JP2010116636A - 低収縮ナイロン6短繊維の製造方法 - Google Patents
低収縮ナイロン6短繊維の製造方法 Download PDFInfo
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Abstract
【課題】 熱水等の高熱条件下においても収縮の少ない低収縮ナイロン6短繊維を製造する。
【解決手段】 ナイロン6未延伸糸を延伸した後、定長熱処理を行い、捲縮付与し、湿式弛緩熱処理を行い、さらに乾式弛緩熱処理を行い、所定長に切断することにより、沸水収縮率が2.5%以下の低収縮ナイロン6短繊維を製造する。
【選択図】 なし
【解決手段】 ナイロン6未延伸糸を延伸した後、定長熱処理を行い、捲縮付与し、湿式弛緩熱処理を行い、さらに乾式弛緩熱処理を行い、所定長に切断することにより、沸水収縮率が2.5%以下の低収縮ナイロン6短繊維を製造する。
【選択図】 なし
Description
本発明は、収縮による外観の異常が発生しにくい低収縮ナイロン6短繊維の製造方法に関する。
ポリアミド繊維は優れた強伸度特性、ソフト感、独特の風合い、適度な吸湿性などの特性を有しており、従来より汎用合成繊維として広く用いられている。その用途は、アウターやインナー等の衣料用途や、不織布とし衣料芯地として用いたり、パイル状としレンタルモップの部材として用いられる他、研磨材、抄紙用フェルト、電池セパレーター用不織布等の資材用途など非常に多岐に渡る。
しかし、ポリアミド繊維は前述の優れた特性を有するにも関わらず、ポリエステルやポリエチレン、ポリプロピレン等の他の汎用合成繊維と比較すると原料費が高いために、安価な他素材との競合の結果、比較的、特殊な用途に限定されているのが現状である。
また、ポリアミドの中でも比較的安価なナイロン6は他のポリアミド原料に比べ熱寸法変化を起こし易いので、熱寸法安定性が求められる用途ではナイロン66繊維や芳香族ポリアミド繊維が用いられている(特許文献1、2参照)。このこともナイロン6繊維の用途限定に大きく影響を与える原因の1つとなっている。
特開2005−171453号公報(特許請求の範囲)
特開平8−302523号公報(特許請求の範囲)
本発明は、かかる従来技術の課題を克服し、熱水等の高熱条件下においても収縮の少ないナイロン6繊維を提供することを目的として検討した結果、本発明に到達した。
本発明のナイロン6短繊維の製造方法は、上記目的を達成するため、次の構成を有する。すなわち、ナイロン6未延伸糸を延伸の後、定長熱処理を行い、捲縮付与し、湿式弛緩熱処理を行い、さらに乾式弛緩熱処理を行い、所定長に切断することにより、沸水収縮率が2.5%以下のナイロン6短繊維を製造することを特徴とするものである。
本発明によれば、熱水等の高熱条件下においても収縮の少ないナイロン6短繊維を製造することができる。
以下、本発明を詳細に説明する。一般にナイロン繊維には、艶消し剤として酸化チタンが用いられることが多いが、本発明におけるナイロン6チップにも酸化チタンなどを含んでいても構わない。酸化チタンを含有する場合、その含有量としては、製糸性を悪化させない観点から、0.01〜5.0重量%の範囲内が好ましく、0.03〜2.0重量%の範囲内がより好ましい。
また、用途によりヨウ化銅などの耐候剤や、銀化合物などの抗菌剤や、その他の添加剤を添加する場合もあるが、チップにはこれらを含有していても構わない。
本発明で用いるナイロン6の分子量(重合度)については、製糸性や繊維の物理特性を良好なものとする観点より、25℃における98%硫酸相対粘度(ηr)が1.8以上で4.5以下であることが好ましい。また、本発明で用いるナイロン6のアミノ末端基量は、染色性への影響を考慮し、4.0×10−5モル/g以上、6.0×10−5モル/g以下であることが好ましい。
次に、本発明において前記ポリマーを紡糸するには、口金を用いて溶融したポリマーを押し出すが、紡糸生産性の観点より、口金のホール数は40個以上3000個以下が好ましい。紡糸速度については、400m/分以上2000m/分以下が好ましく、600m/分以上1500m/分以下がより好ましい。紡糸で得られた糸条(未延伸糸トウ)は通常、引き取り缶に収納される。
