JP2010094502A - 医療用断熱二重管 - Google Patents

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Abstract

【課題】断熱性が高く、曲げる際の曲率半径を小さくでき、滅菌処理が容易で、かつ製作しやすい医療用断熱二重管を提供する。
【解決手段】医療用流体を移送する内側チューブ、断熱用の外側チューブ、両者の間に空間を保持するための分離体、外側チューブの両端を内側チューブに固定し、なおかつ空間を閉鎖する閉塞体からなる医療用断熱二重管であって、分離体が内側チューブおよび外側チューブの両者に対して固着されておらず、分離体とチューブが接触した場合でも点接触か線接触となり、かつ分離体と内側チューブおよび外側チューブとの相対位置を、ある程度自由に変えられる構造を持つ導管。
【選択図】図1

Description

本発明は、心臓血管外科、整形外科、脳外科などで低温の体外循環を行う場合や、血液透析などの臨床で、移送する流体の温度変化を最小限に抑えるための断熱性の高い導管に関する。
実験レベルで考案されたものとして、例えば内側チューブおよび外側チューブのどちらか一方/または両者に隔離材を固定し、環状空間を形成して断熱効果を持たせた医療用流体導管が知られている(特許文献1参照)。
また、一般に使用される二重管では可撓性を持たせるために、蛇腹状の管を二重にして製作した断熱二重管が知られている(特許文献2参照)。
特開2001−231854号公報 特開平7−317989号公報
臨床で体外循環を行う際に、血液や潅流液などの流体の温度を設定した値に維持することが体温管理上重要である。また冷却液などを還流した場合には、温度維持の他にチューブ外表面に生じる水滴が術野を汚染し、細菌感染を起こしやすくする問題がある。これらに対処するには、チューブに断熱機能を付与することが重要となるが、その様な導管はまだ実用化されていない。これは通常の断熱材を巻き付けた構造の断熱管や、単に管を二重にして内管と外管のどちらか、または両者に固定された隔離材で空間を確保したチューブでは、十分な断熱効果を得られなかった、また曲げる際のチューブの曲率半径を十分小さくすることができず、患者との接続の際に不便であった、また加工がしにくいため高価になりやすく、ディスポーザブル製品として不適当であった、さらに通常の断熱材を用いた場合は滅菌用の有毒なガスや残留物を取り除くことができず、滅菌が困難で実用に供し得なかった等の問題があったためである。
本発明は曲げる際の曲率半径を小さくでき、密封性が高く滅菌処理が容易で、断熱性の高い、易加工性の医療用断熱二重管を安価に提供することを目的とする。
本発明者らは、流体を移送する内側チューブ、断熱用の外側チューブ、両者の間に空間を保持するための分離体、外側チューブの両端を内側チューブに固定し、なおかつ空間を閉鎖する閉塞体からなる二重構造の導管であって、分離体が内側チューブと外側チューブの両者に対して固着されておらず、分離体と内側および外側チューブとの相対位置を、ある程度自由に変えられる構造とすることで、可撓性と密封性および断熱性が高い導管を容易に製作できることを見出し、本発明に到達した。
すなわち、本発明は、流体を移送する内側チューブと断熱用の外側チューブからなり、外側チューブの端部と内側チューブ表面とが閉塞体により固着され、外側チューブと内側チューブとの間で閉鎖された中空円筒状の空間が形成された医療用断熱二重管において、前記中空円筒状の空間内に、複数の隔離部材とそれらを連結するための線状の連結部材とからなる分離体を有し、該分離体が内側チューブ及び外側チューブのいずれにも固着されていないことを特徴とする医療用断熱二重管を要旨とするものであり、好ましくは、分離体の隔離部材が、医療用断熱二重管を湾曲させたときに内側チューブの表面と外側チューブの内面とが直に接触しないような間隔をもって、円筒状空間内の長手方向及び円周方向に配されているものである。
