JP2010109760A - 通信携帯端末 - Google Patents

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正徳 土井
Kenji Amano
健二 天野
Kimiaki Imai
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Abstract

【課題】アンテナを内蔵した通信携帯端末に対し、アンテナ特性の劣化を防止しながら更なる薄型化を図る。
【解決手段】第1板金10をインサート成形した第1樹脂製キャビネット11と、第2板金12をインサート成形した第2樹脂製キャビネット13とを設け、これら第1樹脂製キャビネット11と第2樹脂製キャビネット13との間に、アンテナ14が印刷された基板15を挟持し、第1板金10と第2板金12とアンテナ14とを複数の導電性ガスケット20によって電気的に接続する。
【選択図】図10

Description

本発明は、通信携帯端末に関し、特にそのアンテナの周辺構造に関するものである。
従来より、通信携帯端末、特に携帯電話機の表示部筐体を構成する部品は、一般的に表示窓、樹脂成形品である上キャビネット、液晶ディスプレイ、液晶ディスプレイの位置を決める樹脂製又はマグネシウム製フレーム、液晶基板、樹脂成形品である下キャビネット等で構成される。
近年、薄型化のために、上記各部品の材質を変えて厚みの薄いもので構成するようになってきている。
例えば、特許文献1では、表示部筐体を構成する表示部側のフロントケースと、操作部筐体を構成する操作部側のフロントケースとをマグネシウム合金により形成すると共に、表示部筐体を構成する表示部とは逆側のリアケースをアルミニウム合金で形成し、操作部側のリアケースをアンテナに悪影響を与えない樹脂により形成している。このことで、異材料よりなるアルミニウム合金のマグネシウム合金との接触部に防錆処理を施して軽量で薄型、しかも機械的な強度が得られるようにすると共に、アンテナ特性などにも考慮している。
また特許文献2では、移動体通信網を介して通信するために用いる通信用アンテナを有する携帯通信端末において、樹脂材料と金属材料とを一体成形して形成された受話部及び送話部からなる筐体を備え、これら筐体を通信用アンテナを収容する箇所の近傍では樹脂材料のみによって形成し、アンテナ特性を劣化させることなく薄型化及び小型化を図っている。
ところで、弾性部品からなる導電性ガスケットは、従来より、密閉、防塵、防水、電気的接続の遮断等の目的で使用されている。
例えば、特許文献3では、導電性ガスケットが、フレキシブル基板の導電部に貼り付けられて筐体内に組み込まれ、筐体のフロントケースとリアカバーとを互いに嵌合させ又は雄ネジや雌ネジ等の固定具を用いて締め付けて、携帯電話機が組み立てられている。組み立てた状態では、平板状の導電性ガスケットは、筐体とフレキシブル基板とに挟まれて圧縮荷重を受けて変形し、反発力によって、自身をフレキシブル基板及び筐体に押し付け、フレキシブル基板と筐体との電気的接続を確実に行い、筐体の小型化、薄型化及び軽量化に寄与しつつ、カメラモジュールのアースを強化し、ノイズの輻射を抑制している。
特開2004−304445号公報 特開2007−53450号公報 特開2004−193082号公報
上記特許文献1及び2の携帯通信端末では、アンテナ特性の劣化を防ぐために、アンテナと金属材料とが重ならないようにアンテナの周りは樹脂のみで構成している。このため、レイアウトに制限を受けるので、アンテナを大きくすることができず、また、十分に携帯通信端末の薄型化を図ることができないという問題があった。
本発明は、かかる点に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、アンテナを内蔵した通信携帯端末において、アンテナ特性の劣化を防止しながら更なる薄型化を図ることにある。
上記の目的を達成するために、この発明では、アンテナが印刷された基板を第1及び第2板金で挟持しながら、これら第1及び第2板金とアンテナとを複数の導電性ガスケットで電気的に接続するようにした。
