JP2010098972A - バリカン式刈刃装置のバリカン刃およびバリカン式刈刃装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】バリカン刃の耐久性と切断性能とをより低コストな構成で両立させる。
【解決手段】本発明のバリカン式刈刃装置1のバリカン刃13,14は、一方向に長尺な平板状の基材13a,14aと、その側辺部に突設された複数の刃体13b,14bとを備える。上記刃体13b,14bの押し側の起き上がり角度αは、引き側の起き上がり角度βよりも大きく設定されている。上記起き上がり角度の好適値は、例えば押し側の起き上がり角度αが約101°、引き側の起き上がり角度βが約95°である。
【選択図】図4
【解決手段】本発明のバリカン式刈刃装置1のバリカン刃13,14は、一方向に長尺な平板状の基材13a,14aと、その側辺部に突設された複数の刃体13b,14bとを備える。上記刃体13b,14bの押し側の起き上がり角度αは、引き側の起き上がり角度βよりも大きく設定されている。上記起き上がり角度の好適値は、例えば押し側の起き上がり角度αが約101°、引き側の起き上がり角度βが約95°である。
【選択図】図4
Description
本発明は、一方向に長尺な平板状の基材と、その側辺部に突設された複数の刃体とを備え、バリカン式刈刃装置用の刃物部品として長手方向に往復駆動されるバリカン刃、およびこれを用いたバリカン式刈刃装置に関する。
従来から、側辺部に凸型の刃体を複数備えたバリカン刃を2枚重ね合わせて往復駆動することにより、草木等の被切断体を刈り込んで切断するように構成されたバリカン式刈刃装置は広く知られている。
このようなバリカン式刈刃装置に用いられるバリカン刃として、例えば下記特許文献1に示されるバリカン刃が公知である。具体的に、この特許文献1では、バリカン刃のうち、繰り返し使用により摩耗し易い刃体の周縁部に、超硬チップをロウ付けすることが行われている。
特開2001−128525号公報
上記特許文献1に開示されたバリカン刃によれば、刃体の周縁部を硬度の高い超硬チップで構成したことにより、刃体の耐摩耗性を向上させてバリカン刃の長寿命化を図れるとともに、切れ味を高めて切断効率をより向上させることが期待できる。しかしながら、超硬チップはかなり高価であるため、上記特許文献1の構成では、バリカン刃の材料費が高騰し、大幅なコストアップを招くという問題があった。
本発明は、上記のような事情に鑑みてなされたものであり、バリカン刃の耐久性と切断性能とをより低コストな構成で両立させることが可能なバリカン刃およびこれを用いたバリカン式刈刃装置を提供することを目的とする。
上記課題を解決するためのものとして、本発明は、一方向に長尺な平板状の基材と、その側辺部に突設された複数の刃体とを備え、バリカン式刈刃装置用の刃物部品として長手方向に往復駆動されるバリカン刃であって、上記基材に対する刃体の起き上がり角度が、引き側よりも押し側の方が大きくなるように設定されたことを特徴とするものである(請求項1)。
本発明によれば、刃体の起き上がり角度のうち、より応力環境の厳しい押し側の起き上がり角度を相対的に大きくすることにより、この押し側から入力される応力を緩和しつつ、反対側の引き側については、起き上がり角度を小さくして切れ味を高めるようにしたため、刃体の押し側から過大な応力が加わることによる耐久性の悪化を防止しながら、バリカン刃の切断効率を良好に確保できるという利点がある。
しかも、刃体の起き上がり角度を押し側と引き側とで変化させるというだけの簡単な構成で、上記のような作用効果が得られるため、例えば先の特許文献1のように刃体の周縁部を超硬チップで構成したような場合と異なり、より低コストな構成で耐久性と切断性能とを両立できるという利点がある。
上記構成において、刃体の起き上がり角度の好適な数値の一例は、押し側の起き上がり角度が約101°、引き側の起き上がり角度が約95°である(請求項2)。
また、本発明は、上記のような構成のバリカン刃を2枚重ね合わせて往復駆動することにより被切断体を切断することを特徴とするバリカン式刈刃装置である(請求項3)。
以上説明したように、本発明によれば、バリカン刃の耐久性と切断性能とをより低コストな構成で両立させることができる。
図1〜図3は、本発明の一実施形態にかかるバリカン式刈刃装置1の全体構成を示している。これらの図に示されるバリカン式刈刃装置1は、例えばレシプロエンジン等の駆動源から入力される回転運動を往復運動に変換するクランク機構等からなる駆動機構6と、この駆動機構6を内蔵したミッションケース5と、このミッションケース5に一端部が連結された一対のガイド板11,12と、これら両ガイド板11,12の間に保持された刃物部品としての一対のバリカン刃13,14と、上記ミッションケース5内の駆動機構6に一端部が連結された一対の駆動体15,16とを備えている。なお、以下では、これらガイド板11,12、バリカン刃13,14、駆動体15,16の各部材のうち、ミッションケース5側の端部を基端部、その反対側の端部を先端部と称する。
