JP2010111587A - Pxr活性化剤 - Google Patents

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Abstract

【課題】植物抽出物あるいは化合物を有効成分とするPXR活性化剤およびNrf2活性化剤を提供する。
【解決手段】クマザサの抽出物、コタラヒムの抽出物、ショウガの粉末およびその抽出物、並びにジンゲロール、その誘導体およびそれらの薬学的に許容される塩から選択される少なくとも1種を含有することを特徴とするPXR活性化剤。
【選択図】なし

Description

本発明は、PXR(プレグナンX受容体)活性化剤、さらに詳しくは、PXRの活性化により生体外異物代謝を担うCYP3A4(シトクロムP450 3A4)遺伝子の発現を亢進し、異物に対する解毒作用を高めることのできるPXR活性化剤に関する。また、本発明は、転写因子Nrf2(Nuclear factor E2−related factor 2)活性化剤、さらに詳しくは、生体外異物および酸化ストレスに対する生体の解毒または抗酸化防御機構に関与する酵素群の遺伝子発現を誘導する転写因子タンパク質の1つであるNrf2を活性化することによって、異物および酸化ストレスに対する解毒または抗酸化防御機構を高めることのできるNrf2活性化剤に関する。
近年、食品添加物などにより多様な化合物がヒトや動物の体内に蓄積している。これらの化合物が異物として生体内で認識されると、主な解毒臓器である肝臓で代謝される。この代謝は第一相と第二相に分かれており、それぞれ異なる酵素群で支配されている。第一相はチトクロームP450(CYP)ファミリーによる水酸化反応により異物の水溶性を高めるものである。第二相は第一相の反応物またはその他の異物にグルタチオンやグルクロン酸などの水溶性物質を抱合する反応である。これにより水溶性を高め、体外へと排出されやすくする。
第一相解毒代謝を担うCYPファミリーの中で、アイソタイプ3A4(CYP3A4)は最も肝臓に多く発現する。CYP3A4は、多くの異物との結合能を有しており、肝臓内の解毒代謝に最も寄与しているとされる(非特許文献1参照)。
異物を認識する核内受容体PXRは、その標的遺伝子の1つとしてCYP3A4遺伝子の活性を制御する。PXRは、異物を賦活物質として結合すると、RXR(Retinoid X receptor)とともに標的DNA配列であるPXRを認識し、下流遺伝子を活性化する。その主な標的遺伝子がCYP3A4であり、この結果CYP3A4の細胞内タンパク量が増加し、異物代謝を促進する。
PXRを賦活化する化合物としては、疾患の予防、治療に使用される医薬品も含まれており、これらはCYP3A4の発現を促進する。この結果薬物自身または同時に服用した薬物が代謝を受けることがあり、目的の有効濃度を得られない場合がある。またこれとは逆にグレープフルーツに含まれる成分の1つなどはCYP3A4の阻害剤として機能し、薬物代謝の遅滞を招き、薬物の血中濃度が高まり、生体に危険を齎す場合もある。このようにCYP3A4は異物代謝に重要な酵素であり、その活性状態によって疾患の治療、予防効果を大きく左右しうる。
異物に対する生体防御機構を高めておくことは、異物が引き起こす疾患を未然に予防しうるものであり、PXR賦活化物質を含有する食物を日常的に摂取することが有効であると考えられる。
PXRは異物の解毒の他に、生体内で合成される胆汁酸とも結合する。リファンピシンや西洋オトギリソウ抽出物はPXR賦活化物質であるが、胆汁分泌促進能を有することから胆汁流出障害薬として肝臓疾患の治療に使用されている。
CYP3A4は基質の水酸化により異物を代謝するが、そのままでは発癌性を有するものも存在する。このため、第二相解毒酵素であるグルタチオンSトランスフェラーゼ(GST)などにより抱合され、無毒化されて体外へ排出される必要がある。
GSTはグルタチオンを基質に付加する酵素であり、その遺伝子は転写因子Nrf2 によって支配されている。Nrf2は通常、Keap1(Kelch−like ECH−associated protein 1)タンパクと結合して細胞質に存在しており、プロテアソームにより分解を受けている。Keap1を酸化する刺激が入ると、Keap1とNrf2は解離し、Nrf2は核へ移行し、GSTなどの標的遺伝子上流のARE(anti−oxidant responsive element)を認識する。この結果GST遺伝子が活性化を受け、GST酵素の発現量が上昇することが知られている(非特許文献2参照)。
従来より知られているNrf2活性化剤、すなわちKeap1を酸化する物質は各種酸化ストレス誘導剤、親電子試薬などが知られている。フェノール性抗酸化剤も弱い酸化物質であるとされ、Nrf2を賦活化することが知られている。
Nrf2活性化剤は、第二相解毒酵素群の遺伝子発現を誘導し、発癌性物質を含む第一相解毒酵素群の代謝物を無毒化し、体外排出する。ブロッコリーに含まれるスルフォラファンはNrf2を強力に誘導する作用を有しており、また抗癌効果を齎すことが示されている。このことからNrf2活性化剤の探索開発は癌予防、もしくは抗癌剤としての利用が期待される。
酸化ストレスは体内の活性酸素量が消去量を上回った状態であり、加齢やストレスで抗酸化力が低下した状態で引き起こされる。余剰の活性酸素は脂質や糖の過酸化物の生成や、DNA損傷などを引き起こし、老化、動脈硬化、糖尿病、心臓疾患、癌の発生または増悪の原因となることが知られている。Nrf2活性化剤は、前記GSTの他、ヘムオキシゲナーゼ、ペルオキシドレドキシンなどの抗酸化酵素の遺伝子発現を誘導し、活性酸素の無毒化に寄与できる。
酸化ストレスが引き起こす疾患の治療例として、例えばアテローム性動脈硬化は、酸化されたコレステロール(酸化LDL)に対する免疫反応の結果、血管が厚くなることで引き起こされるが、抗酸化物質も治療に利用されている。またI型糖尿病は酸化ストレスによる膵臓のβ細胞の破壊が一因であり、酸化ストレスが糖尿病の発症、進行に強く関わりを持つが、抗酸化物質が改善作用を有することが知られている。これらのように酸化ストレスが原因の疾患に抗酸化剤投与もしくは抗酸化酵素の誘導が行われれば、治療や予防が可能となりうる。抗酸化酵素遺伝子発現を亢進するNrf2活性化剤は、これらの疾患予防、治療としての利用が期待される。
現段階では、酸化ストレスに対し、ビタミン類、ポリフェノールなどの抗酸化剤や、抗酸化剤を含む植物抽出物を摂取する方法が採用されている。また、これらの抗酸化剤や植物抽出物は、皮膚のシミ、シワなどの予防改善目的の外用剤としても用いられている。
以上のような従来の抗酸化物質はそれ自身が酸化されやすい性質を持つものが多く、十分な活性を誘導できない場合がある。これに対しNrf2活性化剤は遺伝子の活性化を介して抗酸化作用を誘導するという新しいメカニズムを利用するものであり、今後着目に値する。
また、Nrf2欠損マウスにおいて気道炎症が亢進すること、またNrf2活性化剤は抗炎症作用を持つ遺伝子の活性化にも寄与していることから、Nrf2活性化剤は炎症を抑制すると考えられる(非特許文献3参照)。
また、PXR活性作用を有する食品由来の天然物が探索され、タイムの抽出物などが発見されている(非特許文献4参照)。
また、Nrf2活性作用を有する食品由来の天然物が探索され、プラティア属植物の抽出物、シトラス属植物の抽出物、またはウコン抽出物などが発見されている(特許文献1参照)。一方、従来、クマザサ類、ショウガ類、桂皮酸類には、Nrf2活性化効果については全く知られていなかった。
特開2007−031315号公報 Kliewer SA.ら、Endocr Rev.、第23巻(第5号)、p.687−702、2002年 Lee JS.ら、Cancer Lett.、第224巻(第2号)、p.171−184、2005年 Rangasamy Tら、J Exp Med.、第202巻(第1号)、p.47−59、2005年 Kluth D.ら、Free Radic.Biol.Med.、第42巻(第3号)、p.315−325、2007年
