JP2010105959A - 高純度9−シス−β−カロチン含有組成物及びその製法 - Google Patents

高純度9−シス−β−カロチン含有組成物及びその製法 Download PDF

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Abstract

【課題】 公知技術の9−シス−β−カロチン含有組成物における9−シス−β−カロチン含有量の割合を向上させて純度を高めること。
【解決手段】 本発明は、デュナリエラ (Dunaliella) 属藻類の乾燥粉末をエタノールにより洗浄した後に、アセトン:ジクロロメタン混合液を添加して攪拌し、濾過して濾液を回収し、残渣にヘキサンを添加して撹拌・濾過して、先の濾液と合わせて濃縮する第1工程と、得られた半固体状濃縮物に更にヘキサンを添加して撹拌し、低温で静置し濾過して濾液を濃縮する第2工程と、得られた油状濃縮物をヘキサンに溶解させ、静置して固形体を析出させ、該析出物を濾取し、エタノールにて洗浄して粗結晶を得る第3工程と、該粗結晶をヘキサンに溶解させエタノールを少量ずつ添加して固形物を析出させ、該析出固形物をエタノールで洗浄し乾燥させる第4工程とを経て得られた組成物であり、橙色であって粉末状又は結晶状を呈しており、9-シス-β-カロチン含有量が90%以上であることを特徴とする高純度9-シス-β-カロチン含有組成物であって、高純度の粉末状乃至結晶状であり、健康食品の補助剤または医薬品として使用することができる。
【選択図】なし

Description

本発明は、カロチンの異性体の1つである9−シス−β−カロチンを高純度において含有している組成物及びその製法に係る。
一般的に、β-カロチンは緑黄色野菜等に含まれている代表的なカロチノイドであり、生体内でビタミンAに変化して高活性を示す物質であることが知られている。また、β−カロチンは抗癌作用及び活性酸素消去能を有しているので、医薬品としての開発に期待が高まっている。
天然のβ−カロチンは主にオールトランス型であるが、種々の異性体が存在し、ヒトの組織中からもオールトランス-β−カロチンのみならず、これらの異性体が検出されており、近年、生体に対するこれらβ−カロチン異性体の作用が注目されるに至っている。このβ−カロチン異性体の内でも特に注目されているのが9−シス−β−カロチンである。
この9−シス−β−カロチンの製法として、例えば、デュナリエラ (Dunaliella) 属藻類の乾燥粉末をエタノールにより洗浄した後に、ヘキサンを添加して撹拌し、濾過して濾液を濃縮する第1工程と、得られた半固体状濃縮物に更にヘキサンを添加して撹拌し、濾過して濾液を濃縮する第2工程と、得られた油状濃縮物をヘキサンに溶解させ、静置して固体を析出させ、該析出物を濾取し、エタノールにて洗浄し、次いで乾燥させる第3工程とを行うことによって高純度9−シス−β−カロチン含有組成物を得る製法が公知技術になっている(特許文献1)。
このβ−カロチン含有組成物の製法においては、得られた高純度9−シス−β−カロチン含有組成物は赤褐色であって粉末状又は結晶状を呈しており、9−シス−β−カロチン含有量が75%〜84.4%の範囲であるとしている。
また、この公知技術において、解決すべき課題の従来例として、9−シス−β−カロチンは、微細藻類であって緑藻類のデュナリエラ(Dunaliella) 属の藻類において多量に産生蓄積されるので、該藻類から9−シス−β−カロチンを抽出する試みがなされている [米国特許第 5,310,554 及び5,612,485 号、Yuan et al., "Yaowu Shengwu Jishu", Vol. 3, pages 34 - 39(1996) 及び Suzuki et al.,"Biochem. Mol. Biol. Int.", Vol. 39, pages1077 - 1084 (1996) 等]、との記載されている。
