JP2010073472A - 異方性導電シート、その製造方法、実装モジュール、および電子製品。 - Google Patents
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Abstract
【課題】 被実装品の脱離容易または脱離非容易を選択することができ、どのような種類の実装基板または被実装品にも、簡単に導通をとることができ、かつ高周波損失が小さい、異方性導電シート等を提供する。
【解決手段】 本発明の異方性導電シート10は、回路基板上に被実装品を実装するために用いられ、絶縁性で弾性を有するシートと、シートを貫通する多数の導通部3a,5aとを備え、導通部を含むシートは、一方の面または両方の面から突き出る台状部3と、該台状部の残りの領域の薄肉部5とから構成されることを特徴とする。
【選択図】 図1
Description
本発明は、異方性導電シート、その製造方法、実装モジュール、および電子製品に関し、より具体的には、マザーボード等の回路基板(実装基板)にMPU等の被実装品を確実に、かつ簡単に実装することを可能にする異方性導電シート、その製造方法、その異方性導電シートを用いた実装モジュール、および電子製品に関するものである。
LSIなどの半導体デバイスを配線基板に実装する技術は、半導体デバイスの高密度化および利用分野等に応じて、多くの方式が提案されてきた。実装される半導体デバイスには、回路基板の電極と接続される接続端子または電極が配置される。たとえば、半導体デバイスを基板(デバイス専用の小基板)上に搭載し、これを樹脂モールドし、基板の露出面にはんだボールを設けるもの、または樹脂モールドなしのウエハ状態で、再配線層を設け、この上にはんだボールを形成するものなどが知られている(非特許文献1)。これらのはんだボールの配列は、BGA(Ball Grid Array)と呼ばれる。また、はんだボールを設けず代わりにランド(パッド、導体接続パターン)が配列された、ランドグリッドアレイ(LGA)タイプも知られている。
実装技術は、半導体デバイスの電極と回路基板の電極とを、導電材料で連結することがその主要素となる。上記のBGAについては、極細の金属ワイヤを用いて実装基板の電極に連結する方式や、BGAをそのまま実装基板の電極にはんだ接続する方式、その変形の方式など多くの方式が知られている。変形方式の中には、はんだの代わりに導電性接着剤を用いて固着する方式もある。
上記のはんだ接続、金属ワイヤ接続等によれば、半導体デバイスは、破壊しないと外れない固定部材で実装基板に固定されるため、簡単に実装基板から外すことができない。たとえば、半導体デバイスが搭載された実装基板の所定部分に不具合が見つかり、廃棄する場合でも、高価な半導体デバイスを外して、他に生かすことが難しい。このため、上記のはんだ等による固定に代えてソケットを用いる方式が用いられるようになった。ソケット方式は、(1)半導体デバイスに設けたピン配列PGA(Pin Grid Array)を、実装基板上に設けたソケット穴配列に差し込む方式、(2)半導体デバイスのLGAに、実装基板上のソケットに位置する屈曲部を有するPGAを弾性変形させながら押し当て、止め金具により止める方式、などがある。
また、異方性導電シートを用いる方式では、半導体デバイスの電極のピッチと、実装基板の電極のピッチとが異なるのを調整するために、両者の間に、異方性導電シートと、裏面にBGAをもつ回路基板とからなる多層体を、半導体デバイスと回路基板との間に介在させる方式が提案されている(特許文献1)。
また、半導体デバイス/異方性導電シート/実装基板、の積層体における上下の導通を確実にするために、圧縮荷重を必要とするが、異方性導電シートの面積が広くなると、大きな圧縮荷重を必要とし、用いるプレスも大容量化してしまう。これを避けるために、半導体デバイスの電極と実装基板の電極とが位置する領域にのみ導通部をもち、その導通部領域を一方側に段差を付けて突き出した異方性導電シートの提案がなされている(特許文献2)。異方性導電シートについては、このほかにも多くの変形方式が提案されている(特許文献3〜5)。
上記のソケットまたは異方性導電シートを用いることにより、半導体デバイスの実装構造からの離脱は容易にされる。
電子部品大辞典(株式会社 工業調査会)、2002年12月25日初版、pp.133-134 特開2006−344646号公報
特開2007−5246号公報
特開2007−26922号公報
特開2007−220512号公報
特開2008−41592号公報
実装技術は、半導体デバイスの電極と回路基板の電極とを、導電材料で連結することがその主要素となる。上記のBGAについては、極細の金属ワイヤを用いて実装基板の電極に連結する方式や、BGAをそのまま実装基板の電極にはんだ接続する方式、その変形の方式など多くの方式が知られている。変形方式の中には、はんだの代わりに導電性接着剤を用いて固着する方式もある。
上記のはんだ接続、金属ワイヤ接続等によれば、半導体デバイスは、破壊しないと外れない固定部材で実装基板に固定されるため、簡単に実装基板から外すことができない。たとえば、半導体デバイスが搭載された実装基板の所定部分に不具合が見つかり、廃棄する場合でも、高価な半導体デバイスを外して、他に生かすことが難しい。このため、上記のはんだ等による固定に代えてソケットを用いる方式が用いられるようになった。ソケット方式は、(1)半導体デバイスに設けたピン配列PGA(Pin Grid Array)を、実装基板上に設けたソケット穴配列に差し込む方式、(2)半導体デバイスのLGAに、実装基板上のソケットに位置する屈曲部を有するPGAを弾性変形させながら押し当て、止め金具により止める方式、などがある。
また、異方性導電シートを用いる方式では、半導体デバイスの電極のピッチと、実装基板の電極のピッチとが異なるのを調整するために、両者の間に、異方性導電シートと、裏面にBGAをもつ回路基板とからなる多層体を、半導体デバイスと回路基板との間に介在させる方式が提案されている(特許文献1)。
また、半導体デバイス/異方性導電シート/実装基板、の積層体における上下の導通を確実にするために、圧縮荷重を必要とするが、異方性導電シートの面積が広くなると、大きな圧縮荷重を必要とし、用いるプレスも大容量化してしまう。これを避けるために、半導体デバイスの電極と実装基板の電極とが位置する領域にのみ導通部をもち、その導通部領域を一方側に段差を付けて突き出した異方性導電シートの提案がなされている(特許文献2)。異方性導電シートについては、このほかにも多くの変形方式が提案されている(特許文献3〜5)。
上記のソケットまたは異方性導電シートを用いることにより、半導体デバイスの実装構造からの離脱は容易にされる。
電子部品大辞典(株式会社 工業調査会)、2002年12月25日初版、pp.133-134
上記のソケットを用いる方式は、しかしながら、金属ピンを製作し、1本ずつ樹脂製筐体に配列する工数がかかり、製造費用を増大させる。また、高周波信号を流す場合には、ソケットを形成する金属材等が導通経路として作用するので、損失が発生する。さらに、高温において、樹脂製の筐体に反りを生じ、金属ピンの位置や姿勢が乱れて、導通性が低下するという問題もある。
異方性導電シートを用いる方式は、ソケット方式より高周波損失は少ない。しかし、回路基板に汎用的に用いた場合、回路基板の種類によっては、確実な導通をとるのに大きな圧縮荷重を要し、半導体デバイスや実装基板が、その大荷重に耐えられない場合があった。このため、どのような種類の、実装基板またはそれに実装される被実装品であっても、確実に相互の電極間の導通を容易にとることができ、かつ高周波損失が小さい、異方性導電シートの開発が要望されている。
本発明は、被実装品の脱離容易または脱離非容易を選択することができ、どのような種類の実装基板または被実装品にも、簡単かつ確実に導通をとることができ、かつ高周波損失が小さい、異方性導電シート、その製造方法、実装モジュール、および電子製品を提供することを目的とする。
