JP2010081029A - 高周波モジュール - Google Patents

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智之 五井
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直之 石川
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Abstract

【課題】積層基板と、積層基板内に設けられたバランと、積層基板に搭載された能動素子とを備えた高周波モジュールであって、能動素子の放熱を妨げることなく、また、バラン以外の回路へ直流電圧が印加されることなく、バランのためのグランド層に直流電圧を印加することを可能にする。
【解決手段】積層基板50内に設けられたバラン用グランド層531A,651Aは、バランの伝送線路部40を上下から挟む位置に配置されている。バラン用グランド層531A,651Aは、モジュール用グランド層531B,651Bに対して、物理的に分離され、且つキャパシタC1を介して高周波的に結合されている。バラン用グランド層531A,651Aには、バランの平衡伝送線路を介して、高周波モジュールに接続されたRFICに駆動用の直流電圧を供給するための直流電圧印加端子BDCが接続されている。
【選択図】図13

Description

本発明は、積層基板と、積層基板内に設けられたバランと、積層基板に搭載された能動素子とを備え、高周波信号を処理する高周波モジュールに関する。
一般的に、携帯電話機、無線LAN(ローカルエリアネットワーク)用の通信装置、ブルートゥース(登録商標)規格の通信装置等の無線通信装置において高周波信号を処理する高周波回路部は、主に高周波信号の変調および復調を行う集積回路(以下、RFICと記す。)を備えている。このRFICは、平衡信号の形態の信号を入力または出力する場合が多い。この場合、高周波回路部には、不平衡信号と平衡信号との変換を行うバランが必要になる。
上記バランとしては、特許文献1ないし3に記載されているような、積層された複数の誘電体層を含む積層基板を用いて構成された積層型バランが知られている。この積層型バランは、1つの1/2波長の不平衡伝送線路と、この不平衡伝送線路に電磁結合する第1および第2の1/4波長の平衡伝送線路とを有している。不平衡伝送線路は、不平衡信号の入力または出力のための第1の端部とその反対側に位置し開放された第2の端部とを有している。第1および第2の平衡伝送線路は、それぞれ、第1の端部と第2の端部とを有している。第1の平衡伝送線路の第1の端部は第1の平衡信号端子に接続され、第2の平衡伝送線路の第1の端部は第2の平衡信号端子に接続される。第1の平衡伝送線路の第2の端部および第2の平衡伝送線路の第2の端部は、グランドに接続される。また、積層型バランでは、例えば、第1および第2の1/4波長の平衡伝送線路と不平衡伝送線路を上下から2つのグランド層で挟んだストリップ線路の構造が用いられる。この場合、第1の平衡伝送線路の第2の端部および第2の平衡伝送線路の第2の端部は、少なくとも一方のグランド層に接続される。
近年、無線通信装置の小型化、薄型化の要求が高まってきており、それに伴い、無線通信装置の高周波回路部には、部品点数の削減やモジュール化が求められている。そのため、例えば特許文献4に記載されているように、バランを含む高周波回路部のモジュール化が進められている。
ところで、ISM帯域(Industry Science Medical Band)のうちの2.4GHz帯(2.4〜2.5GHz)を使用する通信システムとしては、IEEE802.11b規格またはIEEE802.11g規格の無線LANシステムと、ブルートゥースシステムがある。これらの通信システムでは、ほぼ同一の周波数帯を使用するため、高周波回路部の一部を共用することが可能である。特許文献5には、ほぼ同一の周波数帯を使用する少なくとも2つの異なる通信システムで共用可能なマルチバンド用アンテナスイッチモジュールが記載されている。ほぼ同一の周波数帯を使用する複数の通信システムで高周波回路部の一部を共用することにより、高周波回路部の小型化のみならず、高周波回路部の低コスト化を実現することができる。無線LANシステムとブルートゥースシステムで共用できる高周波モジュールは、スマートフォンに代表されるような携帯無線通信装置に使用されており、今後、需要の増加が期待されている。
一方、無線通信装置において、一対の平衡信号端子を介してバランに接続されるRFICに対して、バランの一対の平衡伝送線路を介して、RFIC駆動用の直流電圧を供給する方法が、特許文献6ないし9に記載されている。RFICを駆動する場合、通常は、チョークインダクタを介してRFICに直流電圧を印加する。これに対し、上記の方法によれば、バランの一対の平衡伝送線路がチョークインダクタの役割を果たすため、チョークインダクタが不要となり、その結果、無線通信装置の高周波回路部の部品点数を削減することができる。上記の方法は、ブルートゥースシステム等で用いられている。
上記の特許文献1ないし9の他に本発明に関連する技術を開示するものとしては、特許文献10および11がある。特許文献10には、多層構造セラミック基板上に受信用弾性表面波フィルタと送信用弾性表面波フィルタを固定し、受信用弾性表面波フィルタに接続された整合素子と、送信用弾性表面波フィルタに接続されたローパスフィルタとを多層構造セラミック基板の内部に形成し、多層構造セラミック基板の内部で、ローパスフィルタのグランドを他の回路素子のグランドと分離した分波器が記載されている。特許文献11には、多層基板の上面に、この上面に実装する2つの高周波部品の各グランド端子が接続される2組の上面グランド電極を設け、多層基板の下面または下面付近に共通グランド電極を設け、2組の上面グランド電極と共通グランド電極の間に2組の中間グランド電極を設け、一方の組の上面グランド電極と中間グランド電極と共通グランド電極を一組のビアホール導体で導通させ、他方の組の上面グランド電極と中間グランド電極と共通グランド電極を他の一組のビアホール導体で導通させた高周波モジュールが記載されている。
特開2002−299127号公報 特開2004−172284号公報 特開2006−121313号公報 特開2003−143033号公報 特開2007−150566号公報 特開2003−18039号公報 特開2004−56745号公報 特開2005−260903号公報 特開2007−110271号公報 特開2003−198325号公報 特開2004−165633号公報
ここで、積層基板と、積層基板内に設けられたバランと、積層基板に搭載された能動素子とを備えた高周波モジュールにおいて、高周波モジュールに接続されたRFICに対して、バランを介して駆動用の直流電圧を供給する場合について考える。
上述の構成の高周波モジュールの一例としては、以下のような構成の無線LANシステムとブルートゥースシステムで共用できる高周波モジュールがある。この一例の高周波モジュールは、積層基板と、それぞれ積層基板の外面に設けられたアンテナ端子、無線LAN用の送信端子、無線LAN用の一対の平衡受信端子およびブルートゥース用の一対の平衡送受信端子とを備えている。一例の高周波モジュールは、更に、バンドパスフィルタと、単極三投スイッチと、無線LAN用の電力増幅器と、無線LAN用の低雑音増幅器と、無線LAN用のバランと、ブルートゥース用のバランとを備えている。単極三投スイッチは、第1ないし第4のポートを有し、第1のポートを第2ないし第4のポートのいずれかに選択的に接続する。第1のポートは、バンドパスフィルタを介してアンテナ端子に接続されている。第2のポートは、電力増幅器の出力端に接続されている。電力増幅器の入力端は、無線LAN用の送信端子に接続されている。第3のポートは、低雑音増幅器の入力端に接続されている。低雑音増幅器の出力端は、無線LAN用のバランの不平衡端子に接続されている。無線LAN用のバランの一対の平衡端子は、無線LAN用の一対の平衡受信端子に接続されている。第4のポートは、ブルートゥース用のバランの不平衡端子に接続されている。ブルートゥース用のバランの一対の平衡端子は、ブルートゥース用の一対の平衡送受信端子に接続されている。単極三投スイッチと電力増幅器と低雑音増幅器は、例えば1つの能動素子としてのIC(集積回路)によって構成され、このICは積層基板の上面に搭載されている。
上記の一例の高周波モジュールに対しては、無線LAN用のRFICとブルートゥース用のRFICとが接続される。無線LAN用のRFICは、無線LAN用の送信端子と無線LAN用の一対の平衡受信端子とに接続される。ブルートゥース用のRFICは、ブルートゥース用の一対の平衡送受信端子に接続される。このような構成において、ブルートゥース用のRFICに対して、ブルートゥース用のバランの一対の平衡伝送線路を介して、駆動用の直流電圧を供給する場合について考える。
上記の一例の高周波モジュールのように、それぞれ所定の機能を有する複数の要素が積層基板によって集積されたモジュールでは、一般的に、積層基板内に、複数の要素に共通の共通グランド層が設けられる。この共通グランド層は、高周波モジュールが実装される実装用基板のグランド層に接続される。ブルートゥース用のバランの一対の平衡伝送線路が共通グランド層に接続され、この一対の平衡伝送線路にRFIC駆動用の直流電圧を印加する場合、共通グランド層が実装用基板のグランド層に直接接続されていると、一対の平衡伝送線路において直流電圧のレベルを維持できないため、直流電圧をRFICに印加することができない。そのため、共通グランド層と実装用基板のグランド層との間にキャパシタを設けることが考えられる。
しかし、上述のように共通グランド層と実装用基板のグランド層との間にキャパシタを設け、共通グランド層に接続された一対の平衡伝送線路にRFIC駆動用の直流電圧を印加する場合には、以下のような第1ないし第3の問題点がある。
まず、第1の問題点について説明する。単極三投スイッチと電力増幅器と低雑音増幅器を構成するICは、使用時に発熱する。そのため、一般的に、ICの放熱性を高めるために、ICはサーマルビアを介して共通グランド層に接続される。これにより、ICより発生された熱は、サーマルビアを介して共通グランド層に伝達され、更に実装用基板のグランド層に伝達される。このようにして、ICの放熱が行われる。しかし、共通グランド層と実装用基板のグランド層との間にキャパシタを設けると、共通グランド層と実装用基板のグランド層とが物理的に分離されるため、共通グランド層から実装用基板のグランド層への熱の伝達が妨げられ、その結果、ICの放熱が妨げられる。これが第1の問題点である。
次に、第2の問題点について説明する。単極三投スイッチと電力増幅器と低雑音増幅器を構成するICは、電源電圧Vccを印加することで動作する。この電源電圧VccはICのグランド電極のグランド電位(通常0V)を基準としているため、ICのグランド電極が接続される共通グランド層と実装用基板のグランド層との間にキャパシタを設けると、ICのグランド電極がグランド電位ではなくなり、不安定になる。そのため、この場合、ICに電源電圧Vccが正常に印加されずに、ICが動作しない可能性がある。これが第2の問題点である。
次に、第3の問題点について説明する。共通グランド層に接続された一対の平衡伝送線路にRFIC駆動用の直流電圧を印加すると、共通グランド層に意図しない直流電圧が印加される。その結果、共通グランド層に接続された他の回路、例えば無線LAN用のバランにも、意図しない直流電圧が印加されてしまう。無線LAN用のバランにも直流電圧が印加されると、このバランを介して無線LAN用のRFICにも意図しない直流電圧が印加されてしまう。また、単極三投スイッチと電力増幅器と低雑音増幅器を構成するICのグランド電極が接続される共通グランド層に意図しない直流電圧が印加されると、電源電圧Vccの基準電位が上がり、その結果、電源電圧Vccと基準電位との電位差が小さくなる。例えば、0Vを基準電位としたときの電源電圧Vccと基準電位との電位差が3.3Vである場合において、ICのグランド電極が接続される共通グランド層に意図しない直流電圧として2.8Vが印加されると、電源電圧Vccと基準電位との電位差は、3.3V−2.8V、すなわち0.5Vになってしまう。このように、共通グランド層に意図しない直流電圧が印加されると、ICを駆動させるために十分な電圧がICに印加されずに、ICが動作不良を起こす可能性がある。以上が第3の問題点である。
なお、共通グランド層に接続された一対の平衡伝送線路にRFICが接続されている場合には、RFICに対して一対の平衡伝送線路とは別の経路からRFIC駆動用の直流電圧を供給する場合においても、以下のような第4の問題点がある。すなわち、この場合、別の経路からRFICに供給された直流電圧が、RFICに接続された一対の平衡伝送線路にも印加される可能性がある。ここで、共通グランド層が実装用基板のグランド層に直接接続されると、直流電圧のレベルを維持することができない。一方、共通グランド層と実装用基板のグランド層との間にキャパシタを設けた場合には、一対の平衡伝送線路に印加された直流電圧が、共通グランド層に接続された他の回路にも印加されてしまう。
上述の第1ないし第4の問題点は、上記の一例の高周波モジュールに限らず、積層基板と、積層基板内に設けられたバランと、積層基板に搭載された能動素子とを備えた高周波モジュールの全般に当てはまる。
本発明はかかる問題点に鑑みてなされたもので、その目的は、積層基板と、積層基板内に設けられたバランと、積層基板に搭載された能動素子とを備えた高周波モジュールであって、能動素子の放熱を妨げることなく、また、バラン以外の回路へ直流電圧が印加されることなく、バランのためのグランド層に直流電圧を印加することを可能にした高周波モジュールを提供することにある。
