JP2010101105A - 表土保護シートの製造方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】復元力に優れていながら、優れた侵食防止機能を有しつつ、しかも十分な植生が可能な表土保護シートを提供する。
【解決手段】繊度の異なる複数種類の撥水性繊維4,6〜8を絡み合わせて1〜200mmの厚みに形成したシート状体2からなる表土保護シート1であって、前記撥水性繊維の繊度が1〜50デシテックスであるとともに繊維長が10〜100mmであり、かつ、前記複数種類の撥水性繊維4,6〜8のうち少なくとも1種類は、加熱によって溶着する接着繊維4である。
【選択図】図1

Description

本発明は、表土保護シートに関し、更に詳しくは、道路建設、農地や宅地造成などによって生じる裸地や法面、あるいは荒廃裸地等の土壌侵食防止を図る表土保護シートに関する。
現在、軟弱地盤表層処理用、不等沈下防止用、洗掘吸出防止用、盛土・地盤改良用、鉄道・路床・路盤用、法面被覆保護用等多種多様な土木用シートが使用されている。特に、法面被覆保護用としては、一般的に植生による侵食防止機能を持つ、植生を重視した表土保護シートが提案され上市されている。
また、近年の地球温暖化や外来種の規制などの環境問題から、工法や資材の見直しが図られ、特に、法面被覆保護用の植生を重視したシートについては、従来からの外来種の牧草による緑化が敬遠されているのが実情である。
外来種の牧草による緑化を行うことなく、植生を重視した表土保護シートとしては、例えば、特許文献1の「表土保護シートと土壌侵食防止方法」に開示されるものがある。本文献に開示されるものは、太さが数デニールの撥水製細繊維をランダムに絡み合わせて形成したシート状体であって、厚みが5mm〜40mm、見かけ充填密度が2〜4%でシート内部空間が面方向の導水路を形成するものである。
このように構成される表土保護シートでは、シート状体の内部に水が層流によって流れる導水路が形成できることから、土壌の侵食を防止可能である。
また、特許文献2の「生分解性表土保護シートおよび植生シート」では、表土保護シートの材料として生分解性のものを用いることで、表土保護シートとして使用後は、速やかに土中や水中の微生物によって他に害を与えることなく自然環境下で分解され、最終的に水と二酸化炭素に分解され、環境保護の観点から優れた効果を発揮することができる。
特開平4−102621号公報 特開2007−46351公報
しかしながら、特許文献1に開示される発明においては、表土保護シートが使用されているうちに、被保全表土の流下水や土壌飽和水との接触によって、一旦厚み方向へ圧縮されて薄くなった表土保護シートが元の厚さに戻らないいわゆる「へたり」が生じることのないように撥水性繊維を採用していたものの、見かけ充填密度を2〜4%と低く抑えて植生を十分に可能としていたことも相まって、撥水性繊維同士の絡みが不十分となることも多く、よって、表土保護シートが元の状態に戻る力、すなわち復元力に欠けるという点で課題が残っていた。
また、内部空間が導水路として形成されて降雨時の流下水や土壌飽和水を面方向に流水させることができたものの、内部空間を導水路として形成することには限界もあって、梅雨時期の降雨などに対しては、表土の侵食を免れられなかったという課題もあった。
特許文献2に開示される発明では、確かに生分解性を備えて環境保護の観点からは望ましいものの、生分解してしまうことで、表土の侵食が進む可能性があり、また、特許文献1に開示される発明と同様に、内部空間を導水路として形成させるものであり、降雨時の流下水等を面方向へ流水させることに限界もあるという課題があった。また、特許文献1に開示される発明と同様に撥水性繊維を採用するものの、同様に撥水性繊維同士の絡みが不十分となることも多いという課題もあった。
上述した従来の課題を解決すべく、本願の発明者らは、復元力に優れていながら、優れた侵食防止機能を有しつつ、しかも十分な植生が可能な表土保護シートを提供することを目的とする。
