加されるその他の配合剤を溶媒に溶解し、低粘度化した硬化性樹脂組成物を調製し、低粘度化した硬化性樹脂組成物を強化繊維に含浸させ、次いで、脱溶媒させることにより、プリプレグを調製する。低粘度化した硬化性樹脂組成物の調製に用いられる溶媒としては、例えば、キシレン、トルエンなどの芳香族炭化水素系溶媒などが挙げられる。
ホットメルト法(ドライ法)によれば、例えば、リリースペーパー上に硬化性樹脂組成物(実質的に溶媒を含まない。)をコーティングし、その上に強化繊維を引き揃え、加熱溶解した樹脂をロールあるいはドクターブレード等で加圧含浸させ、その後、放冷することにより、プリプレグを調製する。
ウェット法で含浸させた後の乾燥温度は、通常50〜250℃、好ましくは100〜200℃、より好ましくは120〜170℃の範囲であるが、本発明では、この温度範囲とすることに加えて、硬化剤としてラジカル発生剤を用いる場合には、ラジカル発生剤の1分間半減期温度を考慮した温度とすることがさらに好ましい。すなわち、乾燥温度は、好ましくはラジカル発生剤の1分間半減期温度以下、より好ましくは1分間半減期温度の10℃以下の温度、さらに好ましくは1分間半減期温度の20℃以下の温度である。ここで1分間半減期温度は、ラジカル発生剤の半量が1分間で分解する温度である。例えば、ジ−t−ブチルペルオキシドでは186℃、2,5−ジメチル−2,5−ビス(t−ブチルペルオキシ)−3−ヘキシンでは194℃である。乾燥時間は適宜選択すればよいが、通常0.1〜120分間、好ましくは0.5〜60分間、より好ましくは1〜30分間の範囲である。
本発明のプリプレグの厚みは、特に限定されず、使用目的に応じて適宜選択すれば良いが、通常0.001〜10mm、好ましくは0.005〜1mm、より好ましくは0.01〜0.5mmの範囲である。厚みを上記範囲とすることにより、プリプレグの操作性や、得られる金属・樹脂積層体の機械的強度及び靭性を充分良好なものとすることができる。
本発明のプリプレグの揮発成分量は、200℃にて1時間の条件で加熱した場合における揮発量で、通常30重量%以下、好ましくは10重量%以下、より好ましくは5重量%以下である。プリプレグの揮発成分量が多すぎると、プリプレグのベタ付きが発生し操作性及び保存安定性が悪くなり、また、硬化後の金属・樹脂積層体にボイドが発生し外観や機械的強度が低下したり、ブリードや、耐熱性、耐薬品性等の低下の問題が生ずる傾向があるため、好ましくない。
(金属・樹脂積層体)
本発明の金属・樹脂積層体は、上記プリプレグまたは上記プリプレグを2以上と、所望により、さらに他の材料(本発明のプリプレグ以外の材料)とを積層した積層体に、金属層を積層し、所望により賦形し、硬化することにより製造される。プリプレグは、積層体において硬化され、樹脂層を形成する。当該樹脂層は誘電体層として機能する。
金属層としては、回路基板で一般に用いられるものを格別な制限なく用いることができ、通常、金属箔、好ましくは銅箔が用いられる。当該金属層は導体層として機能する。
金属層の厚みは、特に限定されず、使用目的に応じて適宜選択すれば良いが、通常0.5〜50μm、好ましくは1〜30μm、より好ましくは3〜20μm、さらに好ましくは3〜15μmの範囲である。金属層の厚みが厚すぎると、回路基板のL/Sを小さくすることができず、逆に、厚みが薄すぎると、安定した回路形成が難しくなる場合がある。
また、得られる金属・樹脂積層体において樹脂層となるプリプレグと接着させる、金属層の表面の粗度(Rz)は、好ましくは5,000nm以下、より好ましくは2,500nm以下、さらに好ましくは2,000nm以下、特に好ましくは1,000nm以下である。金属層の粗度が大きすぎると、高周波伝送に於けるノイズ、遅延、伝送ロス等の原因となる場合がある。なお、表面粗度は、JIS B0601−1994に従って、十点平均粗さ(Rz)として求められる。
