JP2010082141A - 電子内視鏡装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】被観察体の自家蛍光画像や、被観察体の所望の関心部位に関する自家蛍光スペクトルを表示可能で、励起光カットフィルタを必要としない電子内視鏡装置を得る。
【解決手段】被観察体に白色光を照射する光源14と、被観察体を撮像するカラー撮像素子15と、該カラー撮像素子15の出力に基づいて被観察体のカラー画像を表示する画像表示手段34とを備えた電子内視鏡装置において、画像表示手段34上に表示されたカラー画像における関心部位を指定する位置指定手段101と、この手段101により指定された関心部位に関するRGB3色画像信号と、先見情報に基づく所定のマトリクスデータとの演算により、該関心部位に関する被観察体の自家蛍光スペクトルを推定する演算手段100と、この演算手段100の出力を受けてスペクトルを表示するスペクトル表示手段34とを設ける。
【選択図】図1

Description

本発明は電子内視鏡装置に関し、特に詳細には、被観察体の自家蛍光画像を取得することができる電子内視鏡装置、および被観察体の指定された関心部位の自家蛍光スペクトルを表示可能とした電子内視鏡装置に関する。
固体撮像素子を用いた電子内視鏡装置の分野では、近年、胃粘膜等の消化器官における分光反射率に基づいて、狭帯域バンドパスフィルタを組み合わせた分光イメージングを行う装置、すなわち狭帯域フィルタ内蔵電子内視鏡装置(Narrow Band Imaging-NBl)が注目されている。この装置は、面順次式のR(赤),G(緑),B(青)の回転フィルタの代わりに、3つの狭(波長)帯域のバンドパスフィルタを設け、これら狭帯域バンドパスフィルタを介して照明光を順次出力し、これらの照明光で得られた3つの信号に対しそれぞれの重み付けを変えながらR,G,B(RGB)信号の場合と同様の処理を行うことにより、分光画像を形成するものである。このような分光画像によれば、胃、大腸等の消化器において、従来では得られなかった微細構造等が抽出される。
また、上記の狭帯域バンドパスフィルタを用いる面順次式のものではなく、特許文献1、2や非特許文献1に示されるように、固体撮像素子に微小モザイクの色フィルタを配置する同時式において、白色光が照射された被観察体を撮像して得た画像信号を基に、演算処理にて分光画像を形成することも提案されている。これは、RGBのそれぞれのカラー感度特性を数値データ化したものと、特定の狭帯域バンドパスの分光特性を数値データ化したものとの関係をマトリクスデータ(係数セット)として求め、このマトリクスデータとRGB信号との演算により、狭帯域バンドパスフィルタを介して得られる分光画像を推定した分光画像信号を得るものである。このような演算によって分光画像を形成する場合は、所望の波長域に対応した複数のフィルタを用意する必要がなく、またこれらの交換配置が不要となるので、装置の大型化が避けられ、低コスト化を図ることができる。
他方、例えば特許文献3に示されるように、被観察体の自家蛍光画像を取得できるようにした蛍光内視鏡も従来提供されている。この種の蛍光内視鏡は基本的に、被観察体に含まれる自家蛍光物質を励起する励起光を該被観察体に照射し、そのとき発せられた蛍光を検出して、被観察体の自家蛍光画像を取得するものである。
特公平7−96005号公報 特開2003−93336号公報 特開2002−010969号公報 三宅洋一著「分光画像処理入門」東京大学出版会、2006年、p.21〜35並びにp.171〜173
上に述べた蛍光内視鏡においては一般に、被観察体に励起光を照射した際に、その表面で反射した励起光が蛍光検出用撮像素子に入射して不正な蛍光画像が形成されることを防止するために、蛍光検出用撮像素子の前に励起光カットフィルタが配設される。しかしそのような励起光カットフィルタを設けると、小型化が望まれる内視鏡スコープ(通常そこに蛍光検出部が含まれる)が大型になりやすい。
他方、実際の臨床分野においては、ある関心部位の自家蛍光スペクトルを、正常と分かっている部位の自家蛍光スペクトルと比較することにより、その関心部位が正常であるかどうかを判断することも提案されている。蛍光内視鏡を利用して、そのような自家蛍光スペクトルを表示させることもできるが、その場合も励起光カットフィルタが必要となるので、上に述べた問題がそのまま発生する。
本発明は上記の事情に鑑みてなされたものであり、被観察体の自家蛍光画像や、被観察体の所望の関心部位に関する自家蛍光スペクトルを表示可能で、励起光カットフィルタを必要としない電子内視鏡装置を提供することを目的とする。
本発明による第1の電子内視鏡装置は、被観察体の自家蛍光画像を表示できるようにしたものであって、
被観察体に白色光を照射する光源と、
この白色光の照射を受けた前記被観察体を撮像するカラー撮像素子と、
このカラー撮像素子の出力に基づくRGB3色画像信号から前記被観察体のカラー画像を表示する画像表示手段とを備えてなる電子内視鏡装置において、
先見情報に基づく前記被観察体の自家蛍光のスペクトルデータを記憶した記憶部と、
前記被観察体に照射される前記白色光から、前記自家蛍光の波長域の光をカットするフィルタと、
このフィルタを経た白色光が照射された被観察体に関する前記RGB3色画像信号と、前記記憶部が記憶しているスペクトルデータとのマトリクス演算に基づいて、被観察体の自家蛍光画像を示す画像データを形成するマトリクス演算部とを備えたことを特徴とするものである。
また、本発明による第2の電子内視鏡装置は、被観察体の自家蛍光スペクトルを推定、表示できるようにしたものであって、