異方性導電シートを用いる方式は、ソケット方式より高周波損失は少ない。しかし、回路基板に汎用的に用いた場合、回路基板の種類によっては、確実な導通をとるのに大きな圧縮荷重を要し、半導体デバイスや実装基板が、その大荷重に耐えられない場合があった。このため、どのような種類の、実装基板またはそれに実装される被実装品であっても、確実に相互の電極間の導通を容易にとることができ、かつ高周波損失が小さい、異方性導電シートの開発が要望されている。
本発明は、被実装品の脱離容易または脱離非容易を選択することができ、どのような種類の実装基板または被実装品にも、簡単かつ確実に導通をとることができ、かつ高周波損失が小さい、異方性導電シート、その製造方法、実装モジュール、および電子製品を提供することを目的とする。
本発明の異方性導電シートは、回路基板上に被実装品を実装するために用いる。この異方性導電シートは、絶縁性で弾性を有するシートと、シートを貫通する多数の導通部とを備え、導通部を含むシートは、一方の面または両方の面から突き出る台状部と、該台状部の残りの領域の薄肉部とから構成されることを特徴とする。
上記の構成によって、(1)たとえば実装基板(回路基板)の電極が、凹部に位置して、その電極頂面(トップ)がその実装基板面より窪んでいる(後退している)場合、台状部をその凹部に嵌め入れる形状にして、台状部の高さを電極面にコンタクトするようにしておけば、大きな荷重なしに導通を確実にすることができる。また、たとえば実装基板の電極が実装基板面上に取り付けられている場合であっても、台状部は障害になることはなく、むしろ台状部のみ押し当てるので小さい荷重で導通をとることができる。(2)また、高周波の損失抑制についても、上記のシートは絶縁体であるので、ソケットなどに比べて、有効に作用する。ここで、絶縁性で弾性を有するシート材は、樹脂、ゴム等など何でもよい。また、多孔質材でも中実材でもよい。
なお、実装基板の電極および被実装品の電極の両方が、凹部に位置して、その電極頂面(トップ)がその表面より後退している場合には、台状部をシートの両面ともに形成することで対応するが、一方の電極だけが後退している場合でも、台状部がシートの両面ともに形成されているものを用いてもよい。
なお、台状部は、台の形状を有し、頂面が平坦でシートの面に並行しているものをいう。シートのどちらの面にも台状部が位置しない部分は、薄肉部と呼ぶこととする。台状部には必ず1個以上の導通部が位置するが、薄肉部には導通部があっても、無くてもよい。また、一方の面に台状部が形成され、台状部が形成されないその裏面の部分は台状部裏面と呼ぶ。
なお、実装基板の電極および被実装品の電極の両方が、凹部に位置して、その電極頂面(トップ)がその表面より後退している場合には、台状部をシートの両面ともに形成することで対応するが、一方の電極だけが後退している場合でも、台状部がシートの両面ともに形成されているものを用いてもよい。
なお、台状部は、台の形状を有し、頂面が平坦でシートの面に並行しているものをいう。シートのどちらの面にも台状部が位置しない部分は、薄肉部と呼ぶこととする。台状部には必ず1個以上の導通部が位置するが、薄肉部には導通部があっても、無くてもよい。また、一方の面に台状部が形成され、台状部が形成されないその裏面の部分は台状部裏面と呼ぶ。
上記のシートの材料を、多孔質樹脂とすることができる。これによって、(1)中間製品(原料)のフラットな異方性導電シートを、大きな圧縮率で冷間プレス加工するとき、被圧縮部である薄肉部の領域の材料の塑性変形をその領域の多孔質樹脂が吸収して、台状部への影響を防止することができる。すなわち、冷間プレス前のフラットな異方性導電シートに対して、大きな圧縮率の冷間プレス加工を薄肉部に限定することができる。この結果、冷間プレス前のフラットな異方性導電シートの厚みが、そのまま台状部の厚みとなり、薄肉部のみ、元の厚みのたとえば2/3や半分以下に薄く圧縮することができる。多孔質材料は、上記のような冷間プレス圧縮に対して極めて適した材料である。上記のように、冷間プレスによって台状部に寸法のくるいが生じないので、手直しの工程を要さず、能率よく、大量に、異方性導電シートを製造することができる。(2)さらに台状部では、多孔質樹脂は圧縮加工されていないので、樹脂の弾性に加えて多孔質に起因する弾性クッション性を高め、固定された回路基板/異方性導電シート/被実装品、の相互の弾性力による押し付け力を安定して高めることができる。この結果、被実装品の回路基板への取り付けを容易にすることができる。また、導通部の周囲の電気抵抗をさらに高めるので、高周波信号の損失低下にも有効である。
上記のシートを、多孔質材または中実材(内部が一様に物質で充填され、孔は意図的には設けられていない)で形成し、薄肉部に貫通孔またはその貫通孔が圧縮された痕跡が薄肉部に多数位置するようにできる。これによって、薄肉部を、冷間プレス加工により大きな圧縮率で形成するとき、当該薄肉部の材料の塑性変形を、中実材はもちろん多孔質材でも、貫通孔で吸収して台状部への影響を防止または低く抑えることができる。このため、台状部の位置、形状等の寸法精度を高めることができる。大きな圧縮率の冷間プレス加工によって、貫通孔は変形するので、径が小さい場合、痕跡が残るだけである。シートに多孔質材を用いる場合、当該多孔質材は、上述のように、上記の圧縮を寸法精度よく行うことができる材料であるが、上記の構成により、さらに寸法精度を高めることができる。シートに中実材を用いる場合は、そのままでは薄肉部の圧縮変形により他領域(台状部領域)への塑性流れが生じ、台状部の位置や高さは大きく変動する。しかし、上記の貫通孔によって、塑性流れは防止されるので、台状部への影響は防止ないし低減されて、寸法精度を高めることができる。このため、手直しを要しないので、上記の異方性導電シートを、大量に能率よく製造することができる。この結果、シート材の材料選択の幅を広げることができる。
上述のように、薄肉部は、冷間プレス加工によって厚みを圧縮されて形成されているようにできる。冷間プレスによれば、(1)寸法精度を高めることができ、(2)加熱による導通部露出面の酸化などの問題がなく、(3)常温のままプレスできるので必要工数が少なく、(4)冷間プレス後に手直しを要しない。このため、本異方性導電シートを、大量に能率よく製造することができる。
(多孔質材の場合)冷間プレス加工を受けた薄肉部については、その断面のミクロ組織は、樹脂におけるフィブリル等がシート面に沿って堆積された繊維状組織となる。この繊維状組織を構成する各繊維の太さ(厚み)は、細く、原料のシート内の繊維と同等である。熱間プレスの場合は、シート面に沿って繊維が堆積するミクロ組織になる点では同じであるが、圧着によりその繊維の太さが太くなり、冷間プレスと比較して、粗大なミクロ組織となる。
(中実材の場合):塑性変形吸収のための貫通孔が圧縮変形を受けてつぶされている。その貫通孔は、周囲の材料によって充填される。冷間プレスの場合も熱間プレスの場合も、貫通孔の痕跡が残る。しかし熱間プレスの場合は、貫通孔が圧着される部分が増える。
冷間プレスか熱間プレスかは、多孔質材または中実材について、SEM(Scanning Electron Microscopy)観察を行うことで特定される。
(多孔質材の場合)冷間プレス加工を受けた薄肉部については、その断面のミクロ組織は、樹脂におけるフィブリル等がシート面に沿って堆積された繊維状組織となる。この繊維状組織を構成する各繊維の太さ(厚み)は、細く、原料のシート内の繊維と同等である。熱間プレスの場合は、シート面に沿って繊維が堆積するミクロ組織になる点では同じであるが、圧着によりその繊維の太さが太くなり、冷間プレスと比較して、粗大なミクロ組織となる。
(中実材の場合):塑性変形吸収のための貫通孔が圧縮変形を受けてつぶされている。その貫通孔は、周囲の材料によって充填される。冷間プレスの場合も熱間プレスの場合も、貫通孔の痕跡が残る。しかし熱間プレスの場合は、貫通孔が圧着される部分が増える。
冷間プレスか熱間プレスかは、多孔質材または中実材について、SEM(Scanning Electron Microscopy)観察を行うことで特定される。
