JP2010125671A - 包装用フィルム - Google Patents

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Abstract

【課題】特に接着層の透明性を確保しつつ生産安定性を維持できる包装フィルムを提供する。
【解決手段】結晶化熱量が5J/g〜80J/gの条件を満たすオレフィン系重合体(A)を含有する両表面層と、乳酸系重合体(B)を主成分として含有する中間層とを備え、表面層と中間層の間に、下記(1)の条件を満たすオレフィン系重合体(A)及び乳酸系重合体(B)を主成分として含有する接着層を備えた包装用フィルムを提案する。オレフィン系重合体(A)及び乳酸系重合体(B)を主成分として接着層を形成するため、各層を構成する樹脂の溶融粘度差を小さくでき、接着層の透明性を確保しつつ生産安定性を維持できる。
【選択図】なし

Description

本発明は、天然植物由来の樹脂である乳酸系重合体を主原料の一つとする包装用フィルムであって、特にカッター刃を備えた箱内に収納され、家庭等で使用される小巻ラップフィルムとして好適に用いることができる包装用フィルムに関する。
調理した食品を陶器やプラスチック容器などに載せて包装するフィルムとして、所謂“ラップフィルム”(本発明では、業務用のストレッチ包装フィルムと区別するため“小巻ラップフィルム”とも称する)が使われている。
このような小巻ラップフィルムは、通常カッター刃を具備した紙箱の中に筒に巻かれた状態で収納されている。包装する際は、フィルムを紙箱から引き出して食品を覆うように被せ、フィルムを紙箱に具備されたカッター刃に押し当て、このカッター刃でフィルムにミシン目状の孔を開けてフィルムを引きちぎることにより、引き裂きを幅方向に伝播させるようにしてフィルムをカットし、そしてフィルムの端部を容器に密着させて包装するように使用する。このため、小巻ラップフィルムには、透明性のほか、容器への密着性、箱から引き出したフィルムをカットする際のカット適性などの諸特性が必要とされる。
現在市販されているラップフィルムの多くは、延伸したポリ塩化ビニリデン系樹脂を主成分とするフィルムのほか、押出しキャストしたポリエチレン系樹脂、可塑化ポリ塩化ビニル系樹脂、ポリ4−メチルペンテン−1系樹脂等を主成分とするフィルムである。
近年、環境問題の高まりから枯渇性資源の有効活用が重要視されるようになり、天然植物由来の樹脂が注目されている。中でも、乳酸系重合体は、とうもろこしやジャガイモ等のでんぷんから得られる天然植物由来の樹脂であり、量産が可能であるばかりか透明性に優れているため、包装フィルムの原料としても注目されており、乳酸系重合体を原料に用いた包装フィルムの研究開発が行なわれている。
例えば、特許文献1には、家庭用ラップフィルムの特性であるカット適性、包装適性、
耐熱性を同時に具備した生分解性ラップフィルムとして、JIS K−7198 A法の動的粘弾性測定法により、周波数10Hz、ひずみ0.1%にて測定した40℃における貯蔵弾性率の値が100MPa〜3GPaの範囲にあり、100℃における貯蔵弾性率の値が30MPa〜500MPaの範囲にあり、損失正接(tanδ)のピーク値が0.1〜0.8の範囲にある乳酸系樹脂組成物、例えば乳酸系重合体と可塑剤とを60:1〜99:1の質量割合で含有する乳酸系樹脂組成物を主成分として含有する生分解性ラップフィルムが開示されている。
特許文献2には、最外層がオレフィン系重合体を主成分とする層であり、該オレフィン系重合体を主成分とする層の間にポリ乳酸(乳酸系重合体)を主成分とする層を少なくとも1層有する収縮シート状物が開示されていると共に、オレフィン系重合体を主成分とする層とポリ乳酸を主成分とする層との間に、アクリル変性ポリエチレン系樹脂からなる接着層が介在し得ることも開示されている。
しかし、上記特許文献1の如く、乳酸系重合体に可塑剤を配合した系では、乳酸系重合体のガラス転移点(Tg)を室温付近まで下げることになるため、キャスティング法などで急速に冷却してラップフィルムを製膜すると、非晶のままシーティングされることになって弾性率が下がってしまい、そのまま長尺で巻いてしまうと巻物がブロッキングするという問題が生じることがあった。
また、乳酸系重合体がラップフィルムの表裏層に露出していると、加水分解によって乳酸系重合体の分子量が経時的に低下してしまうため、さらにブロッキングを生じ易くなるという問題もあった。
さらに、小巻ラップフィルムとして機能させるには、上記の如く、透明性のほか、容器への密着性、引き出したフィルムをカットする際のカット適性などの諸特性が求められるが、乳酸系重合体を主原料に用いて、このような諸特性を満足する包装フィルムを作製することは容易なことではなく、特に特許文献2のように、多層構造の積層フィルムにおいては、容器への密着性に優れるフィルムを作製することは簡単なことではなかった。
そこで、乳酸系重合体を主原料の一つとする包装フィルムにおいて、製膜したフィルムを巻いた状態で保管しておいてもブロッキングを生じることがなく、しかも乳酸系重合体の分子量低下度合いを軽減でき、それでいて、小巻ラップフィルムに求められる諸特性を満足し得る包装フィルムとして、次のような包装フィルムが提案されている(特許文献3)。
すなわち、特許文献3には、少なくとも表面層/接着層/中間層/接着層/表面層をこの順に有する5層以上の積層フィルムからなる包装フィルムであって、両表面層は、オレフィン系重合体を主成分として含有し、中間層は、乳酸系重合体を主成分として含有し、両接着層は、接着性樹脂を主成分として含有し、且つ、その接着性樹脂が、変性オレフィン系重合体、或いは、軟質の芳香族系炭化水素と共役ジエン系炭化水素との共重合体或いはこれら共重合体の水素添加誘導体、或いは、酢酸ビニル含量が30〜80質量%のエチレン−酢酸ビニル共重合体、或いは、乳酸系重合体と、アクリル酸エステル単位を主体とする重合体ブロック及びメタクリル酸エステル単位を主体とする重合体ブロックを有するアクリル系ブロック共重合体とを有する乳酸・アクリル混合樹脂のいずれか一種、又は二種以上の組合せからなる樹脂であることを特徴とする包装フィルムが開示されている。
WO/2005/082981 特開2002−19053号公報 WO/2008/004510
特許文献3に開示されているように、オレフィン系重合体を主成分とする表面層と、乳酸系重合体を主成分とする中間層との間に接着層を備えた積層フィルムから包装フィルムを作製する場合、重要な課題となるのは接着層の透明性確保であった。但し、仮に透明性を確保できたとしても、製造過程において、例えば押出時に厚みムラや破断が生じて安定した生産を妨げることがないように留意しなければならない。
そこで本発明は、オレフィン系重合体を主成分とする表面層と、乳酸系重合体を主成分とする中間層との間に接着層を備えた積層構成を有する包装フィルムをさらに改良することにより、製膜したフィルムを巻いた状態で保管しておいてもブロッキングを生じることがなく、乳酸系重合体の分子量低下度合いを軽減でき、小巻ラップフィルムに求められる諸特性を得ることができ、しかも、接着層の透明性を確保しつつ生産安定性を維持することができる、新たな包装フィルムを提供せんとするものである。