上記目的を達成するため、請求項1に記載の発明である表土保護シートは、繊度の異なる複数種類の撥水性繊維を絡み合わせて1〜200mmの厚みに形成したシート状体からなる表土保護シートであって、前記撥水性繊維の繊度が1〜50デシテックスであるとともに繊維長が10〜100mmであり、かつ、前記複数種類の撥水性繊維のうち少なくとも1種類は、加熱によって溶着する接着繊維であることを特徴とするものである。
このように構成された表土保護シートでは、複数種類の撥水性繊維を絡み合わせたものを接着繊維によって接着固定させることで、復元力を発揮させるように作用する。また、繊度が小さく繊維長が短い撥水性繊維を使用することで、高い空隙率を維持しながら、復元力を発揮させるように作用し、もって、長期間に亘って嵩高を維持するように作用する。さらに、繊度の異なる複数種類の撥水性繊維を絡めることで、様々な大きさに形成される空隙に、その空隙の大きさに適した撥水性繊維が選択的に、より絡みやすくなるように作用する。
なお、本願特許請求の範囲及び明細書において、A〜Bとは、A以上B以下を意味している。
また、請求項2に記載の発明である表土保護シートは、請求項1に記載の発明において、前記接着繊維の配合比は10〜30重量%であり、前記接着繊維の加熱条件は加熱温度が110〜150℃、であることを特徴とするものである。
このように構成された表土保護シートにおいても請求項1と同様の作用を有する。加熱温度は、110℃よりも低温であればボンディング(接着)が効かず、150℃よりも高温であればボンディングが強すぎて発芽による表面保護シートの貫通ができないなど植生に作用する。
さらに、請求項3に記載の発明である表土保護シートは、請求項1又は請求項2に記載の発明において、前記撥水性繊維が異形断面繊維であることを特徴とするものである。この異形断面繊維とは、繊維の断面形状が円形ではないものを意味する。例としては、まゆ形、長円形の他、溝や突起などを備えて断面に凹凸を形成するものがある。
このように構成された表土保護シートにおいては、請求項1又は請求項2に記載される発明の作用に加えて、撥水性繊維が異形断面であることで、断面二次モーメント断面係数を増大させるように作用し、降雨水の雨滴衝撃や乾湿繰り返し等の自然条件に対してもシート状体の嵩高を維持するように作用する。また、単位断面積に対する周囲長が円形断面よりも長くなることで撥水性繊維間の摩擦力が増加するため、絡みあった撥水性繊維が解けることがなく、高い復元力を維持するように作用する。
さらに、複数種類の撥水性繊維がそれぞれ異なる異形断面を備える場合には、これらを絡めやすくする作用を有する。様々な形状に形成される空隙に、その空隙の形状に適した異形断面の撥水性繊維を選択的に、より絡ませることが可能であるためである。
さらに、請求項4に記載の発明である表土保護シートは、請求項1乃至請求項3のいずれか1項に記載の発明において、前記シート状体の空隙率を90%以上として、植物が被保全表土から前記シート状体を発芽貫通可能であることを特徴とするものである。
このように構成された表土保護シートにおいては、請求項1乃至請求項3のいずれか1項に記載される発明の作用に加えて、空隙率を高く維持することで、植生される植物に対する発芽貫通を促す作用を有する。さらに、保水性、保湿性に富むことで、植物の根張りを増進するように作用する。
さらに、請求項5に記載の発明である表土保護シートは、請求項1乃至請求項4のいずれか1項に記載の発明において、前記シート状体は、複数積層されて積層間隙部が導水路として形成されることを特徴とするものである。
このように構成された表土保護シートにおいては、請求項1乃至請求項4のいずれか1項に記載される発明の作用に加えて、シート状体が複数積層されることから、その積層間隙部が導水路として作用することで、十分な流水作用を有する。また、導水路として形成されるのが積層間隙部であるため、シート状体内に形成される場合よりも繊維と水との境膜剥離抵抗が小さく、水が導水路内を層流状態でスムーズに流れるように作用する。