上記シートの材料が、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、アラミド樹脂、ポリイミド樹脂、電子線架橋された樹脂、および化学架橋した樹脂、のうちのいずれかとすることができる。これによって、シートは高耐熱性の樹脂で形成されることになり、使用中に高温になっても、樹脂が変形したりすることはなく、導通部の位置に乱れは生じない。このため、使用中に温度上昇があっても、確実な導通性を保持することができる。
上記のシートの表面または内部に、配線回路を形成することができる。これによって、実装基板の電極パターンと、被実装品の電極パターンとが、平面的に見て、合っていない場合、この異方性導電シートを用いることによって、他に部品を用いずに、実装することが可能になる。
本発明の実装モジュールは、被実装品と、回路基板と、該被実装品と回路基板との間に介在する上記のいずれかの異方性導電シートとを備える実装モジュールである。そして、回路基板の電極または被実装品の電極の少なくとも一方は、凹部に、該電極の頂面が、回路基板面または被実装品面より後退して位置しており、異方性導電シートの台状部は、凹部に嵌入することができる。これによって、大きな荷重を用いずに、回路基板上に被実装品を、確実に実装することができる。すなわち、台状部を凹部に嵌入することにより、電極と導通部とは自ずとコンタクトする構造を前提としている。また、固定部材を適切に選択することによって被実装品の回路基板からの離脱を容易に行うことができる。また、ソケットを用いる場合に比べて、高周波信号の損失を大きく減少することができ、さらに、ソケット方式に比べて、経済性に優れる。
上記の被実装品および回路基板が前記異方性導電シートを挟んで圧縮する状態で固定する固定部材を備え、該固定部材を、(1)ねじ部品、固定ピンと係止部、金属線と係止部など、前記固定された状態からの離脱を、非破壊的に若しくは前記固定部材の変形に限定して、可能とする部材により、または(2)接着剤、はんだなど、前記固定された状態からの離脱に際し、固定部材以外のものに破壊が及ぶか、若しくは他の材料を要する、部材により、構成することができる。これによって、圧縮の反発力を固定部材が抑えることになり、相互の電極間の押し付け状態を安定に維持することができる。とくに、(1)の場合は、被実装品の回路基板からの離脱を容易に行うことができる。また(2)の場合は、被実装品の離脱は容易ではないが、固定に必要な部材の部品点数を減少させることができ、実装を安価に行うことが可能になる。
上記の固定部材に、被実装品および回路基板が、異方性導電シートを挟んで圧縮するように付勢する付勢部材が含まれることができる。これによって、さらに安定に、相互の電極間の押し付け状態を維持することができる。付勢部材としては、バネ、ゴムなどがあげられる。
本発明の電子製品は、上記のいずれかの実装モジュールを備えることを特徴とする。これによって、被実装品および回路基板の電極を、その被実装品にとって好ましい形態にして、また、たとえば高価な被実装品の回路基板からの離脱を容易にすることができる。また、ソケット方式に比べて、高周波信号の損失を大きく抑制し、実装コストを低減することができる。また、耐熱性の樹脂を用いることで、使用中に温度上昇が見込まれる製品にも、問題なく確実な導通を維持することができる。電子製品には、半導体デバイスを含むパソコン、DMD(Digital Mirror Device)を含むDLP(Digital Light Processing)プロジェクタ等をあげることができる。
本発明の異方性導電シートの製造方法は、被実装品を回路基板に実装するために用いる異方性導電シートの製造方法である。この製造方法は、絶縁性で弾性を有する多孔質材のシートに導通部を設けるために複数の貫通孔をあける工程と、複数の貫通孔の孔壁に導電材を付着させて導通部を形成する工程と、シートの複数の所定領域を、該シートの厚みのままの台状部とし、残りの領域を圧縮加工して薄肉部とするような型具を準備する工程と、型具を用いて、導通部を含むシートを冷間プレス加工する工程とを備えることを特徴とする。これによって、凹部に電極がある回路基板や被実装品を、確実に実装することができる異方性導電シートを、大量に能率よく得ることができる。
上記シートの材料を、多孔質材または中実材とし、導通部の形成工程と、冷間プレス工程との間に、薄肉部とする領域に限って冷間プレス加工による塑性変形を吸収するための貫通孔を複数あける工程を備えることができる。これによって、冷間プレスによる薄肉部の圧縮変形の他領域(台状部)への影響を防止して寸法精度を高めることができる。
上記シートの材料を、多孔質材または中実材とし、導通部形成のための貫通孔をあける工程と、導通部の形成工程との間に、台状部となる領域に開口を有するマスクパターンをシート両面に形成する工程を備え、導通部の形成工程では、マスクパターンで被覆された状態で台状部となる領域の貫通孔に導電材を付着して台状部となる領域にのみ導通部を形成することができる。これによって、台状部以外の領域、または薄肉部、の貫通孔は、導通部が形成されので変形しやすいので、他領域への塑性流れ防止のために作用して、台状部の位置等の寸法精度を高めることができる。上記の場合、導通部形成のための貫通孔は、シートの辺縁部も含めて全面にあけることが、他部分(台状部)への塑性変形の影響の防止のために好ましい。
本発明によれば、被実装品の脱離容易または脱離非容易を選択することができ、どのような種類の実装基板または被実装品にも、簡単に導通をとることができ、かつ高周波損失が小さい、異方性導電シート、その製造方法、当該異方性導電シートを用いた実装モジュールおよび電子製品を得ることができる。
(実施の形態1)
図1は、本発明の実施の形態1における異方性導電シート10を示し、(a)は平面図であり、(b)はシート面に沿って見た正面図である。図1において、異方性導電シート10は、シート面から台状に突き出た台状部3と、平野に相当する薄肉部5とを備える。台状部3には導通部3aが、また薄肉部5にも導通部5aが、シートを貫通するように位置している。薄肉部5は、あとで詳しく説明するように、原料(中間製品)であるフラットな異方性導電シートの所定領域(薄肉部5に対応する領域)、が冷間プレス加工されて形成された部分である。図1(a)に示す全ての導通部3a,5aが、同じ機会にめっき処理等により形成されており、その後で、薄肉部5は冷間プレス加工されたので、薄肉部5の導通部5aは大きく変形している。冷間プレスを受ける前の導通部3a,5aは、通常、貫通孔の内壁へ金属粒が筒状に付着した筒形状であるが、その他の方法で形成された結果、その他の形態または形状になっていてもよい。
台状部3の導通部3aの上下面(露出面)が、それぞれ半導体パッケージ等の回路基板(実装基板)への実装において、半導体パッケージまたは回路基板の電極とコンタクトする。図1(a)において、円形の台状部3には、9個の導通部3aが配置されているが、台状部3における導通部3aは、1個以上あれば、数は問わない。通常、フラットな中間製品の異方性導電シートの導通部を細かいピッチで、二次元配列またはランダム配列した場合は、4個以上の導通部3aが配置される。回路基板および被実装品の電極は、たとえば矩形の場合、その矩形の短辺に沿って2個以上の導通部のコンタクトを設けたとき、異方性導電シートの導通部の配列を二次元の縦横同じピッチとして、4個以上のコンタクトを得るような場合が実現する。また、回路基板および被実装品の電極が、円形の場合、円の中心から外れた一方の側に2個以上は導通部がコンタクトするのが導通を確保する上で好ましく、この場合、異方性導電シートの導通部の二次元の縦横同ピッチの規則配列のため、円の中心から外れた他方の側に2個以上コンタクトが形成されることになり、合計4個以上のコンタクトを得る。これによって確実な導通を得ることができる。しかし、後で説明するように、被実装品および回路基板の電極と、台状部3の導通部3aとを、1対1で対応させる場合もあり、これも有力な構造である。この場合には、台状部3の中央領域または中央領域からずれた領域、に狙いを定めて導通部3aを1個またはひとまとまり、形成する(図14,図15参照)。
