以下、本発明の実施の形態を図面に従って説明する。
図1(A),(B)および図2(A),(B)は、本発明の実施形態に係るドアロック装置を示す。このドアロック装置は、車両の開閉可能なドアに装着され、車体に配設したストライカ1を係脱可能に係止するものである。このドアロック装置は、ケーシング10に、ストライカ1を係止するラッチ機構と、該ラッチ機構によるストライカ1の係止状態を解除可能にアンロックまたは解除不可能にロックするロック機構とが配設されている。そして、本実施形態では、ドアの開閉状態を検出するドア開閉検出スイッチと、ロック機構によるロック状態を検出するロック検出スイッチとを配設し、これらの検出状態に基づいてロック状態でのドアの開操作の有無を検出できるように構成したものである。
ケーシング10は、図3に示すように、ロック機構を構成する各部品を配設するメインケース11と、ラッチ機構を構成する各部品を配設するサブケース20と、メインケース11におけるロック機構配設面を覆うカバー34とを備えている。
本実施形態のメインケース11は、図3に示すように、ロック機構配設部12とラッチ機構カバー部17とを備えた平面視L字形状のものである。ロック機構配設部12には、図2(A),(B)および図4に示すように、後述するロックプレート57およびインナーオープンレバー72を回動可能に軸着する取付軸部13a,13bが設けられている。また、図中、インナーオープンレバー72の取付軸部13bの左側部には、ノブレバー65を回動可能に配設するための軸穴14が設けられている。この軸穴14の更に上部左側には、駆動モータ配設部15とカム部材配設部16とが設けられている。ラッチ機構カバー部17は、ラッチ機構を配設したサブケース20の開口部を覆うものである。図3に示すように、このラッチ機構カバー部17には、第1キーレバー78およびキーシャフト80を回動可能に装着するための第1取付穴部18が設けられている。また、アウターオープンレバー86をリベットなどの加締めにより回動可能に装着するための第2取付穴部19が設けられている。
サブケース20は、メインケース11のラッチ機構カバー部17に装着されるものである。このサブケース20には、図5および図6に示すように、ラッチ機構カバー部17に対して反対側に位置する外側面に、一側から他側に向けて延び、かつ、ラッチ機構カバー部17の側に向けて窪む挿通凹部21が設けられている。また、サブケース20には、ラッチ機構を構成するフォーク39とクロー45とを軸着する軸部22a,22bが、挿通凹部21を挟んで両側に位置するように設けられている。さらに、フォーク39を軸着する軸部22aの横には、フォーク39の回動に連動して動作させるラッチ連動レバー95の作動ピン97を挿通するピン挿通孔23が、円弧状をなすように設けられている。また、クロー45を軸着する軸部22bの横には、クロー45の解除操作受部49を挿通してロック機構配設部12内に突出させる挿通穴24が設けられている。なお、挿通凹部21の端部には、ストライカ1を停止させるためのストップラバー25が配設される。また、軸部22bの横には、クロー45の回動を停止するためのクローストッパ26が配設される。さらに、サブケース20において、ラッチ機構カバー部17の側には、ラッチ連動レバー95を回転可能に軸着するためのレバー回転軸部27が設けられている。また、このレバー回転軸部27の横には、ラッチ連動レバー95を付勢するためのレバー付勢スプリング99の装着軸28が設けられている。さらに、ラッチ連動レバー95の表面を覆う補強プレート33を装着する装着部29a,29bが設けられている。
サブケース20には、ラッチ機構カバー部17に対して反対側に位置する表面に金属製の表面プレート30が配設されている。この表面プレート30は、挿通凹部21の表面に位置し、ストライカ1を挿通する挿通溝31を備えている。また、軸部22a,22bに対応し、フォーク39およびクロー45を回動可能に軸着するための取付穴部32a,32bが設けられている。さらに、サブケース20には、ラッチ機構カバー部17と対向する面に金属製の補強プレート33が配設されている。
カバー34は、図3に示すように、メインケース11のロック機構配設部12に装着されるもので、ノブレバー65のロックノブ接続部67を貫通して外側に突出させる第1挿通部35、および、インナーオープンレバー72のインナードアハンドル連結部74を貫通して外側に突出させる第2挿通部36が設けられている。また、ノブレバー65の回動領域を確保するための凹部37、および、ロック状態などの信号線や電力線などを電気的に接続するためのコネクタ部114を貫通するためのコネクタ接続口38が設けられている。
