JP2010101850A - 固定化担体及びその製造方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】短時間で精度よく且つ簡便に、目的とする分子を検出することができる固定化担体を提供する。
【解決手段】担体上に、発光物質で標識された標識部位を有する標識抗体及び当該標識抗体からの発光を認識する認識部位を有する認識抗体の組み合わせを構成すると共に1種の抗原を認識する少なくとも2種の抗体が、当該抗原に共に結合した場合と同一の位置関係で且つ、各抗体分子中のチオール基又は糖鎖を固定化部位としてそれぞれ固定化されている固定化担体と、前記少なくとも2種の抗体と当該抗原とを接触させて、前記抗体と前記抗原とが結合した複合体を形成する工程、前記複合体を、前記抗体分子のチオール基又は糖鎖を固定化部位として、前記抗体を担体に固定化する工程、前記単体に固定化された複合体から前記抗原を除去して、前記抗原に結合した場合と同一の位置関係で前記担体上に前記抗体がそれぞれ固定化されている固定化担体を得ることを含む方法。
【選択図】なし

Description

本発明は、固定化担体及びその製造方法に関する。
種々のタンパク質を対象物質として精度よく検出する系として、免疫測定法、例えばELISA法がよく知られている。この免疫測定法では、タンパク質と、このタンパク質に対する特異的な抗体とを、それぞれ対象物質と検体物質とし、これらの特異的な相互作用に基づいて対象物質を感度よく検出するものである。ELISA法は、感度や操作性の観点から種々改良されているが、大量の試料を短時間で簡便に且つ感度よく検出することに対する要求が、近年ますます高くなっている。
このような対象物質と検体物質間の特異的な結合反応を効果的に利用する他の系としては、分子プリンティングという技術が存在する。
例えば特許文献1では、対象分子に対するリガンドを導入したモノマー又はポリマーと対象分子との複合体を、高分子架橋剤と反応させて、リガンドと対象分子との複合体を含有するゲルを作成してから、対象分子をこのゲルから除去することにより得られた分子インプリントゲルを開示している。この特許文献1では、抗AFP抗体及びレクチンを含むゲル担体に抗原としてのAFPを添加すると、抗AFP抗体及びレクチンがAFPに結合することによりゲルが収縮することが開示されており、このようなゲルの膨潤収縮によりAFP(対象分子)の存在を感知することができると記載されている。
しかしながら、重合により抗原抗体複合体を担体へ固定しているため、抗原が抗体に辿り着くためには、ゲル中の三次元網目構造中を拡散せねばならない。このため、充分に反応を起こさせるには時間がかかり、物質が確実に認識されるのに2〜4時間要する。更に、抗原の洗浄除去の際にも同様の理由から、効率よく除去できず、更に応答性が悪くなる傾向がある。
上記の技術と同様に抗原抗体反応による特異的な結合を利用した系として、特許文献2には、それぞれ蛍光標識した抗原と抗体をリンカーで繋いだ免疫測定用試薬が開示されている。この免疫測定用試薬では、競合する抗原が存在しない場合には、抗原抗体複合体形成により蛍光共鳴エネルギー転移(FRET)が生じるが、競合する抗原が存在する場合には、抗体が結合する抗原の種類が変更される結果、FRETが生じない。この結果、このような競合する抗原の有無を検出することができると記載されている。しかしながら、抗原抗体複合体が担体へ固定されていないため、そもそも繰り返し利用することができないといった利便性に劣り、更には、競合法による検出のため、感度も悪い傾向にある。またこのようにリンカーを介して2つの反応体を繋ぐ場合、反応体が効果的に作用できるようにリンカーを設計しなければならず、必ずしも汎用性の高い手法とは言えない。一方で、リンカーがなければ近接に固定化できない。
また、非特許文献1には、抗体固定化をF(ab’)に断片化し、支持体上に露出したチオール基に対して特異的に結合することにより、標的分子を配向させ固定化させた支持体が開示されている。しかしながら、標的分子と抗体との検出をELISA法により行っているため、検出の際、固定化と洗浄の繰り返し操作が必要となる。
また、繰り返し利用可能で簡便な検出系として、非特許文献2には、疎水場応答性蛍光物質を標識した抗体を担体に固定し、これを利用する検出系が開示されている。しかしながらこの系では、抗原の認識により抗原抗体の界面が疎水場を形成する必要があり、抗原と抗体の組み合わせが特殊なものに限られ、汎用性が低い。また、蛍光物質も抗体の抗原認識部位近傍に標識しなければならず、高度に設計する必要があり、製造の面でコストと手間がかかる。
特開2006−138656号公報 特開2007−40834号公報 Bioconjucate Chem., (1993) Vol. 4, pp.528-536 日本分析化学会第57年会 講演要旨集 (2008) p97 E3017
このように、上記の技術のいずれにおいても、目的とする分子を、短時間で精度よく且つ簡便に検出するという固定化担体としては不十分である。
本発明はこのような事情に鑑みなされたものであって、短時間で精度よく且つ簡便に、目的とする分子を検出することができる固定化担体を提供することを目的とする。
また本発明は、このような固定化担体を効率よく製造することができる製造方法を提供することを目的とする。
本発明は以下の通りである。
<1> 担体上に、発光物質で標識された標識部位を有する標識抗体及び当該標識抗体からの発光を認識する認識部位を有する認識抗体の組み合わせを構成すると共に1種の抗原を認識する少なくとも2種の抗体が、当該抗原に共に結合した場合と同一の位置関係で且つ、各抗体分子中のチオール基又は糖鎖を固定化部位としてそれぞれ固定化されている固定化担体