さらに、請求項6に記載の発明である表土保護シートは、請求項1乃至請求項5のいずれか1項に記載の発明において、前記表土保護シートは、その表面に補強網を覆設してなることを特徴とするものである。
このように構成された表土保護シートにおいては、請求項1乃至請求項5のいずれか1項に記載される発明の作用に加えて、補強網が覆設されることで、絡みあった撥水性繊維が解けることなく絡みあった状態を維持させるように作用する。また、補強網であるため、表土保護シートに対する植物の発芽貫通に影響を与える作用はない。
さらに、請求項7に記載の発明である表土保護シートの製造方法は撥水性繊維を絡み合わせて形成したシート状体からなる表土保護シートの製造方法において、複数種類の撥水性繊維であって、繊度が1〜50デシテックスである撥水性繊維であるとともに繊維長が10〜100mmであり、かつ、前記複数種類の撥水性繊維のうち少なくとも1種類が加熱によって溶着する接着繊維である撥水性繊維を配向させつつ梳綿して絡みあわせる工程と、この絡み合わせられた撥水性繊維を均一に分散させながら、1〜200mmの厚みのシート状体に形成する工程と、前記シート状体表面に加熱によって溶融する接着剤を備えた合成樹脂製細線を配置する工程と、前記シート状体を前記合成樹脂製細線の上から補強網で覆う工程と、前記シート状体を加熱して前記接着繊維と他の撥水性繊維とを溶着結合させるとともに、前記接着剤を溶融させて前記シート状体と前記補強網を前記シート状体の辺部で接着する工程とを有するものである。
このように構成される表土保護シートの製造方法では、複数種類の撥水性繊維を絡み合わせたものを接着繊維によって接着固定させることで、復元力を発揮させるように作用する。また、繊度が小さく繊維長が短い撥水性繊維を使用することで、高い空隙率を維持しながら、復元力を発揮させるように作用する。撥水性繊維が異形断面であることで、断面二次モーメント断面係数を増大させるように作用したり、複数種類の撥水性繊維を絡めやすく作用し、シート状体が複数積層されることから、その積層間隙部が導水路として作用する。さらに、補強網が覆設されることで、絡みあった撥水性繊維が解けることなく維持させるように作用する。
本発明によれば、復元力を維持させることができるため、長期間に亘って嵩高を維持可能であり、降雨水等の水との接触、あるいは経時変化によるシートの弾性の低下に起因する「へたり」が防止できる。従って、長期間に亘って被保護表土の侵食を防止することが可能である。また、この「へたり」が防止されることもあって、種子や培地が流出することを防止でき、十分な植生環境を形成できる。従って、二酸化炭素低減を可能としながら、表土の侵食も防止することができる。
また、特に請求項3に記載の発明においては、シート状体の嵩高を維持することができたり、撥水性繊維間の摩擦力を増大させることができるので、表土保護シートに高い復元力を維持させることができる。また、撥水性繊維を絡めやすくなって、復元力の低下が防止されるため、「へたり」も生じることなく、侵食防止機能が発揮されるとともに十分な植生環境も提供可能である。
特に請求項4に記載の発明においては、植生される植物に対する発芽貫通を促しながら、植物の根張りを促進させることができ、外来種の牧草などに頼ることなく、十分な植生が可能となる。
さらに、特に請求項5に記載の発明においては、シート状体が複数積層されて積層間隙部が導水路として作用するため、シート状体内部に形成される導水路よりも境膜剥離抵抗が小さくより円滑に流水させることが可能であり、また、このことによっても、多量の水が表土保護シートを透過して表土へ到達することがなく、侵食防止機能を発揮することができる。
特に請求項6に記載の発明においては、補強網が表土保護シートの表面に覆設されているので、シート状体を構成する撥水性繊維が解けることなく、復元力の発揮などの効果を長期間に亘って維持させることが可能である。
以下、本発明の実施の形態について、図1乃至図3を参照しながら説明する。但し、以下の実施例の例示により本発明が制限されるものではない。
図1は、本願発明の第1の実施の形態に係る表土保護シートの断面を模式的に示す概念図である。
