JP2010081335A - 撮像装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】ノイズの低減により高画質の画像を得ることが可能な撮像装置を提供する。
【解決手段】この撮像装置100におけるゲイン処理部6は、光が遮光された状態で発生する暗電流によるノイズに対応する暗電流電子数Sdarkと、撮像時のノイズに対応する信号電子数Ssigと、画像データを読み出す際に発生する読出しノイズNrとに基づいて、次回撮像時の、撮像素子部2における電子の増倍動作による増倍率meとゲイン部4における信号の増幅動作による増幅率mgとを制御するように構成されている。
【選択図】図1

Description

本発明は、撮像装置に関し、特に、信号電荷を増加させる機能を有する撮像素子部を備えた撮像装置に関する。
従来、電子(信号電荷)を増加(増倍)させる機能を有する撮像素子部を備えた撮像装置が知られている(たとえば、特許文献1参照)。
上記特許文献1には、電子を増倍させる機能を有する撮像素子部を備えたCMOSイメージセンサが開示されている。上記特許文献1に開示されたCMOSイメージセンサでは、光電変換により生成された電子を増倍することによって信号の出力値を大きくするように構成されている。なお、電子の増倍動作とは、生成された電子に高電圧を印加して加速させるとともに、加速させた電子と格子原子とを衝突および電離させて増倍させる動作のことをいう。
特開2008−60550号公報
上記特許文献1に記載の撮像装置にあっては、デジタルカメラなどの製品に適したものであるが、撮像装置についてはノイズの低減による撮像した画像における更なる画質の向上が望まれている。
この発明は、ノイズの低減により高画質の画像を得ることが可能な撮像装置を提供することである。
上記目的を達成するために、この発明の一の局面による撮像装置は、信号電荷を生成するとともに、生成された信号電荷を増加させる機能を有する撮像素子部と、撮像素子部から出力された信号を増幅させる機能を有する信号増幅部と、信号電荷の増加率および信号の増幅率を制御する制御部とを備え、制御部は、光が遮光された状態で発生する暗電流によるノイズに対応する信号と、撮像時のノイズに対応する信号と、画像データを読み出す際に発生する読出しノイズに対応する信号とに基づいて、次回以降の少なくともいずれかの撮像時の撮像素子部における信号電荷の増加動作による増加率と、信号増幅部における信号の増幅動作による増幅率とを制御するように構成されている。
この発明の一の局面による撮像装置では、上記の構成により、ノイズの低減による高画質な画像を得ることができる。
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて説明する。
(第1実施形態)
図1は、本発明の第1実施形態による撮像装置の構成を示したブロック図である。図2〜図6は、本発明の第1実施形態による撮像装置について説明するための図である。
本発明の第1実施形態による撮像装置100は、図1に示すように、レンズ1と、撮像素子部2と、AFE(Analog Front End)3と、ゲイン部4と、信号処理部5と、ゲイン処理部6とを備えている。
撮像素子部2は、図2に示すように、マトリクス状に配置された複数の画素2aを有する撮像領域2bと、撮像領域2bの周辺部に形成された遮光領域2cとを備えている。各画素2aは、図3に示すように、フォトダイオード部(PD部)2dと、PD部2dに隣接するように設けられた転送ゲート電極2e、2f、2gおよび2hと、読出ゲート電極2iと、読出ゲート電極2iにゲートが接続されるフローティングディフュージョン(FD)アンプ2jとを含み、FDアンプ2jのソース/ドレインの一方には、選択された画素2aから信号を出力するための選択トランジスタ2kが接続されている。
PD部2dは、レンズ1を介して外部から光が入射した際に、光電変換により外部光の光量に応じた量の電子を生成する機能を有する。転送ゲート電極2e〜2hは、PD部2dにおいて生成された電子をFDアンプ2jに向けて転送する機能を有する。具体的には、転送ゲート電極2e〜2hからそれぞれ転送ゲート電極2e〜2h下にある転送領域2lに対して電圧を印加することにより、電子が順次転送領域2l内を転送するように構成されている。また、転送ゲート電極2fから対応する転送領域2lに高電圧を印加して電子を格子原子と衝突電離させることにより電子増倍が可能なように構成されている。そして、転送ゲート電極2fおよび2h間において繰り返し電子を転送させることにより、電子の増倍動作を複数回行うことが可能なように構成されている。なお、上記の電子増倍は、本発明における「信号電荷の増加動作」の一例である。
