JP2010081970A - 連発式クリップ処置具 - Google Patents

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義明 松岡
Takayuki Iida
孝之 飯田
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勝福 崔
Koji Ito
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Abstract

【課題】微調整を行うことなく、操作ワイヤの潜り込み量を考慮に入れて、クリップ処置時のスタンバイ状態の連結リングが適正な位置に配置されるようにした連発式クリップ処置具を提供する。
【解決手段】シースが真直ぐの延ばされた基準状態から湾曲されたときのシースに対する操作ワイヤの移動量を潜り込み量β、また、スカート部の基端縁からクリップの後端縁までの距離を連結リングの保持長さk1、また、基準状態における、スタンバイ状態の連結リングのスカート部の基端縁からシースの先端縁までの距離を連結リングの突出量kとしたときに、これらの間に、
β<k<k1
の関係を成立させるような位置に、ガイド溝のストッパを形成した。
【選択図】図3

Description

本発明は、生体内等において止血や傷口の縫合や閉塞等に用いられる内視鏡用クリップ処置具の技術分野に係り、詳しくは、複数のクリップを連発して使用することができる連発式クリップ処置具に関するものである。
近年、内視鏡用クリップ処置具は、生体内に挿入した内視鏡の先端からクリップを突出させて、出血部や病変組織除去後の処置部をクリップで摘み、止血や傷口の縫合や閉塞を行うために用いられる。
ところで、内視鏡用クリップ処置具においては、シースの内径に比べて操作ワイヤが細いことから、シースと操作ワイヤとの間に比較的大きな空間ができてしまい、使用時にシースを湾曲させると、この空間により、シースと操作ワイヤの経路長に差が発生する。このため、例えば、シースを真直ぐに延ばして基準状態として、シースの先端縁と操作ワイヤの先端縁とを合わせた後、シースを湾曲させると、操作ワイヤの先端縁がシースの先端縁から内側に入り込む、いわゆる潜り込みが発生する。
このときの、シースの先端縁から操作ワイヤの先端縁までの距離を潜り込み量とすると、この潜り込み量は、シースおよび操作ワイヤの、長さ,太さ,作業時の曲率半径等によって、種々に変化する。つまり、潜り込み量は、たとえ、長さや太さが同じであったとしても、使用時のシースの形状や姿勢によって微妙に変化するため、あらかじめ予想することは困難である。
これに対し、クリップ処置作業においては、所定の処置対象部をクリッピングするため、操作者には、指でスライダを細かく進退させて、シースに対して操作ワイヤを微妙に進退させることが要求される。しかし、この場合、スライダの直線的な進退による移動量は、そのまま操作ワイヤに伝達されるため、微妙な動きを実現するのは難しい。
そこで、特許文献1では、連結位置調整手段を設けて、微調整を可能としている。このものは、操作ワイヤの基端部に対して、シースの基端部の位置を、軸を中心として回転するねじ構造によって微調整するようにしたものである。すなわち、シース連結部材の最先端部分に、内周面に雌ネジが形成された雌ネジ筒(連結位置調整手段)が一体に形成されている。これに対し、この雌ネジ筒と螺合する雄ネジが外周面に形成された雄ネジ筒が可撓性シースの基端に連結固着されている。これにより、可撓性シースを軸周りに回転させることにより、雌ネジ筒に対する雄ネジ筒の軸方向の位置が移動する。この結果、操作ワイヤに対する可撓性シースの基端部の位置が軸方向に変位することになる。つまり、可撓性シースと操作ワイヤとを相対的な位置を調整することができる。
特開2007−244826号公報
しかしながら、上述の特許文献に係る発明では、ホームポジションが設定されていないために、位置調整は、前回のクリッピ作業で位置調整した位置を基準として行う相対的なものとなる。つまり、基準となるホームポジションがないため,そのクリッピ作業における適正な位置を把握することができず、極端な場合には、毎回のクリップ処置ごとに位置調整が必要となるおそれがあり、作業が煩雑となった。
本発明の目的は、上述従来技術に基づく問題点を解消し、微調整を行うことなく、操作ワイヤの潜り込み量を考慮に入れて、クリップ処置時のスタンバイ状態の連結リングが適正な位置に配置されるようにした連発式クリップ処置具を提供することにある。
上述課題を解決するために、本発明は、筒状のハンドル本体と、前記ハンドル本体の軸方向に進退可能なスライダと、前記スライダの基端側への移動限界であるホームポジションおよび先端側への移動限界であるスタンバイ位置を規制するスライダ移動量規制部材と、前記ハンドル本体における前記軸方向の一端部に基端部が接続されて先端部側が長く延びる可撓性のシースと、一方の基端側に他方の先端側が係脱可能に連結された複数のクリップとこれらクリップの連結部分に嵌合された略円筒状の複数の連結リングを有し、前記シースの先端部の内側に装填されたクリップ列と、基端部が前記スライダに連結され、中間部が前記ハンドル本体の内側および前記シースの内側に挿通され、先端部が前記クリップ列の基端側に連結され、前記スライダの進退に伴って前記クリップ列を進退させる操作ワイヤと、を備え、前記スライダ移動量規制部材は、前記シースを真直ぐに延ばした基準状態において、前記ホームポジションから移動された前記スライダを前記スタンバイ位置に規制して、前記操作ワイヤを介して前記クリップおよびこれに対応する前記連結リングをスタンバイ状態とするストッパを有し、前記連結リングは、進退方向の中央に形成されて前記操作ワイヤの前進により前記シースの先端縁から押し出されたときに径方向に拡開し、前記操作ワイヤの牽引により前記シースの先端縁に当接して前記シース内への前記連結リングの逆行を禁止するスカート部を有し、前記シースが前記基準状態から湾曲されたときの前記シースに対する前記操作ワイヤの移動量を潜り込み量βとし、また、前記基準状態における、前記スタンバイ状態の前記連結リングの前記スカート部の基端縁から前記シースの先端縁までの距離を前記連結リングの突出量kとしたときに、前記ストッパは、前記潜り込み量βと、前記突出量kとの間に、
β<k
の関係を成立させるような位置に形成されている、ことを特徴とする連発式クリップ処置具を提供する。
また、前記潜り込み量が、前記シースの通常の使用状態における最大値に設定されている、ことが好ましい。
また、前記スカート部の基端縁から、前記クリップの後端縁までの距離を連結リングの保持長さk1としたときに、前記ストッパは、前記保持長さk1と、前記突出量kとの間に、
k<k1
の関係を成立させるような位置に形成されている、ことが好ましい。
また、前記連結リングにおける、前記スカート部の基端縁を基準として、前記潜り込み量αと等しい距離に、マークが付されている、ことが好ましい。
また、前記スライダは、前記ハンドル本体の軸方向に移動するスライド本体と、前記操作ワイヤの基端部が連結されて前記スライダ本体とともに移動するワイヤ固定部材と、前記スライド本体と前記ワイヤ固定部材との間に介装されて、前記スライド本体に対して前記ワイヤ固定部材の前記軸方向の位置を変更する調整機構とを備える、ことが好ましい。
また、前記調整機構には、前記ハンドル本体に対して、前記ワイヤ固定部材がホームポジションにあることを示すホームポジションマークが設けられている、ことが好ましい。
本発明の連発式クリップ処置具用操作ハンドルによれば、シースを真直ぐに延ばした基準状態において、スライダの先端側へのスタンバイ位置を規制してクリップおよび連結リングをスタンバイ状態とするストッパの位置を、クリップ処置時の、操作ワイヤの潜り込み量を考慮に入れて設定しているので、クリップ処置時に連結リングのスカート部を、シースの先端縁から確実に突出させて、スカート部を拡開させることができる。
以下、本発明に係る連発式クリップ処置具(以下「クリップ処置具」という。)について、添付の図面に示す実施形態を基に詳細に説明する。なお、クリップ処置具は、操作ハンドルの構成部材であるシースの先端部にクリップ列Rが装填されて構成されたものである。
なお、シースの「先端部」とは、内視鏡を用いてクリップ処置具による処置を行う際に、生体内に挿入される先端側の端部である。また、これとは逆の基端側(操作部側)の端部を「基端部」と言う。この先端−基端の位置関係は、後述する操作ワイヤ、クリップ、連結リング、操作部、およびこの操作部を構成する各部材等についても適用するものとする。また、「先端側」については「前」、「基端側」については「後」ということもある。これに伴い、「先端−基端方向」を、「前後方向」、「進退方向」ということもある。
図1(A)は、本発明のクリップ処置具10の先端部の概略構成を示す断面図であり、図1(B)は、図1(A)とは軸方向から見て90度異なる角度から見た、つまり、図1(A)における右方から見た断面図である。さらに詳しくは、図1(A)および(B)は、シース16の先端部のうちの、先端縁16a側の一部であるクリップ装填部17aおよびクリップ列Rの断面を示している。
図1(A)および(B)に示すように、図示例のクリップ処置具10は、3つのクリップ12(以下、区別が必要な場合には、クリップ12A,12B,12Cのように記す。)が連結されてシース16に収容されている。ここで、クリップ12Aは、1発目(はじめ)に使用される第1(先頭)のクリップであり、クリップ12Bは、2発目(次)に使用される第2(2番目)のクリップであり、クリップ12Cは、3発目(最後)に使用される第3(最後尾)のクリップである。
なお、シース16は、内視鏡用のクリップ処置具10で用いられている、通常のシースであり、例えば、金属ワイヤを密着巻きした可撓性のコイルシースである。
各クリップ12は、連結リング14(以下、区別が必要な場合には、連結リング14A,14B,14Cのように記す。)によって連結されている。ここで、連結リング14Aは、第1のクリップ12Aに対応する第1の連結リングであり、連結リング14Bは、第2のクリップ12Bに対応する第2の連結リングであり、連結リング14Cは、第3のクリップ12Cに対応する第3のクリップである。また、第3(最後尾)のクリップ12Cには、ダミークリップ18が連結されていて、このダミークリップ18にはさらに連結部材19が連結されている。操作ワイヤ20の先端縁20aに固定された接続部材(フック)21は、連結部材19に対して係脱可能である。後に詳述するが、操作ワイヤ20は、シース16内を挿通されて、後述する操作部50(図1参照)のワイヤ固定部材58に接続され、シース16内を前後に移動(進退)することができる。
なお、図1(A)および(B)は、第1のクリップ12Aによるクリップ処置動作開始直前の初期状態(スタンバイ状態)を示している。
図1(A)および(B)に示すように、1つのクリップ12と、後述する1つの締付リング40を有する1つの連結リング14とは、1つの内視鏡用の止血クリップ体を構成する。そして、この止血クリップ体が複数(図示例では3組)連なって、長尺なクリップ列Rを構成し、このクリップ列Rがシース16のクリップ装填部17aに装填されている。
操作部50(図4参照)から操作ワイヤ20を所定の牽引長さだけ牽引し、ダミークリップ18を基端側に所定長さ移動させることで、3個の一連のクリップ12が同量だけ移動し、第1のクリップ12Aがそれを保持する第1の連結リング14Aの先端の締付リング40によって締め付けられて、第1のクリップ12Aによる止血やマーキング等のためのクリップ処置(クリッピング)が行われる。第1のクリップ12Aによるクリップ処置が完了した後、操作ワイヤ20をシース16の先端側へ所定の長さだけ押し出すことで、第2のクリップ12Bが使用可能な状態(スタンバイ状態)となり、続けてクリップ処置を行うことができる。
なお、図1(A)および(B)では、第1のクリップ12Aがシース16の先端縁16aから突出して開いた状態の図としてあるが、クリップ12等をシース16へ装填するときは、第1のクリップ12Aがシース16の内部に完全に納まった状態でセットされる。また、図1(A)および(B)では、クリップ12を3つとし、3連発式のクリップ処置具10としてあるが、クリップ12の数は、2つ以上いくつであってもよい。
