JP2010100908A - 電極材料の処理方法 - Google Patents

電極材料の処理方法 Download PDF

Info

Publication number
JP2010100908A
JP2010100908A JP2008274169A JP2008274169A JP2010100908A JP 2010100908 A JP2010100908 A JP 2010100908A JP 2008274169 A JP2008274169 A JP 2008274169A JP 2008274169 A JP2008274169 A JP 2008274169A JP 2010100908 A JP2010100908 A JP 2010100908A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
electrode material
wet leaching
measurement
wet
noble metal
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Pending
Application number
JP2008274169A
Other languages
English (en)
Inventor
Naoko Kikuta
直子 菊田
Ryozo Ushio
亮三 牛尾
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Sumitomo Metal Mining Co Ltd
Original Assignee
Sumitomo Metal Mining Co Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Sumitomo Metal Mining Co Ltd filed Critical Sumitomo Metal Mining Co Ltd
Priority to JP2008274169A priority Critical patent/JP2010100908A/ja
Publication of JP2010100908A publication Critical patent/JP2010100908A/ja
Pending legal-status Critical Current

Links

Classifications

    • YGENERAL TAGGING OF NEW TECHNOLOGICAL DEVELOPMENTS; GENERAL TAGGING OF CROSS-SECTIONAL TECHNOLOGIES SPANNING OVER SEVERAL SECTIONS OF THE IPC; TECHNICAL SUBJECTS COVERED BY FORMER USPC CROSS-REFERENCE ART COLLECTIONS [XRACs] AND DIGESTS
    • Y02TECHNOLOGIES OR APPLICATIONS FOR MITIGATION OR ADAPTATION AGAINST CLIMATE CHANGE
    • Y02EREDUCTION OF GREENHOUSE GAS [GHG] EMISSIONS, RELATED TO ENERGY GENERATION, TRANSMISSION OR DISTRIBUTION
    • Y02E60/00Enabling technologies; Technologies with a potential or indirect contribution to GHG emissions mitigation
    • Y02E60/30Hydrogen technology
    • Y02E60/50Fuel cells
    • YGENERAL TAGGING OF NEW TECHNOLOGICAL DEVELOPMENTS; GENERAL TAGGING OF CROSS-SECTIONAL TECHNOLOGIES SPANNING OVER SEVERAL SECTIONS OF THE IPC; TECHNICAL SUBJECTS COVERED BY FORMER USPC CROSS-REFERENCE ART COLLECTIONS [XRACs] AND DIGESTS
    • Y02TECHNOLOGIES OR APPLICATIONS FOR MITIGATION OR ADAPTATION AGAINST CLIMATE CHANGE
    • Y02PCLIMATE CHANGE MITIGATION TECHNOLOGIES IN THE PRODUCTION OR PROCESSING OF GOODS
    • Y02P10/00Technologies related to metal processing
    • Y02P10/20Recycling

Landscapes

  • Fuel Cell (AREA)
  • Processing Of Solid Wastes (AREA)
  • Manufacture And Refinement Of Metals (AREA)

Abstract

【課題】 使用済みの固体高分子型燃料電池の電極材料に触媒として含まれている貴金属を、有害物質等を発生させることなく、効率的に無駄なく回収できる電極材料の処理方法を提供する。
【解決手段】 燃料電池の電極材料からその中に触媒として含有されている貴金属を回収する方法であって、湿式浸出処理により電極材料に含まれる貴金属成分の抽出を行う湿式浸出工程と、湿式浸出処理を行った後に得られる固形残渣中に残留する貴金属含有量を測定する測定工程と、測定工程により得られた測定値を予め設定したしきい値と比較して、測定後の固形残渣に対してリサイクル工程に移送するか又は湿式浸出工程に繰り戻すかの分別を行う判定分別工程とを備えている。
【選択図】 なし