具体的には、第1の発明では、
第1板金をインサート成形した第1樹脂製キャビネットと、
第2板金をインサート成形した第2樹脂製キャビネットと、
上記第1樹脂製キャビネットと上記第2樹脂製キャビネットとの間に挟持され、アンテナが印刷された基板と、
上記第1板金と上記第2板金と上記アンテナとを電気的に接続する複数の導電性ガスケットとを備えている。
上記の構成によると、従来のようにアンテナの周りを樹脂のみで構成するのではなく、アンテナの周りにも第1板金と第2板金とを積極的に設け、第1板金と第2板金とアンテナとを複数の導電性ガスケットで電気的に接続することにより、アンテナと第1及び第2板金との間の不要共振を効果的に防いでアンテナ特性の劣化を防止している。そして、アンテナの周りも板金で覆うことができるので、大きなアンテナであっても、レイアウトの制限を受けることなく強度を向上させながら更なる薄型化が図られる。また、成型された金属ではなく、厚さを薄くし易い板金を用いているので、強度を保ちながら更に厚さが押さえられる。
第2の発明では、第1の発明において、
上記基板は、上記第2板金側にパターンが印刷され、該第2板金側の周縁にアンテナが印刷されている。
上記の構成によると、基板の周囲の広い範囲にアンテナが配置されている場合、従来のようにアンテナの周囲のみを樹脂で構成すると広範囲に金属をキャビネットに含ませることが難しいが、アンテナの周りも積極的に板金で覆って導電性ガスケットで電気的に接続しているので、強度を向上させて薄型化を図りながらもアンテナ特性が劣化しない。
第3の発明では、第2の発明において、
上記基板における第2板金側の略全周にアンテナが印刷されている。
上記の構成によると、アンテナの感度を確保するために基板の略全周にアンテナを設けても、導電性ガスケットにより第1及び第2板金との間で不要共振が防止され、アンテナ特性が劣化することはない。
第4の発明では、第3の発明において、
上記基板の上記第2板金側には、アース用接点が印刷され、
上記アース用接点は、上記第2板金に導通している。
上記の構成によると、基板が第1板金に確実にアースされるのでノイズの発生が防止される。
第5の発明では、第3又は第4の発明において、
上記第1樹脂製キャビネットは、上記第1板金の全周縁を樹脂で覆い、少なくとも上記導電性ガスケットが当接する部分は、該第1板金が露出し、
上記第2樹脂製キャビネットは、上記第2板金の全周縁を樹脂で覆い、少なくとも上記導電性ガスケットが当接する部分は、該第2板金が露出し、該露出した部分に該導電性ガスケットが貼り付けられ、
上記第1樹脂製キャビネットと上記第2樹脂製キャビネットとは、周縁部で互いに嵌合している。
上記の構成によると、キャビネットの外観に現れる部分を樹脂製とすることで、彩色等の装飾が容易となり、また、剛性の高い板金により樹脂のみで構成する場合よりも薄く構成しても強度が向上する。
第6の発明では、第5の発明において、
上記第2樹脂製キャビネットの周縁には、上記導電性ガスケットが当接する部分に該導電性ガスケットを上記第1基板側へ押し付けるための突起が形成され、
上記突起に押し付けられた導電性ガスケットは、上記第1板金と上記第2板金と上記アンテナとに導通している。
上記の構成によると、第1樹脂製キャビネットの周縁に設けた突起が導電性ガスケットを第2板金側へ押し付けるので、その押し付けられた導電性ガスケットによって第1板金と第2板金とアンテナとが確実に電気的に接続される。このため、1つの導電性ガスケットによって第1板金と第2板金とアンテナとが確実に電気的に接続されるので、基板の表と裏の両方に導電性ガスケットを設ける必要がなくなり、導電性ガスケットの数が減ると共に、通信携帯端末の厚さが削減される。
第7の発明では、第6の発明において、
上記突起は、上記第2樹脂製キャビネットの周縁から離れるにつれて高さが減少している。
上記の構成によると、導電性ガスケットのうち基板に当接していない部分を、傾斜を持った突起が効果的に第1板金側に押し付けるので、1つの導電性ガスケットでも第1板金と第2板金とアンテナとが確実に電気的に接続される。