図2は、図1に示すクリップ12の概略構成を示す斜視図である。同図に示すように、クリップ12は、爪部22に対して180度ターンしたターン部24を有するクローズクリップであり、2つの開放端は、端部が対向するように屈曲させて爪部22,22を形成した形状をしている。交差部26を境にして、開放端側が腕部28,28であり、閉塞端側がターン部24である。腕部28,28の中央部分には、部分的に広幅とされた凸部30,30が形成され、各腕部28は、凸部30によって爪部22側の先部28aと、交差部26側の基部28bとに分けられている。クリップ12には、生体適合性のある金属を用いることが好ましく、例えば、ステンレス鋼を用いることができる。
クリップ12は、その交差部26に嵌められた連結リング14の先端部分に固定された締付リング40が、腕部28,28の基部28b,28bを押圧しながら爪部22,22の方(凸部30,30の方)へ向かって所定量移動することにより、その腕部28,28および爪部22,22が閉じ、爪部22,22において所定の咬頭嵌合力(把持力)を発揮する。
爪部22,22は、出血部や病変組織除去後の処置部等の処置対象部を確実に摘むために、V字のオス型とメス型とに形成されている。
また、図2に示すように、クリップ12の腕部28は、その先部28aにおいては、爪部22から凸部30まで幅が一定で変わらないのに対し、基部28bにおいては、交差部26から凸部30に掛けて徐々に幅が広くなり、凸部30近傍では一定幅となっており、締付リング40の移動を容易かつ確実にして爪部22,22の開放や、閉止および嵌合を容易かつ確実にし、生体内等における止血や傷口の縫合や閉塞等を容易かつ確実にしている。
凸部30は、連結リング14の先端側の開口(後述する締付リング40の穴43、図3(B)および(C)参照)および基端側の開口(後述する保持部42の穴43)内径よりも広い幅、すなわち凸部30が当接する部分よりも広い幅とされている。したがって、クリップ12の凸部30以外の部分は、連結リング14の内部に侵入できるが、凸部30は、連結リング14の先端側からも基端側からも、その内部に侵入できない。
図1(A)および(B)に示すように、第1のクリップ12Aと第2のクリップ12Bは、第2のクリップ12Bの爪部22が第1のクリップ12Aのターン部24に係合して閉じた状態で第1の連結リング14Aに保持されることで連結状態とされる。図2(A)に示すように、第2のクリップ12Bの爪部22、22は、第1クリップ12Aのターン部24に直交方向に噛みあって結合し、第1のクリップ12Aと第2のクリップ12Bは、90度異なる向きで連結される。同様に、第2のクリップ12Bと第3のクリップ12Cも90度異なる向きで連結されている。つまり、第1のクリップ12Aと第3のクリップ12Cとは、同じ向きで配置されている。
連結リング14は、前後の2つのクリップ12,12の係合部を覆って連結状態を維持しつつ、シース16に進退可能に嵌入されている。すなわち、連結リング14は、その外径がシース16の内径よりやや小さく、クリップ12の移動に伴ってシース16内をスムーズに進退移動することができる。図3(A)は、図1に示す連結リング40の一例を示す正面図であり、図3(B)は、図3(A)に示す連結リング40の断面図であり、図3(C)は、図3(A)に示す連結リング40の底面図である。
図3(A)〜(C)に示すように、連結リング14は、締付リング40と保持部42とからなる。連結リング14は、樹脂製の保持部42の先端に、金属製の締付リング40が固定され、2部材で一体構成とされている。樹脂製の保持部42がクリップ12の連結状態の維持およびクリップ12の連結リング14内での保持を担当し、金属製の締付リング40がクリップ12の締め付けを担当する。なお、連結リング14は、締付リング40および保持部42の両機能を発揮できれば、1部材で形成してもよい。
締付リング40は、連結リング14の先端側に取り付けられた金属製の円筒状(リング状)の部品であり、クリップ12の交差部26近傍の幅よりも大きく、凸部30の幅よりも小さい内径の穴41が形成されている。したがって、締付リング40は、保持するクリップ12の交差部26の近傍を移動することができるが、凸部30を超えて先端側へは抜けられない。すなわち凸部30が、クリップ12に対して前進する連結リング14の移動限界を決めるストッパとして機能する。
締付リング40は、クリップ12の交差部26の近傍の所定位置にセットされる。締付リング40は、その初期位置から、クリップ12の腕部28が幅広になる、交差部26から凸部30の側へ移動することで、拡開しているクリップ12の両方の腕部28,28を閉じさせて固定する締め付け機能を有している。締付リング40には、生体適合性のある金属が用いられる。締付リング40を金属製とすることで、金属製のクリップ12に対して締付力となる摩擦力を発揮させることができる。
保持部42は、樹脂成形された概略円筒状(リング状)の部品である。保持部42は、前のクリップ12を保持する第1領域32と、前のクリップ12に連結した状態で後のクリップ12を保持する連結保持領域である第2領域34とを有している。保持部42には、締付リング40の穴41に連通し、第1領域32および第2領域34を貫通する穴43が形成されている。
第1領域32には、クリップ12のターン部24および腕部28,28の基部28b,28bを収容可能な、締付リング40の穴41よりも大きな円形の穴43が形成されている。第1領域32の先端部の外面には、締付リング40を嵌めるための段付き部が形成されており、締付リング40と保持部42とは、シース16に装填された状態およびクリッピング操作時において外れない程度の締まり嵌めで嵌め合わされている。
また、第1領域32は、連結リング14本体の軸に対して後端側(下方)がスカート状に傾斜して広がるスカート部38を有している。
スカート部38は、先端側、すなわち図3(A)および(B)における上方の付け根38aが保持部42の本体42aにつながっており、下方の広がり部分38bが、本体42aに形成された切り込み36によって本体42aから一部切り離されて、半径方向に広がったり閉じたりするようになっている。スカート部38は、クリップ12の牽引方向、すなわち図3(A)および(B)の上下方向において同じ位置に、180度離れた両側の2箇所に形成されている。
両側のスカート部38,38は、外力が付与されない自然状態では、図3(A)に示すように、その広がり部分38bがスカート状に広がる。このとき、保持部42の第1領域32の内部は、図3(B)に示すように、円柱状の空間となっている。一方、連結リング14がシース16内へ装填されるときは、例えば、図1(B)の第2の連結リング14Bに示すように、スカート部38(その広がり部分38b)が内側に押し込まれて内部空間へ入り込み、スカート部38(その広がり部分38b)の内周側の部分が、第1領域32に保持される第2のクリップ12Bのターン部24の側面(エッジ部)を押圧して、第2のクリップ12Bが第2の連結リング14B内で回転方向および進退方向に移動しないように保持する。なお、スカート部38が、第2領域34に保持されるクリップ12、すなわち後のクリップ12を押圧して保持するようにしてもよい。
スカート部38,38は、図1(A)の第1の連結リング14Aに示すように、シース16の先端縁16aから抜け出ると同時に、それ自体の弾性によって開き、第1のクリップ12Aの保持を解除するとともに、シース16の内径よりも広幅となって、第1の連結リング14Aのシース16内への後退を阻止する。この状態で操作ワイヤ20が牽引され、第1のクリップ12Aが後退することで、第1の連結リングAが第1のクリップ12Aに対して相対的に前進し、第1の連結リング14Aの先端部の締付リング40により、第1のクリップ12Aを締め付ける。
したがって、スカート部38は、シース16の内部では内側へ閉じることができ、シース16の先端縁16aから出て外力から解放されるとスカート状に広がるように、弾性を有していることが必要である。それとともに、スカート部38は、シース16の内部でクリップ12を保持できる剛性と、シース16の先端部でクリップ12の締付力の反力に耐える剛性とを有していることも必要である。ここで、図3(B)に示すように、スカート部38の基端縁38c(図3(B)では下端縁)から連結リング14の基端縁14aまでの長さを、保持長さk1とすると、この保持長さk1は、第2領域34の領域長さと略等しい。また、スカート部38がシース16の先端縁16aから突出されている状態における、シース16の先端縁16aからスカート部38の基端縁38cまでの距離を連結リング40の突出量kとする。この突出量kと、上述の保持長さK1および後述する操作ワイヤ20の潜り込み量αとの関係は、好適に設定する必要がある。この点については後に説明する。
これらの観点から、保持部42には、生体適合性があり、かつ、スカート部38に要求される弾性および剛性を満たす材料が用いられる。また、その形状は、スカート部38に要求される弾性および剛性を満たすように定められる。このような保持部42の材料としては、例えば、PPSU(ポリフェニルサルホン、polyphenylsulfone)、芳香族系ナイロンなどを用いることができる。製造の容易さから、保持部42は、一体成形されるのが好ましい。
第2領域34は、第1領域32の基端側に設けられており、第1領域32に保持されるクリップ12に係合する次のクリップ12、具体的には、その爪部22,22および腕部28,28の先部28a,28aを、その爪部22,22が先のクリップ12のターン部24の閉塞端(尾部)を挟んで閉じた状態で保持する。
第2領域34は、領域長さとして、クリップ12に対して初期位置にセットされた締付リング40が、クリップ12の締め付けを完了するまでに要する移動長さとほぼ等しい長さを持つ。すなわち、連結リング14の第2領域34は、クリップ12が連結リング14に対して相対的に後退して締め付けられていく間、その内部に保持する2つのクリップ12,12の連結を保持して、後のクリップ12の牽引力が前のクリップ12へ伝達されるようにするとともに、締付リング40による締め付けが完了したときには、2つのクリップ12,12の係合部が第2領域34から外れることにより、そのクリップ12、12の連結を解除する。
第2領域34には、図3(B)および(C)に示すように、第1領域32から貫通する同じ内径の穴43が形成され、さらに、その対向する2箇所に溝(凹部)43aが形成されている。また、第2領域34には、図3(A)〜(C)に示すように、その基端から切り込むスリット46が2箇所に形成されている。
溝43a,43aは、第2領域34に保持されるクリップ12の腕部28,28の先部28a,28aを、爪部22,22が閉じた状態で収容可能である。溝43a,43aは、第2領域34に保持されるクリップ12の爪部22の開閉方向(図3(B)中、左右方向)の両側2箇所に設けられている。第2領域34に保持されるクリップ12の腕部28,28の先部28a,28aの板面は、溝43a,43aの内壁に当接する。また、溝43aの幅は、腕部28に形成された凸部30の幅よりは小さい。したがって、第2領域34に保持されるクリップ12の凸部30は、溝43aに進入できない。
こうすることにより、後のクリップ12(例えば、第3のクリップ12C)の前のクリップ12(例えば、第2のクリップ12B)への潜り込みを防止することができ、その結果、前後のクリップ12,12の相対位置を維持でき、操作ワイヤ20(スライダ80、図4参照)によるクリップ12の押出操作を維持できる。
2つのクリップ12,12の係合部は、第2領域34の、第1領域32との境目に近接する部分に保持される。前のクリップ12(例えば、図1(B)の第2の連結リング14Bにおける第2のクリップ12B)は、シース16の内部においては、ターン部24が第1領域32の閉じたスカート部38によって保持されているので、進退移動および回転移動が抑えられている。また、前のクリップ12に係合する後のクリップ12(例えば、図2(B)の第2の連結リング14Bにおける第3のクリップ12C)は、第2領域34の溝43aによって前のクリップと90度異なる方向に保持されることにより、回転移動が抑えられ、進退移動が抑えられた前のクリップ12に係合することにより、進退移動が抑えられている。すなわち、前後のクリップ12,12の係合部は、遊びが非常に小さい状態で、連結リング14によって保持される。
スリット46は、スカート部38,38から90度ずれた2箇所に、第2領域34の上端よりも浅い位置まで形成されている。言い換えれば、スリット46は、第2領域34に保持されるクリップ12の拡開方向から90度ずれた位置に設けられている。
