JP2010121719A - コネクティングロッド軸受 - Google Patents

コネクティングロッド軸受

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Abstract

【課題】コネクティングロッドジ軸受において、異物が早期にしかも確実に排出されるようにすること。
【解決手段】本コネクティングロッド軸受10は、クランクシャフトピンとコネクティングロッドの大端部との間に取り付けられ、半円状のアッパ側及びロア側の軸受メタル12,14を組み合わせてなり、各軸受メタル12,14の軸受摺動面の端部にクラッシリリーフ部16,18を有するものであって、アッパ側及びロア側の軸受メタル12,14の各クラッシリリーフ部16,18内において、異物排出油溝20,22を設ける。
【選択図】図1

Description

本発明は、エンジン内に使用されるコネクティングロッド軸受に関する。
特許文献1において、軸受部内の異物を好適に排出することのできるクランク軸受が提案されている(従来例1)。
このクランク軸受は、半円状のアッパ軸受メタル及びロア軸受メタルの組み合わせを通じてクランクジャーナルを回転可能に支持するためのものであって、図7に示すように、各軸受メタルの端部の内周面115,123には、クラッシリリーフ部118,124及び面取り部119,126が形成されている。アッパ軸受メタルの内周面115には、同軸受メタルの一方の端面116から他方の端面116まで周方向に沿って給油溝113が形成されている。そして、給油溝113の開口面113oにおいて最大直径を有する仮想円Coの面積を、クラッシリリーフ部118,124と面取り部119,126とクランクジャーナル外周面141oとにより囲まれて形成されるリリーフ通路R5において最大直径を有する仮想円Crの面積よりも大きく設定し且つ仮想円Crの面積を「0」よりも大きく設定している。
また、特許文献2において、軸受本体の充分な強度と油膜形成能力とを確保しつつ、種々の粒径の異物を軸受本体外へ確実に排出するようにしたすべり軸受が提案されている(従来例2)。
このすべり軸受においては、図8に示すように、油を介してクランクシャフト201を回転自在に支持する軸受本体204は、クランクシャフト201からの荷重を受ける荷重部位B1と同荷重を受けない非荷重部位C1,D1とからなる。軸受本体204の内面には、軸方向に延びる複数条の異物排出溝205,206,207,208が形成され、ここから油中に含有される異物209が排出される。複数条の異物排出溝205〜208は、軸受本体204内面の非荷重部位C1に形成されている。クランクシャフト201と軸受本体204との間において、非荷重部位C1からクランクシャフト201の回転方向A1前方の荷重部位B1へ向けて漸減する間隙に応じて、上記異物排出溝205〜208の断面積が荷重部位B1へ向けて漸減している。
さらに、特許文献3において、マルチボーリング加工に基づく油のリークを防止すること、及び軸受への給油量を低減することという利点を維持しつつ、異物の排出を効果的に行なうことができるすべり軸受が提案されている(従来例3)。
このすべり軸受においては、図9に示すように、上半割軸受メタル302の主軸の回転先方向の端部内側、及びこの端部内側と対面する下半割軸受メタル303の端部内側にC0.15mm〜C0.4mmの面取面積と同じ面積となるような切欠305,307を形成しているで、油孔から半割軸受メタル302,303に形成される油溝304内に供給される油によって流れてきた異物を速やかに切欠305,307からすべり軸受の外部に排出することができる。
特開2005−069283号公報 特開平05−202936号公報 特開2008−082355号公報
ところで、コネクティングロッド軸受は、クランクジャーナル、即ちクランク軸受を経由してオイルが供給されるため、潤滑油量が少なくクランク軸受に比較して異物に対する感度が高い。
そこで、各エンジン部品の製造過程及び組み付け工程で取り込まれた異物がコネクティングロッド軸受にオイルと共に流入した際、早期に軸受の摺動面から排出されることが望まれる。
このような要望があるのは、(1)クランクシャフトピンの油孔から出た異物がコネクティングロッド軸受の摺動面から早期に排出されずに周回するため、異物により大きく深い傷が摺動面に発生すること、及び(2)異物傷を起点として傷の周囲が盛り上がりその部分がクランクシャフトピンと接触することにより油膜切れが生じ、最終的に温度上昇から焼付に至ることに起因している。
しかし、細溝や部分溝などのこれまでに見られる技術において、異物が早期にしかも確実に排出されるコネクティングロッド軸受の構造は見当たらないのが実情である。
本発明は、上記実情に鑑みなされたもので、異物が早期にしかも確実に排出しうるコネクティングロッド軸受の提供を目的とする。
上記目的を達成するため、本発明にかかるコネクティングロッド軸受は、クランクシャフトピンとコネクティングロッドの大端部との間に取り付けられ、半円状の第1及び第2の軸受メタルを組み合わせてなり、各軸受メタルの軸受摺動面にクラッシリリーフ部を有するコネクティングロッド軸受であって、前記第1及び第2の軸受メタルの少なくとも一方の前記クラッシリリーフ部内において、異物排出用の油溝が設けられている。