第8の発明では、第3乃至第7のいずれか1つの発明において、
上記第1板金の幅方向両端部は上記第1樹脂製キャビネットの周縁部の近傍まで延び、
上記第2板金の幅方向両端部は折り曲げられ、該両端部は上記第2樹脂製キャビネットの周縁部の近傍まで延びている。
上記の構成によると、嵌合部の近傍まで第1及び第2板金を延ばすことで、第1樹脂製キャビネットと第2樹脂製キャビネットとの剛性が向上するので、更なる薄型化が可能となる。
第9の発明では、第8の発明において、
上記第1樹脂製キャビネットにおける上記第1板金の表面側に表示装置収容凹部を設け、該表示装置収容凹部に表示装置が嵌合している。
上記の構成によると、第1板金が表示装置の近傍に配置されるので、第1板金により、衝撃に弱い表示装置が効果的に保護される。
第10の発明では、第1乃至第9のいずれか1つの発明において、
上記導電性ガスケットは、
クッションと、
上記クッションの周囲に巻き付けられた導電布と、
上記導電布の一部に貼り付けられた両面テープとを備えている。
上記の構成によると、クッションにより、導電性ガスケットが第1板金、第2板金又は基板と接触する部分で適度に変形し、その反発力で導電布が第1板金、第2板金又は基板と密着し、第1板金と第2板金と基板とが確実に電気的に接続される。また、両面テープにより、導電性ガスケットが簡単に貼り付けられる。
第11の発明では、第1乃至第10のいずれか1つの発明において、
上記第1及び第2板金は、ステンレス板である。
上記の構成によると、耐久性及び強度が高いステンレス板を用いることにより、マグネシウムやアルミニウムに比べて更に薄型化が可能である。
第12の発明では、第11の発明において、
上記ステンレス板の板厚は、0.2mm以上0.5mm以下である。
上記の構成によると、マグネシウムやアルミニウム等の成形品では、製造できない板厚であっても、ステンレス板では製造可能であり、樹脂とインサートすることにより、強度と装飾性が確保される。0.2mm以上であればプレス加工が可能であり、0.2mm以上0.5mm以下とすることにより、マグネシウムやアルミニウムの成形品と薄型化の効果の面で大きく異なる。
第13の発明では、第1乃至第12のいずれか1つの発明において、
上記基板及び上記第2板金の中央には、背面ディスプレイ用開口が形成され、該背面ディスプレイ用開口内に背面ディスプレイが装着されている。
上記の構成によると、第2板金に背面ディスプレイ用の開口が形成されていても、第1板金と第2板金によって剛性が保たれているので、背面ディスプレイが効果的に保護される。
第14の発明では、第1乃至第13のいずれか1つの発明において、
上記第1樹脂製キャビネット及び第2樹脂製キャビネットの外面は、樹脂製平板のカバーで覆われている。
上記の構成によると、厚さの薄い樹脂製平板で覆うことにより、板厚の増加を抑えながら、第1及び第2板金が外観に現れないようにして彩色などの種々の装飾が容易となる。
第15の発明では、第1乃至第14のいずれか1つの発明において、
上記第1樹脂製キャビネット及び第2樹脂製キャビネットは、折畳み式携帯電話機の一方の筐体を構成している。
上記の構成によると、板金をインサートした筐体であっても導電性ガスケットにより、アンテナ特性が確保されるので、薄型で携帯性及びデザインのよい折畳み式携帯電話機が得られる。
第16の発明では、第15の発明において、
第1の筐体と第2の筐体と該第1の筐体及び第2の筐体を折り畳み開閉自在に連結するヒンジ部とを備え、
上記第1基板は、上記ヒンジ部近傍まで延びる延長部を有している。
上記の構成によると、第1基板の延長部により、ヒンジ部の強度が向上するので、ヒンジ部の肉厚の増加が防止され、薄型で携帯性及びデザインのよい折畳み式携帯電話機が得られる。
以上説明したように、本発明によれば、第1板金をインサート成形した第1樹脂製キャビネットと、第2板金をインサート成形した第2樹脂製キャビネットとの間にアンテナが印刷された基板を挟持し、導電性ガスケットで第1板金と第2板金とアンテナとを電気的に接続したことにより、アンテナ特性の劣化を防止しながら更なる薄型化を図ることができる。