スリット46を設けることにより、連結リング14のフレキシブル性を向上させることができ、クリップ処置具10(そのシース16)は、曲率の小さい湾曲部を通過することができる。また、スリット46を設けることにより、連結リング14の裾(基端部)が一部めくれるようになるため、シース16へのクリップ12の装填前に前後のクリップ12,12を連結させる際に、連結リング14の裾をめくることで容易に連結させることができるという利点もある。
上述のような構成のクリップ12および連結リング14からなる止血クリップ体は、処置対象部分(把持すべき部分)の大きさに応じて、複数種類のサイズのものが用意されており、同じ種類のクリップ12を複数連結させたものがクリップ処置具10に装填される。具体的には、クリップ12としては、上述のクリップ12と基本的な形状は同様であるが、腕部28やターン部24の長さが異なり、クリップ12全体の長さも異なるものが用意されている。また、連結リング14も、基本的な形状は同様であるが、クリップ12の種類ごとに各部の寸法が異なるものが用いられる。
図1に示すように最後尾の第3のクリップ12Cには、クリップ処置には用いられないダミークリップ18が係合している。ダミークリップ18は、先端部に、クリップ12の交差部26から開放端側半分の部分と類似の形状をしたばね性を持つ部分を有しており、爪部22,22を閉じた状態で第3のクリップ12Cのターン部24に係合し、爪部22,22を開くと第3のクリップ12Cを開放する。また、ダミークリップ18の基端部には連結部材19が取り付けられている。この連結部材19は、後述する操作ワイヤ20の先端のフック状の接続部材(フック)21に着脱可能に接続されている。
シース16は、例えば、金属ワイヤを密着巻きした可撓性のコイルシースである。シース16は、その内部に、先端側においてクリップ12が移動可能に嵌入され、クリップ12に、ダミークリップ18および連結部材19を介して接続されている操作ワイヤ20を収納するもので、基端側において操作部50に接続される。シース16は、先端部に、その内側にクリップ列Rが引き込まれるクリップ装填部17aを有している。クリップ装填部17aは、シース16の先端部における先端縁16a側に設けられていて、その内径および外径とも他の部分(細径部17b)のそれらよりも大径に形成されている。
このクリップ装填部17aと細径部17bとの境界となるなだらかな段部17cが、後述するシース受け90に係合されるようになっている。具体的には、例えば、シース16の細径部17bの外径が2.1mmであるのに対し、シース16のクリップ装填部17aは、内径が2.1mm、外径が2.8mmとなっている。なお、この段部17cは、第2の位置決めマークに相当し、後述するシース受け90の係合溝92側の段部94a(第1の位置決めマークに相当する)に係脱されることになる。
操作ワイヤ20は、一連のクリップ処置において、複数のクリップ12を進退動作させるもので、例えば金属ワイヤからなり、シース16内に収納され、先端部(操作部50とは反対側の端縁)には接続部材21が設けられている。操作ワイヤ20は、その先端部が接続部材21によって連結部材19およびダミークリップ18を介してクリップ12に接続され、接続部材21が取り付けられていない側の基端部が操作部50に接続されている。また、上述したように、シース16の基端部も、操作ワイヤ20とともに、後述する操作部50に取り付けられている。
操作ワイヤ20の接続部材21とダミークリップ18の連結部材19とは、クリップ12および操作ワイヤ20が進退動作する際、すなわち、シース16内を移動する際に、外れないように、一方の部材に他方の部材を嵌め込むことができる形状となっている。接続部材21を連結部材19に嵌め込む形状とし、接続部材21を連結部材19の空間に嵌め込むことで、操作ワイヤ20が操作部50側に牽引された場合にも、接続部材21の操作部50側の面が連結部材19の開口が形成されている面により支持されるため、接続部材21が連結部材19から外れることを防止することができる。
次に、操作ハンドル48の操作部50について詳細に説明する。
図4は、操作部50を、その軸C(本体レール52の軸Cと同一)を含む平面で切ったときの断面を模式的に示す断面図である。ここで、操作部50とは、操作ハンドル48から、シース16、操作ワイヤ20、および接続部材21を除いた部分である。
操作部50は、先端側(図4中では左側)にシース16の基端部16cが接続され、また、基端側(図4中では右側)に、操作者によって指が掛けられる指掛けリング56を有している。
操作部50は、図4に示すように、軸Cに配設されてハンドル本体を構成する本体レール52と、この本体レール52の先端に固定された細い円筒状の先端部材54と、本体レール52の基端に取り付けられた指掛けリング56と、本体レール52の外側にそれぞれ設けられたワイヤ固定部材58、調整ダイヤル60、スライダ本体62、およびロックダイヤル64と、先端部材54の外側にそれぞれ設けられたスライダガイド(スライダ移動量規制部材)66、および位置規制部材68とを有している。なお、本実施形態では、スライダ本体62と、ワイヤ固定部材58と、調整ダイヤル60と、ロックナットと、スライダピン70とによって、スライダ(スライダユニット)80を構成している。
シース16の基端部16cは、先端部材54の先端に保持され、操作ワイヤ20の基端部20cは、ワイヤ固定部材58のワイヤ接続部58aに保持される。操作者は、例えば、指掛けリング56に親指を掛け、スライダ本体62に人差し指と中指を掛けて、スライダ本体62を指掛けリング56に対して進退方向にスライド移動させることができる。スライダ本体62が移動すると、ワイヤ固定部材58もともに移動し、ワイヤ接続部58aに保持された操作ワイヤ20もともに移動する。一方、シース16は、先端部材54の先端に保持されている。したがって、指掛けリング56に対するスライダ本体62の移動操作によって、シース16に対して操作ワイヤ20を進退移動させることができる。以下、操作部50の各部の構成について詳述する。
本体レール52は、図5に示すように、円筒部52aから、断面が略半円状の2つの棒部材52b,52bが先端側に延びた形状を有している。2つの棒部材52b,52bは、平面部を対向させて、その間に所定の間隔を空けて配置されており、両部材の曲面は、1つの円筒面を形成している。言い換えれば、棒部材52b,52bは、円筒部52aと同軸でそれよりも細い円柱の中央を、その軸線に沿って所定幅で削り落とした形状である。本体レール52は、図4では、図中手前側の棒部材52bが取り除かれ、奥側の棒部材52bの平面部が表示されている。
2つの棒部材52b,52bの間隔は、ワイヤ固定部材58のワイヤ接続部58a、および、スライダ本体62に取り付けられるスライダピン70の先端部分が挿入可能な寸法とされている。図4に示すように、ワイヤ接続部58aおよびスライダピン70は、先端が2つの棒部材52b,52bの間に挿入され、棒部材52b,52bにガイドされて、本体レール52の延在方向に移動できる。すなわち、本体レール52は、棒部材52b,52bが、ワイヤ接続部58a(ワイヤ固定部材58)およびスライダピン70(スライダ本体62)のレールとして機能する。
先端部材54は、細長い筒状部54aとその基端部の径が大きいフランジ部54bとを有している。フランジ部54bの基端側の端面には、上述の本体レール52の先端が固定されている。また、筒状部54aの先端には、シース16の基端部16cが挿入されて保持されている。操作ワイヤ20は、シース16の基端縁16bから出て、先端部材54の内部の空間を貫通している。先端部材54の筒状部54aの外径は、先端部材54の外側に配置されるスライダガイド66の先端部分(把持部76)の内径にほぼ等しく、フランジ部54bの外径は、スライダガイド66の後端部分(ガイド部78)の内径にほぼ等しい。これにより、スライダガイド66が先端部材54に対して周方向に摺動可能となっている。
指掛けリング56は、操作者が指を挿入可能な大きな透孔56aを有する部品であり、本体レール52の基端部の円筒部52aに取り付けられている。
ワイヤ固定部材58は、本体レール52の2つの棒部材52b,52bの外径とほぼ等しい内径を有する円筒状の部材である。ワイヤ固定部材58の基端部分の外周面には雄ねじ58bが螺刻されている。ワイヤ固定部材58の軸方向の略中央部には、内面側へ突出するワイヤ接続部58aが形成されている。先端部材54を貫通して基端側(後方)に延びる操作ワイヤ20の基端縁20bは、ワイヤ接続部58aにおける、ワイヤ固定部材58の軸C(操作部50の軸Cと同じ。)に一致する位置に固定される。なお、操作ワイヤ20は、シース16の基端縁16bから少し先端側(前側)に入った部分からワイヤ接続部58aに至までの範囲が、補強管72によって覆われており、操作部50の内部では屈曲したり湾曲したりすることなく略直線状を維持するように補強されている。
調整ダイヤル60は、ワイヤ固定部材58の外側に嵌められたフランジ付きの円筒状部品であり、円筒部60aとその外周面の基端部に設けられたフランジ部60bとを有している。調整ダイヤル60の内周面には雌ねじ60cが螺刻されていて、この雌ねじ60cが、ワイヤ固定部材58の雄ねじ58bに螺合されている。調整ダイヤル60は、フランジ部60bが操作者によって回されることで、その回転方向に応じて、ワイヤ固定部材58の雄ねじ58bに沿って前進または後退する。調整ダイヤル60の円筒部60aの外周面における先端寄りには、環状の係合凸部60dが全周にわたって設けられている。この係合凸部60dは、後述するスライダ本体62の内周面に全周にわたって形成された環状の係合凹部62fに係合されている。調整ダイヤル60には、図10に示すように、ホームポジションマーク60eが設けられている。
ホームポジションマーク60eは、調整ダイヤル60のフランジ部の60bの外周面に、母線に沿った溝状に形成されている。このホームポジションマーク60eは、次に説明するスライダ本体62の大径部62bの外周面に切欠状に設けられたホームポジションマーク62gに合わせることにより、スライダ本体62に対してワイヤ固定部材58を軸方向の所定の位置に位置決めするものである。すなわち、スライダ本体62側のホームポジションマーク62gに、調整ダイヤル60側のホームポジションマーク60eを一致されることにより、スライダ本体62(スライダ80)、ひいては本体レール52に対して、操作ワイヤ20の基端縁20bの位置が所定の位置(ホームポジション)に規定される。
ここで、ホームポジションマーク60eを、スライダ本体62側のホームポジションマーク62gに合わせた状態の調整ダイヤル60は、一方向(例えば、図10中の矢印a方向)に回転させることにより、ワイヤ固定部材58を基端側(後側、図4中では右側)に移動させて操作ワイヤ20を基端側に引き、逆に他方向(例えば、図10中の矢印b方向)に回転させることにより、ワイヤ固定部材58を先端側(前側、図4中では左側)に移動させて操作ワイヤ20を押し出すことができる。つまり、ホームポジションマーク60eを合わせた状態の調整ダイヤル60を、一方向または他方向に回転させることで、操作ワイヤ20を引いたり押したりすることができる。なお、操作ワイヤ20の引き側のストロークと、押し側のストロークとは、必ずしも一致させる必要はなく、例えば、シース16に対する操作ワイヤ20の引き側の微調整が多い場合には、引き側のストロークを大きくとるようにすればよい。
スライダ本体62は、外周側が糸巻き状に形成され、内周側には、前後方向に貫通する透孔が形成されている。外周側は、前後方向の中央部分に小径部62aが形成され、前後方向の両端部分には、それぞれ大径部62b,62bが形成されている。これにより、操作者は、3本の指の操作で容易にスライダ本体62を往復移動させることができる。すなわち、操作者は、指掛けリング56に親指を入れ、小径部62aを人差し指と中指とで軽く挟み、人差し指および中指の背で前側の大径部62bの基端側の面を先端側に押すことで、スライダ本体62を先端側に移動させ、逆に、人差し指および中指の腹で後側の大径部62bの先端側の面を後端側に引くことで、スライダ本体62を基端側に移動させることができる。
一方、内周側の透孔は、前後方向の中央よりも少し前寄りに形成された段部62cを境に前側が小内径孔62dに、また後側が大内径孔62eに形成されている。大内径孔62eには、段部62c寄りに、全周にわたって環状の係合凹部62fが形成されている。
