JP2010119871A - 視覚障害および眼病の増分的補正のためのデバイス - Google Patents

視覚障害および眼病の増分的補正のためのデバイス Download PDF

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Abstract

【課題】特定の身体部分の大きさおよび/または形状を増分的に調節するデバイスおよびそれを使用する方法が提供される。
【解決手段】デバイスは、各々合成樹脂で形成される第1(34)および第2(36)の層を含む。第1の層(34)は、低融点を有する熱収縮可能な材料で形成され、第2の層(36)は、第1の層よりもはるかに高い融点を有する。エネルギーを加えた際、第1の層(34)は収縮し、第2の層(36)そしてデバイス全体を収縮方向にベンドさせる。使用時、デバイスは特定の身体部分に挿入され、エネルギーを適用することにより、身体部分を拡大、移動、リシェイプ(reshape)等させる。本発明は、特に1以上のデバイスを眼の強膜内に配置する、または縁郭の周囲の強膜に取り付けることで、遠近調節の異常の治療に有用であり、デバイスのベンド時、強膜および毛様体は、水晶体レンズから離れるように拡大する。
【選択図】図5

Description

発明の背景
発明の分野
本発明は、身体の部分(例えば、眼、組織、動脈)に埋め込み可能なデバイスおよび身体の部分の配置を調節または変更するために該デバイスを外部から操作する方法に関する。より具体的には、本発明は、該デバイスを使用することにより、強膜の曲率半径を変更し、それにより眼の機能上の構造的関係を変えることで(例えば、眼の調節能力を回復することのような)、種々の眼病を治療する。
従来技術の説明
眼が約20フィートまたはそれ以上離れた位置にある対象物を明瞭に見えるためには、対象物は眼の網膜上に焦点を合わせなければならない。これが眼の弛緩状態で起こる場合、正常視と呼ばれる。焦点が網膜より前方である場合、“近視”に分類される。他方、焦点が網膜の後方である場合、“遠視”に分類される。
焦点合わせにおけるエラーを補正するには、屈折の補正が必要とされる。これは通常は、天然の眼により、もしくは内科治療により、または外科用の屈折デバイスによってなされる。しかし、眼をある距離にある対象物に焦点が合わせた後、対象物が眼に近づいてくる場合には、対象物を見るために眼の屈折能力を変えられることが必要である。これは、遠近調節と呼ばれる天然のレンズにおける変化により物理的に達成される。
遠近調節に関わる眼の構造は、レンズの赤道上に挿入される、小帯または毛様小帯と呼ばれる繊維を含む。小帯は、強膜に取り付けられた筋肉である毛様体に接続され、強膜は、眼を取り囲んでおり、それにより小帯とともに眼のレンズを保持している。遠近調節に影響するこれらの構造による実際の機能は、いまだ大いに議論されているが、レンズの形状および位置の変化と、それによる眼の包括的な屈折力における変化を含む。
遠近調節能力の喪失、または老視は、老化によって自然に起こる。それはおよそ40歳で顕著となり、およそ70歳まで着実に悪化し、70歳の時点では遠近調節は事実上存在しない。遠近調節能力の喪失に関する理論は、レンズもしくはそのカプセルの剛直性の増加、レンズの拡大、小帯の弛緩、毛様体の老化およびこれらの組み合わせを含む。
この問題を補正をするためのありふれた方法は、遠近両用レンズを使うことである。しかし、様々な理由により、眼鏡、特に遠近両用の眼鏡を着用することを好まない人もいる。遠近両用レンズの有する1つの問題は、レンズの2つの部分を接合している個所に線が存在することである。さらに、レンズの比較的小さな部分で読書をし、レンズの異なる部分で離れた場所の対象物を見ることに慣れることが必要である。遠近両用レンズはまた、通常のレンズに存在するのと同様の欠点を有している。そのような欠点は、眼鏡が壊れやすいこと、寒い場所から入ってきた際、高温天候時に湯気で曇ること、および頻繁に洗浄することが必要なことを含む。
老視を補正するために他の処置が試みられている。例えば、米国特許第5,928,129号および第5,802,923号は、それぞれ角膜の下方のレーザ除去による“二焦点様”の屈折補正を開示している。
強膜拡大バンドにより(米国特許第5,489,299号)、または配置時間で調節可能なバンドにより(米国特許第5,354,331号)、毛様体周辺で強膜の径を拡大することで老眼の人の遠近調節能力を取り戻すことが試みられている。酵素、熱または放射線により、毛様体をレンズに接続する小帯を短縮したり、毛様体を外科手術により再配置する方法もある。
角膜で使用される調節可能な眼の屈折デバイスもまた、開発されている。そのような調節可能なデバイスは、配置時間で調節可能なものを含む。例えば、米国特許第5,681,869号は、必要とされる屈折補正を得るのに十分な量で角膜中に注入されるポリエチレンオキサイドゲルを開示している。さらに、米国特許第5,489,299号は、配置時間を設定し、バンドの長さを測定することで老視を治療する、長さ調節可能な強膜拡大バンドを開示している。米国特許第5,919,228号は、形状記憶金属からなり、角膜への挿入した際ある温度に達すると、予め印加された形状となり、それにより角膜の形状を変える角膜リングを開示している。
他の従来技術のデバイスは、配置後、必要な場合には部分修正のため、さらに外科手術が必要なものを含む。例えば、米国特許第5,855,604号は、角膜間質内に配置する中空のデバイスを開示している。このデバイスは、配置時間で除去されてもよい、または配置後必要に応じて外科手術により除去もしくは追加してもよい多数のストランドを含む。
前述した各従来技術の手法は、疾患のある特定段階においてのみ老視を修正するので、全く十分ではない。したがって、病気の悪化に応じて、処置を繰り返すことが必要であり、さもなければ処置を拡大することが必要である。また、調節可能なデバイスの場合では、所望の部分修正をするために、追加の外科手術が必要である。これは、次に実施する処置のごとに、眼に対して過度のリスクを有する。
