JP2010122073A - ケラチンフィルムを用いた染毛剤褪色度の測定方法 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】毛髪を蛋白質変性剤および還元剤により溶解させた毛髪ケラチン蛋白質溶液と、展開用溶液とを接触させ、乾燥させた後に得られるケラチンフィルムを染色対象として用いることを特徴とする染毛剤褪色度の測定方法。
【選択図】なし
Description
このような染毛剤の研究・開発において、より落ちにくい製剤を得るためには、染色された毛髪における染毛剤の耐久性の評価が欠かせない。従来、このような評価試験においては、毛髪ストランド(人毛毛髪の一束)を染毛し、その色変化を測定するという方法が採られていた。
染毛剤で染色された毛髪は、日常的に太陽光の紫外線を浴びることによって経時的に分解が進むと考えられている。したがって、染毛剤の耐久性の評価にあたっては、紫外線による染毛剤の色変化(褪色)が指標とされる。
しかしながら、従来行なわれていた毛髪ストランドによる測定では、毛髪の束を直接測定するという性質上、測定精度に限界があり、太陽光による色変化を正確に捉えることが難しかった。
さらに、染毛剤で染色された毛髪は、水洗の繰り返しによる染毛剤の溶出によっても褪色が起きていると考えられる。この原因による色変化の度合は比較的大きいため、従来の毛髪ストランドを用いても測定されていたが、水洗の影響を評価するために毛髪の表面のみを測色することはやはり技術的に困難であった。
また、毛髪の染色むらや検体の髪質によるデータのばらつきが生じることからも、毛髪ストランドを用いた測定方法では十分な染毛剤の評価を行なうことはできなかった。
そして、本発明者らは、ケラチン蛋白質から構成されたフィルム、すなわちケラチンフィルムを用いた評価系として、紫外線による毛髪損傷度の測定方法を見出している(特許文献3)。この測定方法によれば、紫外線によって毛髪蛋白質が受ける酸化ダメージを、酸化蛋白質に特異的に結合する蛍光色素を用いて蛍光顕微鏡による画像を数値化することができ、しかも、ケラチンフィルムを検体にすることにより、単離毛髪を検体とした際に生じる測定値のばらつきを改善することができる。
しかしながら、前記測定方法は、ケラチンフィルムである毛髪蛋白質そのものの酸化変質を検出するに留まっており、このように抽出された状態の毛髪蛋白質と染毛剤の関わりについては全く明らかではなかった。
本発明はこのような事情に鑑みてなされたものであり、測定値のばらつきがなく、染毛剤の褪色度を簡便に測定することができ、しかも精度に優れた測定方法を提供することを目的とする。
すなわち、本発明にかかる染毛剤褪色度の測定方法は、毛髪を蛋白質変性剤および還元剤により溶解させた毛髪ケラチン蛋白質溶液と、展開用溶液とを接触させ、乾燥させた後に得られるケラチンフィルムを染色対象として用いることを特徴とする。
前記測定方法において、下記(I)〜(III)工程を含むことが好適である。
(I)ケラチンフィルムを染毛剤で染色し、測色する工程、
(II)前記ケラチンフィルムに紫外線を照射し、測色する工程、
(III)前記(I)及び(II)における色差を求める工程。
前記測定方法において、紫外線吸収剤が塗付されたケラチンフィルムを用いることが好適である。
前記測定方法において、ケラチンフィルムの裏面を測定野とすることが好適である。
前記測定方法において、染毛剤が酸化染毛剤であることが好適である。
また、本発明にかかる染色ケラチンフィルムは、毛髪を蛋白質変性剤および還元剤により溶解させた毛髪ケラチン蛋白質溶液と、展開用溶液とを接触させ、乾燥させた後に得られるケラチンフィルムを、染毛剤で染色して得ることを特徴とする。
また、本発明において、「毛髪」は、ヒトの毛髪以外に、動物の体毛、羽毛を含むものとする。また、ケラチン蛋白質を含む爪や皮膚等に本発明にかかる測定方法を適用することも可能である。
まず最初に、本発明にかかる測定方法に使用するケラチンフィルムについて説明する。