<2> 前記担体が親水性ポリマー層を有し、前記少なくとも2種の抗体が該親水性ポリマー層を介して担体に固定化されている<1>に記載の固定化担体。
<3> 前記親水性ポリマーが多糖類である<1>又は<2>記載の固定化担体。
<4> 前記親水性ポリマー層が、シランカップリング剤を介して担体に固定化されている<1>〜<3>のいずれかに記載の固定化担体。
<5> 前記発光物質が、蛍光色素及び蛍光タンパク質からなる群より選択されたものである<1>〜<4>のいずれかに記載の固定化担体。
<6> 前記標識部位と前記認識部位との間で蛍光共鳴エネルギー転移反応が生じうる<1>〜<5>のいずれかに記載の固定化担体。
<7> 前記抗体と前記抗原との結合反応に基づくバイオリアクター又はバイオセンサーに用いられる固定化担体である<1>〜<6>のいずれかに記載の固定化担体。
<8> 発光で標識された標識部位を有する標識抗体と当該標識抗体からの発光を認識する認識部位を有する認識抗体との組み合わせを構成すると共に1種の抗原を認識する少なくとも2種の抗体と、当該抗原とを接触させて、前記抗体と前記抗原とが結合した複合体を形成する形成工程と、前記抗体分子に備えられたチオール基又は糖鎖を固定化部位として、前記抗体を担体に固定化する固定化工程と、前記複合体から前記抗原を除去して、前記抗原に結合した場合と同一の位置関係で前記担体上に前記抗体がそれぞれ固定化されている固定化担体を得る除去工程と、を含む固定化担体の製造方法。
<9> 前記少なくとも2種の抗体の、ヒンジ部のチオール部、又は定常部の糖鎖部に前記固定化部位を生成する固定化部位生成工程を更に含む<8>に記載の固定化担体の製造方法。
<10> 前記固定化部位生成工程で得られた抗体を前記形成工程に供する<9>記載の固定化担体の製造方法。
<11> 前記除去工程が、複合体及び抗原の結合力を低下させる条件下で行われる<8>〜<10>のいずれかに記載の固定化担体の製造方法。
本発明によれば、短時間で精度よく且つ簡便に、目的とする分子を検出することができる固定化担体を提供することができる。
本発明の固定化担体は、担体上に、発光物質で標識された標識部位を有する標識抗体及び当該標識抗体からの発光を認識する認識部位を有する認識抗体の組み合わせを構成すると共に1種の抗原を認識する少なくとも2種の抗体が、当該抗原に共に結合した場合と同一の位置関係で且つ、各抗体分子中のチオール基又は糖鎖を固定化部位としてそれぞれ固定化されている固定化担体である。
本発明の固定化担体は、各抗体分子中に設けられたチオール基又は糖鎖を固定化部位として、抗原に共に結合した場合と同一の位置関係で少なくとも2種の抗体が担体上に固定化されているので、抗原が存在すると、固定化担体上の抗体同士が容易に抗原を認識して結合することができる。これにより、発光物質による標識部位を有する標識抗体と、その発光を認識する認識抗体とが抗原の存在によって接近するので、発光に基づく反応、例えばFRETやBRETなどの反応がこれらの抗体間で生じやすく、このような反応に基づいて、短時間で精度よく且つ簡便に抗原の検出を行うことができる。
また、2種の抗体をリンカーで連結する場合、抗原と抗体の組み合わせによって、2種の抗体間の距離が変わってくるため、抗原の種類によって最適なリンカーの設計を行わなければならない。更に発光物質標識においても、同一分子上の2種の抗体に対して、それぞれ別々の発光物質を標識する必要があり、製造の面で非常に手間とコストがかかる。一方で本発明は、2種の抗体をリンカーで連結する必要がなく、従ってどのような抗原抗体の組み合わせに対しても適用することができ、標識も別々に行うことができるため、非常に汎用性が高く、製造適正に優れた手法であると言える。
更に、抗原がタンパク質の場合、アミノ基を介したランダム結合による固定では、抗原も非特異的な結合形成により共有結合で担体に固定化されてしまう場合があるが、本発明では抗原抗体複合体を抗体の特定の部位で固定化するため、抗原は結合されない。従ってランダム結合と比較しバックグラウンドが抑えられ、高感度に抗原を検出できる。
以下、本発明について更に説明する。
(I)固定化担体
(1)担体
本発明の担体は、一般的にはBK7等の光学ガラス、あるいは合成樹脂、具体的にはセファロース、ポリエチレン、ポリスチレン、ポリ(メタ)アクリル酸、ポリ(メタ)アクリルアミド、ポリメチル(メタ)クリレート、ポリエチレンテレフタレート、ポリカーボネート、シクロオレフィンポリマーなどの光源に対して透明な材料に、官能基が付与されたものが望ましい。官能基は例えば、チオール基を固定化する場合には、マレイミド基、ピリジルジスルフィド基などを、糖鎖を固定化する場合にはヒドラジド基、ヒドラジン基などを挙げることができる。
これらの官能基を付与する方法は、プラズマ処理、オゾン処理、酸・アルカリによるエッチング処理や自己組織化膜などを用いた公知の表面処理方法を採ることができるが、製造適性の観点から自己組織化膜を使用することが好ましい。
自己組織化膜の形成方法としては、シランカップリング剤を使用する方法が挙げられる。
(1−1)シランカップリング剤を使用する方法
シランカップリング剤を使用する方法では、上述した担体に、以下に記すシランカップリング剤を付与することで、シランカップリング剤による自己組織化膜が形成され、担体上に官能基を付与することができる。
本発明に使用可能なシランカップリング剤としては、一般式A−1(一般式A−1において、Xは官能基を示し、Lは直鎖、分岐鎖、環状鎖の炭素鎖を含むリンカー部位を示し、Rは水素、もしくは炭素数1〜6のアルキル基を示し、Yは加水分解基を示す。また、m,nはそれぞれ0〜3の整数を示しm+n=3とする。)に示すケイ素含有化合物を利用することにより、担体−酸素−ケイ素−炭素といった共有結合を形成させることにより、担体表面に官能基を付与することができる。