また、前記した医療用断熱二重管において、好ましくは、分離体の隔離部材の形状が、球状、楕円体状、そろばん玉状、円盤状または多面体状であるものか、又は、内側チューブの外径より大きい内径、および外側チューブの内径より小さい外径を有するOリング状でリング内に内側チューブが内装されるように配されているものである。
また、前記した医療用断熱二重管において、好ましくは、分離体の隔離部材が、チューブ長手方向に伸びる連結部材により連結しているか、チューブ長手方向に伸びる連結部材とチューブ円周方向に伸びる連結部材とにより連結しているか、あるいは、内側チューブの外周に螺旋状に伸びた連結部材により連結しているものである。
また、前記した医療用断熱二重管において、閉塞体および/または外側チューブに排気又は吸気用の機構が取り付けられているものである。
本発明の医療用断熱二重管によれば、内側チューブと外側チューブとの間の空間に配された分離体が、内側チューブおよび外側チューブのいずれにも固着されていないため、チューブを曲げる際のチューブの曲率半径を十分小さくすることができ、患者との接続の際に都合がよいものとなる。また、内側チューブおよび外側チューブとの接触部分の少ない隔離部材を介した間接的な接触になるので、熱伝達面積や熱伝導面積を小さくするとともに、伝熱層を多層化することで熱抵抗を高め、断熱効果が優れたものとなる。
また、内側チューブおよび外側チューブと分離体の間には、半径方向に合計で、例えば0.1mm以上の間隙が存在するため、本発明の医療用断熱二重管の加工、組み立てが容易で、製作がし易くなっており、また二重管の可撓性も高められている。
また単純な密封構造又は排気若しくは吸気用機構を取り付けた構造とすることで従来の断熱材を用いた際に生じる、残留ガスや副産物などの処理が困難であるなどの問題を生じる恐れを回避することができる。
本発明の基本概念を示す説明図である。 医療用断熱二重管を曲げた場合の隔離部材の配置間隔の違いによる状況を示す概略図である。 隔離部材のチューブ円周方向の配置状況を示す概略図である。 隔離部材の各種形状を示す概略図である。 隔離部材と環状の連結部材との結合状況を示す概略図である。 隔離部材と環状の連結部材およびチューブ長手方向の連結部材との結合状況を示す概略図である。 本発明の実施例1を示す概略図である。 本発明の実施例2を示す概略図である。 本発明の実施例3を示す概略図である。 本発明の実施例4を示す概略図である。 本発明の実施例5を示す概略図である。 本発明の実施例6を示す概略図である。 本発明の実施例7を示す概略図である。 本発明の実施例8を示す概略図である。 本発明の実施例9を示す概略図である。 本発明の実施例10を示す概略図である。
以下、本発明を詳細に説明する。
図1に本発明の基本概念を示す。本発明の医療用断熱二重管(以下、単に二重管という場合がある。)12は、図1(a)にあって血液や体液を含む医療用流体1を流すための柔軟な内側チューブ2、断熱効果を持たせる柔軟な外側チューブ3、両者の間の空間11を保持するために設置された分離体8、外側チューブ3の両端を内側チューブ2に固定し、なおかつ空間11を密封するための閉塞体9からなる二重構造の導管であって、分離体8が内側チューブ2と外側チューブ3の両者に対して固着されておらず、分離体8と内側チューブ2および外側チューブ3との相対位置を、ある程度自由に変えられる構造を有している。
分離体8は、複数の隔離部材とそれらを連結するための線状の連結部材とからなり、隔離部材は、医療用断熱二重管を湾曲させたときに内側チューブ2の表面と外側チューブ3の内面とが直に接触しないような間隔をもって空間内の長手方向と円周方向に配されている。