そして、サブケース20に組み付ける本実施形態のラッチ機構は、図6および図7(A),(B)に示すように、ストライカ1を係脱可能に係止するフォーク39と、該フォーク39に係合して該フォーク39がストライカ1を保持した状態を維持するクロー45とを備えている。
フォーク39は、軸部22aが貫通される軸孔40を備え、サブケース20と表面プレート30との間に回動可能に軸着された略U字形状のものである。このフォーク39には、ストライカ1を挿通可能な係止溝41が設けられ、フォーク付勢スプリング42により図7(A)に示す開放位置に付勢されている。また、このフォーク39には、係止溝41の開放端において、時計回りの側に位置する先端部に係止部43が設けられている。さらに、このフォーク39には、軸孔40の周囲に作動ピン97を当接させてラッチ連動レバー95を回動させるためのカム部44が設けられている。
クロー45は、フォーク39と同様に、軸部22bが貫通される軸孔46を備え、サブケース20と表面プレート30との間に回動可能に軸着されたものである。このクロー45には、フォーク39の係止部43を係止する係止受部47が設けられ、クロー付勢スプリング48により図7(A),(B)に示す係止位置に付勢されている。また、このクロー45には、サブケース20の挿通穴24を貫通してロック機構配設部12内に位置される解除操作受部49が設けられている。この解除操作受部49は、係止受部47に対して反対側の端部からサブケース20側に向けて突出するように設けられ、ロック機構配設部12内で後述するリンク50により図中上向きに押圧されることにより、ストライカ1の係止状態を解除するものである。
また、メインケース11に組み付ける本実施形態のロック機構は、図2(A),(B)に示すように、クロー45を係止解除方向に作動させるためのリンク50と、該リンク50によるクロー45の作動を可能または不可能とするためのロックプレート57とを備えている。そして、インナーロック操作系として、ロックプレート57を介してリンク50を施解錠作動させるノブレバー65が配設されるとともに、インナードアハンドル操作系として、リンク50を介してラッチ機構を開放作動させるインナーオープンレバー72が配設されている。また、アウターロック操作系として、ロックプレート57を介してリンク50を施解錠作動させる第1および第2のキーレバー78,83とキーシャフト80とが配設されるとともに、アウタードアハンドル操作系として、リンク50を介してラッチ機構を開放作動させるアウターオープンレバー86が配設されている。さらに、電動ロック操作系として、駆動モータ90とカム部材92とが配設されている。
リンク50は、図2(A),(B)および図8に示すように、インナーオープンレバー72またはアウターオープンレバー86の作動力を受けて上方向に移動されることにより、クロー45の解除操作受部49に当接してクロー45を回転させるものである。このリンク50は、一端がロックプレート57に連結されるとともに他端がアウターオープンレバー86に連結され、ロックプレート57の回動により、クロー45の解除操作受部49と係合可能なアンロック位置と係合不可能なロック位置との間に移動(揺動)される。具体的には、このリンク50は、下端にインナーオープンレバー72の回転を受ける受動部51が設けられている。この受動部51には連結孔52が設けられ、該連結孔52にアウターオープンレバー86が連結されることにより、該アウターオープンレバー86の回転も受動可能に構成されている。この受動部51の上部には、クロー45の解除操作受部49に当接する解除操作部53が設けられている。また、この解除操作部53の横には、略J字形状に延びるようにロックプレート連結部54が連設されている。このロックプレート連結部54には、インナーオープンレバー72またはアウターオープンレバー86の作動力を受けて上向きにスライド移動する際に、ロックプレート57に対して相対的に移動できるようにスライド溝55が設けられている。そして、本実施形態では、このロックプレート連結部54の上端に、両側部を面取りした先細形状の操作部56が更に延設されている。この操作部56は、リンク50がロック状態にあるときにドアハンドルが操作されると、それに伴う上方移動により後述するドア開閉検出部材101の操作受部104に当接し、該ドア開閉検出部材101をドア閉検出位置からドア開検出位置へ移動させるものである。
