JP2010073168A - ファイル出力管理システムおよびファイル出力管理方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】有害なファイルを適正に取り締まるのは困難である。
【解決手段】ファイル管理サーバ10の条件登録部20は、保護者が操作するユーザ端末104aから、自分の子供に対するフィルタリング条件を取得し、それを子供の識別情報とともに条件データベース26に格納する。フィルタリング条件には、指定したコミュニティにおける他の子供に対するフィルタリング条件等に基づく、対象ファイルのコミュニティ内での「評判」をポイントとして数値化した値に対する条件を含める。子供がユーザ端末104bにおいてファイルを出力する指示を入力した際、閲覧可否判定部14は子供の識別情報と対象ファイルのシグネチャを取得し、条件データベース26に格納されたフィルタリング条件を用いてファイルの出力可否を判定する。
【選択図】図3

Description

本発明は情報処理技術に関し、コンピュータにおけるファイルの出力を管理するシステムおよび当該システムに適用できるファイル出力管理方法に関する。
近年の情報処理技術の発展およびネットワーク環境の充実化に伴い、人々はコンピュータや携帯電話などを用いて様々な情報を容易に取得できるようになった。一方、情報を提供する側においても、テレビ、ラジオ、書籍、実店舗など従来型の情報提供手段と比較し、格段の容易さで情報を提供することが可能になった。その結果、ネットワーク上には、有害か否かに関わらずあらゆる情報が氾濫することとなった。
そのため、ネットワーク、あるいはユーザが操作する情報機器においてサイトのフィルタリングを行い、有害なウェブサイトへのアクセスを遮断する技術が導入されつつある。フィルタリングは基本的には、有害なウェブサイトのURLやフィルタパターンをフィルタリングリストとして作成しておき、ユーザがアクセス要求を行った際、要求されたURLを当該リストと比較することにより有害か否かを判定し、有害であればアクセス要求を破棄したうえ、ユーザにその旨を通知する(例えば特許文献1参照)。
特開2006−18635号公報
そのようにサイトへのアクセスを管理しても、フィルタリングから漏れたネットワーク上の店舗や、知人からの電子メールなど、有害なファイルの入手経路は様々存在する。そのような経路でのファイルの入手は他人の目に触れずに可能なため、入手することに対する心的障壁が低く、興味本位で有害なファイルを入手してしまうことも多い。そして子供の世界などでは特に、そのようなファイルが伝搬し、出回ってしまう結果となる。
本発明はこうした状況に鑑みてなされたものであり、その目的はコンピュータにおけるファイルの出力を適正に管理する技術を提供することにある。
本発明のある態様は、ファイル出力管理システムに関する。このファイル出力管理システムは、ユーザからの指示に従い、選択されたファイルに応じた出力を行う情報端末と、ネットワークを介して情報端末と接続し、情報端末が出力を行う前に、対象ファイルの出力可否を判定するファイル管理サーバと、を備え、情報端末は、ユーザからの出力指示があった際、前記ユーザの識別情報と対象ファイルの識別情報を送信することにより前記ファイル管理サーバに出力可否の問い合わせを行い、ファイル管理サーバから出力許可の返信があった場合に、当該ファイルの出力処理を行うフィルタリング処理部を含み、ファイル管理サーバは、ユーザの識別情報と、当該ユーザごとに設定したフィルタリング条件とを対応づけて記憶する条件データベースと、情報端末から送信された、ユーザの識別情報と対象ファイルの識別情報に基づき条件データベースを検索し、読み出したフィルタリング条件によって出力可否を判定する出力可否判定部と、を含むことを特徴とする。
ここで「出力」とは、静止画、動画、文書などの画像ファイルに適宜必要な処理を施して、ユーザが閲覧できる形式で表示装置に表示する処理でもよいし、ゲーム等の実行ファイルを実行することによって生成された画像データや音声データを出力する処理でもよい。
この条件データベースは、他のユーザに対して設定されたフィルタリング条件に基づき算出した、ファイルの評価を表す指標の大きさに対して出力可否の条件を設定したフィルタリング条件を記憶してもよい。ここで「ファイルの評価を表す指標」とは、出力要求がなされているファイルに対して他のユーザが出力を許可されているか不許可とされているか、といった観点から、当該ファイルの評価を導出して数値化したものである。
本発明の別の態様も、ファイル出力管理システムに関する。このファイル出力管理システムは、コンテンツ提供サーバがユーザの要求に応じて当該ユーザが操作する端末へコンテンツファイルを送信する際、当該送信を許可するか否かを判定するフィルタリング管理部と、フィルタリング管理部が判定した送信可否の判定結果に基づき、送信処理および送信遮断処理のいずれかを実施するネットワーク接続処理部と、を備え、フィルタリング管理部は、コンテンツ要求者の識別情報と、当該コンテンツ要求者に対し設定者が設定したフィルタリング条件とを対応づけて記憶する条件データベースと、コンテンツ要求者の識別情報とコンテンツファイルの電子署名に基づき前記条件データベースを検索し、送信可否を判定する送信可否判定部と、を含み、条件データベースは、他のコンテンツ要求者に対して設定されたフィルタリング条件に基づき算出した、コンテンツの評価を表す指標の大きさに対して送信可否の条件を設定したフィルタリング条件を記憶することを特徴とする。
本発明のさらに別の態様は、ファイル出力管理方法に関する。このファイル出力管理方法は、ユーザからのファイル出力処理の指示に応じて情報端末が、対象ファイルの識別情報と、当該ユーザの識別情報を、ネットワークを介してサーバに送信するステップと、対象ファイルの識別情報とユーザの識別情報に基づき、前記サーバが、ユーザごとにあらかじめ設定されたフィルタリング条件を記憶するデータベースを検索し、ファイル出力指示を出したユーザに対して設定されたフィルタリング条件によって、対象ファイルの出力可否を判定するステップと、情報端末が、サーバから判定結果を取得し、当該結果が出力許可であった場合に当該ファイルの出力処理を行うステップと、を含むことを特徴とする。
なお、以上の構成要素の任意の組合せ、本発明の表現を方法、装置、システムなどの間で変換したものもまた、本発明の態様として有効である。
本発明によれば、ユーザの意向、環境などに適応するフィルタリングを実現することができる。