かかる課題に鑑み、本発明は、下記(1)の条件を満たすオレフィン系重合体(A)を主成分として含有する表面層形成組成物からなる両表面層と、乳酸系重合体(B)を主成分として含有する中間層形成組成物からなる中間層とを備え、表面層と中間層の間に、下記(1)の条件を満たすオレフィン系重合体(A)及び乳酸系重合体(B)を主成分として含有する接着層形成組成物からなる接着層を備えた包装用フィルムを提案する。
(1)オレフィン系重合体(A)の結晶化熱量が5J/g〜80J/g。
このような構成を備えた包装用フィルムであれば、オレフィン系重合体(A)を主成分とする両表面層を備えているため、製膜したフィルムを巻いた状態で保管しておいてもブロッキングを生じることがなく、乳酸系重合体の分子量低下度合いを軽減できる。しかも、オレフィン系重合体(A)及び乳酸系重合体(B)を主成分として接着層を形成するため、両表面層、接着層間、並びに中間層、接着層間のいずれにおいても、各層を構成する樹脂の溶融粘度差を小さくすることができるため、生産中に各層の押出時の流動性に違いによる厚みムラや破断などが生じず、生産安定性を向上させることができ、製膜安定性を高めることができ、さらにはフィルム端部まで良好な外観に仕上げることができる。また、オレフィン系重合体(A)、特に接着層を形成するオレフィン系重合体(A)の結晶化熱量を規定したことにより、混合する乳酸系重合体(B)との屈折率差を小さくすることができ、包装フィルムの全ヘーズ値を3%以下にまで透明性を高めることができる。そして、小巻ラップフィルムに求められる諸特性を得ることができるように作り込むことができる。さらには、少なくとも5層から構成される積層フィルムとすることにより、両表面層に防曇剤や粘着剤等の添加剤を含ませることができるため、フィルムの防曇性や密着性等を高めることもできる。
また、接着層形成組成物を、表面層形成組成物及び中間層形成組成物から構成するようにすれば、各層を構成する樹脂の溶融粘度差をさらに小さくすることができるため、生産中に各層の押出時の流動性に違いによる厚みムラや破断などが生じず、生産安定性をさらに向上させることができ、フィルム端部までさらに良好な外観に仕上げることができる。そればかりか、トリミングロス(切りくず)などの製造過程で生じる製品ロスを接着層形成組成物の原料として利用することができるため、包装フィルムをより安価に製造することができる。
以下、本発明の実施形態の一例としての包装用フィルム(以下「本包装用フィルム」という)について説明する。但し、本発明の範囲が以下に説明する実施形態に限定されるものではない。
本包装用フィルムは、少なくとも5層から構成される積層フィルムであって、オレフィン系重合体(A)を主成分として含有する表面層形成組成物からなる両表面層と、乳酸系重合体(B)を主成分として含有する中間層形成組成物からなる中間層と、オレフィン系重合体(A)及び乳酸系重合体(B)を主成分として含有する接着層形成組成物からなる接着層とを備えた包装用フィルムである。
本欄では、先ず、オレフィン系重合体(A)および乳酸系重合体(B)について説明した後、表面層、中間層、接着層について説明し、その後、本包装用フィルムの積層構成、物性的特徴、製造方法等について説明することにする。
<オレフィン系重合体(A)>
オレフィン系重合体(A)は、表面層及び接着層の主成分である。両層のオレフィン系重合体(A)は互いに異なる種類でもよいが、層間の溶融粘度差を小さくする観点などから同じ種類、特に同一樹脂を用いるのが好ましい。
オレフィン系重合体としては、例えばエチレン系重合体、ブチレン系重合体、ポリプロピレン、エチレン−プロピレン共重合体等のプロピレン系重合体、ポリ4−メチルペンテン、ポリブテン、エチレン−酢酸ビニル共重合体などを挙げることができる。
本包装用フィルムで用いるオレフィン系重合体(A)、特に接着層を構成するオレフィン系重合体(A)は、結晶化熱量ΔHc=5〜80J/gであることが重要である。
本包装用フィルムでは、オレフィン系重合体(A)及び乳酸系重合体(B)の混合樹脂が接着層の主成分をなすため、当該混合樹脂が優れた透明性を有する必要がある。
ポリマーブレンドにおける透明性は、分散相の粒径と、分散相−マトリックス相間の平均屈折率の差に影響される。分散相の粒径が可視光の波長より小さい場合、その樹脂組成物は優れた透明性を示す。一方、分散相の粒径が可視光の波長より大きい場合、その透明性は分散相とマトリックス相の平均屈折率差が小さいものほど優れている。一般にオレフィン系重合体(A)と乳酸系重合体(B)から得られる樹脂組成物及びフィルムの透明性は両成分の平均屈折率の差に大きく影響される。
一般的なオレフィン系重合体の屈折率は、乳酸系重合体の屈折率はよりも高く、両者の屈折率差が大きいため、オレフィン系重合体(A)及び乳酸系重合体(B)の混合樹脂の透明性は好ましいものではない。そこで、本包装用フィルムでは、一般的なオレフィン系重合体よりも低い結晶化熱量を有するオレフィン系重合体を用いることにより、乳酸系重合体(B)との屈折率差を減少させ、オレフィン系重合体(A)及び乳酸系重合体(B)からなる混合樹脂の透明性を高めている。
よって、このような透明性の観点から、オレフィン系重合体(A)の結晶化熱量は5〜80J/gであるのが好ましく、特に5〜60J/g、中でも特に5〜40J/gであるのが特に好ましい。
その一方で、本包装用フィルムを小巻ラップフィルムとして用いる場合、電子レンジ等で加熱する場合があるため、耐熱性が求められる。耐熱性を高めるためには結晶化熱量は高いほうが好ましく、特に表面層を構成するオレフィン系重合体(A)の結晶化熱量は高いほうが好ましい。
よって、表面層及び接着層で同じオレフィン系重合体(A)を使用する場合には、透明性確保と耐熱性確保の両方を考慮して、オレフィン系重合体(A)の結晶化熱量は20〜80J/gであるのが好ましく、特に30〜60J/gであるのがより好ましい。
なお、オレフィン系重合体(A)の結晶化熱量ΔHcは、示差走査熱量計を用いて測定することができる。具体的には、加熱速度10℃/分で200℃まで昇温し、200℃で5分間保持した後、冷却速度10℃/分で室温まで降温したときの熱量として表すことができる。
オレフィン系重合体(A)の屈折率は1.48〜1.49であるのが好ましい。
上述のように本包装用フィルムの透明性は、オレフィン系重合体(A)及び乳酸系重合体(B)の平均屈折率の差に大きな影響を受ける。一般に乳酸系重合体の平均屈折率は1.45〜1.46程度であり、オレフィン系重合体の平均屈折率は1.50〜1.51程度であるため、その差の絶対値は0.04〜0.06程度となる。この値が0.04を超える場合には、得られる樹脂組成物及びフィルムは白濁する傾向にある。
