JP2010096129A - 火花点火式内燃機関の点火装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】燃焼室内にプラズマを発生させ、このプラズマを点火プラグによる火花放電と反応させて混合気に着火する火花点火式内燃機関に、プラズマを発生させるためのマイクロ波を発生させるべく組み合わされるマグネトロンを備えた点火装置において、このようなマグネトロンを内燃機関に近接して配置することによる導波管の長さの短縮と、振動によるマグネトロンの陰極部の破損の抑制とを両立させる。
【解決手段】点火プラグによる火花放電と燃焼室内に生成されるプラズマとを反応させて混合気に着火する火花点火式内燃機関に組み合わされる点火装置に、電子を放出させる陰極部、陰極部との間で放出された電子を加速する陽極部、及び陰極部と陽極部との作用空間に磁界を形成する磁石部を備えて燃焼室内にプラズマを生成させるマグネトロンを備え、このマグネトロンの陰極部の軸方向を火花点火式内燃機関の主振動方向に一致させて配置する。
【選択図】図2
【解決手段】点火プラグによる火花放電と燃焼室内に生成されるプラズマとを反応させて混合気に着火する火花点火式内燃機関に組み合わされる点火装置に、電子を放出させる陰極部、陰極部との間で放出された電子を加速する陽極部、及び陰極部と陽極部との作用空間に磁界を形成する磁石部を備えて燃焼室内にプラズマを生成させるマグネトロンを備え、このマグネトロンの陰極部の軸方向を火花点火式内燃機関の主振動方向に一致させて配置する。
【選択図】図2
Description
本発明は、点火プラグによる火花放電と燃焼室内に生成されるプラズマとを反応させて混合気に着火する火花点火式内燃機関に組み合わされる火花点火式内燃機関の点火装置に関する。
従来、車両、特に自動車に搭載される火花点火式内燃機関において、燃焼室内に高周波の電磁波を照射することにより、点火プラグの放電領域にプラズマ雰囲気を生成しておき、プラズマ雰囲気中に火花放電を行うことにより、従来のものと比較して燃焼室内の混合気により着実に着火し、安定して燃焼を行わせるように構成したものが知られている。このような高周波の電磁波を発生させるための電磁波発生電源として、マグネトロンが知られている(例えば、特許文献1を参照)。
特開2008−82286号公報
ところで、従来周知のマグネトロンは、円筒状をなす陽極部の中心軸上に陰極部を配している構成を有する。このようなマグネトロンの陰極部から電子を放出させる際には、この陰極部から熱が発生して該陰極部の温度が上昇する。その際、この陰極部の外力に対する剛性は低下する。そして、このマグネトロンを内燃機関に近接して設置した場合、内燃機関の振動によりマグネトロンの陰極部が屈曲する方向に強い作用を受け、この陰極部が破損しやすくなる不具合が発生しうる。その一方で、マグネトロンと内燃機関とを互いに遠ざけて配置させると、マグネトロンと内燃機関のアンテナとを接続する導波管を長くする必要があり、電磁波の漏れが起こりやすくなるという別の不具合が生じる。
本発明はこのような課題を解決することを目的とする。
本発明に係る火花点火式内燃機関の点火装置は、以上に述べた課題を解決すべく、点火プラグによる火花放電と燃焼室内に生成されるプラズマとを反応させて混合気に着火する火花点火式内燃機関に組み合わされる点火装置であって、電子を放出させる陰極部、陰極部との間で放出された電子を加速する陽極部、及び陰極部と陽極部との作用空間に磁界を形成する磁石部を備えて燃焼室内にプラズマを生成させるマグネトロンを備えてなり、マグネトロンの陰極部の軸方向を火花点火式内燃機関の主振動方向に一致させて配置することを特徴とする。
このようなものであれば、マグネトロンの陰極部が内燃機関の振動により受ける作用の方向はこの陰極部が伸縮する方向となるので、マグネトロンを内燃機関に近接させて配置した場合に、その陰極部が振動により破損する不具合の発生を抑制できる。
なお、本発明において、「主振動方向」とは、内燃機関の振動により該陰極部を屈曲させる作用が最小となる際の陰極部の軸方向を示す。すなわち、陰極部の軸方向と火花点火式内燃機関の主振動方向とが一致する際に、該陰極部を屈曲させる作用が最小となる。
本発明の火花点火式内燃機関の点火装置の構成によれば、マグネトロンの陰極部が内燃機関の振動により受ける作用の方向はこの陰極部が伸縮する方向となるので、マグネトロンを火花点火式内燃機関に近接して設置した場合のマグネトロンの陰極部が振動により破損する不具合の発生を抑制できる。すなわち、振動によるマグネトロンの陰極部の破損の抑制を図りつつ、マグネトロンと内燃機関とを近接して配置することができる。