スライダ本体62の透孔には、基端側からワイヤ固定部材58および調整ダイヤル60が挿通されている。ワイヤ固定部材58は、透孔のうちの基端側の大内径孔62eを基端側から貫通し、さらに、先端側を小内径孔62dの基端側に挿入させている。また、調整ダイヤル60は、その円筒部60aを大内径孔62eに挿入させている。
すなわち、調整ダイヤル60は、内側の雌ねじ60cをワイヤ固定部材58の雄ねじ58bに螺合させ、さらに円筒部60aの外周面の係合凸部60dを、大内径孔62eの係合凹部62fに係合させた状態で、挿入されている。これにより、調整ダイヤル60は、軸方向には、スライダ本体62と一体的に移動するが、周方向には、スライダ本体62に対して回転自在となっている。
ロックダイヤル64は、内周面にワイヤ固定部材58の基端部の雄ねじ58bに螺合する雌ねじ64aが螺刻されたリング状の部品である。調整ダイヤル60によってワイヤ固定部材58の位置が調整された後に、ロックダイヤル64を調整ダイヤル60の基端側の端面に当たるまで締められることで、調整後の調整ダイヤル60の位置がロックされる。
スライダ本体62と調整ダイヤル60とは、それぞれの係合凹部62fと係合凸部60dとによって係合し、また、調整ダイヤル60およびロックダイヤル64とワイヤ固定部材58とは、ねじ部分によって螺合されているので、スライダ本体62が進退方向(図中左右方向)へ動かされると、これらの4つの部品が一体的に移動する。つまり、これら4つの部品によって調整機構82が構成され、さらにこれにスライダピン70を加えて、本体レール52に対して進退するスライダ(スライダユニット)80が構成されている。図示例では、調整機構82は、スライダ80に搭載されて、スライダ80と一体となって進退移動する。
スライダピン70は、スライダ本体62の先端部分に、外側から内側へ差し込んで固定されている。スライダピン70は、その先端が、本体レール52の棒部材52b,52bの間に達しており、2つの棒部材52b,52bの間を前後方向(軸方向)に移動できる。
スライダガイド66は、先端部材54の外側に設けられた略円筒状の部材である。上述したように、スライダガイド66の先端側の把手部76の内径は、先端部材54の筒状部54aの外径とほぼ等しく、また、スライダガイド66の基端側のガイド部78の内径は、先端部材54のフランジ部54bの外径とほぼ等しく設定されていて、スライダガイド66全体は、フランジ部54bに摺動可能に支持されている。また、スライダガイド66のガイド部78の外径は、スライダ本体62の内径よりわずかに小さく、スライダ本体62が先端側へ移動したときに、スライダ本体62の内側へ入り込むことができる。スライダガイド66は、操作者の操作によって、その先端の位置規制部材68に対して回転移動するため、操作者が持ちやすいように、外面に傾斜面66aが形成されている。
先端部材54のフランジ部54bとスライダガイド66の内面との間には、先端部材54を中心としてコイルばね74が配置されている。コイルばね74は、圧縮ばねであり、固定部材である先端部材54(その筒状部54a)に対して、スライダガイド66を先端側へ付勢して、位置規制部材68に押し付けている。位置規制部材68は、本体レール52に固定されている先端部材54に対して、固定されている。すなわち、本体レール52を中心として、この本体レール52の基端側には指掛けリング56が固定され、本体レール52の先端側には先端部材54が固定され、この先端部材54には位置規制部材68およびシース16が固定されている。つまり、本体レール52、指掛けリング56、先端部材54、位置規制部材68、およびシース16は、一体に構成されている。
図6および図7を参照して、スライダガイド66および位置規制部材68についてさらに詳細に説明する。図6(A)は、スライダガイド66の斜視図であり、図6(B)は、スライダガイド66の基端側の円筒状のガイド部78の展開図である。また、図7は、位置規制部材68の斜視図である。
図6(A)に示すように、スライダガイド66は、先端側の把持部76と基端側のガイド部78とが一体に形成されている。把持部76は、その先端側に、位置規制部材68と接合する接合部76aが形成されていて、その端面には、周方向において2辺の傾斜角が異なる鋸波形状の凸部77aが90度間隔で4つ形成されている。この鋸波形状の凸部77aは、一方の面は傾斜角が緩やかな緩斜面76bとなり、他方の面は傾斜角が略直角となっている。図7に示すように、位置規制部材68の後端部の、スライダガイド66と接合する接合部68aにも、スライダガイド66の接合部76aと同様に、4つの凸部69aとこれらの間の4つの緩斜面(凹部)69bが設けられている。
スライダガイド66は、位置規制部材68と噛み合った状態でコイルばね74によって位置規制部材68に押し付けられているため、操作者からの外力が作用しない限り、スライダガイド66は位置規制部材68に対して回転しない。また、位置規制部材68とスライダガイド66とは、鋸波形状の凹凸で噛み合っているので、操作者がスライダガイド66を軸周りに回そうとした場合に、スライダガイド66は、その接合部76aの凸部77aと位置規制部材68の接合部68aの凸部69aの、互いの急斜面(略直角面)が離れる方向には回転するが、その反対の急斜面が当接する方向へは回転しない。図示例では、スライダガイド66は、基端側(図6(A)の右側)から見て反時計回りには回転できるが、時計回りには回転できない。
スライダガイド66は、接合部76aの緩斜面77bが位置規制部材68の接合部68aの緩斜面69bに沿って回転し、90度回転して互いの頂点を乗り越えると、次の凹凸で噛み合う。それにより、スライダガイド66は、90度ずつ回転する。
スライダガイド66の基端側のガイド部78には、図6(B)に示すように、基端側端面から回転軸に沿って直線状に延在する4本のスライダガイド溝66A,66B,66C,66Dが、90度間隔で形成されている。これらスライダガイド溝66A〜66Dは、図6(B)に示すように、それぞれ溝の長さが異なる。つまり、スライダガイド溝66A,66B,66C,66Dには、それぞれの基端側に、スライダピン70の先端側への位置を規制するストッパA,B,C,Dが進退方向の異なる位置に形成されている。図示例では、ストッパA、ストッパD、ストッパC、ストッパBの順に、基端側(同図中では左側)に配置されていて、これに伴い、スライダガイド溝66Aが最も長く、スライダガイド溝66D、スライダガイド溝66C、スライダガイド溝66Bの順で短くなっている。
なお、図4では、図中上側に、最も短いスライダガイド溝66Bが、また、下側には2番目に長いスライダガイド溝66Dが表れている。
スライダガイド溝66A〜66Dは、スライダピン70のガイド溝としての機能を有し、その溝の幅は、スライダピン70の径とほぼ等しい。スライダガイド66が90度回転するごとに、スライダガイド溝66A〜66Dの何れかが、本体レール52のレール位置、すなわち2つの棒部材52b,52bの間の位置に一致するように配置される。したがって、操作者の操作によってスライダ80が進退方向に移動するときは、スライダピン70は、先端部分が本体レール52に案内されると同時に、中間部分がスライダガイド溝66A〜66Dの何れかに案内され、スライダ80の移動量は、スライダガイド溝66A〜66Dの長さ、つまり、ストッパA〜Dの位置によって定められる。
すなわち、スライダガイド66は、スライダガイド溝66A〜66Dにより、本体レール52に沿って移動するスライダピン70の先端側への移動限界をストッパA〜Dが規定することで、スライダ80の移動位置を規定して、ワイヤ固定部材58に接続された操作ワイヤ20の移動位置を規定する。
ストッパAは、これにスライダピン70が当接されることで、クリップ列Rの装填作業時のスライダ80の先端側への移動限界、ひいては後述する操作ワイヤ20の突出長さdを規定する。
ストッパBは、これにスライダピン70が当接されることで、後述する第1の連結リング14Aの突出量kを規定して、1発目のクリップ処置動作時のクリップ12Aをスタンバイ状態とする。ここで、スタンバイ状態とは、クリップ12が爪部22,22を開いて、クリップ処置動作可能な(使用可能)状態となることをいう。
同様に、ストッパCは、これにスライダピン70が当接されることで、後述する第2の連結リング14Bの突出量kを規定して、2発目のクリップ処置動作時のクリップ12Bをスタンバイ状態とする。
同様に、ストッパDは、これにスライダピン70が当接されることで、後述する第3の連結リング14Cの突出量kを規定して、3発目のクリップ処置動作時のクリップ12Cをスタンバイ状態とする。
ここで、図4を参照して、以上説明した操作部50を構成する各部材、およびこれにシース16、操作ワイヤ20、連結部材19を加えた操作ハンドル48を構成する各部材の動き、つまり、不動か可動か、また、可動である場合には、前後方向に移動か、周方向に回転か等について整理する。
まず、不動の部材の中心として本体レール52があり、この本体レール52の基端部に指掛けリング56が固定されている。また、本体レール52の先端には、先端部材24が固定されている。そして、この先端部材24に対して、位置規制部材68が固定され、また、シース16の基端部16cが固定されている。つまり、本体レール52と指掛けリング56と先端部材24と位置規制部材68とシース16とは、相互の位置関係を変化させることなく、全体として一体に構成されている。なお、シース16は、可撓性を有していて、その形状や姿勢は変化するが、その基端部16cに限れば、先端部材54に固定されていて、その位置は不動である。つまり、シース16の基端縁16bの位置は、本体レール52等の不動の部材に対して常に一定である。
これに対して、スライダ本体62と、ワイヤ固定部材58と、調整ダイヤル60と、ロックダイヤル64と、スライダピン70とは、相互に係合されて全体としてスライダ(スライダユニット)80を構成している。つまり、スライダ80は、全体として、本体レール52に対して、前後方向に進退することが可能である。さらに、スライダ80は、スライダピン70以外の部材、すなわちスライダ本体62と、ワイヤ固定部材58と、調整ダイヤル60と、ロックダイヤル64とによって調整機構82を構成している。すなわち、スライダ本体62に対して、前後方向移動不能で、周方向移動可能な調整ダイヤル60を回転させると、その回転方向に応じて、前後方向移動可能で、周方向移動不能なワイヤ固定部材58が前後方向に移動する。
このワイヤ固定部材58のワイヤ接続部58aには、操作ワイヤ20の基端縁20bが接続されている。したがって、調整ダイヤル60を回転させることで、ワイヤ固定部材58を前後方向に移動させて、操作ワイヤ20の基端の位置を、シース16の基端縁16bに対して移動させることができる。本実施形態では、スライダ80に調整機構82を搭載しているということもできる。また、ロックダイヤル64は、ワイヤ固定部材58の雄ねじ58bに倣って主に回転可能である。なお、スライダ80全体を前後方向に移動させることで、シース16の基端縁16bに対して、操作ワイヤ20の基端縁20bの位置を大きく移動させることができる。これと比較して、調整機構82による操作ワイヤ20の移動は微調整となる。
スライダ80全体の基端側の移動限界は、ロックダイヤル64の基端側端面64bが、本体レール52の円筒部52aの先端側端面に当接する位置によって規定される。
上述の操作ハンドル48において、シース16を真直ぐに延ばした状態(以下「基準状態」という。)で、シース16の先端縁16aと、操作ワイヤ20の先端縁20a(操作ワイヤ20における接続部材21との接続部分)とを一致させた後に、シース16を湾曲させると、シース16と操作ワイヤ20との内外径差によって、操作ワイヤ20の先端縁20aがシース16の先端縁16aからシース16の内側に引き込まれてしまう。このときのシース16の先端縁16aから操作ワイヤ20の先端縁20aまでの長さを潜り込み量αとすると、この潜り込み量αは、シース16の姿勢や湾曲のさせ方に応じて、種々に変化してしまう。例えば、シース16を1回巻いて、その先端部を基端部に近接させて大きなループを作ったとき(1ターン)よりも、シース16を2回巻いて、小さなループを2つ作ったとき(2ターン)の方が、潜り込み量αが大きくなる傾向にある。このため、シース16の先端縁16aに対して操作ワイヤ20の先端縁20aやクリップ12や連結リング14の位置決めを行う際には、この潜り込み量αを考慮に入れる必要がある。そして、この際、誰が行っても、潜り込み量αが略一定となるように、シース16の姿勢を設定することも必要となる。
