JP2010082974A - エンボス付き離型紙及びエンボス付き離型紙の製造方法 - Google Patents

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Tokuyuki Shiina
徳之 椎名
Kazuyuki Takazawa
和幸 高澤
Shigeki Matsui
茂樹 松井
Kyoko Kogo
恭子 古後
Kozo Mita
浩三 三田
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Abstract

【課題】合成皮革との剥離性を向上させることが可能で、高温環境での処理を必要とする合成皮革の製造にも使用可能なエンボス付き離型紙及びエンボス付き離型紙の製造方法を提供する。
【解決手段】表面に凹凸を有するエンボス付き離型基材1と、離型基材1の表面上にCVD法により形成された剥離層2とを備える離型紙。前記剥離層が、メチル基及びエチル基の少なくとも一方を表面に残すように形成されたシリカ膜であることを特徴とする。
【選択図】図1

Description

本発明は、ウレタン樹脂を表皮層に含む合成皮革の製造に好適なエンボス付き離型紙及びエンボス付き離型紙の製造方法に関する。
合成皮革には、ポリウレタンレザー、セミ合皮、塩化ビニルレザー(PVCレザー)などがあり、これらは離型紙を用いて作製される。例えば、ポリウレタンレザーを製造する場合は、離型紙上にペースト状のポリウレタン樹脂を塗工し、90〜140℃の温度で乾燥、固化させて表皮膜を形成させる。その後、2液反応型ポリウレタン系接着剤で表皮膜と基布とを貼り合わせ、40〜70℃の熟成室内で2〜3日反応させる。最後に、反応物から離型紙を剥がすことにより、ポリウレタンレザーを得る。
ポリ塩化ビニルレザーを製造する時は、離型紙上にポリ塩化ビニルゾルを塗工し、200〜250℃で加熱してポリ塩化ビニルゾルをゲル化させ、ポリ塩化ビニル発泡層を形成させる。その後、ポリ塩化ビニル発泡層に基布を貼り合わせ、離型紙を剥離する。セミ合皮を製造する時は、例えば、離型紙上にペースト状のポリウレタン樹脂を塗工し、乾燥、固化させて表皮膜を形成させる。その後、表皮膜上にポリ塩化ビニル発泡層を形成させて表皮膜と基布とを貼り合わせる。最後に離型紙を剥がしてセミ合皮を得る。なお、これらの合成皮革に対して天然皮革を更に貼り合わせ、スプリットレザーを製造する場合もある。
これら合成皮革の製造に使用される離型紙としては、例えば、ポリエチレン(PE)、ポリプロピレン(PP)、ポリメチルペンテン(TPX)等の樹脂を基材上に塗工し、表面をエンボス加工した離型紙が知られている。但し、PE、PP、TPX等の樹脂を用いた離型紙は、110〜180℃程度しか耐熱性を発揮しないため、200〜230℃もの高温環境での乾燥を必要とするPVCレザーの製造には使用できない。
そこで、PVCレザー等の製造に好適な離型紙として、アクリル系樹脂等の電子線硬化性樹脂を紙上に塗工した離型紙等が知られている(例えば、特許文献1参照)。
しかしながら、これらの樹脂は、表皮膜と基布との接着剤として使用される2液反応型ポリウレタン系接着剤に含まれるイソシアネートと反応するため、離型紙から合成皮革を剥離することが困難である。
特公昭63−2780号公報
上記問題点を鑑み、本発明は、合成皮革との剥離性を向上可能で、高温環境での処理を必要とする合成皮革の製造にも使用可能なエンボス付き離型紙及びエンボス付き離型紙の製造方法を提供することを目的とする。
上記目的を解決するために、本発明の態様は、表面に凹凸を有するエンボス付き離型基材と、前記離型基材の前記表面上にCVD法により形成された剥離層とを備えるエンボス付き離型紙であることを要旨とする。
本発明の他の態様は、表面に凹凸を有するエンボス付き離型基材を真空槽内に導入し、真空槽内に、Si原子とCH3基及び/又はC25を含むモノマー材料と酸素ガスを含む混合ガスを、モノマー材料100重量部に対して酸素ガスが0〜500重量部以となる割合で導入し、CVD法により、離型基材の表面上に剥離層を形成するエンボス付き離型紙の製造方法であることを要旨とする。