本発明の高周波モジュールは、積層された複数の誘電体層を含む積層基板と、積層基板の外面に設けられた、平衡信号の入力または出力のための第1および第2の平衡信号端子と、積層基板内に設けられ、第1および第2の平衡信号端子に接続されたバランと、積層基板に搭載された能動素子と、積層基板内に設けられた少なくとも1つのモジュール用グランド層と、能動素子と少なくとも1つのモジュール用グランド層とを接続する少なくとも1つのビアホールとを備え、高周波信号を処理するものである。
本発明の高周波モジュールにおいて、バランは、第1の平衡信号端子に接続された第1の端部とその反対側の第2の端部とを有する第1の平衡伝送線路と、第2の平衡信号端子に接続された第1の端部とその反対側の第2の端部とを有する第2の平衡伝送線路と、第1の平衡伝送線路の第2の端部および第2の平衡伝送線路の第2の端部に接続された少なくとも1つのバラン用グランド層とを含んでいる。少なくとも1つのバラン用グランド層は、少なくとも1つのモジュール用グランド層に対して、物理的に分離され、且つ高周波的に結合されている。
本発明の高周波モジュールは、更に、積層基板の外面に設けられ、少なくとも1つのバラン用グランド層に接続され、直流電圧が印加される直流電圧印加端子を備えていてもよい。
また、本発明の高周波モジュールにおいて、バランは、更に、不平衡信号の入力または出力のための第1の端部とその反対側に位置し開放された第2の端部とを有し、第1および第2の平衡伝送線路に電磁結合する不平衡伝送線路を含んでいてもよい。
また、本発明の高周波モジュールは、更に、少なくとも1つのバラン用グランド層と少なくとも1つのモジュール用グランド層とを高周波的に結合する少なくとも1つの結合用キャパシタを備えていてもよい。この場合、1つの結合用キャパシタは、積層基板に搭載されていてもよい。あるいは、1つのバラン用グランド層と1つのモジュール用グランド層は誘電体層を介して対向し、この1つのバラン用グランド層と1つのモジュール用グランド層とを用いて、1つの結合用キャパシタが形成されていてもよい。また、少なくとも1つの結合用キャパシタは第1および第2の結合用キャパシタを含み、第1の結合用キャパシタは積層基板に搭載され、1つのバラン用グランド層と1つのモジュール用グランド層は誘電体層を介して対向し、この1つのバラン用グランド層と1つのモジュール用グランド層とを用いて、第2の結合用キャパシタが形成されていてもよい。
また、本発明の高周波モジュールにおいて、少なくとも1つのバラン用グランド層は、第1および第2の平衡伝送線路を上下から挟む位置に配置された2つのバラン用グランド層を含んでいてもよい。
また、本発明の高周波モジュールにおいて、第1および第2の平衡伝送線路は、1つのバラン用グランド層と1つのモジュール用グランド層とによって上下から挟まれる位置に配置されていてもよい。
また、本発明の高周波モジュールが直流電圧印加端子と、少なくとも1つの結合用キャパシタとを備えている場合において、第1および第2の平衡伝送線路は、1つのバラン用グランド層と1つのモジュール用グランド層とによって上下から挟まれる位置に配置され、この1つのバラン用グランド層と1つのモジュール用グランド層のうち、1つのバラン用グランド層の方が、少なくとも1つの結合用キャパシタに近い位置に配置されていてもよい。
本発明の高周波モジュールでは、少なくとも1つのバラン用グランド層が、少なくとも1つのモジュール用グランド層に対して、物理的に分離され、且つ高周波的に結合されていることから、少なくとも1つのバラン用グランド層に直流電圧を印加しても、少なくとも1つのモジュール用グランド層には直流電圧は印加されない。また、能動素子は、少なくとも1つのビアホールによって少なくとも1つのモジュール用グランド層に接続されている。従って、本発明の高周波モジュールによれば、能動素子の放熱を妨げることなく、また、バラン以外の回路へ直流電圧が印加されることなく、バランのためのグランド層に直流電圧を印加することが可能になるという効果を奏する。
[第1の実施の形態]
以下、本発明の実施の形態について図面を参照して詳細に説明する。始めに、図1を参照して、本発明の第1の実施の形態に係る高周波モジュールの回路構成について説明する。本実施の形態に係る高周波モジュール1は、携帯無線通信装置等の無線通信装置の高周波回路部を構成し、高周波信号を処理するものであって、互いに異なる第1および第2の通信システムで共用されるものである。第1の通信システムは、例えばIEEE802.11b規格またはIEEE802.11g規格の無線LANシステムである。第2の通信システムは、例えばブルートゥースシステムである。これらのシステムは、いずれも、周波数帯として2.4GHz帯(2.4〜2.5GHz)を使用する。
高周波モジュール1は、図示しないアンテナに接続されるアンテナ端子ANTと、第1の通信システムにおける不平衡信号の形態の送信信号(以下、第1の送信信号という。)が入力される送信信号端子WTと、第1の通信システムにおける平衡信号の形態の受信信号(以下、第1の受信信号という。)を出力する一対の受信信号端子WR1,WR2と、第2の通信システムにおける平衡信号の形態の送信信号(以下、第2の送信信号という。)が入力されると共に、第2の通信システムにおける平衡信号の形態の受信信号(以下、第2の受信信号という。)を出力する一対の送受信信号端子BTR1,BTR2とを備えている。送受信信号端子BTR1,BTR2は、本発明における第1および第2の平衡信号端子に対応する。
高周波モジュール1は、更に、制御端子V1,V2,V3と、電源端子Vccと、直流電圧印加端子BDCと、出力電力検出端子Vdetと、図示しない複数のグランド端子とを備えている。
図示しないが、高周波モジュール1には、第1の通信システムにおける高周波信号の変調および復調を行う集積回路である第1のRFICと、第2の通信システムにおける高周波信号の変調および復調を行う集積回路である第2のRFICとが接続されるようになっている。第1のRFICは送信信号端子WTおよび受信信号端子WR1,WR2に接続される。第2のRFICは送受信信号端子BTR1,BTR2に接続される。第1のRFICは、第1の送信信号を生成し、送信信号端子WTに対して出力すると共に、受信信号端子WR1,WR2より第1の受信信号を受け取る。第2のRFICは、第2の送信信号を生成し、送受信信号端子BTR1,BTR2に対して出力すると共に、送受信信号端子BTR1,BTR2より第2の受信信号を受け取る。
高周波モジュール1は、更に、バンドパスフィルタ(以下BPFと記す。)2と、第1のバラン3と、第2のバラン4と、IC(集積回路)5と、結合用キャパシタC1と、バイパス用キャパシタC2とを備えている。IC5は、パッケージの形態になっている。IC5は、端子5A,5WT,5WR,5B,5V1,5V2,5V3,5VC,5VDと、グランド電極5G1〜5G8を有している。なお、図1では、グランド電極5G1〜5G8を代表してグランド電極5Gとして示している。IC5は、更に、単極三投のスイッチ11と、電力増幅器12と、低雑音増幅器13と、出力電力検出回路14と、キャパシタC3〜C8とを有している。
BPF2は、第1および第2の入出力端を有している。BPF2の第1の入出力端は、アンテナ端子ANTに接続されている。BPF2の第2の入出力端は、IC5の端子5Aに接続されている。BPF2は、第1および第2の入出力端の一方に入力された信号のうち、第1および第2の通信システムの周波数帯内の周波数の信号を濾波して、第1および第2の入出力端の他方より出力する。
スイッチ11は、4つのポート11a,11b,11c,11dを有し、ポート11aをポート11b,11c,11dのいずれかに選択的に接続する。スイッチ11は、制御端子V1,V2,V3に入力される3つの制御信号に基づいて制御される。ポート11aは、キャパシタC3を介して端子5Aに接続され、キャパシタC3と端子5Aを介してBPF2の第2の入出力端に接続されている。ポート11dは、キャパシタC6を介して端子5Bに接続されている。
電力増幅器12は、入力端と出力端とを有している。電力増幅器12の入力端は、キャパシタC7を介してIC5の端子5WTに接続されている。端子5WTは、高周波モジュール1の送信信号端子WTに接続されている。電力増幅器12の出力端は、出力電力検出回路14とキャパシタC4を介して、スイッチ11のポート11bに接続されている。電力増幅器12は、送信信号端子WTに入力された第1の送信信号を増幅する。出力電力検出回路14は、IC5の端子5VDに接続されている。端子5VDは、高周波モジュール1の出力電力検出端子Vdetに接続されている。出力電力検出回路14は、電力増幅器12の出力電力の一部を取り出し、電力増幅器12の出力電力のレベルを示す検出電圧に変換し、端子5VDを介して出力電力検出端子Vdetに出力する。この検出電圧は、第1のRFIC内に設けられた自動出力制御回路に入力される。この自動出力制御回路は、電力増幅器12の出力電力のレベルがほぼ一定になるように、電力増幅器12に供給する第1の送信信号のレベルを制御する。なお、高周波モジュール1が自動出力制御回路を備え、この自動出力制御回路が、電力増幅器12の出力電力のレベルがほぼ一定になるように電力増幅器12のゲインを調整するようにしてもよい。
低雑音増幅器13は、入力端と出力端とを有している。低雑音増幅器13の入力端は、キャパシタC5を介してスイッチ11のポート11cに接続されている。低雑音増幅器13の出力端は、キャパシタC8を介してIC5の端子5WRに接続されている。低雑音増幅器13は、ポート11cより出力される信号を増幅する。
第1のバラン3は、1つの不平衡信号端子と一対の平衡信号端子とを有している。バラン3の不平衡信号端子は、IC5の端子5WRに接続され、この端子5WRを介して低雑音増幅器13の出力端に接続されている。バラン3の一対の平衡信号端子は、一対の受信信号端子WR1,WR2に接続されている。
第2のバラン4は、1つの不平衡信号端子と一対の平衡信号端子とを有している。バラン4の不平衡信号端子は、IC5の端子5Bに接続され、この端子5Bを介して、スイッチ11のポート11dに接続されている。バラン4の一対の平衡入出力端は、一対の送受信信号端子BTR1,BTR2に接続されている。また、第2のバラン4には、高周波モジュール1の直流電圧印加端子BDCが接続されている。この直流電圧印加端子BDCは、キャパシタC1を介してグランドに接続されている。
IC5の端子5V1,5V2,5V3は、スイッチ11を制御する3つの制御信号が入力される端子であり、それぞれ高周波モジュール1の制御端子V1,V2,V3に接続されている。IC5の端子5VCは、IC5の電源電圧が供給される端子であり、高周波モジュール1の電源端子Vccに接続されている。この電源端子Vccは、キャパシタC2を介してグランドに接続されている。IC5のグランド電極5G(5G1〜5G8)はグランドに接続されている。
次に、図2を参照して、第2のバラン4の構成について説明する。バラン4は、不平衡信号の入力または出力のための1つの不平衡端41と、平衡信号の入力または出力のための2つの平衡端42,43と、第1の平衡伝送線路44と、第2の平衡伝送線路45と、不平衡伝送線路46とを有している。不平衡端41は、IC5の端子5Bに接続されている。平衡端42,43は、高周波モジュール1の送受信信号端子BTR1,BTR2に接続されている。
不平衡伝送線路46は、直列に接続された2つの伝送線路461,462を含んでいる。伝送線路44,45,461,462は、いずれも、バラン4を通過する信号の波長の1/4の長さを有し、1/4波長共振器として機能する。
第1の平衡伝送線路44は、平衡端42となる第1の端部44aと、その反対側の第2の端部44bとを有している。第2の平衡伝送線路45は、平衡端43となる第1の端部45aと、その反対側の第2の端部45bとを有している。伝送線路44,45の第2の端部44b,45bは、互いに接続されていると共に、キャパシタC1を介してグランドに接続されている。また、伝送線路44,45の第2の端部44b,45bには、直流電圧印加端子BDCが接続されている。
伝送線路461の一端は、不平衡端41となる。伝送線路461の他端は、伝送線路462の一端に接続されている。伝送線路462の他端は、開放されている。伝送線路461の一端は、不平衡伝送線路46における不平衡信号の入力または出力のための第1の端部を構成している。伝送線路462の他端は、不平衡伝送線路46において、第1の端部の反対側に位置し開放された第2の端部を構成している。不平衡伝送線路46は、平衡伝送線路44,45に電磁結合している。
また、後で詳しく説明するが、バラン4は、平衡伝送線路44,45と不平衡伝送線路46を上下から2つのグランド層で挟んだストリップ線路の構造を有している。
バラン3の構成は、伝送線路44,45の第2の端部44b,45bが、キャパシタを介さずに直接グランドに接続されている点と、この第2の端部44b,45bに直流電圧印加端子BDCが接続されていない点を除いて、バラン4と同様である。
次に、本実施の形態に係る高周波モジュール1の主要な作用について説明する。第1の送信信号の送信時には、スイッチ11のポート11aはポート11bに接続される。この場合、第1のRFICより出力された第1の送信信号は、送信信号端子WT、端子5WT、キャパシタC7、電力増幅器12、出力電力検出回路14、キャパシタC4、スイッチ11、キャパシタC3、端子5A、BPF2およびアンテナ端子ANTを順に通過してアンテナに供給され、このアンテナより送信される。