図1において、表土保護シート1は、シート状体2を備えており、その上面3a及び下面3bには補強網10が覆設されており、それによってシート状体2は保護されている。
シート状体2は、1〜200mmの厚みに形成されており、その内部は、複数の撥水性繊維6〜8が絡み合うように構成されている。これらの撥水性繊維6〜8は、その繊度が1〜50デシテックスであるとともに繊維長が10〜100mmである。これらの撥水性繊維6〜8は、それぞれ繊維長が10〜100mmと短いものの、熱溶着剤5を備えた接着繊維4を介して互いに接着されており、それらが複雑に絡み合うことで、90%以上という高い空隙率を維持しながらも強度を出して、表土保護シート1の復元力を維持可能にしている。また、撥水性繊維6〜8を採用することで、水分を吸収することがなく、いわゆる「へたり」を防止することが可能である。
熱溶着剤5は、加熱によって溶着するもので、表土保護シート1の製造段階で熱を加えることで、接着繊維4と撥水性繊維6〜8を接着固定するものである。表土保護シート1全体に対する接着繊維4の含有率は、10〜30重量%であり、接着繊維4に担持された熱溶着剤5の加熱時の温度は後述するが、110〜150℃としている。ここで、接着繊維4に担持される熱溶着剤5とは、物理結合あるいは化学結合によって接着繊維4に熱溶着剤5が付着している状態を意味している。
撥水性繊維6〜8は、繊度の異なる複数種類の撥水性繊維であって、本実施の形態においては、接着繊維4を除いて3種類として図示しているが、2種類でも4種類以上であってもよい。繊度の異なる複数種類の撥水性繊維6〜8を絡め合わせることで、様々な大きさに形成される空隙に、その空隙の大きさに適した繊度の撥水性繊維6〜8を選択的に、より絡み合わせることができる。
撥水性繊維6〜8は、異形断面を形成しているものを採用しており、断面二次モーメント断面係数を増大させている。従って、降雨水の雨滴衝撃や乾湿繰り返し等の自然条件に対してもシート状体の嵩高を維持して高い復元力を発揮することができ、「へたり」の発生を防止することも可能である。また、単位断面積に対する周囲長が円形断面よりも長くなることで撥水性繊維間の摩擦力が増加するため、絡みあった撥水性繊維が解けることがなく、このことからも高い復元力を長期間に亘って発揮することが可能である。
さらに、撥水性繊維6〜8のそれぞれが異なる異形断面を備える場合には、これらの撥水性繊維6〜8を絡めやすくすることができる。撥水性繊維6〜8同士が絡み合うことで、様々な形状に形成される空隙に、その空隙の形状に適した異形断面の撥水性繊維を選択的に、より絡ませることが可能となる。従って、シート状体の嵩高を維持して高い復元力を発揮させることが可能であり、「へたり」も防止することができる。
また、前述のとおり空隙率が90%以上という高い値となっているため、表土保護シート1の下面側、すなわち被保全表土の表面側から植物が発芽した場合に、表土保護シート1を貫通して上面から突出させることができ、さらに表土保護シート1内での根張りを促進させることも可能であり、従って、十分な植生が可能である。なお、補強網10は、図示しないが、加熱によって溶融する接着剤を備えた合成樹脂性細線をシート状体表面に予め配置しておき、加熱によって熱溶着剤5が溶融するのと同時にこの接着剤も溶融させて、撥水性繊維6〜8が接着繊維4によって接着固定されるのと同時に、補強網10をシート状体2の表面に接着させるのである。これによって、補強網10を覆設する工程と、接着繊維4と撥水性繊維6〜8の接着固定の工程を同時に進行させることが可能であり、効率的である。
また、この補強網10は、シート状体2のほつれや撥水性繊維6〜8の解きを抑制してまとまりを維持させるためのものであるが、この補強網10の目を粗くすることで、植生に対する影響はほとんどなくすることも可能である。
次に、図2を参照しながら、本発明に係る表土保護シートの第2の実施の形態について説明する。図2は、第2の実施の形態に係る表土保護シートを被保全表土上に設置した場合の断面概念図である。
