JP2010078258A - 冷凍サイクル装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】必要な冷媒量を抑制し、停止中の冷媒圧力の過剰な上昇を抑える。
【解決手段】冷凍サイクル装置1は、中パイプ81、小パイプ82、および大パイプ83を有する。小パイプ82の内径は、大パイプ83の内径より小さく、しかも中パイプ81の内径より小さい。D−E流路74は、冷凍サイクル装置1が適切に運転されているとき、比較的高い冷媒密度を示す。D−E流路74は、低圧系統に属するにもかかわらず、最小の小パイプ82によって提供されている。したがって、必要冷媒量を少なく抑えることができる。さらに、少ない冷媒量は、冷媒圧力の過剰な上昇を抑制することを可能とする。
【選択図】図1

Description

本発明は、冷凍サイクル装置に関するものである。
従来、特許文献1および特許文献2に記載の冷凍サイクル装置が知られている。これら冷凍サイクル装置では、冷凍サイクル装置への冷媒封入密度を適切に設定する試みがなされている。
国際公開第02/066907号パンフレット 特許第3665346号公報
冷凍サイクル装置が適切に運転される所定の密度まで冷媒を封入すると、封入される冷媒量はサイクルの容積に依存する。このため、大量の冷媒を必要とし、冷媒の消費量が多くなるという問題点がある。
また、他の問題点として、冷媒の過剰高圧という問題点があった。例えば、環境温度に対して臨界温度が比較的低い冷媒、例えば二酸化炭素(CO)が用いられる場合、構成部品の温度の上昇に応じて冷媒圧力が上昇することがあった。例えば、車両用の冷凍サイクル装置においては、エンジン停止後の余熱によって、夏季の高い気温によって、あるいは強い日射によって、冷凍サイクル装置の構成部品が高温下に置かれる。このような高温下において冷凍サイクル装置が停止していると、冷凍サイクル装置の全体の冷媒圧力が上昇し、過剰な高圧状態に到達することがあった。
このような過剰高圧への対策として、例えば、構成部品の耐圧性の向上、あるいは高圧化を回避する付加装置の設置が検討されている。具体的には、冷凍サイクル装置に設けられるアキュムレータ等の容積を大きくして、十分な容積を確保することによって、高圧化を回避する手法がある。しかし、この手法では、アキュムレータの大型化、重量増加を招くという問題点があった。また、付加装置は、それ自体が冷凍サイクル装置の大型化、重量増加の原因となった。このように、耐圧性の向上、あるいは付加装置の設置は、構成部品の大型化、または重量増加を招くという問題点がある。
本発明は、上記問題点に鑑み、少ない冷媒封入量でも適切に運転することができる冷凍サイクル装置を提供することを目的とする。
本発明は、上記問題点に鑑み、サイクル停止中の冷媒圧力の過剰な上昇を抑制することができる冷凍サイクル装置を提供することを他の目的とする。
上記目的を達成するために、下記の技術的手段を採用することができる。
請求項1に記載の発明は、圧縮機(10)、放熱器(20)、減圧器(30、430、530)、および蒸発器(40、440、540)を備える冷凍サイクル装置において、所定の内径をもつ中パイプ(81)、中パイプより小さい内径をもつ小パイプ(82)、および中パイプより大きい内径をもつ大パイプ(83)を含む少なくとも3種のパイプを有し、放熱器(20)から減圧器(30、430、530)を経由して蒸発器(40)へ冷媒を流す流路の少なくとも一部に小パイプ(82)を配置したことを特徴とする冷凍サイクル装置という技術的手段を採用する。放熱器(20)から減圧器(30、430、530)を経由して蒸発器(40)へ冷媒を流す流路は、冷凍サイクル装置が適切に運転されるときの冷媒密度が比較的高い。この流路が小パイプによって提供される。この結果、冷凍サイクル装置が適切に運転されるために必要な冷媒量を抑制することができる。加えて、冷凍サイクル装置が停止中に、冷媒圧力の過剰な上昇を抑制することができるという付加的な効果が得られる。
請求項2に記載の発明は、減圧器(30、430、530)の上流側の流路と下流側の流路との少なくとも一方に小パイプ(82)を配置したという技術的手段を採用する。この発明によると、冷凍サイクル装置が適切に運転されるときの冷媒密度が比較的高い2つの流路の少なくとも一方が小パイプによって提供される。
請求項3に記載の発明は、小パイプ(82)は、最小の内径をもつパイプであることを特徴とするという技術的手段を採用する。この発明によると、冷凍サイクル装置に用いられるパイプの中でも最小のパイプが使用されるから、冷媒量をより少なく抑えることができる。