本発明は、PXRまたはNrf2、若しくはPXRおよびNrf2賦活化作用を有する物質を見出すことを目的とし、該物質を有効成分とするPXR活性化剤またはNrf2活性化剤の提供を課題とする。さらに、本発明は、該物質を含有する中毒、発癌、胆汁流出障害、動脈硬化、心臓疾患、糖尿病、老化および炎症の予防および/または改善用組成物の提供を課題とする。
本発明者らは、各種植物の粉末または抽出物あるいは植物由来化合物からPXR活性化剤を鋭意探索した結果、クマザサの抽出物、コタラヒムの抽出物、ショウガの粉末およびショウガ成分のジンゲロールに上記のようなPXRおよびCYP3A4活性化作用があることを見出した。さらに、各種植物の粉末または抽出物あるいは植物由来化合物からNrf2活性化作用について、鋭意探索した結果、クマザサの抽出物、ショウガの粉末、ショウガ成分のジンゲロールおよび桂皮酸誘導体であるメトキシ桂皮酸、トランス桂皮酸、メチル桂皮酸、エチル桂皮酸に上記のようなNrf2活性化作用があることを見出した。本発明者らはさらに研究をすすめ、本発明を完成させた。
すなわち本発明は、より具体的には、
[1]クマザサの抽出物、コタラヒムの抽出物、ショウガの粉末およびその抽出物、並びにジンゲロール、その誘導体およびそれらの薬学的に許容される塩から選択される少なくとも1種を含有することを特徴とするPXR活性化剤、
[2]クマザサの抽出物、ショウガの粉末およびその抽出物、並びにジンゲロール、桂皮酸、それらの誘導体およびそれらの薬学的に許容される塩から選択される少なくとも1種を含有することを特徴とするNrf2活性化剤、
[3]桂皮酸の誘導体が、メトキシ桂皮酸、トランス桂皮酸、メチル桂皮酸およびエチル桂皮酸から選択される少なくとも1種である前記[2]に記載の活性化剤、
[4]中毒、癌および胆汁流出障害から選択される少なくとも1の予防または改善用である前記[1]に記載の活性化剤、
[5]癌、動脈硬化、心臓疾患、糖尿病、老化および炎症から選択される少なくとも1の予防または改善用である前記[2]または[3]に記載の活性化剤、
[6]クマザサの抽出物、コタラヒムの抽出物、ショウガの粉末およびその抽出物、並びにジンゲロール、その誘導体およびそれらの薬学的に許容される塩から選択される少なくとも1種を含有することを特徴とする中毒の予防または改善用組成物、
[7]クマザサの抽出物、コタラヒムの抽出物、ショウガの粉末およびその抽出物、並びにジンゲロール、桂皮酸、それらの誘導体およびそれらの薬学的に許容される塩から選択される少なくとも1種を含有することを特徴とする癌の予防または改善用組成物、
[8]クマザサの抽出物、コタラヒムの抽出物、ショウガの粉末およびその抽出物、並びにジンゲロール、その誘導体およびそれらの薬学的に許容される塩から選択される少なくとも1種を含有することを特徴とする胆汁流出障害の予防または改善用組成物、
[9]クマザサの抽出物、ショウガ抽出物、並びにジンゲロール、桂皮酸、それらの誘導体およびそれらの薬学的に許容される塩から選択される少なくとも1種を含有することを特徴とする動脈硬化の予防または改善用組成物、
[10]クマザサの抽出物、ショウガの粉末およびその抽出物、並びにジンゲロール、桂皮酸、それらの誘導体およびそれらの薬学的に許容される塩から選択される少なくとも1種を含有することを特徴とする心臓疾患の予防または改善用組成物、
[11]クマザサの抽出物、ショウガの粉末およびその抽出物、並びにジンゲロール、桂皮酸、それらの誘導体およびそれらの薬学的に許容される塩から選択される少なくとも1種を含有することを特徴とする糖尿病の予防または改善用組成物、
[12]クマザサの抽出物、ショウガの粉末およびその抽出物、並びにジンゲロール、桂皮酸、それらの誘導体およびそれらの薬学的に許容される塩から選択される少なくとも1種を含有することを特徴とする老化の予防または改善用組成物、
[13]クマザサの抽出物、ショウガの粉末およびその抽出物、並びにジンゲロール、桂皮酸、それらの誘導体およびそれらの薬学的に許容される塩から選択される少なくとも1種を含有することを特徴とする炎症の予防または改善用組成物、
[14]桂皮酸の誘導体が、メトキシ桂皮酸、トランス桂皮酸、メチル桂皮酸およびエチル桂皮酸から選択される少なくとも1種である前記[7]、[9]〜[13]のいずれかに記載の組成物、
[15]飲食用であることを特徴とする前記[6]〜[14]のいずれかに記載の組成物、および、
[16]医薬用であることを特徴とする前記[6]〜[14]のいずれかに記載の組成物、に関する。
さらに本発明は、以下に関する。
〔17〕PXR活性化剤または、中毒もしくは発癌あるいは胆汁流出障害の予防または改善用組成物を製造するためのクマザサの抽出物、コタラヒムの抽出物、ショウガの粉末およびその抽出物、並びにジンゲロール、その誘導体およびそれらの薬学的に許容される塩から選択される少なくとも1種の使用、
〔18〕Nrf2活性化剤または、酸化ストレスによる発癌、動脈硬化、心臓疾患、糖尿病、老化および炎症の予防または改善用組成物を製造するためのクマザサの抽出物、ショウガの粉末およびその抽出物、並びにジンゲロール、桂皮酸、それらの誘導体およびそれらの薬学的に許容される塩から選択される少なくとも1種の使用、
〔19〕クマザサの抽出物、コタラヒムの抽出物、ショウガの粉末およびその抽出物、ジンゲロールあるいはそれらの薬学的に許容される塩から選択される少なくとも1種を、個体(患者など)へ投与する工程を含むことを特徴とする中毒もしくは発癌あるいは胆汁流出障害の予防または改善方法、
〔20〕クマザサの抽出物、ショウガの粉末およびその抽出物、並びにジンゲロール、桂皮酸、それらの誘導体およびそれらの薬学的に許容される塩から選択される少なくとも1種を、個体(患者など)へ投与する工程を含むことを特徴とする酸化ストレスによる発癌、動脈硬化、心臓疾患、糖尿病、老化および炎症の予防または改善方法。
本発明に係る活性化剤または組成物は、PXR活性化作用を有するので、中毒、発癌、胆汁流出障害を予防または改善し得る。また本発明に係る活性化剤または組成物は、Nrf2活性化作用を有するので、中毒や酸化ストレスが原因となる諸症状に対し高い抑制効果を発揮し、各種の疾患や皮膚の老化などを防止および改善し得る。また、前記中毒などに有効な飲食品、医薬品、皮膚外用剤、化粧料を提供することができる。また、本発明に係る活性化剤または組成物は、従来の抗酸化剤のように自らが酸化され易いものではないので、従来の抗酸化剤に比べると、製剤中の安定性、効果の持続性に優れ、さらに従来の抗酸化剤のように発症する個々の症状に対して個別的に使用される一過性のものではなく、酸化ストレスを受ける部位によることなく、且つ多種多様なストレスの種類に応じて抗酸化防御機構を維持することができる。
以下に、本発明の実施の形態を詳しく説明する。
本発明は、クマザサの抽出物、コタラヒム抽出物、ショウガの粉末もしくはその抽出物またはショウガの成分であるジンゲロール、桂皮酸、それらの誘導体もしくはそれらの薬学的に許容される塩の少なくとも1種類を含有することを特徴とする。
本発明に使用される抽出物の原料となるクマザサ(Sasa veitchii)としては、山間部に野生で生息しているササなどが挙げられる。クマザサの抽出物は、全草またはその一部を用いることができるが、好ましくは葉部を抽出溶媒で抽出することによって調製できる。
本発明に使用される抽出物の原料となるコタラヒム(Salacia reticulata)はサラシア若しくはポンコランチと呼ばれるデチンムル科植物のサラシア属に属するツルの植物である。
コタラヒムの抽出物は、たとえばコタラヒムの葉、茎、花、樹皮、種子、果実、根などを乾燥したものから、抽出溶媒で抽出することによって調製される。また、これら葉、茎、花、樹皮、種子、果実、根などを乾燥したものの他、例えば、コタラ茶など茶としてすでに市販されているものを抽出材料として用いることも可能である。