毛髪から、それを構成するケラチン蛋白質群を抽出するために、蛋白質変性剤を用いる。蛋白質変性剤としては、尿素系の化合物が好ましく、例えば、尿素、チオ尿素、およびこれらの誘導体等が挙げられる。これらの尿素系蛋白質変性剤の1種または2種以上を混合して用いることが好ましい。より好ましくは、尿素とチオ尿素を混合して用いることである。尿素とチオ尿素を混合して用いる場合には、混合質量比が5:1〜1:2であることが好ましい。チオ尿素の混合比が前記範囲より少ないと蛋白質の変性作用が劣る場合があり、また前記範囲を超えると、ケラチン蛋白質群の抽出率が低下する傾向がある。
前述のように蛋白質変性剤を用いることにより、温和な条件で効率よくケラチン蛋白質群を毛髪から溶解させて抽出することが可能となる。
還元剤の濃度が0.5質量%未満であると、ケラチン蛋白質感の強固なS−S結合の還元切断が十分に行なわれない傾向があり、また、40質量%の濃度を超えて使用すると毛髪処理液中でのケラチン蛋白質群の溶解性が悪くなる場合がある。
また、毛髪サンプルと毛髪サンプル処理液の比は、1〜100mg毛髪サンプル/ml毛髪サンプル処理液であることが好ましい。
毛髪サンプル処理液は、ケラチン蛋白質が十分に抽出された後、ろ過により末抽出毛髪を除き、毛髪ケラチン蛋白質溶液を得ることができる。
展開用溶液としては、例えば、トリクロロ酢酸、グアニジン塩酸、過塩素酸、及びそれらの誘導体等の変性剤と、水、生理食塩水、低級アルコール等の溶媒を混合して得られる変性剤溶液、塩酸、硫酸、酢酸、リン酸及びそれらの塩等の酸性物質からなる酸性溶液が挙げられ、これらの1種または2種以上を用いることができる。本発明で用いるケラチンフィルムの調製においては、展開用溶液としてグアニジン塩酸、過塩素酸の変性剤または酢酸と水を混合して得られる過塩素酸溶液、グアニジン塩酸溶液、酢酸緩衝液、酢酸溶液から選択される1種または2種以上であることが好ましい。特に好ましくは、酢酸緩衝液(pH4.0)及び/または酢酸溶液である。
前記展開用溶液は、前記毛髪ケラチン蛋白質のイオン強度を下げる作用を有し、これにより、毛髪サンプル処理液中の蛋白質変性剤、還元剤の溶解性の低下を招く。その結果、ケラチン蛋白質群の溶解性が低下、それに伴いケラチン蛋白質間のS−S結合が解離して−SH状態であったものが、再びS−S結合が再形成されて、短時間にケラチン蛋白質の固体化が進行することになる。
Post−cast法としては、シャーレ等の容器に予め前記展開用溶媒を満たしておき、これに毛髪ケラチン蛋白質溶液をキャストする方法(フォワード法)、または毛髪ケラチン蛋白質溶液を予め添加したシャーレ等の容器に、展開用溶液をキャストする方法(リバース法)が挙げられる。
Pre−cast法とは、予め毛髪ケラチン蛋白質に展開溶媒を混合し、水を張ったシャーレ等の容器へ前記混合溶液をキャストする方法である。
本発明においては、前記Post−cast法及びPre−cast法のいずれによっても、染毛剤褪色度の測定に適した均一性に優れたケラチンフィルムを調製することができる。
特に、Pre−cast法に用いる展開用溶媒としては酢酸溶液が好適であり、Post−cast法においては酢酸緩衝液が好適である。また、還元剤としては、Post−cast法において2−メルカプトエタノールが好適であり、Pre−cast法においてジチオスレイトールが適している。
また、展開用溶液は毛髪ケラチン蛋白質溶液に対し10〜10000倍の質量比で用いることが好ましい。前記範囲内で展開用溶液を毛髪ケラチン蛋白質溶液に接触させることにより、適度な薄さを呈する薄膜を調製することができる。
続いて、本発明にかかる紫外線による染毛剤褪色度の測定方法について説明する。
本発明にかかる測定方法は、上記したケラチンフィルムを染毛剤で染色したものを測定対象として使用し、前記染色ケラチンフィルムへ紫外線を照射し、照射前後のフィルムの色変化を測定値とする。
具体的には、本発明は下記(I)〜(III)の工程を備えることが好ましい。
