JP2010080929A - リングレーザ装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】 直接上準位を励起することによりUV光または可視光領域のレーザを発生させることができるリングレーザ装置を提供することである。
【解決手段】 励起光源とミラーまたは光導波路により閉じた周回光路を形成し、該周回光路中に該励起光により発光するレーザ媒質、外部から該周回光路の中へ該励起光を導入する励起光結合手段、および該周回光路内で該レーザ媒質の発光により生成する光の一部を該周回光路外へ出力する光分岐手段を有する光リング回路を備えるリングレーザ装置において、
励起光源に波長が340〜500nmであるチッ化ガリウム系半導体光源、レーザ媒質に少なくともPr3+、Er3+、Ho3+、Sm3+、Tm3+、Dy3+、Eu3+、Tb3+又はNd3+が1つ添加されているフッ化物ガラスまたはフッ化物結晶からなり、かつレーザ発振波長が励起波長よりも長いことを特徴とするリングレーザ装置。
【選択図】 図1

Description

本発明はUV光または可視光などの短波長のレーザを効率的に発生させる装置に関するものである。
現在、加工・通信・計測などの多くの分野でレーザが用いられるようになってきた。最近では、光技術の進展に伴い、UVや可視波長のような、より短波長なレーザが必要とされている。特に、半導体の製造、蛍光顕微鏡分野、医療・バイオ用途などの分野では、UV〜可視波長のレーザが必要不可欠になりつつある。
しかし、現存する高出力レーザのほとんどは、特に近赤外〜赤外の波長領域にあり、例えば、Ti:Sapphireレーザ(650nm〜1100nm)、Nd:YAGレーザ(1064nm)、半導体レーザ(波長808nm、915nm、960nm、970〜980nm、等)などが挙げられる。
可視波長領域で直接発光する半導体レーザは少なく、チッ化ガリウム系半導体光源による380〜500nm、赤半導体635nm、650nm帯など、限られたものしかない。これらの波長以外で、現在入手できる可視レーザのほとんどは、上記の高出力な近赤外レーザを波長変換することにより得られている(非特許文献1)。
波長変換には非線形光学結晶(BBO結晶、LBO結晶等)や分極反転素子(PPLN等)などの波長変換デバイスが用いられる。
しかし、非線形光学結晶を用いた場合、基本波と高調波の進行方向が異なる(いわゆるウォークオフ)ため、高効率な波長変換が得られない。また、分極反転素子を用いた場合にも、分極反転の周期構造の不均一や素子温度の変化などに起因した損失が必ず発生する。以上から分かるように、現存しない可視波長のレーザを波長変換により生成する場合、基本波となる近赤外レーザを新たに作製し、かつ、非線形光学結晶または分極反転素子を新たに設計し、さらには、波長変換デバイスの温度調節を正確に行う必要があり、極めて困難である。
また、可視光レーザを得る他の手段として、アップコンバージョン現象を用いる方法がある。この方法は、所望の発光波長よりも長い波長の励起光を、希土類イオンに多段階に吸収させることによって、より短波長の光を得る方法である(非特許文献2)。しかし、アップコンバージョンによる発光は、多段階の吸収過程を必要とするが故に、途中の準位から所望の準位以外へと電子状態が遷移してしまうので、その分の励起エネルギーを損失してしまう。
高効率なレーザ発振を得るための1つの手段は、レーザ発振の上準位以上を直接励起することである。最近、波長445nmのチッ化ガリウム系半導体レーザを励起光源としたファブリペロ型Pr3+添加フッ化物ファイバレーザ(レーザ発振波長635nm)が提案されている(非特許文献3)。波長445nm付近は、Pr3+イオンの吸収帯にまさに一致している上、635nm帯のレーザ発振は4準位系のレーザ発振であるため、基底準位吸収(GSA)がなく、容易にレーザ発振させることができる。しかし、その他の希土類において、半導体レーザで直接上準位を励起してレーザ発振させることが困難であり、今までに報告がない。