読出ゲート電極2iは、転送ゲート電極2e〜2hにより転送された電子をFDアンプ2jに出力する機能を有する。FDアンプ2jは、転送された電子を電圧(電圧信号)に変換する機能を有する。選択トランジスタ2kは、ゲートにオン信号が入力されることにより、FDアンプ2jにおいて電圧(電圧信号)に変換された電子を撮像素子部2の外部に出力する機能を有する。
また、図1に示すAFE3は、撮像素子部2から出力された信号(電圧信号)をA/D変換によりデジタル信号に変換する機能を有する。ゲイン部4は、AFE3から出力されたデジタル信号(電圧信号)を増幅させる機能(信号処理による増幅機能)を有する。なお、ゲイン部4は、本発明の「信号増幅部」の一例である。信号処理部5は、デジタル信号として出力された出力値(増幅された撮像データ)を表示部(図示せず)などに出力する機能を有する。
ゲイン処理部6は、撮像素子部2における電子増倍と、ゲイン部4における信号処理による増幅とを制御する機能を有する。また、ゲイン処理部6は、撮像時の画像データの明るさ(光電変換により生成された電荷量)に基づいて、この画像データを増幅させる際の増幅率の大きさを判断する機能を有する。なお、ゲイン処理部6は、本発明の「制御部」の一例である。
ここで、ゲイン処理部6は、撮像時の画像データを所望の大きさにまで増幅させる際に、撮像素子部2の電子増倍による増倍率とゲイン部4の信号処理の増幅による増幅率とを組み合わせて増幅させるとともに、撮像素子部2における電子増倍によって発生するノイズの量と、ゲイン部4における信号処理による増幅によって発生するノイズの量との合計ノイズの大きさが最小になるように、電子増倍の増倍率の大きさと信号処理による増幅の増幅率の大きさとを振り分けて、全体として所望の増幅率に達するように制御するように構成されている。
以下、ゲイン処理部6の制御により、発生するノイズが最小となるような電子増倍の増倍率および信号処理による増幅の増幅率の組み合わせにより、画像データを所望の増幅率にまで増幅させる方法について説明する。
撮像素子部2において発生するノイズは、主に、暗電流によるノイズである暗電流ショットノイズと、撮像時のノイズである光ショットノイズとから構成されている。暗電流ショットノイズは、光が遮光された状態において発生する電荷(暗電流)に起因したノイズである。光ショットノイズは、撮像時に発生するノイズである。これらの2つのノイズは、撮像素子部2の各画素2a内において発生することから、撮像素子部2において行われる電子増倍によって増倍されるものである。ここで、暗電流ショットノイズの大きさをNdarkとし、光ショットノイズの大きさをNsigとするとともに、電子増倍による増倍率をmとした場合、電子増倍後の暗電流ショットノイズおよび光ショットノイズは、以下の式(3)および(4)のようになる。
増倍動作後の暗電流ショットノイズ=Ndark×m×F・・・(3)
増倍動作後の光ショットノイズ=Nsig×m×F・・・(4)
なお、上記式(3)および(4)のF(エクセスノイズ)は、撮像素子部2において電子増倍を行うにあたって発生する電子増倍特有のノイズであり、一般的に、以下の式(5)により近似可能である。
F≒(2−1/m1/2・・・(5)
また、撮像素子部2において発生する上記のノイズとは別に、撮像装置100においては、撮像した画像データの読出し動作など、信号処理を行う際のノイズ信号として読出しノイズNrが発生する。なお、読出しノイズNrは、主に撮像素子部2よりも後段において発生する全般的なノイズであり、デバイス毎に異なる実質的に固定的な値となる。
ここで、撮像装置100に発生する上記した各々独立したノイズ(暗電流ショットノイズ、光ショットノイズ、および、読出しノイズ)の和は、一般的に二乗和平方として表わされる。したがって、上記のノイズの標準偏差σの二乗は、上記式(3)、(4)および読出しノイズNrにより、以下の式(6)のようになる。なお、以下の式における読出しノイズNrは、読出し動作において発生したノイズ信号を電子数に換算したものである。