図1(b)に示すように二重管12を曲げると内側チューブ2と外側チューブ3は閉塞体9の部分を除き自由に変形できるため、それぞれの力学的条件に合わせて変形する。このため内側チューブ2、外側チューブ3、分離体8には相互に変形を抑えるような応力の発生は少なくないので、容易に曲げることができる。二重管12が曲げられた際に分離体8は外側チューブ3の内側および内側チューブ2の外側の適当な部分に接して空間11を維持することで、内側チューブ2と外側チューブ3の直接的な接触による熱の移動を防ぐようになっている。
次に、分離体における複数の隔離部材の配置間隔について説明する。
図2(a)にあっては隔離部材4の付いた環状の連結部材5が長い直線状の連結部材6により広い間隔を置いて配置され、分離体8を形成している。このため二重管12に曲げ外力13が加わり、変形すると環状の連結部材5を結んでいる直線状の連結部材6同士の隙間を押し広げて内側チューブ2が入り込み、外側チューブ3と接触する。内側チューブ2と外側チューブ3が直接触れあうことで熱の移動速度が上がり、断熱効果が低下する。これに対し図2(b)にあっては隔離部材4が付いた環状の連結部材5が適切な長さの直線状の連結部材6により適切な間隔をおいて設置され、分離体8を形成している。二重管12に曲げ外力13が加わり、外側チューブ3が曲げられると、内側チューブ2も大きく曲げられようとするが、分離体8の持つ隔離部材4によってその動きが遮られ、外側チューブ3と内側チューブ2は互いに直接的に接触することを防ぐことができる。内側チューブ2と外側チューブ3とは隔離部材4を介して接触するので、接触せずに間隙が保たれている場合より熱の移動速度は上がるが、伝熱層が多層化しており、また接触面積も小さいため、チューブ2,3同士が直接接触するよりはるかに大きな熱抵抗を持つため十分な断熱効果を示す。
本発明に用いられる環状の連結部材を設置するピッチは、内側チューブと外側チューブの直径や肉厚、さらには二重管の空間に存在する気体の減圧度等により変化するが、0.1〜15cmであることが望ましい。
また、本発明に用いられる内側チューブおよび外側チューブと隔離部材との間の間隙の半径方向の合計値は0.5〜2mmであることが望ましい。
図1では、分離体8の隔離部材は円周方向に伸びた環状の連結部材により3個連結されている例が示されている。図3には、隔離部材が円周方向に5個連結された例を示している。図3(a)は隔離部材4と環状の連結部材5は機械的に結合するか、接着しており、図3(b)は隔離部材4と環状の連結部材5を一体成形した場合を示している。
本発明に使用する隔離部材4は、接触面積を点接触または短い線接触のように最小にするために硬いものほど良く、形状は球状(図4(a))、楕円体状(図4(b))、そろばん玉状(図4(c))、多面体状(図4(d))、円盤状(図4(e))などにすることで、熱伝達速度を抑え断熱性を高めることができるため、望ましい。
また隔離部材4は、内部が中実であっても中空であってもよい。図5にあって隔離部材4は内部空間14を有する中空状で同一円周上に3個以上等間隔に配置され、環状の連結部材5(直線状の連結部材あるいは螺旋状の連結部材でもよい)に機械的に結合されている。この他、連結部材に対して接着、溶着、圧着によって固定する方法があるが、一体成形によって製作することもある。隔離部材4を中空にすることで隔離部材4の伝熱経路の断面積を小さくすることができ、熱抵抗を上げることができる。隔離部材体4が球以外の楕円球状、算盤玉状、多面体状、円盤状などの形状を持つ場合も中空にすることで同様の効果が得られる。
図6にあって環状の連結部材5(直線状の連結部材6あるいは螺旋状の連結部材でもよい)と隔離部材体4は適度な間隙10を持って機械的に結合され、分離体8を形成している。間隙10があることで隔離部材4と連結部材5,6の互いの動きを拘束する範囲が減少し、分離体8がチューブの曲率に従って曲がりやすくなる。また間隙10を有することで伝熱層が多層化され、隔離部材4から他の隔離部材4への熱の移動速度が抑えられ、分離体8としての断熱性を高めることができる。