本発明に使用される粉末または抽出物の原料となるショウガ(Zingiber officinale)はショウガ科に属する多年草で、葉、茎、花、種子、果実、根などの全草を用いることができるが、根茎を用いることが望ましい。また、ショウガの根茎を乾燥させた生薬を用いることもできる。粉末は、公知の方法、例えば、粉砕機などを用いて製造できる。またその成分の1つであるジンゲロール(gingerol)を用いることもできる。
ジンゲロールは式:
Figure 2010111587
(但し、式中、nは2、4、6、8または10を表す)
で表される化合物である。
ジンゲロールとしては、例えば、[4]−ジンゲロール([4]−gingerol)、[6]−ジンゲロール([6]−gingerol)、[8]−ジンゲロール([8]−gingerol)、[10]−ジンゲロール([10]−gingerol)、または[12]−ジンゲロール([12]−gingerol)などが挙げられる。
ジンゲロール誘導体としては、ジンゲロールのエステル体、エーテル体などが挙げられる。具体的には、例えば、[6]−ジンジャージオール([6]−gingerdiol)、[8]−ジンジャージオール([8]−gingerdiol)、[10]−ジンジャージオール([10]−gingerdiol)、メチル[6]−ジンジャージオール(methyl[6]−gingerdiol)、メチル[6]−ジンジャージオールジアセテート(methyl [6]−gingerdiol diacetate)、又はデヒドロジンゲロン(dehydrozingerone)などを挙げることができる。
本発明においては、それらのジンゲロールまたはその誘導体は、単独で用いることもできるし、あるいは、異なる2以上のジンゲロールまたはその誘導体を組み合わせて用いることもできる。本発明のPXRおよびNrf2活性化剤において用いられるジンゲロールとしては、好ましくは、[6]−ジンゲロール〔(S)−5−ヒドロキシ−1−(4−ヒドロキシ−3−メトキシフェニル)−3−デカノン;C17264=294.38〕である。
ジンゲロールまたはその誘導体は、化学合成によって、または天然物から抽出して精製することによって、調製することができる。あるいは、市販品を用いてもよい。化学合成は公知の方法、例えばフェルラ酸にジエチルリン酸シアニド(DEPC)を用いたアシル化による合成(N.Kato et al.,Chem.Pharm.Bull.,32(4),1679(1984))や、フェルラ酸とβ−ケトスルホキシドの反応による合成(G.Solladie et al.,J.Org.Chem.,58,2181(1993))などにより実施できる。また市販品としては、例えばジンゲロール(C1726,商品コード:16739−86;ナカライテスク株式会社)などが挙げられる。
ジンゲロールを、天然物から抽出する場合には、ジンゲロールを含有する植物の全体または一部分(例えば、全草、葉、根、根茎、茎、根皮、若しくは花など)をそのまま用いて、または簡単に加工処理(例えば、乾燥、切断、若しくは粉末化など)したもの(例えば、生薬など)を用いて抽出できる。ジンゲロールを含有する植物としては、特に限定されないが、例えばショウガ科などの植物が挙げられる。ショウガ科の植物としては、例えばショウガ属またはアルピニア属の植物が好ましい。ショウガ属の植物としては、例えば、生姜(Zingiber officinale)などが挙げられる。アルピニア属の植物としては、例えば、高良姜(Alpinia officinarum)などが挙げられる。
桂皮酸は、構造式をC65CH=CHCOOHと表される、芳香族不飽和カルボン酸に分類される有機化合物であり、IUPACでは3−フェニル−2−プロペン酸(3−phenyl−2−propenoic acid)として表され、分子量は148.16の化合物である。
桂皮酸誘導体としては、桂皮酸のエステル体またはエーテル体などが挙げられる。具体的には、例えば、メトキシ桂皮酸、トランス桂皮酸、メチル桂皮酸またはエチル桂皮酸などが挙げられる。
メトキシ桂皮酸としては、例えば、4−メトキシ桂皮酸エチル(Ethyl 4−methoxycinnamate)、4−メトキシ桂皮酸 2−エチルヘキシル(2−ethyl−hexyl 4−methoxycinnamate)、4−メトキシ桂皮酸イソペンチル(isopentyl 4−methoxycinnamate)、4−メトキシ桂皮酸イソプロピル(i−propyl 4−methoxycinnamate)、4−メトキシ桂皮酸イソアミル(i−amyl 4−methoxycinnamate)、4−メトキシ桂皮酸シクロヘキシル(cyclohexyl 4−methoxycinnamate)などが挙げられる。本発明においては、それらのメトキシ桂皮酸は、単独で用いることもできるし、あるいは、2種以上を組み合わせて用いることもできる。本発明のNrf2活性化剤において用いられるメトキシ桂皮酸としては、好ましくは、
Figure 2010111587
(式中、Meはメチル基を、Etはエチル基を示す。)
で表される4−メトキシ桂皮酸エチル〔C12143=206.24〕である。
メトキシ桂皮酸は、公知の方法、例えば、化学合成によって、または天然物から抽出して精製することによって、調製することができる。あるいは、市販品を用いてもよい。市販品としては、例えばメトキシ桂皮酸(C12143,商品コード:M1204;関東化学株式会社)などが挙げられる。
トランス桂皮酸としては、トランス桂皮酸(Trans cinnamic acid)、トランス−3−(トリフルオロメトキシ)桂皮酸(Trans−3−(Trifluoromethoxy)cinnamic acid)、トランス−4−(トリフルオロメチル)桂皮酸(Trans−4−(Trifluoromethyl)cinnamic acid)などが挙げられる。本発明においては、それらのトランス桂皮酸は、単独で用いることもできるし、あるいは、2種以上を組み合わせて用いることもできる。本発明のNrf2活性化剤において用いられるトランス桂皮酸としては、好ましくは、
Figure 2010111587
(式中、Phはフェニル基を示す。)
で表される、トランス桂皮酸〔C982=148.16〕である。
トランス桂皮酸は、公知の方法、例えば、化学合成によって、または天然物から抽出して精製することによって、調製することができる。あるいは、市販品を用いてもよい。市販品としては、例えばトランス桂皮酸(C982,商品コード:035−03412 ;和光純薬株式会社)などが挙げられる。
メチル桂皮酸としては、例えば、メチル桂皮酸(methyl cinnamate)、3−(4−ヒドロキシ−3−メトキシ)桂皮酸メチル(Methyl 3−(4−Hydroxy−3−methoxy)cinnamate)などが挙げられる。本発明においては、それらのメチル桂皮酸は、単独で用いることもできるし、あるいは、2種以上を組み合わせて用いることもできる。本発明のNrf2活性化剤において用いられるメチル桂皮酸としては、好ましくは、
Figure 2010111587
(式中、Meメチル基を、Phはフェニル基を示す。)
で表される、メチル桂皮酸〔C10102=162.19〕である。
メチル桂皮酸は、公知の方法、例えば、化学合成によって、または天然物から抽出して精製することによって、調製することができる。あるいは、市販品を用いてもよい。市販品としては、例えばメチル桂皮酸(C10102,商品コード:138−02213;和光純薬株式会社)などが挙げられる。
エチル桂皮酸としては、例えば、エチル桂皮酸(ethyl cinnamate)、3−(4−ヒドロキシ−3−メトキシ)桂皮酸メチル(Ethyl alpha−cyano−4− diethyamino Cinnamate)などが挙げられる。本発明においては、それらのエチル桂皮酸は、単独で用いることもできるし、あるいは、2種以上を組み合わせて用いることもできる。本発明のNrf2活性化剤において用いられるエチル桂皮酸としては、好ましくは、
Figure 2010111587
(式中、Etはエチル基を、Phはフェニル基を示す。)
で表される、エチル桂皮酸〔C11122=176.21〕である。