請求項4に記載の発明は、圧縮機(10)、放熱器(20)、減圧器(30、430、530)および蒸発器(40、440、540)を備える冷凍サイクル装置において、圧縮機から放熱器へ冷媒を流す流路の少なくとも一部に配置され、所定の内径を有する高圧パイプ(81)と、蒸発器から圧縮機へ冷媒を流す流路の少なくとも一部に配置され、高圧パイプより内径が大きい低圧パイプ(83)と、減圧器から蒸発器へ冷媒を流す流路の少なくとも一部に配置され、高圧パイプの内径と同一、またはより小さい内径をもつ導入パイプ(81、82)とを備えることを特徴とする冷凍サイクル装置という技術的手段を採用する。減圧器から蒸発器へ冷媒を流す流路は、冷凍サイクル装置が適切に運転されるときの冷媒密度が比較的高い。この流路が導入パイプによって提供される。この流路は、減圧器を通過した後のいわゆる低圧系統に属するにもかかわらず、導入パイプ(81、82)は、高圧パイプの内径と同一、またはより小さい内径をもつ。この結果、冷凍サイクル装置が適切に運転されるために必要な冷媒量を抑制することができる。加えて、冷凍サイクル装置が停止中に、冷媒圧力の過剰な上昇を抑制することができるという付加的な効果が得られる。
請求項5に記載の発明は、さらに、放熱器(20)と減圧器(30、430、530)との間の冷媒と、蒸発器(40、440、540)と圧縮機(10)との間の冷媒とを熱交換させる内部熱交換器(60)を備えるという技術的手段を採用する。内部熱交換器はその前後の冷媒密度に差を与える。内部熱交換器を備える冷凍サイクル装置においても、必要冷媒量を少なく抑えることができる。
請求項6に記載の発明は、さらに、蒸発器(40、440、540)の下流に設けられたアキュムレータ(50)を備えるという技術的手段を採用する。アキュムレータを備える冷凍サイクル装置においても、必要冷媒量を少なく抑えることができる。
請求項7に記載の発明は、さらに、蒸発器(440、540)よりも放熱器(20)に近い位置に配置された他の蒸発器(40)を備えるという技術的手段を採用する。この発明では、放熱器から遠いために長い流路によって冷媒を導入することが必要な蒸発器と、放熱器に近いために短い流路によって冷媒を導入することが可能な他の蒸発器とを備える。長い流路を必要とする蒸発器への流路に、小パイプまたは導入パイプを備えることが、必要冷媒量を減少させるために有効である。両方の蒸発器への流路に、小パイプまたは導入パイプを備えてもよい。
請求項8に記載の発明は、さらに、冷媒は二酸化炭素であるという技術的手段を採用する。この発明によると、二酸化炭素を用いた冷凍サイクル装置を改良することができる。
なお、特許請求の範囲および上記各手段に記載の括弧内の符号は、ひとつの態様として後述する実施形態に記載の具体的手段との対応関係を示す。
(第1実施形態)
第1実施形態では、本発明を車両用の空調装置の冷房用の冷凍サイクル装置1に適用した。図1は、第1実施形態に係る冷凍サイクル装置1の構成を示すブロック図である。図1において、冷凍サイクル装置1は、エンジンルームと車室とにまたがって配置されている。冷凍サイクル装置1は、圧縮機10と、放熱器20と、減圧器30と、蒸発器40とを備える。さらに、冷凍サイクル装置1は、アキュムレータ50と内部熱交換器60とを備える。これらの構成部品は、冷媒を循環させる環状流路の上に配列されている。冷凍サイクル装置1には、冷媒として二酸化炭素が封入されている。冷凍サイクル装置1は、高圧系統の冷媒が超臨界状態となる超臨界冷凍サイクル装置である。
圧縮機10は、冷媒を吸引し、圧縮した後に吐出する。圧縮機10は、冷媒の循環方向に関して、蒸発器40と放熱器20との間に配置されている。圧縮機10は、車両の内燃機関に搭載され、この内燃機関によって駆動される。圧縮機10の吐出側と吸引側には、内燃機関の振動を吸収するために、可撓性のホース11、12が接続されている。これらホース11、12は、樹脂あるいはゴムを主材料とするホースによって提供されうる。ホース11、12は、圧縮機10に属する部品としても把握することができる。ホース11、12の内径は、高圧流路、低圧流路として適切な数値に設定されている。ただし、ホース11、12の内径は、規格や製造上の制約によっても制限される。このため、ホースの内径を選択する自由度は低い。そこで、金属製の筒状部材であるパイプの内径を改善することによって、冷媒量の低減が図られている。