ロックプレート57は、リンク50をアンロック位置およびロック位置に位置決めするためのものである。このロックプレート57は、メインケース11の取付軸部13aに回動可能に取り付けられる取付部58を備え、該取付部58を頂部とした略扇形状に形成されている。このロックプレート57には、ロック位置およびアンロック位置に移動した際に、その状態を位置決め保持するためのアクションスプリング59を受けるスプリング受部60が設けられている。また、ロックプレート57の円弧状をなす外周縁には、リンク50を配設する側にスライド溝55に係合するスライド軸61が設けられている。このスライド軸61は、先端部に略三角形状に突出する係止爪部62が設けられている。また、ロックプレート57の外周縁には、スライド軸61の逆側であるノブレバー65を配設する側に略U字形状をなすノブレバー係着部63が設けられている。さらに、取付部58には、第2キーレバー83によるアンロック作動を受けるアンロック作動受動部64が突設されている。なお、ロックプレート57においてスライド軸61を設けた側の縁は、第2キーレバー83によるロック作動を受けるロック作動受動部を構成する。
ノブレバー65は、ドアの車内側に設けたロックノブ(図示せず)にワイヤーなどによって連結されるとともに、ロックプレート57に係合されている。そして、ロックノブの操作に連動してロックプレート57を作動させ、リンク50をロック位置またはアンロック位置に移動させるものである。このノブレバー65は、メインケース11の軸穴14に軸着するための回転軸部66を備えている。そして、このノブレバー65には、回転軸部66から径方向外向きに突出して、カバー34の第1挿通部35からケーシング10の外側に突出されるロックノブ接続部67が設けられている。また、ノブレバー65には、ロックプレート57のノブレバー係着部63に向けて略L字形状に延びる連結アーム部68が回転軸部66から突設され、この連結アーム部68の先端にノブレバー係着部63の溝内に挿入係止される係止突部69が設けられている。さらに、連結アーム部68には、背部に位置するカム部材92のカム溝94に係合するカム受部70が突設されている。そして、本実施形態のノブレバー65には、該ノブレバー65がロック位置に移動している状態でのみ、インナーオープンレバー72の回転動作を受ける係合受部71が設けられている。
インナーオープンレバー72は、ドアの車内側に設けたインナードアハンドル(図示せず)に連結されるとともに、リンク50の受動部51に係合(当接)され、該リンク50をクロー45の解除操作受部49の側に向けて作動(スライド)させるものである。このインナーオープンレバー72は、メインケース11の取付軸部13bに回動可能に取り付けられる取付部73を備えている。このインナーオープンレバー72には、カバー34の第2挿通部36からケーシング10の外側に突出するように延び、インナードアハンドルに連結されるインナードアハンドル連結部74が設けられている。また、インナーオープンレバー72には、組付状態で取付部73を中心として回転軌跡上にリンク50の受動部51が位置するように、略J字形状をなすリンク作動部75が設けられている。このリンク作動部75の先端は、受動部51に対して十分な当接面積を確保するために屈曲させた当接面部76とされている。さらに、本実施形態のインナーオープンレバー72には、ノブレバー65がロック位置に位置している状態で、該ノブレバー65の係合受部71に係合して該ノブレバー65およびロックプレート57を介してリンク50をアンロック位置に移動させる係合部77が設けられている。
第1キーレバー78は、ドアの車外側に露出するように配設したシリンダ錠に連結されるもので、図3に示すように、メインケース11のラッチ機構カバー部17の第1取付穴部18に、キーシャフト80とともに回動可能に取り付けられるものである。この第1キーレバー78には、キーシャフト80に対して相対的な回転を不可能とするために、正方形状をなす連結孔79が設けられている。
