JP2010074028A - 外部共振器型波長可変レーザモジュール - Google Patents

外部共振器型波長可変レーザモジュール Download PDF

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【課題】外部共振器型波長可変レーザモジュールの低コスト化を実現する。
【解決手段】本発明の外部共振器型波長可変レーザモジュールは、光出力のピークサーチを用いて波長を制御することにより、高価な波長ロッカ部を不要としている。半導体ゲインチップ30は、動作電流条件下におけるαパラメータが0より大きく、6以下であり、伝導帯のバンドオフセットは、160meV以上、400meV以下である。これにより、光出力のピーク明確度が0.5〜1.0%以上となるので、ピークサーチによる制御が可能となる。
【選択図】図2

Description

本発明は、光通信などに用いられる波長可変レーザモジュールに関し、特に、外部共振器型波長可変レーザモジュールに適用して有効な技術に関するものである。
光通信の伝送容量は、年々増大の傾向にあり、これに伴って波長分割多重(WDM:Wavelength Division Multiplex)通信システムが実用化され始めている。WDM通信システムは、ITU−T(International Telecommunication Union-Telecommunication Standardization Sector)によって標準化された波長間隔(例えば0.8nmまたは0.4nm)の波長信号光を多重化し、一本の光ファイバケーブルで同時に伝送するシステムであり、光ファイバケーブル1本辺りの伝送容量を増やすことできることから、高速かつ大容量の情報通信が可能となる。
WDM通信システムを実現するためには、波長が互いに異なる多数個の半導体レーザダイオード(以下、レーザと略す)と、これらのレーザを駆動するモジュール化された装置(以下、モジュールと略す)が必要である。しかし、波長の異なるレーザを製造するためには、波長毎に異なる結晶を製造する必要があり、かつモジュールも波長毎に製造する必要がある。そのため、モジュールの製造コストが高くなり、かつ在庫管理も煩雑になることから、通信キャリアや装置ベンダーにとっては、コストのかかるモジュールである。
そこで、1種類のモジュールで波長を自由に変えられる波長可変レーザモジュールがあれば、必要なレーザは少数もしくは1種類で済むため、製造コストの低減および在庫管理の煩雑さを解消することができる。このようなレーザモジュールを実現するためには、所望の波長範囲(例えば中長距離通信の一般的な波長帯であるCバンド(C-band)やLバンド(L-band))で発振波長が可変である波長可変レーザが必要である。仮に、Cバンドの波長帯域を40nmとし、波長間隔を0.4nmとした場合には、100種類の異なる波長を1種類のレーザから切り換え発振させる必要があるので、波長可変レーザには、広波長帯域に亘って安定した波長制御性が求められる。さらに、波長可変レーザは固定波長レーザの代替であるため、固定波長レーザと同程度のコストが求められる。
波長可変レーザには複数の方式があるが、その中の一つに外部共振器型波長可変レーザがある。外部共振器型波長可変レーザは、発振波長に利得を持つ半導体ゲインチップと、その外部に設けられた波長可変フィルタとによって構成され、この波長可変フィルタの透過波長もしくは反射波長を制御することで発振波長を選択する方式である。
例えば特許文献1(特開2007−234916号公報)および特許文献2(特開2006−216791号公報)には、外部共振器型波長可変レーザのいくつかの構造が開示されている。
図1は、上記特許文献1に記載された外部共振器型波長可変レーザモジュールの概略図である。図中の符号10は波長可変レーザモジュールの制御装置、20は回折格子、21、22はコリメートレンズ、23はビームスプリッタ、24は集光レンズ、25は光ファイバ、30は半導体ゲインチップ、31は位相調整部、32はゲイン部、40は波長ロッカ部である。この波長可変レーザモジュールの特徴は、回折格子20の角度を変えることによってレーザ発振波長を制御していることにある。また、レーザの前方の波長ロッカ部40でレーザ発振波長をモニタし、制御装置10を介して回折格子20にフィードバック制御している。