そして、この従来例の9−シス−β−カロチン含有組成物の製法の殆どはカラムクロマトグラフィーを使用しており、従って工業的規模での生産には適していない。一方、カラムクロマトグラフィーを使用しない9−シス−β−カロチンの製法も報告されているが、本来、9−シス−β−カロチンは融点が122 - 123℃ の物質であるにも拘わらず [Polgar et al., "J. Amer. Chem. Soc.", Vol. 64, pages1856 - 1861 (1942)]、何れの報告も得られた物質は油状物としている。このことは生成物が9−シス−β−カロチン以外の物質を不純物として含有していること を意味している。尚、全カロチン量に対する9−シス−β−カロチンの比率が高いことを以て「高純度」と称している報告も屡々見受けられるが、カロチン以外の不純物を考慮に入れていない点に疑問があり、殊に製薬目的の場合には問題となることが明らかにされている。
特開平11−187894号公報
ところで、前記公知技術においては、デュナリエラ属藻類の乾燥粉末を第1工程〜第3工程までの処理によって、高純度の9−シス−β−カロチン含有組成物を得ているとしているが、デュナリエラ属藻類の乾燥粉末には含有されるβ−カロチン量(9−シスも含め)にバラツキがあると共に、種々のカロチノイドを含有している。
このようなバラツキのあるデュナリエラ属藻類の乾燥粉末を第3工程までの処理で得られた組成物には、9−シス−β−カロチン以上にα−カロチンが析出されることが多くある。α−カロチンを多く含んでいる場合に、第3工程の処理まででは、9−シス−β−カロチンよりもオールトランス−β−カロチンの析出が多くなることもあり、また、9−シス−β−カロチン含有量が75%〜84.4%の範囲では少なくとも高純度とはいえないのである。
従って、含有成分にバラツキのある、または、どんな条件のデュナリエラ属藻類の乾燥粉末でも、最終生成物中に高純度といえる90%以上の9−シス−β−カロチンが含有されるように処理することに解決課題を有している。
本発明者等は、前記公知技術についてさらに研究を重ねた結果、第1工程〜第3工程まででは不十分であり、どのような条件のデュナリエラ(Dunaliella) 属藻類の乾燥粉末であっても、エタノールで洗浄しヘキサンを用いて段階的に処理する条件および工程を種々変更して試験したことにより、得られた9−シス−β−カロチン含有組成物をそれぞれ分析したところ、幾つかの組成物については、9−シス−β−カロチンの含有率が90%以上と高いことが判明したので本発明を完成するに至った。
本発明の第1の発明に係る高純度9−シス−β−カロチン含有組成物の製法は、デュナリエラ (Dunaliella) 属藻類の乾燥粉末をエタノールにより洗浄した後に、アセトン:ジクロロメタン混合液を添加して攪拌し、濾過して濾液を回収し、残渣にヘキサンを添加して撹拌・濾過して、先の濾液と合わせて濃縮する第1工程と、得られた半固体状濃縮物に更にヘキサンを添加して撹拌し、低温で静置し濾過して濾液を濃縮する第2工程と、得られた油状濃縮物をヘキサンに溶解させ、静置して固形体を析出させ、該析出物を濾取し、エタノールにて洗浄して粗結晶を得る第3工程と、該粗結晶をヘキサンに溶解させエタノールを少量ずつ添加して固形物を析出させ、該析出固形物をエタノールで洗浄し乾燥させる第4工程とを備えていることを特徴とするものである。
