JP2010082659A - 金属シート成形用ロールおよび金属シートの成形方法 - Google Patents

金属シート成形用ロールおよび金属シートの成形方法 Download PDF

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Yasutaka Furuyui
康隆 古結
Takahiro Nishimura
卓寛 西村
Hirosato Takano
浩聡 高野
Tsuneji Nukaga
恒次 額賀
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Abstract

【課題】金属の塑性変形を利用して金属シート表面に凸部を成形できる金属シート成形用ロールおよびそれを用いる金属シートの成形方法を提供することである。
【解決手段】 同一の軸線を有する第1胴部10、第2胴部11、12および軸部13、14を含み、第1胴部10を、その表面に複数の凹部が形成されるロール部材とし、第2胴部11、12を、第1胴部10の軸線方向の両端面20a、20bから第1胴部10に離反する方向に延び、その径が第1胴部10の軸線方向端部の径よりも小さいロール部材とし、軸部13、14を、第2胴部11、12の軸線方向の端面21a、21bから第1胴部10に離反する方向に延び、その径が第2胴部11、12の径よりも小さいロール部材とし、第1胴部10と第2胴部との間に段差がある金属シート成形用ロールを用いて金属シートを加圧成形する。
【選択図】図1

Description

本発明は、金属シート成形用ロールおよび金属シートの成形方法に関する。さらに詳しくは、本発明は主に、金属シート成形用ロールの構造の改良に関する。
従来から、厚さ数十μmの金属箔の表面にミクロンオーダーの凸部を形成するには、一般的には、めっき法、エッチング法などが利用されている。しかしながら、これらの方法によってミクロンオーダーの凸部を、金属箔の表面1cm2当り数十〜数百個形成する場合には、多数の工程を有する精密加工が必要になり、操作が煩雑で、長時間を要する。それでも不良品率を十分に低くすることはできない。めっき液、エッチング液などの使用に伴って発生する廃液の処理も、問題になる。また、これらの方法によって形成される凸部は、金属箔との接合強度が十分ではなく、外部から応力が付加されると金属箔から剥落することが多い。したがって、めっき法、エッチング法などは、表面にミクロンオーダーの凸部を有する金属箔を製造する上で、工業的に有利な方法とは言い難い。
一方、一対のロールをこれらの軸線が平行になるように圧接させてニップ部を形成し、このニップ部に金属シートを通過させて、金属シートを加圧成形する技術は良く知られている。この加圧成形技術の代表例としては、鋼材の冷間圧延、熱間圧延などが挙げられる。この加圧成形技術においては、たとえば、ロールの構造、形状、材質などに関する研究が盛んに行なわれ、種々の提案がなされている。
たとえば、クレータ状の凹部と、凹部の縁に形成される盛り上がり部と、盛り上がり部の外側にある平坦部とが表面に形成され、平坦部の面積率が0.2以上である冷間圧延用ダルロールが提案されている(たとえば、特許文献1参照)。このダルロールのクレータ凹部は、鋼板表面にダル目を付け、鋼板の焼き付き、鋼板の蛇行などを防止することを目的とするものである。
したがって、このダルロールを用いても、高さ数μmの凸部を形成することはできない。すなわち、特許文献1には、厚さ数百μm〜数mmの冷間圧延鋼板の表面粗さを大きくするための技術が開示されるのみである。また、特許文献1には、ダルロールの中央部のみをクラウンロールの形状に形成するとともに、軸線方向の一端部に向けて2つの段差を形成することには、一切記載がない。
また、軸線方向の中央部から軸線方向の両端部に向けて、径が徐々に小さくなる形状を有するピンチロールが提案されている(たとえば、特許文献2参照)。このピンチロールは、厚さ4mm以上の金属シートの圧延に用いられる。たとえば、このピンチローラの表面にミクロンオーダーの凹部を形成し、2つのピンチローラを圧接させ、厚さ数十μmの金属箔の塑性変形を行なうことが考えられる。しかしながら、このピンチロールを用いて金属箔を成形しても、金属箔の表面に、所望の寸法を有する複数の凸部を均一に形成できない。さらに、ピンチロールが損傷し易くなる。
また、図6に示すロール101が提案されている(たとえば、特許文献3参照)。図
10は、ロール101の構成を模式的に示す正面図である。ロール101は、第1胴部124、急テーパ部125aおよび緩テーパ部125bを有している。第1胴部124は、ロール101の軸線方向中間に配置されるクラウンロールである。急テーパ部125aは、ロール101の軸線方向において第1胴部124の軸線方向両端に設けられ、第1胴部124との第2胴部分では第1胴部124の端部と同一径で、かつ第1胴部124から離反するにつれて径が急激に小さくなっている。また、緩テーパ部125bは、ロール101の軸線方向において急テーパ部124aの両端に設けられ、急テーパ部124aとの第2胴部分では急テーパ部124aの端部と同じ径を有し、急テーパ部124aから離反するにつれて徐々に径が小さくなっている。
ロール101は、圧延機のワークロールとして使用されている。しかしながら、ロール101も、圧接圧がヘルツ圧力で1500N/mm2未満の、一般的な金属圧延用ロールである。したがって、ロール101の表面にミクロンオーダーの凹部を形成し、金属箔の塑性変形に用いると、所望の寸法を有する凸部を形成することができない。また、ロール101が損傷するおそれもある。
特開昭63−10013号公報 特開2007−7696号公報 特開2004−50221号公報
本発明の目的は、金属の塑性変形を利用して金属シートを容易に成形できる金属シート成形用ロールおよびそれを用いる金属シートの成形方法を提供することである。