紡糸の後、目的に応じて所定の延伸倍率にて延伸を行うが、その延伸倍率は2倍以上、5倍以下であることが好ましい。その延伸の後に定長熱処理を行い、ポリマー構造を固定し、収縮を抑制する。その加熱方法は、蒸気や、温水や、加熱ロールへの接触など、いずれの方法であっても構わない。その温度は140℃以上210℃以下が好ましく、150℃以上190℃以下がより好ましい。
延伸、定長熱処理の後には、押込み式クリンパー等の通常の手段により捲縮を付与し、その直後に湿式弛緩熱処理を行うことにより、収縮を促進させる。その湿式弛緩熱処理は、例えば、φ0.5mm以上φ10mm以下の小さな孔が多数空いた板などの多孔板から、弛緩状態で走行する捲縮トウに向けて直接蒸気を噴射する方法で行えばよい。この際に付与する蒸気の温度は100℃以上250℃以下が好ましく、105℃以上230℃以下がより好ましい。また、蒸気の付与時間としては、繊維の融着防止の観点からも付与する蒸気温度により変化するが、1秒以上60秒以下が好ましく、2秒以上30秒以下がより好ましい。
湿式熱処理の後には、ファン等の通常の送風手段により乾熱空気を弛緩状態の捲縮糸に向けて噴射すること等で、乾式弛緩熱処理を行う。この乾式弛緩熱処理を行うことにより、さらに寸法安定性を向上させる。その乾熱空気の温度は100℃以上150℃以下が好ましく、120℃以上145℃以下がより好ましい。その乾熱空気を吹き付ける時間が短すぎると十分な効果が得られず、長すぎると繊維表面が酸化劣化し黄変するため、5分以上45分以下であることが好ましく、10分以上30分以下がより好ましい。
その後、常法により所定長に切断することにより短繊維を製造する。
本発明において、捲縮付与後に行う弛緩熱処理は、上記したとおり、湿式弛緩熱処理、次いで乾式弛緩熱処理の順に行うことが必要である。その順序が逆の場合には、十分な収縮抑制効果を得ることはできない。
本発明では、上記した熱処理を行うことにより、得られるナイロン6短繊維の沸水収縮率を2.5%以下、好ましくは2.2%以下まで低減させることができる。
本発明のナイロン6短繊維を製造するに際し、生産性向上の点から平滑性を良好とし、摩擦による擦過切れを防止するために、紡糸や延伸の製糸プロセス中で油剤を付与することが好ましい。繊維に付与する油分量は、繊維重量に対し、0.2重量%以上、1.0重量%以下であることが好ましい。かかる油剤種は、通常のナイロン繊維用油剤が好適に用いられる。
本発明のナイロン6短繊維の単繊維繊度は、高次加工性を考えると、0.5dtex以上、50dtex以下であることが好ましい。また、本発明のナイロン6繊維の乾強度や乾伸度は、製糸工程や、高次加工工程での通過時の耐久性や、製品とした際の耐久性を考えると、乾強度は2cN/dtex以上であることが好ましく、乾伸度は20%以上であることが好ましい。ただし、乾伸度が高すぎると、カード通過時に繊維が伸張され、品質ムラが発生しやすいので、乾伸度は120%以下であることが好ましい。
なお、ここでいう繊度及び乾強度は、JIS 1015(化学繊維ステープル試験法)(1999年改訂)に基づいて求められるものである。
本発明のナイロン6短繊維は、押込み式クリンパー等により捲縮が付与されている。捲縮数に関しては、繊維間の絡合性を得るためには6山/25mm以上であることが好ましいが、良好な開繊性を得るためには25山/25mm以下であることが好ましい。捲縮率に関しては、6%以上、25%以下であることが好ましい。捲縮率が6%未満であると絡合性が劣り、25%を越えると開繊性が悪くなる。
本発明のポリアミド短繊維は、所定の繊維長に切断されてなるが、その際の切断長は、10mm以上、120mm以下であることが好ましい。切断長が10mm未満であると、繊維間の絡合性が悪くなり、150mmを越えると、開繊性や、工程通過性が悪くなる。
以下、本発明について実施例を挙げてさらに具体的に説明する。本実施例で用いた物性は、次のようにして測定したものである。
A.単繊維繊度、乾強度、乾伸度
JIS L 1015(化学繊維ステープル試験法))(1999年改訂)に準じて測定した。
JIS L 1015(化学繊維ステープル試験法))(1999年改訂)に準じて測定した。
B.沸水収縮率
JIS L 1015(化学繊維ステープル試験法))(1999年改訂)に準じ、98℃の熱水で測定した。
JIS L 1015(化学繊維ステープル試験法))(1999年改訂)に準じ、98℃の熱水で測定した。
(実施例1)
ナイロン6チップを用いて、437個のホール数を有する口金で溶融紡糸した。具体的には、チップを265℃の温度にて溶融させ、350g/分の吐出量をギヤポンプで計量し、口金より吐出した後、800m/分の速度で引き取り、缶に収納することで未延伸糸を得た。