これに対し、オレフィン系重合体(A)が、比較的低結晶性のオレフィン系重合体であり、平均屈折率が1.48〜1.49であれば、乳酸系重合体(B)との平均屈折率差が小さく、オレフィン系重合体(A)及び乳酸系重合体(B)からなる混合樹脂の透明性を高めることができる。オレフィン系重合体(A)及び乳酸系重合体(B)の平均屈折率差の絶対値が0.04以下であれば、より一層透明性に優れた樹脂組成物及びフィルムが得られる。かかる観点から、オレフィン系重合体(A)及び乳酸系重合体(B)の平均屈折率差の絶対値は、0.03以下であるのがより好ましく、中でも0.02以下であるのがさらに好ましい。
ちなみに、オレフィン系重合体の平均屈折率はその結晶性に影響され、結晶化熱量ΔHcが低いオレフィン系重合体ほどその平均屈折率は低下する傾向にある。
上記オレフィン系重合体(B)としては、柔軟性と透明性の機械的物性や成形性の観点より、上記範囲の結晶化熱量ΔHcを有するエチレン系重合体、プロピレン系重合体、又はこれらの混合物を用いることが好ましい。
オレフィン系重合体の場合、結晶化熱量ΔHcを上記範囲とする手段としては、共重合体とする方法や、立体規則性を低減させる方法などを好適に採用することができる。
当該共重合体としては、プロピレン−α−オレフィン共重合体やエチレン−α−オレフィン共重合体が好適に用いられる。α−オレフィンとしては、好ましくは炭素数2〜20のものが挙げられ、エチレン、1−ブテン、1−ペンテン、1−ヘキセン、1−ヘプテン、1−オクテン、1−ノネン、1−デセンなどを例示できる。この際、共重合するα−オレフィンは1種のみを単独で、又は2種以上を組み合わせて用いても構わない。
具体的には、プロピレン−エチレンランダム共重合体、プロピレン−エチレン−ブテン−1共重合体およびポリプロピレン系エラストマーの中から選ばれる1種のプロピレン系重合体、又は、これら2種以上の組み合わせからなる混合樹脂を用いるのが好ましい。
中でも、低結晶性や柔軟性と耐熱性とのバランス及び工業的に比較的安価に入手可能であること等から、プロピレン−エチレンランダム共重合体が特に好適である。
これらの共重合体において、結晶化熱量及び柔軟性と透明性等の観点から、α−オレフィン、特にエチレンの含有率は1.0質量%以上であるのが好ましく、中でも2.0〜15質量%であるのが特に好適である。但し、α−オレフィン、特にエチレンの含有率を高めると屈折率が高くなる傾向にあり、α−オレフィン、特にエチレンの含有率が50質量%を超えると、屈折率が高くなり過ぎるため好ましくない。
オレフィン系重合体(A)のメルトフローレート(MFR)は、特に制限されるものではないが、通常、MFR(JISK7210、温度:230℃、荷重:21.2N)が、0.2g/10分以上、好ましくは、0.5〜18g/10分であり、1〜15g/10分であるのがより好ましい。
オレフィン系重合体(A)の製造方法は、特に限定されるものではなく、公知のオレフィン重合用触媒を用いた公知の重合方法、例えばチーグラー・ナッタ型触媒に代表されるマルチサイト触媒やメタロセン系触媒に代表されるシングルサイト触媒を用いた、スラリー重合法、溶液重合法、塊状重合法、気相重合法等、また、ラジカル開始剤を用いた塊状重合法が挙げられる。
<乳酸系重合体(B)>
乳酸系重合体(B)は、中間層及び接着層の主成分である。両層の乳酸系重合体(B)は互いに異なる種類でもよいが、層間の溶融粘度差を小さくする観点などから同じ種類、特に同一樹脂を用いるのが好ましい。
乳酸系重合体(B)としては、構造単位がL−乳酸であるポリ(L−乳酸)、構造単位がD−乳酸であるポリ(D−乳酸)、構造単位がL−乳酸及びD−乳酸であるポリ(DL−乳酸)、或いはこれらの混合体、或いはこれらを含む共重合体を用いることができる。
但し、ここでいうポリ(L−乳酸)またはポリ(D―乳酸)は、理想的にはL−乳酸またはD−乳酸100%からなるポリマーであるが、重合に際し不可避的に異なる乳酸が含まれる可能性があるため、L−乳酸またはD―乳酸を98%以上含むものを意図している。
乳酸系重合体(B)におけるD−乳酸(D体)とL−乳酸(L体)の比率(モル比)は、L体/D体=100/0〜85/15、もしくはL体/D体=0/100〜15/85であるのが好ましく、より好ましくはL体/D体=99.5/0.5〜85/15もしくはL体/D体=0.5/99.5〜15/85である。かかる範囲内であれば、得られるフィルムの耐熱性を損ねることがない。
なお、L体とD体との共重合比が異なる乳酸系重合体をブレンドしてもよい。その場合、複数の乳酸系重合体のL体とD体との共重合比の平均値が上記範囲内に入るようにするのが好ましい。
可塑剤等のブリードアウトを抑えるという観点からは、乳酸系重合体の結晶性は低い方が好ましいから、ポリ(L−乳酸)よりも結晶性の低いポリ乳酸、例えばポリ(D−乳酸)、ポリ(DL−乳酸)、或いはこれらの混合体を主成分とするのが好ましい。該ポリ(DL−乳酸)や前記混合体におけるD体とL体の比率としては、L体/D体=85/15〜95/5、もしくはL体/D体=5/95〜15/85であるのが好ましい。この範囲内であれば、乳酸系重合体の結晶性が低いから可塑剤等のブリードアウトを抑制することができる。
また、可塑剤等のブリードアウトの抑制と耐熱性およびカット性とのバランスを考慮すると、(両表面層の主成分であるオレフィン系重合体(A)の種類にも左右されるが)、D体含量0.5〜5モル%のポリ(L−乳酸)(以下「B−1成分」と略する場合がある)と、D体含量10〜15モル%のポリ(D,L−乳酸)(以下「B−2成分」と略する場合がある)との混合樹脂組成物を用いるのが好ましく、中でも、(B−1)成分と(B−2)成分の混合質量比が(B−1)/(B−2)=10/90〜80/20が特に好適であり、その中でも特に(B−1)/(B−2)=50/50〜70/30である混合樹脂組成物がより好ましい。
なお、乳酸系重合体は、少量の共重合成分として他のヒドロキシカルボン酸等を含んでいてもよく、また少量の鎖延長剤残基を含んでいてもよい。
乳酸系重合体の重合法としては、縮合重合法、開環重合法、その他公知の重合方法を採用することができる。
例えば縮合重合法では、L−乳酸またはD−乳酸、あるいはこれらの混合物等を直接脱水縮合重合して任意の組成を有する乳酸系重合体を得ることができる。
また、開環重合法(ラクチド法)では、乳酸の環状二量体であるラクチドを、必要に応じて重合調節剤等を用いながら、適当な触媒を使用して任意の組成、結晶性を有する乳酸系重合体を得ることができる。
ラクチドには、L−乳酸の二量体であるL−ラクチド、D―乳酸の二量体であるD−ラクチド、或いはL−乳酸とD−乳酸からなるDL−ラクチドがあり、これらを必要に応じて混合して重合することにより任意の組成、任意の結晶性を有する乳酸系重合体を得ることができる。
乳酸系重合体の質量平均分子量は5万〜40万の範囲であるのが好ましく、更に好ましくは10万〜25万の範囲である。乳酸系重合体の質量平均分子量が5万以上であれば機械物性や耐熱性等の実用特性を確保することができ、40万以下であれば溶融粘度が高過ぎて成形加工性が劣ることがない。
本包装用フィルムに用いる乳酸系重合体は、市販されている乳酸系重合体を用いることができる。例えば、商品名「レイシア」シリーズ(三井化学(株)製)、商品名「Nature Works」シリーズ(NatureWorks社製)、商品名「U’zシリーズ」(豊田自動車製)等を挙げることができる。