σ={(Ndark×m×F)+(Nsig×m×F)+Nr}×m ・・・(6)
すなわち、上記式(6)におけるノイズの標準偏差の二乗σが最小になる際に、各々のノイズ(暗電流ショットノイズ、光ショットノイズ、および、読出しノイズ)が最小になる。なお、mは、信号処理による増幅の増幅率であり、信号処理による増幅動作は、撮像素子部2よりも後段において行われる。これにより、上記式(6)に示すように、撮像素子部2における増倍動作後の暗電流ショットノイズNdarkおよび光ショットノイズNsigに対してもmの増幅が行われる。
ここで、画像の撮像により発生した暗電流電子数と、生成された信号電子数とを、それぞれ、SdarkおよびSsigとする。このとき、暗電流電子数Sdarkは暗電流ショットノイズNdarkに対応する電子数であるとともに、信号電子数Ssigは光ショットノイズNsigに対応する電子数であり、暗電流ショットノイズNdarkおよび光ショットノイズNsigに対して、以下の式(7)および(8)の関係が成立する。なお、暗電流電子数Sdarkおよび信号電子数Ssigは、それぞれ、本発明の「暗電流信号電荷数」および「信号電荷数」の一例である。
dark=(Ndark・・・(7)
sig=(Nsig・・・(8)
これにより、上記式(5)、(7)および(8)を、上記式(6)に代入することにより以下の式(9)が得られる。すなわち、暗電流ショットノイズNdarkに対応する暗電流電子数Sdarkと、光ショットノイズNsigに対応する信号電子数Ssigと、読出しノイズNrとに基づいて、全体のノイズの標準偏差の二乗σが表される。
σ={(Sdark+Ssig)×m ×(2−1/m)+Nr}×m ・・・(9)
ここで、撮像時の画像データに対する最終的に増幅させたい所望の増幅率をmとした場合、本発明の撮像装置100においては、ゲイン処理部6によりそれぞれ所定の割合に振り分けられた電子増倍による増倍率mと信号処理による増幅率mとの組み合わせにより、撮像時のデータに対して所望の増幅率mに増幅させるように構成されていることから以下の式(10)が成り立つ。なお、電子増倍による増倍率mおよび信号処理による増幅率mは、それぞれ、m≧1、m≧1である。
m=m×m・・・(10)
そして、上記式(10)を上記式(9)に代入することにより、以下の式(11)が成立する。
σ=(Sdark+Ssig)×2×m−(Sdark+Ssig)×m×m+Nr×m ・・・(11)
ここで、上記式(11)は、m(≧1)を変数とする二次関数であるとともに、ノイズの標準偏差の二乗σは正の数である。したがって、以下の式(12)を満たす場合にσは最小(全体としてノイズが最小)となる。
∂σ/∂m=0・・・(12)
そして、上記式(12)を解くことにより以下の式(13)が得られる。
=m(Sdark+Ssig)/2Nr・・・(13)
また、上記式(10)および(13)により、以下の式(14)が得られる。
=2Nr/(Sdark+Ssig)・・・(14)
すなわち、上記式(13)および(14)により、所望の増幅率mにまで増幅させる際に全体としてノイズの発生量が最小になる電子増倍による増倍率mおよび信号処理による増幅率mが求められる。
ここで、上記式(13)および(14)に示すように、ノイズの発生量が最小になる電子増倍の増倍率mおよび信号処理による増幅の増幅率mは、暗電流電子数Sdark(暗電流ショットノイズNdarkに対応)と、信号電子数Ssig(光ショットノイズNsigに対応)とに基づいて算出される。以下、上記式(13)および(14)に代入する暗電流電子数Sdarkおよび信号電子数Ssigの算出方法について説明する。
暗電流電子数Sdarkは、撮像動作を行った際に、撮像素子部2の遮光領域2cにおいて、それぞれ、電子増倍を行わない部分の信号出力(電圧信号の出力)と電子増倍を行った部分の信号出力との差分から算出するように構成されている。具体的には、電子増倍を行わない部分における信号出力値をV1(mV)とするとともに、増倍率mの電子増倍を行った部分における信号出力値をVm(mV)とした場合、信号出力値のうち電子増倍された分の大きさは(Vm−V1)となる。したがって、1倍分の信号出力分は、(Vm−V1)/(m−1)となる。ここで、FDアンプ2jにおける電荷電圧変換係数(1電子あたりの電圧への変換効率)をk(mV/電子)とした場合、1倍分の暗電流電子数Sdark(撮像した際に発生する暗電流電子数)は、以下の式(15)により表される。