本発明によれば、高温環境での処理を必要とする合成皮革の製造にも使用でき、合成皮革との剥離性を向上可能なエンボス付き離型紙及びエンボス付き離型紙の製造方法が提供できる。
以下に図面を参照して、本発明の実施の形態を説明する。以下の図面の記載において、同一又は類似の部分には同一又は類似の符号で表している。但し、図面は模式的なものである。したがって、具体的な寸法等は以下の説明を照らし合わせて判断するべきものである。また、図面相互間においても互いの寸法の関係や比率が異なる部分が含まれていることは勿論である。
(エンボス付き離型紙)
本発明の実施の形態に係るエンボス付き離型紙は、図1に示すように、表面に凹凸を有するエンボス付き離型基材1と、離型基材1の表面上にCVD法により形成された剥離層2とを備える。
離型基材1としては、例えば、上質紙、クラフト紙、片艶クラフト紙、純白ロール紙、グラシン紙、及びカップ原紙などのシート上に、PE、PP、TPX、ポリエステル、ナイロン、アクリル系樹脂等の樹脂が塗工された材料等が用いられる。
剥離層2としては、例えば、表面にメチル(CH3)基及びエチル(C25)基の少なくとも一方を表面に残すように形成したシリカ膜(SiO2膜)が好ましい。CH3基及びC25基の少なくとも一方を剥離層2の表面に形成することにより、例えば、ウレタン樹脂との剥離性が向上する。なお、本実施形態に係る「メチル基及びエチル基の少なくとも一方を表面に残すように形成したシリカ膜」は、Si原子に直接結合したメチル基を含む材料を用いて、CVD法により成膜することにより製造が可能である。CVD法における成膜条件等は後述する。
剥離層2の表面上に残存するCH3基及びC25基の存在は、IR分光測定器を用いて確認できる。即ち、IR分光スペクトルで1280cm--1付近に現れるピークが、Si−CH3伸縮振動に起因するものである。そのため、1280cm--1付近に現れるピークの存在により、メチル基の存在が確認できる。
図2は、剥離層2を、CVD法を用いて成膜した場合における成膜時の原料ガスのモノマー材料と酸素の比を、モノマー材料100重量部に対して酸素ガスが500重量部とした場合の例を表すグラフである。図3は、モノマー材料100重量部に対して酸素ガスが1000重量部とした場合の例を示すグラフである。図2の場合は、1280cm--1付近のピークが非常に大きいことから、表面上にメチル基が存在していることがわかる。一方、図3の場合は、1280cm--1付近のピークが確認できないことから、表面上にはメチル基が残存していないことが推測される。
剥離層2の膜厚Tとしては、1nm(10Å)以上であるのが好ましい。剥離層2の膜厚Tを1nmより薄くすると、剥離層2が連続膜として存在しなくなるため、剥離が難しくなる。一方、膜厚を100nmより厚くすると、生産性の観点から好ましくない上、エンボス形状が損なわれる場合も考えられる。エンボス付き離型紙を繰り返し利用するためには、膜厚Tを1〜100nm程度とするのが好ましい。
剥離層2の表面は、ジヨードメタンに対する接触角が60°以上、更には60°〜65°程度を示すのが好ましい。剥離層2の表面の接触角を60°以上にすることにより、離型基材1の表面に形成された繊細な模様を、合成皮革の表皮層の表面上に再現性よく付与できるようになるとともに、合成皮革から離型紙を剥がす際の剥離性が向上する。なお、接触角の評価は、θ/2法にて、液滴の左右端点と頂点を結ぶ直線の、固体表面に対する角度から接触角を求めた。
(エンボス付き離型紙の製造方法)
実施の形態に係るエンボス付き離型紙を製造するためには、例えば、まず表面に凹凸を有するエンボス付き離型基材1を真空槽内に導する。そして、真空槽内に、Si原子とCH3基及びC25のいずれかを少なくとも含むモノマー材料と、酸素ガスを含む混合ガスを一定割合で導入し、CVD法により表面上に剥離層2を形成する。
