JP2010091171A - 着霜検知装置、冷凍サイクルシステム及び冷蔵庫 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】冷気を生成する冷却器3に対向して配置された導電部材からなる電極7と、電極7の周囲の静電容量によって変化する電極の出力から冷却器の着霜状態を検知する霜検知手段32と、霜検知手段32の検知出力に基づいて着霜状態を判定する制御部40とを備える。
【選択図】図3
Description
本発明の代表的なものを実施の形態1として説明する。
図1は、本発明の実施の形態1における冷蔵庫の断面図である。
図1において、1は冷蔵庫本体である。この冷蔵庫本体1は、冷蔵庫本体1の最上部に開閉ドアを備えて配置される冷蔵室100と、冷蔵室100の下方に冷凍温度帯(−18℃)から冷蔵、野菜、チルド、ソフト冷凍(−7℃)などの温度帯に切り替えることのできる引き出しドアを備える切替室200と、切替室200と並列に配置され、引き出しドアを備える製氷室500と、最下部に配置され、引き出しドアを備えた冷凍室300と、この冷凍室300と切替室200、製氷室500との間に配置され、引き出しドアを備えた野菜室400とを備えている。冷蔵室100の扉上には各室の温度や設定を調節する操作スイッチやそのときの各室の温度を表示する液晶表示部などから構成される操作パネル5が設置されている。なお、操作パネル5は冷蔵庫の中、例えば冷蔵室100の側面に設置されていても構わない。
なお、上記の電界センサの動作原理の概要については後述する(図2参照)。
図2は電界センサの動作原理を示した図である。
電界センサは、図2(a)に示すように、電圧Vの正弦波(例えば120kHz)を発信する正弦波発信器32aが抵抗32bを介して分岐点32gに接続し、その分岐点32gから分岐された一方には、交流を直流に変換する検波器32d、不要な高周波ノイズをカットするローパスフィルタ32e及び電圧を測定する電圧計32fが接続され、その他方には電極32cが接続されている。なお、検波器32d及びローパスフィルタ32eが本発明の霜検知手段又は基準検知手段を構成している。
ここで、電極32cは、周期的な放電を繰り返すことによって、電極32cの周囲に存在する物体Mを電極間物質とする仮想的なコンデンサを構成し、その仮想的なコンデンサは電極32cに係る電気エネルギーによる充電と自然放電を繰り返す。電極32cに係る電気エネルギーによって充放電する物体Mは、電極32cから、減衰や導体による消滅によって形成される電圧0Vとなる仮想的なグランドまでの範囲に存在する物体を合成したものとなり、別途電極32cと対となる電極が必要でないものである。
正弦波発信器32aより発信された電圧Vの正弦波(交流電力)は、抵抗32b及び分岐点32gを通過して、電極32cに至り、電極32cの周囲に放射される。これにより、この電極32cから仮想的なグランドまでの範囲に存在する物体Mは、電極32cに係る電気エネルギーによる充電と自然放電を繰り返す。また、分岐点32gの電圧Vgは、検波器32dによって直流(直流電力)に変換され、更にローパスフィルタ32eによって不要なノイズをカットした後、電圧計32fにて検出される。ここで、分岐点32gの電圧Vgは、抵抗32bによるインピーダンスをZb、電極32cから仮想的なグランドまでの電波の流れにくさをインピーダンスZcとすると、次式(1)で与えられる。
Vg=VZc/(Zc+Zb) …(1)
抵抗32bによるインピーダンスZb及び正弦波発信器32aの電圧Vは固定値となることから、分岐点32gの電圧Vgは、電極32cによるインピーダンスZcが増加すると高くなり、インピーダンスZcが減少すると低くなる。ここで、抵抗32bは電極32cによるインピーダンスZcを検出し易い値にする為に設けたものであり、抵抗32bが無い構成でも良い。
Zc=1/jωC …(2)
ここで、物体MのキャパシタンスCは、電波放射範囲に介在する物体Mの比誘電率k[−]、電極32cの面積S[m2]及び電極間(電極32cから仮想的なグランド間)の距離d[m]とすると、次式(3)で与えられる。