被観察体に白色光を照射する光源と、
この白色光の照射を受けた前記被観察体を撮像するカラー撮像素子と、
このカラー撮像素子の出力に基づくRGB3色画像信号から前記被観察体のカラー画像を表示する画像表示手段とを備えてなる電子内視鏡装置において、
先見情報に基づく前記被観察体の自家蛍光のスペクトルデータを記憶した記憶部と、
前記被観察体に照射される前記白色光から、前記自家蛍光の波長域の光をカットするフィルタと、
前記画像表示手段上に表示されたカラー画像における所望の関心部位を指定する位置指定手段と、
前記フィルタを経た白色光が照射されたときの被観察体に関する前記RGB3色画像信号のうち、前記位置指定手段により指定された関心部位についてのRGB3色画像信号と、前記記憶部が記憶しているスペクトルデータとのマトリクス演算により、該関心部位に関する被観察体の自家蛍光スペクトルを推定する演算手段と、
推定された前記自家蛍光スペクトルを表示するスペクトル表示手段とを備えたことを特徴とするものである。
なお、この本発明による第2の電子内視鏡装置においては、スペクトル表示手段として前記画像表示手段が兼用されていることが望ましい。
またこの本発明による第2の電子内視鏡装置においては、
前記演算手段が求めた関心部位に関する被観察体の自家蛍光スペクトルを示す情報を記憶しておく記憶手段が設けられるとともに、
前記スペクトル表示手段が、この記憶手段から送出された情報が示す自家蛍光スペクトルを、それとは別に前記演算手段が新たに推定した自家蛍光スペクトルと併せて表示可能に形成されていることが望ましい。
また、本発明による電子内視鏡装置においては、前記フィルタを通さない白色光が照射された被観察体に関する前記カラー撮像素子の出力に基づくRGB3色画像信号と、所定のマトリクスデータとの演算により、指定された波長の分光画像を示す分光画像信号を形成する分光画像形成回路がさらに設けられていることが好ましい。
なお、被観察体に照明光を照射したとき、該被観察体で反射する光のスペクトルを推定することは、例えば文献 津村徳道、羽石秀昭、三宅洋一等「重回帰分析によるマルチバンド画像からの分光反射率の推定」 光学 1998年 27(7) p.384〜391 において提案されているが、被観察体の自家蛍光スペクトルを推定して電子内視鏡装置において表示することは、従来全く行われていなかった。
本発明による第1の電子内視鏡装置は、
先見情報に基づく前記被観察体の自家蛍光のスペクトルデータを記憶した記憶部と、
前記被観察体に照射される前記白色光から、前記自家蛍光の波長域の光をカットするフィルタと、
このフィルタを経た白色光が照射された被観察体に関する前記RGB3色画像信号と、前記記憶部が記憶しているスペクトルデータとのマトリクス演算に基づいて、被観察体の自家蛍光画像を示す画像データを形成するマトリクス演算部とを備えているので、マトリクス演算部が形成した画像データに基づいて、画像表示手段に被観察体の自家蛍光画像を表示可能となる。
一方本発明による第2の電子内視鏡装置においては、
先見情報に基づく前記被観察体の自家蛍光のスペクトルデータを記憶した記憶部と、
前記被観察体に照射される前記白色光から、前記自家蛍光の波長域の光をカットするフィルタと、
前記画像表示手段上に表示されたカラー画像における所望の関心部位を指定する位置指定手段と、
前記フィルタを経た白色光が照射されたときの被観察体に関する前記RGB3色画像信号のうち、前記位置指定手段により指定された関心部位についてのRGB3色画像信号と、前記記憶部が記憶しているスペクトルデータとのマトリクス演算により、該関心部位に関する被観察体の自家蛍光スペクトルを推定する演算手段と、
推定された前記自家蛍光スペクトルを表示するスペクトル表示手段とを備えたことにより、被観察体の中の任意の関心部位に関するスペクトルデータを推定、表示可能となる。
そして、これらの本発明による電子内視鏡装置においては、励起光カットフィルタが不要となっているので、励起光カットフィルタを設けるためにスコープ部が大型化しやすいという問題を防止可能となる。なおこれらの電子内視鏡装置においては、被観察体に照射される白色光から、自家蛍光の波長域の光をカットするフィルタが配設されるが、そのようなフィルタは例えば白色光源の直後に設ければよく、スコープ部に設ける必要はないので、このフィルタのためにスコープ部が大型化することは回避できる。
なお、この本発明による第2の電子内視鏡装置において、特に上記のスペクトル表示手段として、被観察体のカラー画像を表示するための画像表示手段が兼用されている場合は、電子内視鏡装置のコストを低く抑えることが可能になる。
また本発明による第2の電子内視鏡装置において、前記演算手段が求めた関心部位に関する被観察体の自家蛍光スペクトルを示す情報を記憶しておく記憶手段が設けられるとともに、前記スペクトル表示手段が、この記憶手段から送出された情報が示す自家蛍光スペクトルを、それとは別に前記演算手段が新たに推定した自家蛍光ペクトルと併せて表示可能に形成されている場合は、互いに異なる複数の関心部位の自家蛍光スペクトルを比較しながら表示可能となる。そこでこの場合は、例えば、正常と分かっている関心部位の自家蛍光スペクトルと明らかに異なる自家蛍光スペクトルが表示されたとき、その後者の自家蛍光スペクトルを得た関心部位は病巣部であると判断できるようになり、医療診断を支援する効果が顕著なものとなる。