エチル桂皮酸は、公知の方法、例えば、化学合成によって、または天然物から抽出して精製することによって、調製することができる。あるいは、市販品を用いてもよい。市販品としては、例えばエチル桂皮酸(C11122,商品コード:051−00792 ;和光純薬株式会社)などが挙げられる。
桂皮酸またはその誘導体(例えば、メトキシ桂皮酸、トランス桂皮酸、メチル桂皮酸、エチル桂皮酸など)を、天然物から抽出する場合には、桂皮酸またはその誘導体を含有する植物の全体または一部分(例えば、全草、葉、根、根茎、茎、根皮、若しくは花など)をそのまま用いて、または簡単に加工処理(例えば、乾燥、切断、若しくは粉末化など)したもの(例えば、生薬など)を用いて抽出できる。桂皮酸またはその誘導体を含有する植物としては、特に限定されないが、例えばクスノキ科などの植物が挙げられる。クスノキ科の植物としては、例えばクスノキ属の植物が好ましい。クスノキ属の植物としては、例えば、肉桂(Cinnamomum Loureiri Nees)、カシア(Cinnamomum cassia Nees ex Blume)などが挙げられる。またメチル桂皮酸は種々の果実に含まれ、エチル桂皮酸はカタバミ科ゴレンシ属のスターフルーツ(Averrhoa carambola)に含まれ、これらも桂皮酸またはその誘導体を抽出する原料として使用できる。
前記のように天然物から抽出物を抽出する場合、抽出条件は一般的に植物抽出に用いられる条件ならば特に制限はない。抽出溶媒としては、例えば、水(例えば、水道水、蒸留水、精製水、冷水、温水、熱湯など、好ましくは熱湯)、または有機溶媒が挙げられる。有機溶媒としては、例えば、アルコール(例えば、メチルアルコール、エチルアルコール、n−プロピルアルコール、イソプロピルアルコール、ブチルアルコールなど)、酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸プロピル、酢酸ブチル、アセトン、メチルイソブチルケトン、石油エーテル、シクロヘキサン、四塩化炭素、トルエン、ベンゼン、ジクロロメタン、クロロホルム、エーテル、ピリジン、ポリエチレングリコール、プロピレングリコール、ブチレングリコール、またはアセトニトリルなどが挙げられる。これらの有機溶媒を単独、または適宜組み合わせ、一定の比率で混合し、更には無水または含水状態で用いることができる。好ましくは、エチルアルコール−水混合溶媒、エチルアルコール、エーテル、クロロホルム、ベンゼン、アセトン、または熱石油エーテルなどが望ましい。抽出は加熱下に行っても良い。抽出物の形態は、抽出液の形態でもよいし、溶媒を除去したものでもよい。さらに、適切な溶媒に溶解、懸濁した形態であってもよい。また、これらの抽出物には、PXRまたはNrf2活性化作用があり、PXRまたはNrf2活性化作用を失わない範囲内で脱臭、精製などの操作を加えることができる。脱臭、精製は公知の方法で行うことができる。
なお、ジンゲロールまたは桂皮酸またはそれらの誘導体には、立体異性体が存在し、本発明では、それらの任意の純粋な立体異性体またはそれらの混合物を用いることができる。
薬学的に許容される塩としては、無機酸付加塩(例えば塩酸塩、臭化水素酸塩、硫酸塩、リン酸塩など)、有機カルボン酸・スルホン酸付加塩(例えば、ギ酸塩、酢酸塩、トリフルオロ酢酸塩、マレイン酸塩、酒石酸塩、フマル酸塩、クエン酸塩、乳酸塩、メタンスルホン酸塩、ベンゼンスルホン酸塩、トルエンスルホン酸塩など)、あるいは、ナトリウム、カリウム、マグネシウム、カルシウムなどの金属塩などが挙げられる。
また本発明は、クマザサ抽出物、コタラヒム抽出物、ショウガの粉末およびその抽出物、並びにジンゲロール、その誘導体およびそれらの薬学的に許容される塩から選択される少なくとも1種を有効成分として含有することを特徴とする、中毒、発癌、また胆汁酸による胆汁流出障害の予防もしくは改善用組成物を提供する。またクマザサの抽出物、ショウガの粉末およびその抽出物、並びにジンゲロール、桂皮酸、それらの誘導体およびそれらの薬学的に許容される塩から選択される少なくとも1種を有効成分として含有することを特徴とする、酸化ストレスによる発癌、動脈硬化、心臓疾患、糖尿病、老化および炎症などの予防もしくは改善用組成物を提供する。本発明に係る組成物は、例えば、飲食用もしくは医薬用あるいは動物用が含まれる。該組成物は、「治療薬」、
「予防薬」、「治療剤」、「予防剤」、「医薬品」、「医薬組成物」、「飲食用組成物」、「飲料」、「食品」または「飼料」などと表記することもできる。
飲食品、皮膚外用剤には、上述のようなPXRまたはNrf2活性化剤が配合される。PXR、Nrf2活性化剤の形態や配合量は特に限定されるものではないが、たとえば保健機能食品(特定保健用食品、栄養機能食品)や健康食品などの飲食品、医薬品、医薬部外品などとして用いる場合、その摂取量は抽出物または化合物またはその誘導体あるいはそれらの薬学的に許容される塩として成人一人一日当たり0.1〜2000mg/kg体重、好ましくは1〜200mg/kg体重がよい。また皮膚外用剤や化粧料の場合、外用剤の全量中、乾燥固形物量として0.0005〜5重量%であることが望ましい。
また、本発明の活性化剤もしくは組成物の一つの態様としては、非ヒト動物用であり、例えば、家畜またはペットなどの愛玩動物用である。家畜やペット用の飼料やペットフードとしても使用することができ、その摂取量は抽出物または化合物またはその誘導体あるいはそれらの薬学的に許容される塩として一日当たり0.1〜2000mg/kg体重が好ましい。
本発明の活性化剤または組成物は、安全とされている投与量の範囲内において、ヒトを含む動物に対して、必要量(有効量)が投与される。薬剤の投与量は、剤型の種類、投与方法、患者の年齢や体重、患者の症状などを考慮して、最終的には医師または獣医師などの判断により適宜決定することができる。
なお、本発明における「予防」または「改善」には、完全な予防効果または改善効果を有する場合に限定されず、部分的な効果を有する場合であってもよい。
本発明の活性化剤または組成物は、生理学的に許容される担体、賦形剤、あるいは希釈剤などと混合し、医薬用または飲食用組成物として経口、あるいは非経口的に投与することができる。経口剤としては、顆粒剤、散剤、錠剤、カプセル剤、溶剤、乳剤、あるいは懸濁剤などの剤型とすることができる。非経口剤としては、注射剤、点滴剤、外用薬剤、あるいは座剤などの剤型を選択することができる。注射剤には、皮下注射剤、筋肉注射剤、静脈注射剤、動脈注射剤あるいは腹腔内注射剤などを示すことができる。外用薬剤には、経鼻投与剤、あるいは軟膏剤などを示すことができる。本発明の活性化剤または組成物は、主成分である抽出物または化合物またはその誘導体あるいはそれらの薬学的に許容される塩から選択される少なくとも1種を含むように、上記の剤型とすることができる。上記剤型は、公知の製剤技術を使用できる。
例えば、経口投与用の錠剤は、賦形剤、崩壊剤、結合剤、および滑沢剤などを加えて混合し、圧縮整形することにより製造することができる。賦形剤としては、例えば、乳糖、デンプン、あるいはマンニトールなどが挙げられる。崩壊剤としては、例えば、炭酸カルシウムやカルボキシメチルセルロースカルシウムなどが挙げられる。結合剤としては、例えば、アラビアゴム、カルボキシメチルセルロース、あるいはポリビニルピロリドンが挙げられる。滑沢剤としては、タルクやステアリン酸マグネシウムなどが挙げられる。
錠剤は、マスキングや、腸溶性製剤とするために、白糖などによる糖衣や公知のコーティングを施すことができる。コーティング剤には、例えば、エチルセルロースやポリオキシエチレングリコール、ヒドロキシプロピルメチルセルロースアセテートサクシネートなどを用いることができる。