C=k・ε0・S/d …(3)
ε0:真空誘電率8.85×10-12[F/m]
ここで、電波放射範囲における電極の面積S及び電極間の距離dは数値化することが難しいが、一度電極32cを設置してしまえば変更されるものでは無いので定数と考えることが出来る。したがって、(3)式は以下のように変形することが出来る。
C∝k …(3)’
したがって、物体Mの比誘電率が増加するとキャパシタンスCが増加し、キャパシタンスCが増加するとインピーダンスZcが減少し、インピーダンスZcが減少すると分岐点32gの電圧Vgが低下する。
電極32cは冷却器3に対向する位置に設置されているので、電極32cによる電波放射範囲はおよそ冷却器3の周囲となる。この電波放射範囲に介在する物体Mは、冷却器3に霜が付いていない場合は基本的に空気のみとなるが、例えば冷却器3に霜が付いていくと水や氷の割合が増加していく。ここで、それぞれの比誘電率は、空気が1であるのに対し、水は80、氷は3.2であり、水や氷の比誘電率は空気よりも高い。したがって、冷却器3に霜が付き始めると、物体MのキャパシタンスCは増加し、それに応じて電圧計32fで測定される電圧Vgは低下する。これにより、冷却器3への霜付着の有無だけでなく付着する霜の量も検知することが出来る。また、電極32cから電波を放射する方式にすることにより、先行技術である空気コンデンサを用いた方式よりも電極32cと冷却器3との間隔を大きく取ることができるので、例えばフィンを有する複雑な冷却器3構成であっても確実に冷却器3に付着する霜を検知することが出来ることに加え、霜が電極32cに着くことによる故障の発生や、電極32cによる冷却器3の圧力損失増加を抑制することが出来る。また、冷却器3と回路的に絶縁できているので、冷却器3上に流れるノイズを拾うことなく霜の付着状態を検知することが出来る。
また、実施の形態1では冷却器3に付く霜を検知する方法として、分岐点32gの電圧Vgを検出する構成であるが、霜を検知する方法はこれに限ったものではなく、例えば回路を流れる電流から検知したり、回路の共振周波数から検知する方法を用いても良い。
図3は、冷蔵庫の制御装置及びそれに関連した装置の構成を示したブロック図である。なお、図3は後述の霜取り制御に関連した構成部分を抽出した図示したものである。
制御部40は、例えばマイクロコンピュータ等から構成されるものであり、その入力側には、冷凍室300に設けられたサーミスタ31、電界センサ34及び電界センサ35の出力がそれぞれ接続されている。電界センサ34は、電極7及び霜検知手段32を備えており、電界センサ35はダミー電極8及び基準検知手段33を備えている。電界センサ34及び電界センサ35は、図2(a)(b)に示された構成からなるものであり、電界センサ34はその電極32cとして電極7を用い、電界センサ35はその電極32cとしてダミー電極8を用いている。なお、制御部40は、本発明の判定手段及び制御手段をそれぞれ構成している。
図4は霜取り制御の処理過程を示したフローチャートである。
まず、冷却器3の霜取が不要な状態での制御について述べる。
冷蔵庫本体1の電源を投入すると、制御部40は、駆動回路42を介して駆動モータ10aを駆動することにより圧縮機10を駆動させるとともに、駆動回路43を介して送風ファン2を駆動させる。また、制御部40は、駆動回路44を介して冷凍室300のダンパ50を開く。このとき、他の部屋(100、200、400、500)のダンパ51についても開く。これにより、冷蔵庫の各部屋があらかじめ定められた設定温度に冷えていく(ステップ1)。
ステップ2で、冷却器3の着霜状態に基づいて変化する電界センサ34の出力Vsが、霜取開始タイミングとなるVs_set1より低ければ、冷却器3の着霜は、冷却性能を阻害するほど大きくなったものとみなし、霜取制御に移る(ステップ2からポイントBに移行)。