特開2007−234916号公報 特開2006−216791号公報
上記特許文献1に示された外部共振器型波長可変レーザモジュールの場合、図1に示した波長ロッカ部40を構成するためには、ITUグリッド波長間隔で周期的な特性を持つエタロンおよび2つのフォトダイオードが必要となるので、モジュールの部品点数が多くなり、低コスト化が妨げられるという問題がある。
本発明の目的は、外部共振器型波長可変レーザモジュールの低コスト化を実現することにある。
本発明の前記ならびにその他の目的と新規な特徴は、本明細書の記述および添付図面から明らかになるであろう。
外部共振器型波長可変レーザモジュールの上記した課題を解決するため、本発明者は、半導体ゲインチップの線幅増大因子(αパラメータ)および伝導帯のバンドオフセット(ΔEc)に着目した。具体的には、光出力のピーク検出を実現するためには、ピークの明確度を大きくする必要があり、そのためには半導体ゲインチップのαパラメータを小さくする必要があること、もしくは伝導帯のバンドオフセット(ΔEc)を大きくする必要があることを案出した。このような波長可変レーザは、主に中長距離で使われることから、LiNbOや半導体のMach−Zehnder変調器による外部変調器を使うため、レーザはCWレーザとして利用されており、従来の制御方式において、このαパラメータが議論されることはなかったことを付記しておく。
図2は、本発明の外部共振器型波長可変レーザモジュールの概略図である。この波長可変レーザモジュールは、可変フィルタ27、ITUグリッド間隔で周期的な特性を持つ固定エタロン26、コリメートレンズ21、半導体ゲインチップ30を含む共振器と、コリメートレンズ22と、ビームスプリッタ23と、集光レンズ24と、フォトダイオードを含む光検出器41とによって構成され、共振器で発振する単一波長のレーザ光を光ファイバ25に出力する。
図3は、上記半導体ゲインチップ30の外形を示す平面図である。詳細は後述するが、図3において、二点鎖線A−A’の右側がゲイン部32、左側が位相調整部31である。ゲイン部32と位相調整部31は、互いの母材が異なるが、光の導波路として作用するメサ51、52が連続して作られている。また、符号53、54はp型電極であり、両者は分離されたパターンでメサ51、52の各々の上面にオーミック接触されている。なお、半導体ゲインチップ30の裏面側には、これらの電極53、54と反対導電型のn型電極が形成されているが、図3には示されていない。
次に、図2、図3を用いて上記波長可変レーザモジュールの動作について説明する。半導体ゲインチップ30の端面から出射された光は、位相調整部31側に配置されたコリメートレンズ21でコリメート光に変換され、コリメート光の光軸上に配置された固定エタロン26および可変フィルタ27で反射する。反射した光は、再び、固定エタロン26を透過し、半導体ゲインチップ30に結合する。半導体ゲインチップ30に結合した光は、半導体ゲインチップ30内を伝搬し、ゲイン部32側の端面で反射する。共振器は、この半導体ゲインチップ30のゲイン部32側の端面と可変フィルタ27とを含んで構成され、半導体ゲインチップ30の利得が共振器での損失を上回る場合にレーザ発振する。
半導体ゲインチップ30は、利得媒体として動作するゲイン部32を含み、半導体レーザとほぼ同様の構造を有するが、位相調整部31側の端面の反射率を限りなく小さくした場合には、単体ではレーザ発振しない。レーザ発振する波長は、固定エタロン26を透過した波長と可変フィルタ27から反射された波長のみであり、可変フィルタ27の波長を制御することで、発振波長を選択する。
半導体ゲインチップ30の位相調整部31は、外部から入力される信号(以下、位相調整信号という)に応じて屈折率が変化する。位相調整部31の屈折率が変化すると、位相調整部31を透過する光の位相が変化し、等価的には共振器の長さが変化する。すなわち、位相調整部31に印加する位相調整信号を変化させることにより、実効的な共振器長を調整することができる。
上記共振器の右側に配置されたコリメートレンズ22は、半導体ゲインチップ30の右側端面から出射されるレーザ光をコリメート光に変換する。コリメート光は、ビームスプリッタ23により分割され、その一方は光出力として光ファイバ25に結合する。光ファイバ25の手前には、分割された光の一方を光ファイバ25に結合させるための集光レンズ24が配置されている。また、分割された光の他方は、光検出器41に入射され、ピーク検出に利用される。なおここで、ピーク検出とは、具体的には共振器から出力されるレーザ光の光強度を前方の光検出器41でモニタし、その光強度が最大となるように発振波長を制御することである。
