JP2010095816A - ケミカルパルプ原材料配合管理方法 - Google Patents

ケミカルパルプ原材料配合管理方法 Download PDF

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Abstract

【課題】原料のリグノセルロース物質中のリグニン構造割合を管理することで、ケミカルパルプ製造において蒸解を効率よく行うことを目的とする。
【解決手段】ケミカルパルプの製造において、原料となるリグノセルロース物質をアルカリ性ニトロベンゼン酸化した時に得られるシリンガアルデヒド(S)とシリンガ酸(SA)の合計と、バニリン(V)とバニリン酸(VA)の合計のモル比(S+SA)/(V+VA)が2以上になるように、2種類以上の原料を混合して調整し、好ましくは前記原料に広葉樹材を含み、該広葉樹材として、少なくとも1種以上のフトモモ科ユーカリ属に属する材を使用するケミカルパルプ原材料配合管理方法。
【選択図】なし

Description

本発明は、ケミカルパルプ原材料配合管理方法に関する。さらに詳しくは、ケミカルパルプ化原材料となるリグノセルロース物質中のリグニン構造割合を管理することで、効率よく蒸解を行うケミカルパルプ原材料配合管理方法関する。
リグノセルロース物質を製紙原料として多くの用途に使用するためには、蒸解処理して化学パルプとするか、あるいはリファイナー等を用いて機械的に処理して機械パルプとする必要がある。これらのパルプは、必要に応じて漂白処理され、所望の白色度に調整された後、製紙原料として使用される。現在、所望の白色度、パルプ特性に調整しやすいことから化学パルプ化法が主として用いられ、特にクラフト法と呼ばれる蒸解 法は、薬品の再生が可能であり、使用原料の制限も少ない等の理由から化学パルプ化法の主流となっている。また、クラフトパルプ法は、装置の面でも発展してきており、連続蒸解釜と呼ばれる大量生産型でかつ大型のものが主流となってきている。
蒸解処理には多くのエネルギーと蒸解薬品が必要であり、化石化燃料の枯渇の問題や地球温暖化への影響、重油の高騰などから、省エネ化、高効率化が求められている。前記クラフトパルプ法はこれまでに種々の改良法が提案されている。連続蒸解釜では、MCC法、EMCC法、ITC法、Lo−Solids法などが提案されている。これらの改良法は何れも、パルプ品質を改良する方法である。
材料となるリグノセルロースからの検討としては、リグノセルロース物質中のリグニン芳香核構造には、メトキシル基を持たないパラヒドロキシフェニル核(H核)、メトキシル基を1つ持ったグアイアシル核(G核)、メトキシル基を2つ持ったシリンギル核(S核)が存在することが知られている。また、近年の研究では、リグノセルロース物質中のリグニン構造中にメトキシル基が多く存在すると、易蒸解性であることが示されている(非特許文献1、2、3、4)。
広葉樹材の場合、リグニン中のメトキシル基量が多いということは、リグニン芳香核構造中にG核に比べてS核が多いということと言い換えることができる。広葉樹単材で比較した場合、S核とG核の比(S/G比)が大きいほど蒸解性がよいことも示されている(非特許文献1、2、3、4)。
また、蒸解性の向上を目指して、遺伝子操作を用いて、人工的にS/G比を高くする方法も示されている(特許文献1、特許文献2)。
しかし、それらは、単独の種類の材についてのみの記述であるため、実際のパルプ製造工程で行われているような、S/G比の異なる複数の種類の材が混合された状態での、S/G比と蒸解性の関係について調査された例はない。
特開平11−116784号公報 特表2004−520015号公報 Chang, H.M.及びSarkanen, K.V., 1973, Tappi 56:132. Chiang, V.L.及びFunaoka, M., 1990, Holzforschung 44:309. Freudenberg, K., 1965, Science 148:595. Sarkanen, K.V.及びHergert, H.L., 1971, Lignins: Occurrence, Formation, Structure and Reaction, K.V. Sarkanen and C.H. Ludwig, eds (New York: Wiley−Interscience), 43.