ここで、加水分解基(Y)とは、アルコキシ基、ハロゲン、アシロキシ基などが挙げ
られ、より具体的にはメトキシ基、エトキシ基、塩素などが挙げられる。シランカップリング剤として具体的には、γ−アミノプロピルトリメトキシシラン、N−β(アミノエチル)γ−アミノプロピルトリメトキシシラン、γ−アミノプロピルメチルジエトキシシラン、γ−メルカプトプロピルトリメトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルトリエトキシシランなどが挙げられる。シランカップリング剤の反応方法としては一般的な方法に従えばよく、例えば書籍、シランカップリング剤の効果と使用法(サイエンス&テクノロジー社)に記載の方法を利用することができる。
シランカップリング剤が有する官能基(Xa)としては、抗体と、又は後述するようにポリマーと結合すれば特に限定はされず、アミノ基、カルボキシル基、ヒドロキシル基、アルデヒド基、チオール基、イソシアネート基、イソチオシアネート基、エポキシ基、シアノ基、ヒドラジン基、ヒドラジド基、ビニルスルホン基、ビニル基、マレイミド基、ピリジルジスルフィド基など任意の官能基とその組み合わせやその誘導体を利用することができるが、中でも好ましい官能基(Xa)は、抗体と直接結合する場合には前述したマレイミド基、ピリジルジスルフィド基、ヒドラジド基又はヒドラジン基であり、後述するポリマーと結合する場合には、アミノ基とエポキシ基である。
このような自己組織化膜の膜厚は任意であるが、10μm以下とすれば、被検体物質が膜内を拡散しやすくでき、0.2nm以上とすれば、固定目的物質の固定量を多くすることができる。
また、本発明では、上述した自己組織化膜に抗体を直接固定することも可能であるが、抗体の抗原結合率向上の観点から、自己組織化膜を形成した上にポリマー層を形成して、担体表面に抗体を固定するための官能基を付与することが好ましい。本発明で用いることができるポリマーとしては、親水性ポリマーを好ましく使用することができ、具体的にはアガロース、キトサン、デキストラン、アルギン酸、カラゲナン、澱粉、セルロースなどの多糖類、ゼラチン、ポリリジン、又はこれらの誘導体、例えばカルボキシメチル誘導体;又は、水膨潤性有機ポリマー、例えばポリビニルアルコール、ポリアクリル酸、ポリアクリルアミド、ポリエチレングリコール又はこれらの誘導体などを挙げることができる。
本発明で用いる親水性ポリマーとしてはさらに、カルボキシル基含有合成ポリマーおよびカルボキシル基含有多糖類を用いることが好ましい。カルボキシル基含有合成ポリマーとしては、ポリアクリル酸、ポリメタクリル酸、およびこれらの共重合体、例えば特開昭59−53836号明細書第3頁右上欄第2行目〜第6頁左下欄第9行目、特開昭59−71048号明細書第3頁左下欄第1行目〜第5頁左上欄第3行目に記載されているようなメタクリル酸共重合体、アクリル酸共重合体、イタコン酸共重合体、クロトン酸共重合体、マレイン酸共重合体、部分エステル化マレイン酸共重合、水酸基を有するポリマーに酸無水物を付加させたものなどが挙げられる。
カルボキシル基含有多糖類は、天然植物からの抽出物、微生物発酵の生産物、酵素による合成物、または化学合成物の何れであってもよく、具体的には、ヒアルロン酸、コンドロイチン硫酸、ヘパリン、デルマタン酸硫酸、カルボキシメチルセルロース、カルボキシエチルセルロース、セロウロン酸、カルボキシメチルキチン、カルボキシメチルデキストラン、カルボキシメチルデンプン等が挙げられる。カルボキシル基含有多糖類は、市販の化合物を用いることが可能であり、具体的には、カルボキシメチルデキストランであるCMD、CMD−L、CMD−D40(名糖産業社製)、カルボキシメチルセルロースナトリウム(和光純薬社製)、アルギン酸ナトリウム(和光純薬社製)、等を挙げることができる。
本発明で用いる親水性ポリマーの分子量は特に限定されないが、一般的には重量平均分子量が2×10以上5×10以下であることが好ましい。さらに好ましい親水性ポリマーの分子量は1×10以上2×10以下である。この範囲より重量平均分子量が小さい場合には抗体の固定量が小さくなることがあり、この範囲より重量平均分子量が大きい場合には高い溶液粘度のため取り扱いが困難となることがある。
このようなポリマー層の膜厚は、水溶液中の膜厚として1nm以上0.5mm以下であることが好ましく、より好ましくは1nm以上1μm以下であることが望ましい。膜厚が薄いと生理活性物質固定量が減少し、被検体物質との相互作用が起こりにくくなる。一方、膜厚が厚いと親水性ポリマーの均一性が保てなくなる可能性があり、また被検体物質が膜内に拡散する障害となり、検出感度が低くなる可能性がある。水溶液中の親水性ポリマー膜厚はAFM、エリプソメトリーなどで評価することができる。
カルボキシル基を含有するポリマーを使用する場合、カルボキシル基を活性化することによって、担体表面にマレイミド基やピリジルジスルフィド基、ヒドラジド基やヒドラジン基を付与することができ、これらを介して抗体を部位特異的に固定することができる。カルボキシル基を含有するポリマーにマレイミド基を導入する方法としては、公知の手法、例えば、水溶性カルボジイミドである1-(3-Dimethylaminopropyl)-3 ethylcarbodiimide(EDC)によりポリマーにアミノ基を導入し、マレイミド基とN-ヒドロキシスクシンイミド活性エステルを分子の両端に持つ二価性架橋剤を用いてマレイミド基を導入する方法を好ましく用いることができる。
具体的には、下記構造式で示される二価性架橋剤を用いることができる。また上記構造式で示される化合物のメチレン鎖長を変更したものやSONa基を付加して水溶性を向上させたものも同様に用いることができ、例えば以下のものを挙げることができる。