キーシャフト80は、第1キーレバー78に対してラッチ機構配設部の壁面を挟んで内部側に配設されるもので、連結孔79に連結される第1連結部81を一端に備えたL字形状のものである。このキーシャフト80の他端には、第2キーレバー83に連結する第2連結部82が設けられ、第1キーレバー78の回転力を、回転方向が直交方向に位置する第2キーレバー83に伝達するように構成している。
第2キーレバー83は、図2(A),(B)に示すように、ロックプレート57を軸着する取付軸部13aに軸着されるもので、キーシャフト80の第2連結部82を連結する被連結部84が設けられている。この被連結部84は、ロックプレート57の側縁に当接して該ロックプレート57をロック作動させるためのロック作動部を構成する。また、第2キーレバー83には、ロックプレート57のアンロック作動受動部64に当接して、該ロックプレート57をアンロック作動させるためのアンロック作動部85が設けられている。
アウターオープンレバー86は、図3に示すように、ロック機構配設部12を内外に貫通して配設され、ラッチ機構カバー部17の第2取付穴部19に回動可能に取り付けられるものである。このアウターオープンレバー86には、ロック機構配設部12から外部に突出する部分に、ドアの車外側に設けたアウタードアハンドル(図示せず)を接続するアウタードアハンドル接続部87が設けられている。また、アウターオープンレバー86には、ロック機構配設部12内に配設される端部に、リンク50の連結孔52に連結(係合)されるリンク連結部88が設けられている。そして、本実施形態のアウターオープンレバー86は、付勢スプリング89により、リンク50がクロー45の解除操作受部49から離反する方向に付勢されている。
駆動モータ90は、カム部材92を正転および逆転させるもので、図2(A),(B)に示すように、その出力軸にはウォーム91が取り付けられている。
カム部材92は、ノブレバー65のカム受部70の下部に位置するように回転可能に配設されるもので、その外周部には、ウォーム91に噛み合うウォームホイール部93が設けられている。このカム部材92において、ノブレバー65の側に対向する上面側には、中心側から外周部に向けて中心からの距離が徐々に広がるようにカム溝94が凹設されている。そして、このカム部材92は、付勢スプリング(図示せず)により中立位置に位置決め(付勢)され、カム受部70が中心側に移動するように回転されることにより、ノブレバー65およびロックプレート57を介してリンク50をロック作動させ、カム受部70が外周側に移動するように回転されることにより、ノブレバー65およびロックプレート57を介してリンク50をアンロック作動させるように構成している。
そして、本実施形態のドアロック装置には、フォーク39の回動位置に基づいてドアの開閉状態を検出するためのドア開閉検出機構と、ロックプレート57の回動位置に基づいてドアのロック状態を検出するためのドアロック検出機構とが配設されている。そのうち、ドア開閉検出機構は、サブケース20に回動可能に配設したラッチ連動レバー95と、ロック機構配設部12内に回動可能に配設したドア開閉検出部材101と、ドア開閉検出スイッチとからなる。また、ドアロック検出機構は、前記ロックプレート57と、ロック検出スイッチとからなる。
ラッチ連動レバー95は、フォーク39の回動に連動して回動し、ドア開閉検出部材101を連動して回動させるもので、図6、図7(A),(B)および図9に示すように、サブケース20のレバー回転軸部27に回転可能に軸着される回転軸孔96を備えている。この回転軸孔96の横には、ピン挿通孔23を貫通してフォーク39の側部に位置する作動ピン97が突設されている。これにより、フォーク39が回動すると、その回動に連動してラッチ連動レバー95が回動するように構成している。また、ラッチ連動レバー95には、回転軸孔96を中心として作動ピン97より更に外側に位置するように、一端を閉塞した四角筒状をなす検出部材連結部98が設けられている。この検出部材連結部98は、組付状態でロックプレート57上に位置するドア開閉検出部材101の側に開口部が位置するように、作動ピン97の突出方向に対して逆向きに突出(開口)するように設けられている。また、ラッチ連動レバー95には、回転軸孔96に対して作動ピン97と逆側に、該ラッチ連動レバー95を図7(B)に示すドア閉検出位置(下向き)に付勢するレバー付勢スプリング99を係着する係着凸部100が設けられている。