波長可変レーザモジュールの発振波長は、2つのフィルタ(固定エタロン26および可変フィルタ27)によって制御される。図4(a)、(b)、(c)は、共振器の共振波長、可変フィルタ27の光反射特性、固定エタロン26の光透過特性を示している。
共振器での共振波長は、可変フィルタ27と半導体ゲインチップ30の端面で形成される共振器長とによって決まる。本発明の波長可変レーザモジュールは、可変フィルタ27の反射波長と固定エタロン26の透過波長を一致させ、上記共振波長の1つだけを選択することで単一波長での発振を実現する。
固定エタロン26の透過波長は、ITUグリッドの波長間隔に一致しているため、図1に示す従来の波長可変レーザモジュールにおける波長ロッカ部40の波長モニタと同等の役割を担う。位相調整部31に位相調整信号を印加し、位相調整部31の屈折率を変化させることによって、上記共振波長を可変フィルタ27の反射波長と固定エタロン26の透過波長に合わせる。
図5は、上記光検出器41における受信光強度の位相調整部31の屈折率変化量依存性を計算した結果を示している。発振波長が可変フィルタ27の反射ピークと固定エタロン26の透過ピークに一致した場合には、光強度が最大となるが、ピーク波長から少しでもずれると光強度が低下していることが分かる。ピーク波長に一致した状態は、光出力が最大で、かつ波長が安定しているため、このピークを検出する必要があり、そのための制御をピークサーチと呼ぶ。具体的には、共振器から出力されるレーザ光のうち、ビームスプリッタ23によって分割された一部のレーザ光の光強度を光出力検出器41によってモニタし、その光強度が最大となるように、半導体ゲインチップ30の位相調整部31に印加される位相調整信号を上下に変動させる、いわゆる「ディザ制御」を行う。
図5に示す光出力のピークが大きければ大きいほど、ピークサーチは容易になるが、実際の半導体ゲインチップ30は、図6に示すような非対称性を持ち合わせていること、およびピークが不明確であることがしばしばある。光出力が大幅に低下している領域では、共振モードが隣の共振モードに遷移しており、レーザスペクトルのサイドモードが大きくなっている。そのため、SMSR(Side-Mode Suppression Ratio)が悪くなったり、マルチモード発振になったりしてレーザ特性が劣化する。
ここで、共振モードが飛ぶことをモードホップと言う。一般的には、モードホップが生じないように位相調整信号を制御しながら、ピークサーチを行う。しかしながら、図6の光出力の屈折率変化量依存性のように、モードホップ領域と光出力のピーク領域が近い場合や、ピークが小さい場合には、ピークサーチ中にモードホップが発生したり、ピークサーチができなかったりする。そこで、本発明ではモードホップが生じる原因を解析し、ピークサーチが適用できるための半導体ゲインチップ30の構造を明らかにしている。具体的には、位相変化と利得変化の大きさ、いわゆるレーザ素子のαパラメータが光出力の屈折率変化量依存性に影響していることを明らかにした。
光出力のピークの明確度を(Pmax−Phop)/Pmaxと定義すると、前述したとおり、この明確度が大きければ、ピークサーチが容易になる。前記の非対称性とピーク明確度にはある程度の相関があり、非対称性を小さくすることは、ピーク明確度を大きくすることに繋がる。
ピーク明確度とαパラメータの計算結果の一例を図7に示す。ピーク明確度を大きくするためには、αパラメータの低減が必要である。ただし、このαパラメータは、一般的なレーザ素子の物性値で決まる値を指しているわけではなく、動作電流条件下での実効的なαパラメータを指している。光出力のピークサーチを行う一般的な制御回路(ここで、一般的な制御回路とは、モジュールコストを高価にすることなく、安価な検出回路を用いた構成を言う)を用いた場合、光出力のピーク検出を行うのに必要なピーク明確度は0.5〜1.0%以上であり、αパラメータは0より大きく6以下が求められる。なお、波長可変レーザの発振波長全域において、0<α≦6が必要であることを明記しておく。