(I)ケラチンフィルムを染毛剤で染色し、測色する工程
(II)前記ケラチンフィルムに紫外線を照射し、測色する工程
(III)前記(I)及び(II)における色差を求める工程
以下、本発明にかかる方法を上記工程に沿って説明する。
まず、上記調製方法により得られたケラチンフィルムを、褪色度を測定したい染毛剤で染色する。本発明の測定方法に使用する染毛剤としては、酸化染毛剤、非酸化染毛剤といった永久染毛剤が好ましく、特に酸化染毛剤の使用が好適である。前記永久染毛剤の他、ヘアマニキュア等の半永久染毛料、カラースプレー等の一時染毛料、ヘアブリーチ等の脱色剤等を使用することも可能である。
ケラチンフィルムの染色は、通常毛髪に用いる方法でケラチンフィルムを染毛剤処理することによって行なうことができる。例えば、酸化染毛剤でケラチンフィルムを染色する場合、酸化染毛料及びアルカリ剤を含む第1剤と、過酸化水素を含む第2剤とを所定の重量比で混合し、ケラチンフィルムに塗付する。該フィルムを適当な時間染色処理した後、フィルム上の染毛剤をふき取り、さらに水で繰り返し洗浄し、適宜乾燥させることによって染色ケラチンフィルムを得ることができる。
染毛剤塗付後のケラチンフィルムの処理時間は、行なう試験系に要する染色度合に応じて適宜設定することができるが、一般的な酸化染毛剤の場合、毛髪に対する適用と同じく10〜30分程度の染色処理で十分にケラチンフィルムを染色することができる。
ここで、前述のケラチンフィルムの調製方法では、シャーレ等の容器内においてケラチン蛋白質を乾燥フィルム化するため、容器との接触面と非接触面とでフィルム表面の滑らかさが異なる場合がある。すなわち、前記接触面をフィルムの裏面、非接触面をフィルムの表面とすれば、フィルムの裏面はフィルムの乾燥に伴い、容器のフィルム接触面に応じた滑らかさに表面成形されることになる。そのため、シャーレ等の滑らかな表面をもつ容器をケラチンフィルムの調製に用いることで、フィルムの裏面をフィルムの表面よりも均一な表面とすることができる。特に、シャーレ等の滑らか且つ透明な容器でケラチンフィルムを調製すれば、乾燥によってケラチンフィルムが密着固定した容器ごとフィルムの裏面を測色することができるという利点がある。勿論、容器からケラチンフィルムを剥離して測色することも可能であるが、剥離の際にフィルムの裏面が損傷し、測定値に影響が出る場合があるため、このような場合フィルムが容器に固定された形態での測定がより好ましい。
前記(I)工程後、染色ケラチンフィルムに紫外線を照射する。紫外線の照射は(I)工程における測色の測定野を含むようにして行なう。このときの紫外線照射時間は特に限定されないが、日常生活での頭髪の紫外線曝露と頭髪のライフサイクルを勘案し、1日〜2年間を実験系での照射時間に換算して行なう。この際、ケラチンフィルムはシャーレ等の容器に固定されていることが好ましいが、これに限定されるものではない。
紫外線照射後、再度ケラチンフィルムを測色する。この際の測色方法及び測定野は、(I)工程における測色と同様とする。
(III)工程においては、前記(I)及び(II)工程における測定値間の色差(ΔE)を求める。(I)及び(II)工程における測定値は、それぞれ一の測定値であっても、2以上の測定値の平均であってもよい。
色差の算出は採用した表色系に応じた公知の計算方法を用いることができる。また、色差を求めることのできる器機、コンピュータ等を用いてもよい。
例えば、ハンターの表色系に基づき測色した2つの測定値(L1 *、A1 *、B1 *)、(L2 *、A2 *、B2 *)からその色差ΔEを求める場合、ΔE={(L1 *−L2 *)2+(A1 *−A2 *)2+(B1 *−B2 *)2}1/2として求められ、ΔEが大きい程、2つの測定値間の色変化が大きいことを示す。すなわち、ΔEが大きい程、染色ケラチンフィルムの褪色が進んでいると評価することができる。
これに対して、本発明にかかる測定方法によれば、毛髪ケラチンフィルムを染色対象として上記工程を行なうことによって、紫外線照射による染毛剤の褪色を明瞭且つ容易に測定することができる。
