JP2010122070A - 液面レベル検出機構 - Google Patents

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Abstract

【課題】 低コストの液面レベル検出機構を提供する。
【解決手段】 可動磁石103をフロートを使用せずに用いると共に、固定磁石102との間で反発磁界を形成するように対向させて設けた。固定磁石102の上方に位置する可動磁石103は、該可動磁石103が液体に浸かっていない状態において固定磁石102との磁気的反発力により鉛直方向に浮いた状態にある。中空軸101と共に可動磁石103が液体中に浸ると、可動磁石103は、該可動磁石103の体積が排除した液体の重さ分の浮力を受けて、鉛直方向の上方に移動する。可動磁石103が液体に浸っていない時と液体中に浸った時との変位の範囲内にON/OFFの境目となるように磁気検出スイッチ101aを配置すれば、液面レベルを検出できる。
【選択図】 図1

Description

本発明は液面レベル検出機構に関し、特に、液面レベルをアルキメデスの原理の応用によって検出する機構に関する。
従来、液面レベルを検出する手段として、リング状磁石と発泡させたプラスチック(又はゴム)を一体化したフロートあるいはリング状磁石を中空金属浮体内に組み込んだフロートを用いて液体の比重以下となるように構成し、液体のレベル変化をフロートの位置の変化に置き換えることにより、フロートに一体化したリング状磁石の磁力を磁気検出スイッチで検出する方法が一般的に実施されている(特許文献1,2参照)。
これら従来の技術は、30年以上前から採用されてきたものでリング状磁石と発泡させたプラスチック(又はゴム)を一体化したフロートにあっては、一体化する磁石の質量によって発泡度と体積を決定し、使用する液体によってプラスチックやゴムの材料を変更することが必要である。また、近年原料である石油価格の高騰により、必要な機能を満たすための部品価格の上昇が避けられない情勢となっている。
一方、リング状磁石を中空金属浮体内に組み込んだ、いわゆる金属フロートを使用したものにあっては、一般的にSUS304またはSUS316の材料を使用するため元々高価であり、浮体製作上溶接工程が不可欠であるため、SUS材に含有しているクロムが溶接部における鋭敏化で減少するなどして溶接割れの事故が生ずる事があり、フロートが沈みレベルスイッチとして機能しない不都合が生じる場合がある。また、この種の金属フロート式レベルスイッチは圧力容器内で使用されることも多く、金属フロートの耐圧力以上の圧力を受けて、金属フロートがつぶれるような事例も見受けられる。
特開2006−17583号公報 特開2002−148104号公報
上記の何れの例においても必要な性能を維持してコストを如何に下げるかが、企業活動上大きな問題となっており、構造の単純化、原材料の使用量のさらなる削減等が望まれている。特に、原材料の使用量の大幅削減や金属フロートの不使用などは、地球環境の温室効果ガス抑制や、商品寿命に達した時の廃棄物量の削減などの観点からも重要である。
上記課題を解決するため、本発明の液面レベル検出機構は、磁気検出スイッチを備え、略鉛直に配置される軸部材と、前記軸部材に、下側へ移動しないように支持される固定磁石と、開口穴を備えたリング状に形成され、前記軸部材を該開口穴に挿通して、前記固定磁石の上方に所定間隔をおいて配置される可動磁石とを備え、前記固定磁石と前記可動磁石とは、磁極の向きが、前記軸部材の軸方向に沿って互いに離間する方向の反発磁界を形成するように設けられており、前記可動磁石が液面レベルの変化に伴う浮力を受けると前記固定磁石との間隔が変化し、前記磁気検出スイッチによる前記可動磁石の磁界の検出が行われる構成であることを特徴とする。
前記可動磁石の上部に、該可動磁石と共に前記軸部材に沿って変位可能な荷重部材を載置した構成とすることが好ましい。また、前記軸部材は中空に形成され、その内部の略中心軸上であって、前記可動磁石の近傍に前記磁気検出スイッチを配置した構成とすることが好ましい。