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて説明する。
図1及び図2は本発明の実施形態の携帯電話機1としての折畳み式携帯電話機1を示し、この携帯電話機1は、液晶ディスプレイや有機ELディスプレイなどの表示装置2を内蔵する矩形板状の第1の筐体3と、操作部4を内蔵する矩形板状の第2の筐体5とを備えている。第1の筐体3と第2の筐体5とは、ヒンジ部6によって開閉可能に連結され、折り畳まれた直方体の状態で携帯可能となっている。
図3に第1の筐体3の分解斜視図を示す。第1の筐体3は、第1板金10をインサート成形した第1樹脂製キャビネット11を備えている。図11に示すように、第1板金10は、矩形状のステンレス板(例えばSUS304)であり、その板厚は、0.2mm以上0.5mm以下である。図4に示すように、第1樹脂製キャビネット11は、第1板金10の全周縁が埋め込まれたような状態で樹脂で覆っている。そして、第1板金10は、周縁を除き、その表裏面が露出している。
図4及び図11に拡大して示すように、第1板金10は、四角にネジ挿通孔10aが開口され、第1樹脂製キャビネット11にもネジ挿通孔10aと同心に若干内径の大きいネジ挿通孔11aが開口されている。第1板金10の上下中間部には、表示装置2の係止爪2aを係止するために例えば4つの係止用孔10bが開口されている。第1板金10の中央部分は、矩形状に凹んだ凹部10cが形成され、凹部10cの左右周縁はフランジ状になっている。そして、第1板金10は、ヒンジ部6側へ延長された一対の延長部10dを備え、この延長部10dは、ヒンジ部6の丸みに合わせて折り曲げられている。このヒンジ部6を形成する樹脂に入り込む延長部10dによって、ヒンジ部6の強度が向上され、その肉厚の増加が防止されている。
第1樹脂製キャビネット11における第1板金10の表面側には、矩形状の表示装置収容凹部11bが周囲よりも一段低くなるようになっている。つまり、表示装置収容凹部11bの底面側は、第1板金10の凹部10cで構成され、更に底面から離れたフランジ状の部分等は樹脂で覆われている。このことで、表示装置2の係止爪2aが第1板金10の係止用孔10bに係止することで、表示装置収容凹部11bに表示装置2が嵌合するように構成されている。表示装置2の裏面側は、第1板金10の表面に当接するように組み立てられる。
第1樹脂製キャビネット11の外面側周縁11cは、内側よりも若干(1mm程度)高くなっており、この外面側周縁11cに表示装置側カバー16が嵌め込まれている。表示装置側カバー16は、アクリルなどの暗色透明な樹脂製の平板(厚み1mm程度)よりなり、詳しくは図示しないが、裏面側にクッションと両面テープが貼り付けられている。この両面テープにより、表示装置側カバー16は第1樹脂製キャビネット11の外面側に貼り付けられ、外面側周縁11cと表示装置側カバー16の表面が略面一とされている。この表示装置側カバー16は、表示装置2のガラス面2bを保護すると共に、ネジ挿通孔10aに挿通したネジ50が見えないようにして装飾性を向上させている。
図5に拡大して示すように、第1の筐体3は、第2板金12をインサート成形した第2樹脂製キャビネット13を備えている。図12に示すように、第2板金12も、矩形状のステンレス板(例えばSUS304)であり、その板厚は、0.2mm以上0.5mm以下である。この板厚は、マグネシウムやアルミニウムの成形品では製造できないが、ステンレス板では製造可能であり、樹脂とインサートすることにより、強度と装飾性が確保されている。また、0.2mmよりも薄くなると、プレス加工が難しいが、0.2mm以上0.5mm以下とすることにより、マグネシウム、アルミニウム等の軽金属の成形品に対して薄型化の効果の面で大きく異なる。耐久性及び強度が高いステンレス板を用いることにより、マグネシウムやアルミニウムに比べて更に薄型化が可能となっている。