放熱器20は、室外熱交換器である。放熱器20は、冷媒の循環方向に関して、圧縮機10の次に配置されている。放熱器20は、車両のエンジンルームの空気入り口に配置される。このため、放熱器20は、車室から離れて配置されている。放熱器20は、冷媒と大気とを熱交換させる。
減圧器30は、膨張器とも呼ばれる。減圧器30は、冷媒の循環方向に関して、放熱器20と蒸発器40との間に配置されている。減圧器30は、エンジンルーム内に配置される。減圧器30は、放熱器20から供給される高圧冷媒を減圧する。減圧器30は、固定の絞り装置、あるいは可変のバルブ装置によって提供されうる。減圧器30は、圧力制御弁である。減圧器30は、開度可変のバルブと、放熱器20の出口における冷媒圧力を感知して蒸気バルブの開度を調節するエレメントとを備える。減圧器30は、圧縮機10から放熱器20を経由して減圧器30に冷媒が流れる流路における冷媒圧力を、所定圧力に維持する機能を有している。
蒸発器40は、室内熱交換器である。蒸発器40は、冷媒の循環方向に関して、減圧器30の次に配置されている。蒸発器40は、車室内に設置されている。蒸発器40は、車室内に向けて供給される空気と、冷媒とを熱交換させる。
アキュムレータ50は、冷媒タンクである。アキュムレータ50は、冷媒の循環方向に関して、蒸発器40の次に配置されている。アキュムレータ50は、エンジンルーム内に配置される。アキュムレータ50は、蒸発器40から供給される冷媒を、液成分とガス成分とに分離する。アキュムレータ50は、液成分を貯留し、ガス成分を流出させる。
内部熱交換器60は、放熱器20と減圧器30との間の高圧冷媒と、蒸発器40と圧縮機10との間の低圧冷媒とを熱交換させる。内部熱交換器60は、エンジンルーム内に配置される。内部熱交換器60は、高圧冷媒が流れる高圧部と、低圧冷媒が流れる低圧部とを有する。高圧部においては、高圧冷媒が冷却される。
冷凍サイクル装置1は、上述の複数の構成部品に加えて、それらを連結する複数の冷媒の流路を有する。以下の説明では、各流路は、その両端に位置する構成部品の記号を用いて表記される。例えば、圧縮機10と放熱器20とを接続する流路は、C−R流路71と呼ばれる。C−R流路71は、圧縮機10から放熱器20へ冷媒を流す流路である。R−I流路72は、放熱器20から内部熱交換器60の高圧部へ冷媒を流す流路である。I−D流路73は、内部熱交換器60の高圧部から減圧器30へ冷媒を流す流路である。D−E流路74は、減圧器30から蒸発器40へ冷媒を流す流路である。E−A流路75は、蒸発器40からアキュムレータ50に冷媒を流す流路である。A−I流路76は、アキュムレータ50から内部熱交換器60の低圧部へ冷媒を流す流路である。I−C流路77は、内部熱交換器60の高圧部から圧縮機10に冷媒を流す流路である。
それぞれの流路は、パイプまたはホースによって提供されている。複数のパイプは、アルミニウムあるいはステンレス等の金属製のパイプである。これらパイプは、曲げることが可能である。これらパイプは、所定形状に曲げられて、車両に敷設される。それぞれのパイプの両端には、ジョイントが設けられている。ジョイントは、構成部品に接続され、構成部品内の通路とパイプ内流路とを連通する。
冷凍サイクル装置1は、少なくとも3種のパイプを有する。そのひとつは、所定の内径をもつ中パイプ81である。中パイプ81は、冷凍サイクル装置1の高圧系統に使用することが可能な比較的小さい内径をもつ。他のひとつは、中パイプ81より小さい内径をもつ小パイプ82である。小パイプ82は、冷凍サイクル装置1に含まれる複数のパイプの中で最も小さい内径をもつ最小パイプでもある。さらに他のひとつは、中パイプ81より大きい内径をもつ大パイプ83である。冷凍サイクル装置1が備える複数のパイプは、これら3種のパイプだけで提供されている。他の実施形態では、冷凍サイクル装置は、3種以上のパイプを備えることができる。
C−R流路71と、R−I流路72と、I−D流路73とは、中パイプ81によって提供される。C−R流路71と、R−I流路72と、I−D流路73とは、高圧流路とも呼ばれ、それらを提供する中パイプ81は、高圧パイプとも呼ばれる。
D−E流路74は、小パイプ82によって提供される。D−E流路74だけが、小パイプ82によって提供されている。D−E流路74は、導入流路とも呼ばれる。導入経路74を提供する小パイプ82は、導入パイプとも呼ばれる。小パイプ82は、高圧パイプとしての中パイプ81の内径より小さい内径をもつ。D−E流路74は、低圧系統に属する流路であるにもかかわらず、大パイプ83より小さく、しかも中パイプ81より小さい内径をもつ小パイプ82によって提供されている。
