JP2010084950A - 冷却塔 - Google Patents

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Abstract

【課題】冷却塔の運転時において、外部空気の温度が循環液の凍結する温度程度より低下している場合であっても、空気流通路における充填材の上流側において循環液の凍結を良好に防止して、冷却塔の運転を継続的に行うことが可能な技術を提供する。
【解決手段】塔体2内に導入された外部空気Aが塔体2の入口2aから出口2bに流通可能な空気流通路3と、空気流通路3において外部空気Aを塔体2の入口2aから導入し塔体2の出口2bに排出させる排出手段4と、排出手段4により上流側から導入された外部空気Aと塔体2の上部2cから供給される循環液Cとを接触させて熱交換する充填材5とを備えた冷却塔1であって、空気流通路3において塔体2の入口2aより下流側で充填材5よりも上流側に、塔体2の入口2aから導入された外部空気Aと塔体2の上部2cから供給された循環液Cとを非接触で熱交換させる乾式熱交換器6を備えた。
【選択図】図2

Description

本発明は、塔体内に導入された外部空気が当該塔体の入口から出口に流通可能な空気流通路と、空気流通路において外部空気を塔体の入口から導入し塔体の出口に排出させる排出手段と、排出手段により上流側から導入された外部空気と塔体の上部から供給される循環液とを接触させて熱交換する充填材と、を備えた冷却塔に関する。
従来、吸収式冷凍機等の発熱源から排出される温水を冷却して低温水とした後、当該低温水を発熱源に循環的に供給する装置として冷却塔(クーリングタワー)と呼ばれる装置が利用されている。この冷却塔は、例えば、塔体内に導入された外部空気が当該塔体の側方(入口)から上方(出口)に流通可能な空気流通路と、空気流通路において外部空気を塔体の側方から導入し塔体の上方に排出させる排出手段と、排出手段により上流側から導入された外部空気と塔体の上部から供給される循環液とを接触させて熱交換する充填材とを備えて構成される(例えば、特許文献1参照)。これにより、発熱源から排出された温水を上記循環液として塔体の上部から供給して充填材に散布するとともに、外部空気を塔体の側方から導入して充填材近傍を通過させることができる。したがって、当該充填材において循環液と外部空気とが直接接触して熱交換し当該循環液を冷却することができ、この冷却された循環水を発熱源において冷却の用途に良好に利用することができる。
特開平5−087468号公報
さて、上記冷却塔では、充填材として冷却対象の循環液(温水)と当該循環液よりも低温の外部空気とを直接接触させ、主として循環液が蒸発することによる気化熱(潜熱)により循環液を冷却する湿式熱交換器が採用されており、循環液と外部空気とを効率よく熱交換させることができる。
しかしながら、通常、冷却塔は屋外に設置されるため、冬季等に外部空気が循環液の凍結する温度程度(例えば、循環液が水である場合には0℃程度)より低下した場合には、循環液が凍結し冷却塔の運転が困難となる問題がある。
すなわち、冷却塔の運転時には、循環液を塔体の上部から供給して充填材に散布し、外部空気を塔体の側方から導入して充填材近傍を通過させる。この場合、冬季等において外部空気が循環液の凍結する温度程度より低下していると(例えば、外気温度が−20℃程度となっていると)、当該外部空気と充填材に散布された循環液とが直接接触することにより、当該循環液が、外部空気が導入される塔体の側方入り口付近や充填材の上流側近傍で凍結し、空気流通路を閉鎖して、外部空気による循環液の冷却を適切に行うことができない可能性がある。このような冷却塔の運転時における循環液の凍結は冷却塔の継続運転を困難とするため、できるだけ防止することが必要となる。
本発明は上記の課題に鑑みてなされたものであり、その目的は、冷却塔の運転時において、外部空気の温度が循環液の凍結する温度程度より低下している場合であっても、空気流通路における充填材の上流側において循環液の凍結を良好に防止して、冷却塔の運転を継続的に行うことが可能な技術を提供する点にある。