第2板金12の中央には、閉じ状態で時刻等が表示される背面ディスプレイ18を装着するための板金側背面ディスプレイ用開口12aが形成されている。この板金側背面ディスプレイ用開口12aに合わせて第2樹脂製キャビネット13にも樹脂側背面ディスプレイ用開口13aが形成されている。樹脂側背面ディスプレイ用開口13aは、板金側背面ディスプレイ用開口12aよりも若干広く、板金側背面ディスプレイ用開口12aの周縁の一部は露出している。第2板金12には、他にも軽量化等のために複数の貫通孔12cが開口されている。図10にも示すように、第2板金12の幅方向(左右方向)両端は、折り曲げられた折曲部12bが形成され、この折曲部12bが入り込むように第2樹脂製キャビネット13の外面側に第2板金12が埋め込まれ、第2板金12の全周縁が樹脂で覆われている。そして、第2板金12の背面側は樹脂には覆われていない。第2樹脂製キャビネット13の四角には、ネジ挿通孔10a,11aに合わせてボス部13bが突設され、ボス部13bに埋め込んだナット13cにネジ50が締結されるようになっている。第2樹脂製キャビネット13の外面側周縁13dも、内側よりも若干(1mm程度)高くなっており、この外面側周縁13dに樹脂製平板の背面側カバー17が嵌め込まれている。背面側カバー17は、アクリルなどの暗色透明な樹脂製の平板(厚み1mm程度)よりなり、中央部に背面ディスプレイ18の部分を避けるように両面テープ17aが貼り付けられている。背面側カバー17が外面側周縁13d内に嵌め込まれると、外面側周縁13dと背面側カバー17の表面が略面一とされている。この背面側カバー17により、背面ディスプレイ18を保護すると共に、第2板金12やネジ50が外観に現れないようにして装飾性を向上させている。
図10に示すように、第1樹脂製キャビネット11と第2樹脂製キャビネット13とは、他の部分よりも立ち上がり、第1の筐体3の側面を形成する周縁部で互いに嵌合するように凹凸が形成され、この嵌合した状態でネジ50をネジ挿通孔10a,11aに挿通し、ボス部13bのナット13cに締結することで第1の筐体3が組み立てられるようになっている。
第1樹脂製キャビネット11と第2樹脂製キャビネット13との間には、アンテナ14が印刷された基板15が挟持されている。図6に示すように、基板15は、第2板金12側にパターン(図示せず)が印刷されている。第2板金12側の略全周には、アンテナ14が印刷され、このアンテナ14は、ほぼ全周において連続している。基板15の中央には、背面ディスプレイ18を装着するためのディスプレイ用開口15aが形成されている。図3に示すように、基板15の第1板金10側には、一対のアース用接点15bのみが印刷されている。
基板15と第2樹脂製キャビネット13との間には、複数の導電性ガスケット20が設けられている。なお、これら導電性ガスケット20の他には、導電性を有さない防水用や、振動吸収用のクッション部材21も複数設けられている。図7に拡大して示すように、導電性ガスケット20は、様々な大きさの矩形板状のクッション20aと、クッション20aの周囲に巻き付けられた導電布20bと、導電布20bの一部に貼り付けられた両面テープ20cとを備えている。そして、第2樹脂製キャビネット13の内面側では、少なくとも導電性ガスケット20が当接する部分で第2板金12が露出して露出部12dが形成されている。露出部12dは、第2樹脂製キャビネット13の成形時に導電性ガスケット20の大きさに合わせてマスキングすることにより形成されている。この露出部12dに導電性ガスケット20が両面テープ20cによって貼り付けられている。導電性ガスケット20は、本実施形態では、例えば7つ貼り付けられているが、これはアンテナ14の不要共振の発生を防止する最適な数であればよい。
図8及び図10に拡大して示すように、第2樹脂製キャビネット13の周縁には、導電性ガスケット20が当接する部分に導電性ガスケット20を第1板金10側へ押し付けるための突起22が形成されている。本実施形態では、突起22は、平坦な表面を有している。図10に示すように、この突起22に押し付けられた導電性ガスケット20は、第1板金10と第2板金12とアンテナ14とに導通している。このように、突起22に接する導電性ガスケット20は、第1板金10と第2板金12とアンテナ14との全てを電気的に接続する役割を果たしている。