本発明の金属・樹脂積層体を製造する際における、積層及び硬化方法としては、常法に従えはよく、例えば、平板成形用のプレス枠型を有する公知のプレス機、シートモールドコンパウンド(SMC)やバルクモールドコンパウンド(BMC)などのプレス成形機を用いて加熱プレスを行なうことができる。
積層及び硬化を行う際における加熱温度は、硬化剤による架橋が起こる温度であり、硬化剤としてラジカル発生剤を用いる場合には、通常ラジカル発生剤の1分間半減期温度以上、好ましくはラジカル発生剤の1分間半減期温度より5℃以上高い温度、より好ましくはラジカル発生剤の1分間半減期温度より10℃以上高い温度であり、通常は100〜300℃、好ましくは150〜250℃の範囲である。加熱時間は、通常0.1〜180分、好ましくは1〜120分、より好ましくは2〜20分の範囲である。プレス圧力は、通常0.1〜20MPa、好ましくは0.1〜10MPa、より好ましくは1〜5MPaである。また、熱プレスは、真空または減圧雰囲気下で行ってもよい。
このようにして得られる本発明の金属・樹脂積層体は、樹脂層のQ値が高く、そのため高周波領域での伝送ロスが少なく、且つ難燃性、金属層と樹脂層との間の密着性、及び耐熱性に優れるものであり、そのため、高周波基板材料として広く好適に用いることができる。具体的には、本発明の金属・樹脂積層体は、通信機器用途等のマイクロ波またはミリ波等の高周波回路基板に好適に用いることができる。
以下、実施例、及び比較例により本発明をさらに具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。なお、実施例、及び比較例における部および%は、特に断りのない限り重量基準である。
また、試験、評価は下記によった。
(1)Q値
金属・樹脂積層体について、ネットワークアナライザーを用いトリプレート共振法にて20℃で1GHzにおけるQ値(1/tanδ)を測定した。なお、測定結果は、以下の基準で評価した。
◎:Q値が、100以上のもの
×:Q値が、100未満のもの
(2)耐熱性
金属・樹脂積層体を288℃のハンダ浴槽に10秒間ごと計3回の浸漬を繰り返した後、該積層体の外観観察を行い、以下の基準で評価した。
◎:形状変化、膨れのいずれも認められなかった。
×:形状変化、膨れ等が認められた。
(3)密着性
金属・樹脂積層体における金属箔の引き剥がし強さをJIS C6481に基づいて測定した。なお、測定結果は、以下の基準で評価した。
◎:0.4kN/m以上
○:0.3kN/m以上、0.4kN/m未満
×:0.3kN/m未満
(4)難燃性
金属・樹脂積層体を125mm×15mm×1mmにカットし、カットしたサンプルに10秒間接炎し、離炎後の有炎を観察することにより、難燃性の評価を行った。なお、評価は、以下の基準で行った。
◎:離炎後の有炎はなかった。
△:離炎後の有炎がサンプル下部3cm未満であり、かつ20秒間以内に消炎した。
×:離炎後の有炎がサンプル下部3cm以上であり、かつ20秒間以上燃えた。
実施例1
共役ジエン系ポリマーとしてのポリブタジエン(ポリブタジエン樹脂B3000、日本曹達(株)製、重量平均分子量3,000、1,2−ビニル結合量95モル%)70部、共役ジエン系ポリマーとしてのスチレン−ブタジエンブロックポリマー(スチレン単位含有量70%、ブタジエン部の1,2−ビニル量95モル%、重量平均分子量70,000)30部、難燃剤としてのテトラデカブロモジフェノキシベンゼン60部、水酸化マグネシウム(平均粒子径0.4μm、嵩比重1.2g/cc)10部、シリカ(平均粒子径0.5μm)10部、ラジカル発生剤としてのジ−t−ブチルペルオキシド1.0部、硬化助剤としてのジイソプロペニルベンゼン10部、及び、老化防止剤としての6−エトキシ−1,2−ジヒドロ−2,2,4−トリメチルキノリン1部をキシレン中で混合し、硬化性樹脂組成物を得た。次いで、得られた硬化性樹脂組成物をガラスクロス(Eガラス)に含浸させ、加熱することにより、溶媒としてのキシレンを除去してシート状のプリプレグを作製した。プリプレグ中における強化繊維(ガラスクロス)含有量は41%であった。