dark=(Vm−V1)/(m−1)k・・・(15)
これは、たとえば、電荷電圧変換係数kが0.04(mV/電子)である場合において、電子増倍を行わなかった部分の信号出力V1が0.2(mV)であるとともに、増倍率mが30倍の電子増倍を行った部分の信号出力Vmが2(mV)である場合、出力信号の差分(2−0.2=1.8)を増倍率の差分(30−1=29)で割ることにより算出された1倍分の信号出力に対して電荷電圧変換係数(0.04)で割ることにより、1倍分の暗電流電子数が算出される。すなわち、Sdark=1.8/29/0.04=1.55電子となる。
また、信号電子数Ssigにおいては、前回撮像した画像データの信号出力と今回撮像した画像データの信号出力とに基づいて算出される。具体的には、前回撮像した画像データにおける信号出力をV1とするとともに、前回撮像した画像データに対する電子増倍の増倍率をm1とすると、電荷電圧変換係数がkである場合、前回撮像した画像データにおける信号電子数Ssig1は、以下の式(16)により表される。
sig1=V1/(m1×k)・・・(16)
そして、今回撮像した画像データにおける信号出力をV2とするとともに、今回撮像した画像データに対する電子増倍の増倍率をm2とする場合、今回撮像分における1倍分の信号電子数Ssig(撮像した際に発生する信号電子数)は、以下の式(17)により表される。
sig=Ssig1×(V2/V1)×(m1/m2)−Sdark・・・(17)
上記式(15)に示すように、この信号電子数Ssigは、前回撮像分の画像データと今回撮像分の画像データとにおける信号出力の比率(V2/V1)と、電子増倍の増倍率の比率(m1/m2)と、前回の信号電子数(Ssig1)と、暗電流電子数Sdarkとに基づいて算出されている。たとえば、前回撮像した画像データが、増倍率m1が1倍で、信号出力V1が400mVであった場合、電荷電圧変換係数kが0.04(mV/電子)の際に、前回撮像分の信号電子数Ssig1は、400/0.04=10000電子となる。そして、今回撮像した画像データが増倍率m2が30倍で、信号出力V2が240mVであった場合、今回生成された全ての電子数は、10000×240/400×1/30=200電子となる。そして、この200電子から暗電流電子数Sdarkを減算したものが今回撮像分の1倍分の信号電子数Ssigとなる。
第1実施形態では、画像を撮像する毎に、今回撮像分の画像データの出力信号と前回の撮像分の画像データの出力信号とに基づいて、今回撮像分の画像データに対応する1倍分の暗電流電子数Sdarkおよび信号電子数Ssigを算出するとともに、算出された暗電流電子数Sdarkおよび信号電子数Ssigに基づいて、上記式(13)および(14)によって次回撮像時における電子増倍の増倍率mおよび信号処理による増幅の増幅率mを算出するように構成されている。
次に図4〜図6を参照して、第1実施形態の撮像装置100における撮像動作について説明する。
まず、図4のステップS1において、本発明の撮像装置100により画像の撮像を行った際に、ステップS2において、撮像素子部2により、各画素2a毎に、予め算出された増倍率mによって電子の増倍動作が行われる。次に、ステップS3において、電子増倍が行われるとともにFDアンプ2jにより電圧に変換された信号(電圧信号)をゲイン部4に出力する。次に、ステップS4において、ゲイン部4において増幅率mにより信号(電圧信号)が増幅される。そして、ステップS5において、増幅された信号(電圧信号)が信号処理部5を介して出力信号として出力される。
そして、ステップS6において、今回の撮像分における出力信号と前回の撮像分の出力信号とに基づいて今回の撮像分において生成された信号電子数Ssigが算出されるとともに、今回の撮像分において発生した暗電流電子数Sdarkが算出される。そして、ステップS7において、算出された信号電子数Ssigおよび暗電流電子数Sdarkにより次回撮像時における増倍率mおよび増幅率mが算出される。