カルボキシル基を含有するポリマーにピリジルジスルフィド基を導入する方法としては、EDCとエチレンジアミン等のジアミンによりポリマーにアミノ基を導入し、ピリジルジスルフィド基とN-ヒドロキシスクシンイミド活性エステルを分子の両端に持つ二価性架橋剤を用いてピリジルジスルフィド基を導入する方法を好ましく用いることができる。具体的には、下記構造式で示される二価性架橋剤を用いることができる。また下記構造式で示される化合物のメチレン鎖長を変更したものやSONa基を付加して水溶性を向上させたものも同様に用いることができる。
カルボキシル基を含有するポリマーにヒドラジド基を導入する方法としては、EDCとエチレンジアミン等のジアミンによりポリマーにアミノ基を導入し、ヒドラジド基とN−ヒドロキシスクシンイミド活性エステルを分子の両端に持つ二価性架橋剤を用いてヒドラジド基、ヒドラジン基を導入する方法を好ましく用いることができる。具体的には、下記構造式で示されるヒドラジド又はヒドラジン化化合物などの二価性架橋剤を用いることができる。また下記構造式で示される化合物のメチレン鎖長を変更したものやSONa基を付加して水溶性を向上させたものも同様に用いることができる。
また上記形成したマレイミド基に対して、末端チオール基を有するヒドラジド基を用いてヒドラジド基を導入する方法も用いることができる。また下記構造式で示される化合物のメチレン鎖長を変更したものも同様に用いることができる。

また親水性ポリマーとしては、ポリリジンなどのアミノ基を有するものを用いることもでき、この場合は、上記二価性架橋剤を直接作用させることで、官能基を導入することができる。
本発明において親水性ポリマー層は、溶液として担体と反応させてもよく、また、スピンコート等の手法を用いて担体上の薄膜を形成させた状態で反応させてもよい。好ましくは、薄膜を形成させた状態での反応である。
上記の通り、本発明において活性化されたカルボキシル基を含有するポリマーは、薄膜状態で担体と反応させることが好ましい。担体上に薄膜を形成させる方法は、公知の方法を用いることが可能であるが、具体的には、エクストルージョンコート法、カーテンコート法、キャスティング法、スクリーン印刷法、スピンコート法、スプレーコート法、スライドビードコート法、スリットアンドスピン方式、スリットコート方式、ダイコート法、ディップコート法、ナイフコート法、ブレードコート法、フローコート法、ロールコート法、ワイヤバーコート方式、転写印刷法、等を用いることが可能である。これらの薄膜形成法については、「コーティング技術の進歩」原崎勇次著、総合技術センター(1988)、「コーティング技術」技術情報協会(1999)、「水性コーティングの技術」シーエムシー(2001)、「進化する有機薄膜 成膜編」住べテクノリサーチ(2004)、「高分子表面加工学」岩森暁著、技報堂出版(2005)、等に説明されている。膜厚制御された塗布膜を簡便に作製可能であることから、本発明において担体上に薄膜を形成させる方法としては、スプレーコート法またはスピンコート法が好ましく、スピンコート法がさらに好ましい。
(2)抗体
本発明では、上述した担体上に、1種の抗原を認識する少なくとも2種の抗体が固定化されている。
ここで担体には、天然型の免疫グロブリン分子として存在するものであってよく、また人為的に合成されたものでもよく、更には人為的に変異の導入や複合化、断片化されたものでもよい。抗体としては、種々の免疫グロブリン、即ちIgG、IgM、IgA、IgE、IgDやこれらの誘導体、複合体、断片を使用することができる。組み合わせて使用する抗体は、1種の抗原を認識するものであれば、抗体分子として同一であっても異なっていてもよい。
このような抗体は、上述した官能基が導入された担体に、各抗体分子中のチオール基又は糖鎖を固定化部位としてそれぞれ固定化されている。この固定化部位は、抗体分子の抗原結合部位への抗原の結合を阻止しない部分であればよく、チオール基又は糖鎖を介して担体に結合可能であれば、いずれの位置にあってもよい。
抗体のチオール基は、抗体分子中に人為的に外部から導入したものであってもよいが、抗体分子のヒンジ部に相当するジスルフィド結合に由来するものであることが好ましい。このため、チオール基を介して担体に固定化される抗体は、チオール基を露出する処理を行った断片化抗体であることが好ましい。このような断片化抗体としては、抗体結合部位が存在していればどのような形態であってもよく、1本鎖のH鎖、1本鎖のL鎖、H鎖とL鎖との二量体、又はこれらをペプシン等の酵素処理断片、例えばFab’、F(ab’)などを挙げることができる。抗体結合の高さの観点から、H鎖及びL鎖の二量体で構成された断片化抗体であることが好ましい。固体のチオール基を固定化部位とすることは、抗体分子と担体との距離を調整しやすく、また全体としての適度なサイズに抑えることができるため、好ましい。
抗体分子中の糖鎖は、抗原決定部位への抗原の結合に影響しない限り、抗体分子中のいずれにあってもよく、適当なリンカー等を介して人為的に導入したものであってもよい。好ましくは、定常部に存在する糖鎖をそのまま利用したものである。定常部に糖鎖を有する抗体の場合には、抗原結合部と糖鎖部位を備えていれば如何なるものであってもよく、無傷の抗体分子であってもよく断片化抗体であってもよい。抗体の糖鎖を有する定常部は、H鎖であってもL鎖であってもよい。このような糖鎖を有する断片化抗体は、当業界で公知の方法を用いて製造することができる。
固定化部位としての糖鎖を利用する場合には、ヒドラジン基と結合させるため、水酸基を還元してアルデヒド化する必要がある。