次に、作製したプリプレグシート5枚を重ね、さらに12μmの電解銅箔(タイプF3、古河サーキットフォイル(株)製、表面粗度Rz=2,100nm)で、積層したプリプレグシートを挟み、220℃で10分間、3MPaにて加熱プレスを行い金属・樹脂積層体を得た。そして、得られた金属・樹脂積層体について、上記方法に従い、Q値、耐熱性、密着性及び難燃性の各評価を行った。結果を表1に示す。
実施例2
水酸化マグネシウムの配合量を10部から20部に変更した以外は、実施例1と同様にしてプリプレグ及び金属・樹脂積層体を作製し、得られた金属・樹脂積層体について実施例1と同様にして各評価を行った。結果を表1に示す。
実施例3
水酸化マグネシウムの配合量を10部から3部に変更した以外は、実施例1と同様にしてプリプレグ及び金属・樹脂積層体を作製し、得られた金属・樹脂積層体について実施例1と同様にして各評価を行った。結果を表1に示す。
実施例4
水酸化マグネシウム10部の代わりに水酸化アルミニウム(平均粒子径0.4μm、嵩比重1.1g/cc)10部を使用した以外は、実施例1と同様にしてプリプレグ及び金属・樹脂積層体を作製し、得られた金属・樹脂積層体について実施例1と同様にして各評価を行った。結果を表1に示す。
比較例1
水酸化マグネシウムを使用しなかった以外は、実施例1と同様にしてプリプレグ及び金属・樹脂積層体を作製し、得られた金属・樹脂積層体について実施例1と同様にして各評価を行った。結果を表1に示す。
比較例2
水酸化マグネシウムを使用せず、さらにテトラデカブロモジフェノキシベンゼンの配合量を60部から80部に変更した以外は、実施例1と同様にしてプリプレグ及び金属・樹脂積層体を作製し、得られた金属・樹脂積層体について実施例1と同様にして各評価を行った。結果を表1に示す。
比較例3
テトラデカブロモジフェノキシベンゼンを使用せず、さらに水酸化アルミニウムの配合量を10部から80部に変更した以外は、実施例4と同様にしてプリプレグ及び金属・樹脂積層体を作製し、得られた金属・樹脂積層体について実施例1と同様にして各評価を行った。結果を表1に示す。
Figure 2010126629
表1に示すように、硬化性樹脂組成物を共役ジエン系ポリマー、硬化剤、及びハロゲン系難燃剤に加えて、金属水酸化物を含むものとすることにより、得られる金属・樹脂積層体は、Q値、耐熱性、金属層と樹脂層との間の密着性、及び難燃性に優れたものとなる結果となった(実施例1〜4)。
これに対して、硬化性樹脂組成物に、金属水酸化物を添加しなかった場合には、得られる金属・樹脂積層体は、耐熱性、及び金属層と樹脂層との間の密着性に劣る結果となった(比較例1,2)。
また、硬化性樹脂組成物に、ハロゲン系難燃剤を添加しなかった場合には、得られる金属・樹脂積層体は、耐熱性、及び難燃性に劣る結果となった(比較例3)。

Claims (6)

  1. 共役ジエン系ポリマー、硬化剤、ハロゲン系難燃剤および金属水酸化物を含む硬化性樹脂組成物を強化繊維に含浸してなるプリプレグ。
  2. 前記硬化性樹脂組成物中における前記金属水酸化物と前記ハロゲン系難燃剤との割合が、金属水酸化物/ハロゲン系難燃剤の重量比で、1/99〜70/30の範囲である請求項1記載のプリプレグ。
  3. 前記金属水酸化物の平均粒子径が0.001〜50μmの範囲である請求項1または2記載のプリプレグ。
  4. 前記金属水酸化物の嵩比重が0.1〜5g/ccの範囲である請求項1〜3いずれか記載のプリプレグ。
  5. 請求項1〜4のいずれかに記載のプリプレグと、金属層とを積層し、硬化することにより得られる金属・樹脂積層体。
  6. 前記金属層の、プリプレグと接着させる表面の表面粗度(Rz)が、5,000nm以下である請求項5記載の金属・樹脂積層体。
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