本発明者らは、上記課題を解決するための研究過程で、特許文献3のロール101に着目した。ロール101は、その軸線方向における中央部の径が最も大きく、端部に向けて径が連続的に小さくなるような形状を有している。このような形状を有するロール101に、金属箔の塑性変形に必要なヘルツ圧力で1000〜3000N/mm2という過大な圧力が付加されると、ロール101の両端部が不必要に接触し、金属箔に圧力が集中せず、所望の寸法を有する凸部を均一に形成できないとの知見を得た。
本発明者らは、上記知見に基づいてさらに研究を重ねた結果、胴部と軸部とを含むロールにおいて、胴部が第1胴部と第2胴部とからなり、第1胴部と第2胴部との間に段差があるロールを見出した。このロールを圧接させて過大な圧力を付加する場合には、第2胴部および軸部の接触が起こらず、第1胴部のみに圧力が集中することを見出した。その結果、金属シートを幅方向に均一に塑性変形させ得ることを見出した。すなわち、本発明者らは、従来の金属シート成形用ロールでは、胴部は1つの連続する面で形成されるのが技術的な常識であったところを、胴部表面に敢えて2つの段差を設ける構成を見出した。本発明者らは、これらの知見に基づいて本発明を完成するに至った。
すなわち本発明は、1つの軸線を共有第1胴部、第2胴部および軸部を有し、
第1胴部は、その表面に複数の凹部が形成されたロール部材であり、
第2胴部は、第1胴部の軸線方向の両端面から第1胴部に離反する方向に延び、その径が第1胴部の軸線方向端部の径よりも小さいロール部材であり、
軸部は、第2胴部の軸線方向の端面から第1胴部に離反する方向に延び、その径が第2胴部の径よりも小さいロール部材であり、かつ
第1胴部と第2胴部との間に段差がある金属シート成形用ロールに係る。
第1胴部は、軸線方向両端部の径が同じであることが好ましい。
第2胴部は、その軸線方向において第1胴部から離反するにつれて径が徐々に小さくなるテーパ部を含むことが好ましい。
第1胴部の軸線方向中央部の径が150mm以下であることが好ましい。
第1胴部の軸線方向中央部の径と軸線方向両端部の径との差が300μm未満であることが好ましい。
第1胴部の軸線方向両端部の径と第2胴部の径との差が150μm以上であることが好ましい。
第1胴部と2つの第2胴部との合計の軸線長さWdと、第1胴部の軸線長さWeとの比(Wd/We)が、1.05〜3であることが好ましい。
少なくとも第1胴部の凹部が形成される表層部は、超硬合金、サーメット、ハイス鋼、ダイス鋼および鍛鋼よりなる群から選ばれる少なくとも1種の高融点金属材料を含有することが好ましい。
また、本発明は、本発明の金属シート成形用ロール同士または本発明の金属シート成形用ロールと表面の平坦なロールとをそれぞれの軸線が平行になるように圧接させてニップ部を形成し、このニップ部に長尺の金属シートをその幅方向に垂直な方向に通過させて、前記金属シートを塑性変形により成形し、表面にミクロンオーダーの複数の凸部を有する金属シートを得る金属シートの成形方法に係る。
本発明の金属シート成形用ロール同士または本発明の金属シート成形用ロールと表面の平坦なロールとの圧接圧が、ヘルツ圧力で1000N/mm2〜3000N/mm2であることが好ましい。
第1胴部の軸線長さWeと、金属シートの幅Wmとの比(We/Wm)は、1〜1.5であることが好ましい。
金属シートは、厚さ10μm〜100μmの金属箔であることが好ましい。
本発明の金属シート成形用ロールを用いて金属シートを成形するに際し、ヘルツ圧力で1000N/mm2〜3000N/mm2という過大な圧力を付加しても、圧力が該ロールの両端部に分散せず、金属シートに圧力を集中させることができる。このため、金属シートの塑性変形を円滑にかつ容易に実施できる。特に、金属シートの幅方向において均一な塑性変形が起こる。その結果、金属表面に、高さ、径などの寸法および形状が均一に揃ったミクロンオーダーの複数の凸部を形成できる。
本発明のロールを用いて得られる、表面に複数の凸部が形成された金属シートは、たとえば、電池の集電体、フレキシブルプリント配線基板における金属箔または金属層、リードフレーム用の金属基板などにも好適に使用できる。
図1は、本発明の金属シート成形用ロール1の構成を模式的に示す正面図である。なお、図1においては、第1胴部10の表面に形成されている凹部15の図示を省略する。図2は、図1に示す金属シート成形用ロール1の第1胴部10表面を拡大して示す斜視図である。金属シート成形用ロール1は、第1胴部10、第2胴部11、12および軸部13、14を有している。第1胴部10、第2胴部11、12および軸部13、14は、いずれも軸線を有する円柱状構造物であり、1つの軸線を共有している。また、金属シート成形用ロール1では、第1胴部10と第2胴部11、12との間に段差を有している。
第1胴部10は、たとえば、金属シートに含有される金属材料を塑性変形させ、金属シートを成形加工する機能を有している。第1胴部10は、ロール1の軸線方向中央部に配置されるロール部材である。第1胴部10は、軸線方向両端部の径Rcが軸線方向中央部の径Rrよりも小さいクラウンロールとして構成されている。すなわち、第1胴部10の幅方向の端部は、軸線方向における一方の端部から、中央部を経て他方の端部に至るまで、中央部が突出する連続曲線で構成されている。本明細書において、径とは直径を意味する。本実施形態では、第1胴部10は、軸線方向両端部の径Rrが同じ長さである。
また、本実施形態では、第1胴部10はクラウンロールとして構成されているが、それに限定されず、たとえば、径Rcと径Rrとが等しい円柱状のロール部材であってもよい。なお、第1胴部10への圧力の集中度合などを考慮すると、第1胴部10はクラウンロールとして構成されるのが好ましい。