図1は本実施の形態を適用できるシステムの構成例を示している。ネットワークシステム100は、ユーザが操作するユーザ端末104a〜104c、ユーザ端末104a〜104cが閲覧するファイルを管理するファイル管理サーバ10を含む。ユーザ端末104a〜104c、ファイル管理サーバ10はそれぞれネットワーク110に接続している。
ファイル管理サーバ10は、ファイルの閲覧可否を判定するためのフィルタリングに用いるデータベースを構築する。ユーザがユーザ端末104aなどにおいて、当該端末のハードディスクなどに記憶されたファイルを開こうとすると、ユーザ端末104aはファイル管理サーバ10に閲覧可否について問い合わせを行う。ファイル管理サーバ10はフィルタリング条件に基づき閲覧可否の判定を行い、問い合わせ元のユーザ端末104aにその結果を返信する。ユーザ端末104aはその結果に応じて、ファイルを開く処理を続行するか、あるいは中止する。
なお図1に示したネットワークシステム100の構成は例であり、その接続態様や接続数は限定されない。またユーザ端末104a〜104cとファイル管理サーバ10を接続するための処理を行うサーバを含めるなど、一般的に実施されているいかなる接続態様であっても、本実施の形態を適用することができる。また本実施の形態では、ユーザ端末104a〜104cにおける、動画像、静止画像、文書などのファイルの「閲覧」を管理する処理について述べるが、ファイルがゲームなどの実行ファイルであるときに、当該ファイルの「実行」を管理することも同様の処理により可能である。
ユーザ端末104a〜104cはユーザが操作する端末であり、パーソナルコンピュータ、携帯情報端末、携帯電話、テレビ受像器などネットワークへの接続やファイルの閲覧が可能な機器であればよい。ユーザ端末104a〜104cは、ハードディスク、記録媒体の読み取り装置、メモリなど、閲覧対象のファイルを格納あるいは読み出すためのいずれかの装置を含む。さらに有線あるいは無線によりネットワーク110へ接続するための装置を含む。
本実施の形態では、ユーザがファイルを閲覧しようとする都度、ユーザ端末104aがファイル管理サーバ10に問い合わせを行い、閲覧可否の判定を行う。ここで閲覧可否の判定に用いられるデータベースは、基本的にはファイルを閲覧するユーザに対応させた情報である。すなわちネットワークシステム100は、各ユーザに合わせた基準でファイルの閲覧を管理するシステムである。基準の設定にはユーザあるいはその関係者の意志を反映させることができる。図2は本実施の形態においてフィルタリングを行うしくみの例を模式的に示している。
同図は典型的な例として、保護者の意志を反映させた条件によって子供のファイルの閲覧を管理する場合について示している。しかしながら当該態様によって本実施の形態を限定するものではない。例えば「子供」はファイルを閲覧するいかなる人間でもよいし、複数の人間からなるグループとしてもよい。また本実施の形態を適用する場面によって、「保護者」をいかなる立場の人間としてもよい。
図2において保護者は、ファイル管理サーバ10のフィルタリング条件設定機能に対し、子供のファイルの閲覧に係るフィルタリング条件を設定する。ファイル管理サーバ10には、他の保護者が登録した条件を蓄積しておく。さらに、ファイル管理サーバ10が有するSNS(ソーシャルネットワーキングサービス)の機能に対し他の保護者が入力した意見を蓄積しておく。先の保護者は、そのような第3者のフィルタリング条件や意見に基づき自分の子供のフィルタリング条件を設定する。フィルタリング条件として、保護者は個別のファイルに対し閲覧可否を設定する。あるいは対象のファイルを指定せずに条件を設定し、子供がファイルを開こうとする都度、当該条件に則りファイル管理サーバ10が対象ファイルを評価し、閲覧可否を判断する。
この際、保護者はあるコミュニティにおけるファイルの「評判」に対して条件を設定する。ここで「コミュニティ」とは本ネットワークシステム100に参加しているユーザ、上記の例では保護者とその子供を、ある条件で抽出した集合である。「評判」に対して条件を設定する場合、保護者は、他の保護者あるいは子供の属性を条件としてさらに設定することにより所望のコミュニティを形成する。「評判」は、コミュニティに属する保護者のうち対象のファイルを閲覧許可/不許可としている人数などに基づき所定の規則で数値化する。保護者がそれに対して基準値を与え、基準値に満たないファイルは閲覧不許可とする、などの条件を設定する。これにより、コミュニティにおいて「評判の悪い」ファイルを自分の子供が閲覧するのを阻止することができる。
ファイル管理サーバ10は子供がファイルを開こうとした際、当該子供に対し保護者が設定したフィルタリング条件を検索し、閲覧可否を判定する。なお同図は基本的なしくみを示しているに過ぎず、より詳細な処理手順、登録情報などは後に詳述する。
図3はファイル管理サーバ10の構成をより詳細に示している。ファイル管理サーバ10は、フィルタリングに用いるデータベースの構築と、ユーザに対する各種情報提供を行うデータベース構築部12と、構築されたデータベースを参照して子供のファイルの閲覧可否を判定する閲覧可否判定部14を含む。なお図2に示したように、ファイル管理サーバ10にはSNSの機能を含めてよいが、一般的な技術を適用できるためここでは図示を省略している。
図3、図4において、様々な処理を行う機能ブロックとして記載される各要素は、ハードウェア的には、CPU、メモリ、その他のLSIで構成することができ、ソフトウェア的には、ネットワークを介した通信や、データベースへのアクセスを行うプログラムなどによって実現される。したがって、これらの機能ブロックがハードウェアのみ、ソフトウェアのみ、またはそれらの組合せによっていろいろな形で実現できることは当業者には理解されるところであり、いずれかに限定されるものではない。
データベース構築部12は、利用者属性登録部16、ソーシャル評価管理部18、条件登録部20、閲覧履歴管理部21を含み、保護者が操作するユーザ端末104aからの入力情報を取得して、利用者属性データベース22、ソーシャル評価データベース24、条件データベース26を構築する。利用者属性登録部16は、当該システムを利用する子供の属性を取得し、識別情報を付与してそれらを対応づけてを利用者属性データベース22に格納する。子供の属性は、当該システムへの加入を行う際に、保護者などに入力させてもよいし、ネットワーク110へ接続するための別の機関への登録情報を利用してもよい。