上記目的を達成するための本発明に係る冷却塔は、塔体内に導入された外部空気が当該塔体の入口から出口に流通可能な空気流通路と、前記空気流通路において前記外部空気を前記塔体の入口から導入し前記塔体の出口に排出させる排出手段と、前記排出手段により上流側から導入された外部空気と前記塔体の上部から供給される循環液とを接触させて熱交換する充填材と、を備えた冷却塔であって、その特徴構成は、前記空気流通路において前記塔体の入口より下流側で前記充填材よりも上流側に、前記塔体の入口から導入された外部空気と前記塔体の上部から供給された循環液とを非接触で熱交換させる乾式熱交換器を備えた点にある。
上記特徴構成によれば、空気流通路において塔体の入口より下流側で充填材よりも上流側に、塔体の入口から導入された外部空気と塔体の上部から供給された循環液とを非接触で熱交換させる乾式熱交換器を備えるので、冬季等において外部空気の温度が循環液の凍結する温度程度より低下している場合であっても、空気流通路における充填材の上流側において循環液の凍結を良好に防止することができる。
すなわち、排出手段により塔体の入口から導入された外部空気は空気流通路において乾式熱交換器を通過した後、充填材を通過して塔体の出口から排出されるので、塔体の入口から導入された低温(循環液の凍結する温度程度よりも低い温度)の外部空気は、そのままの温度で充填材に散布された循環液と直接接触するのではなく、上記乾式熱交換器により外部空気の温度を循環液の凍結する温度程度よりも上昇させられた上で、充填材に散布された循環液と直接接触する。したがって、充填材において、温度が循環液の凍結する温度程度よりも上昇した状態の外部空気と循環液とを接触させることができ、空気流通路における充填材の上流側での循環液の凍結を良好に防止することができる。ここで、上述の通り、乾式熱交換器は空気流通路の上流側である塔体の入口とその下流側である充填材との間に配置されている。したがって、塔体内に導入された低温(循環液が凍結する温度程度よりも低い温度)の外部空気は、充填材に散布された循環液よりも先に、乾式熱交換器において循環液と熱交換することとなる。しかし、当該乾式熱交換器は、外部空気と循環液とが非接触の状態で顕熱の移動により熱交換可能に構成されているので、当該乾式熱交換器内で循環液が凍結することはなく、しかも、外部空気の温度を充填材に散布された循環液の凍結する温度よりも上昇させた状態とすることができる。
よって、冷却塔の運転時において、外部空気の温度を循環液の凍結する温度程度よりも上昇させた状態で充填材に通過させ、充填材の上流側において循環液の凍結を良好に防止することができるので、冷却塔の運転を継続的に行うことが可能となる。
本発明に係る冷却塔の更なる特徴構成は、前記充填材及び前記乾式熱交換器に供給される循環液の比率を調整する流量調整手段と、前記排出手段による前記外部空気の排出量を調整する排出量調整手段とを備え、制御手段が、前記乾式熱交換器から排出された外部空気の温度及び前記充填材から排出された循環液の温度がそれぞれ所定の温度となるように、前記流量調整手段及び前記排出量調整手段を制御する点にある。
本特徴構成によれば、制御手段が、流量調整手段を制御して充填材及び乾式熱交換器に供給される循環液の比率を調整するとともに、排出量調整手段を制御して排出手段による外部空気の排出量を調整する。ここで、充填材及び乾式熱交換器に供給される循環液の比率、及び排出手段による外部空気の排出量を調整すると、充填材及び乾式熱交換器における外部空気と循環液との熱交換量を調整することができ、少なくとも乾式熱交換器から排出された外部空気の温度、及び充填材から排出された循環液の温度を調整することが可能となる。したがって、制御手段により、乾式熱交換器から排出された外部空気の温度を循環液の凍結する温度程度より高い所定の温度(例えば、5℃)にまで上昇させるとともに、外部空気と熱交換して充填材から排出された循環液の温度を発熱源の冷却に必要な所定の温度(例えば、32℃)にまで低下させるように流量調整手段及び排出量調整手段を制御する。これにより、充填材に確実に循環液の凍結する温度程度より高い所定の温度の外部空気を通過させることができるとともに、温度を確実に発熱源の冷却に必要な所定の温度にまで低下させた循環液を得るように冷却塔を運転することができる。
よって、冷却塔に運転時において、充填材の上流側における循環液の凍結を確実に防止できるとともに、確実に発熱源を冷却することができる。
本発明に係る冷却塔の更なる特徴構成は、前記循環液が、発熱源から排出される冷却対象の温水である点にある。