なお、抗体分子中の抗原結合部位と担体との間に充分な距離をとるため、固定化部位と上記中間層との間にリンカーを追加してもよい。このようなリンカーとしては、ポリエチレングリコールやポリアミン、2−メタクリロイルオキシエチルホスホリルコリン(MPC)ポリマー等の親水性合成ポリマーや、ペプチドリンカー、特に好ましくはグリシン、セリン、アルギニン等の親水性アミノ酸残基からなるペプチドリンカーを挙げることができる。
また、担体に固定化する2種以上の抗体は、発光物質で標識された標識部位を有する標識抗体及び当該標識抗体からの発光を認識する認識部位を有する認識抗体の組み合わせを構成するものである。担体上に固定化される抗体が、このような組み合わせを構成することができれば、2種に限らず、3種又はそれ以上の抗体を用いてもよい。このような複数種の抗体を用いることにより、1種の抗原を挟んで、標識抗体と認識抗体とが接近する。この結果、標識抗体上の発光物質からの発光を、標識抗体が容易に認識することができる。
本発明において「発光物質」とは、励起光や酸化反応等によって生じた励起状態から基底状態に遷移する過程で光を発生することができる物質を広く包含する。本発明における標識抗体及び認識抗体は、いずれも発光物質で標識されたものであってもよく、標識抗体のみが発光物質で標識されたものであってもよい。標識抗体及び認識抗体が発光物質で標識されたものである場合には、抗原との結合や担体との結合に影響しない部位に標識されていればいずれの部位にあってもよい。発光物質の発光を認識することができる認識抗体の標識は、発光物質に限らず、繰り返し使用可能なものであれば、特に制限しない。例えば、一重項酸素の発生により蛍光物質を発光させることが出来る、Alpha Screen(Perkinelmer社製)キットを使用することができる。
好ましくは、標識抗体及び認識抗体にそれぞれ標識される発光物質は、検出の精度、簡便性等の観点から、標識抗体上の発光物質との間で、蛍光共鳴エネルギー転移反応(FRET)を生じうる蛍光ドナー物質及びアクセプター物質、生物発光共鳴エネルギー転移(BRET)を生じうる発光ドナー物質及びアクセプター物質とすることができる。標識抗体及び認識抗体のいずれもが、両者間でFRETを生じうる発光物質(即ち、蛍光物質)で標識された抗体であることがより好ましい。
FRETを生じうる蛍光物質としてはドナー物質もアクセプター物質も、公知のものをいずれも使用することができ、中でも、蛍光色素及び蛍光タンパク質からなる群より選択されたものを用いることできる。蛍光色素としては、フルオレセイン誘導体、ローダミン誘導体、アミノクマリン誘導体、ヒドロキシクマリン誘導体、BODIPY誘導体、アントラセン誘導体、ベンゾフラン誘導体、ポルフィリン誘導体、Cy Dye、Alexa Fluor、ユーロピウムクリプテート、DyLight、HiLyte Fluor、Oyster、MegaStokes Dye、IRDye、また、特開2001−089482号公報記載のアザメチン化合物などを挙げることができる。蛍光タンパク質としては、例えば、DFP、YFP、GFP、BFPなどを挙げることができる。これらの蛍光色素及び蛍光タンパク質の中でも、蛍光安定性や蛍光寿命、汎用性の観点から蛍光色素がより好ましく、Alexa Fluorが特に好ましい。
またBRETを生じ得る生物学的発光ドナー物質としては、例えば、ホタル(Photinus pyralis)ルシフェリン、ウミホタル(Cypridina)ルシフェリン、ウミシイタケ(Renilla reniformis)ルシフェリン、発光ミミズ(Diplocardia)ルシフェリン、ラチア(Latia neritoides)ルシフェリン、ホタルイカ(Wataseniae)ルシフェリンやバクテリアルシフェリン(還元型フラビンモノヌクレオチド)のような発光生物由来のルシフェリンの外、オワンクラゲ由来のエクオリンなどを用いることができる。アクセプター物質としては、上記のFRETでアクセプター物質として使用可能な蛍光タンパク質及び蛍光色素をそのまま利用することができる。
FRET又はBRETによる発光認識・検知機構は、当業界では周知であり、例えば、生物物理 Vol.42(1), pp.28-31 (2002)に開示された方法を用いて検知することができる。この方法では、FRET又はBRETのドナー物質に励起光を照射又は酵素反応下に付すことによって得られた発光を測定、検知することにより、FRET又はBRETの有無を確認することができる。これにより、固定化担体上に固定化された抗体に対する抗原結合の有無を検出することができる。
(3)固定化担体の製造方法
本発明における固定化担体の製造方法は、発光物質で標識された標識部位を有する標識抗体と当該標識抗体からの発光を認識する認識部位を有する認識抗体との組み合わせを構成すると共に1種の抗原を認識する少なくとも2種の抗体と、当該抗原とを接触させて、前記抗体と前記抗原とが結合した複合体を形成する形成工程と、前記抗体分子に備えられたチオール基又は糖鎖を固定化部位として、前記抗体を担体に固定化する固定化工程と、前記複合体から前記抗原を除去して、前記抗原に結合した場合と同一の位置関係で前記担体上に前記抗体がそれぞれ固定化されている固定化担体を得る除去工程と、を含む。
この製造方法によれば、少なくとも2種の抗体とこれらが認識する1種の抗原とで構成された複合体を担体上に固定化した後に抗原を除去するので、抗原に結合した場合と同一の位置関係に、即ち、発光を認識できる位置関係に、標識抗体と認識抗体とを容易に固定化した固定化担体を簡便に製造することができる。
複合体を形成する形成工程では、抗体と抗原からなる複合体は、公知の手法により形成することができ、具体的には、上述した抗体と抗原とを混合させることによって容易に得ることができる。