さらには、ファブリペロ型のレーザでは、前進波と後進波が同時に存在するため定在波を生じ、これが利得の空間分布の不均一性(すなわち、利得のグレーティング構造)を生むため、単一モード発振を妨げてしまう。また、アクティブなレーザジャイロなどを構成する場合には、リング型共振器が必須となる。
また、非特許文献3では、チッ化ガリウム系半導体レーザのビーム形状を整形する際に、アナモルフィックプリズム対を利用している。アナモルフィックプリズム対を用いた光学系では、プリズムにより光軸がシフトするため非点収差が発生する。特に、励起光を光導波路等に集光する場合、この非点収差が結合効率を悪化させてしまう。
また、チッ化ガリウム系半導体光源として、チッ化ガリウム(GaN)半導体の他に、アルミニウムが添加されたチッ化アルミニウムガリウム(GaAlN)半導体、インジウムが添加されているチッ化インジウムガリウム(GaInN)半導体を用いる光源が知られており、チッ化ガリウム(GaN)のバンドギャップは360nmであり、In(インジウム)を加えると発光波長は長波長側にシフトし、Al(アルミニウム)を加えると発光波長は短波長側にシフトすることが知られている(非特許文献4)。
Klaus Schneider、 Stephan Schiller、 Jurgen Mlynek、 Markus Bode, and Ingo Freitag,:‘1.1−W single−frequency 532−nm radiation by second−harmonic generation of A miniature Nd:YAG ring laser’,Optics Letters, Vol. 21 Issue 24, pp.1999−2001 (1996) Whitley,T.J., Millar,C.A., Wyatt, R., Brierley,M.C., Szebesta, D.:‘Upconversion pumped green lasing in erbium doped fluorozirconate fibre’,Electronics Letters,Volume 27, Issue 20, pp1785 − 1786 WEICHMANN, U., BAIER, J., BENGOECHEA, J., and MOENCH, H. : ‘GaN−diode pumped Pr3+:ZBLAN fiber−lasers for the visible wavelength range’, Proc. CLEO/Europe−IQEC, European Conference on., Munich, Germany, 2007 Vurgaftman,I., Meyer,J.R.‘Band parameters for nitrogen-containing semiconductors’ J. Appl. Phys. 94, 3675 (2003)
上記のように、レーザ媒質の発光波長が所望の波長帯域(UVや可視領域)にない場合、異なる波長帯の既存レーザに対して、必ず損失を伴う波長変換手段をとる必要がある。たとえ既存のレーザ波長と波長変換デバイスの組み合わせたとしても、得ることのできないレーザ波長帯も存在することは言うまでもない。
また、 アップコンバージョン現象を用いて所望の波長帯域(UVや可視領域)の発光を得る場合においても、複数の励起過程を経る間に、一部の励起エネルギーを失ってしまうので効率的ではない。
唯一、GSAが存在しないため、レーザ発振させることができるPr3+を用いたレーザにおいては、チッ化ガリウム系半導体レーザを用いた上準位を直接励起する方法が報告されているが、アナモルフィックプリズム対を利用するため非点収差が発生し、結合効率を悪化する。さらにその他の希土類において、直接上準位を励起するレーザ発振は報告されておらず、UVおよび可視波長領域のレーザは限られている。
本発明では、波長変換手段およびアップコンバージョン現象を用いずに、直接上準位を励起することにより、UV光または可視光領域のレーザを発生させることができるリングレーザ装置を提供することを目的としている。