また注射剤は、本発明に使用される抽出物または化合物またはその誘導体あるいはそれらの薬学的に許容される塩を適当な溶媒に溶解、あるいは分散剤を用いて分散媒に分散させることにより得ることができる。溶媒または分散媒の選択により、水性溶剤と油性溶剤のいずれの剤型とすることもできる。水性溶剤とするには、蒸留水、生理食塩水、あるいはリンゲル液などを用いることができる。また、例えば、サイクロデキストリンやプロピレングリコールなどの溶解補助剤などを利用することもできる。油性溶剤では、各種植物油やプロピレングリコールなどを利用できる。分散剤としては、例えばポリソルベート80などの非イオン界面活性剤やメチルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロースまたはポリビニルピロリドンなどの水溶性高分子などが挙げられる。注射剤には、必要に応じてフェノールなどの保存剤を添加することもできる。更に、注射剤中には、塩化ナトリウムやブドウ糖などの等張化剤を加えることができる。更に、注射剤には、ベンジルアルコールや塩酸プロカインなどのような無痛化剤を添加することができる。
皮膚外用剤や化粧料は、通常の化粧品や外用医薬品などの皮膚外用剤に用いられる成分、たとえば精製水、低級アルコール、多価アルコール、油性成分、粉体、界面活性剤、増粘剤、色材、防腐剤、保湿剤、香料などを本発明の効果を損なわない範囲で配合することができる。また化粧料が口腔化粧品の場合には、歯磨き粉、ジェル、洗口剤、分散液などが含まれる。また皮膚外用剤としては、例えば、皮膚に適用可能な形態、例えば、液剤、軟膏剤、クリーム剤、ゲル剤、エアゾール剤などが挙げられる。化粧料としては、例えば、ローション剤、乳液、化粧水、パック剤、洗浄料、ファンデーション、または頭皮用化粧料(トニック、リンス、シャンプー等)などが挙げられる。
本発明に係る活性化剤または組成物は、PXRを活性化して異物代謝を促進し、あるいは、Nrf2を活性化して酸化ストレスを防止し得る。異物代謝は、薬物、毒物などの異物(生体外物質)の代謝反応の総称をいうが、異物の分解や排出を促進することを含む。このため、本発明に係る活性化剤または組成物は、異物代謝や酸化ストレスに関連する、中毒、発癌、動脈硬化、心臓疾患、糖尿病、老化または炎症を予防または改善し得る。中毒としては、生体に対して毒性を持つ物質が許容量を超えて接触、吸入、服用など様々な経路により体内に取り込まれることで引き起こされる症状、疾患、または病態が挙げられる。中毒症状としては、例えば急性中毒、慢性中毒、外生中毒、内生中毒などが含まれる。発癌は、発癌物質などにより正常細胞が変異を起こし自立性増殖能をもつことが含まれる。発癌局所の癌に伴う癌細胞の浸潤、転移なども含まれる。動脈硬化としては、例えば粥状(アテローム性)動脈硬化、中膜硬化、細動脈硬化が挙げられるが、粥状動脈硬化が好ましい。心臓疾患としては、狭心症、心筋梗塞、不整脈などが挙げられる。糖尿病としては、例えば、I型糖尿病、II型糖尿病などが好ましく挙げられる。老化の代表的なものに皮膚の老化現象があり、たとえばシワの形成や弾力性の低下、色素沈着、肌理の消失、保湿機能の低下などが挙げられる。これらの皮膚の老化現象は、紫外線暴露によって生じる酸化ストレスが含まれる。炎症は気道炎症、喘息などの炎症性気管支疾患が好ましい。また、PXRは、生体内で合成される胆汁酸とも結合し、胆汁の分泌を促進し得るので、本発明のPXR活性化剤または組成物は、胆汁流出障害を予防または改善し得る。胆汁流出障害としては、胆汁鬱滞などによる肝臓障害が含まれる。
本発明の活性化剤または組成物は、本発明の目的を損なわない範囲で他の薬物と併用することができる。他の薬物としては特に限定されないが、例えば解毒剤、抗癌剤、胆汁流出障害改善薬、抗動脈硬化剤、抗糖尿病薬、心疾患治療薬、老化防止剤、抗炎症剤などが好ましく挙げられる。
解毒剤としては、例えば、ネオレバルミンなどが挙げられる。
抗癌剤としては、例えば、シスプラチン、カルボプラチンなどのプラチナ製剤;例えば、パクリタキセル、イリノテカンなどの植物アルカロイド;例えば、ゲムシタビン、フルオロウラシルなどの代謝拮抗剤;例えば、シクロホスファミド、ブスルファンなどのアルキル化剤;例えば、アクチノマイシンD、ドキソルビシンなどの抗癌性抗生物質;例えば、タモキシフェン、デキサメタゾンなどのホルモン剤、または、例えば、イマチニブ、ゲフィチニブなどの分子標的薬などが挙げられる。
胆汁流出障害改善薬としては、例えば、ウルソデオキシコール酸(ウルソ)などが挙げられる。
抗動脈硬化剤としては、例えば、プラバスタチンなどのHMG−CoA還元酵素阻害剤;例えば、ベザフィブラート、フェノフィブラートなどのフィブラート系薬剤;例えば、プロブコールなどのプロブコール製剤;または、例えばコレスチラミンなどの陰イオン交換樹脂剤などが挙げられる。
抗糖尿病薬としては、例えば、グリベンクラミド、グリメピリドなどのスルフォニルウレア剤;例えば、メトホルミン、ブフォルミンなどのビグアナイド剤;例えば、ボグリボース、アカルボース、ミグリトールなどのαグルコシダーゼ阻害薬;例えば、塩酸ピオグリタゾン、トログリタゾンなどのチアゾリジン系誘導体;または、例えば、ナテグリニド、ミチグリニドカルシウム水和物などのフェニルアラニン誘導体などが挙げられる。
心疾患治療薬としては、例えば、プロプラノロールなどのアドレナリンβ受容体遮断薬;例えば、ジルチアゼムなどのカルシウム拮抗薬;または、例えば、ニコランジルなどの冠血管拡張薬などが挙げられる。
老化防止剤としては、例えば、ビタミンE、アスタキサンチン、コエンザイムQ10などの抗酸化作用を有する成分;例えば、レチノール、大豆イソフラボンなどの細胞賦活化作用を有する成分;例えば、ビタミンC、
アスコルビン酸ナトリウム、コウジ酸、アルブチン、プラセンタエキス、エラグ酸などの美白成分などが挙げられる。
抗炎症剤としては、例えば、コルチゾール、プレドニゾロンなどのステロイド系抗炎症剤;例えば、アスピリン、イブプロフェン、インドメタシンなどの非ステロイド系抗炎症剤などが挙げられる。
また、本発明に係る活性化剤または組成物は、種々の形態の飲料、スナック類、乳製品、調味料、でんぷん加工製品、加工肉製品などあらゆる食品に適宜配合することができる。
食品としては、例えば、飲料が好ましく挙げられ、例えば、茶系飲料、清涼飲料、果実飲料、野菜飲料、発泡性飲料、乳飲料、乳酸菌飲料、またはアルコール性飲料などを挙げることができる。また、食品として、例えば、液状、固形状、粉末状の嗜好飲料類、調味料および香辛料類、もしくは調理加工食品などが挙げられ、健康食品、機能性食品、特定保健用食品、栄養補助食品などが含まれる。飲食品は好ましくは、上述の各種疾患、症状または病態の予防もしくは改善効果を有する。
また本発明は、本発明の活性化剤もしくは組成物を個体(例えば、患者など)へ投与する工程を含む、上述の各種疾患の予防または改善方法を提供する。
本発明の予防または改善方法の対象となる個体は、上述の各種疾患を発症し得る生物であれば特に制限されないが、好ましくはヒトである。
個体への投与は、一般的には、例えば、経口投与、動脈内注射、静脈内注射、皮下注射など、当業者に公知の方法により行うことができる。投与量は、患者の体重や年齢、
投与方法などにより変動するが、当業者(医師、獣医師、薬剤師など)であれば適当な投与量を適宜選択することが可能である。
さらに本発明は、PXR活性化剤またはNrf2活性化剤を製造するための、クマザサの抽出物、ショウガの粉末およびその抽出物、並びにジンゲロール、桂皮酸、それらの誘導体あるいはそれらの薬学的に許容される塩誘導体あるいはそれらの薬学的に許容される塩の使用に関する。
以下、実施例を挙げて本発明を更に具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
実施例において、略語は以下を意味する。
PXR:プレグナンX受容体(Pregnane X Receptor)
CYP3A4:シトクロムP450 3A4(cytochrome P450,family 3,subfamily A,polypeptide 4)
GSTA2:グルタチオン−S−トランスフェラーゼA2(glutathione−S−transferase, alpha type2)
SV40:シミアンウイルス40(Simian virus 40)
DMEM:ダルベッコ改変イーグル培地(Doulbecco’s modified Eagle’s Medium)