本発明の目的は、原料のリグノセルロース物質中のリグニン構造割合を管理することで、蒸解を効率よく行うことである。
本発明者等は、蒸解を効率的に行うために、ケミカルパルプ原材料について種々検討した結果、単独の材のみならず、複数の材を混合したときであっても、木材中のS/G比と蒸解性の間に関係があることを見出し、それを管理するためにS/G値を求める際の簡便方であるアルカリ性ニトロベンゼン酸化により得られるS/V値に着目した。S/V値は原材料となるリグノセルロース物質をアルカリ性ニトロベンゼン酸化した時に得られるシリンガアルデヒド(S)とシリンガ酸(SA)の合計と、バニリン(V)とバニリン酸(VA)の合計のモル比である。これにより、リグノセルロース物質の配合管理において、該リグノセルロース物質全体のシリンガアルデヒド(S)とシリンガ酸(SA)の合計と、バニリン(V)とバニリン酸(VA)の合計のモル比であるS/V比の値をリグノセルロース物質配合管理の指標として用いることで、効率的に蒸解を行えることを見出し、本発明を完成させるに至った。
すなわち、本願は以下の発明を包含する。
(1)ケミカルパルプの製造において、原料となるリグノセルロース物質をアルカリ性ニトロベンゼン酸化した時に得られるシリンガアルデヒド(S)とシリンガ酸(SA)の合計と、バニリン(V)とバニリン酸(VA)の合計のモル比(S+SA)/(V+VA)が2以上になるように、2種類以上の広葉樹材を混合して調整するケミカルパルプ原料配合管理方法。
(2)前記広葉樹材は、少なくとも1種以上のフトモモ科ユーカリ属に属する材を使用する、(1)記載のケミカルパルプ原材料配合管理方法。
本発明によれば、ケミカルパルプ化に供されるリグノセルロース物質の配合管理において、(S+SA)/(V+VA)を一定以上にすることによって、蒸解時に用いるアルカリ量を低減でき、および/または、蒸解時の温度を低減できるので、効率よくケミカルパルプを製造することが可能となる。
本発明で用いられるリグノセルロース物質は、好ましくは広葉樹材、さらに好ましくは広葉樹材の混合材である。S/V比の高い材と低い材を組み合わせてもS/V比を一定以上にすることにより、効率よく蒸解することが可能である。混合材として使う場合には、広葉樹材のみの混合材である必要はなく、針葉樹材や、竹や麻などの非木材と呼ばれるものと広葉樹材の混合物でもよく、S/V比が一定以上となるように混合されることのみ満たせば、それ以外については特に限定されるものではない。また、本発明に使用されるパルプを得るための蒸解法としては、クラフト蒸解、ポリサルファイド蒸解、ソーダ蒸解、アルカリサルファイト蒸解等の公知の蒸解法を用いることができるが、パルプ品質、エネルギー効率等を考慮すると、クラフト蒸解法、または、ポリサルファイド蒸解が好適に用いられる。
S/V比は樹種によって一定の範囲にあるため、あらかじめS/V比が2以上になるように配合率を決定し蒸解を行うと効率よく蒸解することができる。無論、あらかじめ混合した材においてS/V比を測定・把握する方法も可能である。新規の配合時においても、同様の方法が可能である。
S/V比の測定方法
アルカリ性ニトロベンゼン酸化した時に得られるシリンガアルデヒド(S)とシリンガ酸(SA)の合計と、バニリン(V)とバニリン酸(VA)の合計のモル比と蒸解性の関係からシリンガアルデヒド(S)とシリンガ酸(SA)の合計と、バニリン(V)とバニリン酸(VA)の合計のモル比(S+SA)/(V+VA)が2以上になるように2種以上の広葉樹材を配合して調整することにより効率よく蒸解できる。夫々の値は単独の材を夫々アルカリ性ニトロベンゼン酸化により得られたものをガスクロマトグラフィーで分析して夫々の値を算出し、データーベース化して、S/V比が2以上になるようにチップの配合量を調整し蒸解する。S/V比が2未満の組み合わせで混合しての蒸解では蒸解エネルギーや蒸解時に用いるアルカリ量の増加のため好ましくない。
なお、リグノセルロース物質中のS/V比を例えば光学的手法を用い、非破壊状態で分析できる機械が開発されれば、このような機械を補助的に使用することも可能となる。