<表面層>
内外両面の表面層(以下単に「表面層」という)は、上記のオレフィン系重合体(A)を主成分として含有する表面層形成組成物から形成することができる。
表面層は、上記のオレフィン系重合体(A)のほか、防曇剤を配合することによりフィルムの防曇性を高めることができ、また、粘着剤を配合することによりフィルムの密着性をさらに高めることができる。
より具体的には、防曇性、帯電防止性、滑り性、粘着性などの性能を付与するために次のような各種添加剤を適宜配合することができる。
例えば、炭素数が1〜12、好ましくは1〜6の脂肪族アルコールと、炭素数が10〜22、好ましくは12〜18の脂肪酸との化合物である脂肪族アルコール系脂肪酸エステル、具体的には、モノグリセリンオレート、ポリグリセリンオレート、ポリグリセリンポリリシノレート、グリセリントリリシノレート、グリセリンアセチルリシノレート、ポリグリセリンステアレート、ポリグリセリンラウレート、メチルアセチルリシレート、エチルアセチルリシレート、ブチルアセチルリシレート、プロピレングリコールオレート、プロピレングリコールラウレート、ペンタエリスリトールオレート、ポリエチレングリコールオレート、ポリプロピレングリコールオレート、ソルビタンオレート、ソルビタンラウレート、ポリエチレングリコールソルビタンオレート、ポリエチレングリコールソルビタンラウレート等、ならびに、ポリアルキレンエーテルポリオール、具体的には、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール等、更に、パラフィン系オイルなどから選ばれた化合物の少なくとも1種を、各種を構成する樹脂成分100質量部に対して0.1〜12質量部配合させることができ、好適には1〜8質量部配合させるのが好ましい。
また、表面層には、本包装フィルムの機能を損なわない範囲で、熱安定剤、抗酸化剤、UV吸収剤、アンチブロッキング剤、光安定剤、核剤、加水分解防止剤、消臭剤などの添加剤を適宜配合することができる。
<中間層>
中間層は、乳酸系重合体(B)を主成分として含有する中間層形成組成物から形成することができる。
乳酸系重合体(B)のほかに、乳酸系重合体(B)を可塑化し得る可塑剤を配合するのが好ましい。
可塑剤としては、例えばフタル酸エステル、アジピン酸エステル、トリメリット酸エステル、リン酸エステル、アジピン酸系ポリエステル、グリセリン脂肪酸エステル等のエステル類化合物、その他の可塑剤を挙げることができる、中でも、乳酸系重合体への良好な相溶性の観点から、グリセリン脂肪酸エステル(C)を用いるのが好ましい。以下、このグリセリン脂肪酸エステル(C)について説明する。
(グリセリン脂肪酸エステル(C))
グリセリン脂肪酸エステル(C)は、乳酸系重合体(B)を可塑化することができる。このようなグリセリン脂肪酸エステルとしては、その種類を特に制限するものではなく、例えばモノグリセライド、ジグリセライド、トリグリセライド、アセチル化モノグリセライドの他、ジグリセリン、トリグリセリン、テトラグリセリンなどのポリグリセリン脂肪酸エステルなどを挙げることができる。中でも、下記化学式(1)のような分子構造を有するアセチル化モノグリセライドは、乳酸系重合体への良好な相溶性、高い可塑化能力の点で特に好ましい。
Figure 2010125671
上記化学式(1)中で、R1はアルキル基、R2、R3は各々アセチル基または水素を示す。これらアルキル基の炭素数は特に制限はなく、密着性及び柔軟性の改良という目的が達成されるように適宜選択されるが、一般には6〜20であるのが好ましい。
また、乳酸系重合体(B)に対する良好な相溶性を得るため、グリセリン脂肪酸エステル(C)の分子量は2,000以下であることが好ましく、特に1,500以下であるのがより好ましい。
上記のグリセリン脂肪酸エステルのなかでも、グリセリンモノアセトモノエステルとグリセリンジアセトモノエステルの混合物が好ましい。グリセリンモノアセトモノエステルは、可塑化性能が良好であり、混合する樹脂への可塑剤の添加部数を実質的に減らすことができる。一方、グリセリンジアセトモノエステルは、樹脂と混合する際の可塑剤の揮発等を抑制でき、安定した可塑化性能を発揮することができる。したがって、用途や必要とする機能によって、それぞれの添加部数を決定し、添加することができる。
乳酸系重合体(B)とグリセリン脂肪酸エステル(C)との混合配合量は、質量比率で(B)/(C)=90/10〜60/40となるように配合するのが好ましい。上記範囲内とすることで、柔軟性の付与と経時的にグリセリン脂肪酸エステル(C)が表面に移行して表面がべとつくようになるブリードアウトを抑えることができる。
なお、加工性の観点からは、グリセリン脂肪酸エステル(C)の配合量は少ないほうが好ましいため、乳酸系重合体(B)100質量部に対し、グリセリン脂肪酸エステル(C)を1〜20質量部、中でも3〜18質量部、特に5〜18質量部含むように混合するのがより一層好ましい。グリセリン脂肪酸エスエル(C)の混合量を20質量部以下とすることによって、乳酸系重合体(B)の溶融粘度を極端に減少させ過ぎることがなく、表裏層との流動性とともに弾性率の差を小さくすることができる。つまり、製膜時において、表裏層(例えばオレフィン系重合体(A))と共押する際の加工性が良好になり、縞模様や白化等がない外観に優れたフィルムを得ることができる。
本包装用フィルムの中間層には、本包装用フィルムの機能を損なわない範囲で、熱安定剤、抗酸化剤、UV吸収剤、アンチブロッキング剤、光安定剤、核剤、加水分解防止剤、増粘剤、消臭剤などの添加剤を処方することができる。
例えば、本包装用フィルムの実用特性を保持するために、乳酸系重合体100質量部に対して、カルボジイミド化合物を好ましくは0.1〜3質量部、より好ましくは0.5〜1質量部配合することで質量平均分子量を増大させることができる。かかる範囲を下回る場合、質量平均分子量を増大させる効果が薄い場合が多く、またかかる範囲を上回る場合には、フィルム成形時にフィッシュアイやゲルを生じる場合があり好ましくない。
<接着層>
本包装用フィルムの接着層は、オレフィン系重合体(A)及び乳酸系重合体(B)を主成分として含有する接着層形成組成物から形成することができる。
中でも、表面層形成組成物及び中間層形成組成物のみから接着層形成組成物を構成するのが好ましい。その理由は、表面層形成組成物及び中間層形成組成物のみから接着層形成組成物を構成するようにすれば、表面層、接着層間、並びに中間層、接着層間の構成樹脂の溶融粘度差がより小さくなるため、より好ましい製膜安定性を得ることができるほか、例えば製膜したフィルムの両端をカットしてトリミングした際に発生するトリミングロスを接着層形成組成物の原料として用いることができ、材料の無駄を無くし、コストの軽減を図ることができるからである。