ここで、ステップS6における信号電子数Ssigの算出については、図5に示すステップS8において、前回の撮像時における画像データの電子増倍の増倍率m1および出力値V1を取得するとともに、ステップS9において、取得した増倍率m1および出力値V1に基づいて、前回撮像時における信号電子数Ssig1を算出する。そして、ステップS10において、今回の撮像時における画像データの信号出力値V2および電子増倍の増倍率m2を取得する。その後、ステップS11において、算出した前回撮像分の信号電子数Ssig1と、取得した信号出力値V2および電子増倍の増倍率m2とによって今回撮像分の信号電子数Ssigを算出する。
また、ステップS6における暗電流電子数Sdarkの算出については、図6に示すステップS12において、電子増倍を行わない部分における信号出力値V1と、今回の電子増倍における増倍率mと、増倍率mの電子増倍を行った部分における信号出力値Vmとを取得する。そして、ステップS13において、ステップS12において取得した信号出力値V1およびVmと、増倍率mとに基づいて暗電流電子数Sdarkを算出する。
以上により、次回の画像の撮像時において、今回算出された増倍率mによる電子増倍および増幅率mの信号処理による増幅が行われる。
次に、本発明における撮像装置100を適用して実際に画像データを増幅させた結果について説明する。図7は、撮像により取得した任意の信号電子数Ssigに対して目的の値(最終的な増幅後の値)を10000電子にする場合において、それぞれ振り分けられた電子増倍の増倍率および信号処理の増幅率の結果を示した図である。たとえば、取得した信号電子数が200電子であった場合、10000電子に増幅させるには所望の増幅率は50倍となる。このとき、信号処理による増幅の増幅率を50倍にするとともに電子増倍による増倍率を1倍(増倍しない)にする(m=m×m=1×50=50(倍))ことにより、発生するノイズは最小となる。なお、このとき、暗電流電子数Sdarkは1電子であるとともに、読出しノイズNrは10電子である。
また、図8は、本発明を適用した結果、ノイズが最小になるように電子増倍の増倍率および信号処理の増幅率の割合を振り分けることにより電子を10000電子にまで増幅させた場合に発生したノイズ量を100%とするとともに、このノイズ量(100%の位置)を基準として、電子増倍のみによって電子を10000電子にまで増倍させた場合に発生したノイズ量と、信号処理のみによって電子を10000電子にまで増幅させた場合に発生したノイズ量とを表した図である。このとき、電子増倍のみによって電子を所望の値にまで増倍させる場合においては、信号電子数が小さい場合は本発明を適用した場合と略同程度のノイズの発生量となる一方で、信号電子数が大きい場合は、本発明を適用した場合よりもノイズの発生量が大きくなる。また、信号処理の増幅のみによって電子を所望の値にまで増幅させる場合においては、信号電子数が大きい場合には、本発明を適用した場合と略同程度のノイズの発生量となる一方で、信号電子数が小さい場合には、本発明の撮像装置100よりもノイズの発生量が大きくなる。以上により、画像の撮像時に取得した画像データを増幅させる際に、信号電子数の大きさに係わらず、本発明を適用することにより発生するノイズ量は常に最小の値になることが判明した。
第1実施形態では、上記のように、ゲイン処理部6により、電子増倍時に発生する暗電流ショットノイズNdarkに対応する暗電流電子数Sdarkと、画像の撮像時に発生する光ショットノイズNsigに対応する信号電子数Ssigと、画像データの読出し時などに発生する読出しノイズNrとに基づいて、次回の撮像素子部2における電子増倍の増倍率mと、ゲイン部4における信号の増幅動作の増幅率mとを制御するように構成する。このように構成することによって、ゲイン処理部6の制御により、電子増倍の増倍率mと信号処理の増幅による増幅率mとをノイズの発生量が最小になるような大きさに配分しながら、画像データを所望の増幅率にまで増幅させるように制御することにより、全体のノイズ発生量を最小にしながら所望の増幅率により画像データを増幅させることができる。そして、この場合、上記図7および図8に示したように、画像データの信号電子数の大きさに係わらず、発生するノイズ量を常に最小にすることができる。以上により、ノイズの発生量を最小にまで低減させることができるので、高画質な画像を得ることができる。