本特徴構成によれば、循環液が発熱源から排出される冷却対象の温水であるので、本発明に係る冷却塔を、循環液(温水)を冷却塔内の充填材において外部空気と直接接触させて冷却し、冷却された循環液をそのまま発熱源に循環的に供給して当該循環液を発熱源の冷却に用いる形態の開放型冷却塔として良好に利用することができる。
本発明に係る冷却塔の更なる特徴構成は、前記塔体内において、当該塔体の上部から供給され前記外部空気と熱交換して冷却された循環液と、閉路内を循環する発熱源から排出された冷却対象の温水とが非接触で熱交換する熱交換器を備えた点にある。
本特徴構成によれば、塔体内において、外部空気と熱交換して冷却された循環液と、閉路内を循環する発熱源から排出された冷却対象の温水とが非接触で熱交換する熱交換器を備えるので、当該熱交換器内で循環液と閉路内の冷却対象の温水とを非接触で熱交換させ、当該閉路内の温水を冷却して冷水とし、当該冷水を発熱源に循環的に供給して発熱源の冷却に用いる形態の密閉型冷却塔として良好に利用することができる。
以下、本発明の開放型冷却塔1(冷却塔の一例)の実施形態を、図1から図5に基づいて説明する。図1は、本発明の冷却塔の概略斜視図であり、図2は、本発明の開放型冷却塔1の概略構成を示す概念図である。図3は、充填材5の概略斜視図であり、図4は、乾式熱交換器6の概略斜視図であり、図5は、乾式熱交換器6の断面視図である。
本発明の開放型冷却塔1は、図1及び図2に示すように、塔体2内に導入された外部空気Aが当該塔体2の側方2a(入口の一例)から上方2b(出口の一例)に流通可能な空気流通路3と、空気流通路3において外部空気Aを塔体2の側方2aから導入し塔体2の上方2bに排出させる排出手段4と、排出手段4により上流側から導入された外部空気Aと塔体2の上部2cから供給される循環液Cとを接触させて熱交換する充填材5と、を備える。
さらに、本発明の開放型冷却塔1は、図1及び図2に示すように、空気流通路3において塔体2の側方2aより下流側で充填材5よりも上流側に、塔体2の側方2aから導入された外部空気Aと塔体2の上部2cから供給された循環液Cとを非接触で熱交換させる乾式熱交換器6を備える。
なお、本実施形態における開放型冷却塔1は、循環液Cは吸収式冷凍機8(発熱源の一例)から排出された冷却対象の温水であり、当該循環液Cが充填材5において外部空気Aと直接接触して熱交換する形態が採用されている。
まず、本発明の開放型冷却塔1の各構成について説明する。
塔体2は、概略直方体形状に形成された筐体からなる。
塔体2の側方2a(図1及び図2では、4つの側方面のうちの対向する2面)には、複数のルーバ7が設けられ、外部空間から外部空気Aを導入可能な隙間が形成されている。また、塔体2の上方2bには、排出手段4が(図2に示すように、側面視で塔体2の中央側位置に)設けられ、外部空気Aを塔体2の上方2bから外部空間に排出可能に構成されている。したがって、塔体2の内部には、外部空間から塔体2内に導入された外部空気Aを塔体2の側方2aから上方2bに流通可能な空気流通路3が形成されている。
さらに、塔体2の上部2cには、吸収式冷凍機8から排出された温水(循環液C)を貯留し、散水可能な散水槽9が(図2に示すように、正面視で塔体2の側方側位置に)一対設けられ、当該貯留された温水(循環水C)を充填材5及び乾式熱交換器6に散水することが可能に構成されている。塔体2の下部2dには、充填材5及び乾式熱交換器6に散水された温水(循環液C)を貯留する下部水槽10が設けられている。また、吸収式冷凍機8と塔体2との間には循環液Cの流通可能な循環液流通回路11が形成され、吸収式冷凍機8から排出された温水(循環液C)を塔体2の上部2cに供給し、当該塔体2内で冷却された冷水(循環液C)を下部水槽10から再度吸収式冷凍機8に供給可能に構成されている。
空気流通路3は、上述の通り、塔体2内に導入された外部空気Aが当該塔体2の両側の側方2aから上方2bに(図2に示すように、正面視でそれぞれ概略L字状に)流通可能に形成されており、当該空気流通路3には上流側から下流側に、ルーバ7、後述する乾式熱交換器6、充填材5、排出手段4が記載順に配置されている。なお、当該空気流通路3において乾式熱交換器6と充填材5との間には、乾式熱交換器6から排出され充填材5に導入される前の外部空気Aの温度を計測可能な公知の第1温度センサ12が設けられている。