前記固定磁石、前記可動磁石及び前記磁気検出スイッチの組み合わせ、又は、前記固定磁石、前記可動磁石、前記磁気検出スイッチ及び前記荷重部材の組み合わせが、各組み合わせ同士間で相互に干渉しない距離を隔てて、前記軸部材に複数設けられた構成とすることもできる。
(作用)
本発明では、従来のフロートに組み込んで一体化して使用する可動磁石そのものを、単独で用いると共に、固定磁石との間で反発磁界を形成するように対向させて使用する。固定磁石の上方に位置する可動磁石は、該可動磁石が液体に浸かっていない状態において固定磁石との磁気的反発力により鉛直方向に浮いた状態にある。このため、軸部材と共に可動磁石が液体中に浸ると、可動磁石はアルキメデスの原理により、該可動磁石の体積が排除した液体の重さ分の浮力を受けて、該可動磁石が液体に浸っていない時の位置よりも鉛直方向の上方に移動する。従って、可動磁石が液体に浸っていない時と液体中に浸った時との変位の範囲内にON/OFFの境目となるように磁気検出スイッチを配置すれば、従来の比重1以下のフロートを使用した液面レベル検出機構と同様の機能を果たすことが出来る。
ここで、可動磁石の変位量は、該可動磁石が押しのけた液体の重さ相当分であるが、磁石の比重は液体の比重の数倍であるため、該可動磁石の変位量は小さく(厳密には液体の浮力により可動磁石が上方に変位するに応じて、固定磁石との間に働く磁気反発力が減少する分、変位量はさらに小さ目となる)、実用上の安定動作を考慮すると、より変位量を大きくすることが望ましい。
そこで、可動磁石の上部に荷重部材を載置した構成とすることが好ましい。可動磁石の上に荷重部材が載っていると、その分だけ可動磁石と固定磁石の間に働く反発力は抑制される。その状態で、可動磁石及び荷重部材の位置まで液体に浸すと、可動磁石は、該可動磁石に加えて荷重部材の体積相当分も含めた液体の重さに相当する浮力を受けるため、荷重部材を具備しない場合に比較して、液体に浸した時の該可動磁石の変位量は大きく取れ、動作の安定を図ることができる。
また、前記固定磁石、前記可動磁石及び前記磁気検出スイッチの組み合わせ、あるいは、前記固定磁石、前記可動磁石、前記磁気検出スイッチ及び前記荷重部材の組み合わせを複数設けた構成の場合には、複数の液面レベルを検出する場合に対応できる。
従来のフロート式のものと比較し、磁石を包み込んで発泡させたフロートを使用する必要がないため、安価に製造できる。また、従来の発泡フロートと磁気検出スイッチの組み合わせでは、液面レベルの上昇に応じて際限なくフロートも上昇するため、磁気検出スイッチを配置した位置を越えて液面レベルが上昇すると、フロートの上昇を制限する機構(例えばストッパなど)を設けない限り磁気検出スイッチの検出範囲を超え、再び低液面レベルの信号を発する不都合がある。本発明では、磁気検出スイッチの動作を左右する可動磁石はフロートを有していないため、液面が可動磁石の常態位置(液体に浸かっていないときの可動磁石の位置)をはるかに超えても、可動磁石の上昇は荷重部材を備えていない場合の固定磁石との間隔プラスα(実用的な磁石寸法ではαは約3mm以内)にとどまることから、磁気検出スイッチが再び低液面レベルの信号を発することがない。
従来の発泡フロートは発泡させる工程管理に不備があると独立した発泡が得られず、長期の実使用においてフロートが液体を吸い込みフロートが浮かなくなる不都合を生ずることがあるが、フロートを使用しない本発明では上記のような不都合を生ずる要素がない。
従来の発泡フロートを用いて液面レベル検出機構は、発泡フロートが支持体の下端にストッパなどにより保持されている場合、何らかの意図しない事象によりフロートが一時的に固着してしまうことがあるが(例えば、ほこりと湿気の作用により一時的に動きが悪くなる)、本発明では可動磁石が固定磁石との反発力で浮いているため、このような不都合を生ずることがない。
従来の金属フロートの替わりに本発明を応用すれば、荷重部材として耐熱、耐薬品、耐圧力の高い材料(例えばPPSやPTFEなど)を使用することにより、コストダウンと動作安定性が図れる。