−第1の筐体の組立手順と作用−
次に、本実施形態にかかる携帯電話機1の第1の筐体3の組立手順と作用について説明する。
まず、第1板金10をインサート成形した第1樹脂製キャビネット11と、第2板金12をインサート成形した第2樹脂製キャビネット13とを用意する。
次いで、図4に示すように、表示装置2の係止爪2aを第1板金10の係止用孔10bに係止させることで、表示装置2を表示装置収容凹部11bに固定する。すると、第1板金10が表示装置の近傍に配置されるので、第1板金10により、衝撃に弱い表示装置2が効果的に保護される。
一方、図5に示すように、第2樹脂製キャビネット13の内面側の露出部12dに対応する導電性ガスケット20を両面テープ20cにより貼り付ける。図3に示すように、他のクッション部材21も同様に貼り付ける。このとき、両面テープ20cを使用しているので貼付が容易である。
次いで、背面ディスプレイ18が装着された基板15を導電性ガスケット20の上から第2樹脂製キャビネット13上に載置する。このとき、図6に示すように、各導電性ガスケット20は、所定の位置で押さえ付けられ、アンテナ14に当接する。例えば、7つある導電性ガスケット20のうち、3つは両面テープ20c側の第2板金12と、その反対側の基板15にのみ接するので、基板15側から見ると基板15に隠れて見えないが、残りの4つは、一部が基板15の周縁からはみ出るように露出している。
次いで、基板15を挟み込むようにして第1樹脂製キャビネット11と第2樹脂製キャビネット13とを嵌合させ、ネジ挿通孔10a,11aにネジ50を挿通してナット13cに締結する。
すると、図10に示すように、導電性ガスケット20における基板15から露出している部分は、基板15に押さえ付けられている部分に比べて隙間が大きいが、第1樹脂製キャビネット11の周縁に設けた突起22がその隙間をできるだけ均一化して導電性ガスケット20を第1板金10側へ押し付けるので、その押し付けられた導電性ガスケット20によって第1板金10と第2板金12とアンテナ14とが確実に電気的に接続される。つまり、弾性のあるクッション20aにより、導電性ガスケット20が第1板金10、第2板金12又は基板15と接触する部分で適度に変形し、その反発力で導電布20bが第1板金10、第2板金12又は基板15と密着し、その部分では、1つの導電性ガスケット20で第1板金10と第2板金12と基板15とが確実に電気的に接続される。このため、基板15の表と裏の両方に導電性ガスケット20を設ける必要がなくなり、導電性ガスケット20の数が減ると共に、携帯電話機1の厚さが削減される。また、第1樹脂製キャビネット11と第2樹脂製キャビネット13の外観に現れる部分(第1の筐体3の側面)を樹脂製とすることで、彩色等の装飾が容易となっている。そしてアース用接点15bが第1板金10に導通することで基板15にノイズが発生するのを防止している。
そして、第1樹脂製キャビネット11の外面側周縁11cに表示装置側カバー16を嵌め込み、第2樹脂製キャビネット13の外面側周縁13dに背面側カバー17を嵌め込んで、第1の筐体3の組立が完成する。厚さの薄い樹脂製平板で覆うことにより、板厚の増加を抑えながら、第1及び第2板金10,12が外観に現れないようにして彩色などの種々の装飾が容易となる。
このようにして、従来のようにアンテナ14の周りを樹脂のみで構成するのではなく、アンテナ14の周りにも第1板金10と第2板金12とを積極的に設け、第1板金10と第2板金12とアンテナ14とを複数の導電性ガスケット20で電気的に接続することにより、アンテナ14と第1及び第2板金10,12との間の不要共振を効果的に防いでアンテナ14の特性劣化を防止している。そして、アンテナ14の周りも第1及び第2板金10,12で覆うことができるので、大きなアンテナ14であっても、導電性ガスケット20の数の増加を防ぎながら、レイアウトの制限を受けることなく強度を向上させ、樹脂のみで構成する場合よりも更なる薄型化が図られている。また、成型された金属ではなく、厚さを薄くし易い第1及び第2板金10,12を用いているので、強度を保ちながら更に厚さが押さえられる。このため、薄型で携帯性及びデザインのよい折畳み式携帯電話機1が得られる。