本発明の波長可変レーザモジュールは、外部光学系と半導体ゲインチップ30を用いた共振器構造を採用しているため、外部光学系側の反射率が小さく、所望の光出力を得るためには大電流注入が必要である。例えば、本発明の波長可変レーザモジュールで所望の光出力(ファイバ光出力20mWが一般的)を得るためには、ゲイン部の動作電流は200〜400mA程度になる。
また、本発明では、バンドオフセット(ΔEc)を大きくすることにより、αパラメータが低減できること、および半導体ゲインチップ30を用いた外部共振器型波長可変レーザのピークが明確になることを明らかにしている。ΔEcが小さい場合には、実効的なαパラメータが大きくなる。これは、動作電流が大電流であるため、キャリアのオーバーフローが起きていることに起因している。すなわち、キャリアオーバーフローによるガイド層やバリア層でのプラズマ効果により、利得領域の屈折率変化が大きくなるため、実効的なαパラメータが大きくなっている。
αパラメータとΔEcの計算結果を図8に示す。なお、動作電流は300mAを想定している。図8から、αパラメータがΔEcに依存していることが分かる。具体的には、αパラメータを0より大きく6以下にするためには、ΔEcを160meV以上にする必要がある。ΔEcの上限は、半導体材料の種類を変えることで実現可能な値であり、なおかつ電流注入効率が劣化しない値とすると、400meV程度となる。
このように、本発明の波長可変レーザモジュールは、ITUグリッド波長間隔に一致した周期特性を持つ固定エタロン26を共振器内部に設けている。これにより、波長可変フィルタ27と固定エタロン26の透過特性とを組み合わせることで、複数の共振波長の中から単一の共振波長を選択できるので、この固定エタロン26が前記図1の波長ロッカ部40の役割を担うことができる。従って、図2に示すモジュール構造であれば、光出力のピークサーチによる波長制御が可能であり、波長ロッカ部40を不要にすることができる。すなわち、制御に必要な検出機能は光検出器41のみとなるため、波長制御性の向上とモジュールコストの低減を実現することができる。
本願において開示される発明のうち、代表的なものによって得られる効果を簡単に説明すれば以下のとおりである。
外部共振器型波長可変レーザモジュールの光出力のピークを検出することにより、波長制御を行うことが可能になる。具体的には、半導体ゲインチップのゲイン部の実効的なαパラメータを0より大きく、6以下にすることで、光出力のピーク明確度が0.5〜1%以上になり、安価な光検出回路を使った場合でもピーク検出ができる。これにより、外部共振器型波長可変レーザモジュールのピークサーチを一般的な光強度検出回路において実現することができるので、外部共振器型波長可変レーザモジュールの低コスト化を実現することができる。
以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて詳細に説明する。なお、実施の形態を説明するための全図において、同一の機能を有する部材には同一の符号を付し、その繰り返しの説明は省略する。また、以下の実施の形態では、特に必要なときを除き、同一または同様な部分の説明を原則として繰り返さない。
(実施の形態1)
図9(a)は、本発明の波長可変レーザモジュールで使用する半導体ゲインチップの外形を示す平面図、図9(b)は、メサに平行な方向に沿った半導体ゲインチップの断面図、図9(c)は、メサに垂直な方向(図9(a)のB−B’線)に沿った半導体ゲインチップの断面図である。前記図3に示した半導体ゲインチップと同じく、二点鎖線A−A’の右側がゲイン部32、左側が位相調整部31である。
波長1550nm近傍(Cバンド、Lバンド)のレーザには、InGaAsP/InGaAsPの多重量井戸構造が実用化されており、信頼性、生産性も高い。しかしながら、InGaAsP系の材料は伝導帯のバンドオフセット(ΔEc)が小さく、材料固有のαパラメータが大きい。そのため、動作電流条件下でのαパラメータはさらに大きく、10前後に及ぶ。αパラメータが大きいのは、ΔEcが小さいことが原因である。そこで、半導体ゲインチップ30を、ΔEcが大きい(ΔEc≧160meV)InGaAsP/InGaAsPの多重量子井戸構造とした。外形は図9(a)に示すとおりである。