また、上記コネクティングロッド軸受において、前記油溝は、前記クランクシャフトピンの摺動方向に対して直角方向に形成されている。
さらに、上記コネクティングロッド軸受において、前記油溝の幅W及び深さDは、以下のように設定されている。
0.5mm≦W≦1.5mm
0.1mm≦D≦0.15mm
このような寸法諸元としたのは、異物のサイズはφ0.10mm×t0.15mm以下であることが多いことから、溝幅Wが0.5mm及び溝深さDが0.1mm未満では不十分である一方、溝幅Wが1.0mm及び溝深さがD0.15mmを超えると油溝からのオイル漏れが多くなり、油圧が低下するからである。
本発明によると、異物が早期にしかも確実に排出できるコネクティングロッド軸受の提供が可能となる。
本発明にかかるコネクティングロッド軸受は、クランクシャフトピンとコネクティングロッドの大端部との間に取り付けられるものであって、クラッシリリーフ部から合わせ部の間で異物を積極的に排出する油溝(以下、「異物排出油溝」という。)を形成したことを骨子としている。
具体的には、このコネクティングロッド軸受は、半円状のアッパ側及びロア側の軸受メタルを組み合わせてなり、各軸受メタルの軸受摺動面の端部にクラッシリリーフ部を有する。
そして、アッパ側及びロア側の軸受メタルの少なくとも一方のクラッシリリーフ部内において(クラッシリリーフ部から合わせ部の間に)、上記の異物排出油溝が設けられる。この異物排出油溝は、クランクシャフトピンの摺動方向に対して直角方向に形成される。
異物排出油溝の寸法諸元は、異物のサイズはφ0.10mm×t0.15mm以下であることが多く、溝幅Wが0.5mm及び溝深さDが0.1mm未満では不十分である一方、溝幅Wが1.0mm及び溝深さがD0.15mmを超えると異物排出油溝からのオイル漏れが多くなり、油圧が低下することに鑑み、幅W及び深さDが以下のように設定される。
0.5mm≦W≦1.5mm
0.1mm≦D≦0.15mm
以下、具体的な実施例について説明する。
<実施例1>
図1は本発明の実施例1にかかるコネクティングロッド軸受10の構成を示す断面図、図2は図1のA―A線に沿う拡大断面図である。なお、図1においては、コネクティングロッド軸受10をその軸受摺動面側(内周面側)から視た状態が示されている。
図1及び図2を参照して、本実施例1のコネクティングロッド軸受10は、アッパ側及びロア側の軸受メタル12,14の各クラッシリリーフ部16,18内に、上記異物排出油溝20,22がクランクシャフトピンの摺動方向24に対して直角に形成されている。
各クラッシリリーフ部16,18は、長さが3mm〜5mmに設定されており、深さが50μm〜100μmに設定されている。
異物排出油溝20,22は、プレス型及びバイトなどの機械加工又は放電加工にて形成される。この異物排出油溝20,22においては、幅が0.5mmに設定されていると共に深さが0.15mmに設定されている。
図3は異物排出油溝20,22の形成位置を示す図である。
図3を参照して、上記異物排出油溝20,22は、各々が属する軸受メタル12,14内でのクランクシャフトピンの回転方向30,32の下流側に配置されている。具体的には、アッパ側の軸受メタル12の異物排出油溝20は、図3において楕円で囲むa領域に形成される一方、ロア側の軸受メタル14の異物排出油溝22は、図3において楕円で囲むb領域に形成される。
換言すると、アッパ側及びロア側の軸受メタル12,14の各異物排出油溝20,22は、半割り線34を挟んで左右方向に離間して配置されている。
<実施例2>
図4は本発明の実施例2にかかるコネクティングロッド軸受10の構成を示す断面図である。この図においては、コネクティングロッド軸受10をその軸受摺動面側(内周面側)から視た状態が示されている。
図4を参照して、本実施例2のコネクティングロッド軸受10では、アッパ側の軸受メタル12のクラッシリリーフ部16内に、異物排出油溝20ではなく、異物をクラッシリリーフ部16に取り込むための案内溝40がクランクシャフトピンの摺動方向24と同じ向きに形成されており、その他の構成は実施例1と同様である。
案内溝40の寸法諸元は、幅が1mm〜5mmに設定され、深さが150μmに設定され、長さが3mm〜5mmに設定されている。
図5は異物排出油溝22及び案内溝40の形成位置を示す図である。
図5を参照して、異物排出溝22は、実施例1と同様に、これが属するロア側の軸受メタル14内でのクランクシャフトピンの回転方向32の下流側のb領域に配置されている。
一方、案内溝40は、これが属するアッパ側の軸受メタル12内のクランクシャフトピンの回転方向30の上流側に形成されている。具体的には、この案内溝40は、図5において矢印Dで示す位置に形成される。
換言すると、アッパ側の軸受メタル12の案内溝40とロア側の軸受メタル14の異物排出油溝22とは、コネクティングロッド軸受10の半割り線34を挟んで同じ側(図5において右側)において対向している。
ここで、上述した実施例による作用・効果について述べる。
表1は、L4(2.0l)ガソリンエンジンを用いてφ0.6mmのFe系異物を意図的に油路の途中に入れ、4000rpmでのモータリング試験を行なった後の軸受摺動面の損傷を示したものである。なお、比較例は、特に図示していないが、アッパ側及びロア側の軸受メタル12,14の各クラッシリリーフ部16,18内には異物排出油溝20,22は形成されていない。