Description

本発明は、燃料電池から回収した電極材料に触媒として含まれている白金などの貴金属を、副次的な有害物質を発生することなく効率的に回収する方法に関する。
近年、クリーンなエネルギー源として燃料電池が注目されており、中でも、固体高分子型燃料電池(PEFC)は、その小型可能性や携帯性などに対する期待が高く、現在最も開発が進んでいる。
固体高分子型燃料電池は、パーフルオロスルホン酸などのフッ素系高分子からなる電解質膜を挟んでその両側面に、アノードとカソードがそれぞれ接合された基本構造から構成されている。これらアノードとカソードは、フッ素系高分子電解質中に、白金などの貴金属系触媒を混合分散したものから形成されている。
アノードとカソードの外側には、カーボンペーパーやカーボンクロスなどのガス拡散層が設けられ、さらにこのガス拡散層を介して、それぞれ燃料及び酸化剤の流路基板が配置されている。上記構造の固体高分子型燃料電池において、電解質膜、アノード及びカソード、並びにガス拡散層は一体化されて電極材料を構成しており、MEA(Membrane Electrode Assembly)と称されている。
かかる固体高分子型燃料電池において、アノードには燃料として水素やアルコールが供給され、カソードには酸化剤として酸素が供給される。さらに、アノードに水素が供給された場合には、水素は電子が奪われて水素イオンとなり、電解質膜を通過した後、カソードで電子及び酸素と反応して水を生成する。このように、固体高分子型燃料電池は、アノード及びカソードで生じる電気化学反応によって発電する。
ところで、電解質膜は乾燥することにより水素イオン通過性が低下するので、燃料ガス及び酸素供給ガスは適度に加湿される必要があるが、一方で結露によって電極へのガス供給路が閉塞しないような対策も講じる必要がある。従って、現在は、これら二つの要求を両立させるため、固体高分子型燃料電池の電極材料を構成する部材の一部に、撥水性を有するフッ素樹脂系材料を用いたり、フッ素樹脂系撥水剤による撥水処理を施したりしている。
以上の如き固体高分子型燃料電池は、燃料電池自動車や家庭用定置型燃料電池システムを対象として既に大規模実証試験段階にあり、本格的な販売も近いという現状にあるが、これらを大規模に普及させるためには、電極材料の耐久性や生産コスト等の問題を解決する必要がある。取り分け、現在重大な問題として挙げられているのは、電極材料に使用する貴金属系触媒の量が多いことであり、コスト的な見地のみならず、貴金属資源量に鑑みても、この問題は、将来燃料電池の普及における大きな障害となることが顕在化してきた。
現在、この問題への解決策の一つとして、貴金属系触媒と同程度の性能を持つ代替触媒を探索する試みが盛んに行われているが、今のところ十分な再現性を持つ非貴金属系触媒などの代替触媒の開発は進んでいない。
そこで、他の解決策として、使用済みの固体高分子型燃料電池を解体して処分する際に、その電極材料から貴金属を効率よく回収する技術が検討されている。例えば、特許文献1には、乾式の回収方法として、貴金属系触媒を含む電極材料を炉で燃焼処理して貴金属成分を含む残渣を回収し、その残渣を各種手法でさらに処理することで貴金属を取り出す方法が提案されている。
また、その他の方法としては、貴金属回収方法として一般的に広く採用されている王水溶解法などの湿式の回収方法があり、さらに、特許文献2には、電極材料をアルコールなどの有機溶媒に浸漬し、その電極材料を音波等を用いて構成物ごとに剥離・解体して混合物とし、この混合物の溶液部分からさらに触媒貴金属を含む不溶物部分(固形物)を分離し、そこから乾式法または湿式法で貴金属を回収する手法が提案されている。
特許第2684171号公報 特開2007−297655号公報
現状の固体高分子型燃料電池は、前述したように、その電極材料を構成する電解質膜やアノード、カソードなどの部材の多くがフッ素系高分子のマトリックスで構成されており、また電極材料の特定部分については安定した撥水性を持つよう設計されているため、従来の回収方法に従って電極材料から貴金属を回収する場合は多くの問題が生じ得る。
例えば、特許文献1に示す方法に従ってそのまま処理を行うと、電極材料のマトリックスがフッ素系高分子であるため、燃焼処理時に有害なフッ化水素ガスを発生させてしまうことは避けられない。そこで、このような状況を回避するために、特公平8−6152号公報などに示されているような、発生するフッ化水素ガスをアルカリ塩と反応させてフッ化アルカリとして固定させる手法が必要となる。
しかしながら、発生するフッ化水素ガス全てをアルカリと反応させることは事実上困難である上、ガス処理設備が必要となることや、焼成炉が長期使用に耐えられないことなどのさらなる問題点が新たに生じる。しかも、電極材料のマトリックス材質については、強度特性や耐熱性などの点から、フッ素系高分子が最も定評ある素材として世界的に定着しつつある上、フッ素系高分子以外の有機系材質は未だ見通しが立っていないのが現状である。
また、王水溶解法などの湿式の回収方法を利用して処理を行っても、固体高分子型燃料電池の電極材料は、前述したように、強固な撥水性を保持する部材を含んでいるため、この部材の撥水性が電極材料と王水などの処理液との接触を妨げ、そのため電極材料中の貴金属の浸出が阻害され、効果的に貴金属を回収することはできない。