本実施形態では、ストッパA〜Dの位置を後述するように所定の位置に配置し、さらに、シース16の形状や姿勢が一定になるようにすることにより、クリップ列Rをシース16の先端部のクリップ装填部17aに引き込む、いわゆるクリップの装填作業時の操作ワイヤ20の突出長さd(図13参照)が所定の範囲に入り、また、クリップ12で処置対象部を挟みこむクリップ処置動作時の連結リング14の突出量k(図3(B)参照)が所定の範囲に入るようにしている。
以下、この点について詳述する。
まず、クリップの装填作業時における、操作ワイヤ20の突出長さdの調整について説明する。
図11(A)は、操作部50に設けたシース受け90を説明する模式図であり、図11(B)は、図11(A)のシース受け90の近傍を同図中の上方から見た図である。なお、図11(A)では、シース16を、操作部48等に対して実際の割合よりも短く図示している。また、以下の説明では、図4中の上側、および図11(A)中の上側を、操作ハンドル48の上側として説明する。これらの図に示すように、シース受け90は、操作部50の位置規制部材68の右側面68bにブロック状に形成されている。シース受け90の右側面には、軸C方向(図11(A)では左右方向)に略直交して略上下方向を向いた係合溝92が形成されている。係合溝92は、上下方向の略中間になだらかな段部(第1の位置決めマーク)92cを有していて、これよりも上側が溝幅の広い幅広溝92aとなり、下側が溝幅の狭い幅狭溝96となっている。
幅広溝92aの溝幅は、シース16のクリップ装填部17aの外径と略同じに設定され、また、幅狭溝92bの溝幅は、シース16の細径部17bと略同じに設定されている。また、係合溝92側の段部92cは、シース16のクリップ装填部17aと細径部17bとの間の段部(第2の位置決めマーク)17cに倣った形状となっている。
シース16の先端部のクリップ装填部17aは、操作部50側の係合溝92に対して係脱可能である。すなわち、上述のように、シース16の段部17c近傍の形状は、係合溝92の段部92c近傍の形状と略同じに形成されているので、操作者は、シース16の中間部を例えば1ターンさせてループを作った後、その先端部をもってシース受け90の右側方から、係合溝92に対して、シース16の先端部を係合させることができる。この係合状態にあっては、操作者がシース16の先端部から手を離しても、シース16は、その段部17cが係合溝92の段部92cに引っかかるので、係合溝92から脱落したし、落下したりするおそれはない。
また、この係合状態においては、シース16は、その全体が適度な可撓性を有することと相俟って、中間部が自重により下方に垂れ下がった安定姿勢となる。なお、適度な可撓性とは、真直ぐに延ばした自然状態(無負荷)のシース16に負荷を加えて変形させた場合に、その負荷を取り除いたときに元の真直ぐに戻るというものではなく、負荷が加わって変形したときに、その変形に対して、適度な抵抗(反発力)を示すという程度のものである。したがって、その先端部が係合溝92に係合されたシース16は、その自重が係合溝92によって支持され、また、中間部が自重によって垂れ下がり、さらに、ループ状の変形に対して外側に広がろうとする反発力とによって、略一定の安定した姿勢で保持されることになる。これは、異なる操作者が行った場合でも(誰がやっても)、また、何時行った場合でも、同じである。
したがって、例えば、シース16を真直ぐに延ばした基準状態で、シース16の先端縁16aと、操作ワイヤ20の先端縁20aとを一致させた後、シース16を1ターンさせて、その先端部を係合溝92に係合させた場合に、潜り込み量αは、いつも略同じとなる。また、シース16を真直ぐに延ばした状態で、操作ワイヤ20の突出長さd(シース16の先端縁16aから操作ワイヤ20の先端縁20aまでの長さ、ただし、d>α)を設定した後、シース16の先端部を係合溝92の係合させると、係合後の突出長さは、d−αとなる。
これを利用して、クリップ装填治具100にセットされているクリップ列Rを、操作ワイヤ20により、シース16のクリップ装填部17aに引き込む際の、操作ワイヤ20の好適な突出長さを設定することができる。
なお、上述では、シース受け90は、その係合溝92が軸Cに対して略直交する向き(上下方向)に形成された場合を例に説明したが、これに限定されず、例えば、上下方向に対して適宜な傾斜角を持つ向きに形成してもよい。この傾斜角度については、係合溝に対するシース16の先端部の係合動作の難易、およびクリップ装填治具100を使用する場合の、装填動作の容易性等を考慮して決定するとよい。
また、シース受け90を設ける位置としては、位置規制部材58に限らず、操作部50の任意の箇所に設けることが可能である。ただし、この場合、スライダガイド66等の回転動作をする部材は避けることが好ましい。
図12は、クリップ装填治具100を示す斜視図である。また、図13は、クリップ装填治具100の窓部16近傍を表側から見た部分拡大図である。クリップ装填治具100にセットされるクリップ列Rは、シース16のクリップ装填部17aに引き込まれた状態と同じ状態で、クリップ装填治具100の収納部104に収納されている。この収納部104は、細長い円筒状に形成されていて、クリップ列Rと略同じ長さを有している。
また、収納部104の内径は、シース16のクリップ装填部17aの内径と同じに設定されている。収納部104の一方の端部には、窓部106が形成されている。窓部106は、クリップ装填治具100の表側に開口されていて、表側から見た形状が、クリップ列Rの長手方向(操作ワイヤ20の延在方向)に長い矩形状となっている。この窓部106からは、クリップ列Rの基端側に位置する連結部材19の基端側が露出している。この連結部材19は円柱状に形成されており、その基端部には、係合凹部19aが形成されていて、この係合凹部19aには、操作ワイヤ20側の接続部材21の第1フック21aが係脱される。接続部材21は、先端側に第1フック21aを有し、基端側に第2フック21bを有し、これら第1フック21aと第2フック21bとが棒状の連結棒21cで連結されている。
第1フック21aは、先端側が小さくなる四角錐台状に形成されていて、基端側は正方形の板状に形成されている。一方、第2フック21bは、基端側が小さくなる円錐台状に形成されていて、先端側は円板状に形成されている。第2フック21bの基端は、操作ワイヤ20の先端縁20aに接続されている。上述の窓部106は、第1フック21a、第2フック21b、連結棒21cからなる接続部材21が表面側から出入りできるように形成されている。窓部106における基端側には、V字溝108が形成されている。このV字溝108の幅は、d1に設定されている。V字溝108の奥側(図1中の下側)には、操作ワイヤ20が通行可能な間隙108aが形成されている。
クリップ装填治具100には、窓部106に対して、横方向から出入り自在なスライド部材110が配設されている。スライド部材110は、一方の端部が二股に分かれた部材であり、第1位置に配置されたときには、切欠部110aが、窓部106に対応するため、連結部材19に対する接続部材21の係合が可能となる。一方、押し込まれた第2の位置においては、略円筒状のガイド面110bが連結部材19およびこれに係合された接続部材21の周囲を囲む。このガイド面110bは、シース16の先端側がクリップ装填治具100の収納部104に向かって挿入されるのをガイドする。収納部104の基端には、窓部104よりも少し先端側に、段部104aが形成されている。
この段部104aよりも先端側に位置する収納部104は、その内径が上述のように、シース16のクリップ装填部17aの内径と同じになっている。一方、この段部104aよりも基端側には、スライド部材110のガイド面110bが位置する。したがって、シース16はそのクリップ装填部17aがガイド面110bにガイドされて先端縁16aを段部104aに当接させるまで、先端側に移動することができる。このシース16の先端縁16aが段部104aに当接された状態においては、クリップ装填治具100側の収納部104の内面と、シース16のクリップ装填部17aの内面とは、隙間なくひと続きとなる。
上述構成のクリップ装填治具100からクリップ列Rをシース16のクリップ装填部17aに引き込むには、まず、クリップ装填治具100の窓部106を介して、クリップ列Rの連結部材19に、操作ワイヤ20側の接続部材21を係合させる。次に、スライド部材110を押し込んで、そのガイド面110bをシース16に対応する位置に配置する。その後、操作ハンドル48のスライダ80を引く。これにより、クリップ列Rが連結されている操作ワイヤ20よりも相対的に移動しやすいシース16が先端側に移動し、スライド部材110のガイド面110bにガイドされて、その先端縁16aを収納部104の端面104aに当接させる。これで、クリップ列Rが収納されている収納部104の内面と、シース16のクリップ装填部17aの内面とが一続きとなる。この状態で、さらにスライダ80を基端側に引く。すると、今度は、シース16は移動することができないので、操作ワイヤ20が基端側に引かれ、これに伴って、クリップ列Rがシース16のクリップ装填部17aに引き込まれて装填される。
ここで、クリップ装填治具100側のクリップ列Rの連結部材19に対して、操作ワイヤ20側の接続部材21を係合させる際には、操作ワイヤ20の突出長さdが、所定の範囲内に収められていることが好ましい。
図13に示すように、クリップ装填治具100には、基端側に、クリップ列装填作業時のシース16の先端側のクリップ装填部17aを支持するためのシースガイド112が形成されている。このシースガイド112は、クリップ装填部17aの形状に倣って、長手方向に直交する断面形状が半円状に形成されている。上述のように、V字溝108の厚さをd1とすると、シースガイド112の長さd2は、V字溝108の基端側の端面108bからクリップ装填治具100の基端側の端面100aまでの距離となる。また、操作ワイヤ20の突出長さをdとする。
ここで、突出長さdとは、操作ワイヤ20のうちの、シース16の先端縁16aから突出している部分の長さをいう。つまり、図13中では、シース16の先端縁16aから操作ワイヤ20の先端縁20aまでの長さをいう。
各長さをこのように設定すると、クリップ装填治具100を使用して、クリップ装填治具100側のクリップ列Rの連結部材19に操作ワイヤ20側の接続部材21を係合させる際の、適正な突出長さdは、V字溝108の厚さd1よりも長く、かつV字溝108の厚さd1とシースガイド112の長さd2との和よりも短いものである。つまり、
d1<d<(d1+d2)
である。
突出長さdがこの範囲を外れた場合、すなわち、d<d1の場合には、連結部材19に接続部材21を係合させる際に、シース16の先端縁16aまたは第2フック21bがV字溝108に引っかかってしまうため、操作ワイヤ20の先端縁20a近傍が間隙108aを円滑に通過することができない。一方、(d1+d2)<dの場合には、シース16の先端縁16aが、クリップ装填治具100のシースガイド112の基端縁から外れてしまって、シース16の先端縁16a近傍が不安定となるため、連結部材19に対する接続部材21の係合動作に支障をきたす。
そこで、突出長さdが、上述のように、
d1<d<(d1+d2)
となることが好ましい。
この突出長さdの範囲は、クリップ装填治具100を使用し、クリップ装填治具100にセットされたクリップ列Rを、シース16のクリップ装填部17aに引き込む、クリップ列装填作業時に好適な範囲である。
ところで、本実施形態においては、図11(A)および(B)を参照して説明したように、操作ハンドル48にシース受け90が設けてあって、クリップ列装填作業時には、このシース受け90に、中間部を1ターンさせたシース16の先端部を係合させて行うことができる。この場合、上述のように、シース16を真直ぐに延ばした基準状態に対して、潜り込み量αが発生する。
そこで、シース16の基準状態においては、この潜り込み量αを考慮に入れて、突出長さdを設定する必要がある。なお、この潜り込み量αは、図11(A)に示すように、シース16の姿勢が一定で安定している状態では、略一定であり、また、操作ハンドル48の通常の使用状態においては、最大値であると考えることができる。
そこで、本実施形態では、シース16の基準状態における突出長さdを、
d1+α<d<(d1+d2)
の範囲に入るように設定した。なお、d<(d1+d2)については、
d<(d1+d2)+α