剥離層2の形成に用いられるモノマー材料としては、シリコン(Si)原子に直接結合したCH3を含むモノマー材料、例えば、ヘキサメチルジシロキサン(HMDSO)、テトラメチルジシロキサン(TMDSO)、オクタメチリシクロテトラシロキサン、メチルシラン、ジメチルシラン、トエリメチルシラン、テトラメチルシラン、エチルシラン等が好ましく用いられる。
他のモノマー材料としては、有機化合物であって常温で適当な蒸気圧を持ち、CVD法を実施することが可能な材料であればどのような材料でもよい。よって、例えばC38基などの炭素数が3以上の官能基をもつ材料を用いてCH3基及びC25のいずれかを少なくとも含むシリカ膜(剥離層2)をCVD法により製造することも理論的には可能と考えられる。しかし、現実にはこれらの材料は蒸気圧が非常に低いため、シリカ膜の作成が困難である。
本実施形態に係る剥離層2を形成する場合には、モノマー材料のうちでも特に、HMDSO、TMDSO、オクタメチルシクロテトラシロキサンを用いるのが好ましい。これらのシロキサン材料は、ウレタン易剥離性を発現するCH3基が、結合が切れやすいSi−O結合やO−C結合を介してではなく、直接Si原子と結合しているため、膜中に安定して取り込まれやすくなるからである。
混合ガスとしては、例えば酸素ガスが用いられる。酸素ガスの代わりに、オゾンガスや笑気ガス(N2Oガス)などを使用することも可能であるが、成膜効率やコストの面から、酸素ガスを用いるのが最も好ましい。なお、混合ガス中に、モノマー材料を効率よく真空槽中に導入するためのガス(キャリアガス)や、プラズマを発生させたりプラズマを増強させたりする目的のガスを増強して導入することも、必要に応じて行ってもよい。
CVD法には、熱CVD法や光CVDなどいくつかの方法がある。本発明の目的とするウレタン易剥離性を考慮すれば、低温成膜が可能で材料の利用効率が高いプラズマCVD法を採用するのが好ましい。
プラズマCVD法として最も一般的な方法は、平行平板電極間に13.56MHzの電界を印加する方式である。すなわち、真空槽内に原料ガスを導入することで一定圧力(例えば、50mTorr)に維持し、真空槽内に設置した平板電極と該平板電極と平行に対向して設置したアース電極との間に13.56MHzのRF交流電圧を印加する。例えば、500cm2の電極面積に対して300Wの電力を投入することで、グロー放電プラズマを発生させ、そのプラズマ流を利用することで原料ガスを化学的に反応させることにより、シリカ膜からなる剥離層2が形成可能である。剥離層2を形成させるための離型基材1は、通常、アース電極の表面に設置するが、RF電力を印加する平板電極側に設置してもよい。
本実施形態においては、13.56MHzのRF交流電圧を印加する代わりに、より低い周波数(40kHzや50kHzなど)を印加したり、より高い周波数(2.45GHzなど)を印加することも可能である。また、直流電圧を印加してもよい。平板電極の代わりに、ガスの吹き出しによりプラズマ流を発生させるようなホローカソード電極を利用したり、外部コイルから誘導プラズマを発生させたりすることも可能である。磁界を用いたり、ECR共鳴現象(電場と磁場とを適切に調節することで、プラズマ中の電子をサイクロトロン共鳴させる現象)を用いたりして、プラズマ密度を高めたりすることも可能である。
CVD法の成膜条件には、CVD法の方式(投入電力周波数、電極構造など)以外にも、投入電力、ガス流量、成膜圧力、電極間距離など様々なパラメータがあるが、ウレタン剥離性に影響を持つのは、成膜時におけるモノマー材料と酸素ガスの流量比である。即ち、酸素に対してモノマー材料が多く供給される場合には、反応しきれないCH3基が剥離層中に残存するため、高いウレタン易剥離性を発現する。一方、十分な酸素が供給された場合には、CH3基がすべて分解されるため、膜中にCH3基が存在しなくなる。その結果、ジヨードメタンに対する接触角が小さくなり、ウレタン樹脂との剥離性が悪くなる。