さらに、特許文献2に記載されている方法に至っては、電極材料の構成物を剥離・解体して電極材料に含まれる貴金属系触媒をフッ素系高分子から完全に分離することは極めて困難な上、貴金属の回収率も良くない。
何故なら、燃料電池発電時などにおける電極材料の耐久性を上げるために化学的耐久性の高いマトリックス材質を使用することが一般的になってきている上、発電により電極材料が変質劣化するため、解体することによりフッ素系高分子から貴金属系触媒だけを分離しようとしても、高分子電解質膜やガス拡散層の表面や内部に相当量の貴金属が残留したり、触媒層のフッ素系高分子マトリックスが十分に解れず、看過できない量の貴金属系触媒が当該マトリックス中に包み込まれたままの状態で存在していたりするからである。
これに加えて、使用後の電極材料を剥離・解体して得られる固形物におけるフッ素系高分子の付着状況や貴金属の残留状態にばらつきがあることも分離を困難にしている。このようにばらつきが生じる原因には、前述した発電による電極材料の変質劣化が一因として挙げられる。
すなわち、一般的に知られているように、電極材料の変質劣化は、触媒貴金属が電解質膜内へ溶解進入して析出する現象やガス拡散層など周辺炭素素材へ拡散・吸着する現象などによって生じるため、電極材料の変質劣化の程度は、燃料電池の使用状況などにより、個々の電極材料で千差万別となる。
従って、これら電極材料を剥離・解体して得られる、組成物たるそれぞれの固形物には、数種類の貴金属が回収すべき高濃度で含まれている場合があるものの、後段の湿式処理工程において、全てのかかる貴金属回収対象固形物に対し、同じように高い水準の回収率で貴金属を得ることを目指して、一定の高品位物向けの処理を行う回収方法を画一的に適用してしまうと、却って過剰な処理を付加する結果となって余計にコストが嵩んでしまったり、あるいは期待したほどには回収率が上がらずに下止まりしてしまい、結局相当量の貴金属が該固形物中に残留したままとなる状況が発生していた。
このように、使用済み燃料電池から回収した電極材料に対し湿式処理を行い、含有されている貴金属を、常に高い回収率で効率よく回収することは極めて困難であった。
これに対して本発明者らは、電極材料に親水化処理を施した後に湿式浸出処理を行い、貴金属の回収を図ることにより、貴金属と浸出液との接触効率を一定レベル以上に高めて貴金属回収効率を向上させ得ることを見出した(特願2007−338913号参照)。
これにより、燃料電池から回収した様々な性状の電極材料を所定の湿式浸出処理に適合させて、良好に貴金属を回収できるようになった。しかしながら、電極材料の性状によっては、上記親水化処理を行っても貴金属の浸出が思うように進まず、依然として該固形物中に回収可能な貴金属が少なからず残留したままの状態となってしまい、結局目標の貴金属回収量を大きく下回ってしまう場合があった。
そこで、本発明は、上記課題を解決するため、燃料電池を構成していた電極材料から貴金属を回収する際において、性状にばらつきのある各電極材料に対して画一的に所定の湿式浸出処理を施して含有貴金属の高回収化を図るのではなく、各電極材料の様々な性状に応じて最適な湿式浸出処理を施すことによって、効率的に無駄なく貴金属を回収することができる電極材料の処理方法を提供する。
本発明者らは、燃料電池の電極材料からその中に触媒として含有されている白金などの貴金属を湿式浸出処理により効率的に回収する方法について鋭意検討を重ねた結果、以下に示す方法により効率良く貴金属を回収できることを見出し、本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明が提供する電極材料の処理方法は、湿式浸出処理により電極材料に含まれる貴金属成分の抽出を行う湿式浸出工程と、湿式浸出処理を行った後に得られる固形残渣中に残留する貴金属含有量を測定する測定工程と、測定工程により得られた測定値を予め設定したしきい値と比較して、測定後の固形残渣に対してリサイクル工程に送るか又は湿式浸出工程に繰り戻すかの分別を行う判定分別工程とを備えることを特徴としている。
上記本発明の電極材料の処理方法においては、湿式浸出工程が複数の湿式浸出工程から構成されるとき、判定分別工程において複数のしきい値を予め設定し、測定後の固形残渣を湿式浸出工程に繰り戻す際に、測定値と複数のしきい値との比較の結果に応じた湿式浸出工程に繰り戻すことが望ましい。
また、上記本発明の電極材料の処理方法においては、湿式浸出工程の前に、電極材料を剥離・解体する解体工程を備えても良い。このとき、解体工程と湿式浸出工程との間に、電極材料を剥離・解体して得られた未処理固形物中の貴金属含有量を事前に測定する事前測定工程と、この事前測定工程により得られた事前測定値を予め設定した事前しきい値と比較して、事前測定後の未処理固形物に対して湿式浸出工程に送るか又は該湿式浸出工程を経ることなく前記リサイクル工程に送るかの分別を行う事前判定分別工程とを備えることが好ましい。
さらに、上記本発明の電極材料の処理方法においては、湿式浸出工程が複数の湿式浸出工程から構成されるとき、事前判定分別工程において複数の事前しきい値を予め設定し、事前測定後の未処理固形物を湿式浸出工程に送る際に、事前測定値と複数の事前しきい値との比較の結果に応じた湿式浸出工程に送ることが望ましい。