ソーシャル評価管理部18は、保護者が操作するユーザ端末104aから、ファイルに対する評価や意見などを取得して、評価がなされた日付、評価内容などを、対象のファイルのファイル名や入力した保護者の子供の属性と対応づけたソーシャル評価をソーシャル評価データベース24に格納する。保護者の評価や意見は、各保護者が我が子のフィルタリング条件を設定する際に入力したものを利用することができる。あるいはファイル管理サーバ10に設けたSNSにおいて、参加者が様々なファイルについて議論したり評価したりした結果を収集してもよい。
条件登録部20は、保護者が入力したフィルタリング条件を子供の識別情報ごとに条件データベース26に格納する。保護者が設定するフィルタリング条件は、前述のようにコミュニティの形成条件や当該コミュニティにおける評価に対する基準値を設定した条件(以後、ソーシャル条件と呼ぶ)と、個別のファイルに対して閲覧許可/不許可を設定した条件(以後、個別条件と呼ぶ)の少なくともいずれかを含む。そのほか、レイティングやジャンルなどで閲覧許可/不許可を設定した条件なども含めてよい。また、フィルタリング条件を設定する際は、各条件に対する保護者の意見や理由も入力できるようにし、条件データベース26に格納する。
条件登録部20は、保護者がフィルタリング条件を入力するのに先立ち、入力が可能な条件を選択できる画像データを生成し、ユーザ端末104aに表示されるようにしてもよい。これと同様に、閲覧履歴管理部21は、自分の子供のファイル閲覧履歴や他の子供の閲覧履歴を表示する画像データを生成し、保護者の指示に従ってユーザ端末104aに表示されるようにする。この場合保護者は、我が子がこれまでに閲覧したファイルや同世代で出回っているファイルなどを確認し、閲覧が望ましくないと考えられるファイルを閲覧不許可とするように個別条件を設定することができる。このためファイル管理サーバ10は、閲覧履歴を子供の識別情報ごとに蓄積して記憶する閲覧履歴データベース32を備える。
ユーザ端末104aに表示する閲覧履歴には、閲覧されたファイルの内容を示唆する情報を含めてもよい。この場合、閲覧履歴管理部21は、閲覧されたファイルを分析し、ファイルの内容を表すタグを決定して、閲覧履歴とともに表示する。一方、決定したタグをフィルタリングに利用し、フィルタリング条件においてタグを指定することにより、該当するファイルの閲覧を許可、または不許可とするようにしてもよい。各データベースが保持するデータ構造の具体例は後に述べる。
一方、閲覧可否判定部14は、子供が操作するユーザ端末104bからファイル閲覧可否の問い合わせがあった際に、保護者が設定した条件に従い閲覧可否を判定し、その結果をユーザ端末104bに返信する。なお図3では、保護者がフィルタリング条件を設定する際に操作するユーザ端末と、子供がファイルを閲覧する際に操作するユーザ端末を、それぞれユーザ端末104a、ユーザ端末104bとしたが、それらは同一のユーザ端末でもよい。閲覧可否判定部14は、閲覧情報取得部28および照合部30を含む。
閲覧情報取得部28は、ユーザ端末104bから送信された、ファイルを開こうとしている子供の識別情報と、対象ファイルのシグネチャなどの識別情報を取得する。照合部30は、子供の識別情報に基づき、条件データベース26に格納されたフィルタリング条件を検出し、必要に応じてその他のデータベースを検索したうえで閲覧可否判定を行い、ユーザ端末104bへその情報を返す。
図4は子供がファイルを閲覧する際に用いられるユーザ端末104bの構成をより詳細に示している。ユーザ端末104bは、ユーザがファイル閲覧のための入力を行う入力部40、ファイルを記憶するファイル記憶部47、ファイル記憶部47から対象ファイルを読み出すファイル読み出し部42、ファイル管理サーバ10に対し対象ファイルの閲覧可否の問い合わせを行うフィルタリング処理部44、閲覧許可されたファイルの表示、閲覧が不許可とされた旨の通知の表示を実施する表示部46を含む。
入力部40は、ファイル記憶部47に記憶されたファイルを選択し、閲覧するための入力を行える装置であればよく、キーボード、タッチパネル、ポインティングデバイス、ボタンなど一般的な入力装置のいずれかでよい。ファイル読み出し部42は、入力部40へのファイル選択の入力に従い、ファイル記憶部47から閲覧対象のファイルを読み出す。本処理はI/Oコントローラなどのハードウェアとオペレーティングとの協働により、一般的な手続きにより実現できる。
フィルタリング処理部44は、ファイル読み出し部42が読み出したファイルからファイルシグネチャを取得し、ファイル管理サーバ10へ、ユーザ端末104bを操作している子供の識別情報とともに送信することにより、ファイル閲覧の可否を問い合わせる。そしてファイル管理サーバ10から、ファイル閲覧可否の判定結果を受け取る。フィルタリング処理部44は、ファイル管理サーバ10とのデータの送受信を行う通信装置を含む。表示部46は、閲覧許可の判定がなされたファイルを表示する。表示部46は一般的な表示装置と表示を制御するコントローラで実現できる。
次に各データベースが保持する情報について例示する。図5は利用者属性データベース22に格納される利用者属性情報のデータ構造例を示している。利用者属性情報テーブル48は、識別情報欄48a、学校欄48b、学年欄48c、性別欄48d、および居住地域欄48eを含む。識別情報欄48aには、ファイル管理サーバ10の機能を利用する保護者あるいはその子供の識別情報を格納する。当該識別情報は、例えばメールアドレスやユーザ端末104bへのログインIDなどを利用することができる。
学校欄48b、学年欄48c、性別欄48d、居住地域欄48eにはそれぞれ、識別情報に対応づけられた子供の学校名、学年、性別、居住地域を格納する。ただしこれらの項目をもって本実施の形態を限定するものではなく、国籍、趣味、クラスなど子供や保護者の属性情報であればよい。これらの情報はファイル管理サーバ10を利用するための申し込み時に入力させた情報を利用してもよいし、保護者がフィルタリング条件を設定する際に入力させるようにしてもよい。利用者属性情報テーブル48に格納された情報は、コミュニティを形成する際に利用される。
図6および図7は条件データベース26に格納されるフィルタリング条件のデータ構造例を示しており、図6がソーシャル条件、図7が個別条件の例である。図6においてソーシャル条件データ50は、フィルタエントリー52およびサブ条件54a、54b、54cを含む。フィルタエントリー52はエントリー名欄52a、条件欄52b、パブリックコメント欄52c、およびプライベートコメント欄52dを含む。なお同図に示すソーシャル条件データ50は、保護者が閲覧を不許可とする条件の例であり、例えば、識別情報ごとに用意した条件データベース26の記憶領域のうち、「閲覧を不許可とする条件」の記憶領域に格納されている。