ドア開閉検出部材101は、図1(A),(B)に示すように、ラッチ連動レバー95を介して、ラッチ機構の1つであるフォーク39の動作に連動し、ドア開検出位置とドア閉検出位置との間を移動(回動)するものである。具体的には、このドア開閉検出部材101は、更に図8に示すように、ロックプレート57を回転可能に取り付けるための取付軸部13aに回転可能に取り付けられる取付孔102を備えている。即ち、このドア開閉検出部材101は、ロックプレート57に対して同軸上に位置するように取り付けられる。このドア開閉検出部材101には、組付状態でラッチ連動レバー95の側に向けて延び、検出部材連結部98内に進入して移動可能に連結されるレバー連結部103が設けられている。即ち、ドア開閉検出部材101とラッチ連動レバー95とは、ラッチ連動レバー95の回転力を、ラッチ連動レバー95の回転軸に対して直交する方向に回転軸を有するレバー連結部103に伝達可能に連結されている。また、ドア開閉検出部材101には、リンク50の配設側である下方に向けて突出する操作受部104が設けられている。この操作受部104は、図1(A)に示すアンロック状態かつドア開検出位置で、リンク50の操作部56に対して平行に延び、図1(B)に示すロック状態かつドア閉検出位置で、リンク50の操作部56に対して交差する方向に延びるとともに互いの先端が近傍に位置するように設けられている。即ち、ドア開閉検出部材101とリンク50とは、同一平面状に位置するように設けられている。さらに、ドア開閉検出部材101には、操作部56に対して逆向きに突出するように、平板状に延びる可動接点配設部105が突設されている。
ドア開閉検出スイッチは、ドア開閉検出部材101の移動位置を検出することにより、該ドア開閉検出部材101およびラッチ連動レバー95を介してフォーク39の移動位置を検出してドアの開閉状態を検出するもので、ドア開閉検出部材101に配設した第1可動接点106と、後述する絶縁基板108に配設した第1固定接点109とを有する。第1可動接点106は、図1(A),(B)に示すように、ロックプレート57の側に向けて変位可能な一対の弾性片が突出するように、ドア開閉検出部材101における可動接点配設部105に固着されている。
ロック検出スイッチは、ロックプレート57の移動位置を検出することにより、リンク50のロック状態またはアンロック状態を検出してドアのロック状態を検出するもので、ロックプレート57に配設した第2可動接点107と、絶縁基板108に配設した第2固定接点110とを有する。第2可動接点107は、図2(A),(B)に示すように、ドア開閉検出部材101の側に向けて変位可能な一対の弾性片が突出するように、ロックプレート57の扇形状をなす本体部分に固着されている。
そして、ロックプレート57とドア開閉検出部材101との間には絶縁基板108が配設され、この絶縁基板108に2個の第1固定接点109a,109bと、3個の第2固定接点110a,110b,110cと、2個の第3固定接点111a,111bが配設されている。これら固定接点109a,109b〜111a,111bは、図10(A)〜(D)および図11に示すように、各可動接点106,107が短絡状態で摺動されるもので、絶縁基板108に敷設した各一対のパターン片により構成されている。なお、第3固定接点111a,111bは、図示しないキースイッチ用の可動接点が短絡状態で摺動されるものである。そのうち、第1および第2の固定接点109a,110aは、同一(共通)の電源電極とされ、第1および第2の可動接点106,107が常に接触される構成としている。また、第1固定接点109bは、第1可動接点106がラッチ状態で接触(短絡)し、アンラッチ状態で非接触(絶縁)となるように構成している。さらに、第2固定接点110bは、第2可動接点107がアンロック状態で接触し、ロック状態で非接触となるとともに、第2固定接点110cは、第2可動接点107がアンロック状態で非接触し、ロック状態で接触となるように構成している。
この絶縁基板108は、組付状態でパターン片がロックプレート57の側に位置するように配設される。そして、本実施形態の絶縁基板108には、ドア開閉検出部材101の第1可動接点106と対応する位置に、一対の第1固定接点109a,109bを敷設面に対して逆側から露出させるための露出孔112が設けられている。これにより、敷設面に対して逆側に配設されるドア開閉検出部材101の可動接点と短絡可能に構成している。また、ロックプレート57の取付軸部13aを貫通させる軸部貫通孔113が設けられている。さらに、絶縁基板には、ドア開閉検出部材101の側に向けて突出し、カバー34のコネクタ接続口38から外部に露出されるコネクタ部114が設けられている。