図2において、表土保護シート1aは、第1層のシート状体13と第2層のシート状体14を積層して構成されており、それぞれのシート状体は図1に示すとおりのものであるので、それぞれ同じ符号を付して、その構成についての説明は省略する。
第1層のシート状体13と第2層のシート状体14の中間には積層間隙部11が形成されている。また、第1層のシート状体13と第2層のシート状体14の全体を覆うように補強網10が設けられている。従って、第1層のシート状体13と第2層のシート状体14は互いにずれたり離れることなく積層を維持することが可能である。従って、積層間隙部11の形成もまた維持されることになる。
表土保護シート1aは、例えば傾斜している被保全表土12上に設置される。その際には、何らかの固定具(図示せず)を用いて斜面に固定されるようにしてもよいし、表土保護シート1aの下部に種子及び肥料を含むようなシート(緑化用培地組成物体)を予め敷設しておいてもよい。
降雨水は第1層のシート状体13の上側から降り注ぐが、まず上層を形成する第1層のシート状体13の上面に当り、浸透していく。第1層のシート状体13及び第2層のシート状体14の空隙率は90%以上と高いものの、図1を用いて説明したとおり、撥水性繊維6〜8が接着繊維4の熱溶着剤5によって溶着されていることで複雑に撥水性繊維6〜8が絡み合っており、降雨水の衝撃を十分に緩和することが可能である。浸透していく降雨水は、第1層のシート状体13内部においても、いずれもが撥水性繊維を採用していることから、水分が吸収され難いが、撥水性繊維6〜8が複雑に絡み合っていることから、面方向への流水が発生する。さらに、第1層のシート状体13の下面側には前述の積層間隙部11が形成されているため、第1層のシート状体13を浸透してこの積層間隙部11に到達した降雨水を、積層間隙部11で面方向へ流下させることができる。この積層間隙部11は、隙間であるため撥水性繊維が存在しておらず、いわば平面状に形成されるため、より降雨水を面方向へ流下させることが可能である。
なお、面方向とは、被保全表土12へ向かう地面に対して垂直方向ではなく、地面に対して水平方向であって、その方向を定めず、面状に拡がっていく方向全般を示すものである。もちろん、傾斜する被保全表土12の場合には重力に反して上昇することがないので、面方向は被保全表土12の傾斜に沿った下方向でもあることは言うまでもない。
積層間隙部11を経て第2層のシート状体14の上面から浸透していく降雨水は、第1層のシート状体13と同様にやはり面方向へ流水していくので、被保全表土12へ到達し得る降雨水は十分に低減させることができ、よって、被保全表土12を侵食させる作用を低減させることができる。
また、以上説明したような降雨水の衝撃を受けても、図1を参照しながら説明したとおり、高い復元力を維持可能であり「へたり」を防止可能であることから、第1層のシート状体13と第2層のシート状体14の嵩高を保ち、また、積層間隙部11の形成も維持可能であるため、上述の効果を持続させることが可能なのである。
その一方で、繊度の異なる複数種類の撥水性繊維6〜8が絡まっていることから、十分な保水機能を発揮するため、植生に対する水分供給も十分行うことが可能であり、高い空隙率による発芽貫通を可能としながら、根張りも促進可能であることも相まって、非常に良好な植生を維持することが可能となっている。
なお、本実施の形態においては、第1層のシート状体13と第2層のシート状体14という2層構成としたが、複数のシート状体を積層するものであれば、さらに積層してもよい。また、シート状体の積層数を増やすことで、シート状体の数に対する積層間隙部11の数の割合が増加するので、積層間隙部11による面方向の降雨水の流下を増加させたい場合には、そのシート状体の積層数を増やしてもよい。
最後に、図3を参照しながら本願発明の第3の実施の形態について説明する。
図3は、第3の実施の形態に係る表土保護シートの製造方法を模式化したフロー図である。