さらに、上記本発明の電極材料の処理方法においては、リサイクル工程に移送される固形残渣又は未処理固形物は、移送前に破砕・解体されることが好ましい。また、貴金属量の測定に、蛍光X線分析を用いることが好ましい。この蛍光X線分析は、エネルギー分散型蛍光X線分析を応用した自動分別装置を用いることがより好ましい。
本発明に係る電極材料の処理方法によれば、使用済みの固体高分子型燃料電池の電極材料に触媒として含まれている貴金属を、有害物質等を発生させることなく、効率的に無駄なく回収することができ、また貴重な貴金属資源を有効に再利用することによって将来的に予見される貴金属資源の枯渇問題を抑制することができるため、本発明は、産業面のみならず環境面においても非常に有益なものである。
本発明における貴金属の回収処理方法の対象となる電極材料の形態は、使用済みの固体高分子型燃料電池(PEFC)や直接メタノール型燃料電池(DMFC)などから取り出されたものであれば、特に限定されない。例えば、剥離・解体によって触媒層であるアノードやカソードとガス拡散層や電解質膜とが分離した後の形態であっても良いし、剥離・解体前の形態であっても良い。電極材料を剥離・解体する方法としては、限定するものではないが、物理的や化学的な種々の手法により電極材料を解体、剥離、破砕する方法などが挙げられる。
ここで、本発明における貴金属成分とは、主に白金族成分を指し、白金やパラジウムやルテニウムを含む。また、本発明において、貴金属成分を抽出(浸出)する湿式浸出工程には、例えば、王水溶解法や塩素浸出法に代表される、酸、アルカリ、イオン溶液などの抽出溶液を用いて貴金属成分を抽出回収する方法を使用することができる。
この湿式浸出工程は、これらの種類の異なる複数の抽出溶液を適宜組み合わせた複数の湿式浸出処理を含んでいても良い。また、湿式浸出処理を効率良く行うため、電極材料を親水化処理してから湿式浸出処理しても良い。この親水化処理の方法には、酸化処理、プラズマ処理、紫外線照射処理、イオン照射処理、表面グラフト化処理などが挙げられる。
これらの親水化処理法の中でも酸化処理が特に好ましい。この酸化処理には、例えば、オゾンや過酸化水素を用いる酸化処理、大気中での加熱による酸化処理などがある。オゾンを用いる酸化処理には、オゾンガスに電極材料を接触させる方法や、オゾンを溶解させた水又は水溶液に電極材料を浸漬する方法がある。このように、オゾンを用いる酸化処理は、気相でも液相でも実施することができ、加熱しなくても処理が可能なうえ、親水化の効果が顕著であるためより好ましい。
湿式浸出処理により抽出された貴金属を含有する浸出液については、必要に応じて調整処理を施した後、従来の貴金属精製方法に従って処理することによって、含有貴金属を回収することができる。
一方、上記湿式浸出処理を行った後に残渣として回収される固形残渣は、必要に応じて浸出液の残留がなくなるまで十分な水洗を行った後、測定工程に送られる。固形残渣の表面に浸出液が残っていると、微量の貴金属が付着していたり、被膜ができたりして残渣中の正確な残留貴金属量が測定できない虞れがある。さらに、浸出液として使用する液は、基本的に強酸性のものが殆どなので、表面の浸出液を全く除去せずにそのまま直接固形残渣を測定し続けると分析機を傷めてしまう。従って、測定工程前には水洗を行うのが好ましい。なお、使用する浸出液の種類によっては、分析に支障のない樹脂フィルムを選定し、これを固形残渣と分析機測定部との間に介在させて測定することにより、上記水洗操作を簡略化したり、場合によっては省略したり、することも可能である。
測定工程では、湿式浸出処理を行った後の固形残渣中に残留する貴金属量を測定する。具体的には、化学的・物理的検出法を適用して固形残渣中の貴金属含有量を測定し、これを数値化する。次に判定分別工程において、測定工程で数値化された測定値と、判定基準として予め設定したしきい値とを比較し、固形残渣の分別を行う。
尚、判定分別工程において予め設定されるしきい値は、燃料電池の使用状況、電極材料の材質や状態、回収対象となる含有貴金属の種類や数量、湿式浸出処理に用いられる抽出溶液の種類や濃度、湿式浸出処理が行われる環境等によって適宜設定するのが好ましい。
上記比較の結果、しきい値以上の数値を有する固形残渣は、上記湿式浸出工程へ繰り戻されて再度湿式浸出処理が行われる。一方、しきい値未満の数値を有する固形残渣は、リサイクル工程に送られる。ここで、リサイクル工程とは、固形残渣の主成分を再生利用するために行う処理工程のことである。固形残渣は直接リサイクル工程に移送されても良いし、一旦貯留された後にリサイクル工程に移送されても良い。尚、固形残渣は、基準値以上の不純物を含む等の理由により、リサイクル工程に移送されることなくフッ素樹脂廃棄物や炭素廃棄物として廃棄される場合もある。
リサイクル工程により固形残渣が無害化あるいは再資源化され得るのであれば、本発明のリサイクル産業における利用可能性はさらに高まる。特に、これらの固形残渣を破砕、解体してからリサイクル工程に移送すれば、より効果的に無害化や再資源化を行うことができるため、環境負荷を低減することが可能となり、本発明の環境保護に対する貢献度はさらに大きくなる。