とすることも可能ではあるが、上述のように、潜り込み量αが最大値であることを考慮すると、実際には、これよりも小さい場合が考えられるので、αが最小の場合、つまり、安全側に振ってα=0とした。
基準状態における突出長さdを、このように設定することにより、クリップ装填治具100を利用したクリップ列装填作業時に、クリップ装填治具100のシースガイド112にシース16の先端部を係合させ(載せ)、さらに、クリップ装填治具100側のクリップ列Rの連結部材19に、操作ワイヤ20側の接続部材21を支障なく円滑に係合させることができる。
ここで、各数値について具体的な一例を挙げる。
クリップ装填治具100については、V字溝108の厚さd1が、d1=1mm、シースガイド112の長さd2が、d2=30mm、また、シース16の全長が2300mmの場合、潜り込み量αがα=5mmとする。
これらの数値に基づくと、シース16の基準状態における操作ワイヤ20の突出長さdは、
6(mm)<d<31(mm)
となる。なお、突出長さdの上限については、31mmとなっているが、この範囲内であっても突出長さdが比較的長い場合には、シース16の先端部を手で持った際に、操作ワイヤ20の先端の接続部材21の姿勢が安定しない。
これに対して、突出長さdが比較的短い場合には、クリップ装填治具100側の連結部材19に、操作ワイヤ20側の接続部材21を係合させる際に、例えば、操作者は、クリップ装填治具100を左手で持って、接続部材21を右手の親指で連結治具19に押しこむ際に、同時に親指でシース16の先端縁16aをも押圧することができるので、安定した作業が可能である。このような理由から、クリップ列装填作業時の突出長さdについては、6mm以下となることがさらに好ましく、この値に、潜り込み量αの5mmを加えて、シース16を真直ぐに延ばしたときの基準状態においては、突出長さdは、
6(mm)<d<11(mm)
とするとよい。したがって、これらの具体的な数値を有するクリップ装填治具100を使用する場合には、他の設計事項等を勘案した上で、突出長さdの目標値(設計値)をこの範囲内に設定するとよい。
本実施形態においては、図6(A)および(B)を参照して説明したように、クリップ列装填作業時のスライダ80の先端側の移動限界は、スライダピン70がスライダガイド66の1番長いスライダガイド溝66AのストッパAに当接されることで決定される。したがって、シース16を真直ぐに延ばした基準状態において、スライダピン70がストッパAに当接されることで、操作ワイヤ20の突出長さdが決定される。
そこで、本実施形態では、スライダガイド溝66AのストッパAの位置を、このストッパAにスライドピン70が当接された際に、基準状態のシース16に対する操作ワイヤ29の突出長さdが、
d1+α<d<(d1+d2)
となるように決定した。
つまり、クリップ装填治具100における、クリップの装填作業時にかかわる部分の寸法、およびクリップ列装填作業時の操作ワイヤ20の潜り込み量αを考慮に入れて、スライダガイド溝66AのストッパAの位置を決定(設計)するようにした。そして、ストッパAの位置をこのように設定することにより、シース16の基準状態の操作ワイヤ20の突出長さd、さらには、クリップ列装填作業時のシース16に対する操作ワイヤ20の突出長さdを、所定の範囲内に収めることができる。また、上述の具体例(6<d<11)からも明らかなように、ストッパAの位置を決定することで、突出長さdを所定の範囲内に収めることは、操作ハンドル48の各部品の製造精度および組立て精度等を勘案した場合に、十分に実現可能である。
ただし、スライダ80を先端側に移動させて、スライダピン70をストッパAに当接させ、さらに、シース16の中間部を1ターンさせて先端部をシース受け90に係合させても、操作ワイヤ20の突出長さdが、上述の所定範囲内に入らない場合には、上述の調整機構82を操作して、突出長さdを微調整して所定範囲内に入れることができる。なお、このような場合としては、調整機構82のホームポジション出しを怠った場合等が考えられる。
図13に示すように、操作ワイヤ20の先端部には、突出長さdが適正な範囲に入っていることを示すマーカM1(図13の斜線部)が付されている。このマーカM1は、シース16の先端部をシース受け90に係合させた状態での突出長さdが適正であるか否かを判断するためのものであり、
d1<d<(d1+d2)
を基づいて、操作ワイヤ20の先端縁から基端側にd1だけ入ったところから、(d1+d2)までの範囲に、例えば、着色を行っている。クリップ列装填作業直前の状態、すなわち、シース16の先端部をシース受け90に係合させた状態において、シース16の先端縁16aからこのマーカM1が突出されて、視認できる場合には、突出長さdが適正な範囲に入っている。なお、このマーカM1に代えて、または、これに加えて、シース16を延ばした基準状態において、突出長さが適正な範囲に入っているか否かを確認するための別なマーカを別の色で設けるようにしてもよい。このマーカは、
d1+α<d<(d1+d2)
に基づいて、着色する。
なお、以上の説明では、クリップの装填作業時の、クリップ装填治具100の各部の寸法や、そのときの操作ワイヤ20の潜り込み量αを考慮して、スライダガイド溝66AのストッパAの位置を決定したが、本発明はこれに限定されるものではなく、他の作業において、その作業の開始時の操作ワイヤの突出長さを所定の範囲内に入れたい場合にも同様に適用することが可能である。ただし、この場合でも、その作業の開始時におけるシース16の形状や姿勢が、いつでも、また誰が作業を行っても略一定である必要がある。つまり、潜り込み量αが略一定となることが必要である。
以上で、クリップ列装填作業時における、操作ワイヤ20の突出長さdの調整についての説明を終える。
次に、クリップ処置動作時の連結リング40の突出量kの調整について説明する。
図1(A)および(B)に示す第1のクリップ12Aは、スタンバイ状態から、操作ワイヤ20が少し基端側に引かれて、第1の連結リング14Aのスカート部38の基端縁38cがシース16の先端縁16aに当接された状態を示している。また、図3(B)は、クリップ12がスタンバイ状態にあるときの、そのクリップ12に対応する連結リング14を示している。なお、この状態の連結リング14についても適宜、スタンバイ状態というものとする。この、クリップ12および連結リング14のスタンバイ状態は、図6(B)に示すスライダガイド66のガイド部78におけるスライダガイド溝66B,66C,66DのそれぞれのストッパB,C,Dに、スライダピン70が当接した際に発生する。
すなわち、スライダピン70が、ストッパAに当接すると、第1のクリップ12Aおよび第1の連結リング14Aのスタンバイ状態が発生する。同様に、スライダピン70が、ストッパBに当接すると、第2のクリップ12Bおよび第2の連結リング14Bのスタンバイ状態が発生する。同様に、スライダピン70が、ストッパCに当接すると、第3のクリップ12Cおよび第3の連結リング14Cのスタンバイ状態が発生する。
図3(B)に示すように、スタンバイ状態の連結リング14は、正常な状態、つまりクリップ処置動作が可能な状態においては、そのスカート部38をシース16の先端縁16aから突出させて広がり部分38bを径方向に広がらせている。この状態において、上述では、シース16の先端縁16aからスカート部38の基端縁38cまでの距離を連結リング14の突出量kとし、また、スカート部38の基端縁38cから連結リング14の基端縁14aまでの長さを、保持長さk1とした。
ここで、クリップ処置具10は、クリップ列Rが装填されたシース16や操作ワイヤ20が、内視鏡の鉗子口から挿入されて軟性部およびアングル部に挿通された状態で、クリップ処置動作を行うことになる。このため、内視鏡の操作に伴う軟性部やアングル部の湾曲に伴って、シース16も同様に湾曲する。これに伴い、シース16と操作ワイヤ20の内外径差に起因して、操作ワイヤ20はシース16に対して潜り込みが発生する。このときの潜り込み量のうち、通常の内視鏡の操作において想定される最大のものを、潜り込み量βとする。
このようにシース16に対して操作ワイヤ20の潜り込みが発生するため、スタンバイ状態を発生させる各スライダガイド溝66B,66C,66DのストッパB,C,Dは、スタンバイ状態となった連結リング14における突出量kが適正な値となるように位置決めされている。すなわち、突出量kが潜り込み量βよりも小さく設定されている場合には、この最大の潜り込み量が発生した場合には、スカート38がシース16の先端縁16aの外側に突出されなくなる。詳しくは、スカート部38の基端縁38cが、シース16の先端縁16aから外側に外れなくなって、スカート部38が開かなくなる、といった不良が発生するおそれがある。そこで、突出量kの下限が、潜り込み量βを上回るように、つまり、
β<k
の関係が成り立つように、ストッパB,C,Dの位置が決定されている。
一方、突出量kが多くなって、保持長さK1を超えてしまうと、保持部42が完全に、シース16の先端縁16aから外れて突出してしまう。この場合には、上述のように保持部42の内側に配置されている、後のクリップ12の腕部28,28が開こうとするため、これにより、保持部42が径方向に膨らむおそれがある。上述のように、保持部42には、軸方向のスリット46が径方向を2等分する位置のそれぞれに形成されている。このため、保持部42全体がシース16の先端縁16aから突出した場合には、保持部42は、クリップ12の腕部28,28によって径方向外側に拡開される。なお、保持部42の少なくとも一部が、シース16内に留まる(位置する)場合には、保持部42は、腕部28によって拡開方向に付勢された場合でも、外側からシース16によって規制されるため、拡開されるおそれはない。
なお、保持部42の全体がシース16の先端縁16aから突出されて保持部42が拡開されてしまった場合には、スタンバイ状態にある連結リング14が、操作部50の操作により操作ワイヤ20によってシース16に引き込まれる際に、保持部42の基端縁14aがシース16の先端縁16abに引っかかるという不具合が発生する。このような理由で、突出量kの上限は、保持長さk1を下回るように、つまり、
k<k1
が成り立つように、ストッパB,C,Dの位置が決定されている。
以上のように、スライダガイド66のスライダガイド溝66B,66C,66DにおけるストッパB,C,Dの位置は、スライダ80の操作による、操作ワイヤ20の移動によって各連結リング14A,14B,14Cがスタンバイ状態となったときに、連結リング40の突出量kが、
β<k<k1
を満たすことができる位置に設定されている。ただし、保持長さk1は潜り込み量βよりも大きい値に設定されているものとする。
これらの数値の具体的な一例を挙げると、シース16の全長が2300mmの場合、潜り込み量βは、β=5mm、保持長さk1は、K1=6mmとすることができ、この例に場合には、突出量kは、
5(mm)<k<6(mm)
となる。
すなわち、この例の場合は、スライダ80をスライダガイド溝66B,66C,66Dに沿って先端側に移動させて、スライダピン70をそれぞれストッパB,C,Dに当接させて、連結リング14をスタンバイ状態にしたときに、それぞれ突出量kが、5〜6mmの間に入るようになる。逆に、突出量kがこの範囲に入るように、ストッパB,C,Dの位置が決定されている。なお、操作ハンドル48を構成する各部材の製造精度や、組立て制度を考慮すると、突出量kをこの程度の範囲内に収めることは十分に可能である。ただし、突出量kがこの範囲内に収まらなかった場合には、上述の調整機構82を操作して、突出量kを微調整することが可能である。
ここで、図3(B)に示すように、連結リング14の基端側に、連結リング14の突出量kが適正であることを示すマーカM2(図3(B)の二点鎖線参照)を、例えば、着色するようにするとよい。このマーカM2は、
β<k<k1
に基づいて、スカート部38の基端縁から、連結リング14の基端縁14aに向かって、潜り込み量βまで進んだ位置を基準として、ここから基端縁14aまで着色する。
操作者は、シース16を真直ぐに延ばした基準状態において、このマーカM2がシース16の先端縁16aから突出しているのを視認できたときには、突出量kが適正な範囲に入っていると判断することができる。
次に、図8および図9を用いて、本発明のクリップ処置具10の作用について説明する。
図8(A)〜(G)は、本発明のクリップ処置具10のクリップ処置動作時における段階的な状態を示す部分断面図である。