エントリー名欄52aには、登録した条件ごとに保護者が付与する名称をエントリー名として格納する。あるいはあらかじめ、ファイル管理サーバ10側で条件のテンプレートを準備しておく場合は、それに付与された名称でもよい。エントリー名は当該フィルタリング条件を設定した保護者が、後に設定を変更する際などに呼び出すのに用いられる。また、ファイル管理サーバ10が提供するSNSにおいてエントリー名を匿名で公表し、それを他の保護者が指定することにより、自分のフィルタリング条件として使用できるようにする。
条件欄52bには、フィルタリングの条件式へのポインタを格納する。同図の例ではフィルタエントリー52の右に示した3つの「サブ条件」で構成される条件式へのポインタを「→」で表しているが、実際には条件式のアドレスなどでよい。ここでは、子供の学年が「小学校3年生」、居住地域が「東京都墨田区」、評価が「−10ポイント以下」なる条件を「サブ条件1」54a、「サブ条件2」54b、「サブ条件3」54cとして設定し、最終的なフィルタリング条件はそれらのサブ条件の論理積としている。「評価」属性は、前述のとおり、他の属性の条件に合致するコミュニティにおける「評判」を数値化したものである。詳細については後に述べる。
フィルタエントリー52のパブリックコメント欄52cおよびプライベートコメント欄52dはいずれも、保護者が当該フィルタリング条件を設定する際に入力した、条件に対するコメントを格納するが、前者は他の保護者間で共有するコメント(以後、パブリックコメントと呼ぶ)、後者は自分の子供に示すコメント(以後、プライベートコメントと呼ぶ)である。
パブリックコメントは、ファイル管理サーバ10が提供するSNSにおいて、エントリー名とともに公開する。他の保護者は、公開されたフィルタリング条件を我が子のフィルタリング条件として設定する際、パブリックコメントを読んで拠り所とすることができる。プライベートコメントは、子供がファイルを開こうとした場合に当該条件によって閲覧不許可となった際、子供が操作するユーザ端末に表示する。これにより子供は、ファイルが開かれなかった理由を知ることができる。
図7において個別条件データ56は、可否情報欄56a、ファイルシグネチャ欄56b、分類タグ欄56c、パブリックコメント欄56d、およびプライベートコメント欄56eを含む。保護者は子供が過去に閲覧したファイルや、子供が閲覧したいと言っているファイルなど、個別のファイルについて閲覧可否を設定する。例えば、ソーシャル条件で設定した閲覧不許可の条件に合致するファイルであっても、子供の要求にしたがって内容を確認したうえで個別に許可する場合がある。このようなときは個別条件を設定し、ソーシャル条件より優先させることにより、臨機応変なフィルタリング条件設定が可能となる。
可否情報欄56aには閲覧を許可するか不許可とするかを識別する情報を格納する。同図の例では「ネガティブ」なる文字列により閲覧不許可であることを表している。これに対し「ポジティブ」なる文字列であった場合は閲覧許可を表すとする。ファイルシグネチャ欄56bには条件設定対象のファイルのファイルシグネチャを格納する。フィルタリング条件を設定する保護者がユーザ端末104aに表示されたファイル名を選択すると、ユーザ端末104aが当該ファイルのファイルシグネチャをファイル管理サーバ10に送信し、条件登録部20がそれをファイルシグネチャ欄56bに格納する。
分類タグ欄56cは、条件設定対象のファイルのタグを格納する。同図の例では「R18」、「性的」なるタグが格納されているが、当該タグは条件を設定する保護者が付与する。タグはあらかじめ用意された文言の中から、ファイルの内容に当てはまると思うものを選択させるようにしてもよい。
パブリックコメント欄56dとプライベートコメント欄56eには、図6に示したソーシャル条件のフィルタエントリー52におけるパブリックコメント欄52cおよびプライベートコメント欄52dに格納されるパブリックコメントとプライベートコメントと同様のコメントをそれぞれ格納する。閲覧を許可する場合、プライベートコメントは、許可されたファイルを表示する直前などに保護者のコメントとして子供に示す。
図8はソーシャル評価データベース24に格納されるソーシャル評価のデータ構造例を示している。ソーシャル評価テーブル58は、保護者がフィルタリングの個別条件を設定した際や、閲覧可否判定をソーシャル条件に基づき行った際などに、ソーシャル評価管理部18が、対象となるファイルごとにエントリーを追加していくテーブルである。それぞれの行が、あるファイルについての一のソーシャル評価を表している。ソーシャル評価テーブル58は、登録日欄58a、ファイルシグネチャ欄58b、可否情報欄58c、居住地域欄58d、学年欄58e、分類タグ欄58fを含む。
登録日欄58aには、そのソーシャル評価がソーシャル評価テーブル58に追加された日付を、ファイルシグネチャ欄58bには、対象のファイルのファイルシグネチャを、それぞれ格納する。可否情報欄58cには、閲覧が許可とされたか不許可とされたかを識別する情報を格納する。この情報は、図7に示した個別条件データ56の可否情報欄56aに格納する情報と同様であるが、個別に設定された閲覧可否以外に、ソーシャル条件によって閲覧可否判定がなされた結果でもよい。また、SNSにおける意見から、ポジティブ/ネガティブを判断して格納してもよい。
居住地域欄58dおよび学年欄58eには、当該ソーシャル評価元の子供の属性のうち、居住地域および学年を格納する。これらの属性情報は、識別情報に基づき、ソーシャル評価管理部18が利用者属性データベース22から取得する。したがって、利用者属性データベース22に格納されている情報のいずれを本ソーシャル評価テーブル58に含めてもよい。分類タグ欄58fには各ファイルのタグを格納する。当該タグは、ソーシャル評価管理部18が、個別条件データ56の分類タグ欄56cから抽出したものである。あるいは、SNSなどにおいてタグづけされたものでもよい。
ソーシャル評価テーブル58は、図6で示したソーシャル条件によって設定された属性によってコミュニティを形成するのに用いる。さらに上述のとおり、「評価」属性についての条件を判定する際に、コミュニティにおける「評判」の指標を数値化するのにも用いる。図8の例では理解を容易にするため、「AGFFEIUBWIFI・・・」なるファイルシグネチャを有するファイルのソーシャル評価のみが示されているが、ソーシャル評価テーブル58には当然、その他のファイルについてのソーシャル評価も含まれていてよい。