排出手段4は、外部空間から外部空気Aを塔体2の側方2aを介して空気流通路3に導入し、導入された外部空気Aを塔体2の上方2bから外部空間に排出することが可能に構成されている。例えば、排出手段4として、電動モータ17a(排出量調整手段の一例)からVベルト(ベルト防護カバー17b内に配設されている)を介して伝達された駆動力により回転駆動する排出ファン4aが用いられる。この排出ファン4aが回転駆動することにより、空気流通路3内に外部空気Aを導入し、空気流通路3内から外部空気Aを排出することができる。なお、後述する制御手段16が電動モータ17aの出力を制御することにより、排出ファン4aの回転速度を調整して、外部空気Aの排出量を調整可能とされている。
充填材5は、外部空気Aと温水(循環液C)との間で熱交換を行わせることができる熱交換器により構成される。例えば、図3に示すように、充填材5は、長方形状で板状のプレート5aの複数が相互に所定の間隔をあけた状態で並行に配置されて、当該プレート5aの隣接間に塔体2の側方2aから導入された外部空気A及び塔体2の上部2cの散水槽9から散水された温水(循環水C)をそれぞれ直交するように通過させ、それぞれを直接接触させて熱交換することが可能に構成されている。そして、プレート5aの表裏面には温水(循環液C)が当該プレート5aの表裏面に留まり、外部空気Aとの接触時間を長くするための溝5b(図3では上下方向に形成されたジグザグ状の溝)が形成されている。また、プレート5aの表裏面には、各プレート5a同士を連結固定する凸部5c及び凹部5dが当該プレート5aの長手方向においてそれぞれ交互に配設され、短手方向においてもそれぞれ交互に配設されている。プレート5aに配設された凸部5cが他のプレート5aに配設された凹部5dに挿入されることにより、両プレート5a同士は固定され、このようにして複数のプレート5aが固定されて充填材5が形成される。なお、当該プレート5aの材質としては、特に限定されないが、耐蝕性及び軽量化等の観点から塩化ビニル樹脂等の樹脂材料を用いることが好ましい。
乾式熱交換器6は、外部空気Aと温水(循環液C)との間での熱交換を、非接触で(間接的に)行わせることができる乾式の熱交換器により構成される。
例えば、図5に示すように、乾式熱交換器6は、その内部に外部空気Aが通過する空気路61と、温水(循環液C)が通過する循環液路62とが形成されており、外部空気Aと温水(循環液C)との間での熱交換を非接触で行わせることができるように構成されている。なお、外部空気Aは図5の紙面表裏方向に流通し、循環液Cは図5の上下方向に流通する。
すなわち、図4に示すように、乾式熱交換器6は、温水(循環液C)の落下に抵抗を付すとともに接触面積の増大を図るため波状に形成された一対の薄板6a,6bを一単位6cとし、図5に示すように、当該一単位6cを複数並行に配置することにより形成されている。また、図4に示すように、一対の薄板6a,6bは、上下端面x,x及び左右端面y,yがそれぞれ直線状に形成されている。この一対の薄板6a,6b(一単位6c)において、上下端面x,xは互いに離間する方向に拡開しており、左右端面y,yは互いに接近する方向に延出するように形成されている。したがって、図4及び図5に示すように、この一対の薄板6a,6b(一単位6c)において左右端面y,yは互いに接触して、左右方向において密閉される。これにより、この一対の薄板6a,6b(一単位6c)において上下方向に温水(循環液C)が通過可能な循環液路62が形成される。一方、図4及び図5に示すように、一対の薄板6a,6b(一単位6c)において上下端面x,xは互いに接触しないが、これら薄板6a,薄板6bはそれぞれ他の一対の薄板6a,6bの上下端面x,xと接触して上下方向において密閉される。これにより、一対の薄板6a,6b(一単位6c)と他の一対の薄板6a,6b(一単位6c)との間に、左右方向で外部空気Aが通過可能な空気路61が形成される。
すなわち、乾式熱交換器6は、一対の薄板6a,6bを複数並行に所定の間隙を維持して配置し、その間隙を交互に上下端及び左右端を閉塞し、上下端を開放した空間を循環液路62とし、左右端を開放した空間を空気路61とするように構成されている。なお、薄板6a,6bの表裏面には温水(循環液C)が当該プレート5aの表裏面に留まり、外部空気Aとの接触時間を長くするための溝6d(図4では上下方向に形成された斜線状の溝)が形成されている。また、当該薄板6a,6bの材質としては、特に限定されないが、耐蝕性及び軽量化等の観点から塩化ビニル樹脂等の樹脂材料を用いることが好ましい。