第1の受信信号の受信時には、スイッチ11のポート11aはポート11cに接続される。この場合、アンテナによって受信された第1の受信信号は、アンテナ端子ANT、BPF2、端子5A、キャパシタC3、スイッチ11、キャパシタC5、低雑音増幅器13、キャパシタC8および端子5WRを順に通過して、バラン3に入力され、バラン3によって平衡信号の形態の受信信号に変換される。この平衡信号の形態の受信信号は、端子WR1,WR2を通過して第1のRFICに入力される。
第2の送信信号の送信時には、スイッチ11のポート11aはポート11dに接続される。この場合、第2のRFICより出力された平衡信号の形態の第2の送信信号は、送受信信号端子BTR1,BTR2を介してバラン4に入力され、バラン4によって不平衡信号の形態の送信信号に変換される。この不平衡信号の形態の送信信号は、端子5B、キャパシタC6、スイッチ11、キャパシタC3、端子5A、BPF2およびアンテナ端子ANTを順に通過してアンテナに供給され、このアンテナより送信される。
第2の受信信号の受信時にも、スイッチ11のポート11aはポート11dに接続される。この場合、アンテナによって受信された第2の受信信号は、アンテナ端子ANT、BPF2、端子5A、キャパシタC3、スイッチ11、キャパシタC6および端子5Bを順に通過して、バラン4に入力され、バラン4によって平衡信号の形態の受信信号に変換される。この平衡信号の形態の受信信号は、端子BTR1,BTR2を通過して第2のRFICに入力される。
キャパシタC3〜C8は、いずれも、制御端子V1,V2,V3に入力される3つの制御信号に起因した直流電流が、スイッチ11に接続された信号経路に流れることを防止するためのものである。ここで、スイッチ11の構成と、スイッチ11に接続された信号経路にキャパシタを設けることの要否について詳しく説明する。まず、スイッチ11としては、モノリシックマイクロ波集積回路(以下、MMICと記す。)によって構成されたスイッチや、PINダイオードを用いて構成されたスイッチを用いることができる。MMICによって構成されたスイッチには、デプレッション型の電界効果トランジスタ(以下、FETと記す。)を用いたものと、エンハンスメント型のFETを用いたものとがある。デプレッション型のFETでは、ゲート電圧が0でもドレイン電流が流れる。エンハンスメント型のFETでは、ゲート電圧が0のときにはドレイン電流は流れない。デプレッション型のFETとしては、例えばGaAs系のpHEMT(シュードモルフィック高電子移動度トランジスタ)がある。エンハンスメント型のFETとしては、例えばCMOS(相補型金属酸化膜半導体)がある。
スイッチ11として、MMICによって構成されたスイッチであってデプレッション型のFETを用いて構成されたものを用いる場合、またはPINダイオードを用いて構成されたスイッチを用いる場合には、原則として、スイッチ11の各ポートに接続された各信号経路に、直流電流の通過を阻止するキャパシタを設ける必要がある。ただし、上記信号経路に接続される素子が、直流電流の通過を阻止する機能を有し、且つ直流電流に対する耐性が大きい場合には、その信号経路には、直流電流の通過を阻止するキャパシタを設けなくてもよい。
スイッチ11としてMMICによって構成されたスイッチであってエンハンスメント型のFETを用いて構成されたものを用いる場合には、スイッチ11の各ポートに接続された各信号経路に、直流電流の通過を阻止するキャパシタを設ける必要はない。
本実施の形態において、バラン3,4は、2つの平衡伝送線路と不平衡伝送線路とが物理的に接続されていないため、直流電流を通過させない。そのため、本実施の形態では、制御端子V1,V2,V3に入力される3つの制御信号に起因した直流電流が、スイッチ11に接続された信号経路に流れる場合であっても、バラン3と低雑音増幅器13との間のキャパシタC8と、バラン4とスイッチ11との間のキャパシタC6は省略することができる。
次に、本実施の形態に係る高周波モジュール1の構造について説明する。図3は、高周波モジュール1の外観を示す斜視図である。図4は、高周波モジュール1の平面図である。図3および図4に示したように、高周波モジュール1は、高周波モジュール1の各要素を一体化する積層基板50を備えている。後で詳しく説明するが、積層基板50は、積層された複数の誘電体層を含んでいる。また、積層基板50は、上面50aと底面50bと4つの側面とを有し、直方体形状をなしている。
高周波モジュール1における回路は、積層基板50内に設けられた導体層と、上記誘電体層と、積層基板50の上面50aに搭載された素子とを用いて構成されている。上面50aには、IC5およびキャパシタC1,C2が搭載されている。後で説明するが、積層基板50の底面50bには、高周波モジュール1の複数の端子が配置されている。
IC5は、積層基板50の上面50aに対向する底面を有している。この底面には、図4において破線で示したように、端子5A,5WT,5WR,5B,5V1,5V2,5V3,5VC,5VDとグランド電極5G1〜5G8が配置されている。IC5の複数の端子とグランド電極5G2〜5G8は、IC5の底面の辺の近傍に配置されている。グランド電極5G1は、IC5の底面において、IC5の複数の端子およびグランド電極5G2〜5G8に囲まれた広い領域に配置されている。
次に、図5ないし図12を参照して、積層基板50における誘電体層と導体層について詳しく説明する。図5において(a)、(b)は、それぞれ上から1層目、2層目の誘電体層の上面を示している。図6において(a)、(b)は、それぞれ上から3層目、4層目の誘電体層の上面を示している。図7において(a)、(b)は、それぞれ上から5層目、6層目の誘電体層の上面を示している。図8において(a)、(b)は、それぞれ上から7層目、8層目の誘電体層の上面を示している。図9において(a)、(b)は、それぞれ上から9層目、10層目の誘電体層の上面を示している。図10において(a)、(b)は、それぞれ上から11層目、12層目の誘電体層の上面を示している。図11において(a)、(b)は、それぞれ上から13層目、14層目の誘電体層の上面を示している。図12(a)は、上から15層目の誘電体層の上面を示している。図12(b)は、上から15層目の誘電体層およびその下の導体層を、上から見た状態で表したものである。図5ないし図12において、丸印はビアホールを表している。
図5(a)に示した1層目の誘電体層51の上面には、キャパシタC1が接続される導体層511A,511Bと、キャパシタC2が接続される導体層512A,512Bと、それぞれIC5の端子5A,5WT,5WR,5B,5V1,5V2,5V3,5VC,5VDおよびグランド電極5G1〜5G8が接続される導体層51A,51WT,51WR,51B,51V1,51V2,51V3,51VC,51VD,51G1〜51G8とが形成されている。導体層51G1は、グランド電極5G1と同様に広い領域に配置されている。
また、誘電体層51には、導体層51Bに接続されたビアホール516と、導体層511Bに接続されたビアホール518と、導体層511Aに接続されたビアホール519と、その他の各導体層に接続された複数のビアホールが形成されている。なお、符号510を付した破線の枠内に配置された複数のビアホールは、特に、IC5から発生される熱を放熱するためのサーマルビアである。
図5(b)に示した2層目の誘電体層52の上面には、導体層525A,525B,525C,525D,525E,525F,525G,525Hが形成されている。導体層525Aには、ビアホール516を介して導体層51Bが接続されている。導体層525Bには、ビアホール519を介して導体層511Aが接続されていると共に、誘電体層51に形成された他のビアホールを介して導体層51G2が接続されている。導体層525Cには、誘電体層51に形成されたビアホールを介して導体層51Aが接続されている。導体層525Dには、誘電体層51に形成された2つのビアホールを介して導体層512A,51G3が接続されている。
導体層525Eには、誘電体層51に形成されたビアホールを介して導体層51WRが接続されている。導体層525Fには、誘電体層51に形成されたビアホールを介して導体層51WTが接続されている。導体層525Gには、誘電体層51に形成された2つのビアホールを介して導体層512B,51VCが接続されている。導体層525Hには、誘電体層51に形成されたビアホールを介して導体層51VDが接続されている。
また、誘電体層52には、導体層525Aに接続されたビアホール526と、ビアホール518に接続されたビアホール528と、導体層525Bに接続されたビアホール529と、その他の各導体層に接続された複数のビアホールと、符号520を付した破線の枠内に配置された複数のサーマルビアと、その他の複数のビアホールが形成されている。誘電体層52に形成された複数のサーマルビアは、誘電体層51に形成された複数のサーマルビアに接続されている。
図6(a)に示した3層目の誘電体層53の上面には、導体層として、第1のバラン用グランド層531Aと第1のモジュール用グランド層531Bとが形成されている。バラン用グランド層531Aには、ビアホール518,528を介して導体層511Bが接続されている。モジュール用グランド層531Bには、ビアホール529を介して導体層525Bが接続されている。また、モジュール用グランド層531Bには、誘電体層51,52に形成された複数のビアホールおよびサーマルビアを介して導体層51G1,51G4,51G5,51G6,51G7,51G8が接続されていると共に、誘電体層52に形成されたビアホールを介して導体層525Dが接続されている。
また、誘電体層53には、ビアホール526に接続されたビアホール536と、バラン用グランド層531Aに接続されたビアホール538a,538b,538c,538dと、モジュール用グランド層531Bに接続され、符号530を付した破線の枠内に配置された複数のサーマルビアと、モジュール用グランド層531Bに接続されたその他の複数のビアホールと、その他の複数のビアホールが形成されている。
図6(b)に示した4層目の誘電体層54には、ビアホール536に接続されたビアホール546と、それぞれビアホール538a,538b,538c,538dに接続された548a,548b,548c,548dと、符号540を付した破線の枠内に配置された複数のサーマルビアと、その他の複数のビアホールが形成されている。誘電体層54に形成された複数のサーマルビアは、誘電体層53に形成された複数のサーマルビアに接続されている。
図7(a)に示した5層目の誘電体層55の上面には、BPF用導体層552A,552B,552Cと、バラン用導体層553A,553B,554A,554Bと、導体層555,556とが形成されている。導体層552A,552B,552Cは、それぞれ、短絡端と開放端とを有している。導体層552A,552B,552Cの各短絡端には、それぞれ誘電体層53,54に形成されたビアホールを介してモジュール用グランド層531Bが接続されている。また、導体層552Cの開放端には、誘電体層52〜54に形成されたビアホールを介して導体層525Cが接続されている。
導体層553Aには、誘電体層52〜54に形成されたビアホールを介して導体層525Eが接続されている。導体層554Aには、ビアホール526〜546を介して導体層525Aが接続されている。導体層555には、誘電体層51〜54に形成されたビアホールを介して導体層51V1が接続されている。導体層556には、誘電体層51〜54に形成されたビアホールを介して導体層51V3が接続されている。
また、誘電体層55には、それぞれビアホール548a,548b,548c,548dに接続されたビアホール558a,558b,558c,558dと、各導体層に接続された複数のビアホールと、符号550を付した破線の枠内に配置された複数のサーマルビアと、その他の複数のビアホールが形成されている。誘電体層55に形成された複数のサーマルビアは、誘電体層54に形成された複数のサーマルビアに接続されている。
図7(b)に示した6層目の誘電体層56の上面には、バラン用導体層563C,563D,564C,564Dと、導体層565とが形成されている。導体層563C,563Dには、誘電体層53〜55に形成されたビアホールを介してモジュール用グランド層531Bが接続されている。導体層564Cには、ビアホール538c,548c,558cを介してバラン用グランド層531Aが接続されている。導体層564Dには、ビアホール538d,548d,558dを介してバラン用グランド層531Aが接続されている。導体層565には、誘電体層51〜55に形成されたビアホールを介して導体層51V2が接続されている。
また、誘電体層56には、それぞれビアホール558a,558bに接続されたビアホール568a,568bと、各導体層に接続された複数のビアホールと、符号560を付した破線の枠線内に配置された複数のサーマルビアと、その他の複数のビアホールが形成されている。誘電体層56に形成された複数のサーマルビアは、誘電体層55に形成された複数のサーマルビアに接続されている。
図8(a)に示した7層目の誘電体層57の上面には、バラン用導体層573A,573B,574A,574Bが形成されている。導体層573A,573B,574A,574Bには、それぞれ誘電体層55,56に形成されたビアホールを介して、導体層553A,553B,554A,554Bが接続されている。
また、誘電体層57には、それぞれビアホール568a,568bに接続されたビアホール578a,587bと、各導体層に接続された複数のビアホールと、符号570を付した破線の枠線内に配置された複数のサーマルビアと、その他の複数のビアホールが形成されている。誘電体層57に形成された複数のサーマルビアは、誘電体層56に形成された複数のサーマルビアに接続されている。
図8(b)に示した8層目の誘電体層58の上面には、バラン用導体層583C,583D,584C,584Dが形成されている。導体層583C,583D,584C,584Dには、それぞれ誘電体層56,57に形成されたビアホールを介して、導体層563C,563D,564C,564Dが接続されている。