上記のように、冷却器3の下側には、それに対向するように電界センサ34の電極7として銅製の金属棒(又はアルミ、SUS、導電プラスチックなどの導電体)が設けられている。また、霜取時の温湿度変化による出力変動を補正するために、やはり銅製の金属棒(又はアルミ、SUS、導電プラスチックなどの導電体)からなるダミー電極8が設けられている。ダミー電極8は、庫内温湿度が電極7の設置位置とほぼ同等の温湿度でかつ着霜の影響を受けない場所に設ける。両者とも丸棒形状なので、誤検知要因となる霜取時のセンサ表面の結露が少なく、精度よく検知できる。なお、万が一そのような場所がない場合、湿度が異なっていても温度がほぼ同等の環境に設置すれば、同様の補正が可能である。なお、ダミー電極8の形状は電極7と同一の形状にすることで補正処理を簡単にすることができる。
図5において、電界センサ34の出力のみでも冷却器3の着霜状態による時間変化は検知できる。しかし、経過時間0の着霜が殆どない状態から霜成長していく、すなわち冷却器3との間にあったものが空気のみから霜(氷)が増加する、つまり比誘電率の高いものが増加することで、電界センサ34の検知する静電容量が大きくなっているにもかかわらず、電界センサ34の出力は大きくなっている。すなわち静電容量が低下して出力が低下しているかのような傾向を示している。
1時間後では、冷却器3に着霜が見られるものの、まだフィンや配管の間の隙間が残っているため(図7(2))、補正値の時間変化は緩やかである。この隙間が霜で埋められていくのに伴い、補正値は急激に小さくなっていく。
2.4時間後には冷却器3のほぼ隙間なく着霜し霜取制御が始まる(図7(3))。この後、少しずつ霜が融解し、霜と水が混在した状態になる。図5に示したように、水の比誘電率は氷の約29倍にもなるため、霜融解中も一定時間は静電容量が増加したものと考えられる。
その後ピークを過ぎ、4.4時間後には水滴が多く残るが霜はほとんど融けている(図7(4))。このときの補正値は、実験開始から1時間後とほぼ同等であるが、霜の付着量には肉眼で見て明らかに差異がある。これは、1時間後は冷却器3に水滴の付着はなく着霜のみであるのに対して4.4時間後はより比誘電率の高い水滴が多いので、補正値としては同一であっても外観上の差異があるものと考えられる。
5.4時間後には霜は完全に融解し、水滴もわずかに残るのみであり(図7(5))、補正値も実験開始時と同等である。この段階で霜取制御を終え、通常の冷却運転に戻るように制御できる。
また、電界センサ34(35)の電極7(ダミー電極8)を棒状導電部材としたので、除霜後の水滴付着による誤検知を抑制できる。
また、ダミー電極8を電極7及び冷却器3の近傍に配置し、ダミー電極8を電極として利用する電界センサ35により周囲環境の温湿度変化による出力変動を求めて電界センサ34の出力を補正するようにしたので、精度良く着霜状態を検知できる。
また、上記のように精度良く着霜状態を検知できる着霜検知装置を冷蔵庫に組み込んだので、冷却器に付着した霜量に応じた適切な除霜制御ができる。即ち、一般的な冷凍冷蔵庫の仕様を一部変更することで、冷却器3に伝熱阻害が生じるほどの着霜が生じることを検知して霜取制御を適正なタイミングで開始させ、かつ冷却器3の着霜が完全に除去されたことを検知して霜取制御を適正なタイミングで終了させることが可能であるため、不要な霜取をしなくて済み、省エネルギーでかつ食品の保存性を向上できる冷蔵庫を提供できる。
次に、本発明の実施の形態2について説明する。
図8は、本発明の実施の形態2に係る冷蔵庫の断面図である。図1と同一番号は同一部品を示しており、ここでは相違点を中心に説明する。
本実施の形態では、簡易的に電界センサ34の出力のみを用いており、その電極には薄い金属板7aを使っている。この形状は、丸棒型よりもセンサに使う金属量が少ないため安価にできること、シート状なので、冷却器3の周りの構造に応じて任意の形に整形・設置できるという利点がある。これを冷蔵庫の風路4に組み込んで、冷却器3に対してどのような位置に設置することが望ましいのかを評価検討した。なお、基本的な制御は図4に示したフローチャートに同じである。
