JP2010120354A - 筆記具の弾撥付勢構造及びその製造方法。 - Google Patents
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Abstract
【構成】 壁面を切削し切削片を傾倒することによって突部を作成し、弾撥部材の後方移動規制部とする構造において、突部として傾倒させる側を小幅としてその後方を比較的大幅とし、この大幅部分が、溝の小幅部分を形成する側部を乗り越えて傾倒させる構造。
【選択図】 図2
Description
そこで、弾撥部材が挿置される部材自身にて弾撥力移動規制を行う構造が有効である。
特許文献2に開示されているもののように、弾撥部材が挿置される部材の内方に複数の突起を形成し、弾撥部材が突起を乗り越えて挿入され、乗り越えた突起にて弾撥部材の後方移動規制するものがある。しかしながら、このような後方移動規制部である突起は、成型金型の構図上、アンダーカットと呼ばれるものに該当し、成型時に突起が潰れてしまい、狙いの突起高さを出すことが困難であるという問題があった。また、弾撥部材の乗り越え時に、突起が弾撥部材により傷つけられ、突起が潰れ、弾撥部材の弾撥力を抑えることが出来なくなるという問題があった。特に、突起を乗り越えて、弾撥部材を配置するため、弾撥部材がコイルスプリングのように径方向への変形をあまり許容しないものである場合、乗り越えのためにあまり高い突起とすることもできず、両者の係合幅は小さくなり、成型時や乗り越え時の潰れや傷が致命傷になる。
また、別の方法として、特許文献3に開示されているもののように、弾撥部材を挿入後、弾撥部材が挿置される部材の内壁面を切削曲げし、弾撥部材の後方移動規制部となる小突起を設ける製造方法がある。しかし、切削曲げ変形により、曲げ部に歪が生じ、曲げ部の強度が弱くなるため、小突起は弾撥部材の弾撥力を受けて再度変形し、弾撥部材の十分な後方移動規制とならないことがあった。
特に、小径のボールに弾撥力を付与する場合、小径のボールペンチップを先端に備える必要があるので、弾撥部材が挿置される部材の先方も小径部分となり、弾撥部材の後方移動規制とする内方突出部分とあわせて、前後に小径部分を有し、その間が大径な貫通穴となることになるので、成型上困難なアンダーカット構造となってしまい、上述の問題がより顕著であった。
特に、弾撥部材がコイルスプリングであって、ボールペンの筆記部材であるボールを直径0.5mm未満の小径ボールとして、これを前方付勢する場合、ボールが小径である為に、インキの通過する路もおのずと狭いものとなり、インキの流通や、気泡を巻き込んだ場合に、これが抜け難いことがあるが、本発明においては、突部の耐荷重が大きい為、他の弾撥付勢構造をもちいるよりも、突部の幅を狭くすることが出来る。よって、ボールペンを製造する際に行われる遠心工程において、気泡がコイルスプリングや突部にひっかかりにくくなり、脱気がスムーズに行われる。よって組立性が向上するという利点がある。
筆記部材となるボールは、ボールホルダーの内孔内に配置されるが、ボールホルダーは、内孔に切削加工や、外側よりの圧延加工などによってボールの後退規制をなす内段部を形成すると共に、ボール設置後に開口部にかしめ加工を施すなどして縮径して、ボールを先端開口部より一部突出させた状態で回転自在に抱持する。
ボールを抱持させた後に、ボールを弾撥的に前方付勢する弾撥部材にてボール後端を直接又は他部材を介して押し、非使用時にはボールをボールホルダーの先端開口部の内縁に押し付けることによって、内部からのインキ漏れを抑制する。使用時に、ボールが紙面などの被筆記面に押し付けられることによって弾撥部材が収縮してボールとボールホルダーの先端開口部の内縁との間にインキが流出できる隙間を形成して筆記に供するが、ボールを被筆記面より離すと弾撥部材が弾性的に形状回復して再度ボールがボールホルダーの先端開口部の内縁に押し付けられ、インキが流出しない状態を形成する。弾性部材がボールに対して押圧力を付与するためには、弾撥部材が後退規制されて設置される必要があり、ボールホルダー内孔あるいは、インキタンクとの接続部材の内孔に弾撥部材の後退規制部となる内方突出部を形成し、その前側に弾撥部材を設置した状態に組み立てることとなる。
このとき、弾撥部材は十分な弾撥力を弁機構の弁扞、または、ボールペンのボール、または、ノック機構の筆記体に付与する必要がある。本発明では、弾撥部材を押し縮めて各部材に十分な弾撥力を付与した状態で壁面に突部を有する。