他方、図9は、クリップ処置動作時のスライダガイド66とスライダピン70との位置関係を示す、スライダガイド66のガイド部78(スライダガイド溝66A〜66D)の展開図である。
なお、図9においては、スライダ80が基端側の移動限界にあるときのスライダピン70の位置を、ホームポジション(位置)P1とする。スライダ80のホームポジションP1は、スライダ80が最も基端側まで引かれたときの位置であり、ロックダイヤル64が本体レール52の円筒部52aに当接することで規定される。スライダピン70が、ホームポジションP1にあるとき、操作ワイヤ20の先端は、3つのクリップ12、3つの連結リング14、ダミークリップ18、および接続部材19(図8参照)によって構成されるクリップ列Rの長さ分だけ、シース16の先端縁16aから引っ込んだ位置にある。
また、シース16の先端縁16aからクリップ12および連結リング14が突出し、通常、クリップ12が処置可能な状態(スタンバイ状態)になるときのスライダピン70の位置、すなわちストッパB,C,Dに当接したときのスライダピン70の位置を、標準突出位置P5,P9,P13とする。
クリップ処置具10を使用するにあたって、まず、操作部50のスライダガイド66を回して、スライダガイド溝66Aがスライダピン70に一致する位置にセットする。次いで、図8(A)に示すように、スライダ80を前方へ移動させて、スライダピン70をスライダガイド溝66Aの先端のストッパAに当接させて、最大突出位置P2まで移動させる。これにより、操作ワイヤ20の先端の接続部材21がシース16の先端縁16aから突出する。このときの、操作ワイヤ20の突出長さdは、上述のように、クリップ装填治具100の各部の寸法や潜り込み量αを考慮した所定の範囲内(d1+α<d<(d1+d2))に収められる。したがって、クリップ装填治具100にセットされているクリップ列Rの基端部の連結部材19に対して、操作ワイヤ20側の接続部材21を容易に係合させることができる。
接続部材21を連結部材19に係合させた後、スライダ80を後方へ移動させて、スライダピン70をホームポジションP1と同じ位置である位置P3に戻すと、操作ワイヤ20がシース16の内部に引き込まれることによって、操作ワイヤ20の先端の接続部材21に係合されているクリップ列Rがシース16の先端部のクリップ装填部17a内に引き込まれる。これにより、図8(C)に示すように、先頭の第1のクリップ12Aがシース16の先端縁16aと一致し、シース16へのクリップ列Rの装填が完了する。
次に、スライダガイド66をその基端側(図4の右側)から見て、90度左周りに回転させる。これにより、スライダピン70の位置が、ホームポジションP1,P3と軸方向の位置が等しく周方向の位置が90度異なる位置P4となり、スライダピン70がスライダガイド溝66Bの位置に一致する。なお、実際には、スライダピン70は、周方向の位置は変更せず、スライダガイド66が90度ずつ回転することになるが、図9は、スライダピン70が相対的に回転するものとして図示している。スライダ80を前方へ移動させて、スライダピン70をスライダガイド溝66Bの先端のストッパBに当接させて、標準突出位置P5まで移動させると、スライダガイド溝66Bの長さだけ操作ワイヤ20およびそれに接続されたクリップ列Rが、先端側へ移動する。
これにより、先頭の第1のクリップ12Aおよび第1の連結リング14Aが、スタンバイ状態となる。このスタンバイ状態においては、図3(B)で説明したように、連結リング14の突出量kが所定の範囲内、すなわち、β<k<k1(βは潜り込み量、k1は保持長さ)となる。これにより、連結リング14Aのスカート部38は開き、かつ、保持部42の基端縁14aがシース16の先端縁16aよりも内側に留められる。したがって、スカート部38の基端縁38cがシース16の先端縁16aよりも内側に留まってスカート部が開かないといった不具合や、連結リング14の基端縁14aがシース16の先端縁16aから突出して、クリップ12によって保持部42が拡開されるといった不具合を未然に防止することができる。なお、突出量kが所定の範囲内に入らない場合には、上述の調整機構82を操作して、シース16に対して操作ワイヤ20を先端側または基端側に移動させて微調整することで、突出量kを所定範囲に入れる。
続いて、スライダ80を後方へ移動させると、スライダピン70がクリップ完了位置P6に移動した時点で、シース16の先端の処置動作部では、図8(E)に示すように、先頭の第1のクリップ12Aの連結リング14Aによる締め付け、および、図8(F)に示すように、第2のクリップ12Bとの切り離しが行われる。これにより、1発目のクリップ12Aのクリップ処置が完了する。
引き続きスライダ80を後方へ移動させて、スライダピン70をホームポジションP4と同じ位置P7に戻し、次のクリップ処置のために、スライダガイド66を先ほどと同方向へ90度回転させて、スライダピン70をスライダガイド溝66CのホームポジションP8に一致させる。
上述の通り、スライダガイド溝66C,66DのそれぞれのストッパC,Dは、それぞれ、第2のクリップ12Bおよび第2の連結リング14Bと、第3のクリップ12Cおよび第3の連結リング14Cとを、シース16の先端縁16aから突出させて、連結リング14B,14Cの突出量kが上述の所定の範囲に入るように位置が決められている。以下、1発目のクリップ12Aと同様にして、スライダ80の前方への移動、後方への移動、スライダガイド66の90度回転を順に行うことで、2発目のクリップ12B、3発目のクリップ12Cによるクリップ処置を行うことができる。
なお、2発目のクリップ12B、3発目のクリップ12Cのスタンバイ状態において、連結リング14Bや連結リング14Cの突出量kが所定の範囲に入らない場合には、上述と同様、調整機構82を操作して、シース16に対する操作ワイヤ20の前後方向の位置を微調整することによって、突出量kが所定の範囲に入るようにするものとする。
なお、クリップ処置動作の前に設定されるスタンバイ状態において、操作ワイヤ20の位置を微調整するために、調整機構82を操作した場合には、そのクリップ処置が完了した時点で、調整機構82のホームポジション出しを行うようにする。これにより、各クリップ処置を、同様の状態(条件)で行うことができる。すなわち、各スライダガイド溝66B,66C,66DのストッパB,C,Dは、ホームポジション出しが行われた状態のスライダ80(スライダピン70)を基準として、位置決めされているので、各クリップ処置後には、必ず調整機構82のホームポジション出し行うようにする。
また、長期間の使用のうちに、操作ワイヤ20が伸びてしまった場合には、以下のように調整する。まずロックダイヤル64を緩め、次いで調整ダイヤル60を回して、調整ダイヤル60をワイヤ固定部材128に対して先端側へ移動させる。スライダ80は、調整ダイヤル60の凸部と係合しているので、軸方向へはスライダ80と一緒に移動する。ただし、調整ダイヤル60とスライダ80は、回転方向の移動はフリーなので、スライダピン70によって周方向の移動が規制されたスライダ80に対し、調整ダイヤル60だけが回転することができる。操作ワイヤ20の弛みが無くなる分だけ調整ダイヤル60を移動させたら、再びロックダイヤル64を締めて調整ダイヤル60およびスライダ80の位置をロックする。
スライダ80のホームポジションは、ロックダイヤル64が本体レール52の円筒部52aに当接することで規定されるので、ホームポジションにおけるスライダ80の本体レール52に対する位置は変わらない。一方、調整ダイヤル60およびスライダ本体62をワイヤ固定部材58に対して先端側に移動させることにより、ワイヤ固定部材58がスライダ80に対して相対的に後方へ移動することになり、ワイヤ接続部58aも同様に移動する。したがって、ホームポジションにおける操作ワイヤ20の基端が後方へ移動することとなり、操作ワイヤ20の伸び分による弛みを解消することができる。
図14(A)および(B)を参照して、シース受け91の他の例を説明する。このうち図14(A)は、シース受け91を説明する上面図であり、図1(B)は、シース受け91を説明する右側面図である。これらの図に示すように、シース受け91は、環状に形成されていて、上下方向に貫通された透孔91aとこの透孔91aに連通して外側に開口する切欠91bとを有している。透孔91aの直径および切欠91bの幅は、シース16の先端部のクリップ装填部17aの外径よりも小さく、かつシース16の小径部17bの外径よりも少し大きく設定されている。
このシース受け91は、シース16の先端部が係脱可能であり、係合時にはシース16全体を保持することができる。すなわち、シース16の中間部を1ターンさせた後、先端部の段部17cより下方の小径部17bを切欠91bに通過させ、シース16の段部17cをシース受け91の透孔91aの周端縁に載せるようにして係合させる。これにより、シース16は、その自重および可撓性により、略一定の姿勢で保持され、潜り込み量αが略一定となる。したがって、シース16を真直ぐに延ばした基準状態において、操作ワイヤ20の突出長さを規定すれば、シース16の先端部の係合後の突出長さは、基準状態での突出長さから潜り込み量を引いた長さとすることができる。
図15を参照して、シース受け92のさらに別の例を説明する。同図は、シース受け92を説明する右側面図である。同図に示すシース受け92は、位置規制部材68の右側面68bに設けられていて、2本の係合溝、すなわち右側面68bに近い第1係合溝93と右側面68Bから遠い第2係合溝94とが2段に形成されている。このうち、第1係合溝93は、シース16の中間部の細径部17bに対応して、溝幅が細径部17bの外径よりも少し広く形成されていて、上下方向に対して、基端側が上方に位置するように傾斜して形成されている。一方、第2係合溝94bは、シース16の段部17c近傍に対応した形状をしていて、シース16のクリップ装填部17aに対応する幅広溝94aと、シース16の細径部17bに対応する幅狭溝94bとこれらの間の段部94cとを有している。
このシース受け92にシース16を係合するに際しては、シース16の中間部をまず1ターンさせて、中間部を第1係合溝93に係合させ、さらに、シース16を1ターンさせて、先端部を第2係合溝94に係合させる。この例では、シース16を合計2ターンさせて、ループの直径を小さくすることが可能であるので、長さの長いシース16に対して有効である。すなわち、長さの長いシース16を1ターンで、その先端部をシース受け92に係合させた場合には、ループが大きくなるため、中間部がその自重で大きく垂れ下がって、例えば、床面に接触する等のおそれがある。そこで、図示例では、シース16を2ターンさせるようにした。なお、シース16を2ターンさせた場合には、1ターンの場合と比較してその潜り込み量が増加する傾向にある。ただしこの場合でも、2ターン後のシース16の形状および姿勢は安定するので、その潜り込み量は略一定となる。そこで、上述の操作ワイヤ20の突出長さを決める際に、その潜り込み量を採用すればよい。
図16(A),(B),および(C)は、シース16に対する操作ワイヤ20の進退を微調整するための、他の調整機構84を模式的に示す図である。このうち、図16(A)は、スライダ85を基端側から見た図である。図16(B)は、スライダ85を、図1(A)中の下方から見た図である。図16(c)は、図16(B)のA−A線矢視図である。なお、スライダ85および調整機構84の構成を除いた他の構成については、図4を参照して説明した、操作部50と略同様である。
スライダ85は、略円筒状のスライダ本体86とその内側に固定されたインナ部材87とを有していて、全体として本体レール88に沿って移動可能である。操作ワイヤ20は、スライダ85近傍においては、補強管20dの内側に挿通されている。補強管20dは、本体レール88の軸に沿って延び、インナ部材87に固定されるとともに、基端部が湾曲して90度向きを代えてスライダ本体86の大径部86aの径方向に延びている。補強管20dに挿通された操作ワイヤ20は、その基端部を、補強管20の基端縁から露出させていて、この露出部分は、調整ダイヤル89に固定されている。調整ダイヤル89は、大径部86aの中心に向かって配設されていて、外周面には雄ねじ89aが螺刻されている。大径部86aには、外周面から中心に向かって円筒状の凹部が形成されていて、この凹部の内周面に螺刻された雌ねじ86bには、調整ダイヤル89の雄ねじ89aが螺合されている。この図示例では、調整機構84は、調整ダイヤル89、スライダ本体86の雌ねじ86b、補強管20d等によって構成されている。