リグノセルロース物質である広葉樹材の中でも特にフトモモ科ユーカリ属に属する樹種が好ましい、これらは一般に成長性が良好であり、なおかつ非常に多くの樹種が属するため植林地に対して適した樹種を探すことが比較的容易である。また、現在パルプ原材料として用いられている広葉樹材の中では、蒸解性がよく高効率にパルプを得ることが可能である。さらに、フトモモ科ユーカリ属に属するものはS/V比が高いものが多い。なお、パルプ原材料として用いられているフトモモ科ユーカリ属の樹種には、ユーカリ・グロブラス、ユーカリ・グランディス、ユーカリ・ナイテンス、ユーカリ・ユーロフィラ、ユーカリ・カマルドレンシス、および、それらの雑種などがある。
広葉樹材のみを混合したリグノセルロースをクラフト蒸解する場合、クラフト蒸解液の硫化度は5〜75%、好ましくは15〜45%、有効アルカリ添加率は絶乾木材質量当たり5〜30質量%、好ましくは10〜25質量%、蒸解温度は130〜170℃で、蒸解方式は、連続蒸解法あるいはバッチ蒸解法のどちらでもよく、連続蒸解釜を用いる場合は、蒸解液を多点で添加する修正蒸解法でもよく、その方式は特に問わない。
S/V比を管理することで蒸解時のアルカリ添加率や蒸解温度を低下させることができる。蒸解時の条件を緩和することで、蒸解時の繊維の損傷が低減し、パルプ品質を向上することができる。さらには、蒸解後のパルプ収率も向上する。
蒸解に際して、使用する蒸解液に蒸解助剤として、公知の環状ケト化合物、例えばベンゾキノン、ナフトキノン、アントラキノン、アントロン、フェナントロキノン及び前記キノン系化合物のアルキル、アミノ等の核置換体、或いは前記キノン系化合物の還元型であるアントラヒドロキノンのようなヒドロキノン系化合物、さらにはディールスアルダー法によるアントラキノン合成法の中間体として得られる安定な化合物である9,10−ジケトヒドロアントラセン化合物等から選ばれた1種或いは2種以上が添加されてもよく、その添加率は通常の添加率であり、例えば、木材チップの絶乾質量当たり0.001〜1.0質量%である。
以下に実施例及び比較例を挙げて本発明をより具体的に説明するが、勿論本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。以下に示す実施例、比較例においては、特に示さない限り、パルプのカッパー価の測定、蒸解後の残アルカリ量の測定を以下の方法で行った。また、リグノセルロース物質のS/G比を調べる方法として、最も一般的に用いられているアルカリ性ニトロベンゼン酸化を以下に記す方法で行った。なお、実施例及び比較例における薬品の添加率は絶乾パルプ質量当たりの質量%示す。
1.パルプのカッパー価の測定
カッパー価の測定は、JIS P 8211に準じて行った。
2.蒸解後の残アルカリ量の測定
蒸解後の黒液20mlを蒸留水50mlで希釈したものに、200g/L塩化バリウム水溶液30mlを加え、よく攪拌した。攪拌後、1N塩酸にてpH11.0になるまで滴定した。このときの塩酸滴定量から、残アルカリ量を計算した。計算方法は、塩酸滴下量×水酸化ナトリウム分子量×塩酸濃度÷サンプル取量で、水酸化ナトリウム量換算で求めた。
3.アルカリ性ニトロベンゼン酸化
木粉約20mgを精秤し、2N水酸化ナトリウム水溶液4mlとニトロベンゼン0.24mlと共に10ml容ステンレスオートクレーブに封入し、170℃シリコンオイルバス中で2時間加熱処理を行った。反応後は十分に水冷し反応を停止させたのち、オートクレーブ内容物を取り出した。取り出したものには、内部標準物質としてエチルバニリンを加えた。分液ロートにて、1回15mlのジクロロメタンで3回抽出処理した。このときのジクロロメタンは廃棄した。抽出後の水層部は、4Nの塩酸を用いてpH3にした後、20mlのジクロロメタンで2回、15mlのジエチルエーテルで1回抽出した。抽出後、ジクロロメタンとジエチルエーテルを混合し、無水芒硝にて脱水処理をした。十分に脱水後、芒硝を濾別し、ロータリーエバポレーターを用いてろ液を濃縮乾固した。濃縮乾固したものは、トリメチルシリル化剤を用いてTMS化した後、ガスクロマトグラフィーにて分析を行った。今回の実験では、得られたシリンガアルデヒド(S)とシリンガ酸(SA)の合計モル量をS量、バニリン(V)とバニリン酸(VA)の合計モル量をV量とした。