台状部3と薄肉部5との境界に位置する導通部は、プレス加工によって機能が損なわれているおそれがあるので、台状部3の導通部3aとしては算入しない。また、台状部3の平面形状は、図1(a)では丸(円)であるが、実装基板等の電極に合わせて、四角などを用いてもよく、任意である。図2は、台状部3周辺の断面図である。薄肉部5における導通部5aは、実際は、冷間プレス加工によって変形しているが、変形を無視して形式的に示してある。一方、台状部3の導通部3aはほとんど変形していない。なお、台状部3の導通部3aの数は、図1(a)のそれと対応していない。
台状部の高さHは、相手の電極とコンタクトをとる上で重要である。相手の電極の位置との関係は、あとで説明するが、ここでは薄肉部5との関係について説明する。薄肉部5の厚みをtとするとき、たとえばH≧0.5tを満たすようにする。ただし、広くは、3t≧H≧0.25t、の範囲とする。これに合わせて、多孔質材料の気孔率、中実材の貫通孔率などを決める。このような大きな台状部の高さHは、凹部に後退する電極をもつ回路基板上に、半導体パッケージ等を実装するために必要とされる。これまで、実装用に、フラットな異方性導電シートを用いたことはあったが、凹部に後退する電極をもつ回路基板に対しては、押し付け力を非常に大きくしても確実なコンタクトがとれず、実用化にいたらなかった。しかし、たとえばH≧0.5tを満たすような台状部3を設けることで、凹部に後退する電極をもつ回路基板上にもMPU等を実装することが可能になった。また、台状部3が両面に形成される場合、背中合わせの台状部3の頂面(トップ)間の距離Kについては、たとえばK≧2tを満たすようにする。
図1は、本発明の実施の形態1における異方性導電シート10を示し、(a)は平面図であり、(b)はシート面に沿って見た正面図である。図1において、異方性導電シート10は、シート面から台状に突き出た台状部3と、平野に相当する薄肉部5とを備える。台状部3には導通部3aが、また薄肉部5にも導通部5aが、シートを貫通するように位置している。薄肉部5は、あとで詳しく説明するように、原料(中間製品)であるフラットな異方性導電シートの所定領域(薄肉部5に対応する領域)、が冷間プレス加工されて形成された部分である。図1(a)に示す全ての導通部3a,5aが、同じ機会にめっき処理等により形成されており、その後で、薄肉部5は冷間プレス加工されたので、薄肉部5の導通部5aは大きく変形している。冷間プレスを受ける前の導通部3a,5aは、通常、貫通孔の内壁へ金属粒が筒状に付着した筒形状であるが、その他の方法で形成された結果、その他の形態または形状になっていてもよい。
台状部3の導通部3aの上下面(露出面)が、それぞれ半導体パッケージ等の回路基板(実装基板)への実装において、半導体パッケージまたは回路基板の電極とコンタクトする。図1(a)において、円形の台状部3には、9個の導通部3aが配置されているが、台状部3における導通部3aは、1個以上あれば、数は問わない。通常、フラットな中間製品の異方性導電シートの導通部を細かいピッチで、二次元配列またはランダム配列した場合は、4個以上の導通部3aが配置される。回路基板および被実装品の電極は、たとえば矩形の場合、その矩形の短辺に沿って2個以上の導通部のコンタクトを設けたとき、異方性導電シートの導通部の配列を二次元の縦横同じピッチとして、4個以上のコンタクトを得るような場合が実現する。また、回路基板および被実装品の電極が、円形の場合、円の中心から外れた一方の側に2個以上は導通部がコンタクトするのが導通を確保する上で好ましく、この場合、異方性導電シートの導通部の二次元の縦横同ピッチの規則配列のため、円の中心から外れた他方の側に2個以上コンタクトが形成されることになり、合計4個以上のコンタクトを得る。これによって確実な導通を得ることができる。しかし、後で説明するように、被実装品および回路基板の電極と、台状部3の導通部3aとを、1対1で対応させる場合もあり、これも有力な構造である。この場合には、台状部3の中央領域または中央領域からずれた領域、に狙いを定めて導通部3aを1個またはひとまとまり、形成する(図14,図15参照)。
台状部3と薄肉部5との境界に位置する導通部は、プレス加工によって機能が損なわれているおそれがあるので、台状部3の導通部3aとしては算入しない。また、台状部3の平面形状は、図1(a)では丸(円)であるが、実装基板等の電極に合わせて、四角などを用いてもよく、任意である。図2は、台状部3周辺の断面図である。薄肉部5における導通部5aは、実際は、冷間プレス加工によって変形しているが、変形を無視して形式的に示してある。一方、台状部3の導通部3aはほとんど変形していない。なお、台状部3の導通部3aの数は、図1(a)のそれと対応していない。
台状部の高さHは、相手の電極とコンタクトをとる上で重要である。相手の電極の位置との関係は、あとで説明するが、ここでは薄肉部5との関係について説明する。薄肉部5の厚みをtとするとき、たとえばH≧0.5tを満たすようにする。ただし、広くは、3t≧H≧0.25t、の範囲とする。これに合わせて、多孔質材料の気孔率、中実材の貫通孔率などを決める。このような大きな台状部の高さHは、凹部に後退する電極をもつ回路基板上に、半導体パッケージ等を実装するために必要とされる。これまで、実装用に、フラットな異方性導電シートを用いたことはあったが、凹部に後退する電極をもつ回路基板に対しては、押し付け力を非常に大きくしても確実なコンタクトがとれず、実用化にいたらなかった。しかし、たとえばH≧0.5tを満たすような台状部3を設けることで、凹部に後退する電極をもつ回路基板上にもMPU等を実装することが可能になった。また、台状部3が両面に形成される場合、背中合わせの台状部3の頂面(トップ)間の距離Kについては、たとえばK≧2tを満たすようにする。
次に、本発明の異方性導電シート10の製造方法について説明する。まず、図3(a)に示すように、フラットな異方性導電シート10b(厚みK)を準備する。この異方性導電シート10bのシート1は、多孔質樹脂により形成されている。樹脂としては、PTFE、アラミド樹脂、ポリイミド樹脂、電子線架橋された樹脂、および化学架橋した樹脂、のうちのいずれかとすることができる。これら樹脂を多孔質にする方法については、上述の特許文献に詳細に説明されており、本実施の形態においても、そこで紹介されている方法にしたがう。
上記の特許文献に開示されている異方性導電シートのうちには段差を付けたものが開示されている(特許文献2)。本発明に係る異方性導電シートは、特許文献2に開示のものとは、(1)用途または目的および(2)技術的内容が、次の点で相違する。(1)本発明に係る異方性導電シートは、MPU等の被実装品を回路基板に実装するために用いられる。このため、バーンイン検査用の異方性導電シートに比べて、大量に必要とされ、またソケット方式等と競合するので経済性が何にも増して重視される。(2)従来、実際には、段差の形成には熱間プレス加工が、実際に用いられていた。しかし、本発明に係る異方性導電シートは、冷間プレス加工で形成される。(1)の用途で他の方式との競合に経済性等で打ち克つためには、冷間プレス加工が必須である。冷間プレスなくしてこの分野の用途を切りひらいてゆくことはできない。本発明に係る異方性導電シートにおける冷間プレス加工の利点については、これから詳しく説明してゆく。
次いで、図3(b)に示すように、プレス型具15a,15bを用い、常温でのプレス(冷間プレス)によって、薄肉部5に相当する部分を圧縮する。冷間プレス加工において、当初の厚みKを厚みtに圧縮することによって薄肉部5を形成する。このとき、シート材が、多孔質材であることによって、薄肉部5に対応する厚みKの部分は、多孔質の気孔をつぶしながら圧縮され、シート面内方向に塑性流れを生じない。このため、台状部3は、導通部3aを含めて、もとのフラットな異方性導電シート10bの状態と実質的に同じ状態を維持し、厚みKをもつ。上記の冷間プレス加工の結果、得られる製品である異方性導電シート10を、図3(c)に示す。
ここで、上記の冷間プレスの圧縮率の例について説明する。上記のように、台状部3の高さHは、薄肉部5の厚みtに対して、たとえばH≧0.5tを満たす。シートの一方の面にのみ台状部3を形成する場合、(圧縮前の厚み−圧縮後の厚み)/圧縮前の厚み、により定義される圧縮率は、H/(H+t)、である。H≧0.5tのとき、圧縮率は(1/3)以上、すなわち33%以上となる。また、台状部3が両面に形成される場合、背中合わせの台状部3の頂面(トップ)間の距離Kについては、圧縮率は(K−t)/Kとなる。K≧2tを満たすので、圧縮率は0.5以上、すなわち50%以上となる。これらの圧縮率は、あくまで例示である。