上記一対のガイド板11,12は、それぞれ、一方向に長尺な板状体からなり、その長手方向の複数個所に配置されたボルト・ナットからなる締結部材17を介して互いに厚み方向に締結固定されている。上記各ガイド板11,12のうち、図中上側に位置するガイド板11の基端部には前後一対の雄ネジ部材19が立設されており、この雄ネジ部材19およびこれに螺着されるナットを介して上記ガイド板11があらかじめミッションケース5に固定されている。そして、このガイド板11に対し、もう一方のガイド板12が、上記バリカン刃13,14を間に挟み込んだ状態で上記締結部材17により所定の締付トルクで締結されることにより、上記両ガイド板11,12の間にバリカン刃13,14が往復摺動可能に挟持されている。なお、図3において符号21,22は、上記締結部材17の軸部を挿通するために各ガイド板11,12に設けられた挿通孔である。
上記一対のバリカン刃13,14は、それぞれ、上記一対の駆動体15,16と係脱自在に連結されている。具体的には、図3に示すように、駆動体15,16の先端部に凸型の係合部31,32が設けられるとともに、この係合部31,32に対応した係合用凹部がバリカン刃13,14の基端部に設けられ、この係合用凹部に上記係合部31,32が嵌合することにより、上記駆動体15,16とバリカン刃13,14とが係脱自在に連結されている。そして、上記駆動機構6から各駆動体15,16に伝達される長手方向の駆動力に応じて、上記バリカン刃13,14および駆動体15,16がそれぞれ一体に往復駆動されるようになっている。
上記各バリカン刃13,14は、それぞれ、一方向に長尺な平板状の基材13a,14a(図3および図4参照)と、この基材13a,14aの左右両側辺部に突設された複数の刃体13b,14bとを有しており、上記一対のガイド板11,12の間に表裏逆向きに重ね合わせられた状態で往復摺動可能に挟持されている。また、バリカン刃13,14は、その基材13a,14aに、長手方向に沿って延びる複数の長孔状のガイド孔25,26を有しており、これら各ガイド孔25,26に上記締結部材17の軸部が挿通された状態でガイド板11,12の間に挟持されている。そして、各バリカン刃13,14が往復駆動される際には、上記締結部材17の軸部にガイド孔25,26の周縁部が摺接することにより、上記各バリカン刃13,14の長手方向の往復移動が案内されるようになっている。
上記各駆動体15,16は、上記駆動機構6により相互に逆方向に往復駆動される一対の板状体からなり、上記係合部31,32を含んだ先端側の一部が上記各ガイド板11,12の間に配置されるとともに、基端側の一部が上記ミッションケース5内に挿入されて上記駆動機構6に連結されている。図3に示すように、上記各駆動体15,16には、その長手方向に沿って延びる長孔状のガイド孔27,28が設けられており、複数の上記締結部材17のうち最も基端側の締結部材17の軸部が上記ガイド孔27,28に挿通されることにより、上記駆動体15,16の長手方向の往復移動が案内されるようになっている。
以上のように構成されたバリカン式刈刃装置1は、例えば草刈機や剪枝機等の主要部を構成する装置として用いられる。すなわち、上記ミッションケース5には、その内部の駆動機構6を駆動するレシプロエンジン等からなる駆動源がクラッチ装置等を介して連結されるとともに、作業者により把持される手動操作用の操作ハンドルが設けられている(いずれも図示省略)。そして、作業者が上記駆動源を始動させると、上記バリカン刃13,14が比較的高速で往復駆動され、その刃体13b,14bによって草木等の被切断体が切断されるように構成されている。
次に、上記バリカン刃13,14のより具体的な形状(特に刃体13b,14bの平面形状)について図4(a)(b)を用いて説明する。図4(a)はバリカン刃13,14単体の平面図、同図(b)はその刃体13b,14bの拡大図である。なお、バリカン刃13,14は互いに同一形状であるため、以下では、主に片側のバリカン刃13についてのみ説明する。
上記バリカン刃13に備わる複数の刃体13bは、それぞれ、基材13aに対しバリカン刃13の駆動方向(長手方向)と直交する方向に突出しており、駆動方向に沿って一定ピッチで並ぶように配置されている。また、各刃体13bは、平面視で略台形状に形成されており、その周縁部にはエッジ部(すくい面)が形成されている。なお、もう一方のバリカン刃14も同一形状であるが、このバリカン刃14がバリカン式刈刃装置1に組み付けられる際には、図4(a)(b)の状態から表裏逆向きにされて(つまりエッジ部が紙面裏側を向く姿勢にされて)バリカン刃13と重ね合わせられる。