オレフィン系重合体(A)と乳酸系重合体(B)との混合比率、並びに、表面層形成組成物と中間層形成組成物表面層成分との混合比率は、80/20〜40/60とするのが好ましく、より好ましくは70/30〜50/50である。この範囲内であれば、表面層と中間層のそれぞれに対する層間の剥離強度を良好に保つことができる。
このような混合比に調整するには、トリミングロスを利用する場合には、トリミングロスの成分組成に応じて不足する成分の樹脂を追添するようにすればよい。トリミングロスの全量を接着層として使い切ることができない場合には、余剰分を再生層として設けるようにすればよい。また、トリミングロスの代替として、オレフィン系重合体(A)と乳酸系重合体(B)を含む混合物を用いてもよい。
なお、接着層形成組成物には、本包装用フィルムの機能を損なわない範囲で、相溶化剤を配合することができるほか、防曇性、帯電防止性、滑り性、粘着性などの性能を付与するために次のような各種添加剤を適宜配合することができる。
例えば、炭素数が1〜12、好ましくは1〜6の脂肪族アルコールと、炭素数が10〜22、好ましくは12〜18の脂肪酸との化合物である脂肪族アルコール系脂肪酸エステル、具体的には、モノグリセリンオレート、ポリグリセリンオレート、ポリグリセリンポリリシノレート、グリセリントリリシノレート、グリセリンアセチルリシノレート、グリセリンモノアセトモノステアレート、グリセリンジアセトモノラウレート、グリセリンジアセトモノオレート、ポリグリセリンステアレート、ポリグリセリンラウレート、メチルアセチルリシレート、エチルアセチルリシレート、ブチルアセチルリシレート、プロピレングリコールオレート、プロピレングリコールラウレート、ペンタエリスリトールオレート、ポリエチレングリコールオレート、ポリプロピレングリコールオレート、ソルビタンオレート、ソルビタンラウレート、ポリエチレングリコールソルビタンオレート、ポリエチレングリコールソルビタンラウレート等、ならびに、ポリアルキレンエーテルポリオール、具体的には、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール等、更に、パラフィン系オイル、ポリブテン、テルペン樹脂、石油樹脂などから選ばれた化合物の少なくとも1種を、各種を構成する樹脂成分100質量部に対して0.1〜30質量部配合させることができ、好適には3〜25質量部配合させるのが好ましい。
接着層の厚みは、その機能から好ましくは0.3μm〜5μmである。接着層の厚みがかかる範囲内であれば、両表面層と中間層との接着性を発現させることができ、またフィルム成形の際に製膜安定性が得られるため好ましい。中間層の厚み比をより確保したい場合には、より好ましくは0.5μm〜3μmである。
<積層構成>
本包装用フィルムは、両表面層と、中間層と、接着層とを備えた積層フィルムであり、少なくとも表面層/接着層/中間層/接着層/表面層をこの順に有する5層以上の積層フィルムであればよく、力学特性や層間接着性の改良など必要に応じて他の層を適宜導入してもかまわない。また、表面層と接着層の間や、中間層と接着層との間に再生層を設けることもできる。
例えば、表面層と同様の組成からなる層が、両表面層以外に介在してもかまわないし、また、中間層と同様の組成からなる層が、両表面層の間に2層以上介在してもかまわない。具体的には、表面層/接着層/中間層/接着層/表面層からなる5層構成のほか、表面層/接着層/中間層/中間層/接着層/表面層、表面層/再生層/接着層/中間層/接着層/表面層、表面層/接着層/再生層/中間層/接着層/表面層などからなる6層構成、表面層/接着層/中間層/表面層/中間層/接着層/表面層、表面層/接着層/中間層/接着層/中間層/接着層/表面層、表面層/再生層/接着層/中間層/接着層/再生層/表面層、表面層/接着層/再生層/中間層/再生層/接着層/表面層などからなる7層構成などを例示することができる。この場合、各層の樹脂組成や厚み比に関しては同一であっても異なってもよい。
本包装用フィルムにおいては、フィルム全体の厚みに対する中間層の厚み比が35〜90%であることが好ましい。中間層の厚み比がかかる範囲内であれば、前記の動的粘弾性による各特性値(E’、tanδ)を満足するフィルムの設計が容易となり、例えばTダイ法にてフィルムを成形する際、好ましい製膜安定性が得られるほか、食品包装用ラップフィルムに好適なカット性を発現させるための力学特性や、容器の密着性を発現させるための緩和特性を比較的容易に付与することができる。また、製膜したフィルムを巻いた状態で保管しておいてもブロッキングが生じず、防曇性や容器密着性が良好であり、経時により加水分解による分子量低下が生じ難いことに加えて、各層間の接着性が良好である包装用フィルムとすることができる。
さらに、安定した製膜加工性と柔軟性をより重視する場合には、フィルム全体の厚みに対する中間層の厚み比は35〜65%であるのが好ましく、特に35〜60%であるのがより好ましい。
他方、カット性及び容器への密着性、さらには植物度すなわちCO削減等をより重視する場合には、フィルム全体の厚みに対する中間層の厚み比は60〜90%であるのが好ましく、特に65〜90%であるのがより好ましい。
なお、中間層が上記したように2層以上ある場合には、全ての中間層の合計厚みを用いて厚み比を計算すればよい。
(再生層)
前述のように、本包装フィルムは、本発明の効果を損なわない範囲で、再生層を有することができる。これは、例えば製膜したフィルムの両端をカットしてトリミングした際に発生するトリミングロスについて、接着層に用いた後の余剰分や成形不良品などを用いることができ、材料の無駄を無くし、材料コストの軽減を図ることができる。
再生層は、表面層と接着層の間や、中間層と接着層との間に設けることができる。例えば、表面層、中間層、あるいは接着層の構成を2層構成にしておき、一方の層にフィルム両端のトリミングロスをリターンすることによって、表面層と接着層の間、または中間層と接着層との間に再生層を設けることができる。この場合、各層の厚み比や組成比のほか、リターンを含有させる層が表面層、中間層、あるいは接着層のいずれをベースとしているかによって、3成分の混合比が調整できる。
本包装用フィルムの厚さ(全体)は、食品包装用ラップフィルムとして用いられる範囲、具体的には6μm〜30μmであればよく、好ましくは8μm〜20μmである。
<本包装用フィルムの物性的特徴>
次に本包装用フィルムの物性的特徴について説明する。
(ヘーズ)
本包装用フィルムは、家庭用小巻ラップフィルムとして好適に用いるためには、全ヘーズ値が3%以下であることが好ましく、本包装用フィルムであれば全ヘーズ値を3%以下とすることができる。
フィルム全ヘーズ値が3%を越えると、包装した中身が見えにくくなってしまうので、包装用フィルムとしての価値がなくなってしまう。よって、好ましい全ヘーズ値としては、2%以下であり、より好ましくは1.5%以下である。フィルム全ヘーズ値をかかる範囲とするためには、前述の通りオレフィン系重合体(A)と乳酸系重合体(B)の屈折率差を少なくすることにより調整することができる。
(粘弾性特性)