このような洗浄による褪色についても、本発明にかかる測定方法を利用して容易に測定することが可能である。
すなわち、本発明において、染毛剤による染色ケラチンフィルムを水等で洗浄し、該洗浄前後の測色における色差ΔEを求めることによって洗浄による染毛剤の褪色度合が表される。特に、上記した(II)工程の後、さらにケラチンフィルムを洗浄し、測色を行ない、(I)工程の測定値との色差ΔEを算出することによって紫外線照射と水洗の両方による染毛剤の褪色度合を測定することができる。
なお、本発明において、ケラチンフィルムへの紫外線照射と洗浄を両方行なうか、紫外線照射または洗浄のどちらか一方のみを検討するかについては、試験の目的に応じて選択すればよい。
まず、本実施例に用いたケラチンフィルムの調製及び染色方法を示す。
(ケラチンフィルムの調製例)
15歳女性の毛髪600gを、尿素30質量%、チオ尿素20質量%、ジチオスレイトール5質量%、25mMトリス−塩酸緩衝液(pH8.5)8mlを含む混合液に浸漬して毛髪サンプル処理液とし、これを50℃にて4日間保持して、毛髪ケラチン蛋白質を溶解させた。この液からろ過により末抽出毛髪を取り除き、毛髪ケラチン蛋白質溶解液とした。この蛋白質溶液3.5mgへ、100mM酢酸水溶液6mlを添加、混合し、この混合用液を水を満たしたシャーレ(直径35mm)へ静かにキャストした。毛髪ケラチン蛋白質が固体化した後、蒸留水を含む展開用溶液を数回交換して、ゲル中の溶液を蒸留水に置換した。最後に蒸留水を除き、シリカゲルを含む箱内で充分に乾燥し、シャーレに固定された形態のケラチンフィルムを得た。
下記処方の酸化染毛料の1剤と2剤を1:1で混合し、シャーレに固定された上記ケラチンフィルムの表面へ2g塗付した。このケラチンフィルムを30℃でそれぞれ10分、30分放置したサンプルについて、その染色度合を比較した結果を図1に示す。なお、両サンプルは染色時間処理後、フィルム表面の染毛料をふき取り、シャーレに蒸留水を注ぎ、室温で2分間静置した。この洗浄操作を蒸留水を換えて6回繰り返し、デシケーター内でフィルムを乾燥させた。
(1剤)
流動パラフィン 3
ワセリン 4.5
ジメチルポリシロキサン 0.5
セタノール 20
プロピレングリコール 5
ステアリン酸 3
オレイン酸 4
ポリオキシエチレンオレイルエーテル 4
強アンモニア水 6.6
エタノールアミン 1.4
ハイドロサルファイトナトリウム 0.1
アスコルビン酸 0.6
カチオン化シルクタンパク 0.1
エデト酸2ナトリウム 0.2
レゾルシン 0.5
パラフェニレンジアミン 1
パラアミノオルトクレゾール 0.3
カルボキシビニルポリマー 0.3
精製水 残余
香料 適量
(2剤)
流動パラフィン 2
ワセリン 1
セトステアリルアルコール 6
デシルテトラデカノール 2
自己乳化型モノステアリン酸グリセリン 1
ラウリル硫酸ナトリウム 0.5
N−ステアロイル−N−メチルタウリンナトリウム 1.5
過酸化水素水(30%) 18
リン酸 0.8
無水リン酸−水素ナトリウム 0.3
スズ酸ナトリウム 0.2
パラベン 適量
精製水 残余
(染毛剤褪色度の測定例1)
染色ケラチンフィルムの表面及び裏面を分光測色計(CM−2500d、コニカミノルタセンシング株式会社製)にて測色した。
その後、1000W太陽光シュミレーター(ORIEL社製、UV強度15mW/cm2:290〜390nm)を用い、ケラチンフィルムの表面に擬似太陽光を照射した。照射1時間後、2時間後、3時間後、4時間後のケラチンフィルムについて、それぞれの表面及び裏面を測色し、擬似太陽光照射前の測定値との色差ΔEを算出した。
ケラチンフィルム「表面」の色差測定結果を図2、「裏面」の測定結果を図3に示す。なお、ケラチンフィルム裏面の色差測定は、フィルムがシャーレに固定された状態で行なった。
以上のことから、染毛剤による染色ケラチンフィルムを用いて、染毛剤褪色度を測定することが可能である。