本発明者らは、鋭意検討を重ねた結果、波長変換手段およびアップコンバージョン現象を用いずに、種々の希土類元素を用いて、UV光・可視光領域のリングレーザを構成できることを見出し、本発明に至ったものである。
すなわち、本発明は、励起光を放出する励起光源と、ミラーまたは光導波路により閉じた周回光路を形成し、該周回光路中に該励起光により発光するレーザ媒質、外部から該周回光路の中へ該励起光を導入する励起光結合手段、および該周回光路内で該レーザ媒質の発光により生成する光の一部を該周回光路外へ出力する光分岐手段を有する光リング回路を備えるリングレーザ装置において、励起光源に、励起光の波長が340nm〜500nmの範囲内であるチッ化ガリウム系半導体光源、レーザ媒質に、少なくともPr3+、Er3+、Ho3+、Sm3+、Tm3+、Dy3+、Eu3+、Tb3+またはNd3+のいずれか1種類が添加されているフッ化物ガラスまたはフッ化物結晶からなり、かつ、レーザ発振波長が励起波長よりも長いことを特徴とするリングレーザ装置を提供するものである。
さらには、該周回光路中に、該レーザ媒質の発光帯に含まれる波長においてシングルモードとなる光導波路構造が少なくとも1つ配置されていることを特徴とする上記のリングレーザ装置、該レーザ媒質が光導波路のコア部を形成することを特徴とする上記のリングレーザ装置、該レーザ媒質の両端または片端に石英系ガラスからなる光導波路が接続されていることを特徴とする上記のリングレーザ装置、該励起光結合手段が、光カプラ、誘電体多層膜ミラー、プリズム、グレーティングのいずれかであることを特徴とする上記のリングレーザ装置、または、該光分岐手段が、誘電体多層膜ミラーまたは光カプラであることを特徴とする上記のリングレーザ装置を提供するものである。
本発明により、UV光または可視光領域のレーザ発振を高効率に得ることが可能となる。
本発明による実施形態の例を示すものである。 本発明による実施形態の例を示すものである。 本発明の第1の実施例を示す。 本発明の第1の実施例による発振スペクトルを示す。 本発明の第1の実施例による出力特性を示す。 本発明の第2の実施例を示す。
本発明における実施形態の例を、図1に示す。図1の例は、励起光源101、コリメートレンズ102、励起光反射/レーザ光透過ミラー103、レーザ光分岐用ミラー104、集光レンズ105、レーザ媒質である希土類添加フッ化物ガラスファイバ106により構成される。
励起光源101より放出される、コリメートされた励起光は、ミラー103によって反射された後、レーザ光分岐用ミラー104を透過し、集光レンズ105によって、希土類添加フッ化物ガラスファイバ106の一方の端面106−aのコア部に結合される。その後、励起光は、希土類添加フッ化物ガラスファイバ106中を伝搬する過程で、該ファイバのコアに添加されている希土類イオンによって吸収され、自然放出光(ASE光)が放出される。ASE光は希土類添加フッ化物ガラスファイバ106の両端面106−aおよび106−bから出力されるため、右回り光と左回り光が存在する。
励起光結合側と反対の希土類添加フッ化物ガラスファイバ端面106−bから出力される右回りのASE光はコリメートレンズ102および励起光反射/レーザ光透過ミラー103を損失なく通過した後、レーザ光分岐用ミラー104によって一部が反射されて出力104−bされる。レーザ光分岐用ミラー104を透過した光は、レンズ105によって再度集光され、励起光結合側の希土類添加フッ化物ガラスファイバ端面106−aへ再結合される。このように右回りの周回を重ねることによって、最も利得の大きな波長帯でレーザ発振が起こる。
励起光結合側の希土類添加フッ化物ガラスファイバ端面106−aから出力される左回りのASE光は集光レンズ105を透過した後、レーザ光分岐用ミラー104によって一部が反射されて出力104−aされる。レーザ光分岐用ミラー104を透過した光は、励起光反射/レーザ光透過ミラー103を損失なく透過し、コリメートレンズ102によって集光され、励起光結合側と反対の希土類添加フッ化物ガラスファイバ端面106−bへ再結合される。このように左回りの周回を重ねることによって、最も利得の大きな波長帯でレーザ発振が起こる。