湿式浸出工程が複数の湿式浸出処理を含む場合は、判定分別工程において複数のしきい値を予め設定し、測定後の固形残渣を湿式浸出工程に繰り戻す際に、測定値と複数のしきい値との比較の結果に応じた湿式浸出処理に繰り戻すことが望ましい。
例えば、湿式浸出工程が連続する第1及び第2の湿式浸出処理から構成される場合、これら第1及び第2の湿式浸出処理が施された固形残渣は、測定工程にて測定されて測定値を得た後、判定分別工程においてその測定値が第1のしきい値と比較される。測定値が第1のしきい値以上であれば固形残渣は第1の湿式浸出処理に繰り戻され、第1のしきい値未満であれば測定値はさらに第1のしきい値とは異なる第2のしきい値と比較される。測定値が第2のしきい値以上であれば固形残渣は第2の湿式浸出処理に繰り戻され、第2のしきい値未満であれば固形残渣はリサイクル工程に送られる。
このように、湿式浸出工程が複数の湿式浸出処理を含む場合は、測定値を複数のしきい値と比較することによって、様々な性状を有する電極材料に応じてよりきめ細かく湿式浸出処理を施すことが可能となる。尚、上記にて示した測定値と複数しきい値との比較方法は単なる例示であり、これら以外に種々の方法で測定値と複数しきい値とを比較することができることはいうまでもない。
測定工程において適用する貴金属の化学的・物理的検出法には、化学定量分析や蛍光X線分析がある。蛍光X線分析を適用すれば、非破壊測定で固形残渣を判定分別でき、工程の所要時間を著しく短縮することができるため望ましい。特に、エネルギー分散型の蛍光X線分析を適用すると、オンライン測定や自動分別装置化が可能となるため、さらに望ましい。
ここで、蛍光X線とは、測定対象物質に照射したX線が物質構成原子の内殻電子を外殻にはじき出し、空いた空間(空孔)に外殻電子が落ちてくる時、余ったエネルギーが電磁場として放射されたものであり、各元素は固有のエネルギー(波長)を持っている。従って、そのエネルギーを実験的に求めることによって測定対象物質を構成する元素の定性分析が可能となり、またそのエネルギーのX線強度(光子の数)から定量分析が可能になる。このような分析方法を蛍光X線分析法と呼ぶ。
この蛍光X線分析法には、化学定量分析など他の元素分析法と比較して、試料を破壊することなく(非破壊分析)、比較的短時間で多元素を同時に分析することが可能であるという特徴がある。
また、蛍光X線分析法は、鉱物や金属などの組成分析に広く用いられているものの、その分析対象として検出感度が実用的なレベルに達するのは、Na(原子番号Z=11)以上の原子番号を持つ元素であって、近年の研究開発によりかなり改良されたとはいえ、その分析対象がF(原子番号Z=9)以下の原子番号を持つ元素である場合は、検出感度は低くなる。
このことは、一般的には蛍光X線分析の欠点と見なされてしまうが、電極材料の判定分別に適用する場合には、これが逆に利点となる。すなわち、電極材料中において触媒貴金属と共存するのは、原子番号が小さく蛍光X線分析の検出感度が低い元素で構成されている炭素素材やフッ素系高分子であるため、鉱物中や金属中などから貴金属を分析する場合と比較して、分析対象でない元素の特性X線による妨害が極めて少ないため、より高感度に貴金属を分析できる。
また、X線の透過距離は、透過する物質に含まれる原子の原子番号が小さいほど長くなるため、測定対象が鉱物や金属の場合と比較すると、電極材料の方が、表面からより深い深度まで測定することができ、加えて電極材料そのものがあまり厚みを持たないこともあって、電極材料の判定分別に蛍光X線分析を適用するのは、他の分析方法を用いるよりも著しく利点が大きい。
尚、上記蛍光X線分析装置は、X線のエネルギー分析の方法の観点から、波長分散型分析装置とエネルギー分散型分析装置とに大別される。前者は結晶分光器を用いて波長分光(エネルギー分析)した上でX線強度測定を行い、後者は検出器自体がX線のエネルギー分析機能を持つ半導体検出器を利用するものである。
ここで、前者は検出下限が低く分解能も高いが、後者と比較すると測定に時間がかかる。一方、後者は測定の迅速性に特徴がある上に、近年分析装置自体の小型化が著しく進んでいる。さらに、電極材料中の触媒金属を分析するのであれば、後者であっても分析に必要とされる十分な検出下限を備えており、またオンライン測定や自動分別装置化も可能であるため、エネルギー分散型分析装置を適用する効果は非常に大きい。
本発明の電極材料の処理方法は、上記のように湿式浸出処理後に得られる固形残渣の貴金属含有量を測定した結果に基づいて再度湿式浸出処理を行うか否かの判定を行うため、固形残渣に高濃度の貴金属が含まれている限り、何度でも繰り返して回収処理を行うことができる。よって、高濃度の貴金属を含んだ固形残渣を無駄に廃棄することが回避され、貴金属の回収率を上げることができる。
また、湿式浸出処理されることが望ましい性状を有する固形残渣のみが選別されて湿式浸出工程に繰り戻されるので、湿式浸出工程で消費される抽出溶液使用量を抑えながら、貴金属の回収率を高めることができる。
ところで、湿式浸出工程前に前述した解体工程を備える場合は、解体工程により得られた湿式浸出処理前の(固形)組成物(以降、未処理(固形)組成物と称する)を、必要に応じて、一旦大きさや比重などによって区分けし、その後区分けされた各未処理(固形)組成物について貴金属含有量を測定(以降、事前測定工程と称する)し、得られた測定値に基づいて各未処理(固形)組成物を分別(以降、事前判定分別工程と称する)することが望ましい。