ナイロン6チップを用いて、437個のホール数を有する口金で溶融紡糸した。具体的には、チップを265℃の温度にて溶融させ、350g/分の吐出量をギヤポンプで計量し、口金より吐出した後、800m/分の速度で引き取り、缶に収納することで未延伸糸を得た。
得られた未延伸糸を、100℃の蒸気により熱処理しながら、3.5倍の延伸倍率にて延伸し、延伸糸とした。この延伸糸を180℃の加熱ロールに接触させつつ走行させて定長熱処理を行い、次いで、押込み式クリンパーにより捲縮を付与した後、弛緩状態にて110℃の蒸気を5秒間付与して湿式熱処理を施した後、弛緩状態にて100℃の熱風を10分間付与して乾式熱処理を行い、長さ38mmにカットし短繊維を得た。ここで、弛緩状態での蒸気付与は、弛緩状態で走行する捲縮糸に5秒間蒸気を吹付けることにより行った。また、弛緩状態での熱風付与は、弛緩状態で走行する捲縮糸に10分間乾熱風を吹付けることにより行った。得られた短繊維の物性を測定した結果を表1に示す。
(比較例1)
延伸糸を加熱ロールによる定長熱処理を行わずに押し込み式クリンパーに供給した以外は、実施例1と同様にして短繊維を得た。得られた短繊維の物性を測定した結果を表1に示す。
延伸糸を加熱ロールによる定長熱処理を行わずに押し込み式クリンパーに供給した以外は、実施例1と同様にして短繊維を得た。得られた短繊維の物性を測定した結果を表1に示す。
(比較例2)
捲縮付与後の蒸気付与を行わなかった以外は、実施例1と同様にして短繊維を得た。得られた短繊維の物性を測定した結果を表1に示す。
捲縮付与後の蒸気付与を行わなかった以外は、実施例1と同様にして短繊維を得た。得られた短繊維の物性を測定した結果を表1に示す。
表1に示すとおり、本発明によると沸水収縮率を大幅に低減させることができた。
本発明により製造されるナイロン6短繊維は、沸水収縮率が低いことが要求される種々の用途、例えば、アウターやインナー等の衣料用途や、不織布として衣料芯地として好ましく用いることができる。また、パイル状としレンタルモップの部材として用いることや、研磨材、抄紙用フェルト、電池セパレーター用不織布等の資材用途などとしても好ましく用いることができる。
Claims (1)
- ナイロン6未延伸糸を延伸した後、定長熱処理を行い、捲縮付与し、湿式弛緩熱処理を行い、さらに乾式弛緩熱処理を行い、所定長に切断することにより、沸水収縮率が2.5%以下のナイロン6短繊維を製造することを特徴とする低収縮ナイロン6短繊維の製造方法。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2008289530A JP2010116636A (ja) | 2008-11-12 | 2008-11-12 | 低収縮ナイロン6短繊維の製造方法 |
Applications Claiming Priority (1)
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JP2008289530A JP2010116636A (ja) | 2008-11-12 | 2008-11-12 | 低収縮ナイロン6短繊維の製造方法 |
Publications (1)
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JP2010116636A true JP2010116636A (ja) | 2010-05-27 |
Family
ID=42304460
Family Applications (1)
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JP2008289530A Pending JP2010116636A (ja) | 2008-11-12 | 2008-11-12 | 低収縮ナイロン6短繊維の製造方法 |
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2008
- 2008-11-12 JP JP2008289530A patent/JP2010116636A/ja active Pending
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