E−A流路75と、A−I流路76と、I−C流路77とは、大パイプ83によって提供される。E−A流路75と、A−I流路76と、I−C流路77とは、低圧流路とも呼ばれ、それらを提供する大パイプ83は、低圧パイプとも呼ばれる。
圧縮機10、放熱器20、内部熱交換器60、減圧器30およびアキュムレータ50は、エンジンルーム内に設置される。特に、減圧器30は、放熱器20の出口における冷媒圧力を目標圧力に制御することが望ましいから、放熱器20の近傍に設けられることが望ましい。一方、蒸発器40だけは、車室内に設置される。このように冷凍サイクル装置1は、放熱器20の近傍に設置された減圧器30を備えている。これら構成部品の車両上の搭載位置に起因して、D−E流路74とE−A流路75とは、他の流路に比べて長い。
パイプ81、82、83は、各流路に求められる耐圧性に応じた厚さを有している。中パイプ81は、冷凍サイクル装置1の高圧系統に属するから、最も厚い壁を有する。小パイプ82と大パイプ83とは、冷凍サイクル装置1のうちの低圧系統に属するから、中パイプ81より薄い壁を有する。
この冷凍サイクル装置1には、予め定められた量の冷媒が封入される。この封入量は、冷凍サイクル装置1を高負荷条件下で運転したときに、各経路における冷媒密度がほぼ図2に図示される値になるように、予め設定される。この封入量は、高負荷状態でも冷凍サイクル装置1が適切に運転できるために必要な必要冷媒量に、予備量を加えた量である。
図2は、冷凍サイクル装置1を運転しているときの各流路における冷媒密度を示すグラフである。図2は、車室内温度が高いなど高熱負荷状態にあり、しかも内燃機関がアイドリング状態にあるなど回転数が低い状態にある、いわゆる高負荷状態で得られた結果である。このような高負荷状態は、冷凍サイクル装置の中を循環する冷媒量が最も多くなることから選定されている。高負荷状態でも冷凍サイクル装置1が適切に運転できるために各流路に必要な冷媒密度が示されている。
グラフによると、低圧系統よりも高圧系統の冷媒密度が相対的に高い。さらに、経路72、73、74における冷媒密度が、相対的に高い。よって、これら経路の容積を小さくすることが、冷凍サイクル装置1を適切に運転するために必要な冷媒量を低減するために有効である。さらに、比較的長い流路の内径を小さくすることが、容積を小さくするために有効である。R−I流路72とI−D流路73とは、エンジンルームに設置された流路であるため、比較的短い。一方、D−E流路74は、エンジンルームから車室内にまで延びる流路であるため、R−I流路72またはI−D流路73より比較的長い。このため、D−E流路74を小パイプ82によって提供することが、冷凍サイクル装置1の容積を減少させるために有効である。
さらに、D−E流路74は、減圧器30によって減圧された冷媒を流し、減圧された冷媒は蒸発器40において蒸発する。このため、D−E流路74は、必要な流量を流すことができる内径が確保されれば、一定の圧力損失を伴うことが許容される。このため、D−E流路74が小パイプ82によって提供されても、冷凍サイクル装置1の性能への影響は小さく抑えられる。
冷凍サイクル装置1が運転されると、冷凍サイクル装置1の閉回路内を冷媒が循環する。圧縮機10は冷媒を圧縮し、吐出する。圧縮機10から吐出された冷媒は、放熱器20、減圧器30、および蒸発器40の順で流れ、圧縮機10に戻る。放熱器20は、冷媒の熱を空気に放熱し、冷媒を冷却する。減圧器30は、放熱器20の出口における冷媒圧力を望ましい目標圧力に一致させるように弁開度を調節する。蒸発器40は、冷媒を蒸発させ、車室内へ供給される空気を冷却する。内部熱交換器60は、高圧冷媒と低圧冷媒とを熱交換する。この内部熱交換器60により、R−I流路72内の冷媒密度より、I−D流路73内の冷媒密度が高くなる。アキュムレータ50は、余剰冷媒を液成分として蓄える。冷凍サイクル装置1の運転中、蒸発器40から放熱器20へ熱が運搬される。