次にこれまで述べた構成によって実現できるシステムの動作について説明する。図9は、図1に示したネットワークシステム100において、ファイルの閲覧に対しフィルタリングを行う全体的な処理手順を示している。同図は保護者によるフィルタリング条件の設定が済んでいることを前提としている。まず子供が、操作するユーザ端末104bの入力部40に対し、ファイルを閲覧する要求を行うと(S10)、ファイル読み出し部42はファイル記憶部47から対象ファイルを読み出す(S12)。S10およびS12の処理は、一般的なファイル指定および読み出し処理と同様に行うことができる。
次にフィルタリング処理部44は、対象ファイルからファイルシグネチャを取得し(S14)、閲覧要求元の子供の識別情報ととともにファイル管理サーバに送信することにより、閲覧可否の問い合わせを行う(S16)。ファイル管理サーバ10では、閲覧可否判定部14が閲覧可否について判定し、その結果をユーザ端末104bに返信する(S18)。この際、閲覧許可されたファイルが過去に閲覧されていなければ、対象ファイルをファイル管理サーバ10へ送信するように依頼する。
ユーザ端末104bのフィルタリング処理部44は、判定結果が閲覧許可であれば、表示部46にファイルを表示させるとともに、適宜ファイル管理サーバ10へファイルを送信し、不許可であればファイル表示を中止するのための処理を行う(S20)。ファイル管理サーバ10は送信されたファイルを分析し、ファイルの内容を示唆するタグやレイティングを決定して、閲覧日などの情報、ファイル本体などとともに閲覧履歴データベース32に格納する。閲覧履歴については後に詳述する(S19)。
表示部46は、フィルタリング処理部44の制御に従い、ファイルを表示するか、ファイル表示が中止となった旨の通知を表示する(S22)。ファイルを表示する場合は、ファイル形式に応じた既存の処理を行う。ファイル表示が中止となった旨の通知を行う画面については後に例示する。
図10は図9のS18においてファイル管理サーバ10が閲覧可否を判定する際の処理手順を示している。まず、ファイル管理サーバ10の照合部30は、条件データベース26を参照して、ファイルを開こうとしている子供の識別情報に対して設定されたソーシャル条件があるか否かを確認する(S30)。ソーシャル条件が設定されていたら(S30のY)、ソーシャル評価データベース24を検索し、当該ファイルを対象としたソーシャル評価のうち、ソーシャル条件に合致する評価を抽出する(S32)。
図6のソーシャル条件の例では、「学年」が「小学校3年生」、「居住地域」が「東京都墨田区」となっているソーシャル評価を抽出する。図8に示すソーシャル評価テーブル58のファイルシグネチャを有するファイルが対象である場合、ソーシャル条件を満たすソーシャル評価を抽出すると、1行目は学年が、3行目は居住地域が条件と異なるため、2行目、および4、5行目が抽出される。
次に、抽出したソーシャル評価に基づき、その中での「評判」の指標を表すポイントを算出する(S34)。抽出したソーシャル評価には、対象のファイルに対して「ポジティブ」、すなわち閲覧を許可する傾向の評価と、「ネガティブ」、すなわち閲覧を不許可とする傾向の評価があり得る。そこで「ポジティブ」な評価を正、「ネガティブ」な評価を負の数値に換算し、抽出したソーシャル評価で当該数値を足し合わせることによって最終的なポイントを算出する。最も単純には、ポジティブな評価1つを1ポイント、ネガティブな評価1つを−1ポイントとして和をとることが考えられる。
これにより、ネガティブな評価が相対的に多いほどポイントは小さくなり、ポジティブな評価が多いほどポイントは大きくなる。したがって、ある負の数以下、とするフィルタリング条件をポイントに対して設定すれば、いわゆる「評判の悪い」ファイルが条件に合致することになる。逆にある正の数以上、なる条件を設定すれば、「評判の良い」ファイルが条件に合致する。
ポイントは上述のような単純和で算出しなくてもよい。例えば抽出したソーシャル評価ごとの重要性を所定の基準で判断して重み付けをおこなったうえで和をとってもよい。図8のソーシャル評価を例にとると、抽出された2、4、5行目のソーシャル評価のうち、2行目のソーシャル評価は可否情報欄58cが「ネガティブ」のため、本来は−1ポイントであるが、登録日欄58aに記載された日付が「1995/3/3」と古いため、重みを下げ、例えば−0.5ポイントとする。同様に4行目の「ポジティブ」としたソーシャル評価も日付が古いため+0.5ポイントとする。5行目のソーシャル評価はそのまま+1ポイントとする。
これら3つが対象ファイルに対するソーシャル評価の全てである場合は、各ポイントの和をとり、+1.0ポイントが当該コンテンツのポイントとなる。このように、登録日などにあらかじめしきい値を設け、それとの大小関係によりポイントに重み付けを行ってよい。ポイント算出手法はそのほかに、抽出した全ソーシャル評価のうちポジティブ、あるいはネガティブとされた割合などを考慮してもよい。
次に、算出したポイントを、ソーシャル条件で設定された「評価」属性の条件と比較することにより、対象ファイルの閲覧可否を仮に決定する(S36)。上述の例ではポイントが+1.0であったため、対象ファイルは概ね評判がよく、図6のソーシャル条件における「サブ条件3」の「−10ポイント以下」を満たしていないため、閲覧許可、という決定がなされる。S36における決定が「仮」であるのは、同時に個別条件が設定されていた場合に、そちらの条件による判定結果を優先させるためである。
ソーシャル条件がない場合(S30のN)、またはソーシャル条件によって閲覧可否を仮決定した場合(S36)、次に照合部30は、ファイルを開こうとしている子供の識別情報に対して設定された個別条件があるか否かを確認する(S38)。個別条件が設定されていたら(S38のY)、個別条件で設定されたファイルシグネチャと対象ファイルのファイルシグネチャとを比較して、当該ファイルに対する閲覧許可/不許可の設定があるか否かを確認する(S40)。そして、閲覧不許可とした仮決定に対して個別条件では閲覧許可と設定されていたり、その逆だったりと、S36でなされた仮決定と矛盾した設定がある場合は(S42のY)、個別条件を優先するように仮決定を破棄し(S44)、個別条件の結果を閲覧可否の最終決定とする(S46)。
仮決定と個別条件に矛盾がなければ(S42のN)、仮決定を閲覧可否の最終決定とする(S46)。S38において個別条件が設定されていない場合(S38のN)も同様に、仮決定を閲覧可否の最終決定とする(S46)。なお、図6のソーシャル条件では子供の「学年」と「居住地域」がサブ条件として設定されていたが、サブ条件として「タグ」が設定されていれば、図8のソーシャル評価テーブル58における分類タグ欄58fに格納されたタグを検索し、設定されたタグが含まれていればそのソーシャル評価を抽出する。