発明の要約
本発明は、概して1回の外科手術でデバイスを埋め込むことができ、外部から適用されるエネルギーにより、必要に応じて連続した増分調節が可能なデバイスおよび該デバイスを用いた方法を与える。
より詳細には、本発明のデバイスは、合成樹脂で形成される第1の収縮する層と、合成樹脂で形成され、該第1の層に取り付けられる第2のベンドする層と、を含む。該第1の収縮する層には、デバイスに適用されるエネルギーの散逸を助ける第3のバリア層を随意に取り付けることができる。
好ましくは、デバイスは、エネルギー(例えば、レーザエネルギー)を適用した際に、第1の層が収縮し、または融解して収縮し、それにより第2の層が引っ張られて、特定の方向へのデバイスのベンドを与える。第2の層は、第1の層よりも高い融点(および多くの場合、より低いメルトインデックス)を有するので、この工程中に実質的に収縮することがない。
本発明の方法によれば、デバイスは、大きさまたは形状が変えられる身体の部分(例えば、眼)の内部に配置される。デバイスが挿入されると、該デバイスにエネルギーが(好ましくは外部から)適用され、前述したようにデバイスをベンドさせる。デバイスがベンドすると、該デバイスの周囲にある身体の部分が、同様に拡大または移動する。
デバイスにエネルギーを適用した後、本発明の方法を用いる所望の処置に応じて、十分な拡大または移動が起こったことを確認するために測定を行う。さらなる拡大または移動が必要な場合、デバイスにさらにエネルギーを適用し、再度測定を実施する。前述した手順は、所望の結果が得られるまで必要に応じて何回でも繰り返すことができる。さらに、本方法は、さらなる調節が必要になった際に、デバイスの挿入後、長期にわたって繰り返すことができる。前述したデバイスおよび方法は、老視、遠視、緑内障、および高眼圧症のような眼病の治療に特に有用である。
(項目1)
身体の部分の大きさまたは形状を変える方法であって、
上記身体の部分に、あるメルトインデックスを有する第1の層と、上記第1の層に隣接しており、上記第1の層のメルトインデックスより低いメルトインデックスを有する第2の層と、を含むデバイスを取り付ける工程と、
上記第1の層を収縮させて、それにより上記デバイスをベンドさせて、上記身体の部分の大きさまたは形状を変えるのに十分な強度のエネルギーを上記デバイスに十分な時間加える工程と、を含む方法。
(項目2)
上記デバイスを取り付ける工程は、上記デバイスを上記身体の部分に挿入する工程を含む項目1に記載の方法。
(項目3)
上記身体の部分は、外側の面を含み、上記取り付ける工程は、上記外側の面に上記デバイスを取り付けることを含む項目1に記載の方法。
(項目4)
上記身体の部分は、眼である項目1に記載の方法。
(項目5)
上記眼は強膜を含み、
上記デバイスを挿入する工程より前に、上記強膜に開口部を形成する工程をさらに含み、上記デバイスを挿入する工程は、上記強膜の開口部内に上記デバイスを配置することを含む項目4に記載の方法。
(項目6)
上記眼は、前部および後部を有し、上記挿入する工程は、上記第1の層が上記前部の近くに位置し、かつ上記第2の層が上記後部の近くに位置するように、上記デバイスを上記強膜内に配置することを含む項目5に記載の方法。
(項目7)
上記エネルギーを加える工程は、上記強膜の曲率半径を増加させる項目6に記載の方法。
(項目8)
上記眼は、上記挿入する工程およびエネルギーを加える工程を実施する前に、
初期調節能力を有しており、上記強膜の曲率半径の増加は、上記眼に上記初期の調節能力よりも良好な第2の調節能力を生じさせる項目7に記載の方法。
(項目9)
上記エネルギーを加える工程の後に、上記眼の調節能力を測定する工程をさらに含む項目8に記載の方法。
(項目10)
上記強膜の曲率半径をさらに増加させて、上記調節能力をさらに改善させるために、第2の時間にわたって、上記デバイスにエネルギーを加える工程をさらに含む項目9に記載の方法。
(項目11)
上記眼は、老視、遠視、広隅角緑内障、高眼圧症からなる群から選択される病気を患っており、上記エネルギーを加える工程は、上記病気を改善させる項目4に記載の方法。
(項目12)
上記眼は、線維柱網および上記線維柱網をバイパスするための弁を含み、上記挿入する工程は、上記弁に上記デバイスを挿入することを含み、上記エネルギーを加える工程は、上記デバイスをベンドさせて、上記弁を少なくとも部分的に開放または閉止させることを含む項目4に記載の方法。
(項目13)
上記デバイスをさらにベンドさせて、上記弁をさらに開放または閉止させるために、第2の時間にわたって上記デバイスにエネルギーを加える工程をさらに含む項目12に記載の方法。
(項目14)
上記身体の部分は、通路を有する静脈および通路を有する動脈からなる群から選択され、上記挿入する工程は、上記デバイスを上記静脈または動脈の通路内に配置することを含み、上記エネルギーを加える工程は、上記デバイスに上記通路を拡張させる項目1に記載の方法。
(項目15)
上記身体の部分は、通路を有する静脈および通路を有する動脈からなる群から選択され、上記挿入する工程は、上記デバイスを上記静脈または動脈上に配置することを含み、上記エネルギーを加える工程は、上記デバイスに上記通路を部分的に閉止させる項目1に記載の方法。
(項目16)
上記身体の部分の大きさまたは形状を変えるために、上記挿入する工程の後、
少なくとも約2年間にわたって上記デバイスにエネルギーを加える工程をさらに含む項目1に記載の方法。
(項目17)
上記エネルギーを加える工程は、上記デバイスにレーザエネルギーを照射することを含む項目1に記載の方法。
(項目18)
上記レーザエネルギーは、ダイオードIRレーザおよびアルゴンレーザからなる群から選択されるレーザからのものである項目17に記載の方法。
(項目19)
上記第1の層は、少なくとも約4.5g/10分のASTM D−1238メルトインデックスを有する項目1に記載の方法。