レーザ光分岐用ミラー104の裏面には、励起波長およびレーザ光の波長において反射防止コーティングが施されていることが望ましい。また、コリメートレンズ102および集光レンズ105は、励起波長およびレーザ媒質の発光波長帯において反射防止コーティングされていることが望ましい。
レーザ光分岐用ミラー104の反射率はリング型共振器外部へのレーザ出力(104−a方向への出力および104−b方向への出力の和)が最大になるように決定されるのが望ましい。
リング型共振器では、レーザ媒質の端面から出力された光を、反射を介さず再度レーザ媒質に結合するため、レーザ光をレーザ媒質に再結合させるためのミラーが不要となり、ファブリペロ型共振器に比べ構成がシンプルとなる。
所望の波長帯近傍に多くの発光帯を有するレーザ媒質を用いる場合、所望の波長帯以外の波長において発振する可能性があるので、希土類添加フッ化物ガラスファイバ端面106−bと106−aの間の空間伝搬部分に所望の波長帯以外の光を除く遮断フィルタを挿入すること、または、所望の波長帯以外の光を除く機能を付加したレーザ光分岐用ミラー104を用いること、または、ファイバの曲げ損を利用して所望の波長帯より長波長の光を選択的に減衰させることが好ましい。
集光レンズ105は励起波長とレーザ発振波長において色収差が補正されているものが望ましい。
希土類添加フッ化物ガラスファイバの端面(106−aおよび106−b)は、フレネル反射を抑制するために、8°以上に研磨されているか、もしくは、該端面に反射防止コーティングが施されていることが望ましい。
また、レーザ媒質として希土類添加フッ化物ガラスファイバを用いているが、106の位置に配置されるレーザ媒質はファイバ形状である必要はなく、希土類添加フッ化物バルクガラス、希土類添加フッ化物バルク結晶、またはファイバ形状でない希土類添加フッ化物光導波路も使用できる。さらには、該レーザ媒質の両端または片端に石英系光導波路を接続して用いることができる。
また、光アイソレータを周回光路の中へ挿入することにより、右回り光または左回り光のいずれか1方向のみのレーザ発振を行うことができる。例えば、励起光の減衰を考慮すると、コリメートレンズ102と励起光反射/レーザ光透過ミラー103の間に光アイソレータを配置することが好ましい。
バルク形状のレーザ媒質と光周回手段として複数のミラーを用いる場合の例を、図2に示す。図2の例は、励起光源201、集光レンズ202、励起光透過/レーザ光反射ミラー203、レーザ光部分反射ミラー204、凹面鏡205と206、希土類添加フッ化物バルクガラス207により構成される。
励起光源201より放出される、コリメートされた励起光は、集光レンズ202により集光され、希土類添加フッ化物バルクガラス207に結合される。その後、励起光は、希土類添加フッ化物バルクガラス207中を伝搬する過程で、該バルクガラスに添加されている希土類イオンによって吸収され、希土類添加フッ化物バルクガラス207から全方向に自然放出光(ASE光)が放出される。
放出されるASE光の一部が、レーザ光部分反射ミラー204、凹面鏡205、凹面鏡206、励起光透過/レーザ光反射ミラー203の順に反射し、再び希土類添加フッ化物バルクガラス207を透過してレーザ光部分反射ミラー204に周回する。
また同時に、放出されるASE光の一部が、励起光透過/レーザ光反射ミラー203、凹面鏡206、凹面鏡205、レーザ光部分反射ミラー204の順に反射し、再び希土類添加フッ化物バルクガラス207を透過して励起光透過/レーザ光反射ミラー203に周回する。
したがって、希土類添加フッ化物バルクガラス207、レーザ光部分反射ミラー204、凹面鏡205、凹面鏡206、および励起光透過/レーザ光反射ミラー203で構成される周回光路において、両方向に周回する光が存在する。いずれの方向に周回する光も、周回を重ねることによって、最も利得の大きな波長帯でレーザ発振が起こり、レーザ光の一部がレーザ光部分反射ミラー204を透過して出力される。