実施例、比較例の蒸解における条件およびパルプ収率、カッパー価等の結果については表1に示す。
なお、樹種、分類および/または産地の異なる単材のS/V比を測定した結果を表2に示す。
Figure 2010095816
実施例1
ユーカリ・グランディスチップ(豪州産)を絶乾150g、ユーカリ・ナイテンスチップ(南アフリカ産)を絶乾150g、ユーカリ・グロブラスチップ(豪州産)を絶乾600g、合わせて900g採取混合しS/V比が4.1と予想される混合チップとした。そのうち、100gを分取し、アルカリ性ニトロベンゼン酸化し、S/V比が4.03であることを確認した。残りのチップ800gを、液比4、絶乾チップ重量当たり有効アルカリ15.5%、蒸解液の硫化度25%、蒸解温度155℃、蒸解時間120分の条件下で実験用間接加熱用オートクレーブを用いてクラフト蒸解し、その後廃液とパルプを分離し、パルプを10カットのスクリーンプレートを備えたフラットスクリーンで精選してカッパー価20.4の未漂白クラフトパルプを絶乾418g得た。このときの蒸解後の残アルカリは3.3g/Lであった。
実施例2
アカシア・メランシー(インドネシア産)チップを絶乾で100g、ユーカリ・カマルドレンシス(ミャンマー産)チップを絶乾で200g、ユーカリ・グランディス(南アフリカ産)チップを絶乾200g、ユーカリ・ナイテンス(豪州産)チップを絶乾300g、ユーカリ・グロブラス(豪州産)チップを絶乾100g、合わせて900g採取混合しS/V比が3.0と予想される混合チップとした。そのうち、100gを分取し、アルカリ性ニトロベンゼン酸化し、S/V比が3.01であることを確認した。残りのチップ800gを、液比4、絶乾チップ重量当たり有効アルカリ16.5%、蒸解液の硫化度25%、蒸解温度155℃、蒸解時間120分の条件下で実験用間接加熱用オートクレーブを用いてクラフト蒸解し、その後廃液とパルプを分離し、パルプを10カットのスクリーンプレートを備えたフラットスクリーンで精選してカッパー価20.2の未漂白クラフトパルプを絶乾414g得た。このときの蒸解後の残アルカリは3.8g/Lであった。
実施例3
アカシア・マンギウム(ベトナム産)チップを絶乾で100g、アカシア・メランシー(タイ産)チップを絶乾で200g、ユーカリ・ユーロフィラ(タスマニア産)チップを絶乾300g、ユーカリ・ナイテンス(豪州産)チップを絶乾300g、合わせて900g採取混合しS/V比が2.5と予想される混合チップとした。そのうち、100gを分取し、アルカリ性ニトロベンゼン酸化し、S/V比が2.51であることを確認した。残りのチップ800gを、液比4、絶乾チップ重量当たり有効アルカリ17.5%、蒸解液の硫化度25%、蒸解温度155℃、蒸解時間120分の条件下で実験用間接加熱用オートクレーブを用いてクラフト蒸解し、その後廃液とパルプを分離し、パルプを10カットのスクリーンプレートを備えたフラットスクリーンで精選してカッパー価20.0の未漂白クラフトパルプを絶乾409g得た。このときの蒸解後の残アルカリは4.2g/Lであった。
実施例4
アカシア・マンギウム(インドネシア産)チップを絶乾で100g、アカシア・アウリカリフォルミス(ベトナム産)チップを絶乾で200g、ユーカリ・カマルドレンシス(豪州産)チップを絶乾で300g、ユーカリ・ユーロフィラ(豪州産)チップを絶乾100g、ユーカリ・グランディス(チリ産)チップを絶乾200g、合わせて900g採取混合しS/V比が2.1と予想される混合チップとした。そのうち、100gを分取し、アルカリ性ニトロベンゼン酸化した結果、S/V比が2.02であることを確認した。残りのチップ800gを、液比4、絶乾チップ重量当たり有効アルカリ18%、蒸解液の硫化度25%、蒸解温度155℃、蒸解時間120分の条件下で実験用間接加熱用オートクレーブを用いてクラフト蒸解し、その後廃液とパルプを分離し、パルプを10カットのスクリーンプレートを備えたフラットスクリーンで精選してカッパー価20.0の未漂白クラフトパルプを絶乾404g得た。このときの蒸解後の残アルカリは5.0g/Lであった。
実施例5