以下、図面に示した実施形態に基づき本発明を詳細に説明する。図1は本発明の一の実施形態に係る液面レベル検出機構を示した図であり、軸部材である中空軸101、固定磁石102、可動磁石103、荷重部材104を備えて構成される。
図1に示したように、検出対象の液体の液面レベルを検知できるように中空軸101は略鉛直方向に沿って設けられている。中空軸101には固定磁石102と可動磁石103が配置される。
固定磁石102は、中央に開口穴を有するリング状に形成され、この開口穴に中空軸101を挿通して配置されるが、中空軸101の下端には、ストッパ105が設けられており、固定磁石102は、ストッパ105により下方には移動できないように設けられる。
可動磁石103は、固定磁石102の上方に所定間隔をおいて配置される。可動磁石103も中央に開口穴を有するリング状に形成され、この開口穴に中空軸101を挿通し、該中空軸101に沿って上下動可能に配置される。固定磁石102と可動磁石103とは、磁極の向きが、中空軸101の軸方向に沿って互いに離間する方向の反発磁界を形成するように設けられている。すなわち、固定磁石102と可動磁石103とが同極同士が対向するように設けられ、反発磁界により、可動磁石103は固定磁石102に対して所定の間隔を有した状態で、中空軸101で制限された空間に浮いている。固定磁石102と可動磁石103は、反発磁界を形成できるように配置されていればよく、着磁方向は、各磁石の厚み方向であってもよいし、リング状磁石の直径(半径)方向(外周面と内周面とを結ぶ方向)であってもよい。また、固定磁石102、可動磁石103の材質は限定されるものではなく、例えば、フェライト磁石、プラスチック磁石、ゴム磁石、ネオジム磁石、希土類系磁石等を用いることができる。
なお、中空軸101内には、磁気検出スイッチ101aが、該中空軸101の略中心軸上であって、上記した可動磁石103の可動範囲に配置されており、液面レベルの変化に応じて可動磁石103が変位すると、その磁力が磁気検出スイッチ101aにより検出される。磁気検出スイッチ101aは限定されるものではなく、例えば、磁気抵抗素子、ホール素子、リードスイッチ等を用いることができる。
可動磁石103の上部には荷重部材104が載置される。荷重部材104は、本実施形態では可動磁石103と同様にリング状に形成され、中央の開口穴に中空軸101を挿通して可動磁石103の上部に載せされる。可動磁石103上に荷重部材104を載置した場合の固定磁石102と可動磁石103との磁石間隔dは、可動磁石103が液体に浸っていない状態では、荷重部材104を載置しない場合の磁石間隔dと比べて狭くなる。
ここで、荷重部材104の重さと磁石間隔dとの間隔を調べた。固定磁石102及び可動磁石103は、いずれもリング状のフェライト磁石であり、外径15.0mm、内径10.0mm、厚さ2.9mmであった。これに、荷重部材104として、非磁性体製の重りを載せた。その結果が図2のグラフである。図2に示したように、例えば、荷重部材104の重さが1gであった場合、固定磁石102と可動磁石103との磁石間隔dは、荷重部材104を載置しない状態(可動磁石103の自重のみが作用している状態)において、9mmであったものが7mmとなることを示しており、その差2mmだけ磁石間隔dが短縮されることがわかる。
図3は、荷重部材104として実用に供される材質、形状である比重0.95のポリプロピレン(PP)から形成したリング状の部材であって、外径20.0mm、内径10.0mmのもの(荷重部材104A)と、外径24.0mm、内径10.0mmのもの(荷重部材104B)の各場合において、図2に示した各重さに対応する磁石間隔dの変化量Δdに相当する各荷重部材104A,104Bの厚さを調べた図である。
また、図2及び図3の結果をまとめて示したものが次の表1である。
Figure 2010122070