また、電界センサ34の電極は、冷却器3より大きい面積を有し、冷却器全体をカバーするものであっても構わない。これにより、冷却器3に偏った着霜または除霜状態が形成されても確実に検知することができる。
その乾燥工程としては、例えばあらかじめ設定した一定の時間に霜取ヒータ6のオン時間を延長して冷却器3に付着した水滴を蒸発させ乾燥させる。また、霜取ヒータ6はオフして送風ファン2を稼動することにより、冷却器3の周囲およびフィンの間に空気を循環させることにより水分の蒸発を促進させることができる。このとき、冷却器3の周りの温度が一定以上に低い場合には、例えば冷蔵室100のダンパを開けて湿気を含んだ空気を冷蔵室100に導入すると、戻ってきた乾燥空気を冷却器3の周りに流すことができるので、水分を冷蔵庫内で無駄なく活用しつつより迅速に冷却器3を乾燥できる。また、外気を導入して冷却器3を乾燥し、その空気を再度外気へ放出するようにしてもよい。このようにすれば、冷却器3の周囲が高温であるうちに冷却器3の乾燥を促進できるので、霜取後から冷却運転開始までの時間を短縮できる。
このように、除霜動作を終了した後に乾燥工程を設けることにより、除霜後の水滴が再凍結し冷却器性能低下を加速することを抑制することができる。
Claims (13)
- 冷気を生成する冷却器に対向して配置された導電部材からなる電極と、
該電極の周囲の静電容量によって変化する前記電極の出力から、前記冷却器の着霜状態を検知する霜検知手段と、
該霜検知手段の検知出力に基づいて着霜状態を判定する判定手段と、
を備えたことを特徴とする着霜検知装置。 - 前記電極は、その長さを前記冷却器の長さにほぼ相当する長さにしたことを特徴とする請求項1記載の着霜検知装置。
- 前記電極は、棒状導電部材から構成されていることを特徴とする請求項1又は2記載の着霜検知装置。
- 前記電極は、シート状導電部材から構成されていることを特徴とする請求項1又は2記載の着霜検知装置。
- 前記電極を、絶縁体を介して前記冷却器に対向して配置したことを特徴とする請求項1〜4の何れかに記載の着霜検知装置。
- 前記電極の近傍で、且つ前記冷却器の着霜状態の影響を受けない部位に配置された導電部材からなる基準電極と、
該基準電極の周囲の静電容量によって変化する前記基準電極の出力から、前記基準電極の周囲の少なくとも温度変化を検知する基準検知手段と、
を備え、
前記判定手段は、前記霜検知手段の出力を前記基準検知手段の出力に基づいて補正した後、前記冷却器の着霜状態を判定することを特徴とする請求項1〜5の何れかに記載の着霜検知装置。 - 前記基準電極は、前記電極と同一形状からなることを特徴とする請求項6記載の着霜検知装置。
- 請求項1〜7の何れかに記載の着霜検知装置と、
前記冷却器に付着する霜を除去する除霜手段と、
前記着霜検知装置の判定結果に基づいて前記除霜手段を制御する制御手段と、
を備えたことを特徴とする冷凍サイクルシステム。 - 前記冷却器に空気を導く風路を備え、
前記電極は、前記風路を介して前記冷却器と対向する位置に設けられていることを特徴とする請求項8に記載の冷凍サイクルシステム。 - 前記制御手段は、前記着霜検知装置の出力に基づいて前記除霜手段の動作を停止した後に乾燥工程を設けることを特徴とする請求項8又9記載の冷凍サイクルシステム。
- 請求項1〜7の何れかに記載の霜検知装置と、
食品を貯蔵し、該食品を前記冷却器によって生成される冷気によって冷却保存する一つまたは複数の貯蔵室と、
前記冷却器表面に付着する霜を除去する除霜手段と、
前記霜検知装置の判定結果に基づいて前記除霜手段を制御する制御手段と
を備えたことを特徴とする冷蔵庫。 - 前記貯蔵室からの戻り空気を冷却器に戻す戻り風路出口を備え、
前記電極を前記風路出口近傍に配置したことを特徴とする請求項11記載の冷蔵庫。 - 前記制御手段は、前記着霜検知装置の出力に基づいて前記除霜手段の動作を停止した後に、乾燥工程を設けることを特徴とする請求項11又は12記載の冷蔵庫。
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