原料としてHMDSOを用いた場合において、原料がすべてSiO2とCO2、H2Oになる理想状態を想定した場合は、HMDSOが100重量部に対して酸素ガスが1000重量部の流量比が必要である。しかしながら、このような流量比でCVD法を実施しても、現実的にはメタノール(CH3OH)やホルムアルデヒド(HCHO)などの中間反応物が生成されたり、材料自体が排気されたりする場合がある。また、反応できなかった酸素が排気される場合もあるため、CVD法に必要とされるモノマー材料と酸素ガスの流量比は化学式通りにはならない。
本発明者らは、種々の実験結果に基づき鋭意検討した結果、エンボス付き離型基材1上に剥離層2をCVD法により形成する場合には、モノマー材料の流量100重量部に対して酸素ガスの流量が500重量部である場合において、ジヨードメタンに対する接触角が60°の防湿性を出すのに必要な剥離層2となることを見出した。酸素ガスの流量は、500重量部より増加させれば、接触角の値が小さくなり、酸素ガスの流量を500重量部より減少させれば、接触角の値が大きくなることも見いだした。
表1に、モノマー材料と酸素ガスの流量比に関連して得られたシリカ膜のジヨードメタンに対する接触角についての評価結果を示す。表1において「ウレタン易剥離性」の評価は、表1に示す組成のポリエステル系ポリウレタン樹脂組成物を調整し、離型紙に乾燥厚み20μになるようにナイフコーターで塗布し、160℃で1分間熱風乾燥してウレタン表皮層を形成し、このウレタン表皮層上に接着剤層として、表2に示す2液硬化型ポリエステル系ポリウレタン接着剤を乾燥厚みが40μとなるようにナイフコーターで塗布し、更に、基布を貼り合せ130℃、5分乾燥、更に、40℃、48時間熟成して接着剤を反応固化させた後、離型紙とウレタン表皮層との剥離強度(測定幅15mm幅、90°剥離)を測定し、100g/15mm幅以上の場合を×、50g以上100g/15mm幅未満の場合を○として評価したものである。なお、接触角の評価は、θ/2法にて、液滴の左右端点と頂点を結ぶ直線の、固体表面に対する角度から接触角を求めた。
Figure 2010082974
Figure 2010082974
Figure 2010082974
表3に示すように、モノマー材料と酸素ガスの流量比を100:500にした場合は、ジヨードメタンの接触角が60°以上となり、表皮膜として使用されるウレタン樹脂との剥離性が向上する。また、ウレタン易剥離性は、流量比を100:100とすることにより更に向上し、酸素ガスを流さない場合(流量比100:0)においても、好適な効果が得られていることが分かる。
実施の形態に係るエンボス付き離型紙の製造方法によれば、モノマー材料と酸素ガスの流量比を一定範囲に制御しながら、離型基材1の表面上に例えば膜厚約1〜100nmの剥離層2をCVD法により形成する。剥離層2は、表面にCH3基および/またはC25基を有しているため、合成皮革の表皮層として用いられるウレタン樹脂から離型紙を容易に剥離させることができる。CVD法により形成された剥離層2としてのシリカ膜は、230℃以上の高温条件下でも耐熱性を有するため、ポリウレタンレザーの他にも、高温環境での処理を必要とする合成皮革、例えばセミ合皮、PVCレザー等の様々な種類の合成樹脂の製造にも適用可能であり、汎用性の高いエンボス付き離型紙が製造できる。
なお、CVD法による蒸着方法の他に、PVD法による蒸着方法も考えられる。しかしながら、PVD法では、蒸着時にカーボン(メチル基)の導入が難しいため実用的ではない。
(合成皮革の製造方法)
実施の形態に係るエンボス付き離型紙を用いて合成皮革を製造する際は、一例としてあげると、図4に示すように、まず、剥離層2上に、ウレタン樹脂及び着色剤等を含む溶融樹脂の塗料を塗工し、剥離層2上に表皮層3を形成する。図5に示すように、表皮層3上に基布等の内皮シート4を貼り合わせた後、表皮層3を硬化させる。その後、図6に示すように、表皮層3を剥離層2から剥離させることにより、内皮シート4及び内皮シート4上に配置された表皮層3を備えた合成皮革5が得られる。
実施の形態に係る合成皮革の製造方法によれば、表皮層3中のウレタン樹脂と剥離層2との剥離性を高くすることができるので、同一の離型紙を何度も繰り返して利用することができる。その結果、製造コストを低く抑えることができるので、合成皮革の生産性を高くできる。