また、第1実施形態では、ゲイン処理部6の制御により、前回撮像分の画像データと今回撮像分の画像データとに基づいて、次回撮像分の画像データに対して行う電子増倍の増倍率と信号処理の増幅による増幅率とが算出されるので、ノイズ発生量を最小にしながら、常に次回撮像分の画像データを適切な増幅率によって増幅させることができる。したがって、確実に高画質な画像を得ることができる。
(第2実施形態)
図9を参照して、各画素毎に増倍率および増幅率の割合を算出した第1実施形態とは異なり、複数の画素毎に増倍率および増幅率の割合を算出する例について説明する。
第2実施形態における撮像装置200の撮像素子部20では、4つの画素20a毎に1つのエリア25が構成されている。そして、4つの画素20aからなるエリア25毎に画像データを増幅する際の電子増倍による増倍率mおよび信号処理による増幅率mの割合を算出するとともに、算出された増倍率mおよび増幅率mにより所望の増幅率mにまで増幅されるように制御されるように構成されている。
なお、第2実施形態におけるその他の構成および動作は、第1実施形態と同様である。
第2実施形態では、上記のように、複数の画素20a毎(第2実施形態は4つ毎)に1つのエリア25を形成するとともに、エリア25毎に画像データを増幅する際の増倍率mおよび増幅率mの割合を算出するように制御することによって、エリア25毎に電子の増倍動作および信号処理による増幅動作を行った際においても発生するノイズを常に最小の値にすることができるので、この場合においても、高画質の画像を得ることができる。
また、第2実施形態では、複数の画素20aからなるエリア25毎に電子の増倍動作および信号の増幅動作を行うので、その分、各画素20a毎に電子増倍および信号の増幅動作を行う場合に比べて処理速度を小さくすることができる。
なお、第2実施形態のその他の効果は、第1実施形態の効果と同様である。
なお、今回開示された実施形態は、すべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は、上記した実施形態の説明ではなく特許請求の範囲によって示され、さらに特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれる。
たとえば、上記第1および第2実施形態では、撮像装置の一例としてCMOSイメージセンサに本発明を適用する例を示したが、本発明はこれに限らず、CCDなど、CMOSイメージセンサ以外の撮像装置にも適用可能である。
また、上記第1および第2実施形態では、4本の転送ゲート電極からなるCMOSイメージセンサに本発明を適用する例を示したが、本発明はこれに限らず、4本以外の本数の転送ゲート電極からなるCMOSイメージセンサにも適用可能である。
また、上記第1および第2実施形態では、転送ゲート電極2fに高電圧を印加することにより電子増倍を行う例を示したが、本発明はこれに限らず、転送ゲート電極2f以外の転送ゲート電極において電子増倍を行ってもよい。
また、上記第1および第2実施形態では、信号電子数SSigを、前回撮像分の画像データと今回撮像分の画像データとにおける信号出力の比率と、電子増倍の増倍率の比率と、前回の撮像時の信号電子数とに基づいて算出した値から暗電流電子数Sdarkを減算することにより算出する例を示したが、本発明はこれに限らず、暗電流電子数Sdarkを減算しない値を信号電子数SSigとしてもよい。
また、上記第1および第2実施形態では、各画素毎または各エリア毎に算出した暗電流電子数Sdarkに基づいて次回撮像時の増倍率および増幅率を算出する例を示したが、本発明はこれに限らず、算出した画素毎またはエリア毎の暗電流電子数Sdarkの平均値に基づいて次回撮像時の増倍率および増幅率を算出してもよい。また、各画素毎またはエリア毎に算出した暗電流電子数Sdarkのうち、値の大きいものを選択して増倍率および増幅率の算出に使用してもよい。
また、上記第1および第2実施形態では、暗電流電子数Sdarkを、電子増倍を行わない部分の信号出力と、電子増倍を行った部分の信号出力との差分により算出する例を示したが、本発明はこれに限らず、暗電流電子数Sdarkを、異なる増倍率により電子増倍を行った2種類の大きさの信号出力の差分により算出してもよい。すなわち、暗電流電子数Sdarkを算出するための一方の信号出力の増倍率は1倍でなくてもよい。