本包装用フィルムは、(1)動的粘弾性測定により、周波数10Hz、温度20℃で測定した貯蔵弾性率(E’)が1〜4GPaであり、(2)損失正接(tanδ)のピーク温度が20℃〜70℃であって、(3)そのピーク値が0.1〜0.8の範囲になるように調製することできる。
ちなみに、(1)〜(3)を全て備えているフィルムであれば、小巻ラップフィルムとして利用することができる。
貯蔵弾性率(E’)が1GPa未満であると、フィルムが柔らか過ぎて変形に対して応力が小さ過ぎるため、例えば紙箱から引き出してカットする際のカット性が悪くなることがある。その一方、E’が4GPaを超えると、硬くて伸び難いフィルムになり、紙箱から引き出した際の引き出し性が悪くなることがある。
また、tanδのピーク温度が70℃以下であり、そのピーク値が0.1以上であれば、フィルムの変形に対する復元挙動が瞬間的に起こることがないため、フィルムを容器に包装する際、僅かな間にフィルムが復元することがなく容器への密着性が良好となるため好ましい。また、tanδのピーク温度が20℃以上であり、そのピーク値が0.8以下であれば、塑性的な変形を示すことがないため、通常の使用方法では問題となることがないため好ましい。
なお、tanδ(損失正接)とは、貯蔵弾性率(E’)に対する損失弾性率(E”)の比、すなわち損失正接(tanδ=E”/E’)であり、この値が高い温度領域では、材料の損失弾性率(E”)、すなわち粘弾性特性のうち粘性の寄与率が大きいことを意味している。このtanδのピーク値及びピーク温度を評価することにより、包装時の容器への密着性や包装工程におけるフィルムの応力緩和挙動などを判断する大きな目安となる。
上記の条件(1)〜(3)を全て満足するフィルムを作製するには、例えば中間層、表面層、及び接着層(場合により再生層)における構成成分の選択(主成分となる樹脂の種類、その分子量やTg、可塑剤の有無とその種類、成分の配合割合、乳酸系重合体のLD比など)、中間層、表面層、及び接着層(場合により再生層)の厚み比率、製膜方法、加工条件(例えばフィルム製膜後の熱処理条件など)を適宜バランスよく調整することによって作製することができる。
<製造方法>
本包装用フィルムの製造方法について説明するが、下記製造方法に限定されるものではない。
先ず、各層の構成原料が混合組成物である場合には、予め各層の構成原料を混合しておき、必要に応じてペレット化しておくのが好ましい。この際の混合方法としては、例えば、予め同方向2軸押出機、ニーダー、ヘイシェルミキサー等を用いてプレコンパウンドするようにしても構わないし、又、各原料をドライブレンドして直接フィルム押出機に投入するようにしても構わない。いずれの混合方法においても、原料の分解による分子量の低下を考慮する必要があるが、均一に混合させるためにはプレコンパウンドすることが好ましい。例えば中間層であれば、乳酸系重合体と、必要に応じて添加剤とをそれぞれ十分に乾燥して水分を除去した後、二軸押出機を用いて溶融混合し、ベント口から可塑剤を所定量添加しながら、ストランド形状に押出してペレットを作製すればよい。
なお、各層の構成原料については前述したとおりであり、接着層形成樹脂の原料には、本包装用フィルムのトリミングロスをそのまま、或いは成分調整して得られたペレットを用いることが可能である。
次に、各層の構成原料を、それぞれ別々に押出機に投入して溶融押出し、Tダイ成形又はインフレーション成形により共押出して積層すればよい。
この際、実用的にはTダイより押出した溶融物をそのまま、キャスティングロールなどで急冷しながら引き取るようにしてフィルムを製膜するのが好ましい。
フィルムの耐熱性やカット性を重視する場合には、溶融押出シートを冷却ロールによって冷却固化した後、樹脂の結晶化温度以下に加熱し、ニップロール間の速度差を利用してフィルムの縦方向に1.2〜5.0倍延伸する縦延伸、もしくはフィルムの縦横両方向に1.2〜5.0倍に逐次二軸延伸及び/または同時二軸延伸するフラット延伸法を採用するのが好ましい。
延伸温度としては、押出シートの温度を30〜90℃の範囲に設定とすることが好ましく、さらに40〜60℃の範囲とすることが好ましい。延伸温度がかかる範囲内であれば、中間層の乳酸系重合体(B)と、表面層のエチレン系共重合体(A)の両方を延伸に好適な弾性率に近づけることができるため好ましい。また、延伸倍率は1.2〜5.0倍の範囲内とすることが好ましく、さらに1.5〜4.0倍の範囲とすることが好ましい。延伸倍率がかかる範囲内であれば、押出シートの破断や白化等のトラブルが生じることなくカット性を向上させることができる。
また、生産性及び/または経済性を重視する場合には、環状ダイから材料樹脂を溶融押出してインフレーション成形するのが好ましい。その際の冷却方法としては、チューブの外面から冷却する方法、チューブの外、内面の両面から冷却する方法のどちらでもよい。
このようにして得られたフィルムは、熱収縮率や自然収縮率の軽減、幅収縮の発生の抑制等の目的に応じて、必要に応じて加熱ロール間での縦延伸、各種の熱固定、エージング等の熱処理を行うようにしてもよい。
熱処理条件としては、熱処理温度を40〜100℃の範囲に設定することが好ましく、さらに60〜90℃の範囲とすることがより一層好ましい。熱処理温度が40℃以上であれば熱処理の効果を十分に得ることができ、100℃以下であればフィルムがロールにべたつく等の成形性の問題を生じることがない。
また、防曇性、帯電防止性、粘着性等を付与、促進させる目的で、コロナ処理や熟成等の処理、更には、印刷、コーティング等の表面処理や表面加工を行ってもよい。
得られたフィルムは、両端をトリミングした後、目的の幅にスリットして製品化することができる。
<用語の説明>
本発明において「主成分」とは、特に記載しない限り、当該主成分の機能を妨げない範囲で他の成分を含有することを許容する意を包含する。この際、当該主成分の含有割合を特定するものではないが、主成分(2成分以上が主成分である場合には、これらの合計量)が組成物中の50質量%以上、特に70質量%以上、中でも特に90質量%以上(100%含む)を占めるのが好ましい。
また、一般的に「シート」とは、JISにおける定義上、薄く、一般にその厚さが長さと幅のわりには小さく平らな製品をいい、一般的に「フィルム」とは、長さ及び幅に比べて厚さが極めて小さく、最大厚さが任意に限定されている薄い平らな製品で、通常、ロールの形で供給されるものをいう(日本工業規格JISK6900)。例えば厚さに関して言えば、狭義では100μm以上のものをシートと称し、100μm未満のものをフィルムと称すことがある。しかし、シートとフィルムの境界は定かでなく、本発明において文言上両者を区別する必要がないので、本発明においては、「フィルム」と称する場合でも「シート」を含むものとし、「シート」と称する場合でも「フィルム」を含むものとする。
また、本発明において、「X〜Y」(X,Yは任意の数字)と表現した場合、特にことわらない限り「X以上Y以下」の意と共に、「好ましくはXより大きい」及び「好ましくはYより小さい」の意を包含する。
以下、実施例及び比較例によりさらに詳しく説明するが、本発明は何ら制限を受けるものではない。