(エンボス付き離型紙の第1の例)
実施の形態に係るエンボス付き離型紙の第1の例を図7に示す。なお、図7は一例であり、他にも種々の態様が存在することは勿論である。図7に示すエンボス付き離型紙は、表面に凹凸を有するエンボス付き離型基材1と、離型基材1の表面にCVD法により形成された剥離層2とを有し、離型基材1が、支持シート11と、支持シート11上の中間層12と、中間層12上のエンボス層13と、エンボス層13とを備えている。
支持シート11としては、上質紙、クラフト紙、片艶クラフト紙、純白ロール紙、グラシン紙、及びカップ原紙などの非塗工紙、アート紙、コート紙、キャストコート紙等の無機顔料塗工層が塗工された塗工紙、及び天然パルプを用いない合成紙等が使用可能である。
例えば、図7に示すエンボス付き離型紙が200℃未満の環境で使用される場合は、支持シート11として、硫酸アルミニウム等の定着剤及びロジン系サイズ剤を用いて抄紙された酸性紙を使用してもよい。図7に示すエンボス付き離型紙が200℃以上の環境で使用される場合は、硫酸アルミニウムを定着剤として使用しない中性ロジン系サイズ剤、あるいはアルキルケテンダイマー(AKD)及びアルケニル無水琥珀酸(ASA)等の中性サイズ剤を用いて抄紙された中性紙を支持シート11として使用可能である。また硫酸アルミニウムを使用し、pH6〜pH9で抄紙された中性紙も使用可能である。
また、支持シート11中に、カチオン性のポリアクリルアミド及びカチオン性デンプン等の定着剤、製紙用各種填料、歩留向上剤、乾燥紙力増強剤、湿潤紙力増強剤、結合剤、分散剤、凝集剤、可塑剤、及び接着剤等を含んでいてもよい。支持シート11は、耐薬品性を有していてもよい。
中間層12は、耐熱性を有するアクリル系樹脂、並びにポリエステル系樹脂、ポリアミド系樹脂や、ポリエチレン、ポリプロピレン、及びポリメチルペンテン等のポリオレフィン系樹脂、並びにシリコーン系樹脂、アミノアルキッドを含むアルキッド系樹脂等を含む。例えば、図7に示すエンボス付き離型紙が200℃未満の環境で使用される場合は、中間層12としては、ポリプロピレン系樹脂を含んでもよい。その場合、中間層12は、プロピレンを主成分とし、プロピレンと、エチレン、ブテン、ペンテン、ヘキセン、オクテン、及び4-ポリメチルペンテン-1等のα-オレフィンとの共重合体を含んでいてもよい。図7に示すエンボス付き離型紙が200℃以上の環境で使用される場合は、中間層12は、融点の高いポリメチルペンテン系樹脂を含んでもよい。ポリメチルペンテン系樹脂の例としては、4-メチル-1-ペンテン等がある。その他、ポリメチルペンテン系樹脂の例としては、4-メチル-1-ペンテンを主成分とし、4-メチル-1-ペンテンと、エチレン、プロピレン、1-ブテン、1-ヘキセン、1-オクテン、1-デセン、1-テトラデセン、及び1-オクタデセン等の炭素数2から20のα-オレフィンとの共重合体がある。
中間層12の表面は、エンボス層13との接着密度を向上させるための表面処理が施されていてもよい。表面処理の例としては、フレーム処理、コロナ放電処理、オゾン処理、酸素ガス若しくは窒素ガス等を用いた低温プラズマ処理、大気圧プラズマ処理、グロー放電処理、及び化学薬品等を用いて処理する酸化処理等がある。なお、中間層12の膜厚は、例えば3μmから40μm、好ましくは5μmから20μmとすることができる。なお、中間層12を発泡層とすることにより、上層のエンボス層13に凹凸が形成されやすくなる上、中間層12の厚みを厚く制御することもできる。
エンボス層13は、電離放射線又は紫外線で硬化される樹脂を含む。電離放射線又は紫外線で硬化される樹脂とは、イソシアネート化合物と、アクリロイル基を有しイソシアネート化合物と反応させた造膜製を有するポリウレタンアクリレート化合物に電離放射線又は紫外線を照射して形成されるポリウレタンアクリレート化合物等の樹脂を指す。