第3の実施の形態に係る表土保護シートの製造方法は、まず、ステップS1で撥水性繊維と接着繊維を絡み合わせる工程からはじまる。撥水性繊維は、単一の種類のものを用いるのではなく、複数種類の撥水性繊維を混合するものである。また、これら複数種類の撥水性繊維は、繊度が1〜50デシテックスであるものを用い、しかも繊維長が10〜100mmであるものである。
さらに、この複数種類の撥水性繊維のうち、少なくとも1種類は加熱によって溶着する接着繊維である撥水性繊維を用いる。
これらの撥水性繊維を配向させつつ梳綿して絡みあわせる工程が図3においてステップS1として記載されるものである。
次に、この絡み合わせられた撥水性繊維を均一に分散させながら、1〜200mmの厚みのシート状体に形成する工程が、図3のステップS2の工程である。シート状体の厚みは1〜200mmとして、大きさについては特に限定しない。
ステップS3は、ステップS2で形成されたシート状体の表面に加熱によって溶融する接着剤を備えた合成樹脂製細線を配置する工程である。
先の接着繊維も加熱によって溶着するものであったが、このステップS3で配置される合成樹脂製細線も加熱によって溶融する接着剤を備えている。この合成樹脂製細線は、シート状体の表面であればどこでも配置してよいが、後述するステップS5の加熱接着工程によって補強網をシート状体にしっかりと固定するためには、シート状体の辺部、例えば、矩形のシート状体であれば4辺の周辺部で接着可能なようにシート状体の辺部に配置するとよい。
合成樹脂製細線の配置が終了したら、ステップS4に示されるとおり、その合成樹脂製細線の上から補強網を覆設する。これによって、図1に示されるようにシート状体をすっぽり覆うことができる。従って、シート状体を形成する撥水性繊維などが解けることがなく、まとまることでシート状体の強度を維持させることができる。
次に、ステップS5では、補強網を覆設した後に、その補強網の外側から加熱する工程である。シート状体を加熱することで、接着繊維と他の撥水性繊維とを溶着結合させるとともに、合成樹脂製細線に担持された接着剤を溶融させることで、シート状体と補強網を接着するものである。もちろん、前述のとおり、接着剤を備えた合成樹脂製細線をシート状体の辺部に配置することによれば、シート状体の周辺で補強網を接着可能であるため、効率的に補強網を固定することができる。また、補強網と撥水性繊維間の接着を同じ熱源を用いて同時に行うため、この点で経済的にも時間的にも効率的である。
表1に示すポリエステル繊維配合で、サーマルボンディング法により、本発明品であるシート状体を製造した。尚、加熱温度、加熱時間についても表1に示した。該シート状体を用いて降雨試験(侵食防止能試験)、復元率測定試験、排水性試験、吸水乾燥後復元率測定試験及び植生試験(発芽貫通試験)を実施した。
[降雨試験(侵食防止能試験)]
実施例(1)〜(6)、比較例(1)〜(2)のシート状体を用いて、人工試験機により降雨試験を行い、流出水濁度を測定し侵食防止能を比較した。
尚、各々試験は真砂土盛土(勾配30°)で時間降雨量36mmで30分間試験し採水した後、連続して100mmで30分間試験し採水しSS値を測定した。
その結果を表2に示す。
[復元率測定試験、排水性試験、吸水乾燥後復元率測定試験]
実施例(1)〜(6)、比較例(1)〜(2)のシート状体を100×100mm角に裁断して測定試料として用いた。
上記測定試料を水に浸漬し、十分吸水させた後、引き上げ水平状態で吸着水を切り重量を測定する。その後、90°に保ち排水させた後、重量を測定し、重量変化から排水率を求める。排水率を測定した試料を乾燥させ厚さを測定し、吸水前後の厚さの変化割合を吸水乾燥後復元率とした。
尚、復元率は試料を6枚重ね、5g/100cmの荷重をかけ厚さを測定し、さらにその1/2になるまで荷重を掛け圧縮した後、荷重を0にする。再び、5g/100cmの荷重をかけ厚さを測定し、変化割合を復元率とした。各々の測定結果について表3に示す。
[植生試験(発芽貫通試験)]
実施例(1)〜(6)、比較例(1)〜(2)のシート状体(1m×1m)を用い、トレーに張り付け植生試験を実施し発芽貫通性を比較した。