可動接点106,107および固定接点109a,109b〜111a,111bからなるスイッチの電気的な検出信号は、車内コントロールエリアネットワーク(CAN)によって、車両に搭載したメインマイコン(ECU)に送信される。そして、ECUは、これらのスイッチの検出信号に基づいて、ドアの開閉状態やドアのロック状態などを判断し、車内表示などの所定の制御を実行する。また、本実施形態では、ドア開閉検出スイッチとロック検出スイッチの検出状態に基づいて、不正(異常)な状態を意味する、ロック状態でドアハンドルの開放操作が行われたことを検出できるように構成している。
即ち、図12に示すように、アンロック状態でドアが開操作されていない(ドアが開放されていない)第1状況(通常)では、図10(A)に示す動作状態となる。この場合、ドア開閉検出スイッチにより「ドア閉」状態を検出し、ロック検出スイッチにより「アンロック」状態を検出する。また、アンロック状態でドアが開放操作されている(ドアが開放されている)第2状況(通常)では、図10(B)に示す動作状態となる。この場合、ドア開閉検出スイッチにより「ドア開」状態を検出し、ロック検出スイッチにより「アンロック」状態を検出する。さらに、ロック状態でドアが開操作されていない第3状況(通常)では、図10(C)に示す動作状態となる。この場合、ドア開閉検出スイッチにより「ドア閉」状態を検出し、ロック検出スイッチにより「ロック」状態を検出する。そして、ロック状態でドアが開操作されるという第4状況(異常)では、図10(D)に示す動作状態となる。この場合、ドア開閉検出スイッチにより「ドア開」状態を検出し、ロック検出スイッチにより「ロック」状態を検出する。
次に、前記構成のドアロック装置の基本的な動作について説明する。
まず、ラッチ機構が図7(A)に示すアンラッチ状態(ドアを開放状態)で、ドアが閉じられると、フォーク39の係止溝41内にストライカ1が進入される。そうすると、ドアの閉じ動作力によるストライカ1の押圧で、フォーク39が図中反時計回りに回動する。そして、図7(B)に示すように、係止溝41が挿通凹部21に対して略直交方向に延びるように位置すると、係止部43がクロー45の係止受部47に係止する。その結果、フォーク39によるストライカ1の係止状態を維持したラッチ状態となる。
これにより、ラッチ連動レバー95は、フォーク39のカム部44およびレバー付勢スプリング99により作動ピン97が下向きに移動される。そうすると、ドア開閉検出部材101が図1(A)から図1(B)に示すように時計回りに回動する。よって、ドア開閉検出スイッチの第1可動接点106は、図10(B)に示すアンラッチ検出位置から図10(A)に示すラッチ検出位置に移動する。その結果、ECUは、ロック機構の状態に応じて第1状況または第3状況を検出する。
また、ラッチ機構は、ラッチ状態でクロー45の解除操作受部49が上向きに作動されると、クロー45が時計回りに回動されることにより、係止受部47とフォーク39の係止部43との係止が解除される。これにより、フォーク39がフォーク付勢スプリング42の付勢力で図7(A)に示す開放位置に回動し、ストライカ1の係止を解除したアンラッチ状態となる。なお、クロー45は、解除操作受部49の上向きの作動力が解除されると、クロー付勢スプリング48の付勢力によって係止位置に復帰される。
これにより、ラッチ連動レバー95は、フォーク39のカム部44によってレバー付勢スプリング99の付勢力に抗して作動ピン97が上向きに移動される。そうすると、ドア開閉検出部材101が図1(B)から図1(A)に示すように反時計回りに回動する。よって、ドア開閉検出スイッチの第1可動接点106は、図10(A)に示すラッチ検出位置から図10(B)に示すアンラッチ検出位置に移動する。その結果、ECUは、ロック機構の状態に応じて第2状況または第4状況を検出する。