具体的には、先ず事前測定工程において、前述の測定工程と同様に、個々の未処理(固形)組成物に含まれる貴金属の含有量を測定し、これにより貴金属含有量の値(以降、事前測定値と称する)を得る。次に事前判定分別工程において、前述の判定分別工程と同様に、事前測定値と予め設定したしきい値(以降、事前しきい値と称する)とを比較し、事前測定値が事前しきい値未満であれば、その(固形)組成物は湿式浸出処理の対象外と判断して、該湿式浸出工程を経ることなくリサイクル工程に移送される。一方、貴金属含有量の事前測定値が事前しきい値以上であれば、湿式浸出工程に移送される。
事前判定分別工程は、上記判定分別工程と同様に、湿式浸出工程が複数の湿式浸出処理を含むとき、複数の事前しきい値を予め設定し、事前測定後の未処理(固形)組成物を湿式浸出工程に送る際に、事前測定値と複数の事前しきい値との比較の結果に応じた湿式浸出処理に送るようにしても良い。
例えば、湿式浸出工程が連続する第1及び第2の湿式浸出処理から構成される場合、未処理(固形)組成物は事前測定工程にて測定されて事前測定値を得た後、事前判定分別工程においてその事前測定値が第1の事前しきい値と比較される。事前測定値が第1の事前しきい値以上であれば未処理(固形)組成物は第1の湿式浸出処理に移送され、第1の事前しきい値未満であれば事前測定値はさらに第1の事前しきい値とは異なる第2の事前しきい値と比較される。事前測定値が第2の事前しきい値以上であれば未処理(固形)組成物は第2の湿式浸出処理に移送され、第2の事前しきい値未満であれば未処理(固形)組成物はリサイクル工程に送られる。
このように、当該事前判定分別工程では、様々な性状を有する未処理(固形)組成物に対して、より細かく設定された判定分別基準に基づいて分別されて湿式浸出処理が施されるため、以降の湿式浸出処理における貴金属回収を円滑かつ効率的に行うことができる。
尚、上記事前判定分別工程において予め設定される事前しきい値は、上記判定分別工程におけるしきい値と同様に、燃料電池の使用状況、電極材料の材質や状態、回収対象となる含有貴金属の種類や数量、湿式浸出処理に用いられる抽出溶液の種類や濃度、湿式浸出処理環境等によって適宜設定するのが好ましい。
使用済み固体高分子型燃料電池から電極材料を回収し、これを3cm角に裁断して得られた被処理部材を10枚準備した。これら10枚の被処理部材に親水化処理と湿式浸出処理を行った。具体的には、まず親水化処理として、被処理部材10枚と1mol/リットルの塩化ナトリウム溶液1リットルとを親水化処理槽に投入し、オゾンガスを0.8リットル/minで6時間連続して槽の液面下に吹き込んだ。
上記酸化処理に用いたオゾンガスは、既存のオゾン活性水製造設備からの排ガスを用いた。尚、このオゾン活性水製造設備は、2リットル/minのオゾン活性水を製造するために、実質容量60リットルの循環滞留水槽に、オゾン濃度85g/Nmのオゾンガスを1.5リットル/minで連続注入している。
次に、上記親水化処理後に回収した被処理部材の全量を、2リットルの王水を抽出溶液として入れた浸出処理槽に投入し、90℃の抽出温度で1.5時間撹拌保持して、貴金属の抽出(湿式浸出)処理を行った。その後、濾別と水洗により、固形残渣を浸出溶液から分離回収した。ここで得られた浸出溶液と洗浄液を回収したものを、溶液1とする。
回収された固形残渣は、電極材料が湿式浸出処理中に剥離・解体された状態となっていた。具体的には、高分子電解質膜10枚と、ガス拡散層(カーボンクロス)20枚と、屑状・粉末状に剥離・解体した触媒層(フッ素系高分子マトリックスから貴金属触媒がまだ外れていない状態も含む)と、カーボン繊維屑とが目視で分類できる状態であった。
これら回収された固形残渣を対象に、エネルギー分散型蛍光X線測定装置を用いて測定した。その結果、大半の測定対象は白金が検出下限未満であったが、高分子電解質膜3枚とカーボンクロス5枚については白金のLαピークが強度9〜32cpsの値で検出された。この白金が検出された分の固形残渣(再浸出対象物)については、2回目の抽出(湿式浸出)処理を行った。
2回目の抽出(湿式浸出)処理は、1リットルの王水を抽出溶液として入れた浸出処理槽に再浸出対象物を投入し、90℃の抽出温度で1.5時間撹拌保持して、貴金属の抽出(湿式浸出)処理を行った。その後、濾別と水洗により、固形残渣を浸出溶液から分離回収した。ここで得られた浸出溶液と洗浄液を回収したものを、溶液2とする。この、2回目の湿式浸出処理後の固形残渣についてもエネルギー分散型蛍光X線測定装置を用いて測定を実施した結果、全ての判定対象物について、白金は検出下限未満になっていた。
溶液1、溶液2、及び全ての最終固形残渣を分析した結果、1回目の湿式浸出処理では全白金量の88.2%が、2回目の湿式浸出処理では11.4%が回収され、最終的な白金回収率は、99.6%となった。
この実施例を実施した際、もし、判定分別工程で白金が検出された固形残渣を対象とする2回目の湿式浸出処理を実施しなかった場合は、白金回収率は88.2%に留まっていた。