(項目20)
上記第2の層は、約4.4g/10分未満のASTM D−1238メルトインデックスを有する項目1に記載の方法。
(項目21)
上記第1および第2の層は、ポリメチルメタクリレート、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリ塩化ビニル、ポリテトラフルオリン(polytetrafluorine)からなる群から選択される化合物で形成される項目1に記載の方法。
(項目22)
上記強膜に開口部を形成する工程は、上記強膜中に該強膜の深さの約1/3〜1/2の深さで切開部を形成することと、約3〜8mmの長さを有するポケットを形成するために上記切開部を上記強膜に沿って進行させることを含む項目5に記載の方法。
(項目23)
上記眼は、縁郭を含み、上記強膜に開口部を形成する工程は、上記強膜中の、
上記縁郭の周囲に間隔を開けて、少なくとも4つの開口部を形成することを含み、上記挿入する工程は、各開口部で実施する項目5に記載の方法。
(項目24)
身体の部分と、上記身体の部分に配置されるデバイスと、の組み合わせであり、上記デバイスは、合成樹脂を含む第1の層と、合成樹脂を含み、上記第1の層の近くにある第2の層と、を含み、上記第1の層は、少なくとも約4.5g/10分のASTM D−1238メルトインデックスを有し、上記第2の層は約4.4g/10分未満のASTM D−1238メルトインデックスを有する組み合わせ。
(項目25)
上記身体の部分は、眼である項目24に記載の組み合わせ。
(項目26)
上記眼は、開口部が形成された強膜を含み、上記デバイスは上記開口部に挿入される項目25に記載の組み合わせ。
(項目27)
上記眼は、前部および後部を含み、上記デバイスは、上記第1の層が上記前部の近くに位置し、上記第2の層が上記後部の近くに位置するように上記開口部内に配置される項目26に記載の組み合わせ。
(項目28)
上記眼は、線維柱網および上記線維柱網をバイパスするための弁を有し、上記デバイスは、上記弁内に配置される項目25に記載の組み合わせ。
(項目29)
上記身体の部分は、通路を有する静脈および通路を有する動脈からなる群から選択され、上記デバイスは、上記静脈もしくは動脈上、または上記静脈もしくは動脈の通路内に配置される項目24に記載の組み合わせ。
(項目30)
上記第1および第2の層は、ポリメチルメタクリレート、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリ塩化ビニルおよびポリテトラフルオリン(polytetrafluorine)からなる群から選択される化合物で形成される項目24に記載の組み合わせ。
(項目31)
身体の部分の大きさまたは形状を変えるのに有用なデバイスであって、上記デバイスは、合成樹脂を含む第1の層と、合成樹脂を含み、上記第1の層に取り付けられた第2の層と、を含み、上記第1の層は、少なくとも約4.5g/10分のASTM D−1238メルトインデックスを有し、上記第2の層は、約4.4g/10分未満のASTM D−1238メルトインデックスを有しているデバイス。
(項目32)
上記第1および第2の層は、ポリメチルメタクリレート、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリ塩化ビニルおよびポリテトラフルオリン(polytetrafluorine)からなる群から選択される化合物で形成される項目31に記載のデバイス。
(項目33)
上記第1の層は、第1および第2の側部を与え、上記第2の層は、上記第1の側部に取り付けられ、上記デバイスは、上記第1の層の上記第2の側部に取り付けられたバリア層をさらに含む項目31に記載のデバイス。
(項目34)
身体の部分の大きさまたは形状を変えるのに有用なデバイスであって、上記デバイスは、合成樹脂を含む第1の層と、合成樹脂を含み上記第1の層に取り付けられた第2の層と、を含み、上記第1の層は、上記第2の層のASTM D−1238メルトインデックスよりも少なくとも約2倍以上大きいASTM D−1238メルトインデックスを有するデバイス。
(項目35)
上記第1および第2の層は、ポリメチルメタクリレート、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリ塩化ビニルおよびポリテトラフルオリン(polytetrafluorine)からなる群から選択される化合物で形成される項目34に記載のデバイス。
(項目36)
上記第1の層は、第1および第2の側部を与え、上記第2の層は、上記第1の側部に取り付けられ、上記デバイスは、さらに、上記第1の層の上記第2の側部に取り付けられたバリア層を含む項目34に記載のデバイス。
(項目37)
身体の部分の大きさまたは形状を変える方法であって、
ある融点を有する第1の層と、上記第1の層の近くに位置し、上記第1の層の融点よりも高い融点を有する第2の層とを含むデバイスを上記身体の部分に取り付ける工程と、
上記第1の層を収縮させて、それにより上記デバイスをベンドさせて、上記身体の部分の大きさまたは形状を変えるのに十分な強度のエネルギーを上記デバイスに十分な時間加える工程と、を含む方法。
(項目38)
上記デバイスを取り付ける工程は、上記デバイスを上記身体の部分に挿入する工程を含む項目37に記載の方法。
(項目39)
上記身体の部分は、内側または外側の面を含み、上記取り付ける工程は、上記デバイスを上記内側または外側の面に取り付けることを含む項目37に記載の方法。
(項目40)
上記身体の部分は、眼である項目37に記載の方法。
(項目41)
上記眼は強膜を含み、
上記挿入する工程より前に、上記強膜に開口部を形成する工程をさらに含み、
上記挿入する工程は、上記強膜の開口部内に上記デバイスを配置することを含む
項目40に記載の方法。
(項目42)