第1胴部10の軸線方向中央部の径Rcは、好ましくは150mm以下、さらに好ましくは30〜135mmである。径Rcが150mmを超えると、必要なヘルツ圧力を印加するために莫大な荷重が必要になる。荷重が大きくなり過ぎるとロール1が扁平化するため、ミクロンオーダーの突起を形成できないおそれがある。また、径Rcが30mm未満では、ロール1の機械的強度が不十分になり、金属成形時にロール1が破損するおそれがある。
また、第1胴部10の軸線方向中央部の径Rcと軸線方向両端部の径Reとの差(Rc−Re)は、好ましくは300μm未満、さらに好ましくは150μm以下である。Rc−Reが300μm以上であると、第1胴部10の中央部に荷重が集中し、第1胴部10の端部では荷重が不足するため、金属箔に均等な加工を施すことができないおそれがある。
第1胴部10の周面には、図2に示すように、複数の凹部15が形成されている。
本実施形態では、1つの凹部15とそれに隣り合う他の凹部15とが繋がらないように形成されているが、それに限定されず、複数の凹部15の一部が繋がって一体化されてもよい。また、複数の凸部15全体が繋がって一体化されてもよい。
また、本実施形態では、凹部15の第1胴部10周面における開口の形状は、ほぼ円形であるが、それに限定されず、ほぼ楕円形、ほぼ菱形、ほぼ正多角形などでもよい。正多角形は、好ましくは3〜8角形、さらに好ましくは4〜6角形である。
凹部15のローラ周面における開口径は特に制限されないが、好ましくは1μm〜35μm、さらに好ましくは2〜30μmである。開口径が1μm未満では、個々の凹部15の開口径をほぼ均一に揃えることが困難になる。開口径が35μmを超えると、厚さ数十μm程度の金属箔の表面加工には不向きである。また、金属箔を成形する際の圧力によって、凹部15に摩耗、変形などが発生するおそれがある。なお、開口形状がほぼ円形、ほぼ楕円形またはほぼ正多角形である場合、開口径は、その円形、楕円形または正多角形を内包する最も小さな真円の直径の長さである。開口形状がほぼ菱形である場合、開口径は、その菱形の対角線のうち、長い方の対角線の長さである。
凹部15の深さは特に制限されず、たとえば、金属箔表面に形成しようとする凸部の高さなどに応じて適宜選択できるが、好ましくは開口径の0.2倍〜1.5倍、さらに好ましくは開口径の0.3倍〜1.2倍である。凹部15の深さが開口径の0.2倍未満では、均一な大きさおよび形状を有する凸部を金属箔表面に形成できないおそれがある。また、凹部15の深さが開口径の1.5倍を超えるように形成するのが困難である。なお、凹部15の深さとは、凹部15底面の最も凹んだ地点から、凹部15の開口に存在すると仮想される第1胴部10周面に降ろした垂線の長さである。
凹部15の、第1胴部10の軸線方向におけるピッチPは、特に制限されず、各種設定値に応じて適宜選択できるが、好ましくは4μm以上、さらに好ましくは8μm以上、特に好ましくは15μm以上である。各種設定値とは、たとえば、凹部15の開口径、開口形状、第1胴部10の長さなどである。ピッチPが4μm未満では、凹部15をレーザ加工により形成する際に、凹部15同士が連結し易くなる。その結果、隣り合う凹部15を仕切るローラ1表面の面積が極端に小さくなり、金属箔を成形する際の圧力によって、凹部15間の仕切りが変形するおそれがある。なお、ピッチPの上限は第1胴部10の長さなどに応じて適宜選択できるが、一例を挙げれば30μmである。
また、凹部15の円周方向のピッチも、上記した各種設計値に応じて適宜選択可能であるが、好ましくは4μm以上、さらに好ましくは5〜20μmである。円周方向のピッチが4μm未満では、ピッチPが4μm未満になるのと同様の問題が生じるおそれがある。なお、円周方向におけるピッチの上限値は、第1胴部10の円周長さなどに応じて適宜選択できる。
本明細書において、ピッチPは、第1胴部10の軸線方向に隣り合う2つの凹部15の中心を通り、円周方向に延びる2つの平行な直線間の距離(長さ)である。円周方向のピッチは、円周方向に隣り合う2つの凹部15の中心を通り、軸線方向に延びる2つの平行な直線間の距離(長さ)である。凹部15の中心とは、凹部15の開口の中心を意味する。開口の中心とは、凹部15の開口形状がほぼ円形、ほぼ楕円形またはほぼ正多角形である場合は、その円形、楕円形または正多角形を内包する最も小さな真円の中心である。また、凹部15の開口形状がほぼ菱形である場合、2つの対角線の交点が開口の中心である。
また、凹部15の配置も特に制限されないが、たとえば、碁盤目状配置、六方最密充填配置、千鳥格子状配置などが挙げられる。
第1胴部10の周面に垂直な方向における凹部15の断面形状は、第1胴部10の周面から凹部15の底面に向けて、断面幅が徐々にまたは連続的に小さくなるテーパ形状であることが好ましい。凹部15がテーパ状の断面形状を有することによって、金属箔の加圧成形により金属箔表面に凸部を形成する際に、第1胴部10周面の凹部15と金属箔の凸部との離型性が顕著に向上し、凸部の変形などの不具合が非常に起こり難い。
第1胴部10周面における凹部15の配置は特に制限されないが、たとえば、千鳥状配置、格子状配置、六方最密充填配置などが挙げられる。また、凹部15は、たとえば、レーザ加工により形成できる。すなわち、凹部15の形成には、従来のレーザを利用した穴あけ加工法を利用できる。レーザ加工には、たとえば、ローラ回転装置、レーザ発振器、加工ヘッド、導光路、マスク部およびアクチュエータを含む一般的なレーザ加工装置を使用できる。
第2胴部11、12は、たとえば、第1胴部10を支持する機能を有している。第2胴部11、12は、第1胴部10の軸線方向の両端面20a、20bから第1胴部10に離反する方向に延び、その径Rcが第1胴部10の軸線方向端部の径Reよりも小さい2つのロール部材である。したがって、第1胴部10と第2胴部材11、12との間には、段差が形成される。