エンボス層13上には、CVD法による剥離層2を形成した後、熱エンボス加工により、深い溝パターン3aと浅い溝パターン3bが形成されている。エンボス層13上にCVD法により形成された剥離層2が配置されることにより、後述する図8の製造装置を用いて離型基材の最表面をエンボス加工する場合に、離型基材がエンボス加工装置(エンボスロール)に付着しないため、剥離が容易になる。
第1の例に係るエンボス付き離型紙によれば、離型基材1の表面上に膜厚約1〜100nmの剥離層2が形成されるため、合成皮革の表皮層として用いられるウレタン樹脂から離型紙を容易に剥離させることができるとともに、200℃以上の高温条件下においても耐熱性を有し、汎用性の高いエンボス付き離型紙が製造できる。また、図7の離型基材1は、CVD法により形成された剥離層2が配置されているので、エンボス加工時に、離型基材1がエンボス加工装置(エンボスロール)に付着しないため、剥離が容易になる。
図7に示すエンボス付き離型紙の製造に利用可能な製造装置の例を図8に示す。図8に示す製造装置は、離型基材1に形成された表面の凹凸(溝パターン3a,3b)を熱エンボス加工によって形成する装置の一例を示している。
図8に示す製造装置は、支持シート11に中間層12が押出しコーティングされたシート17を巻き出す巻き出し部20と、シート17の中間層12上にエンボス層13として電離放射線又は紫外線を照射して硬化形成される造膜性を有するポリウレタンアクリレート等の樹脂を主成分とするコーティング材料22を塗工するコーティング部21と、コーティング後のシート17を乾燥する乾燥炉23と、CVD法により、実施の形態に係る剥離層2を形成するCVD装置28と、表面にエンボス加工を施す第1のエンボス部24a、第2のエンボス部25bと、エンボス層が形成されたシート17に紫外線又は電子線を照射させる照射装置26とシート17を巻き取り部29とを備える。
なお、図8では、コーティング部21、乾燥炉23、エンボス部24a、24b、照射装置26、CVD装置28を、連続する一つの装置として説明しているが、それぞれの作業を連続的に行わない別の装置を用いてもよいことは勿論である。
(実施例)
支持シート11として紙基材(紙坪量125g/m2、中性紙)の片面に、中間層12としてポリプロピレン(厚み35μm、プライムポリマー社製J226E)を押出しコーティングした後、接着密度を向上させるための表面処理としてコロナ放電処理を行った。次に、中間層12上にエンボス層13として、造膜製を有するポリウレタンアクリレート化合物をグラビアコーターにより5g/m2塗工し、離型基材1を作製した。更に、エンボス層13の上部の剥離層2は、次の方法により形成した。すなわち、平行平板型プラズマCVD装置PE401(アネルバ(株)製)内に本発明の実施の形態に係る離型基材1を載置し、成膜前の到達真空度を0.02mTorrとし、Arガスをキャリアーガスとし、原料ガスとして酸素、HMDSO(ヘキサメチルジシロキサン)を室温でバブリングし、装置内に供給した。
酸素ガスの流量は、0.0sccm、またモノマーの流量が6.0sccmとなるようにArガス流量を調節した。成膜圧力が50mTorrとなるように、コンダクタンスバルブを調節した。
100W、13.56MHzの電力を、上部平板電極と下部アース電極の間に印加することによりプラズマを生成した。離型基材1は、下部アース電極上に設置し、シリカ膜を成膜した。成膜時間は10分とした。成膜室内に同時にシリコンウェハを置き、エリプソメトリー法で膜厚を測定し、約100nmのシリカ膜が形成されたことを確認した。メチル基の存在は、IR分光法により確認した。評価方法はジヨードメタンに対する接触角により評価した。
比較のために、酸素ガス流量30sccm、モノマー流量を3.0sccmとし、表面にメチル基が残存しない膜を作成して評価した。その結果、前者の接触角は65.1度であるのに対して、後者の接触角は、53.0度であった。