このとき、抗原は低分子でもタンパク質等の高分子でもよい。また、複合体の形成分子数はいくつでもよいが、量比の制御を容易にする観点から、複合体を形成する分子数は、2種の抗体と抗原のように、3分子数であることが好ましい。
固定化工程では、前記抗体分子に備えられたチオール基又は糖鎖を固定化部位として、前記抗体を担体に固定化する。固定化工程と上記の手法により形成された複合体を、担体が有する固定化部位の種類に応じて適宜反応させ、担体へ結合することにより固定化を行う。このとき抗体の抗原認識部位は、抗原が結合することにより保護されているので、特別な保護処理を別途行う必要がない。
固定化担体上に結合した結合物の固定量(密度)は、本発明の固定化担体をバイオセンサーに使用する場合、1個/mm〜1×1018個/mmが好ましい。より好ましくは1×10個/mm〜1×1015個/mm、さらに好ましくは、1×1010個/mm〜1×1014個/mmである。この密度は以下の方法により求めることができる。実際に測定を行って求める場合は、結合物を支持体上に固定化後、被験物を洗浄し、第1反応体の蛍光標識体と第2反応体の蛍光標識体の蛍光量を測定し、AFMやエリプソメトリーにより膜厚を測定して、算出することにより求められる。
本発明の製造方法では、担体に固定化するための抗体に固定化部位を生成するための固定化部位生成工程を更に含むものであってもよい。固定化部位生成工程では、固定化部位の種類に応じた活性化剤を用いて、活性基を生成する。
チオール基を固定化部位とした場合には、抗体分子のヒンジ部に相当するジスルフィド結合を還元してチオール基を生成するために還元剤が用いられる。このような用途に使用される還元剤としては、公知のものをそのまま使用すればよく、例えば、メルカプトエチルアミン、β−メルカプトエタノール、ジチオスレイトール等を挙げることができ、無毒性の観点からジチオスレイトールが好ましい。これらの還元剤を用いてチオール基を生成する条件には特に制限はなく、当業者であれば適宜行うことができる。また市販のキット等をそのまま利用することも可能である。チオール基を固定化部位とした場合の固定化部位生成工程及び固定化工程の一例を以下に示す。
糖鎖、特に糖鎖の水酸基を固定化部位とした場合には、水酸基を酸化して活性アルデヒド基を生成するための酸化剤が用いられる。このような用途に用いられる酸化剤としては、公知のものをそのまま使用すればよく、例えば、メタ−過ヨウ素酸ナトリウム等を挙げることができる。これらの酸化剤を用いて活性アルデヒド基を生成する条件には特に制限はなく、当業者であれば適宜行うことができる。また市販のキット等をそのまま利用することも可能である。糖鎖を固定化部位とした場合の固定化部位生成工程及び固定化工程の一例を以下に示す。
除去工程では、複合体の固定化後に抗原が除去される。このとき、抗体はそれぞれ独立に担体上の固定化されているので、抗原を容易に除去することができ、固定化担体として使用したときの抗原との結合再現性を低下させることがない。
抗原の除去は、適当な洗浄液を用いることにより容易に行うことができる。ここで用いられる洗浄液は、複合体の結合力を低下させるものであればよい。このような結合力の低下の条件としては、pHを酸性側又はアルカリ側へ変更することや、塩濃度を高くすることなどを上げることができる。抗体及び抗原の種類等によって異なるが、例えば、pHを2以下又は10以上にするための酸性グリシンバッファーやアルカリ性のNaOH溶液や、0.5M以上の塩濃度とするためのホウ酸塩バッファー、またグアニジンバッファーやアルギニン酸バッファーを挙げることができる。
ここで、洗浄液による洗浄処理は、適宜調整することができるが、抗体の活性を損なわないことや、再現性の観点から、一般に10分以下、好ましくは、5分以下とすることができる。
なお、複合体を形成する形成工程の後に、固定化工程を行い、除去工程を行うものであれば、他の工程の順序は、選択された抗原等の種類によって適宜決定でき、複合体を形成した後に、固定化部位を形成してもよい。抗原の種類による制限が少ないとの観点から、固定化部位生成工程で得られた抗体を、複合体を形成する形成工程に供することが好ましい。
(II)本発明の固定化担体の適用
本発明の固定化担体は、抗体と抗原との結合反応性に基づくバイオセンサーやバイオリアクター(例えば「バイオリアクター技術」、1988年、(株)シーエムシー、「バイオチップとバイオセンサー」、2006年、共立出版(株))に適用することができる。バイオリアクターとは、酵素、菌体、細胞、オルガネラなどの生体触媒による生化学的反応を利用して、有用物質の生産、エネルギーの発生、環境汚染物質の分解などに応用する反応器であり、バイオセンサーとは最も広義に解釈され、生体分子間の相互作用を電気的信号等の信号に変換して、対象となる物質を測定・検出するセンサーを意味する。以下、それぞれについての適用について説明する。
(1)バイオリアクターへの適用
酵素を固定化した不溶性担体を用いて有用物質の生成、反応等を行うことが可能なバイオリアクター(例えば実公平4−18398号、実公平4−18399号等)においては、上記不溶性担体として、本発明の担体、例えば担体(例えばセラミックやポリスルホン等の多孔質体)と、この担体表面上に結合された高分子膜と、この高分子膜に結合された酵素と酵素活性補助物質とを備えた担体に適用することができる。
(2)バイオセンサーへの適用
通常のバイオセンサーは、検出対象とする化学物質を認識するレセプター部位と、そこに発生する物理的変化又は化学的変化を電気信号に変換するトランスデューサー部位とから構成される。生体内には、互いに親和性のある物質として、酵素/基質、酵素/補酵素、抗原/抗体、ホルモン/レセプターなどがある。バイオセンサーでは、これら互いに親和性のある物質の一方を担体に固定化して分子認識物質として用いることによって、対応させるもう一方の物質を選択的に計測するという原理を利用している。本発明の担体、例えば担体(例えばセラミックやポリスルホン等の多孔質体)と、この担体表面上に結合された高分子膜と、この高分子膜に結合された2種類の抗体を備えた担体に適用することで従来のバイオセンサーよりも特異性をさらに向上させることができる。