この第1の発明において、デュナリエラ属藻類がデュナリエラ サリーナ (Dunaliella salina) 又はデュナリエラバーダウィル (Dunaliella bardawil) であること;前記第1工程において、洗浄済み藻体に添加される混合液のアセトンとジクロロメタンの混合割合は10:1であること;前記第2工程において、半固体状濃縮物1gに対してヘキサンが1−5mlの量割合で添加されること;前記第2工程における低温の静置は、−20℃で行うこと;前記第3工程において、油状濃縮物1gに対してヘキサンを0.5−1mlの量割合で添加されること;前記第4工程において、粗結晶1gに対してヘキサンを0.5−5mlの量割合で添加して溶解させること;前記第4工程において、添加ヘキサン1mlに対してエタノール0.2−1mlを添加すること;及び前記第4工程において、析出固形物1gに対してエタノール5mlを添加して洗浄すること、をそれぞれ付加的な構成要件として含むものである。
本発明の第2の発明に係る高純度9−シス−β−カロチン含有組成物は、デュナリエラ (Dunaliella) 属藻類の乾燥粉末をエタノールにより洗浄した後に、アセトン:ジクロロメタン混合液を添加して撹拌し、濾過して濾液を濃縮する第1工程と、得られた半固体状濃縮物に更にヘキサンを添加して撹拌し、低温で静置し濾過して濾液を濃縮する第2工程と、得られた油状濃縮物をヘキサンに溶解させ、静置して固形体を析出させ、該析出物を濾取し、エタノールにて洗浄して粗結晶を得る第3工程と、該粗結晶をヘキサンに溶解させエタノールを少量ずつ添加して固形物を析出させ、該析出固形物をエタノールで洗浄し乾燥させる第4工程とを経て得られた組成物であり、橙色であって粉末状又は結晶状を呈しており、9−シス−β−カロチン含有量が90%以上であることを特徴とするものである。
本発明に係る製法の発明によれば、デュナリエラ属藻類の藻体の乾燥粉末をエタノールにより洗浄した後に、9−シス−β−カロチン、オールトランス−β−カロチン及びそれ以外の不純物のヘキサンに対する溶解度における相違を利用して次第に高純度の9−シス−β−カロチン含有組成物になされる。従って、本発明においては従来のようにカラムクロマトグラフィーを使用する必要がなく、ヘキサンの添加量及び温度の調整のみで9−シス−β−カロチンの分離・取得が可能であるため高純度の9−シス−β−カロチン含有組成物を工業的規模で製造することができるという優れた効果を奏する。
更に、本発明によって得られる9−シス−β−カロチン含有組成物は、従来のような不純物を多量に含有する油状物ではなく、9−シス−β−カロチン含有量が90%以上と高純度の粉末状乃至結晶状であるので、健康食品の補助剤または医薬品として使用することができるという優れた効果を奏する。
本発明方法を実施するために使用される原料としては、微細藻類であって、緑藻類の1種であるデュナリエラ (Dunaliella) 属の藻類が用いられる。デュナリエラ属藻類は9−シス−β−カロチンを多量に産生し、藻体内に蓄積していることが知られており、殊にデュナリエラバーダウィル (Dunaliella bardawil) 及びデュナリエラサリーナ (Dunaliella salina) の藻体中には、多量の9−シス−β−カロチンが蓄積されているので、これらを使用することが望ましい。例えば、デュナリエラバーダウィルの藻体中には、通常9−シス−β−カロチンとオールトランス−β−カロチンとが約 1 : 1 の比率で含まれている。
本発明法の第1工程は、上記の藻類を洗浄し、カロチン類を抽出するための操作である。この工程においては、先ず、藻類の乾燥粉末にエタノールを添加して撹拌することによりエタノール可溶性物質を可能な限り溶解させ、濾過により除去する。撹拌は室温で行うことができ、エタノールの添加量及び撹拌時間に格別の制限はない。尚、この場合にβ-カロチンはエタノールに対する溶解度が低いために、本操作による9−シス−β−カロチンの損失は殆ど生じない。
上記のエタノールによる洗浄操作は極めて重要である。何故ならば、本操作により充分に不純物を除去しない場合には不純物がカロチンと吸着・相互作用し、最終的に9−シス−β−カロチン含有組成物を固体として取得できなくなるからである。従って、当該洗浄操作は複数回行うことが望ましい。