発熱源は、熱を排出して冷却する必要がある機器であればよく、例えば、温水(循環液C)を排出し、本願に係る開放式冷却塔1から供給される冷却された冷水(循環液C)を利用する吸収式冷凍機8から構成される。吸収式冷凍機8では、当該冷水(循環液C)と熱交換する熱交換器により冷熱を冷却用途に利用できるように構成されている。
散水槽9は、図1、図2、図5に示すように、吸収式冷凍機8から排出された温水(循環水C)を貯留可能な水槽からなり、塔体2の上部2cに設けられる。散水槽9は、その底部に複数の散水孔9aが設けられ、塔体2内に配設された充填材5及び乾式熱交換器6に塔体2の上部2cから温水(循環水C)を散水可能に構成されている。なお、散水槽9は、充填材5へ散水可能な充填材用散水槽9bと乾式熱交換器6へ散水可能な乾式熱交換器用散水槽9cとに区画されている。
下部水槽10は、充填材5及び乾式熱交換器6から排出(滴下)した冷却された冷水(循環液C)を塔体2の下部2dに貯留し、この冷水(循環液C)を吸収式冷凍機8に供給することができるように構成されている。なお、この下部水槽10には、貯留されている冷水(循環液C)の温度を測定可能な公知の第2温度センサ13が設けられている。
循環液流通回路11は、吸収式冷凍機8から排出された温水(循環液C)を塔体2の上部2cに設けられた流量調整弁14(流量調整手段の一例)を介して散水槽9に貯留し、当該散水槽9の散水孔9aから散水して充填材5及び乾式熱交換器6に散布できるように構成されている。さらに、当該循環液流通回路11は、充填材5及び乾式熱交換器6から塔体2の下部2dに滴下して下部水槽10に貯留された冷却済みの冷水(循環液C)を、公知の電動ポンプ15により吸引して吸収式冷凍機8に循環的に供給できるように構成されている。なお、吸収式冷凍機8から排出された温水(循環液C)の温度は、例えば、30℃程度以上、好ましくは37℃程度である。
流量調整弁14は、図2に示すように、充填材用散水槽9b及び乾式熱交換器用散水槽9cに温水(循環液C)をそれぞれ供給できるように塔体2の上部2cに複数設けられている。この流量調整弁14は、制御手段16からの制御により吸収式冷凍機8から排出された温水(循環液C)を充填材用散水槽9bに流量調整して供給可能な流量調整弁14bと、当該温水(循環液C)を乾式熱交換器用散水槽9cに流量調整して供給可能な流量調整弁14aとから構成されている。すなわち、これら流量調整弁14a,14bは、それぞれ充填材5又は乾式熱交換器6に供給される温水(循環液C)の比率を適切に調整可能に構成されている。
制御手段16は、CPU、メモリ、記憶装置等からなり、当該CPUにより所定のプログラムを実行して情報を処理することができる公知の情報処理手段からなる。制御手段16は、開放型冷却塔1を構成する各機器から出力情報を取得したり、当該各機器に対し制御指令を送信することができる。具体的には、制御手段16は、各流量調整弁14に対する温水(循環液C)の流量調整のための指令、電動モータ17aに対する排出ファン4aによる外部空気Aの排出量調整のための指令、電動ポンプ15に対する冷水(循環液C)の送出量調整のための指令等を送信することができる。また、第1温度センサ12及び第2温度センサ13からの出力温度情報等を取得することができる。
制御手段16は、これら出力温度情報に基づいて、第1温度センサ12及び第2温度センサ13からの出力温度情報がそれぞれ所定の温度となるように、各流量調整弁14に対し流量調整指令及び電動モータ17aに対し排出量調整指令を送信することができるように構成されている。すなわち、制御手段16は、乾式熱交換器6から排出され充填材5に導入される前の外部空気Aの温度を循環液Cが凍結しない所定の温度(例えば、5℃以上、好ましくは、5℃程度)に調整することができ、充填材5から排出され下部水槽10に貯留された冷水(循環液C)の温度を吸収式冷凍機8で有効に利用可能な温度(例えば、28℃から32℃程度)に調整することができる。
本発明に係る開放型冷却塔1は上記構成を備えるが、特に、乾式熱交換器6が、空気流通路3において塔体2の側方2aより下流側で充填材5よりも上流側に設けられ、かつ、塔体2の側方2aから導入された外部空気Aと塔体2の上部2cから供給された循環液Cとを非接触で熱交換させることができるように構成されている。