以下に本発明の固定化担体についての実施例を示す。なお、特に断わらない限り、「部」、「%」は、それぞれ「質量部」、「質量%」を表す。
[実施例1]
(1)アミノ化ガラススライドの作製
γ−アミノプロピルトリエトキシシラン(東京化成工業株式会社製)0.1質量%トルエン溶液を作製し、この中にUV洗浄したスライドグラス(松浪硝子工業株式会社製 白縁磨)を60℃で12分間浸漬させた。取り出したスライドグラスをトルエン、エタノール、超純水の順で洗浄し、120℃で1時間ベーキング処理を行った。
(2)CMD被覆スライドの形成
超純水に0.1質量%となるようにCMD(名糖産業製:分子量100万)を溶解した後、CMD溶液10ml当たり、40mMのEDC(1-(3-Dimethylaminopropyl)-3-ethylcarbodiimide)および10mMのNHS(N-Hydroxysuccinimide)混合溶液を100μl加えた。このアミノ化ガラスの上に、活性エステル化したCMD溶液を滴下し、7,000rpmで45秒間スピンコートした。スピンコート後室温で1時間静置後0.1M NaOH、超純水の順で洗浄を行った。
(3)マレイミド膜の作製
上記CMD膜に2.8mM HODhbt(3,4-Dihydro-3-hydroxy-4-oxo-1,2,3-benzotriazine 東京化成社製)と0.4M EDCを50μlずつ混合し、CMD膜に100μl滴下し、室温で10分間反応させた。溶液を除去後、超純水で洗浄し、真空乾燥機で10分間乾燥させた。乾燥後、エチレンジアミンを80μl滴下し、10分間反応させた。反応後、超純水で洗浄した。処理後、10mM SSMCC(スルホコハク酸イミジル−4−(N−マレイミドメチル)シクロヘキサン−1−カルボキシレート、PIERCE社製)を300μl添加し、室温で30分間反応させた。反応後、超純水で攪拌洗浄を行い、マレイミド膜を作製した。
(4)抗体の断片化
インシュリン一次抗体(10−I30B:Fitzgerald Industries International社製)をImmunoPure(登録商標) F(ab')2 Preparation Kit(PIEACE社製)を用いて、メーカー推奨処方によりF(ab’)まで断片化した。次にF(ab’)をホスフェートバッファー(pH6.0)で1mg/mlに調製し、2−メルカプトエチルアミンを10mMとなるように添加、37℃で90分反応させ、反応後ゲルろ過クロマトグラフィーにより精製して、F(ab’)をFab’にまで断片化した。インシュリン二次抗体(10−I30C:Fitzgerald Industries International社製)についても上記と同様の手法により、Fab’まで断片化した。
(5)抗体への標識
上記断片化したインシュリン一次抗体をAlexa Fluor(登録商標) 555(Molecular Probes社製)を用いて、メーカー推奨処方により標識した。また上記断片化したインシュリン二次抗体をAlexa Fluor(登録商標)647(Molecular Probes社製)を用いて、メーカー推奨処方により標識した。
(6)抗体の固定
上記断片化した一次標識および二次標識インシュリン抗体とインシュリン(30-AI51:Fitzgerald Industries International社製)をモル比で1:1:1で混合し、1mM EDTAおよび0.5M NaClを含むアセテートバッファー(pH4.5)で各濃度を1.5mg/mlに調製した。作製した溶液に、上記マレイミド膜を浸漬した。10時間静置後、PBS(リン酸緩衝生理食塩水)、10mM NaOH(和光純薬社製)、PBS、純水により洗浄した。
(7)FRET測定
抗体固定マレイミド膜をFLA−8000(富士フイルム社製)により蛍光測定した。そこに0.1mg/mlのインシュリン(in PBSバッファー)を添加し、5分後、純水で掛け流しをした。掛け流し後の抗体固定マレイミド膜を同様にFLA−8000で蛍光測定し、インシュリン添加前後での蛍光強度の差を求めた。結果を表1に示す。
[実施例2]
上記蛍光測定後、グリシンバッファー(pH1.5)、10mM NaOHを交互に5回繰り返し洗浄した。その後、実施例1(7)と同様に行ってインシュリンを添加し、インシュリン添加前後での蛍光強度の差を求めた。結果を表1に示す。
[実施例3]
(1)ヒドラジド膜の作製
上記CMD膜に2.8mM HODhbt(3,4-Dihydro-3-hydroxy-4-oxo-1,2,3-benzotriazine 東京化成社製)と0.4M EDCを50μlずつ混合し、CMD膜に100μl滴下し、室温で10分間反応させた。溶液を除去後、超純水で洗浄し、真空乾燥機で10分間乾燥させた。乾燥後、エチレンジアミンを80μl滴下し、10分間反応させた。反応後、超純水で洗浄した。処理後、10mM SHTH(Succinimidyl 4-Hydrazidoterephthalate Hydrochloride、PIERCE社製)を300μl添加し、室温で30分間反応させた。反応後、超純水で攪拌洗浄を行い、ヒドラジド膜を作製した。
(2)抗体糖鎖の還元