また、上記第1および第2実施形態では、前回および今回撮像時における画像データに基づいて、次回撮像時における電子増倍の増倍率および信号処理の増幅による増幅率を算出する例を示したが、本発明はこれに限らず、たとえば、2回撮像する毎に1回増倍率および増幅率を算出するなど、複数回撮像する毎に1回算出を行ってもよい。すなわち、常に次回撮像時の増倍率および増幅率を算出する場合のみならず、次回以降のいずれかの撮像時の増倍率および増幅率の算出であれば適用可能である。
また、上記第2実施形態では、画素を4個毎に分割してエリア毎に増倍率および増幅率を算出する例を示したが、本発明はこれに限らず、画素を4個毎以外の個数毎にエリアを構成してもよい。
本発明の第1実施形態による撮像装置の構成を示したブロック図である。 本発明の第1実施形態による撮像装置の画素部分の構成を示した正面図である。 本発明の第1実施形態による撮像装置の画素部分の構成を示した回路図である。 本発明の第1実施形態による撮像装置の増倍率および増幅率の算出を説明するためのフローチャートである。 本発明の第1実施形態による撮像装置の増倍率および増幅率の算出を説明するためのフローチャートである。 本発明の第1実施形態による撮像装置の増倍率および増幅率の算出を説明するためのフローチャートである。 本発明の第1実施形態による撮像装置を適用した結果について説明するための図である。 本発明の第1実施形態による撮像装置を適用した結果について説明するための図である。 本発明の第2実施形態による撮像装置について説明するための図である。
符号の説明
2、20 撮像素子部
2b 撮像領域
2c 遮光領域
4 ゲイン部(信号増幅部)
6 ゲイン処理部(制御部)
100、200 撮像装置

Claims (4)

  1. 信号電荷を生成するとともに、生成された信号電荷を増加させる機能を有する撮像素子部と、
    前記撮像素子部から出力された信号を増幅させる機能を有する信号増幅部と、
    信号電荷の増加率および信号の増幅率を制御する制御部とを備え、
    前記制御部は、光が遮光された状態で発生する暗電流によるノイズに対応する信号と、撮像時のノイズに対応する信号と、画像データを読み出す際に発生する読出しノイズに対応する信号とに基づいて、次回以降の少なくともいずれかの撮像時の前記撮像素子部における信号電荷の増加動作による増加率と、前記信号増幅部における信号の増幅動作による増幅率とを制御するように構成されている、撮像装置。
  2. 前記制御部は、前記暗電流によるノイズと、前記撮像時のノイズと、前記読出しノイズとの合計のノイズの大きさが最小になるように、次回以降の少なくともいずれかの撮像時における画像データに対して行う前記撮像素子部における信号電荷の増加動作による増加率と、前記信号増幅部における信号の増幅動作による増幅率とをそれぞれ算出するように構成されている、請求項1に記載の撮像装置。
  3. 前記制御部は、前記読出しノイズをNrとし、前記暗電流によるノイズを構成する暗電流信号電荷数をSdarkとし、前記暗電流信号電荷数を含まないとともに、今回撮像時に生成された信号電荷数をSsigとした場合に、以下の式(1)により、次回以降の少なくともいずれかの撮像時における前記撮像素子部の信号電荷の増加率mを算出するように制御するように構成されている、請求項2に記載の撮像装置。
    =2×Nr/(Sdark+Ssig)・・・(1)
  4. 前記制御部は、画像データに対する次回以降の少なくともいずれかの撮像時の所望の増幅率をmとし、前記読出しノイズをNrとし、前記暗電流によるノイズを構成する暗電流信号電荷数をSdarkとし、前記暗電流信号電荷数を含まないとともに、今回撮像時に生成された信号電荷数をSsigとした場合に、以下の式(2)により、次回以降の少なくともいずれかの撮像時における前記信号増幅部の信号の増幅率mを算出するように制御するように構成されている、請求項2または3に記載の撮像装置。
    =m×(Sdark+Ssig)/2Nr・・・(2)
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* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2016010008A (ja) * 2014-06-24 2016-01-18 リコーイメージング株式会社 撮像装置及びノイズ補正方法

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