Claims (8)

  1. 燃料電池の電極材料からその中に触媒として含有されている貴金属を回収する方法であって、湿式浸出処理により電極材料に含まれる貴金属成分の抽出を行う湿式浸出工程と、湿式浸出処理を行った後に得られる固形残渣中に残留する貴金属含有量を測定する測定工程と、測定工程により得られた測定値を予め設定したしきい値と比較して、測定後の固形残渣に対してリサイクル工程に移送するか又は湿式浸出工程に繰り戻すかの分別を行う判定分別工程とを備えることを特徴とする、電極材料の処理方法。
  2. 前記湿式浸出工程が複数の湿式浸出処理を含むとき、前記判定分別工程において複数のしきい値を予め設定し、測定後の固形残渣を湿式浸出工程に繰り戻す際に、前記測定値と複数のしきい値との比較の結果に応じた湿式浸出処理に繰り戻すことを特徴とする、請求項1に記載の電極材料の処理方法。
  3. 前記湿式浸出工程の前に、電極材料を剥離・解体する解体工程を備えることを特徴とする、請求項1又は2に記載の電極材料の処理方法。
  4. 前記解体工程と前記湿式浸出工程との間に、電極材料を剥離・解体して得られた未処理固形物中の貴金属含有量を事前に測定する事前測定工程と、この事前測定工程により得られた事前測定値を予め設定した事前しきい値と比較して、事前測定後の未処理固形物に対して湿式浸出工程に移送するか又は該湿式浸出工程を経ることなく前記リサイクル工程に移送するかの分別を行う事前判定分別工程とを備えることを特徴とする、請求項3に記載の電極材料の処理方法。
  5. 前記湿式浸出工程が複数の湿式浸出処理を含むとき、前記事前判定分別工程において複数の事前しきい値を予め設定し、事前測定後の未処理固形物を湿式浸出工程に移送する際に、前記事前測定値と複数の事前しきい値との比較の結果に応じた湿式浸出処理に移送することを特徴とする、請求項4に記載の電極材料の処理方法。
  6. 前記リサイクル工程に移送される固形残渣又は未処理固形物が、該移送前に破砕・解体されることを特徴とする、請求項1又は4に記載の電極材料の処理方法。
  7. 前記貴金属含有量の測定に、蛍光X線分析を用いることを特徴とする、請求項1〜6のいずれかに記載の電極材料の処理方法。
  8. 前記蛍光X線分析に、エネルギー分散型蛍光X線分析を応用した自動分別装置を用いることを特徴とする、請求項7に記載の電極材料の処理方法。
JP2008274169A 2008-10-24 2008-10-24 電極材料の処理方法 Pending JP2010100908A (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2008274169A JP2010100908A (ja) 2008-10-24 2008-10-24 電極材料の処理方法