上記の圧縮率は相当大きいものである。このように大きな圧縮率の冷間プレス加工をしながら、台状部3にひずみを発生させず、精度よい異方性導電シート10を得る上で、多孔質材はきわめて好適である。冷間プレスは、圧縮による塑性流れを面内方向に生じにくくさせる。とくに寸法精度の点で、熱間プレスよりも優れている。また、寸法精度も含めて、熱間プレスと比較すると、冷間プレスは、加熱がないので、加熱に伴う導通部露出面の導電性の劣化(薄い酸化膜等の形成)、熱間プレス→冷却(空冷)に伴うシートのひずみ変形、などがない。このため、プレス後に、上記導通部露出面の再生、変形したシートの平坦化などの手直し工程が不要となる。この結果、MPU等の回路基板への実装において、ソケット方式等に比べて、経済性の点で優位に立つことができる。
上記の特許文献に開示されている異方性導電シートのうちには段差を付けたものが開示されている(特許文献2)。本発明に係る異方性導電シートは、特許文献2に開示のものとは、(1)用途または目的および(2)技術的内容が、次の点で相違する。(1)本発明に係る異方性導電シートは、MPU等の被実装品を回路基板に実装するために用いられる。このため、バーンイン検査用の異方性導電シートに比べて、大量に必要とされ、またソケット方式等と競合するので経済性が何にも増して重視される。(2)従来、実際には、段差の形成には熱間プレス加工が、実際に用いられていた。しかし、本発明に係る異方性導電シートは、冷間プレス加工で形成される。(1)の用途で他の方式との競合に経済性等で打ち克つためには、冷間プレス加工が必須である。冷間プレスなくしてこの分野の用途を切りひらいてゆくことはできない。本発明に係る異方性導電シートにおける冷間プレス加工の利点については、これから詳しく説明してゆく。
次いで、図3(b)に示すように、プレス型具15a,15bを用い、常温でのプレス(冷間プレス)によって、薄肉部5に相当する部分を圧縮する。冷間プレス加工において、当初の厚みKを厚みtに圧縮することによって薄肉部5を形成する。このとき、シート材が、多孔質材であることによって、薄肉部5に対応する厚みKの部分は、多孔質の気孔をつぶしながら圧縮され、シート面内方向に塑性流れを生じない。このため、台状部3は、導通部3aを含めて、もとのフラットな異方性導電シート10bの状態と実質的に同じ状態を維持し、厚みKをもつ。上記の冷間プレス加工の結果、得られる製品である異方性導電シート10を、図3(c)に示す。
ここで、上記の冷間プレスの圧縮率の例について説明する。上記のように、台状部3の高さHは、薄肉部5の厚みtに対して、たとえばH≧0.5tを満たす。シートの一方の面にのみ台状部3を形成する場合、(圧縮前の厚み−圧縮後の厚み)/圧縮前の厚み、により定義される圧縮率は、H/(H+t)、である。H≧0.5tのとき、圧縮率は(1/3)以上、すなわち33%以上となる。また、台状部3が両面に形成される場合、背中合わせの台状部3の頂面(トップ)間の距離Kについては、圧縮率は(K−t)/Kとなる。K≧2tを満たすので、圧縮率は0.5以上、すなわち50%以上となる。これらの圧縮率は、あくまで例示である。
上記の圧縮率は相当大きいものである。このように大きな圧縮率の冷間プレス加工をしながら、台状部3にひずみを発生させず、精度よい異方性導電シート10を得る上で、多孔質材はきわめて好適である。冷間プレスは、圧縮による塑性流れを面内方向に生じにくくさせる。とくに寸法精度の点で、熱間プレスよりも優れている。また、寸法精度も含めて、熱間プレスと比較すると、冷間プレスは、加熱がないので、加熱に伴う導通部露出面の導電性の劣化(薄い酸化膜等の形成)、熱間プレス→冷却(空冷)に伴うシートのひずみ変形、などがない。このため、プレス後に、上記導通部露出面の再生、変形したシートの平坦化などの手直し工程が不要となる。この結果、MPU等の回路基板への実装において、ソケット方式等に比べて、経済性の点で優位に立つことができる。
図4は、上記の製造工程を、多孔質樹脂シートの段階から示すフローチャートである。まず、多孔質材シートの両面をマスクAで被覆して、次いで、マスクA/多孔質材シート/マスクA、に導通部を設けるための貫通孔をあける。このあと、触媒下地処理や無電解めっき処理などによって、導通部を形成する。無電解めっきの時間を調節することで、貫通孔の内壁への金属付着量を調節できるので、導通部の電気抵抗を任意に調整することができる。次いで、マスクAを剥離すると、貫通部にのみ導通部2が形成されたフラットな異方性導電シート10bが形成される。これを、図3(b)の冷間プレス加工へと進行させる。多孔質材シートの場合には、冷間プレス加工前の準備は上記のとおりである。原料(中間製品)となるフラットな異方性導電シートの製造方法は、多孔質材について、上述の特許文献に詳細に説明されている。
図5は、上記の異方性導電シート10を用いて、MPU、半導体パッケージ、DMDデバイス等の被実装品20を、回路基板30に実装して実装モジュール50を組み立てる工程を説明する図面である。この実装において、回路基板30の電極33は凹部35に位置し、当該電極33の頂面は、回路基板面より距離Dだけ後退している。また、凹部35の巾は寸法d1をもつ。一方、異方性導電シート10は、台状部3は、高さH、巾寸法d2をもつ。これらの関係は、高さ方向では、H>Dを満たすように、またd1>d2を満たす。この関係によれば、異方性導電シート10の台状部3を、回路基板30の凹部に嵌め入れることができ、さらに、異方性導電シート10の台状部3の導通部3aを、回路基板30の電極33にコンタクトさせることができる。要は、上記の関係を満たすように、回路基板30の電極33および凹部35の形状、ピッチ等に合わせて、異方性導電シート10を製造する。
被実装品20の電極23は、被実装品面上に設けられており、異方性導電シート10に台状部3は必須ではないが、台状部3と該電極23とがコンタクトすることで、被実装品20の電極23/異方性導電シート10の台状部3/回路基板30の凹部へ後退した電極33、を通しての導通を確実にすることができる。また、コンタクトが台状部に限られるので小さい力で大きく圧縮できる。このため、圧縮のストロークを大きくとることができ、固定部材によりその圧縮の戻りの反力を制止することで、安定した実装状態を維持することができる。固定部材については、このあと詳しく説明する。図5に示す、被実装品20および回路基板30の組み合わせの場合、異方性導電シート10は、回路基板側の面にのみ台状部3をもつものを用いることができる。
被実装品20の電極23は、被実装品面上に設けられており、異方性導電シート10に台状部3は必須ではないが、台状部3と該電極23とがコンタクトすることで、被実装品20の電極23/異方性導電シート10の台状部3/回路基板30の凹部へ後退した電極33、を通しての導通を確実にすることができる。また、コンタクトが台状部に限られるので小さい力で大きく圧縮できる。このため、圧縮のストロークを大きくとることができ、固定部材によりその圧縮の戻りの反力を制止することで、安定した実装状態を維持することができる。固定部材については、このあと詳しく説明する。図5に示す、被実装品20および回路基板30の組み合わせの場合、異方性導電シート10は、回路基板側の面にのみ台状部3をもつものを用いることができる。
図6〜図12は、被実装品20/異方性導電シート10/回路基板30、の実装モジュール50を示す図であり、固定部品が異なる。
(図6の実装モジュール):MPU、DMDデバイス等の被実装品20は、本体21上に、電極23に対応に部分に開口部をもつ絶縁板27が配置され、電極23は凹部25に、その頂面を後退させて位置する。また、回路基板30については、やはり、本体31上に、電極33に対応に部分に開口部をもつ絶縁板37が配置され、電極33は凹部35に、その頂面を後退させて位置する。したがって、異方性導電シート10は、シート両面に台状部3をもつものを用いる必要がある。両方の電極23,33および凹部25,35において、図5に示す寸法関係を満たしている。