これにより、後述するように開放型冷却塔1の運転時において、外部空気Aの温度が循環液Cの凍結する温度程度より低下している場合であっても、外部空気Aの温度を循環液Cの凍結する温度程度よりも上昇させた状態で充填材5に通過させ、空気流通路3における充填材5の上流側において循環液Cの凍結を良好に防止して、開放型冷却塔1の運転を継続的に行うことができる。
以下に、上記構成の開放型冷却塔1の運転方法について説明する。
吸収式冷凍機8から運転(吸収式冷凍機8からの温水(循環水C)の排出)が開始された旨の出力情報が制御手段16に送信されると、制御手段16は電動モータ17aに運転開始指令、各流量調整弁14に弁の開放指令、電動ポンプ15に運転開始指令を送信し、開放型冷却塔1の運転を開始する。
運転が開始されると、空気流通路3において塔体2の側方2aから上方2bに外部空気Aが流通し、当該外部空気Aが、外部空間、ルーバ7(塔体2の側方2a)、乾式熱交換器6内の空気路61、充填材5、排出ファン4a(塔体2の上方2b)、外部空間の順に通過する。また、循環液流通回路11において循環液Cが、吸収式冷凍機8、流量調整弁14、散水槽9(塔体2の上部2c)、乾式熱交換器6内の循環液路62及び充填材5、下部水槽10(塔体2の下部2d)、電動ポンプ15、吸収式冷凍機8の順に循環して流通する。
したがって、外部空間から導入された外部空気Aは乾式熱交換器6内の空気路61を通過して、散水槽9(乾式熱交換器用散水槽9c)から散水され乾式熱交換器6内の循環液路62を通過する温水(循環液C)と非接触で熱交換する。熱交換した外部空気Aは、循環液Cが凍結しない程度の温度にまで上昇した状態で、乾式熱交換器6から排出される。熱交換した循環液Cは冷水(循環液C)となり乾式熱交換器6から排出され(滴下し)、下部水槽10に貯留される。
一方、乾式熱交換器6から排出され循環液Cが凍結しない程度の温度にまで上昇した状態の外部空気Aは、充填材5に導入され、散水槽9(充填材用散水槽9b)から散水され充填材5内を通過する温水(循環液C)と直接接触して熱交換する。熱交換した外部空気Aは加熱されて充填材5から排出され、塔体2の上方2bから外部空間に排出される。熱交換した循環液Cは冷水(循環液C)となり充填材5から排出され(滴下し)、下部水槽10に貯留される。
次に、制御手段16が、乾式熱交換器6から排出され充填材5に導入される前の外部空気Aの温度を第1温度センサ12から取得し、充填材5から排出され下部水槽10に貯留した冷水(循環液C)の温度を第2温度センサ13から取得する。
制御手段16は、第1温度センサ12から取得した外部空気Aの温度が所定の温度(循環液Cが凍結しない程度の温度、例えば、5℃程度以上、本例では5℃)となるとともに、第2温度センサ13から取得した冷水(循環液C)の温度が所定の温度(吸収式冷凍機8で冷却用途に有効に利用可能な温度(例えば、28℃から32℃程度、本例では32℃))となるように、電動モータ17aの出力、各流量調整弁14の開度を繰り返し適切に調整する。
したがって、開放型冷却塔1の運転時において、外部空気Aの温度が循環液Cの凍結する温度程度より低下している場合(5℃程度より低い温度、例えば、−20℃程度)であっても、まず、外部空気Aを乾式熱交換器6に通過させることにより、外部空気Aの温度を循環液Cの凍結する温度程度よりも上昇させた状態(例えば、5℃)で充填材5に通過させることができ、空気流通路3における充填材5の上流側において循環液Cの凍結を良好に防止して、開放型冷却塔1の運転を継続的に行うことができる。
また、吸収式冷凍機8から排出された温水(循環液C、例えば、37℃程度)は冷却されて冷水(循環液C)となり下部水槽10に貯留され、この冷水(循環液C)は吸収式冷凍機8において冷却用途に有効に利用可能な温度(例えば、32℃)となっており、電動ポンプ15により吸収式冷凍機8に再度供給することで、冷却用途に有効に利用可能となる。
〔別実施形態〕
(1)上記実施形態では、吸収式冷凍機8から排出された温水を循環液Cとして塔体2内に供給し、充填材5において当該温水(循環液C)を外部空気Aと直接接触させて熱交換する開放型冷却塔1について説明した。
一方、図6に示す本別実施形態のように、吸収式冷凍機8から排出された温水(処理液H)と循環液Cとを別の流体として、当該温水(処理液H)は閉路25を流通させ、当該循環液Cは循環液流通回路23をそれぞれ流通させるように構成し、循環液Cは外部空気Aと直接接触して熱交換を行うが、温水(処理液H)は外部空気Aと直接接触して熱交換を行わない構成の密閉型冷却塔21とすることもできる。