ユーカリ・グロブラスチップ(ニュージーランド産)を絶乾 900g採取し、そのうち、100gを分取し、アルカリ性ニトロベンゼン酸化し、S/V比が4.55であることを確認した。残りのチップ800gを、液比4、絶乾チップ重量当たり有効アルカリ18%、蒸解液の硫化度25%、蒸解温度147℃、蒸解時間120分の条件下で実験用間接加熱用オートクレーブを用いてクラフト蒸解し、その後廃液とパルプを分離し、パルプを10カットのスクリーンプレートを備えたフラットスクリーンで精選してカッパー価20。2の未漂白クラフトパルプを絶乾427g得た。このときの残アルカリは1.1g/Lであった。
実施例6
アカシア・メランシー(パプアニューギニア産)チップを絶乾で100g、ユーカリ・ユーロフィラ(タスマニア産)チップを絶乾で100g、ユーカリ・グロブラス(豪州産)チップを絶乾700g、合わせて900g採取混合しS/V比が4.1と予想される混合チップとした。そのうち、100gを分取し、アルカリ性ニトロベンゼン酸化した結果、S/V比が3.98であることを確認した。残りのチップ800gを、液比4、絶乾チップ重量当たり有効アルカリ18%、蒸解液の硫化度25%、蒸解温度149℃、蒸解時間120分の条件下で実験用間接加熱用オートクレーブを用いてクラフト蒸解し、その後廃液とパルプを分離し、パルプを10カットのスクリーンプレートを備えたフラットスクリーンで精選してカッパー価20.4の未漂白クラフトパルプを絶乾420g得た。このときの蒸解後の残アルカリは1.3g/Lであった。
実施例7
アカシア・マンギウム(ベトナム産)チップを絶乾で100g、ユーカリ・カマルドレンシス(インドネシア産)チップを絶乾で200g、ユーカリ・ユーロフィラ(チリ産)チップを絶乾で100g、ユーカリ・グランディス(豪州産)チップを絶乾で200g、ユーカリ・グロブラス(タスマニア産)チップを絶乾300g、合わせて900g採取混合しS/V比が3.1と予想される混合チップとした。そのうち、100gを分取し、アルカリ性ニトロベンゼン酸化し、S/V比が3.01であることを確認した。残りのチップ800gを、液比4、絶乾チップ重量当たり有効アルカリ18%、蒸解液の硫化度25%、蒸解温度152℃、蒸解時間120分の条件下で実験用間接加熱用オートクレーブを用いてクラフト蒸解し、その後廃液とパルプを分離し、パルプを10カットのスクリーンプレートを備えたフラットスクリーンで精選してカッパー価20.0の未漂白クラフトパルプを絶乾416g得た。このときの蒸解後の残アルカリは2.0g/Lであった。
実施例8
アカシア・マンギウム(ベトナム産)チップを絶乾で100g、アカシア・アウリカリフォルミス(インドネシア産)チップを絶乾で100g、アカシア・メランシー(ベトナム産)チップを絶乾で300g、ユーカリ・カマルドレンシス(ラオス産)チップを絶乾で100g、ユーカリ・ユーロフィラ(豪州産)チップを絶乾で200g、ユーカリ・ナイテンス(タスマニア産)チップを絶乾で100g、合わせて900g採取混合しS/V比が2.1と予想される混合チップとした。そのうち、100gを分取し、アルカリ性ニトロベンゼン酸化し、S/V比が2.07であることを確認した。残りのチップ800gを、液比4、絶乾チップ重量当たり有効アルカリ18%、蒸解液の硫化度25%、蒸解温度154℃、蒸解時間120分の条件下で実験用間接加熱用オートクレーブを用いてクラフト蒸解し、その後廃液とパルプを分離し、パルプを10カットのスクリーンプレートを備えたフラットスクリーンで精選してカッパー価20.1の未漂白クラフトパルプを絶乾405g得た。このときの蒸解後の残アルカリは3.9g/Lであった。
実施例9
アカシア・マンギウム(ベトナム産)チップを絶乾で100g、アカシア・メランシー(ベトナム産)チップを絶乾で800g、合わせて900g採取混合しS/V比が2.1と予想される混合チップとした。そのうち、100gを分取し、アルカリ性ニトロベンゼン酸化し、S/V比が2.04であることを確認した。残りのチップ800gを、液比4、絶乾チップ重量当たり有効アルカリ18%、蒸解液の硫化度25%、蒸解温度155℃、蒸解時間120分の条件下で実験用間接加熱用オートクレーブを用いてクラフト蒸解し、その後廃液とパルプを分離し、パルプを10カットのスクリーンプレートを備えたフラットスクリーンで精選してカッパー価20.1の未漂白クラフトパルプを絶乾403g得た。このときの蒸解後の残アルカリは4.4g/Lであった。