上記眼は、前部および後部を有し、上記挿入する工程は、上記第1の層が上記前部の近くに位置し、かつ上記第2の層が上記後部の近くに位置するように、上記デバイスを上記強膜内に配置することを含む項目41に記載の方法。
(項目43)
上記エネルギーを加える工程は、上記強膜の曲率半径を増加させる項目42に記載の方法。
(項目44)
上記眼は、上記挿入する工程およびエネルギーを加える工程を実施する前に、初期調節能力を有しており、上記強膜の曲率半径の増加は、上記眼に上記初期の調節能力よりも良好な第2の調節能力を生じさせる項目43に記載の方法。
(項目45)
上記エネルギーを加える工程の後に、上記眼の調節能力を測定する工程をさらに含む項目44に記載の方法。
(項目46)
上記強膜の曲率半径をさらに増加させて、上記調節能力をさらに改善させるために、上記デバイスに第2の時間にわたってエネルギーを加える工程をさらに含む項目45に記載の方法。
(項目47)
上記眼は、老視、遠視、広隅角緑内障、高眼圧症からなる群から選択される病気を患っており、上記エネルギーを加える工程は、上記病気を改善させる項目40に記載の方法。
(項目48)
上記眼は、線維柱網および上記線維柱網をバイパスするための弁を含み、上記挿入する工程は、上記弁に上記デバイスを挿入することを含み、上記エネルギーを加える工程は、上記デバイスにエネルギーを加え、その結果、上記デバイスをベンドさせて、上記弁を少なくとも部分的に開放または閉止させることを含む項目40に記載の方法。
(項目49)
さらに、上記デバイスをさらにベンドさせて、上記弁をさらに開放または閉止させるために、上記デバイスに第2の時間にわたってエネルギーを加える工程を含む項目48に記載の方法。
(項目50)
上記身体の部分は、通路を有する静脈および通路を有する動脈からなる群から選択され、上記挿入する工程は、上記デバイスを上記静脈または動脈の通路内に配置することを含み、上記エネルギーを加える工程は、上記デバイスに上記通路を拡張させる項目37に記載の方法。
(項目51)
上記身体の部分は、通路を有する静脈および通路を有する動脈からなる群から選択され、上記挿入する工程は、上記デバイスを上記静脈または動脈上に配置することを含み、上記エネルギーを加える工程は、上記デバイスに上記通路を部分的に閉止させる項目37に記載の方法。
(項目52)
上記身体の部分の大きさまたは形状を変えるために、上記挿入する工程の後、
少なくとも約2年間にわたって上記デバイスにエネルギーを加える工程をさらに含む項目37に記載の方法。
(項目53)
上記エネルギーを加える工程は、上記デバイスにレーザエネルギーを照射することを含む項目37に記載の方法。
(項目54)
上記レーザエネルギーは、ダイオードIRレーザおよびアルゴンレーザからなる群から選択されるレーザからのものである項目53に記載の方法。
(項目55)
上記第1の層は、約100℃未満の融点を有する項目37に記載の方法。
(項目56)
上記第2の層は、少なくとも約45℃の融点を有する項目37に記載の方法。
(項目57)
上記第1および第2の層は、ポリメチルメタクリレート、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリ塩化ビニル、ポリテトラフルオリン(polytetrafluorine)からなる群から選択される化合物で形成される項目37に記載の方法。
(項目58)
上記強膜に開口部を形成する工程は、上記強膜中に該強膜の深さの約1/3〜1/2の深さで切開部を形成することと、約3〜8mmの長さを有するポケットを形成するために上記切開部を上記強膜に沿って進行させることを含む項目41に記載の方法。
(項目59)
上記眼は、縁郭を含み、上記強膜に開口部を形成する工程は、上記強膜中の、
上記縁郭の周囲に間隔を開けて、少なくとも4つの開口部を形成することを含み、上記挿入する工程は、各開口部で実施する項目41に記載の方法。
(項目60)
身体の部分と、上記身体の部分に配置されるデバイスと、の組み合わせであり、上記デバイスは、合成樹脂を含む第1の層と、合成樹脂を含み、上記第1の層の近くにある第2の層と、を含み、上記第2の層は、上記第1の層の融点より少なくとも約5℃以上大きい融点を有する組み合わせ。
(項目61)
上記身体の部分は、眼である項目60に記載の組み合わせ。
(項目62)
上記眼は、開口部が形成された強膜を含み、上記デバイスは上記開口部に挿入される項目61に記載の組み合わせ。
(項目63)
上記眼は、前部および後部を含み、上記デバイスは、上記第1の層が上記前部の近くに位置し、上記第2の層が上記後部の近くに位置するように上記開口部内に配置される項目62に記載の組み合わせ。
(項目64)
上記眼は、線維柱網および上記線維柱網をバイパスするための弁を有し、上記デバイスは、上記弁内に配置される項目61に記載の組み合わせ。
(項目65)
上記身体の部分は、通路を有する静脈および通路を有する動脈からなる群から選択され、上記デバイスは、上記静脈もしくは動脈の通路内に配置される項目60に記載の組み合わせ。
(項目66)
上記身体の部分は、通路を有する静脈および通路を有する動脈からなる群から選択され、上記デバイスは、上記静脈もしくは動脈の通路上に配置される項目60に記載の組み合わせ。
(項目67)
上記第1および第2の層は、ポリメチルメタクリレート、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリ塩化ビニルおよびポリテトラフルオリン(polytetrafluorine)からなる群から選択される化合物で形成される項目60に記載の組み合わせ。
(項目68)
身体の部分の大きさまたは形状を変えるのに有用なデバイスであって、上記デバイスは、合成樹脂を含む第1の層と、合成樹脂を含み上記第1の層に取り付けられた第2の層と、を含み、上記第2の層は、第1の層の融点よりも少なくとも約5℃大きい融点を有するデバイス。
(項目69)