エタノール不溶性物質を濾取した後にアセトン:ジクロロメタン混合液を添加し、撹拌することによりカロチン類を溶出させる。濾過後の残渣にヘキサンを添加し、攪拌することにより、残存するカロチン類をさらに溶出させる。次いでこれらの濾液を濃縮すれば半固体物質 (以下、「濃縮物−A」と称する) が得られる。
第2工程は上記の工程で得られた濃縮物−Aからオールトランス−β−カロチンを分離除去するための操作である。この操作は、ヘキサンに対する溶解度は9−シス−β−カロチンが2g/100ml(24℃)であるのに対し、オールトランス−β−カロチンが0.11g/100ml(30)℃)と両異性体相互間で相違することを利用してオールトランス−β−カロチンを析出・除去しようとするものである。
この操作に関連して濃縮物−A中のカロチン含有量を把握する必要があるが、濃縮物−A中のカロチン含有量は高速液体クロマトグラフィーによって測定することができる。従って、カロチンのヘキサンに対する溶解度と濃縮物−Aのカロチン含有量とから、濃縮物−Aに添加すべき最適のヘキサン添加量を算出することができる。しかしながら、濃縮物−Aに含まれているカロチン類以外の不純物 により、9−シス−β−カロチンとオールトランス−β−カロチンの溶解度が大きく影響を受けるために、実際には9−シス−β−カロチンとオールトランス−β−カロチンを分離するために最適なヘキサン添加量は計算値と一致しない場合が多い。
従って、本発明者等は種々の実験および検討を重ねた結果、上記の第1工程で得られた濃縮物−Aの1g当たり1−5mlのヘキサンを添加するのが適当であることが判明した。この量範囲内でヘキサンを添加した後に撹拌すればオールトランス−β−カロチンが析出するので、これを濾過等により分離・除去する。
尚、濃縮物−Aに添加するヘキサンの量が上記の範囲から外れた場合、 即ち、濃縮物−Aの1g当たりのヘキサン量が1ml未満の場合には、9−シス−β−カロチンがオールトランス−β−カロチンと共に析出し易くなり、9−シス−β−カロチンの損失となる。一方、濃縮物−Aの1g当たりのヘキサン量が5ml以上の場合、ヘキサン溶媒中にオールトランス−β−カロチンが残存し、最終的に高純度9−シス−β−カロチン含有組成物を得ることが困難となる。
尚、撹拌温度は室温または0℃で差し支えがないが、攪拌後のおいてオールトランス−β−カロチンを効率よく析出させるためには低温で、例えば−20℃程度で静置した状態にして置くことが望ましい。
その後、濾過等によりオールトランス−β−カロチンを分離し、得られた濾液を濃縮すれば、粘張油状物 (以下、「濃縮物−B」と称する) が得られる。
第3工程では、9−シス−β−カロチン含有の粗結晶を得るための操作を行う。即ち、上記の第2工程で得られた濃縮物−Bに、ヘキサンを添加して撹拌し、静置した後に濾過して析出物を得ることができ、該析出物をエタノールにて洗浄して粗結晶を得ることができる。
前記第2工程で得られた濃縮物−B中には依然としてカロチン以外の不純物が混在している。この段階における不純物はヘキサンに容易に溶解するために9−シス−β−カロチンを析出させるためには、なるべく少量のヘキサンを用いることが望ましい。
この場合に、9−シス−β−カロチン含有の粗結晶を析出させるために最適なヘキサン添加量を検討した結果、濃縮物−Bの1g当たりヘキサンを0.5−1ml添加するのが適当であることを見い出した。即ち、当該量の範囲内でヘキサンを添加して濃縮物−Bを溶解させて静置すれば、9−シス−β−カロチン含有の粗結晶が固形体として析出するのである。