以下、本発明の一実施形態について述べる。
図1に1気筒の構成を概略的に示したエンジン100は、自動車用の4気筒のものである。エンジン100の吸気系1には、図示しないアクセルペダルに応動して開閉するスロットルバルブ2が配設され、そのスロットルバルブ2の下流にはサージタンク3が設けられている。サージタンク3が連通するシリンダヘッド4側の端部近傍には、さらに燃料噴射弁5が設けてあり、この燃料噴射弁5を電子制御装置6により制御するようにしている。そして、燃焼室7の天井部分には、点火プラグ8及びプラズマを生成するためのアンテナ9が取り付けてある。この実施形態におけるアンテナ9は、ホーン型アンテナで、燃焼室7の天井の点火プラグ8の近傍位置に取り付けられている。点火プラグ8には、イグナイタを一体に備える点火コイル10が交換可能に取り付けられている。アンテナ9は、ホーン形状をしており、燃焼室7に面する先端部分はセラミックスなどの誘電体27により塞がれており、高圧交流発生装置11に導波管28を介して接続されている。また、前記点火プラグ8からの火花放電、及びアンテナ9からのマイクロ波の放射は、従来周知のように、ピストン29が圧縮行程の上死点近傍に達した際に行うようにしている。また、排気系12には、図示しないマフラに至るまでの管路に三元触媒(以下、触媒13と称する)が配設され、その上流にはO2センサ14が取り付けられている。ここで、本実施形態では、前記導波管28は、このエンジン100のシリンダヘッド4に直付けしている。
高圧交流発生装置11は、マグネトロン15とマグネトロン15を制御する制御回路16とを備えてなる。マグネトロン15が出力するマイクロ波は、前記導波管28によりアンテナ9に印加される。又、制御回路16には、電子制御装置6から出力される高圧交流発生信号nが入力される構成で、制御回路16は、入力される高圧交流発生信号nに基づいてマグネトロン15が出力するマイクロ波の出力時期及び出力電力を制御するものである。
電子制御装置6は、中央演算処理装置18と、記憶装置19と、入力インターフェース20と、出力インターフェース21とを具備してなるマイクロコンピュータシステムを主体に構成されている。中央演算処理装置18は、記憶装置19に格納された後述のプログラムを実行して、エンジン100の運転制御を行うものである。
そしてエンジン100の運転制御を行うために必要な情報が入力インターフェース20を介して中央演算処理装置18に入力されるとともに、中央演算処理装置18は出力インターフェース21を介して制御のための信号を燃料噴射弁5などに出力する。具体的には、入力インターフェース20には、サージタンク3内の吸入空気の圧力を検出するための吸気圧センサ22から出力される吸気圧信号a、エンジン回転数を検出するための回転数センサ23から出力される回転数信号b、スロットルバルブ2の開閉状態を検出するためのアイドルスイッチ24から出力されるIDL信号c、エンジン100の冷却水温を検出するための水温センサ25から出力される水温信号d、エンジン100が吸入する新気の温度を検出するための吸気温センサ26から出力される吸気温信号e、燃焼室7から排気弁を介して排出された排気ガス中の酸素濃度を検出するためのO2センサ14から出力される電圧信号fなどが入力される。一方、出力インターフェース21からは、燃料噴射弁5に対して燃料噴射信号p、イグナイタに対して点火信号m及び高圧交流発生装置11に対して高圧交流発生信号nなどが出力されるようになっている。
電子制御装置6の記憶装置19には、吸気圧センサ22から出力される吸気圧信号aと回転数センサ23から出力される回転数信号bとを主な情報とし、エンジン100の運転状態に応じて決まる各種の補正係数で基本噴射時間を補正して燃料噴射弁5の開成時間、すなわちインジェクタ最終通電時間を決定し、その決定された通電時間により燃料噴射弁5を制御して、エンジン負荷に応じた燃料を該燃料噴射弁5から吸気系1に噴射させるためのプログラムが内蔵してある。
このエンジン100にあっては、暖機後の通常運転状態では高圧交流発生装置11が発生するマイクロ波を制御回路16により制御された出力時期に合わせてアンテナ9から燃焼室7内に放射し、それにより生成されるプラズマと点火プラグ8による火花放電とを反応させて、混合気に着火するように構成されている。プラズマを生成する場合、マイクロ波がアンテナ9に印加されることにより、燃焼室7内には、点火プラグ8による火花放電に対して直交する方向に高周波電界が形成される。