また、サブ条件の設定対象は、「学年」、「居住地域」、「タグ」に限らず、「性別」、「学校」、「クラス」、「名前」などでもよく、「居住地域」属性などは区に限らず国から番地まで様々なレベルで条件設定を行えるようにしてもよい。そのような条件を設定可能とする場合は、ソーシャル評価のデータ構造も適宜変更してよい。このように、様々な属性を条件として入力できるようにするほど、形成できるコミュニティの多様性が増す。
例えば「クラス」属性と「名前」属性などをサブ条件として設定することによって、特定の個人のソーシャル評価のみを抽出し、評価ポイントが負の値であれば閲覧不許可と判定されるように条件を設定すると、例えば子供の友達が閲覧不許可とされたファイルは我が子にも閲覧不許可とする、といったことが可能になる。このように、複数の人間からなるコミュニティの総合的な意見から、一個人の意見まで、必要に応じて我が子のフィルタリング条件に多様な意見を反映させることができる。
次に、保護者が個別条件を設定するために、ファイル管理サーバ10が提供する機能の例として、(1)自分の子供の閲覧履歴表示、(2)コミュニティにおける閲覧動向表示、(3)閲覧が不許可となった旨を通知する画面の表示、について順に説明する。
図11はファイル管理サーバ10が生成し、保護者が操作するユーザ端末104aに表示する、子供の閲覧履歴の画面例を示している。この画面を確認することにより、自分の子供が最近閲覧したファイルや、当該ファイルの評判について把握できる。子供閲覧履歴画面60は、ユーザ端末104aからの保護者の指示により閲覧履歴管理部21が閲覧履歴データベース32から当該保護者の子供の閲覧履歴などを読み出すことによって生成する。子供閲覧履歴画面60は、閲覧履歴テーブル61を表示する。閲覧履歴テーブル61は、閲覧日欄61a、ファイル名欄61b、閲覧回数欄61c、ソーシャル評価(タグ)欄61d、ソーシャル評価(属性)欄61e、レイティング欄61fを含む。
閲覧日欄61a、ファイル名欄61b、閲覧回数欄61cには、最終閲覧日、ファイル名(図では「・・・」として簡略化している)、それまでの閲覧回数をそれぞれ表示する。これらの情報は閲覧履歴データベース32に格納されている。また、ソーシャル評価(タグ)欄61dには、対象ファイルについて、それまでに様々な保護者が付与したタグを表示する。この情報は、図8に示したソーシャル評価テーブル58の分類タグ欄58fに格納された情報を、同一のファイルについて集計することによって得られる。
図11に示すように、ソーシャル評価(タグ)欄61dはいわゆるタグ・クラウドの形式で表示してもよい。すなわち対象のコンテンツに対し、付与した保護者の数が多いタグほどフォントサイズを大きく表示する。ソーシャル評価(属性)欄61eには、自分の子供と同じ属性を有する子供の保護者のコミュニティによる、対象ファイルの「評判」をポイントで表示する。同図の例では、「同年代」のコミュニティ、「同地域」のコミュニティにおけるポイントがそれぞれ表示されている。ここで表示する属性や、「同年代」・「同地域」の範囲はあらかじめ定義づけしておく。
ポイントの算出手法は、図8に示したソーシャル評価テーブル58を参照して、閲覧可否判定時と同様に行う。すなわち、「同年代」と「同地域」の範囲に入る属性を有する評価を抽出し、同様の規則でポイントを算出する。ソーシャル評価(タグ)欄61dおよびソーシャル評価(属性)欄61eを表示することにより、対象のファイルが他の保護者達の間でどのような評判であるか、すなわち有害か無害かに注目したファイルの内容を一見して把握できる。
レイティング欄61fには、閲覧履歴管理部21が対象ファイルを分析した結果決定したタグやレイティングを表示する。ここで「タグ」は「暴力的」、「性的」などファイルの特徴や内容を表すキーワードであり、「レイティング」は「R−15」、「R−18」など閲覧に対する年齢制限を表す表示である。閲覧履歴管理部21は、上述のとおり、閲覧が許可されたファイルをユーザ端末104bから送信させ、それをキーワード分析や画像分析することによりタグやレイティングを決定する。決定した結果は閲覧履歴データベース32にファイル本体とともに格納しておく。分析によるタグづけ処理については既存の技術を適用できるためここでは言及しない。なお図11の子供閲覧履歴画面60において、それまでに他の保護者による評価がなされていないファイルや、分析によってタグやレイティングが取得できなかったファイルには、該当する欄に「未評価」「該当なし」などの表示がされている。
保護者は子供閲覧履歴画面60を確認することにより、自分の子供がどのようなファイルを閲覧しているかを把握するとともに、その中に有害と思われるファイルがあるか否かを同じ属性を有する他の保護者の評価やレイティングから判断できる。そして有害と思われるファイルがあれば、フィルタリング条件の個別条件として設定することにより、当該ファイルを閲覧不許可とすることができる。
図12はファイル管理サーバ10が生成し、保護者が操作するユーザ端末104aに表示する、コミュニティの閲覧動向の画面例を示している。保護者がコミュニティの形成条件となる属性を入力することにより、閲覧履歴管理部21はまず、利用者属性データベース22から当該属性を有する子供の識別情報を抽出し、それに基づき閲覧履歴データベース32を参照することにより、各識別情報に対する所定期間内の閲覧履歴を抽出する。それを集計することにより、コミュニティにおいて閲覧件数が上位のファイルに係る情報を閲覧動向として表示する。
図12のコミュニティ閲覧動向画面62は、異なる属性で形成された2つのコミュニティの閲覧動向テーブル64および66を含む。各閲覧動向テーブルの上には、どのような属性で形成されたコミュニティかを示す属性情報65を表示する。同図の例では、閲覧動向テーブル64は「居住地域」属性が「東京都墨田区」のコミュニティ、閲覧動向テーブル66は「居住地域」属性が「全国」であり「学年」属性が「小学校3年生」のコミュニティの閲覧動向をそれぞれ示していることがわかる。
閲覧動向テーブル64は、ファイル名欄64a、閲覧件数欄64b、閲覧人数欄64c、ソーシャル評価(タグ)欄64d、およびレイティング欄64eを含む。ファイル名欄64aには、閲覧件数が上位のファイルのファイル名(図では「・・・」として簡略化している)を表示する。同図では各コミュニティに対し2つのファイルを記載しているが、表示件数はそれに限定されない。例えば、ファイル閲覧に関するプライバシーを保護するため、閲覧する人数が所定数を超えたファイルのみを表示するようにしてもよい。