このような段差が存在すると、2つのロール1を軸線が平行になるように圧接させ、金属の塑性変形に必要な過大な圧力を付加しても、その圧力が第2胴部11、12に分散せず、第1胴部10に集中する。これにより、金属シートに含有される金属材料を効率良く塑性変形することが可能になり、金属シートの表面に所望の寸法および形状を有する複数の凸部を形成できる。また、金属シートの成形中に、2つのロール1の第2胴部11、12同士および軸部13、14同士が接触することが防止される。これにより、ロール1の破損が防止される。
第2胴部11、12の径Rrは、第1胴部10の軸線方向両端部の径Reと径Rrとの差(Rc−Rr)が150μm以上になるように設定するのが好ましい。すなわち、(Rc−Rr)は、好ましくは150μm以上であり、さらに好ましくは200μm〜5mmである。(Rc−Rr)が150μm未満であると、ロール1に過大な圧力を付加した時に、圧力が第2胴部11,12にも分散し、金属の塑性変形に必要な圧力が第1胴部10に付加されないおそれがある。また、(Rc−Rr)が5mmを超えると、ロール1のたわみ量以上に大きな空間が空くことになり、ロール1の機械的強度を低下させる。これより、ロール1が破損するおそれがある。
また、第1胴部10と第2胴部11、12との合計の軸線長さWdと、第1胴部10の軸線長さWeとの比(Wd/We)は、好ましくは1.05〜3、さらに好ましくは1.1〜2である。Wd/Weを前記範囲に設定することにより、金属シート成形時における第1胴部10への圧力集中が顕著になり、成形後の金属シートにおいて、凸部が形成されていない箇所が著しく減少する。Wd/Weが1.05未満では、圧延装置のロール支持部(チョックと呼ばれるロールの軸部を支える部品)と金属シートとのクリアランスが不十分になり、金属シートの搬送が不安定になるおそれがある。また、Wd/Weが3を超えても金属シートの加工を実施できるが、ロール1が必要以上に長くなり、ランニングコストが増加し、本来必要としない生産スペースが必要になる。したがって、工業的に好ましくない。
本実施形態では、第2胴部11、12は円柱形状を有しているが、それに限定されず、第2胴部11、12の少なくとも一部が、第2胴部11、12の軸線方向において第1胴部10から離反するにつれて径が徐々に小さくなるテーパ部であってもよい。
軸部13、14は、ロール1の軸線方向における第2胴部11、12の端面21a、21bから第1胴部10に離反する方向に延び、その径が第2胴部11、12の径よりも小さい2つのロール部材である。軸部13、14は、図示しない軸受けなどの第2胴部材により回転自在に支持される。また、軸部13、14の端部には図示しない駆動手段が接続され、ロール1を回転させる。
ロール1は、第1胴部10、第2胴部11、12および軸部13、14を一体成形するのが好ましい。ロール1は、ステンレス鋼、鉄などの金属材料で構成される。より具体的には、ロール1の設計寸法の最大径に等しい径またはそれよりも大きい径を有するロールを研削加工することにより、凹部15が形成される前のロールが得られる。研削加工を施されるロールは、通常、軸部と胴部とを有しているので、前記胴部に研削加工を施して、第1胴部10および第2胴部11、12を所定寸法に削り出せばよい。
また、第1胴部10の少なくとも凹部15が形成される表層部は、好ましくは、超硬合金、サーメット、ハイス鋼、ダイス鋼および鍛鋼よりなる群から選ばれる少なくとも1種の高融点金属材料で構成される。このような金属材料からなる表層部にレーザ加工を施して凹部15を形成することにより、金属シートの成形加工を繰返し実施しても、凹部15の摩耗、変形、破損などが非常に起こり難い。表層部の厚さは特に制限されないが、好ましくは、5〜50mm程度である。
高融点金属材料からなる表層部は、たとえば、高融点金属材料製円筒(以下単に「円筒」とする)を芯用ロールに焼き嵌めまたは冷やし嵌めすることによって作製できる。焼き嵌めとは、内径が芯用ロールの外径よりも僅かに小さい円筒を作製し、この円筒を暖めて膨張させ、芯用ロールに嵌め込むことである。また、冷やし嵌めとは、内径が芯用ロールの外径よりも僅かに小さい円筒に、冷却により収縮させた芯用ロールを嵌め込むことである。芯用ロールには、たとえば、ステンレス鋼、鉄などからなるロールを使用できる。
本発明の金属シートの成形方法は、ワークロールとして、ロール1を用いることを特徴とする。すなわち、ロール1同士またはロール1と表面が平坦なロールとを、それぞれの軸線が平行になるように圧接させ、ニップ部を形成する。このニップ部に長尺の金属シートをその幅方向に垂直な方向に通過させて、前記金属シートを塑性変形により成形する。ロール1同士を圧接させる場合は、金属シートの厚み方向の両面にミクロンオーダーの複数の凸部が形成される。ロール1と表面が平坦なロールとを圧接させる場合は、金属シートの厚み方向の片面にミクロンオーダーの複数の凸部が形成される。このとき形成される凸部の形状、寸法および配置は、凹部15の形状、寸法および配置にほぼ対応している。
すなわち、本発明の金属シートの成形方法は、ワークロールとしてロール1を用いる以外は、従来の金属板の圧延方法と同様にして実施できる。図3は、本発明の金属シートの成形方法を実施する成形装置35の要部の構成を模式的に示す側面図である。
成形装置35は、上下ロール1、1、上ロール用バックアップロール30a、30b、下ロール用バックアップロール31a、31b、入口用ピンチロール32a、32bおよび出口用ピンチロール33a、33bを含んでいる。
上下ロール1、1は、それぞれ、図示しない支持手段により回転自在に支持されている。上下ロール1、1は、それぞれ、上ロール用バックアップロール30a、30bおよび下ロール用バックアップロール31a、31bの回転に従動回転する。また、上下ロール1は、これに圧接する上ロール用バックアップロール30a、30bから荷重を付加されている。また、下ロール1も、これに圧接する下ロール用バックアップロール31a、31bから荷重を付加されている。これにより、上下ロール1、1は圧接している。上下ロール1,1の圧接部分がニップ部である。