位相調整部31の長さは0.2〜0.8mm、ゲイン部32の長さは0.6〜1.2mmである。また、メサ51、52の幅は1.2〜3.2umである。位相調整部31側の導波路(メサ51)は曲がっており、その曲率半径は3〜7mmである。曲げの向きは左回り、右回りのどちらでもよく、曲げ角度は約5〜10°である。位相調整部31側の端面には、発振波長の全域に亘って反射率が0.2%以下となる反射防止膜55を被着し、ゲイン部32側には反射率が3〜10%程度の低反射膜56を被着した。なお、ゲイン部32と位相調整部31の位置関係は逆であっても問題はない。
次に、図9(b)、(c)を用いて半導体ゲインチップ30の内部構造を説明する。図9(b)において、n型のInP基板60の上には、n型のInPからなるバッファ層61が積層されている。バッファ層61よりも表面側の層は、ゲイン部32と位相調整部31とで異なっている。
まず、ゲイン部32(図9(b)に示すA−A’線の右側部分)について説明する。バッファ層61の上部には、n型InGaAsP層からなるガイド層62が積層され、その上部には、InGaAsP/InGaAsPからなるMQW(多重量子井戸)層63、p型InGaAsP層からなるガイド層64が順次積層されている。MQW層63は、PL波長が1550nm近傍であり、層数は3〜6が一般的である。
次に、位相調整部31(図9(b)に示すA−A’線の左側部分)について説明する。位相調整部31を作製するには、上記ゲイン部32を構成する結晶層を積層した後、位相調整部側31をバッファ層61の表面までエッチングし、バッドジョイント技術により位相調整層66を形成する。これにより、ゲイン部32の表面と位相調整部33の表面とがほぼ同じ高さになる。なお、位相調整層66はInGaAsPからなるバルク半導体を用いており、組成波長は1200〜1400nm程度とする。
次に、ゲイン部32と位相調整部31の両者の表面上に共通のp型InP層65とp型コンタクト層67を積層し、エッチングによりメサを形成する。続いて、その上部に酸化シリコン膜などの絶縁膜69を形成した後、ゲイン部32と位相調整部31の間のみコンタクト層67を除去し、p型電極53、54を蒸着形成する。その後、InP基板60の裏面を研磨してからn型電極68を蒸着形成する。
上記の結晶層は、いずれも有機金属気相成長方法で成長させ、電極用金属膜の被着は電子線蒸着法、パターン形成はフォトリソグラフィ法など、いずれも公知の方法で行ったので、詳しい説明は省略する。ゲイン部32と位相調整部31の境界(A−A’線で示した箇所)はヘテロ接続となっているが、光は連続的に伝播する。なお、図9(c)に示すように、メサは、p型のガイド層64の上面にリッジ構造で形成されているが、ハイメサ構造、埋め込み構造などを適用することも可能である。また、以下の実施の形態において、ゲインチップ30の基本構造ならびに作製方法は上記とほぼ同じであるため、説明は省略する。
前記図8に示したαパラメータのΔEc依存性から明らかなように、ΔEcが大きくなるに伴い、αパラメータは小さくなる。さらに、バリア幅(Lb)をウエル幅(Lw)と同程度の厚さまで薄くする(Lw/Lb≒1)ことで、αパラメータが小さくなる。一般的なInGaAsPレーザのLw/Lbは、0.6、ΔEcは約140meVであるため、αパラメータが大きい(=ピーク明確度が小さい)ことに起因し、ピークサーチが不可能であった。そこで、αパラメータを小さくするために、ΔEcを大きくする方法を検討した。具体的には、Lw/Lbを1に変更することによって、ΔEcの目標値を160meVとした。
ΔEcのバリア組成波長依存性を図10に示す。バリア組成波長を短波長にすることでΔEcが大きくなり、具体的には、組成波長1150nmにおいて、ΔEc≧160meVとなった。バリア幅を薄くし、バリア組成を短波長にすることで、MQW層の光の閉じ込め率が小さくなるため、一般的なレーザの設計指針とは相反する。しかしながら、本発明の波長可変レーザモジュールは、αパラメータを小さくすることが課題であり、このような方法を取ることが特徴である。
(実施の形態2)
前記実施の形態1では、半導体ゲインチップ30のゲイン部32にInGaAsP/InGaAsPの多重量子井戸構造を適用したが、InGaAlAsの量子井戸構造を適用することもできる。
InGaAlAsは、価電子帯のバンドオフセット(ΔEv)が小さい材料であり、ΔEvが小さいことはΔEcが大きいことを意味している。InGaAlAsのΔEcは、約270meVであるため、前記図8の計算結果からαパラメータを外挿すると、αパラメータは4〜5の近傍にあることが分かる。ゲイン部32にInGaAlAsを適用した外部共振器型波長可変レーザモジュールは、ピーク明確度が0.5〜1%以上となり、ピークサーチによる波長制御が実現可能である。