インシュリン一次抗体(10−I30B:Fitzgerald Industries International社製)の糖鎖をCarboLink Immobilization Kit (PIEACE社製)を用いて、メーカー推奨処方により還元した。インシュリン二次抗体(10−I30C:Fitzgerald Industries International社製)の糖鎖についても上記と同様の手法により還元した。
(3)抗体への標識
上記糖鎖を還元したインシュリン一次抗体をAlexa Fluor(登録商標) 555(Molecular Probes社製)を用いて、メーカー推奨処方により標識した。また上記糖鎖を還元したインシュリン二次抗体をAlexa Fluor(登録商標)647(Molecular Probes社製)を用いて、メーカー推奨処方により標識した。
(4)抗体の固定
上記糖鎖を還元した一次標識および二次標識インシュリン抗体とインシュリン(30-AI51:Fitzgerald Industries International社製)をモル比で1:1:1で混合し、1.5mg/mlに調製した。作製した溶液に、上記ヒドラジド膜を浸漬した。10時間静置後、PBS(リン酸緩衝生理食塩水)、10mM NaOH(和光純薬社製)、PBS、純水により洗浄した。
(5)FRET測定
抗体固定ヒドラジド膜をFLA−8000(富士フイルム社製)により蛍光測定した。そこに0.1mg/mlのインシュリン(in PBSバッファー)を添加し、5分後、純水で掛け流しをした。掛け流し後の抗体固定マレイミド膜を同様にFLA−8000で蛍光測定し、インシュリン添加前後での蛍光強度の差を求めた。結果を表1に示す。
[実施例4]
上記蛍光測定後、グリシンバッファー(pH1.5)、10mM NaOHを交互に5回繰り返し洗浄した。その後、実施例3(5)と同様に行ってインシュリンを添加し、インシュリン添加前後での蛍光強度の差を求めた。結果を表1に示す。
[比較例1]
断片化した一次標識および二次標識インシュリン抗体とインシュリンの混合溶液を、断片化した一次標識および二次標識インシュリン抗体のみで固定した以外は、実施例1と同様に行って、蛍光強度の差を求めた。結果を表1に示す。
表1から、予め三者で複合体を形成させた本発明の実施例ではいずれも、高感度にインシュリンを検出でき、さらに洗浄後も繰り返し、インシュリンを検出できた。また、検出時間に関しては5分以下であり、検出感度(FRET蛍光強度変化4%を達成する抗原濃度と設定)は0.1〜1mMであると考えられ、実施例の検出感度はいずれも16.7μM以下であった。
このような検出時間は、重合させてゲル中にリガンドを有する分子プリントゲル(特開2006−138656号参照)による検出時間(2〜4時間)と比較すると、24〜48倍以上検出時間を短縮できたものである。また検出感度に関しては、抗体に蛍光物質を結合させた免疫測定用試薬(特開2007−40834号、実施例参照)の検出感度(FRET蛍光強度変化4%を達成する抗原濃度と設定)は0.1〜1mMであると考えられるため、本発明の実施例での検出感度は、およそ6〜60倍以上であった。
従って本発明によれば、短時間で精度よく簡便に、目的とする分子を検出することができ、汎用性の高い固定化担体を提供することができる。

Claims (11)

  1. 担体上に、発光物質で標識された標識部位を有する標識抗体及び当該標識抗体からの発光を認識する認識部位を有する認識抗体の組み合わせを構成すると共に1種の抗原を認識する少なくとも2種の抗体が、当該抗原に共に結合した場合と同一の位置関係で且つ、各抗体分子中のチオール基又は糖鎖を固定化部位としてそれぞれ固定化されている固定化担体。
  2. 前記担体が親水性ポリマー層を有し、前記少なくとも2種の抗体が該親水性ポリマー層を介して担体に固定化されている請求項1記載の固定化担体。
  3. 前記親水性ポリマーが多糖類である請求項1又は請求項2に記載の固定化担体。
  4. 前記親水性ポリマー層が、シランカップリング剤を介して担体に固定化されている請求項1〜請求項3のいずれか1項記載の固定化担体。
  5. 前記発光物質が、蛍光色素及び蛍光タンパク質からなる群より選択されたものである請求項1〜請求項4のいずれか1項記載の固定化担体。
  6. 前記標識部位と前記認識部位との間で蛍光共鳴エネルギー転移反応が生じうる請求項1〜請求項5のいずれか1項に記載の固定化担体。
  7. 前記抗体と前記抗原との結合反応に基づくバイオリアクター又はバイオセンサーに用いられる固定化担体である請求項1〜請求項6のいずれか1項記載の固定化担体。
  8. 発光物質で標識された標識部位を有する標識抗体と当該標識抗体からの発光を認識する認識部位を有する認識抗体との組み合わせを構成すると共に、それぞれの抗体分子中にチオール基又は糖鎖を有し、且つ1種の抗原を認識する少なくとも2種の抗体と、当該抗原とを接触させて、前記抗体と前記抗原とが結合した複合体を形成する形成工程と、
    前記複合体を、前記抗体分子のチオール基又は糖鎖を固定化部位として、前記抗体を担体に固定化する固定化工程と、
    前記担体に固定化された前記複合体から、前記抗原を除去して、前記抗原に結合した場合と同一の位置関係で前記担体上に前記抗体がそれぞれ固定化されている固定化担体を得る除去工程と、
    を含む固定化担体の製造方法。
  9. 前記少なくとも2種の抗体の、ヒンジ部のチオール部、又は定常部の糖鎖部に前記固定化部位を生成する固定化部位生成工程を更に含む請求項8記載の固定化担体の製造方法。
  10. 前記固定化部位生成工程で得られた抗体を前記形成工程に供する請求項9記載の前記固定化担体の製造方法。
  11. 前記除去工程が、複合体及び抗原の結合力を低下させる条件下で行われる請求項8〜請求項10のいずれか1項記載の固定化担体の製造方法。
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