これらのことから、可動磁石103上に、ポリプロピレン製の外径20.0mm、内径10.0mm、厚さ5.1mmの荷重部材104Aを載置した場合、この荷重部材104Aの比重が0.95(ここでは、わかりやすくするため比重を1.0と考える)であるため、水系の液体の液量が可動磁石103に至る前までは、磁石間隔dは、6.7mm(9mm−2.3mm=6.7mm)である。液量が増し、可動磁石103及び荷重部材104Aの位置まで達すると、浮力により荷重部材104Aの重さが解消されるため、磁石間隔dは9mmとなる(但し、正確には、可動磁石103にも浮力が作用するので、9mmより大きくなる)。従って、液体が可動磁石103の位置に至るまで達しているか否かによる磁石間隔dの変化は2.3mm以上生ずることになる。
液面レベル検出機構の使用環境にもよるが、経験上液面の変化を磁気検出スイッチ101aで検出する場合、3mmの液面変化があればよいので、荷重部材104の材質をポリプロピレンと限定した場合には、図2及び表1から、該荷重部材104の重さが2g以上あれば安定して動作する。
荷重部材104の材質としてPP(ポリプロピレン)が適さない環境で使用する場合は、例えば、PPS(ポリフェニレンサルファイド)やPTFE(フッ素樹脂)を使用することができる。但し、これらの材質は比重が大きいため(PPSで1.6前後、PTFEでほぼ2.2)、荷重部材104の体積をPPの場合よりも大きめにする必要がある。また、その場合、エアコンの冷媒のような比較的比重が大きい液体で使用する場合よりも、水系の液体で使用する場合の方が、体積をより大きめにする必要がある。
上記した実施形態では、固定磁石102、可動磁石103、荷重部材104のいずれもリング状に形成しているが、このうち固定磁石102は可動するものではないため、必ずしもリング状でなくてもよい。また、荷重部材104も、可動磁石103の上部に載置されるものであればよい。但し、いずれも装着のし易さや安定した動作等を考慮した場合にはリング状に形成することが好ましい。
また、上記した固定磁石102、可動磁石103及び磁気検出スイッチ101aの組み合わせ、好ましくは、荷重部材104も含めた組み合わせを、相互に干渉しない間隔をおいて、中空軸101に複数設けることもできる。これにより、高さの異なる複数の液面レベルを検出することができる。
図1(a)は、本発明の一の実施形態に係る液面レベル検出機構を示す概略側面図であり、(b)は(a)の分解斜視図である。 図2は、磁石間隔と荷重部材の重さとの関係を示したグラフである。 図3は、磁石間隔の変化量と荷重部材の厚さとの関係を示したグラフである。
101 中空軸
102 固定磁石
103 可動磁石
104 荷重部材

Claims (5)

  1. 磁気検出スイッチを備え、略鉛直に配置される軸部材と、
    前記軸部材に、下側へ移動しないように支持される固定磁石と、
    開口穴を備えたリング状に形成され、前記軸部材を該開口穴に挿通して、前記固定磁石の上方に所定間隔をおいて配置される可動磁石と
    を備え、
    前記固定磁石と前記可動磁石とは、磁極の向きが、前記軸部材の軸方向に沿って互いに離間する方向の反発磁界を形成するように設けられており、
    前記可動磁石が液面レベルの変化に伴う浮力を受けると前記固定磁石との間隔が変化し、前記磁気検出スイッチによる前記可動磁石の磁界の検出が行われる構成であることを特徴とする液面レベル検出機構。
  2. 前記可動磁石の上部に、該可動磁石と共に前記軸部材に沿って変位可能な荷重部材を載置したことを特徴とする請求項1記載の液面レベル検出機構。
  3. 前記軸部材は中空に形成され、その内部の略中心軸上であって、前記可動磁石の近傍に前記磁気検出スイッチを配置したことを特徴とする請求項1又は2記載の液面レベル検出機構。
  4. 前記固定磁石、前記可動磁石及び前記磁気検出スイッチの組み合わせが、各組み合わせ同士間で相互に干渉しない距離を隔てて、前記軸部材に複数設けられていることを特徴とする請求項1又は3記載の液面レベル検出機構。
  5. 前記固定磁石、前記可動磁石、前記磁気検出スイッチ及び前記荷重部材の組み合わせが、各組み合わせ同士間で相互に干渉しない距離を隔てて、前記軸部材に複数設けられていることを特徴とする請求項2又は3記載の液面レベル検出機構。
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