FBS:ウシ胎児血清(Fetal Bovine Serum)
PBS:リン酸緩衝生理食塩水
CMV:サイトメガロウイルス(cytomegarovirus)
HSV−TK:単純ヘルペスウイルス1型−チミジンキナーゼ(Herpes simplex virus thymidine kinase)
DMSO:ジメチルスルホキシド
tBHQ:tert−ブチルヒドロキノン(tert−butylhydroquinone)
RNA:リボ核酸(ribonucleic acid)
mRNA:メッセンジャーRNA
PCR:ポリメラーゼ連鎖反応(polymerase chain reaction)
OCT:Optimal Cutting Temperature
ALT:アラニン・アミノトランスフェラーゼ
GSH:グルタチオン
HE:ヘマトキシリン・エオシン
%は、特に明記しない場合は質量%を示す。
乾燥クマザサ葉の粉砕物2gに、水を12mL加え、沸騰させた後、これを遠心分離により固液分離し、微粒子を除くためろ液をメンブレンフィルター(Millipore,0.22μm)に通した。これにより得られた溶液は3mLであり、水抽出による収率は下記式に従い21%と算出された。
式1
抽出物の収率(%)=抽出物の質量÷抽出前の原料の質量×100
コタラヒムエキスはコタラヒム熱水抽出物を乾燥後粉末化しサイクロデキストリンを1:1で混合した商品である(シャオ株式会社製、コタラヒムエキス末CD)。コタラヒムエキスを水で溶解し10mg/mL濃度とした。
ショウガは香辛料として市販されているショウガ乾燥末を用いた(株式会社ギャバン製)。ショウガ乾燥末をDMSOで溶解し100mg/mL濃度とした。
ショウガの成分の一種である[6]−ジンゲロール(ナカライテスク株式会社製)はDMSOに100mMの濃度で溶解した。
メトキシ桂皮酸(関東化学株式会社製)およびトランス桂皮酸、メチル桂皮酸、エチル桂皮酸(和光純薬株式会社製)はDMSOに100mMの濃度で溶解した。
前記の試料のPXR活性を測定するにあたり、第一にGal4測定系によるPXR活性化能を探索した。第二に、PXR標的遺伝子であるCYP3A4の遺伝子発現作用を評価し、総合的な評価を行った。一方、Nrf2活性化能については、Nrf2標的遺伝子であるGSTA2遺伝子の活性化作用を評価した。
PXR活性化試験:
PXR活性はPXR依存的な遺伝子の転写活性(ルシフェラーゼ活性)を指標に検討した。すなわち、ヒト肝臓癌由来HepG2細胞を、8×105細胞/wellとなるよう、6穴プレートに播種し、DMEM[10%FBSを含む]中で1日培養した。Gal4のDNA結合ドメイン(Gal4−DBD)およびPXRのリガンド結合ドメイン(PXR−LBD)のキメラタンパク発現プラスミド(pGal4DBD/PXR−LBD)、Gal4応答配列(配列番号1:CGGAGGACAGTACTCCG)およびホタルルシフェラーゼ遺伝子を含むレポータープラスミド(pGal4−Luc)、およびウミシイタケルシフェラーゼ遺伝子の上流にCMVプロモーターを連結したコントロールプラスミド(pGL4.75hRluc−CMV;Promega社製)を同時に各々1μg、0.9μg、0.1μg/wellとなるようトランスフェクション試薬(FuGENE HD;Roche社製)と共に加え、前記培養した細胞にプラスミドを導入した。その後形質転換細胞をトリプシンによりはがし、細胞をPBSにて洗浄後、2×104細胞/wellとなるよう、96穴プレートに再度播種しなおした。この際、培養液を、被験物質を含むDMEM培地に交換し、さらに48時間培養した。PBSにて細胞を洗浄後、デュアルルシフェラーゼアッセイシステム(Promega社製)を用いてホタルルシフェラーゼおよびウミシイタケルシフェラーゼ活性を各々測定した。すなわち細胞溶解液で細胞を溶解し、ルシフェリンを含む基質溶液を加え、ルミノメーターにてホタルおよびウミシイタケルシフェラーゼの発光量を各々測定した。なお、PXR依存的な遺伝子の転写活性(ルシフェラーゼ活性)は以下のように定義した。
PXR依存的な遺伝子の転写活性(ルシフェラーゼ活性)=(Gal4−Lucによるホタルルシフェラーゼ活性)/(hRluc−CMVによるウミシイタケルシフェラーゼ活性)
前記実施例1、実施例2、実施例3、実施例4で取得された試料について、上記に示すPXR活性化試験を用い、ルシフェラーゼ活性を測定した。クマザサ抽出液は抽出効率21%の試料を1、4、10%の濃度で培地に添加した。コタラヒムエキス溶解物は0.2、0.5、2mg/mLの濃度で培地に添加した。ショウガ乾燥末は50、200、500μg/mLの濃度で培地に添加した。[6]−ジンゲロールは10、40、100μMの濃度で培地に添加した。コントロール(ネガティブコントロール)としてクマザサ抽出液に対しては10%水を添加した群を、コタラヒムエキスに対しては20%水を添加した群を、ショウガ乾燥末、[6]−ジンゲロールに対しては0.5%DMSOを添加した群を、また陽性対照(ポジティブコントロール)としてリファンピシン(Rifampicin;和光純薬工業株式会社製)を25μMとなるよう添加した群をそれぞれ作成した。
探索の結果、表1に示すように、クマザサ抽出液、コタラヒムエキス、ショウガ乾燥末、[6]−ジンゲロールは全てルシフェラーゼ活性を示した。なお、各ルシフェラーゼ活性値は、各試料に対するネガティブコントロールにおけるルシフェラーゼ活性を100とし、それに対する相対値で示す。
Figure 2010111587
CYP3A4活性化試験:
CYP3A4活性はCYP3A4依存的な遺伝子の転写活性(ルシフェラーゼ活性)を指標に検討した。すなわち、ヒト肝臓癌由来HepG2細胞株を、8×105細胞/wellとなるよう、6穴プレートに播種し、DMEM(10%FBSを含む)中で1日培養した。ヒトCYP3A4遺伝子のプロモーター(配列番号2および配列番号3)]およびホタルルシフェラーゼ遺伝子をpGL4.10(Promgega社製)に組み込んだレポータープラスミド(CYP3A4−Luc)、およびウミシイタケルシフェラーゼ遺伝子の上流にSV40プロモーターを連結したコントロールプラスミド(pGL4.73hRluc−SV40;Promega社製)を同時に各々1.9μg、0.1μg/wellとなるようトランスフェクション試薬(FuGENE HD;Roche社製)と共に加え、前記培養した細胞にプラスミドを導入した。その後形質転換細胞をトリプシンによりはがし、細胞をPBSにて洗浄後、2×104細胞/wellとなるよう、96穴プレートに再度播種しなおした。この際、培養液を、被験物質を含むDMEM培地に交換し、さらに48時間培養した。PBSにて細胞を洗浄後、デュアルルシフェラーゼアッセイシステム(Promega社製)を用いてホタルルシフェラーゼおよびウミシイタケルシフェラーゼ活性を各々測定した。すなわち細胞溶解液で細胞を溶解し、ルシフェリンを含む基質溶液を加え、ルミノメーターにてホタルおよびウミシイタケルシフェラーゼの発光量を各々測定した。なお、CYP3A4依存的な遺伝子の転写活性(ルシフェラーゼ活性)は以下のように定義した。
CYP3A4依存的な遺伝子の転写活性(ルシフェラーゼ活性)=(CYP3A4によるホタルルシフェラーゼ活性)/ (hRluc−SV40によるウミシイタケルシフェラーゼ活性)
前記実施例1、実施例2、実施例3、実施例4で取得された試料について、上記に示すCYP3A4活性化試験を用い、ルシフェラーゼ活性を測定した。クマザサ抽出液は抽出効率21%の試料を1、4、10%の濃度で培地に添加した。コタラヒムエキス溶解物は0.2、0.5、2mg/mLの濃度で培地に添加した。ショウガ乾燥末は50、200、500μg/mLの濃度となるよう培地に添加した。[6]−ジンゲロールは10、40、100μMの濃度で培地に添加した。コントロール(ネガティブコントロール)としてクマザサ抽出液に対しては10%水を添加した群を、コタラヒムエキスに対しては20%水を添加した群を、ショウガ抽出物、[6]−ジンゲロールに対しては0.5%DMSOを添加した群を、また陽性対照(ポジティブコントロール)としてリファンピシン(和光純薬工業株式会社製)を25μMとなるよう添加した群をそれぞれ作成した。