ここで、上下ロール1、1の圧接圧は、好ましくは1000N/mm2〜3000N/mm2、さらに好ましくは1500N/mm2〜3000N/mm2である。これにより、寸法および形状が揃った凸部を、金属シート表面に均一に形成できる。1000N/mm2未満では、所望の寸法および形状を有する凸部を均一に形成できないおそれがある。一方、3000N/mm2を超えると、圧力が過大になりすぎ、装置コストが膨大となる。ロールの損傷などが非常に起こり易くなる。
このとき、ロール1の第1胴部10の軸線長さWeと、金属シートの幅Wmとの比(We/Wm)は、好ましくは1〜1.5、さらに好ましくは1.1〜1.3である。We/Wmを前記範囲に設定することにより、金属シート表面の全面に、寸法および形状が揃った複数の凸部をより一層均一に形成できる。We/Wmが1未満であると、金属シートの幅方向両端部において、凸部が形成されない箇所が発生するおそれがある。また、We/Wmが1.5を超えると、ロール1に過大な荷重を付加したときに、上下ロール1、1の第1胴部10同士が金属シートを介在することなく接触して圧力が分散し、金属シートに十分な圧力を付加できないおそれがある。
上ロール用バックアップロール30a、30bおよび下ロール用バックアップロール31a、31bは、それぞれ、図示しない支持手段により回転自在に支持されるとともに、図示しない駆動手段に接続され、回転可能に設けられている。なお、本実施形態では、上下ロール1,1にそれぞれ2個ずつのバックアップロールが設けられているが、それに限定されず、1個のロール1に1個以上の任意の数のバックアップローラを設けることができる。
入口用ピンチロール32a、32bおよび出口用ピンチロール33a、33bは、それぞれ、図示しない支持手段により回転自在に支持されるとともに、図示しない駆動手段に接続され、回転可能に設けられている。また、入口用ピンチロール32a、32bおよび出口用ピンチロール33a、33bは、これらが圧接して形成されるニップ部に金属シート2を通過させることにより、金属シート2を搬送する。入口用ピンチロール32a、32bは、図示しない搬送手段により成形装置35の内部に搬送されて来た金属シート2を上下ロール1、1のニップ部に搬送する。出口用ピンチロール33a、33bは、上下ロール1、1のニップ部を通過して成形加工が施された金属シート2を成形装置35の外部に搬出する。入口用ピンチロール32a、32bおよび出口用ピンチロール33a、33bの圧接圧、回転速度などを調整することにより、金属シート2の搬送速度を変更し、金属シート2に所定の張力を付与できる。
金属シート2は、入口用ピンチロール32a、32bを介して成形装置35内に搬入され、ロール1、1のニップ部に誘導されて成形加工を受けた後、出口用ピンチロール33a、33bを介して成形装置35の外部に搬出され、図示しない巻き取りローラに巻き取られる。本実施形態では、ピンチロールを装置の出入り口に設けているが、それに限定されず、出口または入口に設けてもよい。
金属シート2は特に制限されないが、好ましくは厚さ10μm〜100μm、さらに好ましくは10〜50μmの金属箔である。金属箔は特に制限されず、銅箔、銅合金箔、錫箔、ステンレス鋼箔、 アルミニウム箔、 アルミニウム合金箔、鉛箔、ニッケル箔、亜鉛箔などが挙げられる。また、本発明の成形方法により加圧成形される金属箔は、粒界が変形しやすい、焼き鈍し温度が低いといった特性を有する金属を含有していることが好ましい。
銅箔、銅合金箔などを本発明の成形方法で成形して得られる凸部形成金属箔は、たとえば、リチウム二次電池における負極集電体として好適に使用できる。銅箔、銅合金箔から得られる凸部形成金属箔の個々の凸部表面には、真空蒸着により、負極活物質を含有し、負極活物質層として機能する柱状体が形成される。このとき、負極活物質としては、たとえば、珪素、珪素酸化物、珪素含有合金、珪素化合物、錫、錫酸化物、錫含有合金、錫化合物などを使用できる。凸部表面に柱状体の負極活物質層を形成することにより、リチウムイオンを吸蔵および放出する際の負極活物質の膨張および収縮に伴って発生する応力が吸収され、負極集電体ひいては負極の変形、負極活物質層の負極集電体からの剥落などが防止される。その結果、充放電サイクル特性、長期的な安全性などに優れたリチウム二次電池が得られる。
なお、2つのローラを圧接させて金属シートを成形する方法には、各種のパラメータがある。たとえば、ロール径(r[mm])、圧接圧(荷重、w[kg])、金属シート幅(I[mm])、接触半値幅(b[mm])、ヘルツ最大接触圧力(Pmax(kg/mm2))などである。これらのうち、たとえば、接触半値幅およびヘルツ最大圧力は、下記の式にしたがって算出できる。本発明では、これらのパラメータを適宜選択することにより、成形加工後の金属シート表面に形成される凸部の寸法および形状を調整できる。また、凸部が形成されない箇所を一層減少させることができる。
接触半値幅(b[mm])={(8r/2w)/(π×E×I}1/2
ヘルツ最大圧力(Pmax(kg/mm2))=(2w)/(π×b×I)
また、金属シートの搬送速度、上下ロール1、1の回転速度なども、たとえば、金属シートの厚さ、金属シートの材質、金属シート表面に形成しようとする凸部の設計寸法および設計個数、凸部の配置、上下ロール1、1に付加される圧力などに応じて、適宜選択が可能である。