上記第1および第2の層は、ポリメチルメタクリレート、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリ塩化ビニルおよびポリテトラフルオリン(polytetrafluorine)からなる群から選択される化合物で形成される項目68に記載のデバイス。
(項目70)
上記第1の層は、第1および第2の側部を与え、上記第2の層は、上記第1の側部に取り付けられ、上記デバイスは、上記第1の層の上記第2の側部に取り付けられたバリア層をさらに含む項目68に記載のデバイス。
眼の平面図であり、本発明の方法による外科手術時の強膜ポケットの形成を表している。 図1で形成した強膜ポケットへの本発明のデバイスの挿入を示した部分拡大図である。 図1の眼の平面図であり、本発明のデバイスが予め形成した強膜ポケットに埋め込まれている。 図3の線4−4に沿って切断した断面図であり、本発明のデバイスの断面を表しており、かつデバイスへのエネルギーの適用を表している。 図4と同様の断面図であり、デバイスにエネルギーを適用した後のデバイスおよび強膜の曲率の変化を表している。
好ましい実施形態の詳細な説明
図面を参照すると、図1には眼10が表されている。眼10は、白色で、強靭な強膜12を含む。強膜12は眼の大部分と、透明な角膜14を包んでいる。角膜14は、外側コートの前方部分を構成している。角膜14および強膜12の円形をした連結は、縁郭16を形成している。外側の眼直筋18は、眼10の運動を調節する。
眼の残りの内側の構成要素は、添付した図面に示していないが、当業者に周知である。簡潔には、眼10は、虹彩20の後方直近に位置する薄い膜状のカプセル内に天然の水晶体レンズを含む。該水晶体レンズは、眼の視軸上、瞳孔22の中心後方に保持されている。レンズは、レンズカプセル(レンズの赤道上で)および毛様体の間を延びる毛様小帯により保持されている。毛様体は、強膜12の直下(すなわち強膜のちょうど内側)に位置し、強膜12の内側の面に取り付けられている。前述した人の眼の内側での作用は、引用することにより本明細書の一部をなす米国特許第6,007,578号に記載されている。
本発明の方法によれば、強膜12内の深さ約1/3〜1/2の位置(すなわち、約280〜320μmの深さ、好ましくは約300μmの深さ)に切開部24a〜dを形成するために、解剖刀26が使用される。切開部24a〜dは、およそ毛様体の領域にわたっており、眼直筋18の付着点の近くに取り付けられている。解剖刀26を隣にある眼直筋18の付着点の方向に進行させると、この深さに強膜ポケット28a〜dが形成される。ポケット28a〜dの各内側の端部29a〜dは、それらの直近の点で、縁郭16の後方約0.5〜3.5mm、好ましくは約2mmの距離にある。本発明によるデバイス30a〜dは、その後各ポケット28a〜dに挿入される(図2参照)。各切開部24a〜dは、デバイス30a〜dが、各ポケット28a〜d内に完全に閉じ込められ、少なくとも部分的に毛様体の上に重なるように、縫合糸32(閉じられたポケット内に“隠れている”かもしれない)で閉じられる。工程のこの時点でデバイスによって生じる強膜の周方向の拡大は実質的にない。
デバイス30cは、図4〜5に縦断面で示されている。より詳細には、図示されたデバイス30cは、低融点の収縮する層34と、該収縮する層34の後方にある高融点のベンドする層36とを含む。各層34、36は、適度に湾曲しており、デバイス30の曲率が強膜12の曲率と実質的に一致するように他方と接している。さらに、図示した態様では、デバイス30a〜dは、随意の“切り込みの入った”端部33を含み、該端部33は、縫合糸によりデバイスを強膜の表面または強膜ポケット内に固定させる。
収縮する層34は、好ましくは低融点で、熱収縮可能な無害の物質で形成される。すなわち、層34は、約100℃未満、好ましくは約45〜60℃、より好ましくは約50〜55℃の融点を有する材料で形成されるべきである。ある態様において、層34は、少なくとも約4.5g/10分、好ましくは約6.3〜26.0g/10分、より好ましくは約6.3〜15.0g/10分(ASTM D−1238により定義されるように押出し圧力2.16kgおよび温度190℃において)のメルトインデックスを有する材料で形成されるべきである。層34としての使用に特に好ましい材料は、ポリメチルメタクリレート(PMMA)またはその混合物が前述した融点および/またはメルトインデックスを有するポリメチルメタクリレートまたはポリメチルメタクリレートの混合物である。収縮する層34としての使用に特に好ましいポリメチルメタクリレートは、商品名ICI 924 CL(ICI Acrylics Inc.から入手可能)で発売されている。
ベンドする層36は、好ましくは高融点で、ベンド可能であるが、熱適用時に容易に収縮しない無害の材料で形成される。すなわち、ベンドする層36は、少なくとも約45℃、好ましくは約60〜100℃、より好ましくは約70〜80℃の融点を有する材料で形成されるべきである。ある態様において、層36は、約4.4g/10分未満、好ましくは約1.1〜4.4g/10分、より好ましくは約1.1〜2.2g/10分(ASTM D−1238により定義されるように押出し圧力2.16kgおよび温度190℃において)のメルトインデックスを有する材料で形成される。収縮する層34と同様に、ベンドする層36としての使用に特に好ましい材料は、ポリメチルメタクリレート(PMMA)またはその混合物が前述した融点および/またはメルトインデックスを有するポリメチルメタクリレートまたはポリメチルメタクリレートの混合物である。ベンドする層36としての使用に特に好ましいポリメチルメタクリレートは、商品名ICI 1000 ECL(ICI Acrylics Inc.から入手可能)で発売されている。
他の態様において、収縮する層34のASTM D−1238メルトインデックスは、ベンドする層36のASTM D−1238メルトインデックスの少なくとも約2倍大きく、好ましくは少なくとも約4倍大きく、より好ましくは少なくとも約6〜26倍大きい。他の態様において、ベンドする層36の融点は、収縮する層34の融点よりも少なくとも約5℃大きく、好ましくは少なくとも約10℃大きく、より好ましくは少なくとも約20〜30℃大きい。