探索の結果、表2に示すように、クマザサ抽出液、コタラヒムエキス、ショウガ抽出物、[6]−ジンゲロールは全てルシフェラーゼ活性を示した。なお、各ルシフェラーゼ活性値は、各試料に対するネガティブコントロールにおけるルシフェラーゼ活性を100とし、それに対する相対値で示す。
Figure 2010111587
前記の2つの試験結果から、クマザサ抽出液、コタラヒムエキス、ショウガ抽出物、[6]−ジンゲロールはPXRを直接活性化し、標的遺伝子CYP3A4の発現を亢進することが確認された。
GSTA2活性化試験:
GSTA2活性はGSTA2依存的な遺伝子の転写活性(ルシフェラーゼ活性)を指標に検討した。すなわち、ヒト肝臓癌由来HepG2細胞株を、8×105細胞/wellとなるよう、6穴プレートに播種し、DMEM(10%FBSを含む)中で1日培養した。ラットGSTA2遺伝子のプロモーター(配列番号4)およびホタルルシフェラーゼ遺伝子をHSV−TK由来のTATA様プロモーターとともにpGL4.10(Promgega社製)に組み込んだレポータープラスミド(GSTA2−Luc)、およびウミシイタケルシフェラーゼ遺伝子の上流にSV40プロモーターを連結したコントロールプラスミド(pGL4.73hRluc−SV40;Promega社製)を同時に各々1.9μg、0.1μg/wellとなるようトランスフェクション試薬(FuGENE HD;Roche)と共に加え、前記培養した細胞にプラスミドを導入した。その後形質転換細胞をトリプシンによりはがし、細胞をPBSにて洗浄後、2×104細胞/wellとなるよう、96穴プレートに再度播種しなおした。この際、培養液を、被験物質を含むDMEM培地に交換し、さらに48時間培養した。PBSにて細胞を洗浄後、デュアルルシフェラーゼアッセイシステム(Promega社製)を用いてホタルルシフェラーゼおよびウミシイタケルシフェラーゼ活性を各々測定した。すなわち細胞溶解液で細胞を溶解し、ルシフェリンを含む基質溶液を加え、ルミノメーターにてホタルおよびウミシイタケルシフェラーゼの発光量を各々測定した。なお、CYP3A4依存的な遺伝子の転写活性(ルシフェラーゼ活性)は以下のように定義した。
GSTA2依存的な遺伝子の転写活性(ルシフェラーゼ活性)=(GSTA2によるホタルルシフェラーゼ活性)/(hRluc−SV40によるウミシイタケルシフェラーゼ活性)
前記実施例1、実施例3、実施例4、実施例5で取得された試料について、上記に示すGSTA2活性化試験を用い、ルシフェラーゼ活性を測定した。クマザサ抽出液は抽出効率21%の試料を1、4、10%の濃度で培地に添加した。ショウガ乾燥末は50、200、500μg/mLの濃度で培地に添加した。[6]−ジンゲロールは10、40、100μMの濃度で培地に添加した。メトキシ桂皮酸、トランス桂皮酸、メチル桂皮酸、エチル桂皮酸は各々20、50、200μMの濃度で培地に添加した。尚、メチル桂皮酸(原液濃度6.17M)は37度で融解した後、エチル桂皮酸(原液濃度5.68M)は室温の状態で、各々試験直前にDMSOで40mMとなるよう希釈し、当該濃度となるよう培地に添加した。コントロール(ネガティブコントロール)としてクマザサ抽出液に対しては10%水を添加した群を、ショウガ抽出物、[6]−ジンゲロール、メトキシ桂皮酸、トランス桂皮酸、メチル桂皮酸、エチル桂皮酸に対しては0.5%DMSOを添加した群を、また陽性対照(ポジティブコントロール)としてtBHQ(和光純薬工業株式会社製)を20μMとなるよう添加した群をそれぞれ作成した。
探索の結果、表3に示すように、クマザサ抽出液、ショウガ抽出物、[6]−ジンゲロール、メトキシ桂皮酸、トランス桂皮酸、メチル桂皮酸、エチル桂皮酸は全てルシフェラーゼ活性を示した。なお、各ルシフェラーゼ活性値は、各試料に対するネガティブコントロールにおけるルシフェラーゼ活性を100とし、それに対する相対値で示す。
Figure 2010111587
[方法]
1.クマザサ煮出し液の調整
よく洗浄したクマザサの葉を数日間、常温にて乾燥させ、ミルミキサー(TIGER社製)にて、粉末状にした。この粉末4gを耐熱瓶に入れ、超純水(ミリQ水)30mLを加えた後、オートクレーブ(121℃)にて、10分間加圧蒸沸し、いったん室温になるまで放置した。その後、濃縮目的に電子レンジ(600W,80秒を数回)で再煮沸し、粉末が浸っている程度の量まで水分を蒸発させ、50mLのシリンジに全量を移してブランジャーを押し、約8.5mLの搾出液を得た。この液をビーカーに移し、再度電子レンジにて濃縮(沈殿物が現われる飽和程度まで)濃縮した溶液約2.5mLを得た。得られた溶液を、0.45μm径のフィルター(MILLIPORE社製)を通し回収した溶液を、動物投与用のクマザサ煮出し調製液とした。
2.動物と投与方法
マウスは、5〜7週齢の雄Balb/cマウスを使用した。クマザサ煮出し調製液は、マウス体重22g当たり、50、100および200μLの容量にて腹腔内投与した。投与後、マウスより経時的に血液および臓器を採取し、各解析に供した。
3.肝臓内mRNAの変動解析
生理食塩水(以下、生食と略記する。)またはクマザサ煮出し調製液の腹腔投与2時間後にマウスを失血死させ、即座に肝臓を摘出し、細切した肝組織をRNAlater(Ambion社製)に浸漬し、4℃で一晩放置した。RNAlaterより肝組織を取り出し、RNA抽出操作までディープフリーザーにて約−135℃で冷凍保存した。トータルRNA抽出は市販キット(Promega社製)を使用して行った。ランダムヘキサマープライマーを用いて逆転写反応を行い、標的遺伝子の特異的プライマーにてリアルタイムPCRを行い、抗酸化および解毒酵素HO−1遺伝子のmRNA発現量を測定解析した。
4.肝内HO−1発現の免疫組織化学的解析
生食またはクマザサ煮出し調製液の投与(100μL/体重22g)2、6および18時間後にマウスより肝臓を摘出した。OCTコンパウンド(サクラファインテックジャパン社製)で凍結包埋し、クリオスタットにて」凍結切片を作製した。抗HO−1抗体(BIOMOL)を用いて免疫染色を行った。HO−1陽性細胞数の経時的変化を求めるために、倍率100倍で、マウス1匹あたり7視野(各群あたり3匹で合計21視野)の任意領域を顕微鏡撮影した画像を形態計測ソフトウェア(Image J;アメリカ国立衛生研究所)で測定解析した。
5.アセトアミノフェン肝毒性モデルにおけるクマザサの肝保護作用
アセトアミノフェン(以下、APAPと略記する。)のDMSO溶解液を投与量に合わせてプロピレングリコール(終濃度50%)と生食で希釈し、投与液とした。クマザサ煮出し調製液をマウス体重22gあたり100μL投与し、その2時間後にAPAP(700mg/体重kg)を腹腔内投与した。18時間経過後、マウスを失血死させ、解析用サンプルを採取した。マウス血中のALT値および肝組織内GSH量は、市販キット(ALT:和光純薬工業社製、GSH:同仁化学社製)を用いて測定した。肝病変観察のために、HE染色標本を作製し、また、HO−1の免疫染色も行った。
[結果]
1.抗酸化酵素HO−1遺伝子の発現対するクマザサ煮出し調製液の作用
Nrf−2の発現制御を受ける抗酸化酵素の遺伝子について、Nrf−2活性化能を有するクマザサ煮出し調製液投与による発現変化について検討した。クマザサ煮出し調製液投与2時間後のマウス肝臓内において、抗酸化酵素であるHO−1遺伝子の発現が生食投与のコントロールマウス肝臓に比し約10倍であることが判明した(図1)。HO−1遺伝子の発現量をクマザサ煮出し調製液の投与量について比較すると、50、100μLの投与量では、ほぼ同等の発現量であったが、200μLの投与量ではやや発現量が減少する傾向を示した。次に、HO−1の発現細胞を確認する目的でクマザサ煮出し調製液投与(100μL/体重22g)マウスの肝組織切片を作製し、HO−1の免疫染色を行った。図2左に、肝組織の免疫染色像を示す。HO−1は未処置マウスでも肝類洞壁細胞で陽性を示した(データは示していない)が、生食およびクマザサ煮出し調製液投与のマウスにおいてもHO−1陽性細胞(図2左図中の→)は肝類洞壁細胞で認められ、肝細胞が陽性となることはなかった。クマザサ煮出し調製液投与2、6、18時間後のHO−1陽性を示す類洞壁細胞は、時間経過とともに増加した(図2左図)。クマザサ煮出し調製液投与後のHO−1陽性細胞数を視野あたりの陽性領域の割合(%)について調べたところ、クマザサ煮出し調製液投与後2時間から6時間にかけて、約4倍のHO−1陽性細胞の増加が確認された(図2右図)。また、18時間後においてもHO−1陽性細胞数は多く観察され、6時間後と大差ないレベルで持続していた。