さらに、本発明による電子内視鏡装置において、前記カラー撮像素子の出力に基づくRGB3色画像信号と、所定のマトリクスデータとの演算により、指定された波長の分光画像を示す分光画像信号を形成する分光画像形成回路がさらに設けられている場合は、先ず、表示された自家蛍光画像や自家蛍光スペクトルから異常と疑われる関心部位を見つけ、その関心部位について詳細な分光画像を形成、表示することが可能となる。そうであれば、無駄な分光画像を数多く形成してしまうことを回避して、医療診断の能率を高めることができる。
以下、図面を参照して本発明の実施形態を詳細に説明する。
図1は、本発明の一実施形態による電子内視鏡装置の基本構成を示すものである。本実施形態の電子内視鏡装置は、被観察体の通常画像を表示するモード、後述のようにして形成される被観察体の分光画像を表示するモード、および後述のようにして形成される被観察体の自家蛍光画像を表示するモードのうちの1つに設定され、さらに自家蛍光画像を表示するモードでは、所望の関心部位に関する被観察体の自家蛍光スペクトルを推定して、表示手段の一部領域にそれを表示可能とされている。
最初に、分光画像表示モードおよびそのための構成について説明する。図示の通りこの電子内視鏡装置は、例えば被観察体の体腔内等に挿入されるスコープ10すなわち内視鏡本体部分と、このスコープ10が着脱自在に接続されるプロセッサ装置12とから構成され、プロセッサ装置12内には白色光を発する光源装置14が配置されている。スコープ10の先端には照明窓23が設けられ、この照明窓23には、一端が上記光源装置14に接続されたライトガイド24の他端が対面している。
上記光源装置14は、白色光を発する管球14aと、それに電流を供給する電源部14bと、上記白色光から被観察体の自家蛍光の波長域にある光をカットするフィルタ14cと、このフィルタ14cを管球14aの前に有る位置と、そこから外れた位置のいずれかに選択的に設定するフィルタ駆動部14dとから構成されている。なおこの光源装置14は、プロセッサ装置12とは別体の部分に配置されてもよい。
上記スコープ10の先端部には、固体撮像素子であるCCD15が設けられている。このCCD15としては、例えば、撮像面にRGBの原色カラーフィルタを有する原色型が用いられる。
CCD15には、同期信号に基づいて駆動パルスを形成するCCD駆動回路16が接続されると共に、このCCD15が出力した画像(映像)信号をサンプリングして増幅するCDS/AGC(相関二重サンプリング/自動利得制御)回路17が接続されている。またCDS/AGC回路17には、そのアナログ出力をデジタル化するA/D変換器18が接続されている。さらにスコープ10内には、そこに設けられた各種回路を制御するとともに、プロセッサ装置12との間の通信制御を行うマイコン20が配設されている。
一方プロセッサ装置12には、A/D変換器18によりデジタル化された画像信号に対して各種の画像処理を施すDSP(デジタル信号プロセッサ)25が設けられている。このDSP25は、上記画像信号から輝度(Y)信号と色差[C(R−Y,B−Y)]信号で構成されるY/C信号を生成し、それを出力するものであり、該DSP25には第1色変換回路28が接続されている。この第1色変換回路28は、DSP25から出力されたY/C信号をR、G、Bの3色画像信号に変換する。なお、DSP25はスコープ10側に配置してもよい。
上記第1色変換回路28の後段側には、分光画像形成のためのマトリクス演算を行って、選択された波長域λ1,λ2,λ3による分光画像を示す画像信号を出力する色空間変換処理回路29、1つの狭波長帯域の分光画像を形成する単色モードと、3つの波長域からなる分光画像を形成する3色モードとのいずれかを選択するモードセレクタ30、1つの波長域または3つの波長域の画像信号λ1s,λ2s,λ3sを、RGB信号に対応させた処理をするためにRs,Gs,Bs信号として入力し、このRs,Gs,Bs信号をY/C信号に変換する第2色変換回路31、鏡像処理,マスク発生、キャラクタ発生等のその他の各種信号処理を行う信号処理回路32、およびD/A変換器33が逐次この順に接続されている。そして最後段のD/A変換器33は、プロセッサ装置12外に配置された例えば液晶表示装置やCRT等からなるモニタ34および、光走査記録装置等からなる画像記録装置45に接続されている。なお、モードセレクタ30が選択する3色モードに代えて、2つの波長域からなる分光画像を形成する2色モードを設定するようにしてもよい。
またプロセッサ装置12内には、スコープ10との間の通信を行うと共に、該装置12内の各回路を制御し、またメモリ36に記憶されているマトリクス(係数)データを上記色空間変換処理回路29に入力し、さらには前記フィルタ駆動部14dの動作を制御する等の機能を有するマイコン35が設けられている。上記メモリ36には、RGB信号に基づいて分光画像を形成するためのマトリクスデータ、並びにRGB信号に基づいて自家蛍光画像を形成するためのマトリクスデータがテーブルの形で記憶されている。本実施形態において、このメモリ36に格納されている、分光画像形成用マトリクスデータの一例は次の表1のようになる。
Figure 2010082141
この表1のマトリクスデータは、例えば400nmから700nmの波長域を5nm間隔で分けた61の波長域パラメータ(係数セット)p1〜p61および、通常画像形成のためのパラメータP1〜P3からなる。パラメータp1〜p61は各々、マトリクス演算のための係数kpr,kpg,kpb(p=1〜61)から構成され、他方パラメータP1は係数(1.00000,0.00000,0.00000)から、パラメータP2は(係数0.00000,1.00000,0.00000)から、パラメータP3は係数(0.00000,0.00000,1.00000)からそれぞれ構成されている。