図6では、固定部材として、強度をもつ樹脂製または金属製のねじ41を用いている。ねじ41は、被実装品20/異方性導電シート10/回路基板30、を貫通し、回路基板30に設けた雌ねじに螺合する。このようなねじを平面形状が矩形の被実装品20の四隅に設けることで、実装状態を堅固に安定して維持することができる。そして、被実装品が、MPU、DMDデバイスなど高価なもので、一度実装したモジュールへの実装を解消したい場合、ねじの螺合を解くことで、損傷のおそれなく簡単に外すことができる。また、高周波信号が伝播する場合、高周波信号の伝播経路に近い位置に金属材がないので、ソケットを用いる場合に比べて、損失は抑制される。さらに、ソケットに比べて、経済性に優れる。
(図7の実装モジュール):固定部材に、樹脂製または金属性のピン42を用いている。上記のねじによる固定と同様の作用効果を得ることができる。すなわち、被実装品の取り外し容易、高周波信号の損失抑制、経済性の優位性を得ることができる。
(図8の実装モジュール):固定部材に、ねじ43とつるまきバネ44との組み合わせを用いている。つるまきバネ44を追加することで、被実装品20を回路基板30の側に押す付勢力を得ることができる。このため、ねじ43の上記の作用に加えて、さらに電気抵抗の低いコンタクトを、長期間、安定して保持することができる。
(図9の実装モジュール):ばね45の背後を囲み、回路基板30に固定された筐体45と、当該ばね45との組み合わせで、固定部材を構成する。ばねの筐体44および被実装品20への取り付けを確実な機構により行えば、図8のモジュールにおけるばねと同様な作用効果を得ることができる。なお、図9の被実装品20は、電極23を凹部に配置しないが、上記の作用効果に変更を加える必要はない。
(図10の実装モジュール):固定部材に、太線バネまたは板バネ47と、その板バネ等の係止部が係合する係合部48との組み合わせを用いる。この固定部材についても、バネとねじとを組み合わせた図8の固定部材と同様の効果を得ることができる。
(図11の実装モジュール):この実装モジュール50では固定部材として接着剤49を用いる。この実装モジュール50の組み立て方は、まず、図11(a)に示すように、異方性導電シート10のシート薄膜部5の両面に接着剤49を塗布する。次いで、図11(b)に示すように、一方の面を被実装品20の面に接着し、他方の面を回路基板30の面に接着する。上記の接着剤49によって、被実装品20/異方性導電シート10/回路基板30、の固定を確実に、かつ簡単に行うことができる。そして、回路基板30における凹部35に位置する電極33に対して、異方性導電シート10の台状部3が確実な導通を保証することができる。図11では、被実装品20の電極23は被実装品面上に配置されたものであるが、被実装品の電極23が、凹部に、その頂面を後退させて位置する構造であっても、同様に、両面に台状部3をもつ異方性導電シート10によって確実な導通を得ることができる。
図6〜図10の実装モジュール50では、被実装品20を損傷のおそれなく簡単に外すことができるのに比して、本実装モジュール50では、被実装品20の外しは、簡単かつ容易というわけにはゆかない。しかし、接着剤49は、これまで説明したねじやバネによる固定部材よりも経済性に優れている。
(図12の実装モジュール):固定部材として、被実装品20に一体化した樹脂柱21aと、その樹脂柱21aと回路基板30とを接着する接着剤49とを用いる。上記の樹脂柱21aは、たとえば被実装品20が樹脂パッケージの場合、樹脂パッケージの形成と同じ機会に形成するのがよい。図12の場合、接着剤49の使用量を減らすことができる。その他の作用効果は、図11の実装モジュールと同様である。
(図6の実装モジュール):MPU、DMDデバイス等の被実装品20は、本体21上に、電極23に対応に部分に開口部をもつ絶縁板27が配置され、電極23は凹部25に、その頂面を後退させて位置する。また、回路基板30については、やはり、本体31上に、電極33に対応に部分に開口部をもつ絶縁板37が配置され、電極33は凹部35に、その頂面を後退させて位置する。したがって、異方性導電シート10は、シート両面に台状部3をもつものを用いる必要がある。両方の電極23,33および凹部25,35において、図5に示す寸法関係を満たしている。
図6では、固定部材として、強度をもつ樹脂製または金属製のねじ41を用いている。ねじ41は、被実装品20/異方性導電シート10/回路基板30、を貫通し、回路基板30に設けた雌ねじに螺合する。このようなねじを平面形状が矩形の被実装品20の四隅に設けることで、実装状態を堅固に安定して維持することができる。そして、被実装品が、MPU、DMDデバイスなど高価なもので、一度実装したモジュールへの実装を解消したい場合、ねじの螺合を解くことで、損傷のおそれなく簡単に外すことができる。また、高周波信号が伝播する場合、高周波信号の伝播経路に近い位置に金属材がないので、ソケットを用いる場合に比べて、損失は抑制される。さらに、ソケットに比べて、経済性に優れる。
(図7の実装モジュール):固定部材に、樹脂製または金属性のピン42を用いている。上記のねじによる固定と同様の作用効果を得ることができる。すなわち、被実装品の取り外し容易、高周波信号の損失抑制、経済性の優位性を得ることができる。
(図8の実装モジュール):固定部材に、ねじ43とつるまきバネ44との組み合わせを用いている。つるまきバネ44を追加することで、被実装品20を回路基板30の側に押す付勢力を得ることができる。このため、ねじ43の上記の作用に加えて、さらに電気抵抗の低いコンタクトを、長期間、安定して保持することができる。
(図9の実装モジュール):ばね45の背後を囲み、回路基板30に固定された筐体45と、当該ばね45との組み合わせで、固定部材を構成する。ばねの筐体44および被実装品20への取り付けを確実な機構により行えば、図8のモジュールにおけるばねと同様な作用効果を得ることができる。なお、図9の被実装品20は、電極23を凹部に配置しないが、上記の作用効果に変更を加える必要はない。
(図10の実装モジュール):固定部材に、太線バネまたは板バネ47と、その板バネ等の係止部が係合する係合部48との組み合わせを用いる。この固定部材についても、バネとねじとを組み合わせた図8の固定部材と同様の効果を得ることができる。
(図11の実装モジュール):この実装モジュール50では固定部材として接着剤49を用いる。この実装モジュール50の組み立て方は、まず、図11(a)に示すように、異方性導電シート10のシート薄膜部5の両面に接着剤49を塗布する。次いで、図11(b)に示すように、一方の面を被実装品20の面に接着し、他方の面を回路基板30の面に接着する。上記の接着剤49によって、被実装品20/異方性導電シート10/回路基板30、の固定を確実に、かつ簡単に行うことができる。そして、回路基板30における凹部35に位置する電極33に対して、異方性導電シート10の台状部3が確実な導通を保証することができる。図11では、被実装品20の電極23は被実装品面上に配置されたものであるが、被実装品の電極23が、凹部に、その頂面を後退させて位置する構造であっても、同様に、両面に台状部3をもつ異方性導電シート10によって確実な導通を得ることができる。
図6〜図10の実装モジュール50では、被実装品20を損傷のおそれなく簡単に外すことができるのに比して、本実装モジュール50では、被実装品20の外しは、簡単かつ容易というわけにはゆかない。しかし、接着剤49は、これまで説明したねじやバネによる固定部材よりも経済性に優れている。
(図12の実装モジュール):固定部材として、被実装品20に一体化した樹脂柱21aと、その樹脂柱21aと回路基板30とを接着する接着剤49とを用いる。上記の樹脂柱21aは、たとえば被実装品20が樹脂パッケージの場合、樹脂パッケージの形成と同じ機会に形成するのがよい。図12の場合、接着剤49の使用量を減らすことができる。その他の作用効果は、図11の実装モジュールと同様である。