冷凍サイクル装置1が停止すると、冷凍サイクル装置1内の冷媒圧力が均一化される。この均圧過程では、冷媒は、圧縮機10内の隙間を通る。また、冷媒は、減圧器30内の隙間、またはブリードポートを通ることもできる。このような停止中にエンジンルームおよび車室の一方または両方の温度が上昇すると、冷凍サイクル装置1の構成部品の温度が上昇し、冷媒の温度も上昇する。冷媒の温度が臨界温度を超えると温度に応じて冷媒圧力が上昇する。このとき、冷凍サイクル装置1内に封入された冷媒量が多いか、冷凍サイクル装置1内の容積が小さいと、冷媒圧力は過剰圧力に到達しやすい。このような過剰圧力は、冷凍サイクル装置1に種々の不具合を与えるおそれがある。例えば、過剰圧力が、リリーフ装置を作動させるおそれがある。また、冷凍サイクル装置1を再起動する際に、高圧側圧力の異常上昇を引き起こすことがある。さらに、冷凍サイクル装置1を再起動する際に、冷媒の圧力が高すぎて、再起動が妨げられることもある。
この実施形態では、停止中の過剰圧力は、必要冷媒量を少なく設定することによって発生しにくくされている。すなわち、D−E経路74に小パイプ82を用いることで、冷凍サイクル装置1を適切に運転するために必要な必要冷媒量を抑制している。この結果、冷凍サイクル装置1が停止しているときに構成部品の温度が上昇し、冷媒の温度が上昇することになっても、冷媒の圧力が過剰に上昇することが抑制される。しかも、高圧系統には中パイプ81を用い、低圧系統の大部分には大パイプ83を用いている。これら中パイプ81と大パイプ83とは、冷凍サイクル装置1内の容積を大きくするから、圧力上昇の抑制に貢献している。
この実施形態によると、放熱器20から減圧器30を経由して蒸発器40へ冷媒を流す流路72、73、74の少なくとも一部に小パイプ82を配置したから、必要な冷媒量を抑制することができる。この必要な冷媒量とは、冷凍サイクル装置1を適切に運転するために必要な各流路の冷媒密度を実現する量である。この結果、冷媒消費量を抑制することができる。
また、必要冷媒量が少なく抑えられるから、冷凍サイクル装置1が停止している間に、冷媒の圧力が過剰に上昇することを抑制することができる。さらに、冷凍サイクル装置1の残部に、中パイプ81および大パイプ83を使用することにより、冷凍サイクル装置1内の容積を維持でき、冷媒圧力の過剰な上昇をより一層抑制することができる。
(第2実施形態)
図3は、本発明の第2実施形態に係る冷凍サイクル装置2の構成を示すブロック図である。第1実施形態と同じ構成には同一の符号を付した。
D−E流路74に加えて、さらにI−D流路73が小パイプ82によって提供されている。I−D流路73とD−E流路74とは、減圧器30とともに冷媒を減圧する機能を担うことができる。D−E流路74とI−D流路73だけが、小パイプ82によって提供されている。この実施形態によると、上述の実施形態に加えて、運転中の冷媒密度が最も高いI−D流路73の容積を減少させることができる。このため、上記実施形態よりもさらに必要冷媒量を少なく抑えることができる。
(第3実施形態)
図4は、本発明の第3実施形態に係る冷凍サイクル装置3の構成を示すブロック図である。第1実施形態と同じ構成には同一の符号を付した。
I−D流路73が小パイプ82によって提供されている。D−E流路74は中パイプ81によって提供されている。I−D流路73だけが、小パイプ82によって提供されている。この構成は、I−D流路73が長い場合に好適である。運転中の冷媒密度が最も高いI−D流路73の容積が減らされるため、必要冷媒量を少なく抑えることができる。加えて、D−E流路74は、低圧系統に属する流路であるにもかかわらず、大パイプ83より小さい内径をもつ中パイプ81によって提供されている。このため、D−E流路74の容積を減らすことができ、必要冷媒量を少なく抑えることができる。
I−D流路73は、減圧器30の上流側の流路である。D−E流路74は、減圧器30の下流側の流路である。I−D流路73とD−E流路74との少なくとも一方に小パイプ82を配置することができる。
(第4実施形態)
図5は、本発明の第4実施形態に係る冷凍サイクル装置4の構成を示すブロック図である。第1実施形態と同じ構成には同一の符号を付した。