図4(b)に示すように、上記刃体13bの幅方向両側部の起き上がり角度のうち、バリカン刃13の先端側にあたる押し側の起き上がり角度をα、バリカン刃13の基端側にあたる引き側の起き上がり角度をβとすると、当実施形態のバリカン刃13では、押し側の起き上がり角度αの方が、引き側の起き上がり角度βよりも大きい値に設定されている。なお、ここでいう「起き上がり角度」とは、刃体13bの幅方向一側のエッジ部と、これと連続する基材13aの側辺部との間に形成された角度のことであり、通常は90°以上の角度に設定される。
上記バリカン刃13を長手方向に駆動してその刃体13bにより草木等の被切断体を切断する際には、上記刃体13の起き上がり角度(α,β)が大きいほど、上記被切断体が刃体13bから逃げ易くなって切れ味が悪化する傾向にある。ただし、起き上がり角度(α,β)が大きければ、刃体13bに加わる力が緩和される分、刃体13bが損傷し難くなり、耐久性が向上するという利点がある。反対に、刃体13bの起き上がり角度(α,β)を小さくすると、切れ味は高まるものの、耐久性については劣ることになる。
一方で、刃体13bの押し側と引き側の応力環境について考察すると、押し側の方が引き側よりも応力的により厳しい環境にあることが理解できる。すなわち、バリカン刃13を先端側に駆動して刃体13bの押し側で被切断体を切断しようとすると、バリカン刃13を軸方向に圧縮する力が作用してバリカン刃13が座屈する等により、切断時に通常加わる平面的な力(例えばせん断力)以外に、例えば刃体13bを厚み方向に折り曲げるような3次元的な力が被切断体から刃体13bに対し入力されることがある。このように、刃体13bの押し側で被切断体を切断しようとすると、引き側で切断するときと比べてより多次元的な応力が刃体13bに作用するため、トータルとしてバリカン刃13の耐力を超えた大きな力が作用するおそれが高く、刃体13bが損傷し易いという問題がある。
このような問題を考慮して、当実施形態では、刃体13bの押し側の起き上がり角度αを、引き側の起き上がり角度βよりも大きくしている。すなわち、押し側の起き上がり角度αを相対的に大きくすれば、刃体13bの押し側が被切断体に切り込まれる際に、被切断体が刃体13bのエッジ部に沿って逃げ易くなるため、刃体13bの押し側から過大な応力が入力されることが防止される。一方、引き側については、加わる応力のレベルが押し側よりも低いため、引き側の起き上がり角度βを相対的に小さくして切断効率に優れた角度とすることにより、刃体13bの耐久性を確保しつつ切れ味を高めるようにしている。
以上、一対のバリカン刃13,14のうち片側のバリカン刃13の形状とその特性について説明したが、このことは、もう一方のバリカン刃14についても同様である。
以上説明したように、当実施形態では、バリカン式刈刃装置1用の刃物部品として、刃体13b,14bの押し側の起き上がり角度αが引き側の起き上がり角度βよりも大きく設定されたバリカン刃13,14を用いるようにした。このような構成によれば、バリカン刃13,14の耐久性と切断性能とをより低コストな構成で両立できるという利点がある。
すなわち、上記実施形態では、刃体13b,14bの起き上がり角度のうち、より応力環境の厳しい押し側の起き上がり角度αを相対的に大きくすることにより、この押し側から入力される応力を緩和しつつ、反対側の引き側については、起き上がり角度βを小さくして切れ味を高めるようにしたため、刃体13b,14bの押し側から過大な応力が加わることによる耐久性の悪化を防止しながら、バリカン刃13,14の切断効率を良好に確保できるという利点がある。
しかも、刃体13b,14bの起き上がり角度(α,β)を押し側と引き側とで変化させるというだけの簡単な構成で、上記のような作用効果が得られるため、例えば先の特許文献1のように刃体の周縁部を超硬チップで構成したような場合と異なり、より低コストな構成で耐久性と切断性能とを両立できるという利点がある。
なお、上記実施形態では、駆動機構6により往復駆動される駆動体15,16をバリカン刃13,14とは別体に設けて両者を係脱自在に連結するようにしたが、バリカン刃13,14を基端側に延長して上記駆動機構6に直接連結するようにしてもよい。ただし、上記実施形態のように、駆動体15,16を介してバリカン刃13,14を往復駆動する構成とした方が、メンテナンス性の面で有利である。すなわち、上記実施形態の構成では、ガイド板11,12どうしを分離しさえすれば、ミッションケース5を分解しなくてもバリカン刃13,14を取り外すことができるため、刃体13b,14bが長期間の使用により摩耗して切断効率が低下したとき等に、その刃体13b,14bを再研磨するといったメンテナンス作業を、バリカン刃13,14を取り外した状態で容易かつ迅速に行えるという利点がある。