また、誘電体層58には、それぞれビアホール578a,578bに接続されたビアホール588a,588bと、各導体層に接続された複数のビアホールと、符号580を付した破線の枠線内に配置された複数のサーマルビアと、その他の複数のビアホールが形成されている。誘電体層58に形成された複数のサーマルビアは、誘電体層57に形成された複数のサーマルビアに接続されている。
図9(a)に示した9層目の誘電体層59の上面には、バラン用導体層593,594が形成されている。導体層593には、誘電体層57,58に形成されたビアホールを介して導体層573A,573Bが接続されている。導体層594には、誘電体層57,58に形成されたビアホールを介して導体層574A,574Bが接続されている。
また、誘電体層59には、それぞれビアホール588a,588bに接続されたビアホール598a,598bと、符号590を付した破線の枠線内に配置された複数のサーマルビアと、その他の複数のビアホールが形成されている。誘電体層59に形成された複数のサーマルビアは、誘電体層58に形成された複数のサーマルビアに接続されている。
図9(b)に示した10層目の誘電体層60の上面には、バラン用導体層603C,603D,604C,604Dが形成されている。導体層603C,603D,604C,604Dには、それぞれ誘電体層58,59に形成されたビアホールを介して、導体層583C,583D,584C,584Dが接続されている。
また、誘電体層60には、それぞれ導体層604C,604Dに接続されたビアホール607a,607bと、それぞれビアホール598a,598bに接続されたビアホール608a,608bと、その他の各導体層に接続された複数のビアホールと、符号600を付した破線の枠線内に配置された複数のサーマルビアと、その他の複数のビアホールが形成されている。誘電体層60に形成された複数のサーマルビアは、誘電体層59に形成された複数のサーマルビアに接続されている。
図10(a)に示した11層目の誘電体層61の上面には、キャパシタ用導体層612B,612Eが形成されている。導体層612Bには、誘電体層55〜60に形成されたビアホールを介して導体層552Bの開放端が接続されている。
また、誘電体層60には、それぞれビアホール607a,607b,608a,608bに接続されたビアホール617a,617b,618a,618bと、導体層612Bに接続されたビアホールと、符号610を付した破線の枠線内に配置された複数のサーマルビアと、その他の複数のビアホールが形成されている。誘電体層61に形成された複数のサーマルビアは、誘電体層60に形成された複数のサーマルビアに接続されている。
図10(b)に示した12層目の誘電体層62の上面には、キャパシタ用導体層622A,622Cと、導体層623,624とが形成されている。導体層622Aには、誘電体層55〜61に形成されたビアホールを介して導体層552Aの開放端が接続されている。導体層622Cには、誘電体層55〜61に形成されたビアホールを介して導体層552Cの開放端が接続されている。導体層623には、誘電体層60,61に形成されたビアホールを介して導体層603Dが接続されている。導体層624には、ビアホール607a,617aを介して導体層604Cが接続されている。
また、誘電体層62には、導体層624に接続されたビアホール627aと、それぞれビアホール617b,618a,618bに接続されたビアホール627b,628a,628bと、その他の各導体層に接続された複数のビアホールと、符号620を付した破線の枠線内に配置された複数のサーマルビアと、その他の複数のビアホールが形成されている。誘電体層62に形成された複数のサーマルビアは、誘電体層61に形成された複数のサーマルビアに接続されている。
図11(a)に示した13層目の誘電体層63の上面には、グランド用導体層631と、導体層634とが形成されている。導体層631には、誘電体層53〜62に形成された複数のビアホールおよび複数のサーマルビアを介してモジュール用グランド層531Bが接続されている。また、導体層631には、誘電体層55〜62に形成されたビアホールを介して導体層552A,552B,552Cの各短絡端が接続されている。導体層634には、ビアホール607b〜627bを介して導体層604Dが接続されている。
また、誘電体層63には、それぞれビアホール627a,628a,628bに接続されたビアホール637a,638a,638bと、導体層634に接続されたビアホール637bと、導体層631に接続され、符号630を付した破線の枠線内に配置された複数のサーマルビアと、導体層631に接続されたその他の複数のビアホールと、その他の複数のビアホールが形成されている。誘電体層63に形成された複数のサーマルビアは、誘電体層62に形成された複数のサーマルビアに接続されている。
図11(b)に示した14層目の誘電体層64の上面には、キャパシタ用導体層642A,642B,642Cと、導体層642Dとが形成されている。導体層642Aには、誘電体層55〜63に形成されたビアホールを介して導体層552Aの開放端と導体層622Aが接続されている。導体層642Bには、誘電体層55〜63に形成されたビアホールを介して導体層552Bの開放端と導体層612Bが接続されている。導体層642Cには、誘電体層55〜63に形成されたビアホールを介して導体層552Cの開放端と622Cが接続されている。導体層642Dには、誘電体層55〜63に形成されたビアホールを介して導体層552Aの開放端が接続されている。
また、誘電体層64には、それぞれビアホール637a,637b,638a,638bに接続されたビアホール647a,647b,648a,648bと、導体層642Dに接続されたビアホールと、符号640を付した破線の枠線内に配置された複数のサーマルビアと、その他の複数のビアホールが形成されている。誘電体層64に形成された複数のサーマルビアは、誘電体層63に形成された複数のサーマルビアに接続されている。
図12(a)に示した15層目の誘電体層65の上面には、導体層として、第2のバラン用グランド層651Aと第2のモジュール用グランド層651Bとが形成されている。バラン用グランド層651Aには、ビアホール538a〜648a,538b〜648bを介して第1のバラン用グランド層531Aが接続されている。第2のモジュール用グランド層651Bには、誘電体層63,64に形成された複数のビアホールおよび複数のサーマルビアを介して導体層631が接続されている。
また、誘電体層65には、それぞれビアホール647a,647bに接続されたビアホール657a,657bと、バラン用グランド層651Aに接続されたビアホール658と、モジュール用グランド層651Bに接続された複数のビアホールと、その他の複数のビアホールが形成されている。
図12(b)に示したように、誘電体層65の下面、すなわち積層基板50の底面50bには、前述の各端子ANT,WT,WR1,WR2,BTR1,BTR2,V1,V2,V3,Vcc,BDC,Vdetと、2つのグランド端子G1,G2と、グランド用導体層G3とが配置されている。積層基板50の底面50bにおいて、複数の端子は底面50bの辺の近傍に配置されている。グランド用導体層G3は、底面50bにおいて、複数の端子に囲まれた広い領域に配置されている。
上述の1層目ないし15層目の誘電体層51〜65および導体層が積層されて、図3に示した積層基板50が形成される。この積層基板50の上面50aには、IC5とキャパシタC1,C2が搭載される。BPF2とバラン3,4は、積層基板50内に設けられた複数の導体層を用いて構成されている。なお、本実施の形態において、積層基板50としては、誘電体層の材料として樹脂、セラミック、あるいは両者を複合した材料を用いたもの等、種々のものを用いることができる。しかし、積層基板50としては、特に、高周波特性に優れた低温同時焼成セラミック多層基板を用いることが好ましい。高周波モジュール1は、積層基板50の底面50bが下を向くように、実装用基板に実装される。このとき、底面50bに設けられた複数の端子およびグランド用導体層G3は、実装用基板における対応する端子およびグランド層に接続される。
アンテナ端子ANTには、誘電体層55〜65に形成されたビアホールと導体層642Dを介して導体層552Aの開放端が接続されている。送信信号端子WTには、誘電体層51〜65に形成されたビアホールと導体層525Fを介して導体層51WTが接続されている。受信信号端子WR1には、誘電体層60〜65に形成されたビアホールと導体層623を介して導体層603Cが接続されている。受信信号端子WR2には、誘電体層60〜65に形成されたビアホールを介して導体層603Dが接続されている。
送受信信号端子BTR1には、ビアホール607a〜657aと導体層624を介して導体層604Cが接続されている。送受信信号端子BTR2には、ビアホール607b〜657bと導体層634を介して導体層604Dが接続されている。
制御端子V1には、誘電体層51〜65に形成されたビアホールと導体層555を介して導体層51V1が接続されている。制御端子V2には、誘電体層51〜65に形成されたビアホールと導体層565を介して導体層51V2が接続されている。制御端子V3には、誘電体層51〜65に形成されたビアホールと導体層556を介して導体層51V3が接続されている。
電源端子Vccには、誘電体層51〜65に形成されたビアホールと導体層525Gを介して導体層512B,51VCが接続されている。直流電圧印加端子BDCには、ビアホール658を介して第2のバラン用グランド層651Aが接続されている。出力電力検出端子Vdetには、誘電体層51〜65に形成されたビアホールと導体層525Hを介して導体層51VDが接続されている。
グランド端子G1,G2およびグランド用導体層G3には、誘電体層65に形成された複数のビアホールを介して第2のモジュール用グランド層651Bが接続されている。また、グランド端子G1,G2およびグランド用導体層G3は、実装用基板のグランド層に接続されることによって、グランドに接続される。
図1に示したBPF2は、導体層552A,552B,552C,612B,612E,622A,622C,631,642A,642B,642Cと、これらを接続するビアホールと、複数の誘電体層とによって構成されている。導体層552A,552B,552Cは、それぞれインダクタを構成する。導体層552A,552Bは誘導性結合し、導体層552B,552Cも誘導性結合する。
導体層622A,631およびこれらの間に配置された誘電体層62、ならびに、導体層631,642A、第2のモジュール用グランド層651Bおよびこれらの間に配置された誘電体層63,64は、導体層552Aの開放端とグランドとの間に設けられたキャパシタを構成する。このキャパシタと、導体層552Aによって構成されたインダクタとによって、第1の共振器が構成されている。
導体層631,642B、第2のモジュール用グランド層651Bおよびこれらの間に配置された誘電体層63,64は、導体層552Bの開放端とグランドとの間に設けられたキャパシタを構成する。このキャパシタと、導体層552Bによって構成されたインダクタとによって、第2の共振器が構成されている。
導体層622C,631およびこれらの間に配置された誘電体層62、ならびに、導体層631,642C、第2のモジュール用グランド層651Bおよびこれらの間に配置された誘電体層63,64は、導体層552Cの開放端とグランドとの間に設けられたキャパシタを構成する。このキャパシタと、導体層552Cによって構成されたインダクタとによって、第3の共振器が構成されている。
導体層612B,622Aと、これらの間に配置された誘電体層61は、第1の共振器と第2の共振器とを接続するキャパシタを構成する。導体層612B,622Cと、これらの間に配置された誘電体層61は、第2の共振器と第3の共振器とを接続するキャパシタを構成する。導体層612E,622A,622Cと、これらの間に配置された誘電体層61は、第1の共振器と第3の共振器とを接続するキャパシタを構成する。
図1に示したバラン3は、第1のモジュール用グランド層531B、第2のモジュール用グランド層651B、導体層553A,553B,563C,563D,573A,573B,583C,583D,593,603C,603Dと、これらを接続するビアホールによって構成されている。
導体層553A,553B,573A,573B,593と、これらを接続するビアホールは、バラン3における不平衡伝送線路を構成している。この不平衡伝送線路の一端部となる導体層553Aの一端部は、導体層51WRに接続されている。
導体層563C,583C,603Cと、これらを接続するビアホールは、バラン3における第1の平衡伝送線路を構成している。この第1の平衡伝送線路の第1の端部となる導体層603Cの一端部は、端子WR1に接続されている。第1の平衡伝送線路の第2の端部となる導体層563Cの一端部は、第1のモジュール用グランド層531Bに接続されている。
導体層563D,583D,603Dと、これらを接続するビアホールは、バラン3における第2の平衡伝送線路を構成している。この第2の平衡伝送線路の第1の端部となる導体層603Dの一端部は、端子WR2に接続されている。第2の平衡伝送線路の第2の端部となる導体層563Dの一端部は、第1のモジュール用グランド層531Bに接続されている。
図1に示したバラン4は、第1のバラン用グランド層531A、第2のバラン用グランド層651A、導体層554A,554B,564C,564D,574A,574B,584C,584D,594,604C,604Dと、これらを接続するビアホールによって構成されている。