濃縮物−Bに添加するヘキサンの量が上記の所定量よりも少な過ぎる場合、即ち 濃縮物−B1g当たりのヘキサン量が0.5ml未満の場合には、不純物と共に9−シス−β−カロチンも溶解し、固体として析出させることが困難になる場合があり、また9−シス−β−カロチンが析出するにしても、析出固体中に不純物が取り込まれ易くなるので最終品の純度が低下する。一方、濃縮物−B1g当たりのヘキサン量が1ml以上の場合には、ヘキサン中に多少の9−シス−β−カロチンが残存することになるので収量が低下する。
この第3工程において、9−シス−β−カロチン含有する粗結晶を析出させるための静置温度は室温でも可能であるが低温であるのが好ましく、より効率よく析出させるためには−20℃程度で静置するのが有利である。静置後に析出物を濾取し、エタノールで洗浄して固形の粗結晶を得ることができる。
このようにして得られた粗結晶は、第4工程で粗結晶の1gに対してヘキサン0.5−5ml/g添加して溶解させ、その後エタノールを少量ずつ添加して9−シス−β−カロチンを析出させる。この工程では、不純物を溶媒へ移行させて9−シス−β−カロチン含有量を高めるのであり、特に、エタノールの添加によってエタノールに可溶な不純物を除去することにより9−シス−β−カロチンが効率よく結晶化し析出されるのである。
析出した固形物は橙色を呈しており濾過した後に、該橙色固形物1gに対してエタノール5ml/gを添加して洗浄してから乾燥させることにより、高純度9−シス−β−カロチン含有組成物が得られる。
このようにして得られた9−シス−β−カロチン含有組成物中の9−シス−β−カロチン含有量は、総カロチン量に対して90%以上で、カロチン以外の不純物をも含めた総量に対しては85%以上であった。
[実施例等]
次に、実施例及び試験例により本発明を更に詳細に且つ具体的に説明する。
[実施例1](9−シス−β−カロチン含有組成物の製造)
デュナリエラバーダウィル (Dunaliella bardawil) 藻体の乾燥粉末1000gにエタノール4000mlを添加し、室温で10分間撹拌した後に濾過した。更に、濾取した藻体粉末に再びエタノール4000mlを添加し、室温で15分間撹拌した後に濾過することにより洗浄藻体粉末を得た。これにアセトン:ジクロロメタン=10:1の混合液4500mlを添加し室温で30分間撹拌した後に濾過することにより濾液を採取した。この濾取した藻体にさらにヘキサン4500mlを添加し室温で30分間攪拌した後に濾過し、濾液を採取した。これら2種類の濾液を混合し濃縮することにより黒褐色の半固体状物質(濃縮物−A)54gを得た。この半固体状濃縮物にヘキサン54ml(半固体状濃縮物 1gに対しヘキサン1mlに相当)を添加し、−20℃ にて1時間撹拌した後に濾過することにより濾液を採取した。この濾液を濃縮することにより黒褐色で光沢を呈する粘張油状物32gを得た。この粘張油状物にヘキサン16ml(粘張油状物1gに対しヘキサン0.5mlに相当)を添加し溶解させた後に −20℃で一夜放置した。析出した固体を濾取し、粗結晶21gを得た。この粗結晶にヘキサン20mlを添加し溶解させた後にエタノール10mlを徐々に加え、析出した固体を濾過し、6063gの固体を得た。この固体に再度ヘキサン30ml添加して溶解させ、エタノール20mlを徐々に加え、析出した固体を濾過し、橙色固形物を得た。この橙色固形物をエタノールで洗浄し、減圧下で乾燥させることにより、所望の高純度9−シス−β−カロチン含有組成物3.81gを橙色粉末として得た。
[試験例1] (高速液体クロマトグラフィー分析)
上記の実施例により得られた9−シス−β−カロチン含有組成物を高速液体クロマトグラフィー分析した。高速液体クロマトグラフィーの分析条件は以下の通りである。
検出器 : フォトダイオードアレイ検出器 (MCPD-3600, Tosoh Corp.)
検出波長 : 450nm
ガードカラム : TSK guardgel ODS-120A (3.2mm I.D. x 15mm, Tosoh Corp.)