なお、本実施形態では、上ロール用バックアップロール30a、30bおよび下ロール用バックアップロール31a、31bには、円柱状ロールを使用しているが、それに限定されず、これらのうちの少なくとも1つにクラウンロールを使用してもよい。これらのバックアップロールの少なくとも1つにクラウンロールを使用すると、上下ロール1、1の第1胴部10のたわみ量を補正できる。この場合、第1胴部10が円柱状ロールである本発明のロールを、上下ロール1、1として使用するのが好ましい。この組み合わせにより、上下ロール1、1の第1胴部10は、金属シートの成形時にはたわみ量が補正されてクラウンロール状の形状になる。その結果、第1胴部10がクラウンロールである本発明のロールを用いるのと同様の効果が得られる。
本発明の成形方法によれば、上下ロールとして本発明のロール1を使用することにより、従来の金属シートの加圧成形よりも過大な圧力を付加することが可能になる。しかも、その過大な圧力がロール全体に分散せず、表面に凹部15が形成された第1胴部10に集中する。その結果、金属シート表面に、設計寸法、個数および配置にほぼ一致する凸部を均一に形成することができる。凸部が部分的に欠損することも非常に少ない。さらに、金属シート表面にたとえば数千万個に及ぶ凸部を形成しても、金属シートの可撓性などは大きく変化しない。したがって、金属シートを後工程(たとえば、電極活物質層の形成工程)で処理するのが非常に容易である。
以下に実施例および比較例を挙げ、本発明を具体的に説明する。
(実施例1)
ワークロールとして、胴部と、胴部の両端からロールの軸線方向に延びる軸部とからなる鍛鋼ロール(大同マシナリー(株)製)を用いた。この鍛鋼ロールにおいて、胴部径は100.31mm、胴部長さ230mm、軸部長さの合計は150mm、軸部径は50.03mmであった。この鍛鋼ロールの胴部が、本発明のロール1における第1胴部10と第2胴部11、12になる。
この鍛鋼ロールを旋盤に設置し、第1胴部10と第2胴部11、12との間に段差が形成されるように研削した。このとき、第1胴部10の長さが、鍛鋼ロールの胴部中央部から両側に向けて50mm、全体で100mmになるように設定し、この部分を中央部から両端に向けて径が徐々に小さくなるクラウンロール形状に研削した。また、鍛鋼ロールの胴部の残りの部分を、第1胴部10の両端との間に段差が形成されるように研削して、第2胴部11、12を形成した。研削量は0.25mmとなるように旋盤を設定した。
研削加工後のロールは、第1胴部10と第2胴部11、12との間に段差を有し、第1胴部10の長さ100mm、第1胴部10のロール軸線方向中央部の径Rc:100.11mm、第1胴部10のロール軸線方向両端部の径Re:100.11mm、第2胴部11、12の径Rr:99.61mm、Re−Rr:0mm、第1胴部10と第2胴部11、12の合計軸線長さWd:230mm、第1胴部10の軸線長さWe:100mm、Wd/We:2.3であった。本実施例では、第1胴部10は、円柱状ロールとして形成されている。
引き続き、研削加工後のローラの第1胴部10表面に、凹部形成用のレーザ加工を施し、凹部15を形成した。
まず、レーザ加工装置(スペクトラ・フィジックス(株)製)に、レーザ発振器としてNb:YAGレーザを装着した。加工ヘッドから出力されるレーザ光の強度を1回の照射あたり23μJに設定した。また、集光レンズおよび焦点距離を調整して、加工ヘッドの結像倍率を16倍に設定した。すなわち、加工ヘッドの結像サイズは、レーザ加工用マスクの開口の1/16倍になる。レーザ加工用マスクとしては、厚さ0.3mm、寸法22mm×22mmのステンレス鋼板(SUS304)に放電加工を施し、形状が円形であるレーザ通過孔を形成したものを用いた。レーザ通過孔の円形の直径は、0.16mmであった。
このレーザ加工装置のロール回転装置と芯押し台との間に、上記で得られたロールを装着し、ロールの第1胴部10表面に照射時間50ナノ秒、照射間隔1ミリ秒で、レーザ光を照射した。レーザ光の照射後、レーザ光照射領域を第1胴部10の軸線方向に25μmまたは円周方向に29μm移動させ、同様にレーザ光を照射した。なお、円周方向の移動は、ロールを回転させることにより行った。ロールを円周方向に29μmずつ回転させて円周方向に10833個の凹部15を形成し、次にロールの軸線方向に25μm移動し、ロールを円周方向に14.5μmずつ回転させて、円周方向に10833個の凹部15を形成する作業を繰り返した。ロールの軸線方向では、25μmずつ3600回移動させて90mm加工した。このようにして38998800個の凹部15を千鳥格子状の配置で形成した。
形成された凹部15の開口形状はほぼ円形であり、開口径は11μmであった。また、凹部15の底面はドーム状であり、凹部15の深さは約12μmであった。凹部15の軸線方向のピッチは約25μm、第1胴部10の円周方向のピッチは約29μmであった。このようにして、本発明のロールを作製した。
上記で得られた本発明のロール2本を、図3に示す成形装置35の上下ロール1、1として装着した。成形装置35のニップ部における加圧力をヘルツ最大圧力で0〜3500N/mm2の範囲で変動させ、幅We:80mm、厚み26μmのタフピッチ銅箔をニップ部に5m/分で走行させて加工を行った。この時、第1胴部10の軸線長さWeとタフピッチ銅箔の幅Wmとの比(We/Wm)は1.25であった。なお、成形加工時には、上下ロール1、1の対向する第2胴部11、12の間に隙間が存在することが、目視により確認された。これにより、第2胴部11、12が接触せず、加圧力が第1胴部10の圧接部分に集中していることが明らかである。
加工後の銅箔表面には、本発明のロールの第1胴部10に形成された凹部15に対応する凸部が形成されていた。凸部10個の平均高さをレーザ顕微鏡(商品名:VK−9500、キーエンス社製)で測定した。結果を図4に示す。図4は、実施例1における加圧力(線圧)と凸部の高さとの関係を示すグラフである。図4から、ヘルツ最大圧力が高くなるにつれて、形成される凸部(突起)の高さが大きくなることが明らかである。特に、2000〜2200N/mm2の線圧を付与すると、高さ約6μmの凸部が形成される。タフピッチ銅箔を100m/1巻として20巻で2000m加工を行ったが、銅箔表面に形成された凸部の形状はほぼ同等であった。