−実施形態の効果−
したがって、本実施形態にかかる携帯電話機1によると、第1板金10をインサート成形した第1樹脂製キャビネット11と、第2板金12をインサート成形した第2樹脂製キャビネット13との間にアンテナ14が印刷された基板15を挟持し、導電性ガスケット20で第1板金10と第2板金12とアンテナ14とを電気的に接続したことにより、アンテナ14の特性劣化を防止しながら更なる薄型化を図ることができる。
(その他の実施形態)
本発明は、実施形態について、以下のような構成としてもよい。
すなわち、実施形態では、突起22は、平坦な表面を有しているが、第2樹脂製キャビネット13の周縁から離れるにつれて高さが減少するテーパ状の表面を有していてもよい。この場合には、導電性ガスケット20のうち基板15に当接していない部分を傾斜を持った突起22が効果的に第1板金10側に押し付けるので、第1板金10と第2板金12とアンテナ14とが確実に電気的に接続される。
上記実施形態では、携帯通信端末は、折畳み式携帯電話機としたが、第1の筐体と第2の筐体が一体化されたストレートタイプの携帯電話機であってもよいし、第1の筐体が第2の筐体上をスライドするスライド式の携帯電話機であってもよい。また、携帯電話機ではなく、PHS、PDA、PC、モバイルツール、電子辞書、電卓、ゲーム機等であってもよい。
なお、以上の実施形態は、本質的に好ましい例示であって、本発明、その適用物や用途の範囲を制限することを意図するものではない。
本発明の実施形態にかかる携帯電話機の閉じた状態を示す斜視図である。 携帯電話機の開いた状態を示す斜視図である。 第1の筐体の分解斜視図である。 第1樹脂製キャビネットに表示装置を嵌め込む様子を示す斜視図である。 第2樹脂製キャビネットに導電性ガスケットを貼り付ける様子を示す斜視図である。 基板に導電性ガスケットが当接する様子を示す平面図である。 導電性ガスケットを示し、(a)が側面図及びその一部拡大図で、(b)が平面図である。 第2樹脂製キャビネットの突起及びその周辺を示す拡大斜視図である。 第1の筐体の断面図である。 図9の一部拡大断面図である。 第1板金を示す斜視図で、(a)が表面側から見た図を示し、(b)が裏面側から見た図を示す。 第2板金を示す斜視図で、(a)が表面側から見た図を示し、(b)が裏面側から見た図を示す。
符号の説明
1 折畳み式携帯電話機(通信携帯端末)
2 表示装置
3 第1の筐体
5 第2の筐体
6 ヒンジ部
10 第1板金
10d 延長部
11 第1樹脂製キャビネット
11b 表示装置収容凹部
12 第2板金
12a 板金側背面ディスプレイ用開口
12b 折曲部(両端部)
12d 露出部
13 第2樹脂製キャビネット
13a 樹脂側背面ディスプレイ用開口
14 アンテナ
15 基板
15a ディスプレイ用開口
15b アース用接点
16 表示装置側カバー
17 背面側カバー
17a 両面テープ
18 背面ディスプレイ
20 導電性ガスケット
20a クッション
20b 導電布
20c 両面テープ
22 突起

Claims (16)

  1. 第1板金をインサート成形した第1樹脂製キャビネットと、
    第2板金をインサート成形した第2樹脂製キャビネットと、
    上記第1樹脂製キャビネットと上記第2樹脂製キャビネットとの間に挟持され、アンテナが印刷された基板と、
    上記第1板金と上記第2板金と上記アンテナとを電気的に接続する複数の導電性ガスケットとを備えている
    ことを特徴とする通信携帯端末。
  2. 請求項1に記載の通信携帯端末であって、
    上記基板は、上記第2板金側にパターンが印刷され、該第2板金側の周縁にアンテナが印刷されている
    ことを特徴とする通信携帯端末。
  3. 請求項2に記載の通信携帯端末であって、