そして色空間変換処理回路29において、上記係数kpr,kpg,kpbと第1色変換回路28から出力されたRGB信号とにより次式で示すマトリクス演算が行われて、分光画像信号λ1s,λ2s,λ3sが形成される。
Figure 2010082141
すなわち、分光画像を構成する波長域λ1,λ2,λ3としてそれぞれ例えば500nm,620nm,650nmが選択される場合は、係数(kpr,kpg,kpb)として、表1の61のパラメータのうち、中心波長500nmに対応するパラメータp21の係数(-0.00119,0.002346,0.0016)、中心波長620nmに対応するパラメータp45の係数(0.004022,0.000068,‐0.00097)、および中心波長650nmに対応するパラメータp51の係数(0.005152,-0.00192,0.000088)を用いて上記マトリクス演算がなされる。
なお色空間変換処理回路29は、後述するようにして通常画像表示あるいは記録の指示が与えられた際には、パラメータP1〜P3の係数を用いて上記マトリクス演算を行う。したがってその場合は、第1色変換回路28から出力されたRGB信号がそのまま該色空間変換処理回路29から出力される。
マイコン35には前記メモリ36に加えて、操作パネル41、画像記録コントローラ42、およびキーボード等からなる入力部43が接続されている。図2は上記操作パネル41を詳しく示すものであり、該操作パネル41には、併せて概略図示する例えばa〜hの波長セットを選択するためのセット選択スイッチ41a、波長域λ1,λ2,λ3のそれぞれの中心波長を選択するため波長選択スイッチ41b、この波長選択スイッチ41bによりなされる波長切換えの幅を設定する切換え幅設定スイッチ41c、前述した単色モードと3色モードとの切換えを行う単色−3色モード切換えスイッチ41d、分光画像形成を指示する分光画像形成スイッチ41j、および自家蛍光画像形成を指示する自家蛍光画像形成スイッチ41kが設けられている。なお上記分光画像形成スイッチ41jや自家蛍光画像形成スイッチ41kは、スコープ10側に設けることもできる。
図1に戻ってプロセッサ装置12内にはさらに、第1色変換回路28が出力するR、G、Bの3色画像信号を受けるスペクトル演算手段100が設けられている。このスペクトル演算手段100はプロセッサ装置12外に配置されたマウスおよびその制御装置等からなる位置指定手段101に接続されている。そしてこの位置指定手段101は、前述したモニタ34に接続されている。
以下、上記構成を有する本実施形態の電子内視鏡装置の作用について説明する。まず分光画像形成スイッチ41jが押された場合、つまり分光画像の形成から説明する。
この分光画像を形成する際には、図1に示すフィルタ14cは管球14aの前から外れた位置、つまりそこを上記白色光が通過しない位置に設定される。そしてその状態で光源装置14が駆動され、そこから発せられた白色光がライトガイド24に入射し、スコープ10内に配されたライトガイド24の先端に設けられた照明窓23から出射した白色光が被観察体に照射される。そして、CCD駆動回路16によって駆動されたCCD15がこの被観察体を撮像し、撮像信号を出力する。この撮像信号はCDS/AGC回路17で相関二重サンプリングと自動利得制御による増幅を受けた後、A/D変換器18でA/D変換されて、デジタル信号としてプロセッサ装置12のDSP25に入力される。
DSP25では、スコープ10からの出力信号に対してガンマ処理が行われると共に、Mg,Ye,Cy,Gの色フィルタを介して得られた信号に対して色変換処理が行われ、前述の通りのY/C信号が形成される。このDSP25が出力するY/C信号は第1色変換回路28に入力され、そこでRGB信号に変換される。このRGB信号は色空間変換処理回路29に入力され、この色空間変換処理回路29においてRGB信号とマトリクスデータとにより、分光画像形成のためのマトリクス演算がなされる。
以下、この演算について詳しく説明する。図2に示す操作パネル41の分光画像形成スイッチ41jが押された場合、色空間変換処理回路29は前述のメモリ36に記憶されているマトリクスデータを用いて、それと各画素毎のRGB信号とにより、分光画像形成のための前記(数1)式のマトリクス演算を行う。すなわち、この場合は操作パネル41の波長選択スイッチ41bの操作によってλ1,λ2,λ3の3つの波長域が設定され、マイコン35はそれらの3つの選択波長域に対応するマトリクスデータをメモリ36から読み出し、それらを色空間変換処理回路29に入力する。
例えば、3つの波長域λ1,λ2,λ3として波長500nm,620nm,650nmが選択された場合は、それぞれの波長に対応する(表1)のパラメータp21,p45,p51の係数が用いられて、各画素毎のRGB信号から次の(数2)式のマトリクス演算によって分光画像信号λ1s,λ2s,λ3sが形成される。
Figure 2010082141
なお、図2の単色−3色モード切換えスイッチ41dに接続されたモードセレクタ30にて3色モードが選択されている場合は、上記分光画像信号λ1s,λ2s,λ3sが各々Rs,Gs,Bsの3色画像信号として第2色変換回路31に入力され、また単色モードが選択されている場合は分光画像信号λ1s,λ2s,λ3sのいずれか1つがRs,Gs,Bsの信号として第2色変換回路31に入力される。以下、上記3色モードが選択されている場合について詳しく説明する。
上記第2色変換回路31では、Rs,Gs,Bsの3色画像信号がY/C信号(Y,Rs−Y,Bs−Y)に変換され、このY/C信号が信号処理回路32およびD/A変換器33を介して前述のモニタ34および画像記録装置45へ入力される。