なお、本明細書中に表示されるフィルムについての種々の測定値および評価は次のようにして行った。ここで、フィルムの押出機からの流れ方向を縦方向(以下「MD」と記載する場合がある)、その直角方向を横方向(以下「TD」と略する場合がある)と称する。
(1)結晶化熱量(ΔHc)
JIS K7121に準じて、パーキンエルマー(株)製Pyris1 DSCを用いて、オレフィン系重合体10mgを加熱速度10℃/分で200℃まで昇温し、200℃で5分間保持した後、冷却速度10℃/分で室温まで降温したときに測定されたサーモグラムから結晶化熱量ΔHc(J/g)を求めた。
(2)透明性
JISK7105に準拠してフィルム厚み10μmでフィルムの全ヘーズ値を測定した。
(3)E’、tanδ
JIS K−7198
A法に記載の動的粘弾性測定法により、アイティー計測制御(株)製動的粘弾性測定装置「DVA−200」を用い、フィルムの横方向(TD)について、振動周波数10Hz、歪み0.1%にて、昇温速度1℃/分で−50℃から150℃まで測定し、得られたデータから温度20℃での貯蔵弾性率(E’)、並びに、損失正接(tanδ)のピーク温度及びそのピーク値を求めた。
(4)分子量保持率(湿熱耐久性)
得られたフィルムを、40℃×90質量%に調整したタバイエスペック製の恒温恒湿機LH−112内にて1ヶ月静置した。
東ソー(株)製のゲルパーミエーションクリマトグラフィーHLS−8120GPCに、(株)島津製作所製のクロマトカラムShim−PackシリーズのGPC−800CPを装着し、溶媒クロロホルム、溶液濃度0.2wt/vol質量%、溶液注入量200μl、溶媒流速1.0ml/分、溶媒温度40℃の条件で、試験前後(すなわち、前記1ヶ月静置の前後)のフィルムの質量平均分子量を測定し、表1には、これをポリスチレン換算した質量平均分子量を算出して示した。この際、用いた標準ポリスチレンの質量平均分子量は、2000000、670000、110000、35000、10000、4000、600である。
算出した試験前後の質量平均分子量から分子量保持率(質量%)を算出し、以下の基準で判定を行った。
○:分子量保持率が60質量%以上、100質量以下%で、且つ、経時後の分子量が10万以上のもの。
×:分子量保持率が0質量%以上、60質量%未満で、且つ、経時後の分子量が10万未満のもの。
(5)製膜安定性
フィルムを製膜する際、特にガラス転移温度(Tg)が室温付近である場合には、押出の際にキャスティングロールに貼り付いてしまって、安定した製膜を妨げることがある。
そこで、Tダイ成形法によりフィルムを成形した際、キャスティングの安定性およびロールへの貼り付き度合いを観察し、以下の基準で評価した。
◎:極めて安定している。
○:安定している。
×:不安定である。
(6)生産安定性
◎:生産中、各層の押出時の流動性の違いによる厚みムラや破断などが生じず、安定した生産ができる。
○:生産中、各層の押出時の流動性の違いによる厚みムラはあるが、破断などは生じずに製膜できる。
×:生産中、各層の押出時の流動性の違いにより厚みムラが顕著であり、破断が頻繁に生じる。
(7)耐ブロッキング性
得られたフィルムの巻き物を、温度43℃、相対湿度40%の条件の恒温室内に5日間保管し、その後の表面状態と巻き返し性を観察し、以下の基準で評価した。
◎:フィルム同士のブロッキングが全くないレベル。
○:フィルム同士のブロッキングが少しあるが実用上問題とならないレベル。
×:フィルム同士のブロッキングにより剥離が出来ず巻き返しが不可となり実用上問題となるレベル。
(8)容器密着性
直径10cm、深さ5cmの茶碗状の陶磁器製容器に包装したときの容器への密着性を、以下の基準で評価した。
◎:適度に包装できるレベル。
○:少し容器形状から広がるが実用上問題ないレベル。
×:フィルムが容器に沿わず広がってしまい実用上問題となるレベル。
(9)小巻替え適性
小巻ラップフィルムを生産する場合には、生産性を考慮して、最初に長尺の原反として製膜した後、用途に応じて20m、50m、100mなどに巻き替えをしたもの(小巻)を箱に入れて出荷するのが通常である。この巻き替え工程(小巻替え)における適正も、小巻ラップフィルムの生産においては重要である。
そこで、製膜したフィルムの巻き替え試験を、200m/min〜600m/minの巻き取りスピードで行い、小巻替え適性を以下の基準で評価した。
◎:600m/minの巻き取りスピードでも問題なく小巻替えできる。
○:200m/min以上600m/min未満の巻き取りスピードで問題なく小巻替えできる。
×:200m/min以上600m/min未満巻き替え途中で、層間剥離およびフィルムの破断が生じる。
(10)カット性
製膜したフィルムを金属製鋸刃付きのカートンボックスに入れ、フィルムを引き出してカットし、その際のカットのし易さを以下の基準で評価した。
◎:カット時に違和感なく使用できるレベル。
○:カット時に多少の抵抗を感じるが実用上問題ないレベル。
×:カット時にラップが金属製鋸刃に食い込み、過度の抵抗を感じるレベル。
(実施例1)
表面層形成組成物については、オレフィン系重合体(A)としての、日本ポリプロ社製プロピレン・エチレンランダム共重合体「ノバテックPP MG3F」(エチレン含量:3質量%、結晶化熱量ΔHc:60J/g、屈折率1.49、MFR:9g/10分)(以下「A−1」と略する)100質量部と、粘着剤としてのヤスハラケミカル社製水添テルペン樹脂「クリアロンP125」10質量部とを、押出設定温度170〜190℃に設定した同方向二軸押出機に投入し溶融混練して、調製した。
他方、中間層形成組成物については、乳酸系重合体(B)としての、NatureWorks社製「NatureWorks4032D」(L体/D体=98.6/1.4、屈折率1.46、質量平均分子量:20万)(以下「B−1」と略する)およびNatureWorks社製「NatureWorks4060D」(L体/D体=87/13、屈折率1.46、質量平均分子量:20万)(以下「B−2」と略する)を、質量比でB−1/B−2=60/40となるように秤量し、これらを混合して押出設定温度180℃に設定した同方向二軸押出機に投入し、次いで、グリセリン脂肪酸エステル(C)としての、グリセリンジアセトモノエステル(分子量330)およびグリセリンモノアセトモノエステル(分子量310)の混合物(平均分子量320、以下「C−1」と略する)を、B−1及びB−2の合計(100質量部)に対してC−1が17質量部となるように前記押出機の第1ベント口から定量送液ポンプを利用して注入しながら溶融混練して、調製した。
さらに、接着層用の押出機に、前記A−1、B−1およびC−1をA−1/B−1/C−1=45/46/9の質量割合で予め同方向二軸押出機にてプレコンパウンドした樹脂組成物を投入し、接着層形成組成物を調製した。
そして、上記のようにして得られた表面層形成組成物と、中間層形成組成物と、接着層形成組成物とを、それぞれ別々の押出機から合流させ、五層Tダイ温度190℃、ダイギャップ2mmで共押出し、温度30℃に設定したキャストロールにて急冷することで、総厚み10μm(表面層/接着層/中間層/接着層/表面層=1.6μm/0.75μm/5.3μm/0.75μm/1.6μm)の包装用フィルムを得た。得られたフィルムを評価した結果を表1に示す。
