JP2010088238A - 同期電動機制御装置とその制御方法 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】 d軸電流指令演算部2が、前記トルク指令に対するd軸電流指令のデータテーブルを有し、前記d軸電流指令を前記トルク指令の絶対値|T*|に対するテーブル内挿演算をして出力し、q軸電流指令演算部3が、同期電動機のトルク式を用いてq軸電流指令を演算して出力する。
【選択図】 図1
Description
この一般的な技術課題を解決するために、従来の同期電動機制御装置とその制御方法は、「同期モータの駆動装置に関わり、特に同期モータの出力トルクの線形性を改善し、かつ効率の高い運転を可能にする駆動装置に関する」ものであって、「複雑な演算処理をすることなく安価なマイコンを用いて、同期モータの出力トルク及び速度制御系を線形化し、効率の高い制御を実現する方法及び装置を提供すること」を目的としており、「同期モータに直流電圧を交流または直流に変換して供給するインバータと、該インバータの出力電圧と周波数とを制御する制御装置と、前記同期モータの回転速度を検出もしくは推定する手段とを備えた同期モータの駆動装置において、前記制御装置が、前記回転速度を回転速度指令と一致させるようなトルク指令を出力する手段と、該トルク指令を入力とし電流振幅と電流位相とを演算して出力する手段とを備え」、更に「最大トルクと電流振幅及び最大トルクと電流位相の関係を、トルクをパラメータとした関数で数式化し、トルク指令の入力に対して、最大トルクが得られる電流振幅指令及び電流位相指令を演算し出力する、トルク・電流比最大制御手段を備え」、「上記トルクをパラメータとした関数が1次関数もしくは2次関数である」ものである(例えば、特許文献1)。
本発明はこのような問題点に鑑みてなされたものであり、各電流振幅に対して最適な電流位相とその時のトルクを通常運転前に自動的に算出し、算出した最適な電流位相に基づいてトルクに対するd軸電流指令データテーブルを作成するとこで、手間を削減できる。また、トルク指令に対してd軸電流指令データテーブルを用いてd軸電流指令を算出し、トルク指令とd軸電流指令から同期電動機のトルク式を用いてq軸電流指令を算出し直すことで、トルク指令と出力トルクが一致しトルクを高精度制御でき、かつ同期電動機を高効率で制御できる同期電動機制御装置とその制御方法を提供することを目的とする。
請求項1に記載の発明は、トルク指令を入力し、前記トルク指令に基づいてd軸電流指令を演算するd軸電流指令演算部と、前記トルク指令と前記d軸電流指令とに基づいてq軸電流指令を演算するq軸電流指令演算部とを備え、前記d軸電流指令と前記q軸電流指令とに基づいて同期電動機を駆動する同期電動機制御装置において、前記d軸電流指令演算部が、前記トルク指令に対する前記d軸電流指令のデータテーブルを有し、前記d軸電流指令を前記トルク指令の絶対値に対するテーブル内挿演算をして出力し、前記q軸電流指令演算部が、同期電動機のトルク式を用いて前記q軸電流指令を演算して出力するものである。
また、請求項2に記載の発明は、請求項1記載の発明における前記データテーブルが、通常運転前に自動的に作成されるものであって、最大電流に対する予め定められた分割数N(Nは正の整数)の1分割毎の電流振幅に対して、電流位相90度に対する予め定められた分割数M(Mは正の整数)の1分割ずつ電流位相を変化させて同期電動機のトルク式に代入し、トルク効率が最大となる電流振幅および電流位相における前記トルク指令および前記d軸電流指令を保存したものである。
請求項3に記載の発明は、トルク指令を入力し、前記トルク指令に基づいてd軸電流指令を演算するd軸電流指令演算部と、前記トルク指令と前記d軸電流指令とに基づいてq軸電流指令を演算するq軸電流指令演算部とを備え、前記d軸電流指令と前記q軸電流指令とに基づいて同期電動機を駆動する同期電動機制御装置の制御方法において、前記d軸電流指令演算部が、通常運転前に、前記トルク指令に対する前記d軸電流指令のデータテーブルを自動的に作成するデータテーブル作成処理をし、通常運転時に、前記d軸電流指令を前記トルク指令の絶対値に対するテーブル内挿演算をして出力し、同期電動機のトルク式を用いて前記q軸電流指令を演算して出力する、という手順で処理するのである。