図13は、本実施の形態における異方性導電シートの変形例を説明するための図である。この異方性導電シート10では、シートの内部にシート面に沿う方向に配線が形成されている。このような異方性導電シート10は、たとえば2枚の異方性導電シートを準備し、一方の異方性導電シートの導通部の表面から延びる配線8を当該シート表面に形成し、他方の異方性導電シートと貼り合わせることで製造することができる。
このような異方性導電シート10は、図13に示すように、被実装品20の電極23と、回路基板30の電極33とが、平面的に見て合わない場合、回路にしたがって合うように、対応する電極23,33を導通させることができる。このような、平面的に見て合わない電極どうしを、回路配線に合うように導通させる実装ができるのは、異方性導電シート10が唯一のものである。ソケット方式等では、このような実装は不可能である。
このような異方性導電シート10は、図13に示すように、被実装品20の電極23と、回路基板30の電極33とが、平面的に見て合わない場合、回路にしたがって合うように、対応する電極23,33を導通させることができる。このような、平面的に見て合わない電極どうしを、回路配線に合うように導通させる実装ができるのは、異方性導電シート10が唯一のものである。ソケット方式等では、このような実装は不可能である。
図14は、本実施の形態における異方性導電シートの別の変形例を説明するための図である。図1に示す異方性導電シート10では、台状部3に複数の導通部3aが配置されていた。しかし、図14に示す異方性導電シート10では、1つの台状部3には、1個の導通部3aが設けられる。1個の導通部3aは、台状部3の中央領域に位置される。この中央配置によって、多少の寸法変動があっても、被実装品と回路基板の電極どうしを確実に接続することができる。製造方法は、図4の方法にしたがうが、しかし導通部は、各台状部に対応する領域の中央に1個のみ設ける。冷間プレスによって、台状部3以外の残りの領域を圧縮加工して薄肉部5を形成する点は、上述の場合と同じである。この変形例の異方性導電シート10のように、1つの台状部3ごとに1個の導通部3aを設けることによって、無用の導通部を省くことになり、経済性をさらに大きく高めることができる。すなわち、貫通孔形成における打ち抜き加工具を、非常に簡単な構造にすることができ、まためっき等による導通部の形成などにおいて、めっき液の消耗を大幅に抑制することができる。
図15は、ひとまとまりの導通部3aを1つ、台状部3ごとに当該台状部3の中央領域に設ける。図15に示す導通部3aは、ひとまとまりの導通部3aは、まとまって互に接する導通部から形成されれば、その詳細部分が小さく複数(図15の場合は3つ)に分かれて見えてもよい。ひとまとまりの導通部3aは、図14の1個の導通部3aに比べて、面積が広くなるので、より確実に、被実装品の電極と回路基板の電極との導通をとることができる。図15に示す異方性導電シート10は、経済性は図1の異方性導電シートに比べて格段に向上し、かつ導通の確実性は図14の異方性導電シートよりも高めることができる。
なお、上記の1個の導通部3a(図14)またはひとまとまりの導通部3a(図15)は、常に中央領域に配置する必要はない。たとえば、被実装品の電極配列が変更され、短期間で専用の型具を準備できないような緊急の場合であって、手持ちの冷間プレスの型具を用い、導通部3aを中央から外して配置した方が被実装品の電極配列に適合する場合には、中央領域からずらした領域に導通部3aを設けてもよい。
図15は、ひとまとまりの導通部3aを1つ、台状部3ごとに当該台状部3の中央領域に設ける。図15に示す導通部3aは、ひとまとまりの導通部3aは、まとまって互に接する導通部から形成されれば、その詳細部分が小さく複数(図15の場合は3つ)に分かれて見えてもよい。ひとまとまりの導通部3aは、図14の1個の導通部3aに比べて、面積が広くなるので、より確実に、被実装品の電極と回路基板の電極との導通をとることができる。図15に示す異方性導電シート10は、経済性は図1の異方性導電シートに比べて格段に向上し、かつ導通の確実性は図14の異方性導電シートよりも高めることができる。
なお、上記の1個の導通部3a(図14)またはひとまとまりの導通部3a(図15)は、常に中央領域に配置する必要はない。たとえば、被実装品の電極配列が変更され、短期間で専用の型具を準備できないような緊急の場合であって、手持ちの冷間プレスの型具を用い、導通部3aを中央から外して配置した方が被実装品の電極配列に適合する場合には、中央領域からずらした領域に導通部3aを設けてもよい。
(実施の形態2)
図16は、本発明の実施の形態2における異方性導電シート10を示し、(a)は平面図、(b)はシート面に沿って見た正面図である。図16(a)において、実施の形態1との相違点は、薄肉部5に多数の貫通孔5hがあいている点である。また、実施の形態1では、シート材は多孔質樹脂など多孔質材に限られたが、本実施の形態では、多孔質材でも中実材でもよい。上記の貫通孔5hは、たとえば中実材の場合、上述の冷間プレス加工の圧縮による材料の面内方向の塑性流れを吸収するために設ける。すなわち、多孔質材の気孔と同様の作用を得るために、貫通孔5hを設ける。
図17は、薄肉部5に設けられた貫通孔5hの位置を示す図である。図16(a)および図17において、貫通孔5hは明瞭に貫通孔5hとして示すが、実際は冷間プレスにより圧縮され、変形するので、貫通孔の痕跡5hのみが認められてもよい。本発明の説明において、冷間プレス加工による寸法精度劣化を防止するために設ける貫通孔5hは、本発明の趣旨にそって解釈されるべきであり、貫通孔の痕跡5hも含むものである。
図16は、本発明の実施の形態2における異方性導電シート10を示し、(a)は平面図、(b)はシート面に沿って見た正面図である。図16(a)において、実施の形態1との相違点は、薄肉部5に多数の貫通孔5hがあいている点である。また、実施の形態1では、シート材は多孔質樹脂など多孔質材に限られたが、本実施の形態では、多孔質材でも中実材でもよい。上記の貫通孔5hは、たとえば中実材の場合、上述の冷間プレス加工の圧縮による材料の面内方向の塑性流れを吸収するために設ける。すなわち、多孔質材の気孔と同様の作用を得るために、貫通孔5hを設ける。
図17は、薄肉部5に設けられた貫通孔5hの位置を示す図である。図16(a)および図17において、貫通孔5hは明瞭に貫通孔5hとして示すが、実際は冷間プレスにより圧縮され、変形するので、貫通孔の痕跡5hのみが認められてもよい。本発明の説明において、冷間プレス加工による寸法精度劣化を防止するために設ける貫通孔5hは、本発明の趣旨にそって解釈されるべきであり、貫通孔の痕跡5hも含むものである。
図18は、本実施の形態における異方性導電シートを製造するときのフローチャートである。めっき処理までは、図5に示すフローチャートと同じである。(1)その後、両面のマスクAを剥離して、上記のプレス加工による寸法精度劣化を防止するための貫通孔5hを、薄肉部5に対応する領域にあける。または(2)めっき処理後、両面にマスクAを付したまま、上記貫通孔5hをあけ、次いで両面のマスクAを剥離する。貫通孔5hは、打ち抜きなどによって簡単に行うことができる。台状部3に対応する領域内の周縁に貫通孔5hがかかっても、導通部5aは、上述のように、周縁の内側に複数あるので、重大な問題にならない。したがって、貫通孔5hを打ち抜く際の寸法精度はそれほど高くなくてもよい。
シート材に中実材を用いた場合、上記の貫通孔5hを薄肉部5に対応する領域に限って、相互に近接させて無数に設けることで、多孔質材における気孔と同様の作用を得ることができる。これによって、シート材に中実材を用いた場合、プレス加工による圧縮の塑性変形を吸収、または軽減、することができる。すなわち圧縮による薄肉部5の形成の塑性変形の影響を台状部3に及ぼすのを防止、または軽減することができる。
また、シートに多孔質材を用いた場合、上記の多孔質材に起因する作用に加えて、貫通孔5hによる作用を得ることができる。このため、気効率の低い多孔質材を用いて、導通部を形成する際、導通部用の貫通孔の内壁に、短時間で金属めっき粒子を密に付着させることができる。また、場合によっては、触媒下地処理を省略したり、より安価な触媒に代替することが可能となる。