収縮する層34またはベンドする層36を形成するのに他の種類の材料(合成樹脂、天然樹脂およびこれらの樹脂から形成されるプラスチック類)を利用することもできる。他の好適な合成樹脂は、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリ塩化ビニル、ポリテトラフルオリンを含む。その用途に応じて、層に特定の物質を導入することもまた望ましい。そのような物質は、生理学的に許容可能な金属(例えば、チタン、金、白金、タンタル、ステンレス鋼)、セラミック類、磁器、アルミナ、シリカ、シリコンカーバイド、ガラスを含む。
特定の層の融点を変えるための化合物を添加して、収縮する層34および/またはベンドする層36の融点を変更することも好ましい。そのような化合物の具体例は、カーボンブラック、インドシアニングリーン、メチレンブルー、酸化チタンを含む。これらは特定のエネルギー波長でエネルギーを優先的に吸収する。特に好ましい態様において、収縮する層34は、材料の合計質量を100%として見た場合に、酸化チタンを約0.1〜2.0質量%、好ましくは約0.25〜0.75質量%含む。もちろん、当業者は、使用されるエネルギーを吸収する染料の種類および量は、所望される用途に応じて変えることができることを理解する。
デバイス30cは、各層を形成する材料を共押出しすることで好ましく形成されるが、溶媒、圧力、または他の物理的な方法で層を結合させて形成してもよい。ともかく、層34、36は、デバイス30cを形成するために、位置38で互いに結合する。加熱時の損傷から層34の近くにある組織を保護するために、収縮する層34の外側の面40にバリア層(図示していない)を適用することもできる。バリア層は、ベンドする層36について前述したような高融点で、ベンド可能な材料で形成すべきである。
図示した形態において、収縮する層34は、約0.125〜1.50mm、好ましくは約0.25〜0.75mmの厚さを有し、ベンドする層36は、約0.125〜1.50mm、好ましくは約0.50〜1.00mmの厚さを有する。さらに、図示したデバイスの幅は、最も幅が広い点において、約1.0〜4.0mm、好ましくは約1.5〜3.0mmである。デバイス30a〜dが湾曲している態様において、デバイスの湾曲の曲率半径は、配置される部位における大半の人の強膜の曲率と実質的に同じになるように、約7〜10mmであるべきである。最後に、デバイス30a〜dの長さは、該デバイス30a〜dが強膜28a〜dとぴったり合うように、最も長い点において、約3〜8mm、好ましくは約4.5mmであることが好ましい。
デバイス30a〜dの配置後、眼の遠近調節能力は、公知の方法(例えば、遠近調節強度を測定する、またはスティグマトスコピー(stigmatoscopy))により測定される。その後、外部からのエネルギーが、各デバイス30a〜dに適用される。層34を収縮させるのに十分な強度で適用される限り、エネルギー源は重要ではない。同時に、エネルギーは、層36が融解もしくは収縮を最小限化し、好ましくは防止し、またはデバイス30a〜dの周囲にある眼の組織の損傷を防ぐために十分に低い強度で適用すべきである。
使用されるエネルギー源の種類は、UV源、IR源、無線周波数エミッタ、熱、低電圧直流電源および低電圧高周波数電源を含む。しかし、最も好ましいエネルギー源は、眼科外科医により通常使用される種類のレーザ42である。デバイス30a〜dの調節に使用されるレーザの適用について、その素性(identity)、強度および継続時間は、当業者が容易に選択することができる。好ましいレーザは、ダイオードIR(約805nmの波長を有する)およびアルゴンレーザ(約488nmの波長を有するアルゴンブルー、約514.5nmの波長を有するアルゴングリーン、またはこれら2つの組み合わせ)を含む。しかし、以下のいずれのレーザも使用することができる:カーボンダイオード;ヘリウムネオン;ヘリウムカドミウム;アルゴンイオン;クリプトンイオン;キセノンイオン;亜酸化窒素;ヨウ素;ホルミウムドープしたイットリウム−アルミニウムガーネット;イットリウムリチウムフロライド;エキシマ;化学レーザ;調和振動;色素レーザ;窒素レーザ;ネオジム;エルビウム;ルビー;チタニウム−サファイア。これらのいずれの種類のレーザでも、半径約300〜500μmを有する位置に焦点を合わせて、通常約0.5〜5.0秒間処理する。
エネルギー処理後、さらにエネルギー処理を行う必要があるか確認するため、眼10の遠近調節能力を再度測定する。エネルギー処理を再度行う必要があるならば、前述したようにしてさらにエネルギーを適用し、遠近調節能力を再度測定して、所望の遠近調節が得られるまで必要に応じてこれらの手順を繰り返す。
図4〜5を参照すると、収縮する層34にエネルギーを適用するためのレーザ42の使用は、層34を融解させ、それにより該層34を層36から離れる方向に収縮させるか、または引っ張り、層36を層34の方向に引っ張る。この“引っ張り動作”は、デバイス30cの制御された、特定方向のベンドを生じ、強膜12をベンドさせる。層34の収縮がデバイス30cを眼から離れる方向にベンドさせると、強膜は、眼の遠近調節機構の有効性を増加するためにレンズから離れる方向に拡大する。図5の仮想線44は、エネルギー適用前の層34、36および強膜12の曲率を表している。
好ましくは、本発明によるデバイスは、従来技術のデバイスとは異なり、患者にさらに外科手術をすることなく調節することができる。したがって、時間の経過(例えば、挿入後約2〜10年)とともに老視の病態が悪化した際、患者はデバイスを挿入した外科医または利用可能なエネルギー適用装置を有する他の外科医に赴き、許容可能な遠近調節レベルが達成されるまでデバイスを調節させることができる。