本発明における分離体8を構成する隔離部材4と連結部材5,6,7は、熱伝導率の低い高分子材料で作ることが望ましい。また、連結部材は柔軟性のある材料で作ることが望ましい。
本発明において使用される内側チューブと外側チューブは、血液、体液、医療用流体の輸送に適するものならばどのようなものでもよいが、好ましくは断熱性が高く、かつ柔軟性が高い医療用塩化ビニール、ポリウレタンなどの高分子材料を用いるこが望ましい。
本発明において使用される内側チューブの外径は、1mm〜30mmが好ましく、さらに好ましくは2mm〜20mmであり、よりいっそう好ましくは4mm〜10mmが使用される。
本発明において使用される外側チューブの内径は、本発明の効果を損なわない範囲において、内側チューブの外径に1mm〜6mm加えたものが好ましい。
さらに、本発明における使用される内側チューブ及び外側チューブの厚みは、本発明の効果を損なわない範囲において、材料力学的に許される限りできるだけ薄ことが望ましいが、例えば0.2mm〜5mmが挙げられ、好ましくは0.5mm〜3mmであり、より好ましくは1.0mm〜2.0mmである。
本発明における閉塞体の厚みは、伝熱面積を抑えるため材料力学的に許される限り、できるだけ薄ことが望ましい。
本発明における医療用断熱二重管における閉塞体および/または外側チューブに取り付けられた排気又は吸気用の機構とは、中空円筒状の空間に存在する気体を吸引又は該気体を他の気体と置換(吸気)する装置と、該装置を接続する接続部分と、中空円筒状の空間に存在する気体と他の気体との往来を制御する装置と、その交通路とからなるものである。
本発明における医療用断熱二重管は、該接続部分に注射器などの減圧装置を接続し、三方活栓や逆止弁などの制御装置の操作などにより、該交通路を通じて中空円筒状の空間に存在する気体を吸引し減圧することにより、該気体の見かけの熱伝導率が低下し、二重管の断熱効果を高めることができる。さらには、本発明における医療用断熱二重管の排気又は吸気用機構に、例えば後述するカフなどの設定圧を制御できる装置を取り付けることにより、中空円筒状の空間に存在する気体の減圧度を制御することができ、二重管の断熱効果をより制御できるため好ましい。
また、本発明における医療用断熱二重管は、該接続部分に乾燥空気(ガス)や低熱伝導ガスなどの供給装置を接続し、三方活栓などの制御装置の操作により、該交通路を通じて中空円筒状の空間に前記ガスを吸気することで、内側チューブ外壁への水滴付着による断熱効果の低減を防止することもできる。
以下に、図面に示す実施例に基づいて、本発明の詳細を説明する。
実施例1(図7を参照)
図7に本発明の実施例1を示す。図にあって血液や体液を含む医療用流体1を流すための柔軟な内側チューブ2、断熱効果を持たせるための柔軟な外側チューブ3、両者の間に空間11を保持するために設置される分離体8、外側チューブ3の両端を内側チューブ2に固定し、なおかつ空間11を密封するための閉塞体9から二重構造の導管が形成されている。3個以上の隔離部材4を適当な間隔で保持するための環状の連結部材5および柔軟性のある直線状の連結部材6からなる分離体8は、内側チューブ2およびに外側チューブ3の両者から分離独立して存在しているので、隔離部材4の外周は自由端になっており、チューブ2,3と隔離部材4との両者の間には半径方向に合計で0.1mm以上の間隙10を有している。隔離部材4と内側チューブ2および外側チューブ3との相対位置を、ある程度自由に変えられる構造を有していることで、内側チューブ2、外側チューブ3における相互に曲げ変形を抑えるような応力の発生は少なく、容易に曲げることができるようになる。二重管12が曲げられた際に隔離部材4は外側チューブ3の内側および内側チューブ2の外側の適当な部分に接して空間11を維持し、内側チューブ2と外側チューブ3の直接的な接触を防ぐ。また隔離部材4自体との接触面積を少なくするとともに、伝熱層を多層化することで熱の移動速度を大幅に落とすことができ断熱効果を発揮する。