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2008274169A JP2010100908A (ja) 2008-10-24 2008-10-24 電極材料の処理方法

Publications (1)

Publication Number Publication Date
JP2010100908A true JP2010100908A (ja) 2010-05-06

Family

ID=42291795

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2008274169A Pending JP2010100908A (ja) 2008-10-24 2008-10-24 電極材料の処理方法

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP2010100908A (ja)

Cited By (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
EP2617841A1 (en) * 2012-01-18 2013-07-24 Paul Scherrer Institut A method for recovering metal and/or metal compounds which are bound in polymer materials
JP2015159064A (ja) * 2014-02-25 2015-09-03 株式会社東芝 貴金属の回収方法および回収システム

Cited By (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
EP2617841A1 (en) * 2012-01-18 2013-07-24 Paul Scherrer Institut A method for recovering metal and/or metal compounds which are bound in polymer materials
JP2015159064A (ja) * 2014-02-25 2015-09-03 株式会社東芝 貴金属の回収方法および回収システム

Similar Documents

Publication Publication Date Title
Chen et al. Recycling of LiFePO4 cathode materials from spent lithium-ion batteries through ultrasound-assisted Fenton reaction and lithium compensation
US7635534B2 (en) Simplified process for leaching precious metals from fuel cell membrane electrode assemblies
EP1797208B1 (en) Process for recycling fuel cell components containing precious metals
TWI357930B (en) Method for recovery of noble metals
EP0717458B1 (en) Method of recovering electrolyte membrane from fuel cells and apparatus for the same
Wang et al. Ex situ investigation of the proton exchange membrane chemical decomposition
US20210296658A1 (en) Method of recovering materials forming fuel cell stack
US8101304B2 (en) Process for the concentration of noble metals from fluorine-containing fuel cell components
US20060147791A1 (en) Platinum recovery from fuel cell stacks
EP3615927A1 (en) Sp3 substituted carbon electrode toc analysis using metallic catalyst
US20060144791A1 (en) Platinum recovery from nanostructured fuel cell catalyst
De Pablo et al. The effect of hydrogen peroxide concentration on the oxidative dissolution of unirradiated uranium dioxide
JP2016162963A (ja) 液中の金属イオン濃度の測定方法および測定装置並びに電子デバイスの洗浄システム
JP2010100908A (ja) 電極材料の処理方法
CN113860472B (zh) 一种利用不同炭材料活化过氧乙酸经电子转移机制去除水中污染物的方法及其应用
JP4487031B2 (ja) 使用済酸化物燃料の乾式再処理方法
Ou et al. Novel strategy towards in-situ recycling of valuable metals from spent lithium-ion batteries through endogenous advanced oxidation process
Dong et al. Efficient photo-oxidation leaching of Ni and Co in a spent lithium-ion battery cathode by homogeneous UV/H2O2
Cheng et al. A strategy for facile durability improvement of perfluorosulfonic electrolyte for fuel cells: Counter ion-assisted decarboxylation at elevated temperatures
JP2011001570A (ja) 電極材料の貴金属成分抽出方法
JPH11281542A (ja) シリコンウエーハ表面金属不純物の分析方法およびその前処理方法
JP5334102B2 (ja) 燃料電池meaの材料リサイクル方法
US8206682B2 (en) Method for recovering catalytic elements from fuel cell membrane electrode assemblies
JP2009176731A (ja) 燃料電池の電極材料からの貴金属回収方法
Oki et al. Recovery of platinum catalyst and polymer electrolyte from used small fuel cells by particle separation technology