導体層554A,554B,574A,574B,594と、これらを接続するビアホールは、バラン4における不平衡伝送線路46を構成している。導体層554A,574Aと、導体層594の一部と、これらを接続するビアホールは、図2に示した伝送線路461を構成し、導体層554B,574Bと、導体層594の他の一部と、これらを接続するビアホールは、図2に示した伝送線路462を構成している。不平衡端41となる導体層554Aの一端部は、導体層51Bに接続されている。
導体層564C,584C,604Cと、これらを接続するビアホールは、バラン4における第1の平衡伝送線路44を構成する。この第1の平衡伝送線路44の第1の端部44aとなる導体層604Cの一端部は、ビアホール607a〜657aと導体層624を介して端子BTR1に接続されている。第1の平衡伝送線路44の第2の端部44bとなる導体層564Cの一端部は、ビアホール538c,548c,558cを介して第1のバラン用グランド層531Aに接続されている。
導体層564D,584D,604Dと、これらを接続するビアホールは、バラン4における第2の平衡伝送線路45を構成する。この第2の平衡伝送線路45の第1の端部45aとなる導体層604Dの一端部は、ビアホール607b〜657bと導体層634を介して端子BTR2に接続されている。第2の平衡伝送線路45の第2の端部45bとなる導体層564Dの一端部は、ビアホール538d,548d,558dを介して第1のバラン用グランド層531Aに接続されている。
伝送線路461は第1の平衡伝送線路44に電磁結合し、伝送線路462は第2の平衡伝送線路45に電磁結合する。このようにして、不平衡伝送線路46は、第1および第2の平衡伝送線路44,45に電磁結合する。
以下、図2および図13を参照して、バラン4とモジュール用グランド層531B,651Bとの関係について詳しく説明する。図13は、本実施の形態におけるバラン4とモジュール用グランド層531B,651Bとの関係を簡略化して示す説明図である。
図2に示したように、バラン4は、第1の平衡伝送線路44と、第2の平衡伝送線路45と、不平衡伝送線路46とを有している。第1の平衡伝送線路44は、第1の平衡信号端子としての端子BTR1に接続された第1の端部44aとその反対側の第2の端部44bとを有している。第2の平衡伝送線路45は、第2の平衡信号端子としての端子BTR2に接続された第1の端部45aとその反対側の第2の端部45bとを有している。不平衡伝送線路46は、不平衡信号の入力または出力のための第1の端部とその反対側に位置し開放された第2の端部とを有し、第1および第2の平衡伝送線路44,45に電磁結合する。
バラン4は、更に、第1の平衡伝送線路44の第2の端部44bおよび第2の平衡伝送線路45の第2の端部45bに接続されたバラン用グランド層531A,651Aを含んでいる。図13では、第1の平衡伝送線路44、第2の平衡伝送線路45および不平衡伝送線路46を、伝送線路部40として表している。図13に示したように、バラン用グランド層531A,651Aは、伝送線路部40、すなわち第1の平衡伝送線路44、第2の平衡伝送線路45および不平衡伝送線路46を上下から挟む位置に配置されている。バラン用グランド層651Aには、直流電圧印加端子BDCが接続されている。
モジュール用グランド層531B,651Bは、複数のサーマルビアを含む複数のビアホールを介して接続されている。モジュール用グランド層651Bには、グランド端子G1,G2およびグランド用導体層G3が接続されている。これらグランド端子G1,G2およびグランド用導体層G3は、実装用基板のグランド層に接続される。モジュール用グランド層531B,651Bは、高周波モジュール1において、安定したグランド電位を提供する。また、モジュール用グランド層531B,651Bは、バラン用グランド層531A,651Aよりも大きい。また、積層基板50に搭載された能動素子であるIC5は、複数のサーマルビアを介してモジュール用グランド層531B,651Bに接続されている。
バラン用グランド層531A,651Aは、モジュール用グランド層531B,651Bとは物理的に分離されている。また、バラン用グランド層531Aは、積層基板50に搭載されたキャパシタC1を介してモジュール用グランド層531Bに接続されている。このようにして、バラン用グランド層531A,651Aは、モジュール用グランド層531B,651Bに対して、物理的に分離され、且つキャパシタC1を介して高周波的に結合されている。
以下、本実施の形態に係る高周波モジュール1の効果について説明する。本実施の形態では、直流電圧印加端子BDCは、積層基板50に形成されたバラン用グランド層531A,651Aおよびビアホール538a〜648a,538b〜648b,538c〜558c,538d〜558d,658を介して、第1の平衡伝送線路44の第2の端部44bとなる導体層564Cの一端部と第2の平衡伝送線路45の第2の端部45bとなる導体層564Dの一端部とに接続されている。また、第1の平衡伝送線路44の第1の端部44aとなる導体層604Cの一端部は、ビアホール607a〜657aと導体層624を介して端子BTR1に接続され、第2の平衡伝送線路45の第1の端部45aとなる導体層604Dの一端部は、ビアホール607b〜657bと導体層634を介して端子BTR2に接続されている。従って、本実施の形態では、第2のRFICの駆動用の直流電圧を直流電圧印加端子BDCに印加することによって、この直流電圧を、バラン4の平衡伝送線路44,45および端子BTR1,BTR2を介して、第2のRFICに供給することができる。
本実施の形態では、前述のように、直流電圧印加端子BDCが接続されたバラン用グランド層531A,651Aは、モジュール用グランド層531B,651Bに対して、物理的に分離され、且つキャパシタC1を介して高周波的に結合されている。そのため、直流電圧印加端子BDCを介してバラン用グランド層531A,651Aに直流電圧を印加しても、モジュール用グランド層531B,651Bは印加されない。従って、本実施の形態によれば、高周波モジュール1におけるバラン4以外の回路に直流電圧が印加されることなく、バラン4のためのバラン用グランド層531A,651Aに直流電圧を印加することが可能になる。これにより、本実施の形態によれば、バラン4の平衡伝送線路44,45を介して、第2のRFICに駆動用の直流電圧を供給することが可能になる。
また、本実施の形態において、上述のようにバラン4の平衡伝送線路44,45を介して、第2のRFICに駆動用の直流電圧を供給する場合には、平衡伝送線路44,45がチョークインダクタとして機能することから、チョークインダクタが不要になる。従って、本実施の形態によれば、高周波回路の部品点数を少なくでき、その結果、無線通信装置の高周波回路部における部品点数の削減、小型化、低コスト化が可能になる。
また、本実施の形態では、IC5の底面に設けられたグランド電極5G1は、積層基板50に形成された複数の導体層およびサーマルビアを介して、積層基板50内に設けられたモジュール用グランド層531B,651Bおよび積層基板50の底面50bに設けられたグランド用導体層G3に接続されている。グランド用導体層G3は、高周波モジュール1が実装される実装用基板におけるグランド層に接続される。そのため、IC5より発生された熱は、積層基板50に形成された複数の導体層およびサーマルビアを介してモジュール用グランド層531B,651Bに伝達され、更に実装用基板のグランド層に伝達される。このようにして、IC5の放熱が行われる。本実施の形態では、前述のように、バラン用グランド層531A,651Aは、モジュール用グランド層531B,651Bに対して、物理的に分離され、且つ高周波的に結合されていることから、IC5の放熱を妨げることなく、バラン4のためのバラン用グランド層531A,651Aに直流電圧を印加することが可能になる。
また、本実施の形態では、直流電圧印加端子BDCが接続されたバラン用グランド層531A,651Aは、安定したグランド電位を提供するモジュール用グランド層531B,651Bに対してキャパシタC1を介して高周波的に結合されている。キャパシタC1は、直流電圧印加端子BDCに接続される電源からのノイズを、グランドに逃がして除去するバイパスキャパシタとして機能する。そのため、本実施の形態によれば、バラン4が、直流電圧印加端子BDCに接続される電源からのノイズの影響を受けることを防止することができる。
なお、第2のRFICには、直流電圧印加端子BDCとバラン4の平衡伝送線路44,45を経由する経路とは別の経路から駆動用の直流電圧を供給してもよい。この場合、別の経路から第2のRFICに供給された直流電圧が、第2のRFICに接続された平衡伝送線路44,45にも印加される可能性がある。ここで、平衡伝送線路44,45がモジュールにおける共通グランド層に接続され、且つ共通グランド層が実装用基板のグランド層に直接接続されると、直流電圧のレベルを維持することができない。一方、平衡伝送線路44,45がモジュールにおける共通グランド層に接続され、且つ共通グランド層と実装用基板のグランド層との間にキャパシタを設けた場合には、平衡伝送線路44,45に印加された直流電圧が、共通グランド層に接続された他の回路にも印加されてしまう。
これに対し、本実施の形態では、平衡伝送線路44,45は、バラン用グランド層531A,651Aに接続され、このバラン用グランド層531A,651Aは、モジュール用グランド層531B,651Bに対して、物理的に分離され、且つ高周波的に結合されている。そのため、本実施の形態によれば、第2のRFICに、直流電圧印加端子BDCとバラン4の平衡伝送線路44,45を経由する経路とは別の経路から駆動用の直流電圧を供給する場合に、直流電圧のレベルを維持することができると共に、高周波モジュール1におけるバラン4以外の回路に直流電圧が印加されることを防止することができる。なお、平衡伝送線路44,45がモジュールにおける共通グランド層に接続され、且つ共通グランド層が実装用基板のグランド層に直接接続される場合に、第2のRFICと平衡伝送線路44,45の間に2つのキャパシタを設けることも考えられるが、この場合には、部品点数が多くなる。
ところで、バラン3,4は、2つの平衡伝送線路と不平衡伝送線路とが物理的に接続されていないため、直流電流を通過させない。そのため、スイッチ11に供給される制御信号に起因してIC5から、IC5に接続された信号経路に直流電流が流れる場合であっても、IC5とバラン3,4との間に、直流電流の通過を阻止するためのキャパシタを設ける必要がない。
また、本実施の形態では、バラン4の平衡伝送線路44,45にキャパシタC1が接続されている。そのため、キャパシタC1の容量を調整することによって、バラン4の平衡特性を調整することが可能である。
本実施の形態では、バラン用グランド層531A,651Aとモジュール用グランド層531B,651Bとを高周波的に結合するキャパシタC1を積層基板50に搭載している。以下、キャパシタC1を積層基板50に内蔵する場合と比較して、キャパシタC1を積層基板50に搭載した場合の効果について説明する。
携帯無線通信装置の小型化、薄型化に伴い、携帯無線通信装置に使用される高周波部品の小型化、薄型化の要求が高まってきている。こうした要求に応えるための高周波部品の基板としては、内部にフィルタやバラン等の受動回路を形成できる低温同時焼成セラミック多層基板が適している。一方で、受動回路と能動素子であるICを組み合わせるモジュール化も進められている。受動回路とICを組み合わせたモジュールでは、ICは基板上に搭載され、基板内に形成された受動回路とビアホールを介して接続される。受動回路とICを組み合わせるモジュール化によって機能が集積化されるため、このモジュール化は携帯無線通信装置の小型化、薄型化に貢献している。その一方で、受動回路とICを組み合わせるモジュール化に伴い、基板を薄くする必要が生じ、その結果、基板内に形成される受動回路の特性劣化が生じることが懸念されている。すなわち、製品の高さが同じである場合、基板上にICが搭載されない製品における基板に比べて、受動回路とICを組み合わせたモジュール製品の基板は、ICの高さの分だけ薄くする必要がある。その結果、受動回路とグランドとの間に発生する寄生容量の増加や、バランを構成する共振器とグランドが近づくことによる共振器のQ値の低下等によって、受動回路の特性劣化が生じる。
本実施の形態において、キャパシタC1は、バラン4の平衡伝送線路44,45の第2の端部44b,45bとグランドとの間に設けられる。バラン4の特性を維持するためには、バラン4を通過する信号の周波数帯においてキャパシタC1は低インピーダンスである必要がある。一方で、キャパシタC1は、直流電圧印加端子BDCに接続される電源からのノイズを除去するバイパスキャパシタとしても機能させる必要があるため、一般的に低温同時焼成セラミック多層基板内に形成されるフィルタ等に用いられるキャパシタと比較して、キャパシタC1には大きな容量が必要となる。このような大きな容量のキャパシタC1を積層基板50内に形成するためには、積層基板50の平面形状や厚みを大きくする必要がある。そのため、キャパシタC1を積層基板50に内蔵することは、積層基板50の小型化、薄型化には適さない場合がある。また、積層基板50内に形成される受動回路の近傍にキャパシタC1を形成した場合には、受動回路とキャパシタC1との結合によって、前述のような寄生容量の増加やQ値の低下等による受動回路の特性劣化が生じることが懸念される。