(実施の形態3)
前記実施の形態1では、半導体ゲインチップ30のゲイン部32にInGaAsP/InGaAsPの多重量子井戸構造を適用したが、GaInNAsの量子井戸構造を適用することもできる。
GaInNAsは、発振波長が1300nm帯であるため、1300nm帯の外部共振器型波長可変レーザモジュールを実現するためのゲイン部32としての実用が見込める。さらに、ΔEcが約400meVであることから、ピークサーチを実現するための条件(ΔEc>160meV)も備えている。GaInNAsをゲイン部32に適用した外部共振器型波長可変レーザモジュールは、ピーク明確度が0.5〜1%以上となり、ピークサーチによる波長制御が実現可能である。
(実施の形態4)
ピークサーチを用いた外部共振器型波長可変レーザモジュールを実現する究極の半導体ゲインチップ30の構造は、量子ドット構造である。
N.Hattori,et.al., “Measurement and evaluation of chirp and linewidth enhancement factor of a 1.3 pm quantum dot laser”, CLEO, 2004 は、量子ドットレーザのαパラメータが事実上0に近いことを測定によって明らかにしている。なお、半導体基板材料は、発振波長に応じてGaAs基板およびInP基板の中から選択する。
αパラメータが小さい量子ドット構造をゲイン部32に実用することにより、ピーク明確度が0.5〜1%以上となり、ピークサーチによる波長制御が実現可能となる。
(実施の形態5)
前記の半導体ゲインチップ30を用いた外部共振器型波長可変レーザモジュールにおいて、外部光学系の可変フィルタ27は、前記図2に示す構造だけではなく、例えば図11に示すような、透過波長が可変である可変フィルタ28とその透過光を同一の光路に沿って反射する反射ミラー29とで構成してもよい。この場合、半導体ゲインチップ30の構造は、前記実施の形態1〜4のいずれでもよい。
(実施の形態6)
位相調整部31の屈折率を変化させたときの光出力の変動は、αパラメータだけではなく、固定エタロン26のフィネスにも影響を受けているため、ピーク明確度はフィネスによって異なる。
固定エタロン26のフィネスを大きくすると、隣接した共振モードへ遷移するまでの位相変化量が小さくなるため、隣接した共振モードへの遷移が早くなる。一方、固定エタロン26のフィネスが小さいと、隣接した共振モードの利得が大きくなりやすく、SMSR(Side-Mode Suppression Ratio)が悪くなる。そのため、固定エタロン26のフィネスにも最適値があり、固定エタロン26のフィネスは3〜8の範囲が好ましい。その時にピーク明確度が0.5〜1%以上を得るためのαパラメータは、0より大きく、6以下であり、実施の形態1〜4の半導体ゲインチップ30を用いて実現する。
以上、本発明者によってなされた発明を実施の形態に基づき具体的に説明したが、本発明は前記実施の形態に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で種々変更可能であることはいうまでもない。
本発明は、外部共振器型波長可変レーザモジュールに適用することができる。
従来の外部共振器型波長可変レーザモジュールの概略図である。 本発明の外部共振器型波長可変レーザモジュールの概略図である。 本発明の外部共振器型波長可変レーザモジュールにおける半導体ゲインチップの外形を示す平面図である。 (a)は共振器の共振波長を示す図、(b)は可変フィルタの光反射特性を示す図、(c)は固定エタロンの光透過特性を示す図である。 光検出器における受信光強度の位相調整部の屈折率変化量依存性を計算した結果を示すグラフである。 実際の半導体ゲインチップにおける光出力の屈折率変化量依存性とピーク明確度のグラフである。 ピーク明確度のαパラメータ依存性を示すグラフである。 動作電流条件下におけるαパラメータとΔEcとの関係を示すグラフである。 (a)は本発明の外部共振器型波長可変レーザモジュールにおける半導体ゲインチップの外形を示す平面図、(b)はメサに平行な方向に沿った半導体ゲインチップの断面図、(c)はメサに垂直な方向に沿った半導体ゲインチップの断面図である。 InGaAsP/InGaAsPの多重量子井戸構造におけるΔEcのバリア組成波長依存性を示すグラフである。 本発明の外部共振器型波長可変レーザモジュールの別例を示す概略図である。