実施例2(図8を参照)
図8に本発明の実施例2を示す。本実施例では、隔離部材4の形状がOリング状であり、そのリング内に内側チューブが挿入されるように配置し、それらの隔離部材4はチューブ長手方向に伸びる線状の連結部材6により連結されている。隔離部材4の内周および外周は自由端になっており、かつ半径方向に合計で0.1mm以上の間隙10を有し、隔離部材4と内側チューブ2および外側チューブ3との相対位置を、ある程度自由に変えられる構造を有していることで、内側チューブ2と外側チューブ3は相互に曲げ変形を抑えるような応力の発生は少なくなり、容易に曲げることができるようになる。
実施例3(図9を参照)
図9に本発明の実施例3を示す。本実施例では、分離体8は、適切なピッチをもって隔離部材4が配置されている環状の連結部材5を、隔離部材を介さずに柔軟な直線状の連結部材6に直接結合することで形成されている。
実施例4(図10を参照)
図10に本発明の実施例4を示す。本実施例では、適切なピッチをもって隔離部材4が配置されている多数個の環状の連結部材5を、一本の柔軟性のある直線状の連結部材6によって結合することで分離体8が形成されている。この場合、とくに直線状の連結部材6を一本としたことで、分離体8の変形の自由度が高まりさらに曲げやすくなっている。ただし自由度が増した分、両チューブ2,3の分離を確実にするために環状の連結部材5を設置するピッチを少し狭くする必要がある。
実施例5(図11を参照)
図11に本発明の実施例5を示す。本実施例では、適切な間隔をもって隔離部材4が配置されている螺旋状の連結部材7の両端を環状の連結部材5に結合することで分離体8は形成されている。
実施例6(図12を参照)
図12に本発明の実施例6を示す。本実施例では、一定のピッチで螺旋状に巻かれた柔軟な糸状の直線状の連結部材6に固定された隔離部材4からなる分離体8の両端が、二つの閉塞体9に接着、溶着あるいは圧着などによって固定されている。また、隔離部材4と内側チューブ2および外側チューブ3とは間隙10を持つ構造となっている。
実施例7(図13を参照)
図13に本発明の実施例7を示す。本実施例では、適切なピッチをもって隔離部材4が配置されている多数の柔軟な直線状の連結部材6の両端を環状の連結部材5に結合することで分離体8は形成されている。
実施例8(図14を参照)
図14に本発明の実施例8を示す。本実施例では、外側チューブ3の内側および/または内側チューブ2の外側に、赤外線遮光効果を有する材料15を含有させるか、コートしてある。これにより医療用流体1が冷却されている物であれば外部からの赤外線による温度上昇を防ぐことができ、逆に体温程度に暖められた医療用流体1を潅流したい場合などは、二重管12から外部への放熱を防ぐことができ、二重管12の断熱効果を高めることができる。
実施例9(図15を参照)
図15に本発明の実施例9を示す。本実施例では、二重管12の閉塞体9にチューブ16とカフ17および三方活栓19からなる排気機構21を取り付け、中空円筒状の空間11と大気との間に交通路が設けられている。二重管12を使用する直前に、この排気機構21の三方活栓19に注射器18を取り付けてから、三方活栓19を操作して空間11と注射器18の間の流路を開く。注射器18のピストンを吸引方向に動かし、空間11の気体を吸引する(図15a参照)。次に三方活栓19を操作して、注射器18と大気との間の流路を開いてから、注射器18のピストンを排出方向に動かし、注射器18内の気体を大気に排出する。その後同様の操作を繰り返し、空間11にある気体を大気中に排出する作業を続けることで、空間11を減圧する。設定した圧力にまで減圧されると、大気圧と空間11内の圧力との差により設定圧でカフ17が潰れるため、排気作業を終了する。三方活栓19を操作して空間11と大気との間の流路を遮断してから、注射器を取り外し、減圧作業を終了する(図15b参照)。これにより中空円筒状の空間11にある気体は減圧され、気体の見かけの熱伝導率が低下するので、二重管12の断熱効果を高めることができる。なお、排気作業には注射器18以外にも真空ポンプなど同様の機能を持つ装置を用いても良い。