すなわち、この密閉型冷却塔21においては、吸収式冷凍機8から排出された温水(処理液H)は密閉された閉路25内を通過する構成であるので、外部空気Aや循環液Cにより汚染されることがなく、清浄な状態の温水(処理液H)を吸収式冷凍機8において冷却に利用することが可能となる。
具体的には、基本的な構成は上記実施形態と同様であるので説明は省略するが、図6に示すように、密閉型冷却塔21には、吸収式冷凍機8から排出された冷却対象の温水(処理液H)が密閉された状態で、塔体2内の閉路用熱交換器22を通過し、公知の電動ポンプ26を介して再度吸収式冷凍機8に循環可能な閉路25が設けられている。また、密閉型冷却塔21には、塔体2内の閉路用熱交換器22から排出された循環液Cが、各流量調整弁14、散水槽9(塔体2の上部2c)、乾式熱交換器6内の循環液路62及び充填材5、下部水槽10(塔体2の下部2d)、電動ポンプ24、閉路用熱交換器22の順に循環して流通する循環液流通回路23が設けられている。
閉路用熱交換器22は、閉路25を流通する冷却対象の温水(処理液H)と循環液流通回路23を流通する循環液Cとが、当該閉路用熱交換器22内に設けられた複数の流路を相互に対向して流通することにより、非接触で熱交換することが可能な公知のプレート型熱交換器により構成されている。
したがって、外部空間から導入された外部空気Aは乾式熱交換器6内の空気路61を通過して、散水槽9(乾式熱交換器用散水槽9c)から散水され乾式熱交換器6内の循環液路62を通過する循環液Cと非接触で熱交換する。熱交換した外部空気Aは、循環液Cが凍結しない程度の温度にまで上昇した状態で、乾式熱交換器6から排出される。熱交換した循環液Cは、冷却されて乾式熱交換器6から排出され(滴下し)、下部水槽10に貯留される。
一方、乾式熱交換器6から排出され循環液Cが凍結しない程度の温度にまで上昇した状態の外部空気Aは、充填材5に導入され、散水槽9(充填材用散水槽9b)から散水され充填材5内を通過する循環液Cと直接接触して熱交換する。熱交換した外部空気Aは加熱されて充填材5から排出され、塔体2の上方2bから外部空間に排出される。熱交換した循環液Cは、冷却されて充填材5から排出され(滴下し)、下部水槽10に貯留される。
そして、下部水槽10に貯留した循環液Cは、電動ポンプ24により閉路用熱交換器22内に流入し、閉路25から閉路用熱交換器22内に流入した冷却対象の温水(処理液H)と非接触で熱交換する。
次に、制御手段16が、乾式熱交換器6から排出され充填材5に導入される前の外部空気Aの温度を第1温度センサ12から取得し、充填材5から排出され下部水槽10に貯留した循環液Cの温度を第2温度センサ13から取得する。
制御手段16は、第1温度センサ12から取得した外部空気Aの温度が所定の温度(循環液Cが凍結しない程度の温度、例えば、5℃程度以上、本例では5℃)となるとともに、第2温度センサ13から取得した循環液Cの温度が所定の温度(吸収式冷凍機8から排出された冷却対象の温水(処理液H)を、当該吸収式冷凍機8において有効に利用可能な温度(例えば、30℃から32℃程度、好ましくは32℃))にまで閉路用熱交換器22内で冷却できる温度(例えば、28℃から30℃、好ましくは30℃)となるように、電動モータ17aの出力、各流量調整弁14の開度を繰り返し適切に調整する。
したがって、密閉型冷却塔21の運転時において、外部空気Aの温度が循環液Cの凍結する温度程度より低下している場合(5℃程度より低い温度、例えば、−20℃程度)であっても、まず、外部空気Aを乾式熱交換器6に通過させることにより、外部空気Aの温度を循環液Cの凍結する温度程度よりも上昇させた状態で充填材5に通過させることができ、空気流通路3における充填材5の上流側において循環液Cの凍結を良好に防止して、密閉型冷却塔21の運転を継続的に行うことができる。
また、閉路用熱交換器22内において冷却された冷却対象の温水(処理液H、例えば、37℃程度)が吸収式冷凍機8で有効に利用可能な温度(例えば、30℃から32℃程度、好ましくは32℃)にまで冷却されて、電動ポンプ26により吸収式冷凍機8に供給され、冷却用途に有効に利用される。
(2)上記別実施形態では、制御手段16が第1温度センサ12及び第2温度センサ13の出力温度情報に応じて、電動モータ17aの出力、各流量調整弁14の開度を自動的に繰り返し適切に調整した。