比較例1
アカシア・アウリカリフォルミスチップ(ベトナム産)を絶乾500g、ユーカリ・グランディス(豪州産)チップを絶乾400g合わせて900g採取混合し、S/V比が1.9と予想される混合チップとした。そのうち、100gを分取し、アルカリ性ニトロベンゼン酸化し、S/V比が1.90であることを確認した。残りのチップ800gを、液比4、絶乾チップ重量当たり有効アルカリ20%、蒸解液の硫化度25%、蒸解温度155℃、蒸解時間120分の条件下で実験用間接加熱用オートクレーブを用いてクラフト蒸解し、その後廃液とパルプを分離し、パルプを10カットのスクリーンプレートを備えたフラットスクリーンで精選してカッパー価20.1の未漂白クラフトパルプを絶乾387g得た。このときの蒸解後の残アルカリは9.3g/Lであった。
比較例2
アカシア・マンギウムチップ(パプアニューギニア産)を絶乾 900g採取し、そのうち、100gを分取し、アルカリ性ニトロベンゼン酸化し、S/V比が1.18であることを確認した。残りのチップ800gを、液比4、絶乾チップ重量当たり有効アルカリ21.5%、蒸解液の硫化度25%、蒸解温度155℃、蒸解時間120分の条件下で実験用間接加熱用オートクレーブを用いてクラフト蒸解し、その後廃液とパルプを分離し、パルプを10カットのスクリーンプレートを備えたフラットスクリーンで精選してカッパー価20.2の未漂白クラフトパルプを絶乾390g得た。このときの蒸解後の残アルカリは11.8g/Lであった。
比較例3
アカシア・マンギウムチップ(インドネシア産)を絶乾 900g採取し、そのうち、100gを分取し、アルカリ性ニトロベンゼン酸化し、S/V比が0.71であることを確認した。残りのチップ800gを、液比4、絶乾チップ重量当たり有効アルカリ22%、蒸解液の硫化度25%、蒸解温度155℃、蒸解時間120分の条件下で実験用間接加熱用オートクレーブを用いてクラフト蒸解し、その後廃液とパルプを分離し、パルプを10カットのスクリーンプレートを備えたフラットスクリーンで精選してカッパー価20.2の未漂白クラフトパルプを絶乾380g得た。このときの蒸解後の残アルカリは12.3g/Lであった。
比較例4
アカシア・マンギウム(ベトナム産)チップを絶乾で300g、アカシア・アウリカリフォルミス(インドネシア産)チップを絶乾で100g、アカシア・メランシー(ミャンマー産)チップを絶乾で200g、ユーカリ・カマルドレンシス(インドネシア産)チップを絶乾で200g、ユーカリ・グロブラス(チリ産)チップを絶乾100g、合わせて900g採取混合しS/V比が1.9と予想される混合チップとした。そのうち、100gを分取し、アルカリ性ニトロベンゼン酸化し、S/V比が1.81であることを確認した。残りのチップ800gを、液比4、絶乾チップ重量当たり有効アルカリ20%、蒸解液の硫化度25%、蒸解温度155℃、蒸解時間120分の条件下で実験用間接加熱用オートクレーブを用いてクラフト蒸解し、その後廃液とパルプを分離し、パルプを10カットのスクリーンプレートを備えたフラットスクリーンで精選してカッパー価20.3の未漂白クラフトパルプを絶乾389g得た。このときの蒸解後の残アルカリは10.0g/Lであった。
比較例5
アカシア・マンギウム(ベトナム産)チップを絶乾で500g、アカシア・アウリカリフォルミス(インドネシア産)チップを絶乾で100g、アカシア・メランシー(インドネシア産)チップを絶乾で150g、ユーカリ・ユーロフィラ(南アフリカ産)チップを絶乾で50g、ユーカリ・グロブラスチップ(豪州産)を絶乾100g、合わせて900g採取混合しS/V比が1.6と予想される混合チップとした。そのうち、100gを分取し、アルカリ性ニトロベンゼン酸化し、S/V比が1.49であることを確認した。残りのチップ800gを、液比4、絶乾チップ重量当たり有効アルカリ21%、蒸解液の硫化度25%、蒸解温度155℃、蒸解時間120分の条件下で実験用間接加熱用オートクレーブを用いてクラフト蒸解し、その後廃液とパルプを分離し、パルプを10カットのスクリーンプレートを備えたフラットスクリーンで精選してカッパー価20.0の未漂白クラフトパルプを絶乾382g得た。このときの蒸解後の残アルカリは10.2g/Lであった。