冷凍サイクル装置4は、2つの蒸発器をもち、デュアルエアコン装置と呼ばれる。蒸発器40は、第1蒸発器である。蒸発器40は、車両の主空間としての前席に配置されたフロント空調装置に内に配置される。第2蒸発器440は、車両の副空間としての後席に配置されたリア空調装置に配置される。蒸発器40は、第2蒸発器440よりも放熱器20に近い位置に配置された他の蒸発器に相当する。減圧器30と蒸発器40とは、第1系統を構成している。I−D流路73には分岐部401が設けられている。E−A流路75には合流部402が設けられている。分岐部401と合流部402との間に第2系統が接続されている。第2系統には、第2減圧器430と、第2蒸発器440とが配置される。第2減圧器430は、開度固定の絞りによって提供される。蒸発器40を含む第1系統と、第2蒸発器440を含む第2系統とは、圧縮機10および放熱器20に対して並列に接続されている。第2のI−D流路473は、内部熱交換器60から分岐部401を経由して第2減圧器430へ冷媒を流す経路である。第2D−E流路474は、第2減圧器430から第2蒸発器440へ冷媒を流す経路である。第2E−A流路475は、第2蒸発器440から合流部402を経由してアキュムレータ50へ冷媒を流す経路である。第2蒸発器440へ冷媒を導入するための第2D−E流路474は、D−E流路74より長い。第2のI−D流路473には、開閉可能な電磁弁490が設けられる。電磁弁490は、第2系統に冷媒を流すときに開弁し、第2系統に冷媒を流す必要がないときに閉弁する。
D−E流路74に加えて、さらに第2D−E流路474が小パイプ82によって提供されている。D−E流路74と第2D−E流路474だけが、小パイプ82によって提供されている。
この実施形態によると、D−E流路74より長い第2D−E流路474が小パイプ82によって提供される。このため、冷凍サイクル装置4内の容積を効果的に減少させることができる。このため、2つの系統をもつ冷凍サイクル装置においても、必要冷媒量を少なく抑えることができる。
(第5実施形態)
図6は、本発明の第5実施形態に係る冷凍サイクル装置5の構成を示すブロック図である。第1実施形態と同じ構成には同一の符号を付した。
冷凍サイクル装置5は、2つの蒸発器をもち、デュアルエアコン装置と呼ばれる。蒸発器40は、第1蒸発器として車両の主室としての前席に配置されたフロント空調装置に内に配置される。第2蒸発器540は、車両の副室としての後席に配置されたリア空調装置に配置される。蒸発器40は、第2蒸発器540よりも放熱器20に近い位置に配置された他の蒸発器に相当する。減圧器30と蒸発器40とは、第1系統を構成している。I−D流路73には分岐部501が設けられている。D−E流路74には合流部502が設けられている。分岐部501と合流部502との間には、第2減圧器530を含むバイパス流路が接続されている。第2減圧器530は、開度固定の絞りによって提供される。ただし、バイパス流路は、第2蒸発器540専用の導入流路を含んでいる。第2のI−D流路573は、内部熱交換器60から分岐部501を経由して第2減圧器530へ冷媒を流す経路である。第2D−E流路574は、第2減圧器530から合流部502を経由して第2蒸発器540へ冷媒を流す経路である。E−E流路578は、第2蒸発器540から合流部502を経由して第1蒸発器40へ冷媒を流す経路である。従って、第2蒸発器540と第1蒸発器40とは、第2蒸発器540を上流側に位置させて、直列に接続されている。このため、フロント空調装置とリア空調装置との両方を運転する際には、第1蒸発器40が第2蒸発器540の下流に位置する。第2蒸発器540を通る通路は、減圧器30の前後をバイパスする回路に相当する。第2蒸発器540は放熱器20からの距離が遠いため、第1蒸発器40より長い配管が必要である。このため、放熱器に近い第1蒸発器40に比べて、第2蒸発器540の配管における冷媒量を減少させることが、冷凍サイクル全体の冷媒量を低減する上で有効である。第2蒸発器540へ冷媒を導入するための第2D−E流路574は、D−E流路74より長い。また、E−E流路578は、第1実施形態のE−A流路75より長い。この構成では、第1系統には、減圧器30、第1蒸発器40および第2蒸発器540が含まれる。第2系統には、第2減圧器530と第2蒸発器540とが含まれる。第2のI−D流路573には、開閉可能な電磁弁590が設けられる。電磁弁590は、第2系統に冷媒を流すときに開弁し、第2系統に冷媒を流す必要がないときに閉弁する。
D−E流路74に加えて、さらに第2D−E流路574が小パイプ82によって提供されている。D−E流路74と第2D−E流路574だけが、小パイプ82によって提供されている。なお、D−E流路74のうち、合流部502と第1蒸発器40との間は、比較的短く、第2蒸発器540に冷媒が流れる際には比較的大容積の冷媒が流れるので、中パイプ81もしくは大パイプ83によって提供されてもよい。また、E−E流路578は、小パイプ82または中パイプ81によって提供されてもよい。さらに、合流部502には、E−E流路578からD−E流路74への流入だけを許容し、逆を阻止する逆止弁などの弁機構を設けてもよい。