また、請求項4に記載の発明は、請求項3記載の発明における前記データテーブル作成処理は、最大電流に対する予め定められた分割数N(Nは正の整数)の1分割毎の電流振幅に対して、電流位相90度に対する予め定められた分割数M(Mは正の整数)の1分割ずつ電流位相を、トルク効率が最大となる電流位相となるまで変化させる電流位相変化処理をし、トルク効率が最大となる電流振幅および電流位相における前記トルク指令および前記d軸電流指令を演算して保存する保存処理をし、前記電流振幅が前記最大電流を超えるまで、前記電流位相変化処理および前記保存処理を繰り返す、という手順で処理するのである。
本発明が従来技術と特に異なる部分は、絶対値演算部3とマグネットによる鎖交磁束・インダクタンス演算部12とを備えた部分であり、更に、d軸電流指令演算部4における演算方法と、q軸電流指令演算部5における演算方法である。
Id*テーブル内挿演算部41には、トルク指令に対してトルク効率が最大となるようなd軸電流指令のデータ群であるId*テーブルデータが設定されており、トルク指令絶対値|T*|からId*テーブルデータの内挿演算を行い、d軸電流指令Id*を出力する。Id*テーブルデータは、同期電動機制御装置やエンコーダなどのメモリに格納された同期電動機パラメータ(例えば、図1のエンコーダ内のメモリ)を用いて自動演算する。
(S102)jがNより大きい場合は、処理を終了する。jがN以下の場合は、(S103)処理へ進む。ここで、Nは最大電流の分割数であり、予め定められたId*テーブルデータにおけるデータ数で決定されるものである。
(S104)電流振幅I=(最大電流×j/N)を演算し、(S105)処理へ進む。
(S106)電流位相θ=(90゜×k/M)を演算し、(S107)処理へ進む。ここで、Mは電気角90゜の分割数であり、予め定められたId*テーブルデータにおけるデータ数で決定されるものである。
(S108)jに1を足し(jを更新し)、(S102)処理へ進む。
(S110)(S109)で演算したd軸電流Id、q軸電流Iqから、マグネットによる鎖交磁束φMg、d軸インダクタンスLd、q軸インダクタンスLqを後述するそれぞれのテーブルデータからテーブル内挿演算により求め、(S111)処理へ進む。
(S112)(S111)で演算したトルクが保存したメモリTrq[j]より大きい場合は、(S114)処理へ進む。(S111)で演算したトルクが保存したメモリTrq[j]以下の場合は、(S113)処理へ進む。
(S114)保存したメモリTrq[j]に(S111)で演算したトルクを保存、また、保存したメモリIdref[j]に(S109)で演算したd軸電流Idを保存し、(S113)処理へ進む。
このように、図4における一連のId*テーブルデータ自動演算の処理では、1分割(最大電流に対する予め定められた分割数毎)の電流振幅Iに対して、電流位相θを0°〜90°まで1分割(電流位相90度に対する予め定められた分割数毎)ずつ変化させて、変化の度に、d軸電流Id、q軸電流Iq、マグネットによる鎖交磁束φMg、d軸インダクタンスLd、q軸インダクタンスLq、トルクTを演算して、演算されたトルクTおよび演算されたd軸電流IdをメモリTrq[j]およびメモリIdref[j]に保存する。また、電流位相θの変化が90°より大きくなれば、電流振幅Iを1分割(最大電流に対する予め定められた分割数毎)ずつ変化させて、前述の電流位相θの変化およびそれに伴う演算とメモリ保存を行う。また、前述の電流位相θを1分割(電流位相90度に対する予め定められた分割数毎)ずつ変化させる過程で、演算されたトルクTがメモリTrq[j]より小さければ、演算されたトルクTおよび演算されたd軸電流IdをメモリTrq[j]およびメモリIdref[j]に保存せずに、電流位相θを変化させる。また、電流振幅Iを1分割(最大電流に対する予め定められた分割数毎)ずつ変化させる過程で、電流振幅Iが最大電流より大きくなれば、一連の処理を終了する。最終的に、保存されたメモリTrq[j]およびメモリIdref[j]が、トルク指令T*に対するd軸電流指令Id*のテーブルデータと成るのである。