上記Y/C信号に基づいてモニタ34に表示される分光画像は、図4および図5で示すような波長域の色成分で構成されるカラー画像となる。すなわち図4は、原色型CCD15の色フィルタの分光感度特性R,G,Bに、分光画像を形成する3つの波長域λ1,λ2,λ3を重ねた概念図であり、また図5は、生体の反射スペクトルに3つの波長域λ1,λ2,λ3を重ねた概念図である。先に例示したパラメータp21,p45,p51による分光画像信号λ1s,λ2s,λ3sは、図5に示されるように各々500nm、620nm、650nmを中心波長とする±10nm程度の範囲の波長域の分光画像を示す信号であり、これら3つの信号の組合せから構成されるカラー分光画像(動画あるいは静止画)が表示あるいは記録されることになる。
なおこのようなカラー分光画像は、図2に示す固定色モードスイッチ41eが押されている場合は、固定の3色画像信号に基づくカラー画像となり、その一方、同図に示す実色モードスイッチ41fが押されている場合は被観察体を実物の色(実物に近い色)で表示あるいは記録するカラー画像となる。
次に、上記波長域λ1,λ2,λ3の選択について説明する。本実施形態では図2に示すように、λ1,λ2,λ3の波長セットとして、例えば400,500,600(nm、以下同様)の標準セットa、血管を描出するための470,500,670の血管B1セットb、同じく血管を描出するための475,510,685の血管B2セットc、特定組織を描出するための440,480,520の組織E1セットd、同じく特定組織を描出するための480,510,580の組織E2セットb、オキシヘモグロビンとデオキシヘモグロビンとの差を描出するための400,430,475のヘモグロビンセットf、血液とカロテンとの差を描出するための415,450,500の血液‐カロテンセットg、血液と細胞質の差を描出するための420,550,600の血液‐細胞質セットhの8つの波長セットが、デフォルト波長セットとして、図1に示すメモリ36の一部に記憶されている。
電子内視鏡装置の工場出荷後、最初に電源を入れて装置を立ち上げると、上記デフォルト波長セットがマイコン35によって選択される。そして、図2に示す操作パネル41の分光画像形成スイッチ41jが押されると、上記選択された波長セットの中の標準セットaが、図3のモニタ34において波長情報表示領域34sに表示される。このとき、モード切換えスイッチ41dが押されて3色モードが選択されていれば、標準セットaのλ1=400nm,λ2=500nm,λ3=600nmに対応する各パラメータがメモリ36から読み出され、それらのパラメータが色空間変換処理回路29に入力される。色空間変換処理回路29は、こうして入力されたパラメータを用いて前述のマトリクス演算を行う。
また臨床医師等の装置操作者は、図2の操作パネル41に有るセット選択スイッチ41aを操作することにより、デフォルト波長セットにおけるその他の波長セットb〜hを任意に選択することができ、マイコン35はこうして選択された波長セットを、図3のモニタ34において波長情報表示領域34sに表示させる。それとともにこの場合も、選択された波長セットの波長域λ1,λ2,λ3に対応する各パラメータがマイコン35によってメモリ36から読み出され、それらのパラメータが色空間変換処理回路29に入力される。色空間変換処理回路29は、こうして入力されたパラメータを用いて前述のマトリクス演算を行う。
なおセット選択スイッチ41aは図2に示す通り、上向きの三角形の操作部を有する上行スイッチと、下向きの三角形の操作部を有する下行スイッチとからなり、前者が1回押される毎に波長セットはa→h→g・・・と逐次選択され、それに対して後者が1回押される毎に波長セットはa→b→c・・・と逐次選択される。
また、上記波長セットa〜hのうちの1つが選択されているとき、操作者が波長選択スイッチ41bを操作することにより、その選択されている波長セットの波長域λ1,λ2,λ3のそれぞれを任意の値に変更することができる。この波長域の変更に際しては、波長切換え幅を、切換え幅設定スイッチ41cによって変えることができる。すなわち、切換え幅設定スイッチ41cのツマミを回転させることにより、連続的切換えに近い1nm幅、ステップ切換えである5nm幅、10nm幅、20nm幅というように、連続的または段階的な切換えを設定することができる。なお、例えば1nm幅で切り換える場合は、400〜700nmの範囲において301の波長域を設定し、この301の波長域に対応したマトリクスデータ(p′1〜p′301)を作成することになる。
図6はこの波長域の選択を示すものであり、上記5nm幅を設定したときは、λ1の切換えで示されるように、400→405→410というように切り換えられ、上記20nm幅を設定したときは、λ3の切換えで示されるように、600→620→640というように切り換えられ、この値がモニタ34の波長情報表示領域34sに表示される。
図3には、上記波長情報表示領域34sおよび後述するスペクトル表示領域34pにおける表示状態を詳しく示してある。本実施形態では、前記信号処理回路32内のキャラクタ発生等によって、図3(A)に示すように、モニタ34の右下部等に設定された波長情報表示領域34sに波長情報が表示される。すなわち、この波長情報表示領域34sには、図3(B)に示すように、λ1,λ2,λ3等の文字の下に、選択された波長の値(nm)が表示される。あるいは図3(C)に示すように、横軸を波長目盛、縦軸を感度とし、選択された波長域を可動グラフ(図4に対応したもの)でビジュアル表示してもよい。