(毛髪褪色度の測定例2)
染色ケラチンフィルムの表面及び裏面を分光測色計(CM−2500d、コニカミノルタセンシング株式会社製)にて測色した。
その後、ケラチンフィルムの表面に擬似太陽光を照射した。擬似太陽光照射を0分間、30分間、60分間、120分間行ったケラチンフィルムそれぞれの表面及び裏面を測色し、擬似太陽光照射前の測定値との色差ΔEを算出した。
染色ケラチンフィルムの表面及び裏面を分光測色計(CM−2500d、コニカミノルタセンシング株式会社製)にて測色した。
その後、ケラチンフィルムの表面に擬似太陽光を照射した。擬似太陽光照射を0分間、30分間、60分間、120分間行ったケラチンフィルムのシャーレに3mlの蒸留水を注ぎ室温で2分間静置した。この洗浄操作を蒸留水を換えて6回繰り返し、デシケーター内で乾燥させた後、フィルム両面を測色して擬似太陽光照射前の測定値との色差ΔEを算出した。
上記測定例におけるケラチンフィルム「表面」の色差測定結果を図4、「裏面」の測定結果を図5に示す。図4及び5において、「照射後」は毛髪褪色度の測定例2における色差ΔEを示し、「照射&洗浄後」は毛髪褪色度の測定例3における色差ΔEを示す。なお、ケラチンフィルム裏面の色差測定は、フィルムがシャーレに固定された状態で行なった。
一方、擬似太陽光照射後に水洗を行ったケラチンフィルムにおける色差の変化については、フィルムの裏面では擬似太陽光照射時間に応じてほぼ一定の増加傾向を示したが、フィルムの表面の測定ではデータにばらつきが認められた。
以上のことから、本発明にかかる測定方法により、擬似太陽光に含まれる紫外線及び水洗による染毛剤の褪色度を測定することが可能である。特に、水洗による褪色度の測定については、その精度において、ケラチンフィルムの裏面を測定野とすることが好適である。
図6の写真からは、擬似太陽光照射時間に伴う色変化を目視で捉えることは難しいと考えられる。しかしながら、色変化を色差ΔEで表すことにより、前記図4及び5に示すように、紫外線及び水洗褪色による褪色度を簡便且つ高精度に測定することができる。
(褪色抑制効果評価基準)
紫外線吸収剤無配合溶液を塗付した試験例1のケラチンフィルムにおけるΔEを100%とした場合、
◎:ΔE値が30%未満である。
○:ΔE値が30%以上60%未満である。
△:ΔE値が60%以上90%未満である。
×:ΔE値が90%以上である。
したがって、本発明にかかる測定方法により、染毛剤における紫外線吸収剤の褪色抑制効果を評価することができる。
Claims (7)
- 毛髪を蛋白質変性剤および還元剤により溶解させた毛髪ケラチン蛋白質溶液と、展開用溶液とを接触させ、乾燥させた後に得られるケラチンフィルムを染色対象として用いることを特徴とする染毛剤褪色度の測定方法。
- 下記(I)〜(III)工程を含むことを特徴とする請求項1に記載の染毛剤褪色度の測定方法。
(I)ケラチンフィルムを染毛剤で染色し、測色する工程、
(II)前記ケラチンフィルムに紫外線を照射し、測色する工程、
(III)前記(I)及び(II)における色差を求める工程。 - 染毛剤で染色したケラチンフィルムを洗浄し、測色する工程を含むことを特徴とする請求項1または2に記載の染毛剤褪色度の測定方法。
- 紫外線吸収剤が塗付されたケラチンフィルムを用いることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の染毛剤褪色度の測定方法。
- ケラチンフィルムの裏面を測定野とすることを特徴とする請求項3に記載の染毛剤褪色度の測定方法。
- 染毛剤が酸化染毛剤であることを特徴とする請求項1〜5のいずれかに記載の染毛剤褪色度の測定方法。
- 毛髪を蛋白質変性剤および還元剤により溶解させた毛髪ケラチン蛋白質溶液と、展開用溶液とを接触させ、乾燥させた後に得られるケラチンフィルムを、染毛剤で染色して得ることを特徴とする染色ケラチンフィルム。
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