点火に際しては、点火プラグ8に点火コイル10により火花放電を発生させて、火花放電とほぼ同時あるいはその直後にマイクロ波により高周波電界を発生させてプラズマを生成させることにより、燃焼室7内の混合気を急速に燃焼させる構成である。
具体的には、点火プラグ8による火花放電が高周波電界中でプラズマになり、火炎が大きくなる。
これは、火花放電による電子の流れ及び火花放電によって生じたイオンやラジカルが、高周波電界の影響を受け振動、蛇行することで行路長が長くなり、周囲の水分子や窒素分子と衝突する回数が飛躍的に増加することによるものである。イオンやラジカルの衝突を受けた水分子や窒素分子は、OHラジカルやNラジカルになると共に、イオンやラジカルの衝突を受けた周囲の気体は電離した状態、言換するとプラズマ状態となることで、飛躍的に火炎が大きくなるものである。
この結果、高周波電界と反応することにより増大した火花放電により混合気に着火するため、着火領域が拡大し、点火プラグ8のみの二次元的な着火から三次元的な着火になる。したがって、初期燃焼が安定し、上述したラジカルの増加に伴って燃焼が燃焼室7内に急速に伝播し、高い燃焼速度で燃焼が拡大する。
前記マグネトロン15は、本実施形態ではエンジン100に隣接する位置に設けてなる。また、このマグネトロン15は、電子レンジ等のマイクロ波発生装置として用いられるものとして周知のものと同様の構成を有する。すなわち、陰極部たるフィラメント30と、このフィラメント30の周囲に配される陽極部31と、前記フィラメント30から放出される電子に磁界を付与する磁石部たる永久磁石32と、前記電子と磁界との相互作用により発生するマイクロ波を外部に発信するためのアンテナ33とを具備する。そして、このアンテナ33に、前記導波管28を接続している。
前記フィラメント30は、前記エンジン100の主振動方向、すなわち、該エンジン100の振動によりフィラメント30を屈曲させる作用が最小となる方向に延伸させて設けている。換言すると、前記エンジンの主振動方向100と、このフィラメント30の軸方向とを一致させている。具体的には、本実施形態では、前記図2の矢印Xで示す前記ピストン29の往復運動方向に延伸させて設けている。また、このフィラメント30からは、該フィラメント30に電圧を印加するための端子30aを延伸させて設けている。
前記陽極部31は、円筒状の本体31aと、この本体31aから中心軸に向けて延伸するベイン31bとを具備する中空のもので、中心軸上に前記フィラメント30を配してなる。ここで、この陽極部31は、エンジン100のシリンダヘッド4と同電位となるように接続している。また、前記フィラメント30と前記ベイン31bとの間の空間を作用空間31cとしている、さらに、互いに隣接する前記ベイン31bと本体31aとにより区成される空洞が、特定の周波数、例えば2.45GHzに共振する空洞共振器を形成するようにしている。そして、前記ベイン31の先端近傍の長手方向中央部にはストラップリング31dを設けていて、このストラップリング31dにより前記ベイン31bを1つおきに接続している。
前記永久磁石32は、前記陽極部31の軸方向両側に設けていて、前記作用空間31cに向かい磁極32xを延伸させて設けている。ここで、陽極部31の一方側の永久磁石32と他方側の永久磁石32とは、それぞれ異なる磁極を陽極部31側に向けている。そして、上下両側の磁極32a間に、フィラメント30の延伸方向に平行な磁界を形成している。
前記アンテナ33は、前記陽極部31のベイン31bの1つから突出させて設けたアンテナリード33aと、このアンテナリード33aを内部に収納してなるドーム33bとを具備する。
このマグネトロン15によるマイクロ波の発生の原理を以下に示す。まず、発振信号nを受けた際に、制御回路16から前記端子30aに負の高電圧を印加される。その際、前記フィラメント30から電子が前記作用空間31c中に放射される。前記作用空間31c中にはフィラメント30と陽極部31との間の電界及び永久磁石32による磁界が存在するので、放射された電子はサイクロイド運動をしつつフィラメント30の周りを周回する。この電子がベイン31bの付近を通過すると、ベイン31bの表面に正の電荷が誘導される。隣接するベイン31bの先端は負に帯電する。このようにして、隣接する2つのベイン31bの先端の間にこれら2つのベイン31bにより区成される空洞共振器の共振周波数を有する交流電界が発生して成長する。従って、フィラメント30から放射された電子は、前記交流電界の影響を受けつつ回転運動をする。そして、この電子の回転運動の周波数と前記交流電界の周波数とが同期すると、前記空洞共振器内に誘導電流が発生し、この誘導電流による電位の変化がベイン31bの1つに接続したアンテナリード33aにより取り出され、マイクロ波として放射される。放射されたマイクロ波は、導波管28を介してエンジン100側のアンテナ9に印加されるようにしている。