本実施の形態では、キャパシタC1を積層基板50に搭載しているので、上述のようなキャパシタC1を積層基板50に内蔵する場合の問題は生じない。また、通常、積層基板50の上面50aは、そこに搭載されるIC5の平面形状よりも大きいため、上面50aにおける余ったスペースにキャパシタC1を搭載することができる。キャパシタC1の高さがIC5の高さ以下である場合には、積層基板50にキャパシタC1を搭載しても、キャパシタC1を搭載しない場合と比べて高周波モジュール1の全体の高さは変わらないため、積層基板50の薄型化の弊害にはならない。
また、本実施の形態によれば、前述のように、キャパシタC1の容量を調整することによって、バラン4の平衡特性を調整することが可能である。特に積層基板50に内蔵されたバラン4の場合には、バラン4の平衡入出力端から積層基板50の底面50bに配置された端子BTR1,BTR2までの配線の影響によって平衡特性が崩れやすい。この場合、キャパシタC1の容量を調整することによってバラン4の平衡特性を調整できることが有用である。ここで、キャパシタC1を積層基板50に内蔵する場合と比較して、キャパシタC1を積層基板50に搭載する場合の方が、キャパシタC1の交換によって容易にキャパシタC1の容量を調整することができるため、バラン4の平衡特性の調整が容易であり、そのため、高周波モジュール1の試作回数を少なくすることができる。
[第2の実施の形態]
次に、本発明の第2の実施の形態に係る高周波モジュールについて説明する。本実施の形態に係る高周波モジュールの回路構成は、図1に示した第1の実施の形態に係る高周波モジュール1と同じである。また、本実施の形態に係る高周波モジュールの外観は、図3に示した第1の実施の形態に係る高周波モジュールと同じである。
次に、図14および図15を参照して、本実施の形態に係る高周波モジュールの積層基板50における誘電体層と導体層について詳しく説明する。図14は、本実施の形態に係る高周波モジュールの積層基板50における上から3層目の誘電体層73の上面を示している。図15は、本実施の形態に係る高周波モジュールの積層基板50における上から15層目の誘電体層75の上面を示している。図14および図15において、丸印はビアホールを表している。
以下、本実施の形態に係る高周波モジュールにおける積層基板50が第1の実施の形態における積層基板50と異なる点について説明する。本実施の形態における積層基板50は、第1の実施の形態における3層目および15層目の誘電体層53,65の代わりに、以下で説明するように導体層およびビアホールが形成された誘電体層73,75を有している。本実施の形態における積層基板50のその他の構成は、第1の実施の形態と同じである。
図14に示した3層目の誘電体層73の上面には、導体層として、バラン用グランド層731Aと第1のモジュール用グランド層731Bとが形成されている。バラン用グランド層731Aには、ビアホール518,528を介して導体層511Bが接続されている。モジュール用グランド層731Bには、ビアホール529を介して導体層525Bが接続されている。また、モジュール用グランド層731Bには、誘電体層51,52に形成された複数のビアホールおよびサーマルビアを介して導体層51G1,51G4,51G5,51G6,51G7,51G8が接続されていると共に、誘電体層52に形成されたビアホールを介して525Dが接続されている。
また、誘電体層73には、ビアホール526に接続されたビアホール736と、バラン用グランド層731Aに接続されたビアホール738b,738c,738dと、モジュール用グランド層731Bに接続された複数のビアホールと、符号730を付した破線の枠内に配置された複数のサーマルビアと、その他の複数のビアホールが形成されている。
本実施の形態における4層目の誘電体層54(図6(b)参照)に形成されたビアホール546には、ビアホール736が接続されている。誘電体層54に形成されたビアホール548aには、誘電体層73に形成されたビアホールを介してモジュール用グランド層731Bが接続されている。誘電体層54に形成されたビアホール548b,548c,548dには、それぞれビアホール738b,738c,738dが接続されている。
本実施の形態における5層目の誘電体層55(図7(a)参照)の上面に形成された導体層552A,552B,552Cの各短絡端には、それぞれ誘電体層73,54に形成されたビアホールを介してモジュール用グランド層731Bが接続されている。誘電体層55の上面に形成された導体層554Aには、ビアホール526,736,546を介して導体層525Aが接続されている。
本実施の形態における6層目の誘電体層56(図7(b)参照)の上面に形成された導体層563C,563Dには、誘電体層73,54,55に形成されたビアホールを介してモジュール用グランド層731Bが接続されている。誘電体層56の上面に形成された導体層564Cには、ビアホール738c,548c,558cを介してバラン用グランド層731Aが接続されている。誘電体層56の上面に形成された導体層564Dには、ビアホール738d,548d,558dを介してバラン用グランド層731Aが接続されている。
本実施の形態における13層目の誘電体層63(図11(a)参照)の上面に形成された導体層631には、誘電体層73,54〜62に形成された複数のビアホールおよびサーマルビアを介してモジュール用グランド層731Bが接続されている。
図15に示した15層目の誘電体層75の上面には、第2のモジュール用グランド層751Bと、導体層754とが形成されている。第2のモジュール用グランド層751Bには、ビアホール548a〜648aおよび誘電体層73,54〜64に形成された複数のビアホールを介して第1のモジュール用グランド層731Bが接続されている。また、モジュール用グランド層751Bには、誘電体層63,64に形成された複数のビアホールおよびサーマルビアを介して導体層631が接続されている。導体層754には、ビアホール738b,548b〜648bを介してバラン用グランド層731Aが接続されている。
また、誘電体層75には、それぞれビアホール647a,647bに接続されたビアホール757a,757bと、導体層754に接続されたビアホール758と、モジュール用グランド層751Bに接続された複数のビアホールと、その他の複数のビアホールが形成されている。
本実施の形態におけるBPF2およびバラン3では、第1の実施の形態におけるモジュール用グランド層531B,651Bの代わりにモジュール用グランド層731B,751Bがグランド層として機能する。
本実施の形態におけるバラン4では、第1の実施の形態における第1および第2のバラン用グランド層531A,651Aの代わりに、バラン用グランド層731Aとモジュール用グランド層751Bが、伝送線路部40を上下から挟むグランド層として機能する。すなわち、本実施の形態では、第1の平衡伝送線路44、第2の平衡伝送線路45および不平衡伝送線路46は、1つのバラン用グランド層731Aと1つのモジュール用グランド層751Bとによって上下から挟まれる位置に配置されている。
本実施の形態におけるバラン4において、第1の平衡伝送線路44の第2の端部44bとなる導体層564Cの一端部と第2の平衡伝送線路45の第2の端部45bとなる導体層564Dの一端部は、ビアホール738c,738d,548c,548d,558c,558dを介して、バラン用グランド層731Aに接続されている。
本実施の形態における直流電圧印加端子BDCは、ビアホール738b,548b〜648b、導体層754およびビアホール758を介してバラン用グランド層731Aに接続されている。本実施の形態におけるグランド端子G1,G2およびグランド用導体層G3は、誘電体層75に形成された複数のビアホールを介してモジュール用グランド層751Bに接続されている。
以下、図16を参照して、本実施の形態におけるバラン4とモジュール用グランド層731B,751Bとの関係について詳しく説明する。図16は、本実施の形態におけるバラン4とモジュール用グランド層731B,751Bとの関係を簡略化して示す説明図である。本実施の形態におけるバラン4は、第1の平衡伝送線路44の第2の端部44bおよび第2の平衡伝送線路45の第2の端部45bに接続されたバラン用グランド層731Aを含んでいる。図16では、第1の平衡伝送線路44、第2の平衡伝送線路45および不平衡伝送線路46を、伝送線路部40として表している。図16に示したように、伝送線路部40、すなわち第1の平衡伝送線路44、第2の平衡伝送線路45および不平衡伝送線路46は、バラン用グランド層731Aとモジュール用グランド層751Bとによって上下から挟まれる位置に配置されている。バラン用グランド層731Aには、直流電圧印加端子BDCが接続されている。バラン用グランド層731Aとモジュール用グランド層751Bのうち、バラン用グランド層731Aの方が、直流電圧印加端子BDCから遠く、キャパシタC1に近い位置に配置されている。
モジュール用グランド層731B,751Bは、複数のサーマルビアを含む複数のビアホールを介して接続されている。モジュール用グランド層751Bには、グランド端子G1,G2およびグランド用導体層G3が接続されている。これらグランド端子G1,G2およびグランド用導体層G3は、実装用基板のグランド層に接続される。モジュール用グランド層731B,751Bは、高周波モジュール1において、安定したグランド電位を提供する。また、モジュール用グランド層731Bは、バラン用グランド層731Aよりも大きい。また、積層基板50に搭載された能動素子であるIC5は、複数のサーマルビアを介してモジュール用グランド層731B,751Bに接続されている。
バラン用グランド層731Aは、モジュール用グランド層731B,751Bとは物理的に分離されている。また、バラン用グランド層731Aは、積層基板50に搭載されたキャパシタC1を介してモジュール用グランド層731Bに接続されている。このようにして、バラン用グランド層731Aは、モジュール用グランド層731B,751Bに対して、物理的に分離され、且つキャパシタC1を介して高周波的に結合されている。
第1の実施の形態では、バラン用グランド層531A,651Aのうち、直流電圧印加端子BDCに近く、キャパシタC1から遠いバラン用グランド層651Aは、直流電圧印加端子BDCに接続される電源からのノイズの影響を受けやすい。そのため、第1の実施の形態では、バラン4は、バラン用グランド層651Aを介して、直流電圧印加端子BDCに接続される電源からのノイズの影響を受ける可能性がある。
これに対し、本実施の形態では、前述のように、第1の平衡伝送線路44、第2の平衡伝送線路45および不平衡伝送線路46を、バラン用グランド層731Aとモジュール用グランド層751Bとによって上下から挟まれる位置に配置し、バラン用グランド層731Aとモジュール用グランド層751Bのうち、直流電圧印加端子BDCに接続されたバラン用グランド層731Aの方を、直流電圧印加端子BDCから遠く、キャパシタC1に近い位置に配置している。これにより、本実施の形態によれば、バラン4が、直流電圧印加端子BDCに接続される電源からのノイズの影響を受けにくくなる。
本実施の形態におけるその他の構成、作用および効果は、第1の実施の形態と同様である。
[第3の実施の形態]
次に、本発明の第3の実施の形態に係る高周波モジュール101について説明する。本実施の形態に係る高周波モジュールの回路構成は、図1に示した第1の実施の形態に係る高周波モジュール1と同じである。
図17は、本実施の形態に係る高周波モジュール101の外観を示す斜視図である。図18は、本実施の形態に係る高周波モジュール101の平面図である。図17および図18に示したように、高周波モジュール101は、高周波モジュール101の各要素を一体化する積層基板80を備えている。後で詳しく説明するが、積層基板80は、積層された複数の誘電体層を含んでいる。また、積層基板80は、上面80aと底面80bと4つの側面とを有し、直方体形状をなしている。
高周波モジュール101における回路は、積層基板80内に設けられた導体層と、上記誘電体層と、積層基板80の上面80aに搭載された素子とを用いて構成される。上面80aには、IC5とキャパシタC2が搭載されている。積層基板80の底面80bには、第1の実施の形態における積層基板50と同様に、端子ANT,WT,WR1,WR2,BTR1,BTR2,V1,V2,V3,Vcc,BDC,Vdetと、2つのグランド端子G1,G2と、グランド用導体層G3とが配置されている。
次に、図19および図20を参照して、積層基板80における誘電体層と導体層について詳しく説明する。図19において(a)、(b)は、それぞれ上から1層目、2層目の誘電体層81,82の上面を示している。図20において(a)、(b)は、それぞれ上から3層目、4層目の誘電体層83,84の上面を示している。図19および図20において、丸印はビアホールを表している。
以下、本実施の形態に係る高周波モジュール101における積層基板80が第2の実施の形態における積層基板50と異なる点について説明する。本実施の形態における積層基板80は、第2の実施の形態における1層目ないし4層目の誘電体層51,52,73,54の代わりに、以下で説明するように導体層およびビアホールが形成された誘電体層81,82,83,84を有している。積層基板80におけるその他の構成は、第2の実施の形態における積層基板50と同じである。
図19(a)に示した1層目の誘電体層81の上面には、キャパシタC2が接続される導体層512A,512Bと、それぞれIC5の端子5A,5WT,5WR,5B,5V1,5V2,5V3,5VC,5VDおよびグランド電極5G1〜5G8が接続される導体層51A,51WT,51WR,51B,51V1,51V2,51V3,51VC,51VD,51G1〜51G8とが形成されている。
また、誘電体層81には、導体層51Bに接続されたビアホール516と、その他の各導体層に接続された複数のビアホールが形成されている。なお、符号810を付した破線の枠内に配置された複数のビアホールは、特に、IC5から発生される熱を放熱するためのサーマルビアである。