Figure 2010121719
表1から明らかなように、異物排出油溝がない比較例では、4気筒中2気筒に異物による焼付が発生し、焼付が発生していない気筒でも深さ100μm以上の傷大が多数発生した。
これに対し、実施例1及び2では、アッパ側及びロア側の軸受メタル又はロア側の軸受メタルに異物排出油溝を設けたことにより焼付はまったく無かった。しかも、傷の深さも10μm以下と非常に浅く、良好なことが分かる。特に、実施例2では、傷の発生はほとんどなかった。
上記のように実施例で優れた効果が得られたのは、投入していた異物が、クランクシャフトピンとの隙間が大きくなるクラッシリリーフ部付近からオイルに乗って軸受面に出て、クラッシリリーフ部内に設けたクランクシャフトピンの摺動方向と直角方向の異物排出油溝を通過し、コネクティングロッド軸受の摺動面から排出され、それによって異物が周回するのを防止できたことによると考えられる。
なお、本発明は上記実施例に限定されるものではない。
上記実施例1においては、アッパ側及びロア側の軸受メタルのクラッシリリーフ部内に異物排出油溝を設けた例について記載した。しかし、本発明はそのような構成には限定されない。アッパ側の軸受メタル又はロア側の軸受メタルのクラッシリリーフ部のみに異物排出油溝を設けても、本発明の目的は十分に達成しうる。
また、上記実施例2では、ロア側の軸受メタルのクラッシリリーフ部内に異物排出油溝を設け、アッパ側の軸受メタルのクラッシリリーフ部内に案内溝を設けた例について記載した。しかし、本発明はそのような構成には限定されない。アッパ側の軸受メタルのクラッシリリーフ部内に異物排出油溝を設け、ロア側の軸受メタルのクラッシリリーフ部内に案内溝を設けてもよい。この場合、異物排出油溝及び案内溝の形成位置は図6のようになる。即ち、異物排出溝は、これが属するアッパ側の軸受メタル12内でのクランクシャフトピンの回転方向30の下流側のa領域に形成されると共に、案内溝は、これが属するロア側の軸受メタル14内のクランクシャフトピンの回転方向32の上流側の矢印Cで示す位置に形成され、それによってアッパ側の軸受メタル12の異物排出油溝とロア側の軸受メタル14の案内溝とは、コネクティングロッド軸受10の半割り線34を挟んで同じ側(図6において左側)において対向することになる。
その他、本明細書に添付の特許請求の範囲内での種々の設計変更及び修正を加えうることは勿論である。
本発明の実施例1にかかるコネクティングロッド軸受の構成を示す断面図である。 図1のA―A線に沿う拡大断面図である。 異物排出油溝の形成位置を示す図である。 本発明の実施例2にかかるコネクティングロッド軸受の構成を示す断面図である。 異物排出油溝及び案内溝の形成位置を示す図である。 実施例2の変形例にかかるコネクティングロッド軸受の異物排出油溝及び案内溝の形成位置を示す図である。 従来例1にかかるクランク軸受の構成を示す図であって、(a)は給油溝構造を示しており、(b)は要部を拡大して示している。 従来例2にかかるすべり軸受によりクランクシャフトを支持した状態を示す正面図である。 従来例3にかかるすべり軸受の切欠における異物の排出メカニズムを説明するための拡大図である。
符号の説明
10 コネクティングロッド軸受
12,14 軸受メタル
16,18 クラッシリリーフ部
20,22 異物排出油溝
40 案内溝

Claims (3)

  1. クランクシャフトピンとコネクティングロッドの大端部との間に取り付けられ、半円状の第1及び第2の軸受メタルを組み合わせてなり、各軸受メタルの軸受摺動面の端部にクラッシリリーフ部を有するコネクティングロッド軸受であって、
    前記第1及び第2の軸受メタルの少なくとも一方の前記クラッシリリーフ部内において、異物排出用の油溝が設けられていることを特徴とするコネクティングロッド軸受。
  2. 請求項1に記載のコネクティングロッド軸受において、
    前記油溝は、前記クランクシャフトピンの摺動方向に対して直角方向に形成されていることを特徴とするコネクティングロッド軸受。
  3. 請求項1又は2に記載のコネクティングロッド軸受において、
    前記油溝の幅W及び深さDは、以下のように設定されていることを特徴とするコネクティングロッド軸受。
    0.5mm≦W≦1.5mm
    0.1mm≦D≦0.15mm
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Cited By (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2013194806A (ja) * 2012-03-19 2013-09-30 Daido Metal Co Ltd 半割軸受及びすべり軸受
US20140064644A1 (en) * 2012-08-31 2014-03-06 Daido Metal Company Ltd. Connecting rod bearing

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