なお、銅箔の走行速度を1m/分〜30m/分の範囲で変更して加工テストを行った結果、銅箔表面にはほぼ均一な寸法および形状を有する複数の凸部を形成することができた。本実施例で使用する成形装置では、走行速度が20m/分以上で銅箔の破断が生じた。このことから、速度が速いほど、金属シートの巻出しおよび巻き取りの走行コントロール精度や走行中の金属シートに付加される引張り圧力を制御することが、量産化において必要であることが判る。ただし、圧延量産機に、ワークロールとして本発明のロールを装着すれば、たとえば、200〜300m/分程度の高速でも、何らの支障もなく、本発明の金属シートの成形加工を実施できる。
(比較例1)
ワークロールとして、実施例1と同様に、胴部と、胴部の両端からロールの軸線方向に延びる軸部とからなる鍛鋼ロール(大同マシナリー(株)製)を用いた。この鍛鋼ロールにおいて、胴部の軸線方向中央部の径は100.31mm、胴部長さ230mm、軸部長さの合計は240mm、軸部径は50.03mmであった。この鍛鋼ロールの胴部に実施例1の研削加工せずに、胴部中央部から両端に向けてそれぞれ50mmの領域に実施例1と同様にレーザ加工を行い、凹部15を千鳥格子状配置で形成した。このようにして、胴部に段差のない、全長470mmの比較例のロールを作製した。
上記で得られた比較例のロールを用い、実施例1と同様にしてタフピッチ銅箔の成形を行なった。結果を図5に示す。図5は、比較例1における加圧力と凸部の高さとの関係を示すグラフである。図5から、2000〜2200N/mm2のヘルツ最大圧力を付与しても、凸部の高さが3μmにも満たず、実施例1の凸部高さの1/2未満であることが判る。このことから、比較例1のロールでは、過大な圧力が付加されると、その圧力がロール全域に分散し、胴部の凹部15が形成された領域に集中しないことが明白である。なお、成形加工時には、上下ロールの胴部周面のほぼ全域が接触し、成形後の胴部周面には損傷が認められた。
(実施例2)
鍛鋼ロールに代えて、次に示すダイス鋼ロール(大同マシナリー(株)製)を使用する以外は、実施例1と同様にして研削加工を行い、第1胴部10の長さ100mm、第1胴部10と第2胴部11、12との合計長さ230mmのロールを作製した。ダイス鋼ロールは、胴部と、胴部の両端からロールの軸線方向に延びる軸部とからなり、胴部の長さは230mm、胴部の径は50.18mm、軸部長さの合計150mm、軸部径30.08mmであった。
研削加工後のロールは、第1胴部10と第2胴部11、12との間に段差を有し、第1胴部10の長さ100mm、第1胴部10のロール軸線方向中央部の径Rc:50.18mm、第1胴部10のロール軸線方向両端部の径Re:50.16mm、クラウン量Rc−Re=0.02mm、第2胴部11、12の径Rr:49.63mm、Re−Rr:0.5mm、第1胴部10と第2胴部11、12の合計軸線長さWd:230mm、第1胴部10の軸線長さWe:100mm、Wd/We:2.3であった。本実施例では、第1胴部10は、クラウンロールとして形成されている。
この切削加工後のロールの第1胴部10表面に、円周方向の凹部15形成個数を10833個から5416個に変更する以外は、実施例1と同様にして凹部形成用のレーザ加工を行なった。その結果、第1胴部10表面に、19497600個の凹部15を千鳥格子状配置で形成し、本発明のロールを作製した。
上記で得られた本発明のロール2本を、図3に示す成形装置35の上下ロール1、1として装着した。成形装置35のニップ部における加圧力をヘルツ最大圧力で1600N/mm2とし、幅We:80mm、厚み26μmのタフピッチ銅箔をニップ部に通過させて加工を行った。加工後の銅箔表面には、本発明のロールの第1胴部10に形成された凹部15に対応する凸部が形成されていた。凸部の高さはほぼ均一であり、約5μmであった。
(実施例3)
鍛鋼ロールに代えて、次に示す超硬合金製ロール(富士ダイス(株)製)を使用する以外は、実施例1と同様にして研削加工を行い、第1胴部10の長さ100mm、第1胴部10と第2胴部11、12との合計長さ230mmのロールを作製した。超硬合金製ロールは、胴部と、胴部の両端からロールの軸線方向に延びる軸部とからなり、胴部の長さは230mm、胴部の径は135.3mm、軸部長さの合計150mm、軸部径50.10mmであった。
研削加工後のロールは、第1胴部10と第2胴部11、12との間に段差を有し、第1胴部10の長さ100mm、第1胴部10のロール軸線方向中央部の径Rc:135.30mm、第1胴部10のロール軸線方向両端部の径Re:135.30mm、第2胴部11、12の径Rr:135.30mm、Re−Rr:0mm、第1胴部10と第2胴部11、12の合計軸線長さWd:230mm、第1胴部10の軸線長さWe:100mm、Wd/We:2.3であった。本実施例では、第1胴部10は円柱状ロールとして形成されている。
この切削加工後のロールの第1胴部10表面に、円周方向の凹部15形成個数を10833個から14624個に変更する以外は、実施例1と同様にして凹部形成用のレーザ加工を行なった。その結果、第1胴部10表面に、52646400個の凹部15を千鳥格子状配置で形成し、本発明のロールを作製した。
上記で得られた本発明のロール2本を、図3に示す成形装置35の上下ロール1、1として装着した。成形装置35のニップ部における加圧力をヘルツ最大圧力で1500N/mm2とし、幅We:80mm、厚み26μmのタフピッチ銅箔をニップ部に通過させて加工を行った。加工後の銅箔表面には、本発明のロールの第1胴部10に形成された凹部15に対応する凸部が形成されていた。凸部の高さはほぼ均一であり、約5μmであった。
(実施例4)