比較例6
アカシア・マンギウム(ラオス産)チップを絶乾で200g、アカシア・アウリカリフォルミス(豪州産)チップを絶乾で150g、アカシア・メランシー(ベトナム産)チップを絶乾で150g、ユーカリ・カマルドレンシス(南アフリカ産)チップを絶乾で300g、ユーカリ・グランディス(ニュージーランド産)チップを絶乾で100g、合わせて900g採取混合しS/V比が1.9と予想される混合チップとした。そのうち、100gを分取し、アルカリ性ニトロベンゼン酸化し、S/V比が1.76であることを確認した。残りのチップ800gを、液比4、絶乾チップ重量当たり有効アルカリ18%、蒸解液の硫化度25%、蒸解温度160℃、蒸解時間120分の条件下で実験用間接加熱用オートクレーブを用いてクラフト蒸解し、その後廃液とパルプを分離し、パルプを10カットのスクリーンプレートを備えたフラットスクリーンで精選してカッパー価20.2の未漂白クラフトパルプを絶乾390g得た。このときの蒸解後の残アルカリは3.2g/Lであった。
比較例7
アカシア・マンギウム(ベトナム産)チップを絶乾で900g採取し、そのうち、100gを分取し、アルカリ性ニトロベンゼン酸化し、S/V比が0.85であることを確した。残りのチップ800gを、液比4、絶乾チップ重量当たり有効アルカリ18%、蒸解液の硫化度25%、蒸解温度168℃、蒸解時間120分の条件下で実験用間接加熱用オートクレーブを用いてクラフト蒸解し、その後廃液とパルプを分離し、パルプを10カットのスクリーンプレートを備えたフラットスクリーンで精選してカッパー価20.5の未漂白クラフトパルプを絶乾373g得た。このときの蒸解後の残アルカリは3.3g/Lであった。
Figure 2010095816
表1の実施例1〜4と比較例1〜3を比較することから明らかなように、リグノセルロース物質を同一温度で蒸解して同一カッパー価のパルプを製造する場合、S/V比が大きいものほど、蒸解時のAA添加率が少なくて済むことがわかる。逆に、S/V比が2.0未満の場合には蒸解時のAA添加率を高くしなければならないだけでなく、蒸解後の残アルカリ量が非常に多くなり、エネルギー効率も悪くなることがわかる。
また、表1の実施例5〜8と比較例4〜7を比較することから明らかなように、リグノセルロース物質を同一AA添加率で蒸解して同一カッパー価のパルプを得る場合、S/V比が大きいほど、蒸解時の温度が低くて済むことがわかる。逆に、S/V比が2.0未満の場合蒸解温度を高くしなければならないのみならず、そのためにパルプ収率も悪くなることもわかる。
これらの結果は、リグノセルロース物質として単一チップ材を用いた場合だけでなく、複数のチップ材を混合した場合にも当てはまり、つまり、リグノセルロース物質のS/V比を管理することによって蒸解の製造工程を効率化、安定化させられることがわかる。

Claims (2)

  1. ケミカルパルプの製造において、原料とするリグノセルロース物質の配合を該リグノセルロース物質をアルカリ性ニトロベンゼン酸化した時に得られるシリンガアルデヒド(S)とシリンガ酸(SA)の合計と、バニリン(V)とバニリン酸(VA)の合計のモル比が(S+SA)/(V+VA)=2/1以上になるよう2種以上の広葉樹材を配合して調整するケミカルパルプ原材料配合管理方法。
  2. 前記広葉樹材は、少なくとも1種以上のフトモモ科ユーカリ属に属する材を使用することを特徴とする、請求項1記載のケミカルパルプ原材料配合管理方法。
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JP2013067877A (ja) * 2011-09-21 2013-04-18 Kawasaki Kasei Chem Ltd パルプ化におけるアントラキノン化合物の添加効果の算定方法
WO2021256306A1 (ja) * 2020-06-19 2021-12-23 日本製紙株式会社 ソーダリグニンの分離方法

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