閲覧件数欄64bおよび閲覧人数欄64cには、対象ファイルの閲覧件数および閲覧した人数を、それぞれコミュニティ内で集計した値を表示する。ソーシャル評価(タグ)欄64dには、コミュニティ内の保護者が付与したタグを例えばタグ・クラウドの形式で表示する。レイティング欄64eには、対象ファイルを分析した結果決定したレイティングやタグを表示する。ソーシャル評価(タグ)欄64d、レイティング欄64eに表示する情報は、図11の閲覧履歴テーブル61におけるソーシャル評価(タグ)欄61d、レイティング欄61fの情報と同様に取得できる。閲覧動向テーブル66も同様の構成を有する。
保護者はコミュニティ閲覧動向画面62を確認することにより、指定した属性を有するコミュニティにおいて流行しているファイルを把握するとともに、それがどのようなファイルであるかを他の保護者の評価やレイティングから判断できる。そして有害と思われるファイルがあれば、フィルタリング条件の個別条件として設定することにより、当該ファイルを閲覧不許可とすることができる。
図11で示した子供閲覧履歴画面60や、図12で示したコミュニティ閲覧動向画面62において、表示されたファイルをポインティングデバイスなどで選択すると、当該ファイルについて、他の保護者が入力したパブリックコメントが表示されるようにしてもよい。パブリックコメントは、条件データベース26の個別条件データ56から抽出できる。これにより保護者は、タグをさらに掘り下げ、他の保護者がどのような意見を述べているかを参照することができ、フィルタリング条件の検討に利用することができる。
図13は、子供が開こうとしたファイルが不許可と判定された場合に、照合部30が生成し、子供が操作するユーザ端末104bに表示する、閲覧不許可を通知する画面例を示している。閲覧不許可通知画面68は、閲覧不許可マーク68a、プライベートコメント表示欄68b、およびコメント入力欄68cを含む。
閲覧不許可マーク68aは、閲覧が不許可でありファイルが開かれないことを一見して認識できる表示であればよく、同図で示した図形以外の図形や文字列などでもよい。プライベートコメント表示欄68bには、条件データベース26に格納された、保護者が設定したソーシャル条件および個別条件のうち、今回の閲覧不許可の原因となった条件において保護者が入力したプライベートコメントを表示する。子供は当該表示を見ることにより、保護者が閲覧不許可とした理由を知ることができる。
コメント入力欄68cは、閲覧が許可されなかったことに対する子供の意見の入力を受け付ける欄である。ここに入力された文章は、次回に保護者が子供の閲覧履歴を確認したりフィルタリング条件を入力したりする画面をユーザ端末104aに表示させた際に優先して表示する。あるいは保護者の電子メールアドレスに送信する。例えばソーシャル条件により閲覧不許可とされたファイルであっても、実際にはそれほど有害でなかったり、授業で話題になったため閲覧が必要なファイルであったりする場合がある。このようなファイルの閲覧不許可に対し、子供からの異議申し立ての場を設けることにより、閲覧可否の基準を状況に応じて調整することができる。
閲覧不許可に対する子供の意見を目にした保護者は、その申し立てが正当なものであると判断した場合に、当該ファイルについて閲覧を許可する個別条件を設定する。これにより、ソーシャル条件で閲覧不許可となっても、当該ファイルのみは閲覧が許可されることになる。また、このようにしてなされた閲覧許可は、パブリックコメントやソーシャル評価の形で他の保護者間を伝搬し、フィルタリング条件に影響を与え得るため、結果として他の保護者のフィルタリングの適性度も向上することになる。
また、閲覧履歴データベース32に、閲覧不許可となったファイルの履歴を格納して表示するようにしてもよい。この場合保護者は、子供が開こうとして不許可となったファイルを確認し、その中で特に有害と思われないファイルについて閲覧を許可する個別条件を設定できる。すると、子供の申し立てによる個別の閲覧許可と同様の効果を得ることができる。
以上述べた本実施の形態によれば、ユーザ端末における子供のファイル閲覧を管理するためのしくみを、ユーザ端末とネットワークを介して接続したファイル管理サーバに設ける。具体的には、子供ごとに保護者が設定したフィルタリング条件をファイル管理サーバが記憶する。そして子供がファイルを開こうとする際、当該子供の識別情報とファイルシグネチャをファイル管理サーバが取得することにより、閲覧可否の判定を個別に行う。これにより、保護者の目の届かない状況においても有害なファイルの閲覧を阻止することができる。
また、各子供の閲覧ファイルを閲覧履歴としてファイル管理サーバに蓄積していき、それを保護者が確認したうえで閲覧可否の条件を決定する。一方で、個々の保護者の評価を、指定した属性を有するコミュニティ内で集約し、当該コミュニティにおけるファイルの「評判」を数値化する。そしてその数値に対して設定した条件によっても閲覧可否を判定する。これにより、保護者が全てのファイルについて個々に閲覧可否の設定をせずとも、「評判」に応じて適切に閲覧可否が判定される。そのため子供の間で出回る有害な画像ファイルや実行ファイルは、コミュニティ内での情報の伝搬と同じ速さですぐに取り締まることができる。
ここで形成されるフィルタリングの基準は、コミュニティに属する保護者が築き上げていくものであるため、結果として、学校、地域などコミュニティの保護者によって皆で子供のファイルを管理していく、という形態が実現できる。またフィルタリングの基準となる「評判」は、保護者の意識や社会情勢によって変化するものであるため、そのような変化に応じた適応的なフィルタリングが実現できる。一方、コミュニティ内での評価がほとんどないような個人的なファイルは、「評判」の数値の絶対値が低くなるため、自然に閲覧管理から除外される。これにより、自分で作成した画像や文書など、固有の創作活動は阻害されにくく、表現の自由が保持される。
子供のフィルタリング条件を保護者が設定するような場合、形成されるコミュニティは「子供の保護者」で構成される。このような状況における「子供」は幼児から高校生程度であるため、子供の誕生から成長に伴いコミュニティの構成人員は自然に入れ替わる。したがって、ファイルの評価やフィルタリング条件の設定、といった行為への関心はコミュニティ内では常に維持され、コミュニティ疲労が発生しにくいため、結果としてファイル評価などの情報の信頼性を保つことができる。
さらに、保護者から子供へのコメントをあらかじめ設定しておき、閲覧が不許可となった場合にその理由としてコメントを表示する。そして当該理由に対する子供の意見を保護者が確認できるようにする。これにより、一方的に閲覧を不許可とするばかりでなく、保護者と子供とのコミュニケーションの結果、フィルタリング条件を調整することが可能となり、個人の状況に応じた臨機応変な閲覧可否判定が行える。