CVD法に使用された装置は、真空巻取り装置を使用した。チャンバの到達圧力を0.05Torrとし、チャンバ内に酸素ガスおよびHMDSOからなる原料ガスを導入し、45mTorrの圧力にした。導入した原料ガスの流量は、酸素ガスが0slm、HMDSOが2slmであった。HMDSOは80℃に加熱したガス供給系を使用し、キャリアーガスを使用しなかった。成膜ドラムは離型基材1の熱ダメージをなくすため、−10℃に冷却した。成膜ドラムに対向した位置にある平板電極(成膜ドラムからの距離3cm、電極の面積70cm×20cm)に13.56MHzのRf交流電圧を印加し(1.5kW)、電気的にアースされた成膜ドラムとの間でプラズマを作成し、離形基材1上に成膜を行った。フィルムの走行速度は30m/分であった。
CVD法により剥離層2を形成した後、ロールエンボス機を用い、120℃、5MPaの圧力で表面上にエンボス加工を施した。剥離性の結果は、表1、表2による組成のウレタン易剥離性評価で、表3による接触角65.1の場合と53.0の場合の結果である。
このように、本発明は実施の形態によって記載したが、この開示の一部をなす記述及び図面はこの発明を限定するものであると理解するべきではない。この開示から当業者には様々な代替実施の形態、実施例及び運用技術が明らかになろう。本発明はここでは記載していない様々な実施の形態等を包含するということを理解すべきである。したがって、本発明はこの開示から妥当な特許請求の範囲の発明特定事項によってのみ限定されるものである。
本発明の実施の形態に係るエンボス付き離型紙の断面図である。 成膜時の原料ガスのモノマー対酸素の流量比が重量部で100:500である場合のIR分光スペクトルを示すグラフである。 成膜時の原料ガスのモノマー対酸素の流量比が重量部で100:1000である場合のIR分光スペクトルを示すグラフである。 本発明の実施の形態に係る合成皮革の製造方法を説明する断面図である。 本発明の実施の形態に係る合成皮革の製造方法を説明する断面図である。 本発明の実施の形態に係る合成皮革の製造方法を説明する断面図である。 本発明の実施の形態に係るエンボス付き離型紙の第1の例を示す断面図である。 本発明の実施の形態に係るエンボス付き離型紙の製造装置の一例を示す概略図である。
符号の説明
1…離型基材
2…剥離層
3…表皮層
4…内皮シート
5…合成皮革
11…支持シート
12…中間層
13…エンボス層
17…シート
28…CVD装置

Claims (5)

  1. 表面に凹凸を有するエンボス付き離型基材と、
    前記離型基材の前記表面上にCVD法により形成された剥離層と
    を備えることを特徴とするエンボス付き離型紙。
  2. 前記剥離層が、メチル基及びエチル基の少なくとも一方を表面に残すように形成されたシリカ膜であることを特徴とする請求項1に記載のエンボス付き離型紙。
  3. 前記剥離層の膜厚が1nm以上であり、前記剥離層の前記表面のジョードメタンに対する接触角が60°以上であることを特徴とする請求項1又は2に記載のエンボス付き離型紙。
  4. 表面に凹凸を有するエンボス付き離型基材を真空槽内に導入し、
    前記真空槽内に、Si原子とCH3基及び/又はC25を含むモノマー材料と酸素ガスを含む混合ガスを、モノマー材料100重量部に対して酸素ガスが0〜500重量部以となる割合で導入し、
    CVD法により、前記離型基材の前記表面上に剥離層を形成することを特徴とするエンボス付き離型紙の製造方法。
  5. 前記モノマー材料が、キサメチルジシロキサン、テトラメチルジシロキサン、オクタメチリシクロテトラシロキサン、メチルシラン、ジメチルシラン、トエリメチルシラン、テトラメチルシラン、エチルシランのいずれかから選ばれる材料であることを特徴とする請求項4に記載のエンボス付き離型紙の製造方法。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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JP2020176344A (ja) * 2019-04-18 2020-10-29 中井工業株式会社 通気性シートの製造方法及び通気性シート

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