層34に直接エネルギーを適用する応用では、問題(例えば、ピッチング、バブリング(bubbling)、または収縮する層34の不均整な融解)を生じる可能性があることが理解される。これらの場合、エネルギー源が収縮する層34に対してより寛容でないことを認めて、ベンドする層36にエネルギーを適用することが通常望ましい。これにより、収縮する層34に沿った、および該層34を通したより均質な熱分散が可能になり、収縮する層34での問題が最小限化され、または防止され、かつ周囲にある組織への損傷が最小限化され、または実質的に防止される。
収縮する層34にとって利用可能な収縮量は、収縮する層34を形成する材料を冷却させて、硬化させる前に、該材料を引き伸ばすことにより、製造時に増加させることができる。これにより、材料の応力エネルギーが増加し、材料の収縮量が増加する。さらに、収縮量は、材料のメルトインデックスの選択により制御することができる。
老視の治療の目的での、ほぼ矩形で、わずかに湾曲したデバイス30a〜dの眼10内での使用に関して述べたが、本発明はこれに限定されないと理解される。例えば、デバイス30の大きさおよび形状は、使用される場所の形状および位置に応じて変えることができる。すなわち、デバイス30は、特定の病気を治療するため必要に応じて、他のヒトまたは動物の身体の部分(例えば、組織、器官、静脈、動脈等)の物理的構造を変えるために設計することができる。さらに、デバイスの数個の小さな部分の代わりに、弁として作用する調節可能なベーン(vane)またはフラップを有するフラットパネルのような1個のより大きな、または環状の部分を使用することもできる。
本発明のデバイスは、静脈もしくは動脈上またはそれらの内部にデバイスを配置することで閉塞した静脈または動脈を開放するのにも使用することができる。デバイスの配置後、エネルギーを適用して特定方向のベンドを生じさせ、それにより静脈または動脈を拡大させ、または閉じさせる。好ましくは、本発明は、必要に応じて、その後さらに拡大すること、または閉じさせることができ、静脈または動脈を増分的に拡大すること、または閉じさせることが可能である。デバイスは、水頭症を患っている患者の短絡(shunt)で、脳からの液体の流量を増分的に増加または減少させるために使用することもできる。
老視の治療として本発明のデバイスについて述べたが、本発明のデバイスは、
眼を構成する構造の形状または位置、およびそれらの機能上の関係を変えることで治療可能ないずれかの眼病の治療に使用することもできる。デバイスは、線維柱帯をバイパスする眼のドレナージ弁内にも使用することができる。これは、デバイスが配置された閉止した弁を挿入することで達成される。弁の挿入後、デバイスは適用されたエネルギーにより、所望の流量レベルが得られるまで、弁を少しずつ増分的に開放または閉止する。
さらに、デバイスは、環形状のデバイスまたは部分環形状(例えば140°環)のデバイスを用いることで、近視または遠視の治療に使用することができる。この態様において、近視を治療するためのデバイスは、収縮時に角膜が“平ら”になるように、収縮する層が眼の外側に面するように角膜内に挿入される。遠視を治療するためには、収縮する層が眼の内側に面するように、デバイスを角膜内に挿入する。溶融する層へのエネルギー源として作用させるため、およびベンドを特定方向に制御するために、収縮しない層が必要である。
最後に、図示した態様では、本発明のデバイスを強膜ポケットに挿入して示したが、デバイスを治療される身体の部分の表面に取り付けることも望ましいと理解すべきである。例えば、デバイスは、強膜の外側表面に縫合することができ、または生体適合性の接着剤で接着することもできる。
実施例
本発明によるデバイスを、2つのPMMA層を共押出しすることで形成した。
第1の層は、ASTM D−1238メルトインデックスが1.1であるPMMAで形成され、カーボンブラック染料が添加されている。第2の層は、ASTM D−1238メルトインデックスが6.6であるPMMAで形成され、チタン酸化物が添加されている。以下の寸法を有する5個のデバイスを作成した。サンプル1と呼ばれる2個のサンプルは、0.33mm×0.66mm×10mmであり、サンプル2と呼ばれる2個のサンプルおよびサンプル3と呼ばれる1個のサンプルは、0.66mm×0.66mm×10mmである。
それぞれサンプル1およびサンプル2の試験片1個からなる第1の層(黒色染料が組み込まれている)にレーザエネルギーを加え、その後同じサンプル1およびサンプル2の試験片の第2の層(白色染料が組み込まれている)にエネルギーの適用を繰り返すことで複数回のダイオードレーザ処理を実施した。サンプル3では、第2の層(白色染料が組み込まれている)が随伴する第1の層(黒色染料が組み込まれている)に対して、ベンドの方向およびその長手方向における変化が記載の通りになるように、その長手方向に沿って複数回のレーザ適用を実施した。
デバイスの形状における変化が最大限になり、かつ焦点部分の異常形状が最小限になるようにレーザのパラメータを選択した。各サンプルの長さを、第1回、第3回、第5回、第7回、第9回のレーザ処置後に測定した(Vernier Callipersで)。これらの結果を表1〜3に示した。ベンドの方向は、第1の層、もしくは黒色層(Bと呼ぶ)の方向、または第2の層、もしくは白色層(Wと呼ぶ)の方向である。
Figure 2010119871
Figure 2010119871
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Claims (24)

  1. 眼の強膜に配置され、前記眼の強膜における埋め込みのために前記強膜の大きさまたは形状を変えるのに有用なデバイスであって、前記デバイスは、
    合成樹脂を含み、所定のエネルギーの付与によって引き起こされる加熱により熱収縮可能な材料から形成される第1の層と、