一方で、本別実施形態のように、吸収式冷凍機8に供給される温水(処理液H)を吸収式冷凍機8の冷却用途に有効に用いることができる程度に確実に冷却できる構成であれば特に制限なく採用することができる。例えば、第1温度センサ12及び閉路25における閉路用熱交換器22の下流側に設置された当該閉路25内を流通する冷却対象の温水(処理液H)の温度を計測する第3温度センサ27の出力温度情報に基づいて、電動モータ17aの出力、各流量調整弁14の開度を自動的に繰り返し適切に調整することもできる。この際、第1温度センサ12から取得した外部空気Aの温度が所定の温度(循環液Cが凍結しない程度の温度、例えば、5℃程度以上、本例では5℃)となるとともに、第3温度センサ13の出力温度情報が所定の温度(吸収式冷凍機8で冷却用途に有効に利用可能な温度(例えば、30℃から32℃程度、本例では32℃))となるように、電動モータ17aの出力、各流量調整弁14の開度を繰り返し適切に調整することができる。
(3)上記実施形態では、制御手段16が、第1温度センサ12から取得した温度が所定の温度となるとともに、第2温度センサ13或いは第3温度センサ27(図示せず)から取得した温度が所定の温度となるように、電動モータ17aの出力、各流量調整弁14の開度を自動的に適切に調整した。
一方、充填材5に導入される外部空気Aの温度を循環液Cが凍結しない程度の所定の温度に上昇させ、吸収式冷凍機8に供給される温水(処理液H)を吸収式冷凍機8の冷却用途に有効に用いることができる程度に確実に冷却できる構成であれば特に制限なく採用することができる。例えば、本別実施形態のように、電動モータ17aの出力、各流量調整手段14の開度を手動で調整する構成とすることもできる。
本発明は、冷却塔の運転時において、外部空気の温度が循環液の凍結する温度程度より低下している場合であっても、空気流通路における充填材の上流側において循環液の凍結を良好に防止して、冷却塔の運転を継続的に行うことが可能な技術として有効に利用可能である。
本発明に係る冷却塔の概略斜視図 本発明に係る開放型冷却塔の概略構成を示す概念図 充填材の概略斜視図 乾式熱交換器の概略斜視図 乾式熱交換器の断面視図 本発明の別実施形態に係る密閉型冷却塔の概略構成を示す概念図
符号の説明
1 開放型冷却塔(冷却塔)
2 塔体
2a 塔体の側方(塔体の入口)
2b 塔体の上方(塔体の出口)
2c 塔体の上部
3 空気流通路
4 排出手段
4a 排出ファン
5 充填材
6 乾式熱交換器
8 吸収式冷凍機(発熱源)
9 散水槽
14 流量調整弁(流量調整手段)
16 制御手段
17a 電動モータ(排出量調整手段)
21 密閉型冷却塔(冷却塔)
22 閉路用熱交換器(熱交換器)
25 閉路
A 外部空気
C 循環液

Claims (4)

  1. 塔体内に導入された外部空気が当該塔体の入口から出口に流通可能な空気流通路と、前記空気流通路において前記外部空気を前記塔体の入口から導入し前記塔体の出口に排出させる排出手段と、前記排出手段により上流側から導入された外部空気と前記塔体の上部から供給される循環液とを接触させて熱交換する充填材と、を備えた冷却塔であって、
    前記空気流通路において前記塔体の入口より下流側で前記充填材よりも上流側に、前記塔体の入口から導入された外部空気と前記塔体の上部から供給された循環液とを非接触で熱交換させる乾式熱交換器を備えた冷却塔。
  2. 前記充填材及び前記乾式熱交換器に供給される循環液の比率を調整する流量調整手段と、前記排出手段による前記外部空気の排出量を調整する排出量調整手段とを備え、
    制御手段が、前記乾式熱交換器から排出された外部空気の温度及び前記充填材から排出された循環液の温度がそれぞれ所定の温度となるように、前記流量調整手段及び前記排出量調整手段を制御する請求項1に記載の冷却塔。
  3. 前記循環液が、発熱源から排出される冷却対象の温水である請求項1又は2に記載の冷却塔。
  4. 前記塔体内において、当該塔体の上部から供給され前記外部空気と熱交換して冷却された循環液と、閉路内を循環する発熱源から排出された冷却対象の温水とが非接触で熱交換する熱交換器を備えた請求項1又は2に記載の冷却塔。
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