    上記基板における第2板金側の略全周にアンテナが印刷されている
    ことを特徴とする通信携帯端末。
  4. 請求項3に記載の通信携帯端末であって、
    上記基板の上記第1板金側には、アース用接点が印刷され、
    上記アース用接点は、上記第1板金に導通している
    ことを特徴とする通信携帯端末。
  5. 請求項3又は4に記載の通信携帯端末であって、
    上記第1樹脂製キャビネットは、上記第1板金の全周縁を樹脂で覆い、少なくとも上記導電性ガスケットが当接する部分は、該第1板金が露出し、
    上記第2樹脂製キャビネットは、上記第2板金の全周縁を樹脂で覆い、少なくとも上記導電性ガスケットが当接する部分は、該第2板金が露出し、該露出した部分に該導電性ガスケットが貼り付けられ、
    上記第1樹脂製キャビネットと上記第2樹脂製キャビネットとは、周縁部で互いに嵌合している
    ことを特徴とする通信携帯端末。
  6. 請求項5に記載の通信携帯端末であって、
    上記第2樹脂製キャビネットの周縁には、上記導電性ガスケットが当接する部分に該導電性ガスケットを上記第1基板側へ押し付けるための突起が形成され、
    上記突起に押し付けられた導電性ガスケットは、上記第1板金と上記第2板金と上記アンテナとに導通している
    ことを特徴とする通信携帯端末。
  7. 請求項6に記載の通信携帯端末であって、
    上記突起は、上記第2樹脂製キャビネットの周縁から離れるにつれて高さが減少している
    ことを特徴とする通信携帯端末。
  8. 請求項3乃至7のいずれか1つに記載の通信携帯端末であって、
    上記第1板金の幅方向両端部は上記第1樹脂製キャビネットの周縁部の近傍まで延び、
    上記第2板金の幅方向両端部は折り曲げられ、該両端部は上記第2樹脂製キャビネットの周縁部の近傍まで延びている
    ことを特徴とする通信携帯端末。
  9. 請求項8に記載の通信携帯端末であって、
    上記第1樹脂製キャビネットにおける上記第1板金の表面側には、表示装置収容凹部が設けられ、該表示装置収容凹部に表示装置が嵌合している
    ことを特徴とする通信携帯端末。
  10. 請求項1乃至9のいずれか1つに記載の通信携帯端末であって、
    上記導電性ガスケットは、
    クッションと、
    上記クッションの周囲に巻き付けられた導電布と、
    上記導電布の一部に貼り付けられた両面テープとを備えている
    ことを特徴とする通信携帯端末。
  11. 請求項1乃至10のいずれか1つに記載の通信携帯端末であって、
    上記第1及び第2板金は、ステンレス板である
    ことを特徴とする通信携帯端末。
  12. 請求項11に記載の通信携帯端末であって、
    上記ステンレス板の板厚は、0.2mm以上0.5mm以下である
    ことを特徴とする通信携帯端末。
  13. 請求項1乃至12のいずれか1つに記載の通信携帯端末であって、
    上記基板及び上記第2板金の中央には、背面ディスプレイ用開口が形成され、該背面ディスプレイ用開口内に背面ディスプレイが装着されている
    ことを特徴とする通信携帯端末。
  14. 請求項1乃至13のいずれか1つに記載の通信携帯端末であって、
    上記第1樹脂製キャビネット及び第2樹脂製キャビネットの外面は、樹脂製平板のカバーで覆われている
    ことを特徴とする通信携帯端末。
  15. 請求項1乃至14のいずれか1つに記載の通信携帯端末であって、
    上記第1樹脂製キャビネット及び第2樹脂製キャビネットは、折畳み式携帯電話機の一方の筐体を構成している
    ことを特徴とする通信携帯端末。
  16. 請求項15に記載の通信携帯端末であって、
    第1の筐体と第2の筐体と該第1の筐体及び第2の筐体を折り畳み開閉自在に連結するヒンジ部とを備え、
    上記第1基板は、上記ヒンジ部近傍まで延びる延長部を有している
    ことを特徴とする通信携帯端末。
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