ここで、車両の走行時には、このマグネトロン15はピストン29の往復運動方向、すなわち前記図2における矢印X方向に振動する。しかし、このマグネトロン15のフィラメント30はピストン29の往復運動方向に延伸しているので、振動によりフィラメント30が受ける作用は、このフィラメント30を伸縮させる作用がほとんどであり、このフィラメント30の延伸方向に直交する方向の作用、すなわちフィラメント30を屈曲させる作用はほとんど受けない。
以上に述べたように、本実施形態によれば、マグネトロン15のフィラメント30がエンジン100の振動により受ける作用は、前段で述べたように、ほとんどがこのフィラメント30を伸縮させる作用のみであり、フィラメント30を屈曲させる作用はほとんど受けない。従って、マグネトロン15のフィラメント30がエンジン100の振動により破損する不具合の発生を抑制できる。
また、本実施形態ではマグネトロン15をエンジン100に隣接する位置に設けているので、導波管28の長さを短くでき、エンジン100側のアンテナ9に達するまでのマイクロ波の損失を抑制できる。このマグネトロン15は、シリンダヘッド4や、シリンダヘッドカバーや、シリンダブロックに取り付け固定するとよい。
なお、本発明は以上に述べた実施形態に限らない。
例えば、マグネトロンをエンジンから離して配置する場合、このマグネトロンは、フィラメントが車両の主振動方向、例えば上下方向に延伸する向きに配置するとよい。
さらに、上述した実施形態では、前記図2の矢印Xで示す前記ピストン29の往復運動方向を主振動方向としているが、主振動方向は、各種振動方向成分のうち、振幅と当該振幅を計測した方向の振動加速度との積が最大となる方向として代用してもよい。
また、上述した実施形態においては、ビーム型のアンテナを説明したが、モノポール型のアンテナであってもよい。
さらには、点火プラグ8の中心電極をアンテナとして機能させて、高周波給電部とするものであってもよい。この場合、高周波を一定の電圧で中心電極に継続して印加すると、中心電極の温度が過剰に上昇するため、中心電極の耐熱温度に基づいて設定する上限温度を下回るように、高周波の電圧を制御する。
その他、本発明の趣旨を損ねない範囲で種々に変更してよい。
100…エンジン
7…燃焼室
8…点火プラグ
15…マグネトロン
30…フィラメント(陰極部)
31…陽極部
32…永久磁石(磁石部)
7…燃焼室
8…点火プラグ
15…マグネトロン
30…フィラメント(陰極部)
31…陽極部
32…永久磁石(磁石部)
Claims (1)
- 点火プラグによる火花放電と燃焼室内に生成されるプラズマとを反応させて混合気に着火する火花点火式内燃機関に組み合わされる点火装置であって、
電子を放出させる陰極部、陰極部との間で放出された電子を加速する陽極部、及び陰極部と陽極部との作用空間に磁界を形成する磁石部を備えて燃焼室内にプラズマを生成させるマグネトロンを備えてなり、
マグネトロンの陰極部の軸方向を火花点火式内燃機関の主振動方向に一致させて配置する火花点火式内燃機関の点火装置。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2008268934A JP2010096129A (ja) | 2008-10-17 | 2008-10-17 | 火花点火式内燃機関の点火装置 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
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JP2008268934A JP2010096129A (ja) | 2008-10-17 | 2008-10-17 | 火花点火式内燃機関の点火装置 |
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JP2008268934A Pending JP2010096129A (ja) | 2008-10-17 | 2008-10-17 | 火花点火式内燃機関の点火装置 |
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