一方、ロック機構は、図2(A)に示すアンロック状態で、車外側のシリンダ錠が操作されると、図2(B)に示すように、第1キーレバー78、キーシャフト80および第2キーレバー83により、ロックプレート57が時計回りに回動される。これにより、このロックプレート57に連動してリンク50が反時計回りに回動したロック状態となる。また、車内側のロックノブをロック操作すると、ノブレバー65が反時計回りに回動することにより、ロックプレート57が時計回りに回動され、このロックプレート57に連動してリンク50がロック位置に回動する。さらに、リモコンなどによってロック操作をすると、駆動モータ90によりカム部材92が回動することにより、同様にノブレバー65およびロックプレート57が回動され、このロックプレート57に連動してリンク50がロック位置に回動する。
これにより、ロックプレート57に配設したロック検出スイッチの第2可動接点107は、図10(A)に示すアンロック検出位置から図10(C)に示すロック検出位置に移動する。その結果、ECUは、ラッチ機構の状態に応じて第3状況または第4状況を検出する。
また、ロック機構は、図2(B)に示すロック状態で、車外側のシリンダ錠が操作されると、図2(A)に示すように、第1キーレバー78、キーシャフト80および第2キーレバー83により、ロックプレート57が反時計回りに回動される。これにより、このロックプレート57に連動してリンク50が時計回りに回動したアンロック状態となる。また、車内側のロックノブをアンロック操作すると、ノブレバー65が時計回りに回動することにより、ロックプレート57が反時計回りに回動され、このロックプレート57に連動してリンク50がアンロック位置に回動する。さらに、リモコンなどによってアンロック操作をすると、駆動モータ90によりカム部材92が回動することにより、同様にノブレバー65およびロックプレート57が回動され、このロックプレート57に連動してリンク50がアンロック位置に回動する。
これにより、ロックプレート57に配設したロック検出スイッチの第2可動接点107は、図10(C)に示すロック検出位置から図10(A)に示すアンロック検出位置に移動する。その結果、ECUは、ラッチ機構の状態に応じて第1状況または第2状況を検出する。
次に、ドアハンドル操作に伴うドアロック装置の状況検出について具体的に説明する。
まず、図2(A)に示すアンロック状態でドアが開放されておらず、かつ、アウタードアハンドルが操作されていない第1状況では、図10(A)に示すように、ドア開閉検出スイッチが「ドア閉」状態を検出し、ロック検出スイッチが「アンロック」状態を検出している。
そして、このアンロック状態でアウタードアハンドルが操作されると、アウターオープンレバー86が回動する。そうすると、リンク50がスライド溝55の延び方向である垂直方向上向きに移動する。これにより、リンク50の解除操作部53がクロー45の解除操作受部49と係合(当接)し、このリンク50の移動で解除操作受部49を押圧してクロー45を回転させる。その結果、図7(A)に示すように、フォーク39によるストライカ1の係止状態が解除される。
また、アンロック状態でインナードアハンドルが操作されると、インナーオープンレバー72が反時計回りに回動することにより、リンク50の受動部51に当接する。そして、前記と同様に、リンク50を垂直方向に移動させることにより、解除操作部53をクロー45の解除操作受部49に係合させ、クロー45を回転させることにより、フォーク39によるストライカ1の係止状態を解除する。
このようにしてアンロック状態でドアが開放された第2状況では、図10(B)に示すように、ドア開閉検出スイッチが「ドア開」状態を検出し、ロック検出スイッチが「アンロック」状態を検出する。
そして、ドアが閉塞状態(ラッチ状態)で、シリンダ錠、車内側のロックノブまたはリモコンによってロック操作が行われ、図2(B)に示すロック状態になり、かつ、アウタードアハンドルが操作されていない第3状況では、図10(C)に示すように、ドア開閉検出スイッチが「ドア閉」状態を検出し、ロック検出スイッチが「ロック」状態を検出する。
このロック状態では、ロックプレート57の時計回りの回転により、リンク50が左側上方に向けて揺動した状態をなす。そのため、アウタードアハンドルが操作され、アウターオープンレバー86が回動すると、リンク50の受動部51が上向きに押圧され、解除操作受部49から離反するように傾斜して延びるスライド溝55に沿ってリンク50が斜め上向きに移動する。そのため、リンク50の解除操作部53はクロー45の解除操作受部49に係合できない。その結果、この状態でのリンク50の移動では、解除操作受部49を押圧してクロー45を回転させることができないため、フォーク39によるストライカ1の係止状態を解除できない。