切削、傾倒によって壁面より突出させた突部にて、弾撥部材を抑える為に、弾撥部材は壁面に近接することが望ましく、弾撥部材の後方に内方突出部と係合する為の大径部を有すると、より弾性部材の移動規制が強固にすることが出来る。
図1にて示したものは、ボールペンの筆記部材としてのボールを前方付勢するコイルスプリングについて本発明を採用した場合の一例である。即ち、インキ1及びインキの逆流を防止する高粘度流体であるフォロワー2を収容するインキタンク3、筆記部材としてのボール4を抱持するボールホルダー5、ボール4を前方付勢する弾撥部材であるコイルスプリング6、インキタンク3とボールホルダー5とを接続する筒部材7とからなるボールペン体であり、そのまま把持されて筆記に使用される以外に、外装体に収容されるリフィルと称されるものの一例である。このようなリフィルと称されるボールペンは、把持しやすい外装体に収容されると共に、外装体に繰り出し係止機構などを配することによって、ノック操作やスライド操作などの操作による繰り出し式のボールペンとすることもできる。
ボールペンチップ8を筒部材7の前側開口部7aに圧入し、ボールペンチップ8と筒部材7とが組み合わされた部材Aを得る。図4に示すように、この部材Aを、支持台9の内孔9aにボール4が下側にボールホルダー5の後端が上側を向くように設置し、筒部材7の後側開口部7bよりコイルスプリング6を挿入する。コイルスプリング6は、棒状部6aの先端がボール4の後端に接触するように配置する。
刃物先端と押圧棒の外観図である図7に示すように、刃物11は、先端側面に周状に3点に分かれた大幅刃部11aを、大幅刃部11aから直線的に縮幅して小幅になった小幅刃部11bを有しており、刃物11の先端面は側面側から中心部に向かって窪んだ窪み部11cを有している。
また、前記押圧棒10が内孔に配置され、押圧棒10と刃物11は互いに前後動自在である。また、筒部材7は内孔に刃物11の外径よりも小径の部分を有しており、径の差分の段部7dが形成されている。
図8に示すように、刃物11の挿入を進めると、刃物11の先端面が筒部材7の段部7dに当接し、大幅刃部11aから小幅刃部11bまで順次段部7dにあたり、筒部材7の段部7dを、内側に小幅部7iが、外側に大幅部7hが出来るように切削する。切削された切削片7fは刃物11の窪み部11cに沿って内側へ傾倒させられ、倒れこむ。切削片7fは外側の大幅部7hが小幅部7iを形成する側部7jを乗り越えるまで傾倒させられる。
図9に示すように、切削片が所望の位置に達した状態で刃物11の前進を止め、刃物と押圧棒を抜き、突部7cによってコイルスプリング6が固定された状態を得る。
2 フォロワー
3 インキタンク
4 ボール
5 ボールホルダー
5a 前端縁部
6 コイルスプリング
6a 棒状部
6b 巻き線部
7 筒部材
7a 前側開口部
7b 後側開口部
7c 突部
7d 段部
7e 一体接続部分
7f 切削片
7g 溝底
7h 大幅部
7i 小幅部
7j 側部
8 ボールペンチップ
9 支持台
9a 内孔
10 押圧棒
11 切削刃物
11a 大幅刃部
11b 小幅刃部
11c 窪み部
Claims (5)
- 壁部材に切削によって、貫通した切り欠き又は非貫通の溝を形成する際に、壁部材に対する一体接続部分を維持しながら切り離れた部分を傾倒させることによってできる突部にて、弾撥部材の前方又は後方への移動規制をなす筆記具の弾撥付勢構造において、前記切り離れた部分を、突部として傾倒させる側を小幅としてその後方を比較的大幅とし、この大幅部分が、前記切り欠き又は溝の小幅部分を形成する側部を乗り越えて傾倒し、切り欠き又は溝の小幅部分を形成する側部が突部の戻り抑制支えとなる筆記具の弾撥付勢構造。
- 前記弾撥部材がコイルスプリングであり、このコイルスプリングがボールペンの筆記部材であるボールを前方付勢するものである請求項1に記載の弾撥付勢構造。
- 前記ボールが直径0.5mm未満の小径ボールである請求項2に記載の弾撥付勢構造。
- 筒部材の端部に切削加工にて、内壁側が小幅で、この内壁側より外側に大幅部分を有する貫通した切り欠き又は非貫通の溝を形成し、筒部材に対する一体接続部分を維持しながら、切り離れる部分の大幅部分が、前記切り欠き又は溝の小幅部分を形成する側部を乗り越えて傾倒させて内方突部として形成し、筒部材内に配置する弾撥部材に対する前方又は後方への移動規制をなす筆記具の弾撥付勢構造の製造方法。
- 前記筒部材の弾撥部材による弾撥方向部分が小径部である請求項4に記載の筆記具の弾撥付勢構造の製造方法。
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