(S104)処理は、最大電流に対してN分割されたj番目の電流振幅Iを算出するものであり、(S106)処理は、算出されたj番目の電流振幅I毎に、電流位相90°に対してM分割されたk番目の電流位相θを算出するものであり、(S109)処理〜(S114)処理は、算出されたk番目の電流位相θ毎にトルクおよびd軸電流指令を算出するものである。すなわち、これらの処理では、j番目の電流振幅I毎にトルク効率が最大となる電流位相θを探し出す処理であり、従来の同期電動機制御装置とその制御方法(特許文献1)における予めシミュレーションや実験で求める図4(トルク特性図)相当のトルク特性を、駆動する同期電動機に応じて通常運転前に自動的に算出するものである。
また、(S112)処理は、前回保存したメモリTrq[j]と今回算出したトルクとを比較し、今回算出したトルクが小さい場合、電流位相θを更新(k=k+1)するものであり、すなわち、トルク効率が最大となる電流位相θを探し出す過程において、今回算出したトルクが前回保存したメモリTrq[j]よりも小さい場合、その時点のトルク効率は最大でないと判断することができるため、(S114)処理では、常にトルク効率が最大となる電流位相θにおけるメモリTrq[j]が保存されるのである。
また、(S107)処理は、トルク効率が最大となる電流位相θは、0°〜90°の範囲内に必ず存在することが知られているため、k番目の電流位相θが90°を超えれば、順次電流振幅Iを増加させるものである。
また、(S102)処理は、最大電流を超える電流振幅Iでの演算は必要ないので、j番目の電流振幅Iが最大電流を超えれば、一連の処理を終了するのである。
なお、最大電流の分割数であるN、電流位相電気角90°の分割数であるMは、必要に応じて適宜決定すれば良い。
次に、マグネットによる鎖交磁束・インダクタンス演算部12におけるテーブル内挿演算によりマグネットによる鎖交磁束φMg、d軸インダクタンスLd、q軸インダクタンスLqの演算方法について説明する。図3は、マグネットによる鎖交磁束・インダクタンス演算部12の内部構成を示す図である。図において、121はLdテーブル内挿演算部、122はLqテーブル内挿演算部、123はφMgテーブル内挿演算部である。
Ldテーブル内挿演算部121、Lqテーブル内挿演算部122、φMgテーブル内挿演算部123には、それぞれ予め実験やシミュレーションなどで求めた、d軸電流Idとd軸インダクタンスLdの関係、q軸電流Iqとq軸インダクタンスLqの関係、q軸電流Iqとマグネットによる鎖交磁束φMgの関係がテーブル化されたものが備えられている。また、それぞれの入力に対して内挿演算を行い、d軸インダクタンスLd、q軸インダクタンスLq、マグネットによる鎖交磁束φMgを出力するものである。
図6はd軸電流Idとd軸インダクタンスLdの関係を示すテーブルデータ、図7はq軸電流Iqとq軸インダクタンスLqの関係を示すテーブルデータ、図8はq軸電流Iqとマグネットによる鎖交磁束φMgの関係を示すテーブルデータである。なお、図中のX、Y、Zは正の整数である。
ここで、各テーブルデータは、それぞれ予め実験やシミュレーションなどで求める。各テーブルデータは電流0から最大電流までを何分割かしてデータを取れば十分である。(一方従来技術は、トルク指令に対する最適な電流振幅および電流位相を予め実験やシミュレーションで求める際、電流振幅を何分割かして、また電流位相も何分割かしてその両方を変化させてデータを取る必要があり、本発明に比べ、実験やシミュレーションに手間がかかる。)