    合成樹脂を含み、前記第1の層に取り付けられた第2の層であって、前記第2の層は、前記第1の層のメルトインデックスとは異なるメルトインデックス前記第1の層の融点とは異なる融点とのうちの少なくとも一方を有し、前記所定のエネルギーの付与によって引き起こされる前記加熱により容易に収縮しないベンド可能な材料から形成される第2の層と、を含み、
    前記デバイス、前記第1の層及び前記第2の層は、平面図で見ると細長い形状をしており、
    前記第1の層および前記第2の層は、第1の曲率半径でベンドして、前記デバイスを前記第1の曲率半径でベンドさせ、
    前記強膜に配置した前記デバイスを前記所定のエネルギーの付与により加熱した後に、前記第1の層は、収縮し、前記第2の層を前記第1の層の側に引っ張るように作用して、前記第1の層および第2の層は、前記第1の曲率半径とは異なる第2の曲率半径でベンドして、前記デバイスが、前記第2の曲率半径でベンドして、前記強膜の大きさまたは形状を変えることを特徴とするデバイス。
  2. 前記第1および第2の層は、ポリメチルメタクリレート、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリ塩化ビニル及びポリテトラフルオリン(polytetrafluorine)並びにそれらの混合物からなる群から選択される化合物で形成される請求項1に記載のデバイス。
  3. 前記デバイスは、前記第1の層を外側、前記第2の層を内側にして凸状に、前記強膜と実質的に同じ曲率半径である前記第1の曲率半径で湾曲した状態で、外科手術で前記強膜内に埋め込まれるものであり、
    前記第1の層および前記第2の層は、それぞれ外側面及び内側面を有し、前記第1の層の前記内側面と前記第2の層の前記外側面とが互いに結合され、
    前記第2の曲率半径は、前記第1の曲率半径より大きく、
    前記デバイスは、加熱されると、実質的に強膜の曲率半径を増加させるものである請求項1又は2に記載のデバイス。
  4. 前記デバイスは、バリア層をさらに含み、前記バリア層は、前記第1の層の前記外側面に取り付けられ、前記デバイスを加熱した際に熱エネルギーの散逸を助ける請求項3に記載のデバイス。
  5. 前記バリア層は、前記デバイスを加熱した際に容易に収縮しないベンド可能な材料から形成される請求項4に記載のデバイス。
  6. 前記第1の層は、前記第2の層のメルトインデックスより大きいメルトインデックスおよび/または前記第2の層の融点よりも低い融点を有する請求項1〜5のいずれか1項に記載のデバイス。
  7. ASTM D−1238により定義されるように押出し圧力2.16kgおよび温度190℃において、前記第1の層は、少なくとも4.5g/10分のメルトインデックスを有し、前記第2の層は、4.4g/10分未満のメルトインデックスを有する請求項6に記載のデバイス。
  8. 前記第1の層は、6.3g/10分〜26.0g/10分のメルトインデックスを有し、前記第2の層は、1.1g/10分〜4.4g/10分のメルトインデックスを有する請求項7に記載のデバイス。
  9. 前記第1の層は、6.3g/10分〜15.0g/10分のメルトインデックスを有し、前記第2の層は、1.1g/10分〜2.2g/10分のメルトインデックスを有する請求項8に記載のデバイス。
  10. 前記第1の層は、前記第2の層のメルトインデックスの少なくとも2倍のメルトインデックスを有する請求項7〜9のいずれか1項に記載のデバイス。
  11. 前記第1の層は、前記第2の層のメルトインデックスの少なくとも4倍のメルトインデックスを有する請求項10に記載のデバイス。
  12. 前記第1の層は、前記第2の層のメルトインデックスの6倍〜26倍のメルトインデックスを有する請求項11に記載のデバイス。
  13. 前記第1の層は、100℃未満の融点を有し、前記第2の層は、45℃を下回らない融点を有し、前記第2の層の前記融点は、前記第1の層の融点よりも少なくとも5℃高い請求項6に記載のデバイス。
  14. 前記第1の層は、45〜60℃の融点を有し、前記第2の層は、60〜100℃の融点を有する請求項13に記載のデバイス。
  15. 前記第1の層は、50〜55℃の融点を有し、前記第2の層は、70〜80℃の融点を有する請求項14に記載のデバイス。
  16. 前記第2の層の融点は、前記第1の層の融点よりも少なくとも10℃高い請求項13〜15のいずれか1項に記載のデバイス。
  17. 前記第2の層の融点は、前記第1の層の融点よりも20℃〜30℃高い請求項16に記載のデバイス。
  18. 前記第1の層及び前記第2の層の少なくとも一方は、その融点を変えるための追加的な化合物含み、前記追加的な化合物は、カーボンブラック、インドシアニングリーン、メチレンブルー、酸化チタンを含む請求項1〜17のいずれか1項に記載のデバイス。
  19. 前記デバイスは1.0mm〜4.0mmの幅と、3mm〜8mmの長さとを有し、
    前記第1の層は、0.125m〜1.50mmの厚さを有し、前記第2の層は、0.125mm〜1.50mmの厚さを有する請求項1〜18のいずれか1項に記載のデバイス。
  20. 前記デバイスは、1.5mm〜3.0mmの幅を有し、
    前記第1の層は、0.25mm〜0.75mmの厚さを有し、前記第2の層は、0.50mm〜1.00mmの厚さを有する請求項19に記載のデバイス。
  21. 前記第1の曲率半径は、前記強膜の曲率半径と実質的に同じである、請求項1〜20のいずれか1項に記載のデバイス。
  22. 前記第1の曲率半径は、前記強膜の曲率半径と実質的に同じとなるように、7mm〜10mmである請求項21に記載のデバイス。
  23. 前記第1の層は、前記デバイスの加熱により溶融し、その後収縮するものである請求項1〜22のいずれか1項に記載のデバイス。
  24. 前記第1の層及び前記第2の層は、同一の合成樹脂を含む請求項1〜23のいずれか1項に記載のデバイス。
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