複数のミラーの反射により周回光路が形成され、該周回光路中にレーザ媒質が配置されていればよいので、ミラーの数、配置は特に限定されない。
励起光のレーザ媒質への光路は、特に限定されないが、利得効率を考慮すると、周回光路と重なることが好ましい。
レーザ媒質に添加される希土類元素は、励起光源の発振波長が340nm〜500nmの範囲内のいずれかの波長である光を吸収する希土類元素であればよいが、特に、Pr3+、Er3+、Ho3+、Sm3+、Tm3+、Dy3+、Eu3+、Tb3+、Nd3+が好ましい。
例えば、コアに添加される希土類元素が、Pr3+では、発振波長が430nm〜490nmの範囲内にある励起光を用いることができ、Er3+では、発振波長が355nm〜390nm、400nm〜415nmnm、438nm〜460nm、477nm〜497nmのいずれかの範囲内にある励起光を用いることができ、Ho3+では、発振波長が340nm〜370nm、380nm〜390nm、410nm〜420nm、440nm〜495nmのいずれかの範囲内にある励起光を用いることができ、Sm3+では、発振波長が355nm〜380nm、390nm〜410nmnm、455nm〜490nmのいずれかの範囲内にある励起光を用いることができ、Tm3+では、発振波長が345nm−365nm、455nm〜485nmの範囲内にある励起光を用いることができ、Dy3+では、発振波長が340nm〜〜405nm、440nm〜460nmのいずれかの範囲内にある励起光を用いることができ、Eu3+では、発振波長が390nm〜400nmのいずれかの範囲内にある励起光を用いることができ、Tb3+では、発振波長が340nm〜385nm、475nm〜495nmのいずれかの範囲内にある励起光を用いることができ、Nd3+では、発振波長が340nm〜360nm、425nm〜435nm、445nm〜485nm、490nm〜500nmの範囲内にある励起光を用いることができる。
また、添加されている希土類元素の励起に励起光を効率的に利用するためには、レーザ媒質のホストガラスとして低フォノンエネルギーを有する物質が好ましいことから、レーザ媒質にフッ化物ガラスまたはフッ化物結晶を用いる。フッ化物ガラスよりフォノンエネルギーが大きい石英ガラスなどを増幅部の光導波路のコア部に用いると、非輻射緩和速度が速いために、添加されている希土類元素を励起しても、非発光の過程を経て基底状態に戻る割合が多くなるため、効率が悪い。
励起光源としては、発振波長が340nm〜500nmの範囲より選ばれる1つ以上の波長を有するものであれば特に限定されない。
例えば、チッ化ガリウム系半導体光源、He−Cdレーザ、色素レーザ、Arイオンレーザ、波長変換レーザなどが利用できる。
しかし、サイズおよび消費電力を考慮すると、小型で消費電力の小さい光源である波長変換レーザまたはチッ化ガリウム系半導体光源が好ましい。また、電気/光変換効率に注目すると、波長変換レーザでは、基本波レーザを波長変換する際に損失が生じるので、直接340nm〜500nm付近の波長を発光できる、チッ化ガリウム系半導体光源がより好ましい。
特にチッ化ガリウム系半導体光源において、チッ化ガリウム系半導体レーザを用いる場合、その出射ビームは楕円形状をしているため、レーザ媒質が円形のコアを有する光ファイバなどの光導波路に対しては、円形ビームに変形するビームの整形を行うことが好ましい。例えば、シリンドリカルレンズを用いてビームを整形した励起光とすることがより望ましい。
また、光導波路のレーザ媒質を用い、且つ、該レーザ媒質の片側または両側に、石英系ガラスからなる光導波路を接続して用いる場合、該光導波路の導波路パラメータは、異なる導波路間の接続損失が0.2dB以下であるように設定されることが好ましい。導波路パラメータが大きく異なる場合には、接続部で損失が発生するだけではなく、構造の不整合に起因する反射が発生する可能性がある。さらに好ましくは、接続部分での反射を抑制するために、融着接続を用いるのが好ましい。