分析カラム : Vydac 201TP54 (4.6mm I.D. x 250mm, The Separations Group,
Hesperia, CA)
カラム温度 : 27 ± 0.1℃
移動相 : 10mM 酢酸アンモニウム含有メタノール−クロロホルム (95/5) 混液
上記の分析条件によるクロマトグラムが図 1 に示されている。分析結果より総カロチン量に対する9−シス−β−カロチンの比率を算出したところ97.01%であることが判明し、本発明により得られる9−シス−β−カロチン含有組成物は高純度であることが明らかになった。
尚、本9−シス−β−カロチン含有組成物に含まれる総カロチン量は97.92%であった。その中で9−シス−β−カロチンが97.01%を占めていたため、本発明における9−シス−β−カロチン含有組成物総量中の9−シス−β−カロチン含有量は95.0%であることが判明した。
本発明の製法によって得られた9−シス−β−カロチン含有組成物は、純度が高いので、抗癌作用及び活性酸素の消去機能も高くなっており、健康食品または医薬品として広く利用できるのである。
本発明により得られた9−シス−β−カロチン含有組成物を高速液体クロマトグラフィー分析した結果を示すクロマトグラフである。

Claims (10)

  1. デュナリエラ (Dunaliella) 属藻類の乾燥粉末をエタノールにより洗浄した後に、アセトン:ジクロロメタン混合液を添加して攪拌し、濾過して濾液を回収し、残渣にヘキサンを添加して撹拌・濾過して、先の濾液と合わせて濃縮する第1工程と、得られた半固体状濃縮物に更にヘキサンを添加して撹拌し、低温で静置し濾過して濾液を濃縮する第2工程と、得られた油状濃縮物をヘキサンに溶解させ、静置して固形体を析出させ、該析出物を濾取し、エタノールにて洗浄して粗結晶を得る第3工程と、該粗結晶をヘキサンに溶解させエタノールを少量ずつ添加して固形物を析出させ、該析出固形物をエタノールで洗浄し乾燥させる第4工程とを備えていることを特徴とする高純度9−シス−β−カロチン含有組成物の製法。
  2. デュナリエラ属藻類がデュナリエラ サリーナ (Dunaliella salina) 又はデュナリエラバーダウィル (Dunaliella bardawil) であることを特徴とする請求項1に記載の高純度9-シス-β-カロチン含有組成物の製法。
  3. 前記第1工程において、洗浄済み藻体に添加される混合液のアセトンとジクロロメタンの混合割合は10:1であること
  4. 前記第2工程において、半固体状濃縮物1gに対してヘキサンが1−5mlの量割合で添加されることを特徴とする請求項1又は2に記載の高純度9−シス−β−カロチン含有組成物の製法。
  5. 前記第2工程における低温の静置は、−20℃で行うことを特徴とする請求項1乃至3の何れかに記載の高純度9−シス−β−カロチン含有組成物の製法。
  6. 前記第3工程において、油状濃縮物1gに対してヘキサンを0.5−1mlの量割合で添加されることを特徴とする請求項1乃至4の何れかに記載の高純度9−シス−β−カロチン含有組成物の製法。
  7. 前記第4工程において、粗結晶1gに対してヘキサンを0.5−5mlの量割合で添加して溶解させることを特徴とする請求項1乃至6の何れかに記載の高純度9−シス−β−カロチン含有組成物の製法。
  8. 前記第4工程において、添加ヘキサン1mlに対してエタノール0.2−1mlを添加することを特徴とする請求項1乃至7の何れかに記載の高純度9−シス−β−カロチン含有組成物の製法。
  9. 前記第4工程において、析出固形物1gに対してエタノール5mlを添加して洗浄することを特徴とする請求項1乃至8の何れかに記載の高純度9−シス−β−カロチン含有組成物の製法。
  10. デュナリエラ (Dunaliella) 属藻類の乾燥粉末をエタノールにより洗浄した後に、アセトン:ジクロロメタン混合液を添加して撹拌し、濾過して濾液を濃縮する第1工程と、得られた半固体状濃縮物に更にヘキサンを添加して撹拌し、低温で静置し濾過して濾液を濃縮する第2工程と、得られた油状濃縮物をヘキサンに溶解させ、静置して固形体を析出させ、該析出物を濾取し、エタノールにて洗浄して粗結晶を得る第3工程と、該粗結晶をヘキサンに溶解させエタノールを少量ずつ添加して固形物を析出させ、該析出固形物をエタノールで洗浄し乾燥させる第4工程とを経て得られた組成物であり、橙色であって粉末状又は結晶状を呈しており、9−シス−β−カロチン含有量が90%以上であることを特徴とする高純度9−シス−β−カロチン含有組成物。
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