符号の説明
10 制御装置
20 回折格子
21、22 コリメートレンズ
23 ビームスプリッタ
24 集光レンズ
25 光ファイバ
26 固定エタロン
27 可変フィルタ
28 可変フィルタ
29 反射ミラー
30 半導体ゲインチップ
31 位相調整部
32 ゲイン部
40 波長ロッカ部
41 光検出器
51、52 メサ
53、54 p型電極
55 反射防止膜
56 低反射膜
60 InP基板
61 バッファ層
62 ガイド層
63 MQW(多重量子井戸)層
64 ガイド層
65 p型InP層
66 位相調整層
67 p型コンタクト層
68 n型電極
69 絶縁膜

Claims (10)

  1. (a)レーザ発振波長において利得を持つゲイン部、および屈折率を変化させることによって位相を制御する位相調整部からなる半導体ゲインチップと、
    (b)前記半導体ゲインチップに隣接して設けられ、前記半導体ゲインチップの一方の端面からの出射光の光路上に設けられたレンズ、透過波長が固定である固定エタロン、および反射波長が可変である可変フィルタと、
    (c)前記半導体ゲインチップの他方の端面からの出射光の光路上に設けられたビームスプリッタと、
    (d)前記ビームスプリッタによって分割された光の光路上に設けられた光検出器と、
    を備え、
    前記光検出器で光出力のピーク検出を行うことによって、波長制御を行う外部共振器型波長可変レーザモジュールであって、
    前記ゲイン部の動作電流条件下における線幅増大因子(αパラメータ)が0より大きく、6以下であることを特徴とする外部共振器型波長可変レーザモジュール。
  2. 前記ゲイン部は、InGaAsP/InGaAsPからなる多重量子井戸構造を有することを特徴とする請求項1記載の外部共振器型波長可変レーザモジュール。
  3. 前記ゲイン部は、GaInNAsからなる量子井戸構造を有することを特徴とする請求項1記載の外部共振器型波長可変レーザモジュール。
  4. 前記ゲイン部は、量子ドット構造を有することを特徴とする請求項1記載の外部共振器型波長可変レーザモジュール。
  5. 前記可変フィルタは、透過波長が可変である可変フィルタと、前記可変フィルタからの透過光を同一の光路に沿って反射する反射ミラーとで構成されていることを特徴とする請求項1記載の外部共振器型波長可変レーザモジュール。
  6. (a)レーザ発振波長において利得を持つゲイン部、および屈折率を変化させることによって位相を制御する位相調整部からなる半導体ゲインチップと、
    (b)前記半導体ゲインチップに隣接して設けられ、前記半導体ゲインチップの一方の端面からの出射光の光路上に設けられたレンズ、透過波長が固定である固定エタロン、および反射波長が可変である可変フィルタと、
    (c)前記半導体ゲインチップの他方の端面からの出射光の光路上に設けられたビームスプリッタと、
    (d)前記ビームスプリッタによって分割された光の光路上に設けられた光検出器と、
    を備え、
    前記光検出器で光出力のピーク検出を行うことによって、波長制御を行う外部共振器型波長可変レーザモジュールであって、
    前記ゲイン部の伝導帯のバンドオフセット(ΔEc)が160meV以上、400meV以下であることを特徴とする外部共振器型波長可変レーザモジュール。
  7. 前記ゲイン部は、InGaAsP/InGaAsPからなる多重量子井戸構造を有することを特徴とする請求項6記載の外部共振器型波長可変レーザモジュール。
  8. 前記ゲイン部は、GaInNAsからなる量子井戸構造を有することを特徴とする請求項6記載の外部共振器型波長可変レーザモジュール。
  9. 前記ゲイン部は、量子ドット構造を有することを特徴とする請求項6記載の外部共振器型波長可変レーザモジュール。
  10. 前記可変フィルタは、透過波長が可変である可変フィルタと、前記可変フィルタからの透過光を同一の光路に沿って反射する反射ミラーとで構成されていることを特徴とする請求項6記載の外部共振器型波長可変レーザモジュール。
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