この調整機構84によれば、操作者が親指と人差し指との間で調整ダイヤル89を摘んで、例えば、右回りに回転させると、調整ダイヤル89は、大径部86aの中心に向かって進み、この調整ダイヤル89と一体の操作ワイヤ20は、押し出されて先端側が軸方向基端側に移動する。一方、調整ダイヤル89を反対の左回りに回転させると、調整ダイヤル89は、大径部86aの中心から離れる方向に進み、この調整ダイヤ89と一体の操作ワイヤ20は、牽引されて、先端側が軸方向基端側に移動する。
調整ダイヤル89は、ねじ機構を利用しているため、その回転方向の移動量に対する軸方向の移動が少量である。つまり、調整ダイヤル89を右回り、または左回りに回転させることにより、基端部が調整ダイヤル89に接続された操作ワイヤ20の先端側の軸方向の移動量を微調整することができる。
この図示例によれば、スライダ85の進退操作時の人差し指の指先を、調整ダイヤル89の頭部89bの近傍に置くことができるので、調整ダイヤル89の操作性を高めることができる。すなわち、スライダ85の操作時、特にスライダ85を後退させて、操作ワイヤ20を牽引する際の操作時には、操作者は、人差し指と中指との間で、スライダ本体86の小径部86cを挟み込み、さらに、これら2本の指の指先の腹を基端側の大径部86aの先端側端面に当てて、大径部86aを手前(親指側)に引くことになる。したがって、操作者は、スライダ85の操作時に、人差し指を、積極的に調整ダイヤル89の頭部89b近傍、ひいては頭部89bに直接、接触するように当てることが可能である。これによると、操作者は、スライダ85の進退操作に続いて、調整ダイヤル89を回して操作ワイヤ20を微調整する際に、人差し指および中指を移動させることなく、単に、親指を指掛けリング56(図4参照)から外して調整ダイヤル89の頭部89bに掛けるだけで、頭部89bを人差し指と親指とで挟んで、調整ダイヤル89を回転させて操作ワイヤ20の微調整を行うことができる。つまり、スライダ85の進退操作による操作ワイヤ20の軸方向の押し引き(軸方向の大きな動き)と、調整ダイヤル89の回転操作による操作ワイヤ20の微調整(軸方向の小さな動き)とを、指先の動きに無駄のない一連の操作として、円滑に行うことができる。
なお、調整ダイヤル89は、頭部89bの直径を、スライダ本体86の大径部86aの軸方向の厚さよりも大きくして、頭部89bの一部が、大径部86aの基端側端面および先端側端面から突出するように構成すれば、これらの突出部分が、人差し指および親指の指先の腹に確実に当たるので、操作性をさらに向上させることができる。さらに、頭部89bの外周面の形状を、例えば、円柱形状に代えて、人差し指の指先の腹の形状の倣った、テーパ形状や湾曲した形状とすることも可能である。この場合には、スライダ本体86を操作者が握る(掴む)際に、調整ダイヤル89の頭部89bに人差し指を触れることをもって、操作時の指のホームポジションとすることもできる。
なお、この調整機構84においても、スライダ本体86の基端側の大径部86aと調整ダイヤル89の頭部89bとにそれぞれホームポジションマークを形成し、これらを合わせることで、ホームポジション出しを行うことができるようにしておくとよい。
このように、調整機構84は、その操作性が極めて高いので、上述のように、スライダガイド66のスライダガイド溝66A〜66DのストッパA〜Dに、スライダピン70を当接させてスライダ80の位置決めをした際に、操作ワイヤ20の突出長さdや突出量kが、たとえ、所望の範囲内に収まらなかった場合であっても、調整ダイヤル89の操作によって簡単に、所望の範囲内に収めることができる。
この調整機構84においても、図4に示す調整機構82のロックダイヤル64に相当する緩み止め機構を設けることが好ましい。ただし、例えば、補強管20dの湾曲部に、操作ワイヤ20との摩擦力が増大するような構成を設ける場合には、これを緩み止め機構とすることも可能である。
以上の説明では、本発明を、連発式クリップ処置具用操作ハンドル、連発式クリップ処置具、および連発式クリップ処置システムに適用する場合を例に説明したが、本発明は、これに限定されるものではなく、連発式でない、いわゆる単発式の、クリップ処置具用操作ハンドル、クリップ処置具、クリップ処置システムに対しても、基本的な構成を変えることなく適用することができ、適用した場合には、上述と同様の効果を奏することができる。
(A)および(B)は、図1に示すクリップ処置具の先端部を拡大して示す拡大断面図である。 図2に示すクリップの概略構成を示す斜視図である。 (A)は、図2に示す連結リングの一実施例を示す正面図であり、(B)は、(A)に示す連結リングの断面図であり、(C)は、(A)に示す連結リングの底面図である。 本発明に係る操作部の一実施形態を示す断面図である。 本体レールの斜視図である。 (A)は、スライダガイドの斜視図であり、(B)は、(A)に示すスライダガイドのガイド部の展開図である。 スライダガイドの斜視図である。 (A)〜(G)は、図1の連発式クリップ処置具のクリップ処置操作における段階的な状態を示す部分断面図である。 クリップ処置動作時のスライダガイドとスライダピンとの位置関係を示す、スライダガイド部分の展開図である。 調整機構のホームポジションマークを説明する斜視図である。 (A)シースの先端部をシース受けに係合させた状態を説明する右側面図であり、(B)は、(A)に示すシース受けの上面図である。 クリップ装填治具の斜視図である。 クリップ装填治具の窓部近傍を拡大して示す上面図である。 (A)は他のシース受けを示す上面図であり、(B)は同じく右側面図である。 さらに別のシース受けを示す右側面図である。 (A)は他の調整機構を基端側から見た図であり、(B)は同じく上面図であり、(C)は(B)のA−A線矢視図である。
符号の説明
10 クリップ処置具
12 クリップ
12A 第1のクリップ
12B 第2のクリップ
12C 第3のクリップ
14 連結リング
14a 基端縁
14A 第1の連結リング
14B 第2の連結リング
14C 第3の連結リング
16 シース
16a 先端縁
16b 基端縁
16c 基端部
16d 係合凸部
17a クリップ装填部
17b 細径部
17c 段部
18 ダミークリップ
19 連結部材
19a 係合凹部
20 操作ワイヤ
20a 先端縁
20b 基端縁
20c 基端部
21 接続部材
21a 第1フック
21b 第2フック
22 爪部
24 ターン部
26 交差部
28 腕部
28a 先部
28b 基部
30 凸部
32 第1領域
34 第2領域
36 切り込み
38 スカート部
38a 付け根
38b 広がり部分
38c 基端縁
40 締付リング
41 穴
42 保持部
42a 本体
43 穴
43a 溝(凹部)
46 スリット
48 操作ハンドル
50 操作部
52 本体レール
52a 円筒部
52b 棒部材
54 先端部材
54a 筒状部
54b フランジ部
56 指掛けリング
56a 透孔
58 ワイヤ固定部材
58a ワイヤ接続部
58b 雄ねじ
60 調整ダイヤル
60a 円筒部
60b フランジ部
60c 雌ねじ
60d 係合凸部
60e ホームポジションマーク
62 スライダ本体
62a 小径部
62b 大径部
62c 段部
62d 小内径孔
62e 大内径孔
62f 係合凹部
62g ホームポジションマーク
64 ロックダイヤル
64a 基端面
64a 雌ねじ
64b 基端側端面
66 スライダガイド(スライダ移動量規制部材)
66A スライダガイド溝
66B スライダガイド溝
66C スライダガイド溝
66D スライダガイド溝
66a 傾斜面
68 位置規制部材
68a 接合部
68b 右側面
69a 凸部
69b 緩斜面(凹部)
70 スライダピン
72 補強管
74 コイルばね
76 把持部
76a 接合部
77a 凸部
77b 緩斜面(凹部)
78 ガイド部
80 スライダ(スライダユニット)
82 調整機構
84 調整機構
85 スライダ
86 スライダ本体
86a 大径部
86b 雌ねじ
86c 小径部
87 インナ部材
88 本体レール
89 調整ダイヤル
89a 雄ねじ
89b 頭部
90 シース受け
91 シース受け
91a 透孔
91b 切欠
92 シース受け
93 第1係合溝
94 第2係合溝
94a 幅広溝
94b 幅狭溝
94c 段部
100 装填治具
102 クリップ処置システム
104 収納部
104a 段部
106 窓部
108 V字溝
108a 間隙
108b 端面
110 スライド部材
110a 切欠部
110b ガイド面
112 シースガイド
R クリップ列
C 軸
α,β 潜り込み量
k 突出量
k1 保持長さ
d 突出長さ
d1 V字溝の厚さ
d2 シースガイドの長さ

Claims (6)

  1. 筒状のハンドル本体と、
    前記ハンドル本体の軸方向に進退可能なスライダと、
    前記スライダの基端側への移動限界であるホームポジションおよび先端側への移動限界であるスタンバイ位置を規制するスライダ移動量規制部材と、
    前記ハンドル本体における前記軸方向の一端部に基端部が接続されて先端部側が長く延びる可撓性のシースと、
    一方の基端側に他方の先端側が係脱可能に連結された複数のクリップとこれらクリップの連結部分に嵌合された略円筒状の複数の連結リングを有し、前記シースの先端部の内側に装填されたクリップ列と、
    基端部が前記スライダに連結され、中間部が前記ハンドル本体の内側および前記シースの内側に挿通され、先端部が前記クリップ列の基端側に連結され、前記スライダの進退に伴って前記クリップ列を進退させる操作ワイヤと、を備え、
    前記スライダ移動量規制部材は、前記シースを真直ぐに延ばした基準状態において、前記ホームポジションから移動された前記スライダを前記スタンバイ位置に規制して、前記操作ワイヤを介して前記クリップおよびこれに対応する前記連結リングをスタンバイ状態とするストッパを有し、
    前記連結リングは、進退方向の中央に形成されて前記操作ワイヤの前進により前記シースの先端縁から押し出されたときに径方向に拡開し、前記操作ワイヤの牽引により前記シースの先端縁に当接して前記シース内への前記連結リングの逆行を禁止するスカート部を有し、
    前記シースが前記基準状態から湾曲されたときの前記シースに対する前記操作ワイヤの移動量を潜り込み量βとし、
    また、前記基準状態における、前記スタンバイ状態の前記連結リングの前記スカート部の基端縁から前記シースの先端縁までの距離を前記連結リングの突出量kとしたときに、
    前記ストッパは、前記潜り込み量βと、前記突出量kとの間に、
    β<k
    の関係を成立させるような位置に形成されている、
    ことを特徴とする連発式クリップ処置具。
  2. 前記潜り込み量が、前記シースの通常の使用状態における最大値に設定されている、
    ことを特徴とする請求項1に記載に連発式クリップ処置具。
  3. 前記スカート部の基端縁から、前記クリップの後端縁までの距離を連結リングの保持長さk1としたときに、
    前記ストッパは、前記保持長さk1と、前記突出量kとの間に、
    k<k1
    の関係を成立させるような位置に形成されている、
    ことを特徴とする請求項1または2に記載の連発式クリップ処置具。
  4. 前記連結リングにおける、前記スカート部の基端縁を基準として、前記潜り込み量αと等しい距離に、マークが付されている、
    ことを特徴とする請求項2または3に記載の連発式クリップ処置具。
  5. 前記スライダは、前記ハンドル本体の軸方向に移動するスライド本体と、前記操作ワイヤの基端部が連結されて前記スライダ本体とともに移動するワイヤ固定部材と、前記スライド本体と前記ワイヤ固定部材との間に介装されて、前記スライド本体に対して前記ワイヤ固定部材の前記軸方向の位置を変更する調整機構とを備える、
    ことを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載の連発式クリップ処置具。
  6. 前記調整機構には、前記ハンドル本体に対して、前記ワイヤ固定部材がホームポジションにあることを示すホームポジションマークが設けられている、
    ことを特徴とする請求項5に記載の連発式クリップ処置具用操作ハンドル。
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