さらに、光導波路のレーザ媒質に石英系ガラスからなる光導波路を接続することは、下記の理由から、該レーザ媒質の励起光入射端の破損を防ぐ効果もある。励起光の形状が完全なシングルモードでない場合、励起光が光導波路に入射される際に、光の一部が光導波路のコアの外に放射されてしまう。また、励起光入射側の光導波路端面において、コア部近傍に傷や構造不整が在った場合には、電場集中により発熱する場合がある。特に、ガラス転移温度の低いフッ化物ガラス(ZBLANガラスでは約280℃)では注意が必要である。レーザ媒質の端面を保護するために、例えば図1に示される例において、励起側の希土類添加フッ化物ガラスファイバ端面106−aに石英系ファイバを融着接続することもできる。石英系ガラスはフッ化物ガラスに比べてガラス転移温度が高いので、発熱に対する耐性が高い。
また、周回光路中を周回している所望の波長帯のレーザ光がマルチモードで発振している場合、該周回光路中に所望の波長帯でシングルモードである光導波路を挿入することにより、シングルモード以外の成分へ損失を与え、選択的にシングルモードでレーザ発振させることもできる。
また、使用する石英系ガラスからなる光導波路は、コア部が石英系ガラスであればよいが、紫外光〜可視光領域に対して吸収の少ないものが好ましい。特に、紫外〜青紫領域のレーザ発振を行う場合は、該光導波路のコア材料として、紫外〜青紫にかけて吸収を有するGeが高添加されている石英ガラスは好ましくなく、例えば、純粋石英コアファイバを用いることが望ましい。
励起光結合手段である励起光反射/レーザ光透過ミラーとしては、光カプラ、誘電体多層膜フィルタ、プリズム、グレーティングなどを利用できる。プリズムを用いる場合、励起波長と所望のレーザ波長が近い場合には、励起光とレーザ光を分離することが困難である。また、グレーティングを用いる場合には回折損失が生じる。故に、光カプラや誘電体多層膜フィルタを用いるのがより好ましい。
光分岐手段であるレーザ光部分反射ミラーとしては、誘電体多層膜ミラーまたは光カプラなどを利用できる。
以下に、本発明を用いた具体的な実施例を開示する。
図3に第1の実施例を示す。図3に示される光学系は、励起光源であるチッ化ガリウム系半導体レーザ401(インジウム添加有り、中心波長:448nm:日亜化学工業製)、非球面レンズ402(NA:0.60)、シリンドリカルレンズ403(f=−25mm)、シリンドリカルレンズ404(f=50mm)、非球面レンズ405と408(NA:0.30)、励起光反射/レーザ光透過ミラー406(HR:448nm、AR:520nm〜560nm、830nm〜870nm、1510nm〜1570nm)、レーザ光分岐用ミラー407(反射率:12%(543±10nm))、レーザ媒質であるEr3+添加フッ化物ガラスファイバ409(ホストガラス:ZBLANガラス、Er3+:3000ppm、NA:0.22、コア径:3.3μm、ファイバ長:65cm)により構成される。
チッ化ガリウム系半導体レーザ401より出射される励起光は、非球面レンズ402によってコリメートされ、シリンドリカルレンズ対(403,404)によってビーム整形される。その後、励起光は、励起光反射/レーザ光透過ミラー406によって反射され、レーザ光分岐用ミラー407を損失なく透過した後、非球面レンズ408によって集光され、Er3+添加フッ化物ガラスファイバの片方の端面409−aに結合される。
レーザ光分岐用ミラー407には、Er3+の発光波長帯である850nm帯および1550nm帯の周回光の成長を抑制するために、830nm〜870nm、1510nm〜1570nmを99.5%以上反射させる機能を付加してある。
励起光が透過する光学部品(402,403,404,408)は波長448nmにおいて反射防止コーティングされている。レーザ光が透過する光学部品(405,406,407)には波長520nm〜560nm、830nm〜870nm、および1510nm〜1570nmにおいて反射防止コーティングされている。
Er3+添加フッ化物ガラスファイバの両方の端面409−aおよび409−bはフレネル反射を抑制するために、8°研磨されている。