鍛鋼ロールに代えて、次に示す鍛鋼ロール(大同マシナリー(株)製)を使用する以外は、実施例1と同様にして研削加工を行い、第1胴部10の長さ200mm、第1胴部10と第2胴部11、12との合計長さ230mmのロールを作製した。鍛鋼ロールは、胴部と、胴部の両端からロールの軸線方向に延びる軸部とからなり、胴部の長さは230mm、胴部の径は50.6mm、軸部長さの合計150mm、軸部径30.03mmであった。
研削加工後のロールは、第1胴部10と第2胴部11、12との間に段差を有し、第1胴部10の長さ200mm、第1胴部10のロール軸線方向中央部の径Rc:50.06mm、第1胴部10のロール軸線方向両端部の径Re:50.01mm、第2胴部11、12の径Rr:49.56mm、クラウン量(Rc−Re):0.05mm、Re−Rr:0.45mm、第1胴部10と第2胴部11、12の合計軸線長さWd:230mm、第1胴部10の軸線長さWe:200mm、Wd/We:1.15であった。本実施例では、胴部10はクラウンロールとして形成した。
この切削加工後のロールの第1胴部10表面に、円周方向の凹部15形成個数を10833個から5416個に変更する以外は、実施例1と同様にして凹部形成用のレーザ加工を行なった。その結果、第1胴部10表面に、19497600個の凹部15を千鳥格子状配置で形成し、本発明のロールを作製した。
上記で得られた本発明のロール2本を、図3に示す成形装置35の上下ロール1、1として装着した。成形装置35のニップ部における加圧力をヘルツ最大圧力で1400N/mm2とし、幅We:180mm、厚み26μmのタフピッチ銅箔をニップ部に通過させて加工を行った。加工後の銅箔表面には、本発明のロールの第1胴部10に形成された凹部15に対応する凸部が形成されていた。凸部の高さはほぼ均一であり、約5μmであった。本発明ロールの第1胴部10をクラウンロールに形成することで、幅方向の荷重が均一となり銅箔の塑性変形が均一に進行することがわかる。
本発明の金属シート成形用ロールは、金属シートを塑性変形させて、金属シートの表面に凸部などを形成するのに適している。本発明の金属シート成形用ロールで成形された金属シートは、たとえば、電池の集電体、フレキシブルプリント配線基板における金属箔または金属層、リードフレーム用の金属基板などに好適に使用できる。
本発明の金属シート成形用ロールの構成を模式的に示す正面図である。 図1に示す金属シート成形用ロールの第1胴部表面を拡大して示す斜視図である。 本発明の金属シートの成形方法を実施する成形装置の要部の構成を模式的に示す側面図である。 実施例1における加圧力と凸部の高さとの関係を示すグラフである。 比較例1における加圧力と凸部の高さとの関係を示すグラフである。 従来技術のロールの構成を模式的に示す正面図である。
符号の説明
1 金属シート成形用ロール
2 金属シート
10 第1胴部
11、12 第2胴部
13、14 軸部
15 凹部
30a、30b、31a、31b バックアップロール
32a、32b、33a、33b ピンチロール

Claims (12)

  1. 1つの軸線を共有する第1胴部、第2胴部および軸部を有し、
    第1胴部は、その表面に複数の凹部が形成されたロール部材であり、
    第2胴部は、第1胴部の軸線方向の両端面から第1胴部に離反する方向に延び、その径が第1胴部の軸線方向端部の径よりも小さいロール部材であり、
    軸部は、第2胴部の軸線方向の端面から第1胴部に離反する方向に延び、その径が第2胴部の径よりも小さいロール部材であり、かつ
    第1胴部と第2胴部との間に段差がある金属シート成形用ロール。
  2. 第1胴部は、軸線方向両端部の径が同じである請求項1に記載の金属シート成形用ロール。
  3. 第2胴部は、その軸線方向において第1胴部から離反するにつれて径が徐々に小さくなるテーパ部を含む請求項1または2に記載の金属シート成形用ロール。
  4. 第1胴部の軸線方向中央部の径が150mm以下である請求項1〜3のいずれか1つに記載の金属シート成形用ロール。
  5. 第1胴部の軸線方向中央部の径と軸線方向両端部の径との差が300μm未満である請求項1〜4のいずれか1つに記載の金属シート成形用ロール。
  6. 第1胴部の軸線方向両端部の径と第2胴部の径との差が150μm以上である請求項1〜5のいずれか1つに記載の金属シート成形用ロール。
  7. 第1胴部と2つの第2胴部との合計の軸線長さWdと、第1胴部の軸線長さWeとの比(Wd/We)が、1.05〜3である請求項1〜6のいずれか1つに記載の金属シートの成形方法。
  8. 少なくとも第1胴部の凹部が形成される表層部が、超硬合金、サーメット、ハイス鋼、ダイス鋼および鍛鋼よりなる群から選ばれる少なくとも1種の高融点金属材料を含有する請求項1〜7のいずれか1つに記載の金属シート成形用ロール。
  9. 請求項1〜8のいずれか1つの金属シート成形用ロール同士または前記金属シート成形用ロールと表面の平坦なロールとをそれぞれの軸線が平行になるように圧接させてニップ部を形成し、このニップ部に長尺の金属シートをその幅方向に垂直な方向に通過させて、前記金属シートを塑性変形により成形し、表面にミクロンオーダーの複数の凸部を有する金属シートを得る金属シートの成形方法。
  10. 金属シート成形用ロール同士または金属シート成形用ロールと表面の平坦なロールとの圧接圧が、ヘルツ圧力で1000N/mm2〜3000N/mm2である請求項9に記載の金属シートの成形方法。
  11. 第1胴部の軸線長さWeと、金属シートの幅Wmとの比(We/Wm)が、1〜1.5である請求項9または10に記載の金属シートの成形方法。
  12. 金属シートが、厚さ10μm〜100μmの金属箔である請求項9〜11のいずれか1つに記載の金属シートの成形方法。
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