以上、本発明の同期電動機制御装置とその制御方法では、各電流振幅に対して最適な電流位相とその時のトルクを通常運転前に自動的に算出し、算出した最適な電流位相(トルク効率が最大)に基づいてトルクに対するd軸電流指令データテーブルを作成するため、非常に手間がかかるという問題は発生せず、また、トルク指令に対してd軸電流指令データテーブルを用いてd軸電流指令を算出し、トルク指令とd軸電流指令から同期電動機のトルク式を用いてq軸電流指令を算出し直すため、すなわち、d軸電流指令Id*およびq軸電流指令Iq*を1次関数または2次関数のような近似算出をしていないため、d軸電流指令Id*およびq軸電流指令Iq*それぞれに誤差が発生し、トルク制御精度の低下を引き起こすという問題も発生せずトルクを高精度制御でき、かつ同期電動機を高効率で制御できる。
なお、本発明における同期電動機制御装置が駆動する同期電動機は、SPMSM(表面磁石形同期電動機)、IPMSM(埋め込み磁石形同期電動機)、SynRM(同期リラクタンスモータ)のいずれであっても良い。
2 エンコーダ
3 絶対値演算部
4 d軸電流指令演算部
5 q軸電流指令演算部
6 電流制御部
7 2相/3相変換部
8 PWM電力変換装置
9 電流検出部
10 3相/2相変換部
11 電気角演算部
12 マグネットによる鎖交磁束・インダクタンス演算部
41 Id*テーブル内挿演算部
121 Ldテーブル内挿演算部
122 Lqテーブル内挿演算部
123 φMgテーブル内挿演算部
Claims (4)
- トルク指令を入力し、前記トルク指令に基づいてd軸電流指令を演算するd軸電流指令演算部と、前記トルク指令と前記d軸電流指令とに基づいてq軸電流指令を演算するq軸電流指令演算部とを備え、前記d軸電流指令と前記q軸電流指令とに基づいて同期電動機を駆動する同期電動機制御装置において、
前記d軸電流指令演算部が、前記トルク指令に対する前記d軸電流指令のデータテーブルを有し、前記d軸電流指令を前記トルク指令の絶対値に対するテーブル内挿演算をして出力し、
前記q軸電流指令演算部が、同期電動機のトルク式を用いて前記q軸電流指令を演算して出力することを特徴とする同期電動機制御装置。 - 前記データテーブルが、通常運転前に自動的に作成されるものであって、
最大電流に対する予め定められた分割数N(Nは正の整数)の1分割毎の電流振幅に対して、電流位相90度に対する予め定められた分割数M(Mは正の整数)の1分割ずつ電流位相を変化させて同期電動機のトルク式に代入し、トルク効率が最大となる電流振幅および電流位相における前記トルク指令および前記d軸電流指令を保存したものであることを特徴とする請求項1に記載の同期電動機制御装置。 - トルク指令を入力し、前記トルク指令に基づいてd軸電流指令を演算するd軸電流指令演算部と、前記トルク指令と前記d軸電流指令とに基づいてq軸電流指令を演算するq軸電流指令演算部とを備え、前記d軸電流指令と前記q軸電流指令とに基づいて同期電動機を駆動する同期電動機制御装置の制御方法において、
前記d軸電流指令演算部が、通常運転前に、前記トルク指令に対する前記d軸電流指令のデータテーブルを自動的に作成するデータテーブル作成処理をし、
通常運転時に、前記d軸電流指令を前記トルク指令の絶対値に対するテーブル内挿演算をして出力し、同期電動機のトルク式を用いて前記q軸電流指令を演算して出力する、という手順で処理することを特徴とする同期電動機制御装置の制御方法。 - 前記データテーブル作成処理は、最大電流に対する予め定められた分割数N(Nは正の整数)の1分割毎の電流振幅に対して、電流位相90度に対する予め定められた分割数M(Mは正の整数)の1分割ずつ電流位相を、トルク効率が最大となる電流位相となるまで変化させる電流位相変化処理をし、
トルク効率が最大となる電流振幅および電流位相における前記トルク指令および前記d軸電流指令を演算して保存する保存処理をし、
前記電流振幅が前記最大電流を超えるまで、前記電流位相変化処理および前記保存処理を繰り返す、という手順で処理することを特徴とする請求項4に記載の同期電動機制御装置の制御方法。
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