図2に示すモード切換えスイッチ41dは単色モードと3色モードの切換えを行うものであり、3色モード動作時にこのモード切換えスイッチ41dを押すと、単色モードへ切り換えられ、マイコン35により波長域λ1,λ2,λ3の全てが、470,470,470というように同一の値に設定される。そしてモニタ34には、図7に示すように、共通の波長域が表示される。なおこの共通の波長域についても、上記波長選択スイッチ41bによって任意の値を選択することができる。
ここで、上記8つの波長セットとして、前述したようなデフォルト波長セットの他に、装置使用者である医師の要望等に応じて別のセットを用意し、それらをメモリに記憶しておいて適宜選択使用できるようにしてもよい。また、上記の操作パネル41上のスイッチ類の一部機能をキーボードのキー機能に置き換えたり、全部の機能をキーボードのキー機能に置き換えたりしてもよい。
次に、被観察体の通常画像を表示するモードについて説明する。以上述べたようにして分光画像が形成、表示されているときに、図2に示した操作パネル41の分光画像形成スイッチ41jが再度押された場合、あるいは最初から分光画像形成スイッチ41jも自家蛍光画像形成スイッチ41kも押されない場合は、色空間変換処理回路29におけるマトリクス演算の係数として、前述のパラメータP1〜P3の係数が選択され、それにより該色空間変換処理回路29からは第1色変換回路28が出力したRGB信号がそのまま出力される。そしてこのRGB信号が第2色変換回路31でY/C信号に変換され、このY/C信号が信号処理回路32およびD/A変換器33を介してモニタ34へ入力されるので、該モニタ34においては被観察体の通常カラー画像(動画あるいは静止画)が表示される。
なお本実施形態においては、上記D/A変換器33の出力がモニタ34の他に画像記録装置45にも入力されるようになっており、マイコン35によって制御される画像記録コントローラ42が画像記録装置45に画像記録の指示を与えた場合は、その指示で指定されたシーンの通常カラー画像あるいは分光画像のハードコピーがこの画像記録装置45から出力される。
なお従来の内視鏡では、被観察体にインディゴやピオクタニン等の色素散布を行い、色素散布によって着色した組織を撮像することが行われているが、上記λ1,λ2,λ3の波長セットとして、色素散布によって着色する組織が描出できる波長域を選択することにより、色素散布をすることなく、色素散布時の画像と同等の分光画像を得ることもできる。
次に、関心部位の反射スペクトルを推定、表示する機能について説明する。前述したメモリ36には、既述の分光画像形成用マトリクスデータの他に、既知情報として、光源装置14およびライトガイド24等からなる照明光学系の分光特性マトリクス
Figure 2010082141
CCD15のカラーフィルタを除く、受光系の分光特性マトリクス
Figure 2010082141
CCD15の原色カラーフィルタの分光特性マトリクス
Figure 2010082141
が記憶されている。
一方位置指定手段101は、モニタ34上に表示された分光画像あるいは通常画像上の任意の関心部位を指定可能となっており、その指定された関心部位を示す情報はスペクトル演算手段100に入力される。
スペクトル演算手段100は、数3、数4および数5式で示される既知のマトリクス情報および、第1色変換回路28から出力された上記関心部位に関する最終3色カラー画像信号セット
Figure 2010082141
に基づいて、被観察体(被検体)の反射スペクトルセット
Figure 2010082141
を求める(なお上記数6および数7におけるnは、後述する関心部位の中で指定された点の数である)。すなわち、
Figure 2010082141
であり、この逆問題を解くと、
Figure 2010082141
となるので、結局
Figure 2010082141
として被観察体(被検体)の反射スペクトルセットが求められる。
なお本実施形態では、位置指定手段101が、ある関心部位の中の複数点を指定可能に形成される一方、スペクトル演算手段100は、上記複数点に関してそれぞれ推定された複数の反射スペクトルを主成分分析し、その結果得られた第一主成分の反射スペクトルを示す信号を信号処理回路32に入力するように構成されている。そして、この反射スペクトルを示す信号に基づいて、その反射スペクトルがモニタ34のスペクトル表示領域34p(図3(D)参照)に表示される。
以下、上記主成分分析について説明する。ここでは上記複数点の数を、先に述べた通りnとする。上記数10式から求められる反射スペクトルを
Figure 2010082141
とする。つまり本例では、波長400nmから700nmの間の例えば61波長点についてデータを求めるものとし、そこで数11式は61×nのマトリクスデータとなる。この主成分分析は、
Figure 2010082141
なる共分散行列(n×n)の固有値と固有ベクトルを求めることになる。ここで、1つの固有値をΛ、そのときの固有ベクトルを
Figure 2010082141
とすると、
Figure 2010082141
を満足する。本例の場合、
Figure 2010082141
のランクは3なので、上記数14式を満足する、0(ゼロ)でないΛは3個となる。これらをΛ1、Λ2、Λ3とし、対応する
Figure 2010082141
とし、かつΛ1>Λ2>Λ3とする。このとき、Λ1に対応する
Figure 2010082141
を第1主成分とする。そこで、本例において、複数の点が指定された関心部位を代表する反射スペクトルは、
Figure 2010082141
として求められる。つまり、
Figure 2010082141