また、上記実施形態では、バリカン刃13,14として、その左右両側の側辺部に刃体13b,14bが設けられた両刃タイプのバリカン刃を用いたが、本発明の構成は、上記バリカン刃13,14が、その左右一方側にのみ刃体13b,14bが設けられた片刃タイプのバリカン刃である場合にも同様に適用可能である。
本願発明者は、本発明の効果を確認するために、図4に示したようなバリカン刃13,14を用いて所定の被切断体(ここでは乾燥した直径10mmほどの比較的柔らかめの木材)を繰り返し切断する実験を行った。このとき、バリカン刃13,14の刃体13b,14bの形状を以下に示す2種類の条件に設定した。
(実施例)
・押し側の起き上がり角度α=101°
・引き側の起き上がり角度β=95°
・刃高h=25mm
なお、刃高hとは、図4(b)に示すように、基材13a,13bに対する刃体13b,14bの突出高さのことである。
・押し側の起き上がり角度α=101°
・引き側の起き上がり角度β=95°
・刃高h=25mm
なお、刃高hとは、図4(b)に示すように、基材13a,13bに対する刃体13b,14bの突出高さのことである。
(比較例)
・押し側の起き上がり角度α=101°
・引き側の起き上がり角度β=101°
・刃高h=30mm
すなわち、この比較例では、実施例の場合と異なり、押し側と引き側の起き上がり角度α,βがともに等しく、また、刃高hにつては実施例よりも2割程度大きく設定されている。
・押し側の起き上がり角度α=101°
・引き側の起き上がり角度β=101°
・刃高h=30mm
すなわち、この比較例では、実施例の場合と異なり、押し側と引き側の起き上がり角度α,βがともに等しく、また、刃高hにつては実施例よりも2割程度大きく設定されている。
(実験結果)
以上のような条件でバリカン刃13,14を作製し、これを用いて繰り返し切断作業を行ったところ、以下のような結果が得られた。
以上のような条件でバリカン刃13,14を作製し、これを用いて繰り返し切断作業を行ったところ、以下のような結果が得られた。
実施例では、比較例と比べて刃高hが2割程度低いにもかかわらず、引き側の起き上がり角度αを95°と小さく設定したことにより、略同程度の切断効率を得ることができた。また、このように引き側の起き上がり角度αを小さくする一方で、押し側の起き上がり角度βをこれより大きい101°に設定したことにより、刃体13b,14bの耐久性についても良好に確保することができた。
1 バリカン式刈刃装置
13,14 バリカン刃
13a,14a 基材
13b,14b 刃体
α (押し側の)起き上がり角度
β (引き側の)起き上がり角度
13,14 バリカン刃
13a,14a 基材
13b,14b 刃体
α (押し側の)起き上がり角度
β (引き側の)起き上がり角度
Claims (3)
- 一方向に長尺な平板状の基材と、その側辺部に突設された複数の刃体とを備え、バリカン式刈刃装置用の刃物部品として長手方向に往復駆動されるバリカン刃であって、
上記基材に対する刃体の起き上がり角度が、引き側よりも押し側の方が大きくなるように設定されたことを特徴とするバリカン式刈刃装置のバリカン刃。 - 押し側の起き上がり角度が約101°、引き側の起き上がり角度が約95°とされたことを特徴とする請求項1記載のバリカン式刈刃装置のバリカン刃。
- 請求項1または2記載のバリカン刃を2枚重ね合わせて往復駆動することにより被切断体を切断することを特徴とするバリカン式刈刃装置。
Priority Applications (1)
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JP2008271616A JP2010098972A (ja) | 2008-10-22 | 2008-10-22 | バリカン式刈刃装置のバリカン刃およびバリカン式刈刃装置 |
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DE202016005999U1 (de) | 2015-11-12 | 2016-11-17 | Makita Corporation | Schneideblattbaugruppe und Heckenschneider, der die Schneideblattbaugruppe verwendet |
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2008
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