実施例10(図16を参照)
図16に本発明の実施例10を示す。本実施例では、二重管12の外側チューブ3にチューブ16とカフ17および逆止弁20からなる排気機構21を取り付け、中空円筒状の空間11と大気との間に交通路が設けられている。二重管12を使用する直前に、この排気機構21の逆止弁20の出口側に注射器18を取り付けてから、注射器18のピストンを吸引方向に動かし、空間11の気体を吸引する(図16a参照)。次に逆止弁20から注射器18を取り外した後、注射器18のピストンを排出方向に動かし、注射器18内の気体を大気に排出する。この間、逆止弁20の弁は閉鎖されており、大気と空間11との間の交通はない。その後同様の操作を繰り返し、空間11にある気体を大気中に排出する作業を続けることで、空間11を減圧する。設定した圧力にまで減圧されると、大気圧と空間11内の圧力との差により設定圧でカフ17が潰れるため、減圧作業を終了する(図16b参照)。これにより中空円筒状の空間11にある気体は減圧され、気体の見かけの熱伝導率が低下するので、二重管12の断熱効果を高めることができる。なお、排気作業には注射器18以外にも真空ポンプなど同様の機能を持つ装置を用いても良い。
1 医療用流体
2 内側チューブ
3 外側チューブ
4 隔離部材
5 環状の連結部材
6 直線状の連結部材
7 螺旋状の連結部材
8 分離体
9 閉塞体
10 間隙
11 空間
12 二重管
13 外力
14 隔離部材の内部空間
15 赤外線遮光効果を有する材料
16 チューブ
17 カフ
18 注射器
19 三方活栓
20 逆止弁
21 排気機構






Claims (8)

  1. 流体を移送する内側チューブと断熱用の外側チューブからなり、外側チューブの端部と内側チューブ表面とが閉塞体により固着され、外側チューブと内側チューブとの間で閉鎖された中空円筒状の空間が形成された医療用断熱二重管において、前記中空円筒状の空間内に、複数の隔離部材とそれらを連結するための線状の連結部材とからなる分離体を有し、該分離体が内側チューブ及び外側チューブのいずれにも固着されていないことを特徴とする医療用断熱二重管。
  2. 分離体の隔離部材が、医療用断熱二重管を湾曲させたときに内側チューブの表面と外側チューブの内面とが直に接触しないような間隔をもって、中空円筒状空間内の長手方向及び円周方向に配されている請求項1に記載の医療用断熱二重管。
  3. 分離体の隔離部材の形状が、球状、楕円体状、そろばん玉状、円盤状または多面体状である請求項1又は2に記載の医療用断熱二重管。
  4. 分離体の隔離部材が、内側チューブの外径より大きい内径、および外側チューブの内径より小さい外径を有するOリング状であり、リング内に内側チューブが内装されるように配されている請求項1又は2に記載の医療用断熱二重管。
  5. 分離体の隔離部材が、チューブ長手方向に伸びる連結部材により連結している請求項1〜4のいずれかに記載の医療用断熱二重管。
  6. 分離体の隔離部材が、チューブ長手方向に伸びる連結部材とチューブ円周方向に伸びる連結部材とにより連結している請求項1〜5のいずれかに記載の医療用断熱二重管。
  7. 分離体の隔離部材が、内側チューブの外周に螺旋状に伸びた連結部材により連結している請求項1〜6のいずれかに記載の医療用断熱二重管。
  8. 閉塞体および/または外側チューブに排気又は吸気用の機構を取り付けた請求項1〜7のいずれかに記載の医療用断熱二重管。

















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