しかし、本実施形態では、リンク50に操作部56を設けるとともに、ドア開閉検出部材101に操作受部104を設けている。そのため、前述のようにしてアウタードアハンドル操作によりリンク50が斜め上向きに移動されると、リンク50の操作部56がドア開閉検出部材101の操作受部104において、ドア開閉検出部材101のドア開検出位置へ向けた回動方向後側に当接する。これにより、図13に示すように、ドア開閉検出部材101がリンク50の操作部56によって押圧されて、ドア開閉検出部材101が反時計回りに回動してドア開検出位置に回動する。その結果、このような第4状況では、図10(D)に示すように、ドア開閉検出スイッチが「ドア開」状態を検出し、ロック検出スイッチが「ロック」状態を検出する。
一方、本実施形態のドアロック装置では、ノブレバー65に設けた係合受部71と、インナーオープンレバー72に設けた係合部77とで、オーバーライド機能を構成しているため、ロック状態でインナードアハンドルが操作された場合には、ドアを開放できる。具体的には、ロック状態でインナードアハンドルが操作されると、図2(B)に示す状態で、インナーオープンレバー72が反時計回りに回動することにより、該インナーオープンレバー72の係合部77がノブレバー65の係合受部71に当接(係合)する。そして、この状態で、更にインナーオープンレバー72が回動されることにより、その回動力をノブレバー65が受けて、該ノブレバー65が時計回りに回動する。これにより、ロックプレート57およびリンク50が図2(A)に示すアンロック位置に回動する。その結果、アンロック状態でインナードアハンドルを操作した場合と同様に、リンク50の解除操作部53をクロー45の解除操作受部49に当接させ、該クロー45を作動させることにより、フォーク39によるストライカ1の係止を解除できる。
そのため、本実施形態のドアロック装置は、図10(C)に示すように、ドア開閉検出スイッチが「ドア閉」状態を検出し、ロック検出スイッチが「ロック」状態を検出した状態で、インナードアハンドルが操作されると、図10(B)に示すように、ドア開閉検出スイッチが「ドア開」状態を検出し、ロック検出スイッチが「アンロック」状態を検出した状態となる。
このように、本実施形態のドアロック装置は、ドア開閉検出スイッチおよびロック検出スイッチにより、ドアを開放可能なアンロック状態で、アウタードアハンドルによりドアの開操作を行なっていない状態(第1状況)、および、アウタードアハンドルによりドアの開操作を行った状態(第2状況)を検出することができる。また、ドアの開放不可能なロック状態では、ドアの開操作を行なっていない状態(第3状況)を検出できる。
しかも、本実施形態では、リンク50に、ドア開閉検出部材101をドア閉検出位置からドア開検出位置へ移動させる操作部56を設け、ロック状態にあるときにアウタードアハンドルが操作される(第4状況)と、ドアの開状態を検出できるように構成している。即ち、ドアロック装置を構成する既存のドア開閉検出スイッチおよびロック検出スイッチにより、ロック状態でアウタードアハンドルを操作するという異常状態を検出できるように構成している。その結果、アウタードアハンドルの操作を検出するために、専用のスイッチ装置を別途設ける必要がないため、コストダウンを図ることができる。
また、本実施形態では、ドア開閉検出部材101をロックプレート57と同軸上に配置し、かつ、リンク50と同一平面上に位置するように配設する構成としているため、リンク50の作動によって直接かつ確実にドア開閉検出部材101を操作できる。即ち、リンク50の作動をドア開閉検出部材101に伝達するための連結部材等は不要であるため、部品点数の増大およびコストアップを防止できる。しかも、ドア開閉検出スイッチを構成する第1固定接点109a,109bおよびロック検出スイッチを構成する第2固定接点110a〜110cは、1つの絶縁基板108上に設けているため、部品点数を削減でき、コストダウンを図ることができるとともに、組立作業性も向上できる。
なお、本発明のドアロック装置は、前記実施形態の構成に限定されるものではなく、種々の変更が可能である。
例えば、前記実施形態では、ノブレバー65に係合受部71を設けるとともに、インナーオープンレバー72に係合部77を設け、ロック状態でインナーオープンレバー72が操作されたときにドアを開放可能(オーバーライド機能)としたが、係合受部71および係合部77を設けない構成としてもよい。