2.APAP肝障害モデルにおけるクマザサ煮出し調製液の作用
クマザサ煮出し調製液がマウス肝臓内での抗酸化作用を増強することが示唆されたため、酸化ストレスにより肝障害を誘導するAPAP肝障害マウスモデルを用いて、クマザサ煮出し調製液がこの肝障害を抑制できるかを検討した。肝障害レベルを判定するために、血中ALT値を測定した。また肝組織標本を作製して肝病変の状態を観察した。生食を投与したコントロールマウス(n=3)とクマザサ煮出し調製液を投与したマウス(n=3)は、共にALT値は正常値内であったが、生食投与後にAPAPを投与したマウス(n=7)では、ALTの平均値が7000程度まで上昇し、重度の肝障害を生じていることが示唆され、実際1匹のマウスが死亡した。一方、クマザサ煮出し調製液投与後にAPAPを投与したマウス(n=7)では、ALT値の上昇は1100程度であり、死亡マウスもなく、肝障害レベルが明らかに軽減されていることが示唆された(表4)。
Figure 2010111587
各値は、平均値±標準偏差を示す。
*は、「生食+APAP」に対し有意差(p<0.01)があることを示す。
解剖時肝臓の肉眼所見では、APAP肝障害の特徴所見である鬱血(類洞内赤血球貯留)もクマザサ煮出し調製液投与群で軽度であることが確認された。肝臓の病理組織像を図3に示した。両群のマウスともに、中心静脈周囲の壊死像(破線)が肝内に散見されたが、クマザサ煮出し調製液事前投与群(Sasa+APAP)では類洞内血液貯留(矢頭)も少なく、また壊死領域も小さかった(図3A,B)。生食事前投与群(Saline+APAPA)では肉眼的に肝うっ血が強かった(図3C;→)のに対し、クマザサ煮出し調製液事前投与群(Sasa+APAP)では肝うっ血はほぼ全てのマウスで見られなかった。本結果は、血中ALT値の結果とも一致していた。HO−1の免疫染色をすると生食事前投与群マウスの肝では、壊死領域辺縁部の肝細胞にHO−1が強発現しているのが観察された(図3E,G;→)。一方、クマザサ煮出し調製液事前投与群でも同部位でHO−1陽性肝細胞が観察されるものの明らかにその数は少なく(図3F,H;→)、APAPによる肝内酸化ストレスがクマザサ煮出し調製液投与によって、軽減されていることを示唆する所見と考えられた。
以上の結果を総括すると、クマザサ煮出し調製液は、Nrf2を活性化して肝内において特に類洞壁細胞でのHO−1を特異的に高発現させる作用を有することが明らかになった。類洞壁細胞は、種々の肝障害発症において重要な役割を担っていることはすでに知られているが、本実験においてもクマザサ煮出し調製液の前投与によって、肝内の酸化ストレス応答が活性化され、APAPによって誘導される肝障害が軽減されたものと考えられた。
以上説明したように、本発明に係る活性化剤または組成物は、PXR活性化剤として、またはNrf2活性化剤として作用し、中毒、発癌、また胆汁酸による胆汁流出障害、発癌、酸化ストレスによる動脈硬化、心臓疾患、糖尿病、老化および炎症などを予防または改善し得る。
図1は、クマザサ煮出し液投与によるマウス肝内でのHO−1遺伝子の発現を示す図である。図中、縦軸は、HO−1mRNA発現量を生食投与群に対する相対比で示す。Salineは、生食を、「Sasa veichii」はクマザサ煮出し調製液を示す。 図2は、クマザサ煮出し液投与によるマウス肝内でのHO−1発現細胞の変化を示す図である。左図は、肝組織のHO−1免疫染色像を示す。右図は、HO−1陽性細胞数を示し、縦軸は、視野あたりの陽性領域の割合(%)を示す。Salineは、生食を、「Sasa veichii」はクマザサ煮出し調製液を示す。 図3は、APAP肝障害モデルにおける肝臓の病理組織像を示す図である。図中、A,B,C,Dは、HE染色像を示し、E,FはHO−1免疫染色像を示す。Salineは、生食を、Sasaはクマザサ煮出し調製液を示す。

Claims (16)

  1. クマザサの抽出物、コタラヒムの抽出物、ショウガの粉末およびその抽出物、並びにジンゲロール、その誘導体およびそれらの薬学的に許容される塩から選択される少なくとも1種を含有することを特徴とするPXR活性化剤。
  2. クマザサの抽出物、ショウガの粉末およびその抽出物、並びにジンゲロール、桂皮酸、それらの誘導体およびそれらの薬学的に許容される塩から選択される少なくとも1種を含有することを特徴とするNrf2活性化剤。
  3. 桂皮酸の誘導体が、メトキシ桂皮酸、トランス桂皮酸、メチル桂皮酸およびエチル桂皮酸から選択される少なくとも1種である請求項2に記載の活性化剤。
  4. 中毒、癌および胆汁流出障害から選択される少なくとも1の予防または改善用である請求項1に記載の活性化剤。
  5. 癌、動脈硬化、心臓疾患、糖尿病、老化および炎症から選択される少なくとも1の予防または改善用である請求項2または3に記載の活性化剤。
  6. クマザサの抽出物、コタラヒムの抽出物、ショウガの粉末およびその抽出物、並びにジンゲロール、その誘導体およびそれらの薬学的に許容される塩から選択される少なくとも1種を含有することを特徴とする中毒の予防または改善用組成物。
  7. クマザサの抽出物、コタラヒムの抽出物、ショウガの粉末およびその抽出物、並びにジンゲロール、桂皮酸、それらの誘導体およびそれらの薬学的に許容される塩から選択される少なくとも1種を含有することを特徴とする癌の予防または改善用組成物。
  8. クマザサの抽出物、コタラヒムの抽出物、ショウガの粉末およびその抽出物、並びにジンゲロール、その誘導体およびそれらの薬学的に許容される塩から選択される少なくとも1種を含有することを特徴とする胆汁流出障害の予防または改善用組成物。
  9. クマザサの抽出物、ショウガの粉末およびその抽出物、並びにジンゲロール、桂皮酸、それらの誘導体およびそれらの薬学的に許容される塩から選択される少なくとも1種を含有することを特徴とする動脈硬化の予防または改善用組成物。
  10. クマザサの抽出物、ショウガの粉末およびその抽出物、並びにジンゲロール、桂皮酸、それらの誘導体およびそれらの薬学的に許容される塩から選択される少なくとも1種を含有することを特徴とする心臓疾患の予防または改善用組成物。
  11. クマザサの抽出物、ショウガの粉末およびその抽出物、並びにジンゲロール、桂皮酸、それらの誘導体およびそれらの薬学的に許容される塩から選択される少なくとも1種を含有することを特徴とする糖尿病の予防または改善用組成物。
  12. クマザサの抽出物、ショウガの粉末およびその抽出物、並びにジンゲロール、桂皮酸、それらの誘導体およびそれらの薬学的に許容される塩から選択される少なくとも1種を含有することを特徴とする老化の予防または改善用組成物。
  13. クマザサの抽出物、ショウガの粉末およびその抽出物、並びにジンゲロール、桂皮酸、それらの誘導体およびそれらの薬学的に許容される塩から選択される少なくとも1種を含有することを特徴とする炎症の予防または改善用組成物。
  14. 桂皮酸の誘導体が、メトキシ桂皮酸、トランス桂皮酸、メチル桂皮酸およびエチル桂皮酸から選択される少なくとも1種である請求項7、9〜13のいずれか1項に記載の組成物。
  15. 飲食用であることを特徴とする請求項6〜14のいずれか1項に記載の組成物。
  16. 医薬用であることを特徴とする請求項6〜14のいずれか1項に記載の組成物。
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