レーザ光分岐用ミラー407により反射された左回り光の出力407−aを測定用ファイバ(コア径62.5μm、マルチモードGI型ファイバ)に結合させ、その波長スペクトルを光スペクトラムアナライザ(ANDO製:AQ−6315A)を用いて測定した。
その結果、励起光120mW以上をEr3+添加フッ化物ガラスファイバ端面409−aに投入したとき、波長543nm帯でレーザ発振を確認した。Er3+添加フッ化物ガラスファイバ端面409−aに励起光176mWを投入したとき、出力されたレーザ光の波長スペクトルを図4に示す。
さらに、波長543±10nmに含まれる光パワーをバンドパスフィルタ(透過波長543±10nm)および、パワーメータヘッド(Anritsu製:MA9411A)を用いて測定した。図5にファイバに投入した励起パワーと得られたレーザ出力の関係を示す。最大200mWの励起光をファイバに投入すると、最大12mWのレーザ出力を得た。
図6に第2の実施例を示す。図6に示される光学系は、励起光源であるチッ化ガリウム系半導体レーザ701および705(インジウム添加有り、中心波長:448nm)、非球面レンズ702および706(NA:0.60)、シリンドリカルレンズ703および707(f=−25mm)、シリンドリカルレンズ704および708(f=50mm)、偏光ビームスプリッタ709、非球面レンズ710(NA:0.30)、WDMカプラ711(ファイバ:Nufern製純粋石英コアファイバS460HP、合波波長:543nmおよび448nm)、Tapカプラ712(ファイバ:Nufern製純粋石英コアファイバS460HP、543nmにおける分岐率、92%:8%)、レーザ媒質であるEr3+添加フッ化物ガラスファイバ713(ホストガラス:ZBLANガラス、Er3+:3000ppm、NA:0.22、コア径:3.3μm、ファイバ長:65cm)により構成される。
励起光が透過する光学部品(702,703,704,706,707,708,709,710)は波長448nmにおいて反射防止コーティングされている。Er3+添加フッ化物ガラスファイバ713を除くファイバはすべて同一の石英ファイバ(Nufern製、S460HP)により構成されている。Er3+添加フッ化物ガラスファイバ713の両端は石英ファイバと融着接続(融着点714と715)されている。尚、波長543nmにおける1接続点あたりの挿入損失の計算値は0.17dBであった。
Er3+の発光波長帯である850nm帯、1550nm帯でのレーザ発振を抑制するために、位置716において、石英ファイバはφ26mm(10周)で巻かれており、曲げ損失により長波長の伝搬を遮断した。
フレネル反射の発生を抑制するため、WDMカプラ711のポートであるファイバ711−aの端面は8°に斜めクリーブされている。
また、WDMカプラ711のポート(711−a、711−b、711−c)間の挿入損失は、波長448nmに対しポート711−a〜711−c間において0.3dBであり、波長543nmに対しポート711−b〜711−c間において0.05dBである。
Tapカプラ712のポート712−cに入射される右回り光のうち、92%はTapカプラ712のポート712−dに結合され、残りの8%はTapカプラ712のポート712−bに結合される。同様に、Tapカプラ712のポート712−dに入射された左回り光のうち、92%はTapカプラ712のポート712−cに結合され、残りの8%はTapカプラ712のポート712−aに結合される。ポート712−aおよび712−bのファイバ端面で発生する反射光は、リング共振器内へと再結合される可能性があるので、各ポートの端面を8°に斜め研磨してある。
尚、本実施例では、2個のチッ化ガリウム系半導体レーザを用いているが、いずれか一方のみの使用でも良い。