図19(b)に示した2層目の誘電体層82の上面には、導体層525A,825B,525C,525D,525E,525F,525G,525Hが形成されている。導体層525Aには、ビアホール516を介して導体層51Bが接続されている。導体層525Bには、誘電体層81に形成されたビアホールを介して導体層51G2が接続されている。導体層525Cには、誘電体層81に形成されたビアホールを介して導体層51Aが接続されている。導体層525Dには、誘電体層81に形成された2つのビアホールを介して導体層512A,51G3が接続されている。
導体層525Eには、誘電体層81に形成されたビアホールを介して導体層51WRが接続されている。導体層525Fには、誘電体層81に形成されたビアホールを介して導体層51WTが接続されている。導体層525Gには、誘電体層81に形成された2つのビアホールを介して導体層512B,51VCが接続されている。導体層525Hには、誘電体層81に形成されたビアホールを介して導体層51VDが接続されている。
また、誘電体層82には、導体層525Aに接続されたビアホール526と、その他の各導体層に接続された複数のビアホールと、符号820を付した破線の枠内に配置された複数のサーマルビアと、その他の複数のビアホールが形成されている。誘電体層82に形成された複数のサーマルビアは、誘電体層81に形成された複数のサーマルビアに接続されている。
図20(a)に示した3層目の誘電体層83の上面には、導体層として、第1のモジュール用グランド層831Bが形成されている。モジュール用グランド層831Bには、誘電体層81,82に形成された複数のビアホールおよびサーマルビアを介して導体層51G1,51G4,51G5,51G6,51G7,51G8が接続されていると共に、誘電体層82に形成されたビアホールを介して導体層825B,525Dが接続されている。
また、誘電体層83には、ビアホール526に接続されたビアホール536と、モジュール用グランド層531Bに接続され、符号830を付した点線内に配置された複数のサーマルビアと、モジュール用グランド層831Bに接続されたその他の複数のビアホールと、その他の複数のビアホールが形成されている。
図20(b)に示した4層目の誘電体層84の上面には、導体層として、バラン用グランド層841Aが形成されている。バラン用グランド層841Aは、誘電体層83を介してモジュール用グランド層831Bに対向している。また、誘電体層84には、バラン用グランド層841Aに接続されたビアホール848b,848c,848dと、符号840を付した点線内に配置された複数のサーマルビアと、その他の複数のビアホールが形成されている。誘電体層84に形成された複数のサーマルビアは、誘電体層83に形成された複数のサーマルビアに接続されている。
本実施の形態におけるキャパシタC1は、対向するモジュール用グランド層831Bとバラン用グランド層841Aと、これらの間に配置された誘電体層83とによって構成されている。
本実施の形態における5層目の誘電体層55(図7(a)参照)の上面に形成された導体層552A,552B,552Cの各短絡端には、それぞれ誘電体層83,84に形成されたビアホールを介してモジュール用グランド層831Bが接続されている。また、導体層552Cの開放端には、誘電体層82〜84に形成されたビアホールを介して導体層525Cが接続されている。
誘電体層55の上面に形成された553Aには、誘電体層82〜84に形成されたビアホールを介して導体層525Eが接続されている。誘電体層55の上面に形成された導体層554Aには、ビアホール526〜546を介して導体層525Aが接続されている。誘電体層55の上面に形成された導体層555には、誘電体層81〜84に形成されたビアホールを介して導体層51V1が接続されている。誘電体層55の上面に形成された導体層556には、誘電体層81〜84に形成されたビアホールを介して導体層51V3が接続されている。誘電体層55に形成されたビアホール558aには、誘電体層83,84に形成されたビアホールを介してモジュール用グランド層831Bが接続されている。誘電体層55に形成されたビアホール558b,558c,558dには、それぞれビアホール848b,848c,848dが接続されている。
本実施の形態における6層目の誘電体層56(図7(b)参照)の上面に形成された導体層563C,563Dには、誘電体層83,84,55に形成されたビアホールを介してモジュール用グランド層831Bが接続されている。誘電体層56の上面に形成された導体層564Cには、ビアホール848c,558cを介してバラン用グランド層841Aが接続されている。誘電体層56の上面に形成された導体層564Dには、ビアホール848d,558dを介してバラン用グランド層841Aが接続されている。誘電体層56の上面に形成された導体層565には、誘電体層81〜84,55に形成されたビアホールを介して導体層51V2が接続されている。
本実施の形態における13層目の誘電体層63(図11(a)参照)の上面に形成された導体層631には、誘電体層83,84,55〜62に形成された複数のビアホールおよびサーマルビアを介してモジュール用グランド層831Bが接続されている。
本実施の形態における15層目の誘電体層75(図15参照)の上面に形成された第2のモジュール用グランド層751Bには、ビアホール558a〜648aおよび誘電体層83,84,55〜64に形成された複数のビアホールを介して第1のモジュール用グランド層831Bが接続されている。誘電体層75の上面に形成された導体層754には、ビアホール848b,558b〜648bを介してバラン用グランド層841Aが接続されている。
本実施の形態におけるBPF2およびバラン3では、第1の実施の形態におけるモジュール用グランド層531B,651Bの代わりにモジュール用グランド層831B,751Bがグランド層として機能する。
本実施の形態におけるバラン4では、第1の実施の形態における第1および第2のバラン用グランド層531A,651Aの代わりに、バラン用グランド層841Aとモジュール用グランド層751Bが、伝送線路部40を上下から挟むグランド層として機能する。すなわち、本実施の形態では、第1の平衡伝送線路44、第2の平衡伝送線路45および不平衡伝送線路46は、1つのバラン用グランド層841Aと1つのモジュール用グランド層751Bとによって上下から挟まれる位置に配置されている。
本実施の形態におけるバラン4において、第1の平衡伝送線路44の第2の端部44bとなる導体層564Cの一端部と第2の平衡伝送線路45の第2の端部45bとなる導体層564Dの一端部は、ビアホール848c,848d,558c,558dを介して、バラン用グランド層841Aに接続されている。
本実施の形態における直流電圧印加端子BDCは、ビアホール848b,558b〜648b、導体層754(図15参照)およびビアホール758(図15参照)を介してバラン用グランド層841Aに接続されている。本実施の形態におけるグランド端子G1,G2およびグランド用導体層G3は、誘電体層75(図15参照)に形成された複数のビアホールを介してモジュール用グランド層751Bに接続されている。
以下、図21を参照して、本実施の形態におけるバラン4とモジュール用グランド層831B,751Bとの関係について詳しく説明する。図21は、本実施の形態におけるバラン4とモジュール用グランド層831B,751Bとの関係を簡略化して示す説明図である。本実施の形態におけるバラン4は、第1の平衡伝送線路44の第2の端部44bおよび第2の平衡伝送線路45の第2の端部45bに接続されたバラン用グランド層841Aを含んでいる。図21では、第1の平衡伝送線路44、第2の平衡伝送線路45および不平衡伝送線路46を、伝送線路部40として表している。図21に示したように、伝送線路部40、すなわち第1の平衡伝送線路44、第2の平衡伝送線路45および不平衡伝送線路46は、バラン用グランド層841Aとモジュール用グランド層751Bとによって上下から挟まれる位置に配置されている。バラン用グランド層841Aには、直流電圧印加端子BDCが接続されている。バラン用グランド層841Aとモジュール用グランド層751Bのうち、バラン用グランド層841Aの方が、直流電圧印加端子BDCから遠く、キャパシタC1に近い位置に配置されている。
モジュール用グランド層831B,751Bは、複数のサーマルビアを含む複数のビアホールを介して接続されている。モジュール用グランド層751Bには、グランド端子G1,G2およびグランド用導体層G3が接続されている。これらグランド端子G1,G2およびグランド用導体層G3は、実装用基板のグランド層に接続される。モジュール用グランド層831B,751Bは、高周波モジュール101において、安定したグランド電位を提供する。また、モジュール用グランド層831Bは、バラン用グランド層841Aよりも大きい。また、積層基板80に搭載された能動素子であるIC5は、複数のサーマルビアを介してモジュール用グランド層831B,751Bに接続されている。
バラン用グランド層841Aは、モジュール用グランド層831B,751Bとは物理的に分離されている。また、バラン用グランド層841Aは、キャパシタC1を介してモジュール用グランド層831Bに接続されている。本実施の形態では、キャパシタC1は、対向するモジュール用グランド層831Bとバラン用グランド層841Aと、これらの間に配置された誘電体層83とによって構成されている。このようにして、バラン用グランド層841Aは、モジュール用グランド層831B,751Bに対して、物理的に分離され、且つキャパシタC1を介して高周波的に結合されている。
本実施の形態では、キャパシタC1を、積層基板50に搭載せずに、積層基板50に内蔵している。本実施の形態では、第1の実施の形態において説明したキャパシタC1を積層基板50に搭載する場合の効果は得られないが、高周波モジュール101における部品点数を少なくすることができる。
本実施の形態におけるその他の構成、作用および効果は、第2の実施の形態と同様である。
[第4の実施の形態]
次に、本発明の第4の実施の形態に係る高周波モジュールについて説明する。本実施の形態に係る高周波モジュールは、第1の実施の形態における結合用キャパシタC1の他に、このキャパシタC1に並列に接続された第2の結合用キャパシタC12を備えている。本実施の形態では、キャパシタC1を第1の結合用キャパシタと呼ぶ。本実施の形態に係る高周波モジュールのその他の回路構成は、図1に示した第1の実施の形態に係る高周波モジュール1と同じである。また、本実施の形態に係る高周波モジュールの外観は、図3に示した第1の実施の形態に係る高周波モジュール1と同じである。
次に、図22を参照して、本実施の形態に係る高周波モジュールの積層基板50における誘電体層と導体層について詳しく説明する。図22は、本実施の形態に係る高周波モジュールの積層基板50における上から3層目の誘電体層93の上面を示している。図22において、丸印はビアホールを表している。
以下、本実施の形態に係る高周波モジュールにおける積層基板50が第3の実施の形態における積層基板80と異なる点について説明する。本実施の形態における積層基板50は、第3の実施の形態における1層目および2層目の誘電体層81,82の代わりに、図5(a)、(b)に示したように導体層およびビアホールが形成された、第1の実施の形態における誘電体層51,52を有している。また、本実施の形態における積層基板50は、第3の実施の形態における3層目の誘電体層83の代わりに、以下で説明するように導体層およびビアホールが形成された誘電体層93を有している。本実施の形態における積層基板50のその他の構成は、第3の実施の形態における積層基板80と同じである。
図22に示した3層目の誘電体層93の上面には、導体層として、第1のモジュール用グランド層931Bが形成されている。モジュール用グランド層931Bには、ビアホール529を介して導体層525Bが接続されている。また、モジュール用グランド層931Bには、誘電体層51,52に形成された複数のビアホールおよびサーマルビアを介して導体層51G1,51G4,51G5,51G6,51G7,51G8が接続されていると共に、誘電体層52に形成されたビアホールを介して導体層525Dが接続されている。
また、誘電体層93には、それぞれビアホール526,528に接続されたビアホール936,938と、モジュール用グランド層931Bに接続された複数のビアホールと、符号930を付した破線の枠内に配置された複数のサーマルビアと、その他の複数のビアホールが形成されている。
本実施の形態における4層目の誘電体層84(図20(b)参照)に形成されたバラン用グランド層841Aには、ビアホール938が接続されている。バラン用グランド層841Aは、誘電体層93を介してモジュール用グランド層931Bに対向している。
本実施の形態において、第2の結合用キャパシタC12は、対向するモジュール用グランド層931Bとバラン用グランド層841Aと、これらの間に配置された誘電体層93とによって構成されている。ビアホール518,528,938は、第1の結合用キャパシタC1の一端とバラン用グランド層841Aとを接続している。ビアホール519、導体層525Bおよびビアホール529は、第1の結合用キャパシタC1の他端とモジュール用グランド層931Bとを接続している。このようにして、第1の結合用キャパシタC1と第2の結合用キャパシタC12は並列に接続されている。