この実施形態によると、D−E流路74より長い第2D−E流路574が小パイプ82によって提供される。このため、冷凍サイクル装置4内の容積を効果的に減少させることができる。このため、2つの系統をもつ冷凍サイクル装置においても、必要冷媒量を少なく抑えることができる。
(第6実施形態)
図7は、本発明の第6実施形態に係る冷凍サイクル装置6の構成を示すブロック図である。第1実施形態と同じ構成には同一の符号を付した。
冷凍サイクル装置6は、内部熱交換器を持たない。よって、R−D流路672は、放熱器20から減圧器30へ冷媒を流す流路である。A−C流路676は、アキュムレータ50から圧縮機10へ冷媒を流す流路である。この実施形態においても、D−E流路74を小パイプ82によって提供することで、必要冷媒量を少なくすることができる。
(第7実施形態)
図8は、本発明の第7実施形態に係る冷凍サイクル装置7の構成を示すブロック図である。第1実施形態と同じ構成には同一の符号を付した。
冷凍サイクル装置7は、I−D流路73に小パイプ82を備える。さらに、D−E流路74に大パイプ83を備える。この構成は、D−E流路74が比較的短く、I−D流路73が比較的長い構成に好適である。この実施形態においても、I−D流路73を小パイプ82によって提供することで、必要冷媒量を少なくすることができる。
(第8実施形態)
図9は、本発明の第8実施形態に係る冷凍サイクル装置8の構成を示すブロック図である。第1実施形態と同じ構成には同一の符号を付した。
冷凍サイクル装置8は、中パイプ81と大パイプ83だけを備え、小パイプ82を備えていない。D−E流路74は、中パイプ81によって提供されている。すなわち、D−E流路74は、低圧系統に属するにもかかわらず、高圧系統に使用されている中パイプ81によって提供されている。この中パイプ81は、導入パイプとも呼ばれる。この構成は、冷凍サイクル装置8に使用されるパイプの種類を減らすことができる。この実施形態においても、D−E流路74を大パイプ83によって構成する場合と比べて、必要冷媒量を少なくすることができる。
(他の実施形態)
本発明は上述した実施形態にのみ限定されるものではなく、次のように変形または拡張することができる。例えば、本発明は、冷凍用、暖房用、給湯用といった冷凍サイクル装置に適用されてもよい。さらに、本発明は、エジェクタを備える冷凍サイクル装置に適用されてもよい。
また、本発明によると、放熱器20から蒸発器40に冷媒を流す複数の流路のいずれかひとつまたは複数を中パイプ81と同じか、または中パイプ81より小径の内径をもつパイプによって提供できる。例えば、R−I流路72、I−D流路73およびD−E流路74のいずれかひとつまたは複数を小パイプ82によって提供できる。よって、R−I流路72だけを小パイプ82によって提供してもよい。さらに、R−I流路72、I−D流路73およびD−E流路74のすべてを小パイプ82によって提供してもよい。
冷凍サイクル装置1は、中パイプ81、小パイプ82および大パイプ83に加えて、さらに他の内径をもつパイプを備えていてもよい。この場合、ひとつの望ましい形態では小パイプ82は最小の内径をもつが、他の形態においては2番目に小さい内径をもつことができる。
上述の実施形態において、指定された流路は、その全部が、小パイプ82または導入パイプによって占有されることが望ましい。ただし、指令された流路の一部を、小パイプ82または導入パイプより大きい内径をもつ補助パイプによって提供してもよい。かかる補助パイプは、当該流路の容積削減効果が損なわれない範囲で設けることができる。例えば、第2実施形態では、D−E流路74とI−D流路73との長さに関しての全部が小パイプ82によって提供されていることが望ましい。ただし、D−E流路74とI−D流路73との長さに関しての大部分が小パイプ82によって提供されていればよい。D−E流路74とI−D流路73との長さに関しての半分以下の一部分が補助パイプによって提供されていてもよい。このような補助パイプは、上述のすべての実施例に設けることができる。
第4実施形態において、R−I流路72、I−D流路73、第2のI−D流路473、D−E流路74および第2D−E流路474のいずれかひとつまたは複数を小パイプ82によって提供してもよい。例えば、第4実施形態に加えて、第2のI−D流路473を小パイプ82によって提供してもよい。