尚、播種量は、成立期待本数としてトールフェスク3000本/m、メドハギ1000本/mとした。その結果について表4に示す。
以上の結果から、実施例(1)乃至(6)に比較して、加熱温度が高い比較例(1)及び(2)では、表2に示される降雨試験(侵食防止能試験)の結果、及び表3に示される復元率測定試験、排水性試験、吸水乾燥後復元率測定試験の結果での相違は顕著には見られなかったが、表4に示される植生試験(発芽貫通試験)においては、比較例(1)(2)のいずれも実施例(1)乃至(6)と比較すると約1/3の発芽本数しか得られておらず、概ねシート状体を貫通することなく、シート状体を持ち上げてしまう状態となるものが多数となっていることから、加熱温度が高い比較例においては、繊維間の決着力が高過ぎることでシートが硬くなり、植物の発芽貫通に障害が生じたものと考えられる。また、特に、メドハギのような双葉のものについては顕著に現れるものと考えられる。
本発明によれば、法面被覆保護用として機能が侵食防止のみではなく、植生が可能な表土保護シートが提供され、近年の地球温暖化や外来種の規制などの環境問題への対応が可能となる。
本願発明の第1の実施の形態に係る表土保護シートの断面を模式的に示す概念図である。 本願発明の第2の実施の形態に係る表土保護シートを被保全表土上に設置した場合の断面概念図である。 第3の実施の形態に係る表土保護シートの製造方法を模式化したフロー図である。
符号の説明
1,1a…表土保護シート 2…シート状体 3a…上面 3b…下面 4…接着繊維 5…熱溶着剤 6〜8…撥水性繊維 9…空隙 10…補強網 11…積層間隙部 12…被保全表土 13…第1層のシート状体 14…第2層のシート状体

Claims (7)

  1. 繊度の異なる複数種類の撥水性繊維を絡み合わせて1〜200mmの厚みに形成したシート状体からなる表土保護シートであって、前記撥水性繊維の繊度が1〜50デシテックスであるとともに繊維長が10〜100mmであり、かつ、前記複数種類の撥水性繊維のうち少なくとも1種類は、加熱によって溶着する接着繊維であることを特徴とする表土保護シート。
  2. 前記接着繊維の配合比は10〜30重量%であり、前記接着繊維の加熱条件は加熱温度が110〜150℃、であることを特徴とする請求項1に記載の表土保護シート。
  3. 前記撥水性繊維が異形断面繊維であることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の表土保護シート。
  4. 前記シート状体の空隙率を90%以上として、植物が被保全表土から前記シート状体を発芽貫通可能であることを特徴とする請求項1乃至請求項3のいずれか1項に記載の表土保全シート。
  5. 前記シート状体は、複数積層されて積層間隙部が導水路として形成されることを特徴とする請求項1乃至請求項4のいずれか1項に記載の表土保護シート。
  6. 前記表土保護シートは、その表面に補強網を覆設してなることを特徴とする請求項1乃至請求項5のいずれか1項に記載の表土保護シート。
  7. 撥水性繊維を絡み合わせて形成したシート状体からなる表土保護シートの製造方法において、複数種類の撥水性繊維であって、繊度が1〜50デシテックスである撥水性繊維であるとともに繊維長が10〜100mmであり、かつ、前記複数種類の撥水性繊維のうち少なくとも1種類が加熱によって溶着する接着繊維である撥水性繊維を配向させつつ梳綿して絡みあわせる工程と、この絡み合わせられた撥水性繊維を均一に分散させながら、1〜200mmの厚みのシート状体に形成する工程と、前記シート状体表面に加熱によって溶融する接着剤を備えた合成樹脂製細線を配置する工程と、前記シート状体を前記合成樹脂製細線の上から補強網で覆う工程と、前記シート状体を加熱して前記接着繊維と他の撥水性繊維とを溶着結合させるとともに、前記接着剤を溶融させて前記シート状体と前記補強網を前記シート状体の辺部で接着する工程とを有することを特徴とする表土保護シートの製造方法。
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