Tapカプラ712の出力ポート712−bより出力された光を光スペクトラムアナライザ(ANDO製:AQ−6315A)によりモニタしながら、励起パワーを増加させたとき、130mW以上の励起パワーにおいて、波長543nmでレーザ発振を確認した。また、ファイバ713に励起光200mWを入射させてTapカプラ712の出力ポート712−aと712−bから出力されるレーザ光の光パワーをパワーメータヘッド(Anritsu製:MA9411A)を用いて測定した。その結果、Tapカプラ712の出力ポート712−aおよび712−bから得られた543nmレーザ光の出力の合計は8mWであった。尚、Tapカプラ712はシングルモードファイバで構成されているため、712−aおよび712−bから得られるビーム形状はシングルモード(LP01)である。
本発明は、医療・生物分野で使用される光源、工業用検査光源、ディスプレイ用光源、プロジェクション用光源、光ジャイロ用光源などとして利用できる。
101:励起光源
102:コリメートレンズ
103、406:励起光反射/レーザ光透過ミラー
104、407:レーザ光分岐用ミラー
104−a:左回り光の出力方向
104−b:右回り光の出力方向
105:集光レンズ
106:希土類添加フッ化物ガラスファイバ
106−a、407−a:励起光結合側の希土類添加フッ化物ガラスファイバ端面
106−b、407−b:励起光結合側と反対の希土類添加フッ化物ガラスファイバ端面
201:励起光源
202:集光レンズ
203:励起光透過/レーザ光反射ミラー
204:レーザ光部分反射ミラー
205、206:凹面鏡
207:希土類添加フッ化物バルクガラス
401、701、705:チッ化ガリウム系半導体レーザ
402、405、408、702、706、710:非球面レンズ
403、404、703、704、707、708:シリンドリカルレンズ
409、713:Er3+添加フッ化物ガラスファイバ
409−a:励起側のEr3+添加フッ化物ガラスファイバ端面
409−b:励起側と反対のEr3+添加フッ化物ガラスファイバ端面
709:偏光ビームスプリッタ
711:WDMカプラ
712:Tapカプラ
714、715:融着点
716:曲げられた石英ファイバ

Claims (6)

  1. 励起光を放出する励起光源と、ミラーまたは光導波路により閉じた周回光路を形成し、該周回光路中に該励起光により発光するレーザ媒質、外部から該周回光路の中へ該励起光を導入する励起光結合手段、および該周回光路内で該レーザ媒質の発光により生成する光の一部を該周回光路外へ出力する光分岐手段を有する光リング回路を備えるリングレーザ装置において、
    励起光源に、励起光の波長が340nm〜500nmの範囲内であるチッ化ガリウム系半導体光源、レーザ媒質に、少なくともPr3+、Er3+、Ho3+、Sm3+、Tm3+、Dy3+、Eu3+、Tb3+またはNd3+のいずれか1種類が添加されているフッ化物ガラスまたはフッ化物結晶からなり、かつ、レーザ発振波長が励起波長よりも長いことを特徴とするリングレーザ装置。
  2. 該周回光路中に、該レーザ媒質の発光帯に含まれる波長においてシングルモードとなる光導波路構造が少なくとも1つ配置されていることを特徴とする請求項1に記載のリングレーザ装置。
  3. 該レーザ媒質が光導波路のコア部を形成することを特徴とする請求項1または2に記載のリングレーザ装置。
  4. 該レーザ媒質の両端または片端に石英系ガラスからなる光導波路が接続されていることを特徴とする請求項1乃至3のいずれか1項に記載のリングレーザ装置。
  5. 該励起光結合手段が、光カプラ、誘電体多層膜ミラー、プリズム、グレーティングのいずれかであることを特徴とする請求項1乃至4のいずれか1項に記載のリングレーザ装置。
  6. 該光分岐手段が、誘電体多層膜ミラーまたは光カプラであることを特徴とする請求項1乃至4のいずれか1項に記載のリングレーザ装置。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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JP2016082121A (ja) * 2014-10-20 2016-05-16 三星ダイヤモンド工業株式会社 固体レーザ素子

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