第5実施形態において、R−I流路72、I−D流路73、第2のI−D流路573、D−E流路74および第2D−E流路574のいずれかひとつまたは複数を小パイプ82によって提供してもよい。例えば、第5実施形態に加えて、第2のI−D流路573を小パイプ82によって提供してもよい。
第4実施形態および第5実施形態において、第2D−E流路474、574だけを小パイプ82または中パイプ81によって提供してもよい。この構成によると、D−E流路74に比べて長い第2D−E流路474、574の容積が削減されるから、必要な冷媒量を抑制することができる。
本発明を適用した第1実施形態の冷凍サイクル装置を示すブロック図である。 第1実施形態の冷凍サイクル装置が運転されるときの冷媒密度を示すグラフである。 本発明を適用した第2実施形態の冷凍サイクル装置を示すブロック図である。 本発明を適用した第3実施形態の冷凍サイクル装置を示すブロック図である。 本発明を適用した第4実施形態の冷凍サイクル装置を示すブロック図である。 本発明を適用した第5実施形態の冷凍サイクル装置を示すブロック図である。 本発明を適用した第6実施形態の冷凍サイクル装置を示すブロック図である。 本発明を適用した第7実施形態の冷凍サイクル装置を示すブロック図である。 本発明を適用した第8実施形態の冷凍サイクル装置を示すブロック図である。
符号の説明
1 冷凍サイクル装置、
10 圧縮機、
11 ホース
12 ホース
20 放熱器、
30、430、530 減圧器、
40、440、540 蒸発器、
50 アキュムレータ、
60 内部熱交換器、
71 C−R流路、
72 R−I流路、
73、473、573 I−D流路、
74、474、574 D−E流路、
75、475、579 E−A流路、
76 A−I流路、
77 I−C流路、
578 E−E流路、
672 R−D流路
676 A−C流路
81 中パイプ
82 小パイプ
83 大パイプ
490、590 電磁弁
401、501 分岐部
402、502 合流部

Claims (8)

  1. 圧縮機(10)、放熱器(20)、減圧器(30、430、530)、および蒸発器(40、440、540)を備える冷凍サイクル装置において、
    所定の内径をもつ中パイプ(81)、前記中パイプより小さい内径をもつ小パイプ(82)、および前記中パイプより大きい内径をもつ大パイプ(83)を含む少なくとも3種のパイプを有し、
    前記放熱器(20)から前記減圧器(30、430、530)を経由して前記蒸発器(40)へ冷媒を流す流路の少なくとも一部に前記小パイプ(82)を配置したことを特徴とする冷凍サイクル装置。
  2. 前記減圧器(30、430、530)の上流側の流路と下流側の流路との少なくとも一方に前記小パイプ(82)を配置したことを特徴とする請求項1に記載の冷凍サイクル装置。
  3. 前記小パイプ(82)は、最小の内径をもつパイプであることを特徴とする請求項1または2に記載の冷凍サイクル装置。
  4. 圧縮機(10)、放熱器(20)、減圧器(30、430、530)および蒸発器(40、440、540)を備える冷凍サイクル装置において、
    前記圧縮機から前記放熱器へ冷媒を流す流路の少なくとも一部に配置され、所定の内径を有する高圧パイプ(81)と、
    前記蒸発器から前記圧縮機へ冷媒を流す流路の少なくとも一部に配置され、前記高圧パイプより内径が大きい低圧パイプ(83)と、
    前記減圧器から前記蒸発器へ冷媒を流す流路の少なくとも一部に配置され、前記高圧パイプの内径と同一、またはより小さい内径をもつ導入パイプ(81、82)とを備えることを特徴とする冷凍サイクル装置。
  5. さらに、前記放熱器(20)と前記減圧器(30、430、530)との間の冷媒と、前記蒸発器(40、440、540)と前記圧縮機(10)との間の冷媒とを熱交換させる内部熱交換器(60)を備えることを特徴とする請求項1から4のいずれかに記載の冷凍サイクル装置。
  6. さらに、前記蒸発器(40、440、540)の下流に設けられたアキュムレータ(50)を備えることを特徴とする請求項1から5のいずれかに記載の冷凍サイクル装置。
  7. さらに、前記蒸発器(440、540)よりも前記放熱器(20)に近い位置に配置された他の蒸発器(40)を備えることを特徴とする請求項1から6のいずれかに記載の冷凍サイクル装置。
  8. さらに、前記冷媒は二酸化炭素であることを特徴とする請求項1から7のいずれかに記載の冷凍サイクル装置。
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