また、シートに多孔質材を用いた場合、上記の多孔質材に起因する作用に加えて、貫通孔5hによる作用を得ることができる。このため、気効率の低い多孔質材を用いて、導通部を形成する際、導通部用の貫通孔の内壁に、短時間で金属めっき粒子を密に付着させることができる。また、場合によっては、触媒下地処理を省略したり、より安価な触媒に代替することが可能となる。
(実施の形態2の変形例)
図19は、本発明の実施の形態2の変形例における異方性導電シート10を示し、(a)は平面図、(b)は正面図である。シート材は、多孔質材でも中実材でもよい。図19(a)において、台状部3の導通部3a以外の小丸印は、貫通孔5pである。図20は、台状部3の周辺の薄肉部5の貫通孔5pを示す図である。上述のように、この貫通孔5pは、貫通孔の痕跡5pであってもよい。貫通孔の痕跡5pは、シートの辺縁に至るまで全面に相互に近接させて無数に形成される。
図19は、本発明の実施の形態2の変形例における異方性導電シート10を示し、(a)は平面図、(b)は正面図である。シート材は、多孔質材でも中実材でもよい。図19(a)において、台状部3の導通部3a以外の小丸印は、貫通孔5pである。図20は、台状部3の周辺の薄肉部5の貫通孔5pを示す図である。上述のように、この貫通孔5pは、貫通孔の痕跡5pであってもよい。貫通孔の痕跡5pは、シートの辺縁に至るまで全面に相互に近接させて無数に形成される。
図21は、図19に示す異方性導電シートの製造方法を示すフローチャートである。この製造方法では、まず、多孔質シートまたは中実シートに、導通部形成用の貫通孔を、辺縁を含めて全面に、多数あける。次いで、台状部3に対応する領域に開口をもつマスクパターンBを、上記貫通孔をあけたシートの両面に形成する。マスクパターンBはフォトリソグラフィで形成してもよいし、上述のように精度はそれほど要らないので、その他の方法、たとえばスクリーン印刷など印刷法で形成してもよい。次いで、めっき処理をして、開口領域すなわち台状部3に対応する領域にのみ、導通部3aを形成する。次に両面のマスクパターンBを剥離して、冷間プレス加工へと進行させる。
上記の方法によれば、導通部形成用の貫通孔を、圧縮加工による寸法精度劣化を防止または軽減するための貫通孔5pに用いることができる。これにより、薄肉部5の圧縮成形を、台状部3へのひずみなどの発生なしに、または軽減して行うことができる。このため、中実材および多孔質材をともに、用いることができ、シート材の材料の選択肢を拡大することができる。
上記において、本発明の実施の形態について説明を行ったが、上記に開示された本発明の実施の形態は、あくまで例示であって、本発明の範囲はこれら発明の実施の形態に限定されない。本発明の範囲は、特許請求の範囲の記載によって示され、さらに特許請求の範囲の記載と均等の意味および範囲内でのすべての変更を含むものである。
本発明は、被実装品の脱離容易または脱離非容易を選択することができ、どのような種類の実装基板または被実装品にも、簡単に導通をとることができ、かつ高周波損失が小さい、異方性導電シートを得ることができる。このため、今後、DMDデバイスなど多様な被実装品の出現にともなって増大する、凹部への電極配置などに、高い経済性と、着脱自在性と、高周波信号適応性とをもって、対応することができる。
1 フラットな異方性導電シートのシート、2 導通部、3 台状部、3a 台状部の導通部、5 シート薄膜部、5a シート薄膜部の導通部、5h,5p 貫通孔、8 内部の配線、10 異方性導電シート、10b フラットな異方性導電シート、15a,15b プレス型具、20 被実装品、21 被実装品本体、21a 樹脂柱、23 電極、25 凹部、27 絶縁板、30 回路基板、31 回路基板本体、33 電極、35 凹部、37 絶縁板、41 ねじ、42 ピン、43 ねじ、44 弦巻バネ、45 筐体、46 バネ、47 板バネ、48 係合部、49 接着剤、d1 回路基板の凹部巾、d2 台状部の巾、H 台状部の高さ、K 背中合わせの台状部のトップ間距離、t 薄肉部の厚み。
Claims (13)
- 回路基板上に被実装品を実装するために用いる異方性導電シートであって、
絶縁性で弾性を有するシートと、
前記シートを貫通する多数の導通部とを備え、
前記導通部を含むシートは、一方の面または両方の面から突き出る台状部と、該台状部の残りの領域の薄肉部とから構成されることを特徴とする、異方性導電シート。 - 前記シートの材料が、多孔質樹脂であることを特徴とする、請求項1に記載の異方性導電シート。
- 前記シートが、多孔質材または中実材で形成され、前記薄肉部に貫通孔またはその貫通孔が圧縮された痕跡が前記薄肉部に多数位置することを特徴とする、請求項1または2に記載の異方性導電シート。
- 前記薄肉部は、冷間プレス加工によって厚みを圧縮されて形成されていることを特徴とする、請求項1〜3のいずれか1項に記載の異方性導電シート。
- 前記シートの材料が、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、アラミド樹脂、ポリイミド樹脂、電子線架橋された樹脂、および化学架橋した樹脂、のうちのいずれかであることを特徴とする、請求項1〜4のいずれか1項に記載の異方性導電シート。
- 前記シートの表面または内部に、配線回路が形成されていることを特徴とする、請求項1〜5のいずれか1項に記載の異方性導電シート。
- 被実装品と、回路基板と、該被実装品と回路基板との間に介在する請求項1〜6のいずれか1項に記載の異方性導電シートとを備える実装モジュールであって、前記回路基板の電極または被実装品の電極の少なくとも一方は、凹部に、該電極の頂面が、前記回路基板面または被実装品面より後退して位置しており、前記異方性導電シートの台状部は、前記凹部に嵌入することを特徴とする、実装モジュール。
- 前記被実装品および回路基板が前記異方性導電シートを挟んで圧縮する状態で固定する固定部材を備え、該固定部材が、(1)ねじ部品、固定ピンと係止部、金属線と係止部など、前記固定された状態からの離脱を、非破壊的に若しくは前記固定部材の変形に限定して、可能とする部材により、または(2)接着剤、はんだなど、前記固定された状態からの離脱に際し、固定部材以外のものに破壊が及ぶか、若しくは他の材料を要する、部材により、構成されることを特徴とする、請求項7に記載の実装モジュール。
- 前記固定部材に、前記被実装品および回路基板が、異方性導電シートを挟んで圧縮するように付勢する付勢部材が含まれることを特徴とする、請求項8に記載の実装モジュール。
- 請求項7〜9のいずれか1項に記載の実装モジュールを備えることを特徴とする、電子製品。
- 被実装品を回路基板に実装するために用いる異方性導電シートの製造方法であって、
絶縁性で弾性を有する多孔質材のシートに導通部を設けるために複数の貫通孔をあける工程と、
前記複数の貫通孔の孔壁に導電材を付着させて導通部を形成する工程と、
前記シートの複数の所定領域を、該シートの厚みのままの台状部とし、残りの領域を圧縮加工して薄肉部とするような型具を準備する工程と、
前記型具を用いて、前記導通部を含むシートを冷間プレス加工する工程とを備えることを特徴とする、異方性導電シートの製造方法。 - 前記シートの材料を、多孔質材または中実材とし、前記導通部の形成工程と、前記冷間プレス工程との間に、前記薄肉部とする領域に限って前記冷間プレス加工による塑性変形を吸収するための貫通孔を複数あける工程を備えることを特徴とする、請求項11に記載の異方性導電シートの製造方法。
- 前記シートの材料を、多孔質材または中実材とし、前記導通部形成のための貫通孔をあける工程と、前記導通部の形成工程との間に、前記台状部となる領域に開口を有するマスクパターンをシート両面に形成する工程を備え、前記導通部の形成工程では、前記マスクパターンで被覆された状態で前記台状部となる領域の貫通孔に導電材を付着して台状部となる領域にのみ導通部を形成することを特徴とする、請求項11に記載の異方性導電シートの製造方法。
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