であるので、数19式を演算すると61×1のデータとなり、これが関心部位を代表する反射スペクトルを示すものとなる。以上のように主成分分析を利用すれば、より信頼性の高い反射スペクトルを推定可能となる。
また本実施形態において信号処理回路32は、上記数19式のデータを1組記憶しておく図示外のメモリを備え、スペクトル演算手段100が新たに推定した1組の反射スペクトルデータ(数19式のデータ)が入力されたとき、それら2組のデータを合成して、それらを同時に示す画像信号を出力する。それにより、図3(D)のモニタ34のスペクトル表示領域34p(参照)には、そこに図示するように、相異なる関心部位に関する2通りの反射スペクトルSPr、SPが表示されることとなる。
そこでこの場合は、例えば、正常と分かっている関心部位の反射スペクトルSPrを表示させておき、それと明らかに異なる反射スペクトルSPが表示されたとき、その後者の反射スペクトルを得た関心部位は病巣部であると判断できるようになり、医療診断を支援する効果が顕著なものとなる。
さらに、本実施形態の電子内視鏡装置は、指定された波長の分光画像を示す分光画像信号を形成可能に構成されているので、先ず、表示された反射スペクトルから異常と疑われる関心部位を見つけ、その関心部位について詳細な分光画像を形成、表示することが可能となる。そうであれば、無駄な分光画像を数多く形成してしまうことを回避して、医療診断の能率を高めることができる。
なお、本実施形態においては、分光画像を表示する画像表示手段としてのモニタ34が、推定された反射スペクトルを表示する手段として兼用されているので、電子内視鏡装置のコストを低く抑えることができる。しかしそれら2つの表示手段は、兼用のものに限らず、各々専用のものが用いられても構わない。
次に、図2に示す自家蛍光画像形成スイッチ41kが押された場合、つまり自家蛍光画像の形成について説明する。この場合、図1に示すフィルタ14cは管球14aの前に有る位置に設定される。そしてその状態で光源装置14が駆動され、そこから発せられた白色光がフィルタ14cを通過する。それにより、この白色光のうち被観察体の自家蛍光の波長域の光がカットされる。フィルタ14cを通過した光はライトガイド24に入射し、スコープ10内に配されたライトガイド24の先端に設けられた照明窓23から出射した光が被観察体に照射される。そして、CCD駆動回路16によって駆動されたCCD15がこの被観察体を撮像し、撮像信号を出力する。この撮像信号はCDS/AGC回路17で相関二重サンプリングと自動利得制御による増幅を受けた後、A/D変換器18でA/D変換されて、デジタル信号としてプロセッサ装置12のDSP25に入力される。
DSP25では、スコープ10からの出力信号に対してガンマ処理が行われると共に、Mg,Ye,Cy,Gの色フィルタを介して得られた信号に対して色変換処理が行われ、前述の通りのY/C信号が形成される。このDSP25が出力するY/C信号は第1色変換回路28に入力され、そこでRGB信号に変換される。このRGB信号は色空間変換処理回路29に入力され、この色空間変換処理回路29において自家蛍光画像形成のためのマトリクス演算がなされる。
以下、この演算について詳しく説明する。図2に示す操作パネル41の自家蛍光画像形成スイッチ41kが押された場合、色空間変換処理回路29は前述のメモリ36に記憶されているマトリクスデータを用いて、それと各画素毎のRGB信号とにより、自家蛍光スペクトル推定、自家蛍光画像形成のためのマトリクス演算を行う。以下、この演算について詳しく説明する。この場合もメモリ36に記憶された既知情報として、光源装置14およびライトガイド24等からなる照明光学系の分光特性マトリクス(前記数3式のもの)、CCD15のカラーフィルタを除く受光系の分光特性マトリクス(前記数4式のもの)および、CCD15の原色カラーフィルタの分光特性マトリクス(前記数5式のもの)が利用される。そして、被観察体関心部位の反射スペクトルを
Figure 2010082141
とし、CCD15から出力された最終カラー信号(RGB信号に変換されたもの)を
Figure 2010082141
とすると、
Figure 2010082141
となり、この逆問題を解くと、
Figure 2010082141
となる。ここで得られた推定スペクトル
Figure 2010082141
は、S=R+F と分解できる。なお、Rは白色光照射により得られる反射光の成分、Fは白色光照射により励起されて発光する自家蛍光成分である。前述したメモリ36に記憶される先見情報として、被観察体の正常部位の反射率スペクトルをH、白色光源である管球14aおよびフィルタ14cの積によるスペクトルをR′とすると、
S=R+F=H・R′+F
となる。これより自家蛍光成分Fは、推定したスペクトルと先見情報により事前に知り得る被観察体の反射情報より、
F=S−H・R′
として求めることができる。ただし、
Figure 2010082141
である。
以上のようにして求められた自家蛍光スペクトルは、モニタ34のスペクトル表示領域34p(図3の(A)参照)に表示される。その表示内容の一例を図8に示す。例えば上記関心部位が正常な場合の自家蛍光スペクトルは同図に曲線Qで示すようなものであるのに対し、該関心部位に病巣が有ると同図に曲線Qrで示すように長波長側に蛍光強度が高い部分が生じることが有り、それにより病巣有りと判断することができる。
なおこのような2つの自家蛍光スペクトルを併せて表示するには、前述した反射スペクトル表示の場合と同様に、例えば信号処理回路32にスペクトルデータを1組記憶するメモリを備え、スペクトル演算手段100が新たに推定した1組の反射スペクトルデータが入力されたとき、それら2組のデータを合成して、それらを同時に示す画像信号を出力させるようにすればよい。