(実施例2)
実施例1と同様に共押出し、総厚み30μm(表面層/接着層/中間層/接着層/表面層=4.8μm/2.25μm/15.9μm/2.25μm/4.8μm)の原反フィルムを得た。
次いで、ロール延伸により、延伸温度60℃、延伸倍率3倍にてMDに一軸延伸した後、90℃で熱処理を行い、厚み10μmの包装用フィルムを得た。得られたフィルムを評価した結果を表1に示す。
(比較例1)
接着層用の押出機に投入する樹脂を、旭化成社製「タフテックH1041」(スチレン−エチレン−ブタジエンブロック共重合体)に変更した以外は、実施例1と同様にして、総厚み10μm(表面層/接着層/中間層/接着層/表面層=1.6μm/0.75μm/5.3μm/0.75μm/1.6μm)の包装用フィルムを得た。得られたフィルムを評価した結果を表1に示す。
(比較例2)
表面層用の押出機に、日本ユニカー社製直鎖状低密度ポリエチレン「NUCG5361」(MFR:4.0g/10分、結晶化熱量ΔHc:100J/g、屈折率1.51)(以下「A−2」と略する)および「NUCG5371」(MFR:12.0g/10分、屈折率1.51)以下「A−3」と略する)を、質量比でA−2/A−3=50/50となるように秤量して混合して投入する一方、接着層用の押出機に、前記A−2、A−3、B−1及びC−1をA−2/A−3/B−1/C−1=19/19/53/9の割合で予め同方向二軸押出機にてプレコンパウンドして接着層形成組成物を調製した以外は、実施例2と同様にして、総厚み10μm(表面層/接着層/中間層/接着層/表面層=1.6μm/0.75μm/5.3μm/0.75μm/1.6μm)の包装用フィルムを得た。得られたフィルムを評価した結果を表1に示す。
(比較例3)
接着層用の押出機に、あらかじめ実施例1の中間層と同様の組成となるようにプレコンパウンドしたペレットを投入し、実質的に三層フィルムとした以外は実施例1と同様にして総厚み10μm(表面層/中間層/表面層=1.6μm/6.8μm/1.6μm)の包装用フィルムを得た。得られたフィルムを評価した結果を表1に示す。
(比較例4)
比較例3において、表面層用の押出機に、あらかじめ実施例1の中間層と同様の組成となるようにプレコンパウンドしたペレットを投入し、実質的に単層フィルムとした以外は比較例3と同様にして総厚み10μmの包装用フィルムを得た。得られたフィルムを評価した結果を表1に示す。
(比較例5)
比較例3において、中間層用の押出機に、あらかじめ実施例1の両表面層と同様の組成となるようにプレコンパウンドしたペレットを投入し、実質的に単層フィルムとした以外には比較例3と同様にして総厚み10μmの包装用フィルムを得た。得られたフィルムを評価した結果を表1に示す。
Figure 2010125671
表1より、実施例1で得たフィルムは、経時的に包装フィルムの分子量を低下するのを抑えることができ、製膜したフィルムを巻いた状態で保管しておいてもブロッキングが生じず、さらには容器密着性も良好であることが確認された。また、特定の接着層を設けたことにより、生産安定性及び小巻替え適性に優れた包装フィルムとなり、かつ透明でフィルム外観の良好な包装用フィルムが得られたことが確認された。さらに実施例2で得たフィルムは、延伸加工を施したことにより、カット性が特に優れたものとなった。
これに対して、比較例1〜5においては、表裏層と中間層の間の接着層として、スチレン系エラストマーを用いた場合(比較例1)には、製膜時に各層の流動性が合わずにフィルムの穴あきなどが観察され、また、表裏層および接着層に直鎖状低密度ポリエチレンを用いた場合(比較例2)には、透明性(全ヘーズ値)が不十分となることが確認された。また、接着層樹脂を有さない場合(比較例3)には、小巻替え適性で問題を生じることが確認され、表裏層樹脂を有さない場合(比較例4)には、製膜後のブロッキングが著しく、経時後の分子量の低下も顕著であった。乳酸系重合体を主成分とする中間層を有さない場合(比較例5)には、ブロッキング、製膜安定性は良好であったが、容器密着性が不十分であった。
実施例1及び2で用いたオレフィン系重合体(A)の結晶化熱量ΔHcは60J/gであり、十分な透明性が得られたのに対し、比較例2で用いた直鎖状低密度ポリエチレンの結晶化熱量ΔHcは100J/gであり、十分な透明性が得られなかった。これより、透明性の観点から、オレフィン系重合体(A)の結晶化熱量ΔHcは80J/g以下であるのが好ましく、特に5〜60J/g、中でも特に5〜40J/gであることが特に好ましいと考えられる。
但し、耐熱性を高めるためには結晶化熱量は高いほうが好ましいため、透明性確保と耐熱性確保の両方を考慮すると、オレフィン系重合体(A)の結晶化熱量は20〜80J/gであるのが好ましく、特に30〜60J/gであるのがより好ましいものと考えることができる。

Claims (8)

  1. 下記(1)の条件を満たすオレフィン系重合体(A)を主成分として含有する表面層形成組成物からなる両表面層と、乳酸系重合体(B)を主成分として含有する中間層形成組成物からなる中間層とを備え、表面層と中間層の間に、下記(1)の条件を満たすオレフィン系重合体(A)及び乳酸系重合体(B)を主成分として含有する接着層形成組成物からなる接着層を備えた包装用フィルム。
    (1)オレフィン系重合体(A)の結晶化熱量が5J/g〜80J/g。
  2. 全ヘーズ値が3%以下であることを特徴とする請求項1記載の包装用フィルム。
  3. 接着層形成組成物は、表面層形成組成物及び中間層形成組成物からなることを特徴とする請求項1又は2に記載の包装用フィルム。
  4. 中間層形成組成物は、分子量2000以下のグリセリン脂肪酸エステル(C)を含有することを特徴とする請求項1〜3の何れかに記載の包装用フィルム。
  5. 中間層形成組成物は、乳酸系重合体(B)100質量部に対してグリセリン脂肪酸エステル(C)を1〜20質量部含有することを特徴とする請求項4に記載の包装用フィルム。
  6. 乳酸系重合体(B)が、LD比率の異なる2種類以上の乳酸系重合体の混合樹脂であることを特徴とする請求項1〜5の何れかに記載の包装用フィルム。
  7. オレフィン系重合体(A)が、プロピレン−エチレンランダム共重合体、プロピレン−エチレン−ブテン−1共重合体およびポリプロピレン系エラストマーの中から選ばれる1種のプロピレン系重合体、又は、これら2種以上の組み合わせからなる混合樹脂であることを特徴とする請求項1〜6の何れかに記載の包装用フィルム。
  8. 動的粘弾性測定により、周波数10Hz、温度20℃で測定した貯蔵弾性率(E’)が1〜4GPa、損失正接(tanδ)のピーク温度が20〜70℃であり、そのピーク値が0.1〜0.8の範囲にあることを特徴とする請求項1〜7の何れかに記載の包装用フィルム。
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