本実施の形態における5層目の誘電体層55(図7(a)参照)の上面に形成された導体層552A,552B,552Cの各短絡端には、それぞれ誘電体層93,84に形成されたビアホールを介してモジュール用グランド層931Bが接続されている。また、導体層552Cの開放端には、誘電体層52,93,84に形成されたビアホールを介して導体層525Cが接続されている。誘電体層55の上面に形成された導体層554Aには、ビアホール526,936,846を介して導体層525Aが接続されている。誘電体層55に形成されたビアホール558aには、誘電体層93,84に形成されたビアホールを介してモジュール用グランド層931Bが接続されている。
本実施の形態における6層目の誘電体層56(図7(b)参照)の上面に形成された導体層563C,563Dには、誘電体層93,84,55に形成されたビアホールを介してモジュール用グランド層931Bが接続されている。
本実施の形態における13層目の誘電体層63(図11(a)参照)の上面に形成された導体層631には、誘電体層93,84,55〜62に形成された複数のビアホールおよびサーマルビアを介してモジュール用グランド層931Bが接続されている。
本実施の形態における15層目の誘電体層75(図15参照)の上面に形成された第2のモジュール用グランド層751Bには、ビアホール558a〜648aおよび誘電体層93,84,55〜64に形成された複数のビアホールを介して第1のモジュール用グランド層931Bが接続されている。
本実施の形態におけるBPF2およびバラン3では、第1の実施の形態におけるモジュール用グランド層531B,651Bの代わりにモジュール用グランド層931B,751Bがグランド層として機能する。
本実施の形態におけるバラン4では、第1の実施の形態における第1および第2のバラン用グランド層531A,651Aの代わりに、バラン用グランド層841Aとモジュール用グランド層751Bが、伝送線路部40を上下から挟むグランド層として機能する。すなわち、本実施の形態では、第1の平衡伝送線路44、第2の平衡伝送線路45および不平衡伝送線路46は、1つのバラン用グランド層841Aと1つのモジュール用グランド層751Bとによって上下から挟まれる位置に配置されている。
本実施の形態におけるバラン4において、第1の平衡伝送線路44の第2の端部44bとなる導体層564Cの一端部と第2の平衡伝送線路45の第2の端部45bとなる導体層564Dの一端部は、ビアホール848c,848d,558c,558dを介して、バラン用グランド層841Aに接続されている。
本実施の形態における直流電圧印加端子BDCは、ビアホール848b,558b〜648b、導体層754(図15参照)およびビアホール758(図15参照)を介してバラン用グランド層841Aに接続されている。本実施の形態におけるグランド端子G1,G2およびグランド用導体層G3は、誘電体層75(図15参照)に形成された複数のビアホールを介してモジュール用グランド層751Bに接続されている。
以下、図23を参照して、本実施の形態におけるバラン4とモジュール用グランド層931B,751Bとの関係について詳しく説明する。図23は、本実施の形態におけるバラン4とモジュール用グランド層931B,751Bとの関係を簡略化して示す説明図である。本実施の形態におけるバラン4は、第1の平衡伝送線路44の第2の端部44bおよび第2の平衡伝送線路45の第2の端部45bに接続されたバラン用グランド層841Aを含んでいる。図23では、第1の平衡伝送線路44、第2の平衡伝送線路45および不平衡伝送線路46を、伝送線路部40として表している。図23に示したように、伝送線路部40、すなわち第1の平衡伝送線路44、第2の平衡伝送線路45および不平衡伝送線路46は、バラン用グランド層841Aとモジュール用グランド層751Bとによって上下から挟まれる位置に配置されている。バラン用グランド層841Aには、直流電圧印加端子BDCが接続されている。バラン用グランド層841Aとモジュール用グランド層751Bのうち、バラン用グランド層841Aの方が、直流電圧印加端子BDCから遠く、キャパシタC1,C12に近い位置に配置されている。
モジュール用グランド層931B,751Bは、複数のサーマルビアを含む複数のビアホールを介して接続されている。モジュール用グランド層751Bには、グランド端子G1,G2およびグランド用導体層G3が接続されている。これらグランド端子G1,G2およびグランド用導体層G3は、実装用基板のグランド層に接続される。モジュール用グランド層931B,751Bは、高周波モジュールにおいて、安定したグランド電位を提供する。また、モジュール用グランド層931Bは、バラン用グランド層841Aよりも大きい。また、積層基板50に搭載された能動素子であるIC5は、複数のサーマルビアを介してモジュール用グランド層931B,751Bに接続されている。
バラン用グランド層841Aは、モジュール用グランド層931B,751Bとは物理的に分離されている。また、バラン用グランド層841Aは、並列に接続された第1および第2の結合用キャパシタC1,C12を介してモジュール用グランド層931Bに接続されている。本実施の形態では、第1の結合用キャパシタC1は積層基板50に搭載され、第2の結合用キャパシタC12は、対向するモジュール用グランド層931Bとバラン用グランド層841Aと、これらの間に配置された誘電体層93とによって構成されている。このようにして、バラン用グランド層841Aは、モジュール用グランド層931B,751Bに対して、物理的に分離され、且つキャパシタC1,C12を介して高周波的に結合されている。
本実施の形態では、並列に接続され、いずれもバイパスキャパシタとして機能するキャパシタC1,C12によって、直流電圧印加端子BDCに接続される電源からのノイズを除去するのに十分な容量を得ることができる。また、キャパシタC1,C12の容量を互いに異ならせることにより、ノイズを除去できる周波数範囲が広がるため、キャパシタC1,C12のバイパスキャパシタとしての効果を高めることができる。
本実施の形態におけるその他の構成、作用および効果は、第3の実施の形態と同様である。
なお、本発明は、上記各実施の形態に限定されず、種々の変更が可能である。例えば、実施の形態では、スイッチ11と電力増幅器12と低雑音増幅器13を、1つの能動素子としてのIC5によって構成したが、これらは、別々のICで構成してもよい。
また、実施の形態では、IC5をパッケージの形態としたが、IC5はベアチップの形態であってもよい。この場合には、高周波モジュール1を、より薄型化することが可能になる。
また、本発明は、無線LANシステムとブルートゥースシステムで共用できる高周波モジュールに限らず、積層基板と、積層基板内に設けられたバランと、積層基板に搭載された能動素子とを備えた高周波モジュールの全般に適用することができる。
本発明の第1の実施の形態に係る高周波モジュールの回路構成を示す回路図である。 本発明の第1の実施の形態におけるバランの構成を示す回路図である。 本発明の第1の実施の形態に係る高周波モジュールの斜視図である。 本発明の第1の実施の形態に係る高周波モジュールの平面図である。 図3に示した積層基板における1層目および2層目の誘電体層の上面を示す説明図である。 図3に示した積層基板における3層目および4層目の誘電体層の上面を示す説明図である。 図3に示した積層基板における5層目および6層目の誘電体層の上面を示す説明図である。 図3に示した積層基板における7層目および8層目の誘電体層の上面を示す説明図である。 図3に示した積層基板における9層目および10層目の誘電体層の上面を示す説明図である。 図3に示した積層基板における11層目および12層目の誘電体層の上面を示す説明図である。 図3に示した積層基板における13層目および14層目の誘電体層の上面を示す説明図である。 図3に示した積層基板における15層目の誘電体層の上面および15層目の誘電体層の下の導体層を示す説明図である。 本発明の第1の実施の形態におけるバランとモジュール用グランド層との関係を簡略化して示す説明図である。 本発明の第2の実施の形態に係る高周波モジュールの積層基板における3層目の誘電体層の上面を示す説明図である。 本発明の第2の実施の形態に係る高周波モジュールの積層基板における15層目の誘電体層の上面を示す説明図である。 本発明の第2の実施の形態におけるバランとモジュール用グランド層との関係を簡略化して示す説明図である。 本発明の第3の実施の形態に係る高周波モジュールの斜視図である。 本発明の第3の実施の形態に係る高周波モジュールの平面図である。 図17に示した積層基板における1層目および2層目の誘電体層の上面を示す説明図である。 図17に示した積層基板における3層目および4層目の誘電体層の上面を示す説明図である。 本発明の第3の実施の形態におけるバランとモジュール用グランド層との関係を簡略化して示す説明図である。 本発明の第4の実施の形態に係る高周波モジュールの積層基板における3層目の誘電体層の上面を示す説明図である。 本発明の第4の実施の形態におけるバランとモジュール用グランド層との関係を簡略化して示す説明図である。
符号の説明
1…高周波モジュール、2…BPF、3,4…バラン、5…IC、11…スイッチ、12…電力増幅器、13…低雑音増幅器、50…積層基板、531A,651A…バラン用グランド層、531B,651B…モジュール用グランド層、C1…キャパシタ。

Claims (10)

  1. 積層された複数の誘電体層を含む積層基板と、
    前記積層基板の外面に設けられた、平衡信号の入力または出力のための第1および第2の平衡信号端子と、
    前記積層基板内に設けられ、前記第1および第2の平衡信号端子に接続されたバランと、
    前記積層基板に搭載された能動素子と、
    前記積層基板内に設けられた少なくとも1つのモジュール用グランド層と、
    前記能動素子と前記少なくとも1つのモジュール用グランド層とを接続する少なくとも1つのビアホールとを備え、高周波信号を処理する高周波モジュールであって、
    前記バランは、前記第1の平衡信号端子に接続された第1の端部とその反対側の第2の端部とを有する第1の平衡伝送線路と、前記第2の平衡信号端子に接続された第1の端部とその反対側の第2の端部とを有する第2の平衡伝送線路と、前記第1の平衡伝送線路の第2の端部および前記第2の平衡伝送線路の第2の端部に接続された少なくとも1つのバラン用グランド層とを含み、
    前記少なくとも1つのバラン用グランド層は、前記少なくとも1つのモジュール用グランド層に対して、物理的に分離され、且つ高周波的に結合されていることを特徴とする高周波モジュール。
  2. 更に、積層基板の外面に設けられ、前記少なくとも1つのバラン用グランド層に接続され、直流電圧が印加される直流電圧印加端子を備えたことを特徴とする請求項1記載の高周波モジュール。
  3. 前記バランは、更に、不平衡信号の入力または出力のための第1の端部とその反対側に位置し開放された第2の端部とを有し、前記第1および第2の平衡伝送線路に電磁結合する不平衡伝送線路を含むことを特徴とする請求項1または2記載の高周波モジュール。
  4. 更に、前記少なくとも1つのバラン用グランド層と前記少なくとも1つのモジュール用グランド層とを高周波的に結合する少なくとも1つの結合用キャパシタを備えたことを特徴とする請求項1ないし3のいずれかに記載の高周波モジュール。
  5. 1つの前記結合用キャパシタは、前記積層基板に搭載されていることを特徴とする請求項4記載の高周波モジュール。
  6. 1つの前記バラン用グランド層と1つの前記モジュール用グランド層は誘電体層を介して対向し、この1つのバラン用グランド層と1つのモジュール用グランド層とを用いて、1つの前記結合用キャパシタが形成されていることを特徴とする請求項4記載の高周波モジュール。
  7. 前記少なくとも1つの結合用キャパシタは第1および第2の結合用キャパシタを含み、前記第1の結合用キャパシタは前記積層基板に搭載され、1つの前記バラン用グランド層と1つの前記モジュール用グランド層は誘電体層を介して対向し、この1つのバラン用グランド層と1つのモジュール用グランド層とを用いて、前記第2の結合用キャパシタが形成されていることを特徴とする請求項4記載の高周波モジュール。
  8. 前記少なくとも1つのバラン用グランド層は、前記第1および第2の平衡伝送線路を上下から挟む位置に配置された2つのバラン用グランド層を含むことを特徴とする請求項1ないし4のいずれかに記載の高周波モジュール。
  9. 前記第1および第2の平衡伝送線路は、1つの前記バラン用グランド層と1つの前記モジュール用グランド層とによって上下から挟まれる位置に配置されていることを特徴とする請求項1ないし4のいずれかに記載の高周波モジュール。
  10. 更に、前記少なくとも1つのバラン用グランド層と前記少なくとも1つのモジュール用グランド層とを高周波的に結合する少なくとも1つの結合用キャパシタを備え、
    前記第1および第2の平衡伝送線路は、1つの前記バラン用グランド層と1つの前記モジュール用グランド層とによって上下から挟まれる位置に配置され、この1つのバラン用グランド層と1つのモジュール用グランド層のうち、前記1つのバラン用グランド層の方が、前記少なくとも1つの結合用キャパシタに近い位置に配置されていることを特徴とする請求項2記載の高周波モジュール。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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WO2016067939A1 (ja) * 2014-10-30 2016-05-06 ソニー株式会社 受信装置および方法
WO2023286492A1 (ja) * 2021-07-14 2023-01-19 株式会社村田製作所 電力増幅回路及び電力増幅方法

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