以上の通りにしてモニタ34に自家蛍光スペクトルが表示されれば、そこから、自家蛍光スペクトルがどのような波長域において、どのような状態に分布しているかを知ることができる。そこで装置使用者により、この波長域内に有る3つの波長λ1,λ2,λ3が選択され、それらが、操作パネル41の波長選択スイッチ41bによって入力される。それ以後、前述した分光画像形成の場合と同様にして色空間変換処理回路29により、それらの波長λ1,λ2,λ3および各画素毎のRGB信号を用いて前記(数1)式のマトリクス演算がなされる。
以上のようにして、上記(数1)式のマトリクス演算に基づいて、分光画像形成の場合と同様の分光画像信号λ1s,λ2s,λ3sが得られ、それらの信号の組合せからなる蛍光画像がモニタ34に表示される。
なお、前述した通りこの自家蛍光画像形成の場合は、管球14aの前にフィルタ14cが設定されて、被観察体に照射される白色光から該被観察体の自家蛍光の波長域の光がカットされる。そこで上記蛍光画像は、管球14aが発する光の影響は受けないものとなる。また上記3つの波長λ1,λ2,λ3は、例えば前記曲線Qrにおける蛍光強度が高い領域を該3つの波長のうちの1つに含む等、モニタ34に表示された自家蛍光スペクトルの状態を参考にして選択される。
本発明の一実施形態に係る電子内視鏡装置の構成を示すブロック図 図1の電子内視鏡装置を構成するプロセッサ装置の操作パネルの構成、および波長セットの例を示す図 図1の電子内視鏡装置のモニタにおける波長情報表示領域、およびその表示例を示す図 分光画像の波長域の一例を、原色型CCDの分光感度特性と共に示すグラフ 分光画像の波長域の一例を、生体の反射スペクトルと共に示すグラフ 図1の電子内視鏡装置の波長切換えスイッチで操作される波長切換え状態を示す図 図1の電子内視鏡装置において、単色モードで選択される波長セットを示す図 自家蛍光スペクトルの表示例を示す概略図
符号の説明
10 スコープ(電子内視鏡本体部)
12 プロセッサ装置
14 光源装置
14a 管球
14c フィルタ
15 CCD
17 CDS/AGC回路
20,35 マイコン
25 DSP
28 第1色変換回路
29 色空間変換処理回路
30 モードセレクタ
31 第2色変換回路
32 信号処理回路
34 モニタ
34s 波長情報表示領域
34p スペクトル表示領域
36 メモリ
41 操作パネル
41k 自家蛍光画像形成スイッチ
43 入力部
100 スペクトル演算手段
101 位置指定手段

Claims (5)

  1. 被観察体に白色光を照射する光源と、
    この白色光の照射を受けた前記被観察体を撮像するカラー撮像素子と、
    このカラー撮像素子の出力に基づくRGB3色画像信号から前記被観察体のカラー画像を表示する画像表示手段とを備えてなる電子内視鏡装置において、
    先見情報に基づく前記被観察体の自家蛍光のスペクトルデータを記憶した記憶部と、
    前記被観察体に照射される前記白色光から、前記自家蛍光の波長域の光をカットするフィルタと、
    このフィルタを経た白色光が照射された被観察体に関する前記RGB3色画像信号と、前記記憶部が記憶しているスペクトルデータとのマトリクス演算に基づいて、被観察体の自家蛍光画像を示す画像データを形成するマトリクス演算部とを備えたことを特徴とする電子内視鏡装置。
  2. 被観察体に白色光を照射する光源と、
    この白色光の照射を受けた前記被観察体を撮像するカラー撮像素子と、
    このカラー撮像素子の出力に基づくRGB3色画像信号から前記被観察体のカラー画像を表示する画像表示手段とを備えてなる電子内視鏡装置において、
    先見情報に基づく前記被観察体の自家蛍光のスペクトルデータを記憶した記憶部と、
    前記被観察体に照射される前記白色光から、前記自家蛍光の波長域の光をカットするフィルタと、
    前記画像表示手段上に表示されたカラー画像における所望の関心部位を指定する位置指定手段と、
    前記フィルタを経た白色光が照射されたときの被観察体に関する前記RGB3色画像信号のうち、前記位置指定手段により指定された関心部位についてのRGB3色画像信号と、前記記憶部が記憶しているスペクトルデータとのマトリクス演算により、該関心部位に関する被観察体の自家蛍光スペクトルを推定する演算手段と、
    推定された前記自家蛍光スペクトルを表示するスペクトル表示手段とを備えたことを特徴とする電子内視鏡装置。
  3. 前記スペクトル表示手段として前記画像表示手段が兼用されていることを特徴とする請求項2記載の電子内視鏡装置。
  4. 前記演算手段が求めた被観察体の自家蛍光スペクトルを示す情報を記憶しておく記憶手段が設けられるとともに、
    前記スペクトル表示手段が、この記憶手段から送出された情報が示す自家蛍光スペクトルを、それとは別に前記演算手段が新たに推定した自家蛍光スペクトルと併せて表示可能に形成されていることを特徴とする請求項2または3記載の電子内視鏡装置。
  5. 前記フィルタを通さない白色光が照射された被観察体に関する前記カラー撮像素子の出力に基づくRGB3色画像信号と、所定のマトリクスデータとの演算により、指定された波長の分光画像を示す分光画像信号を形成する分光画像形成回路がさらに設けられていることを特徴とする請求項1から4いずれか1項記載の電子内視鏡装置。
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