また、個々の保護者が設定したフィルタリング条件や各ファイルに対するコメントを保護者間で共有することにより、それを参考にした保護者が自分も同様のフィルタリング条件を設定するなど、フィルタリング条件の設定をより効率化できる。さらに、自分の子供の閲覧履歴や、コミュニティにおける閲覧動向を表示することにより、子供がいつの間にか取得していたファイルや、流行の伝搬により子供がこれから取得しそうなファイルのうち、有害なファイルを把握でき、効率的に閲覧不許可の設定を行うことができる。
また閲覧可否の判定は子供の識別情報によってファイル管理サーバが行うため、端末によらず同様のフィルタリング条件が適用できる。結果として、まさに「対個人のフィルタリング」が実現できる。
以上、本発明を実施の形態をもとに説明した。この実施の形態は例示であり、それらの各構成要素や各処理プロセスの組合せにいろいろな変形例が可能なこと、またそうした変形例も本発明の範囲にあることは当業者に理解されるところである。
例えば、本実施の形態では「ファイルの閲覧」を管理したが、これを電子メールに応用することができる。ユーザ端末104bにおいて電子メールを開く際、ファイル管理サーバへ当該電子メールの送信元のメールアドレスやIPアドレスを送信することにより、電子メールの閲覧可否を判定する。電子メールの送信元が過去に有害な電子メールを送信していた場合、ファイル管理サーバにおいて「評判の悪い」送信元として記録されているため、閲覧不許可の判定がなされる。この態様では、子供が有害なメールを閲覧するのを保護者が阻止する場合ばかりでなく、スパムメールやウィルスを含むメールなどに対する自己防衛とすることができる。
本実施の形態を適用できるシステムの構成例を示す図である。 本実施の形態においてフィルタリングを行うしくみの例を模式的に示す図である。 本実施の形態におけるファイル管理サーバの構成をより詳細に示す図である。 本実施の形態におけるユーザ端末の構成をより詳細に示す図である。 本実施の形態の利用者属性データベースに格納される利用者属性情報のデータ構造例を示す図である。 本実施の形態の条件データベースに格納されるフィルタリング条件のうちソーシャル条件のデータ構造例を示す図である。 本実施の形態の条件データベースに格納されるフィルタリング条件のうち個別条件のデータ構造例を示す図である。 本実施の形態のソーシャル評価データベースに格納されるソーシャル評価のデータ構造例を示す図である。 本実施の形態においてファイルの閲覧に対しフィルタリングを行う全体的な処理手順を示す図である。 図9のS16においてファイル管理サーバが閲覧可否を判定する際の処理手順を示すフローチャートである。 本実施の形態においてファイル管理サーバが生成しユーザ端末に表示する、子供の閲覧履歴の画面例を示す図である。 本実施の形態においてファイル管理サーバが生成しユーザ端末に表示する、コミュニティの閲覧動向の画面例を示す図である。 本実施の形態においてファイルの閲覧が不許可と判定された場合に、照合部が生成しユーザ端末に表示する、閲覧不許可を通知する画面例を示す図である。
符号の説明
1 ファイル管理サーバ、12 データベース構築部、 14 閲覧可否判定部、 16 利用者属性登録部、 18 ソーシャル評価管理部、 20 条件登録部、 21 閲覧履歴管理部、 22 利用者属性データベース、 24 ソーシャル評価データベース、 26 条件データベース、 28 閲覧情報取得部、 30 照合部、 32 閲覧履歴データベース、 40 入力部、 42 ファイル読み出し部、 44 フィルタリング処理部、 46 表示部、 47 ファイル記憶部、 50 ソーシャル条件データ、 56 個別条件データ、 58 ソーシャル評価テーブル、 60 子供閲覧履歴画面、 62 コミュニティ閲覧動向画面、 68 閲覧不許可通知画面、 100 ネットワークシステム、 104a ユーザ端末、 104b ユーザ端末。

Claims (13)

  1. ユーザからの指示に従い、選択されたファイルに応じた出力を行う情報端末と、
    ネットワークを介して前記情報端末と接続し、前記情報端末が出力を行う前に、対象ファイルの出力可否を判定するファイル管理サーバと、を備え、
    前記情報端末は、
    ユーザからの出力指示があった際、前記ユーザの識別情報と対象ファイルの識別情報を送信することにより前記ファイル管理サーバに出力可否の問い合わせを行い、前記ファイル管理サーバから出力許可の返信があった場合に、当該ファイルの出力処理を行うフィルタリング処理部を含み、
    前記ファイル管理サーバは、
    ユーザの識別情報と、当該ユーザごとに設定したフィルタリング条件とを対応づけて記憶する条件データベースと、
    前記情報端末から送信された、前記ユーザの識別情報と対象ファイルの識別情報に基づき前記条件データベースを検索し、読み出したフィルタリング条件によって出力可否を判定する出力可否判定部と、
    を含むことを特徴とするファイル出力管理システム。
  2. 前記条件データベースは、他のユーザに対して設定されたフィルタリング条件に基づき算出した、ファイルの評価を表す指標の大きさに対して出力可否の条件を設定したフィルタリング条件を記憶することを特徴とする請求項1に記載のファイル出力管理システム。
  3. 前記ファイル管理サーバは、フィルタリング条件設定者によるフィルタリング条件の入力を当該フィルタリング条件設定者が操作する情報端末から取得し、前記条件データベースに登録する条件登録部をさらに含むことを特徴とする請求項1または2に記載のファイル出力管理システム。
  4. 前記条件データベースは、前記指標の大きさに対する条件とともに、前記他のユーザの属性の条件をフィルタリング条件として記憶し、
    前記出力可否判定部は、前記属性の条件を満たす他のユーザに対して設定されたフィルタリング条件に基づき算出した前記指標の大きさによって出力可否を判定することを特徴とする請求項2に記載のファイル出力管理システム。
  5. 前記出力可否判定部は、前記条件データベースが記憶する、前記属性の条件を満たす他のユーザに対するフィルタリング条件のうち、対象ファイルの出力を許可するフィルタリング条件の件数と、不許可とするフィルタリング条件の件数に基づき、前記指標の大きさを算出することを特徴とする請求項4に記載のファイル出力管理システム。
  6. 前記条件データベースは、前記フィルタリング条件とともに当該フィルタリング条件に対するフィルタリング条件設定者のコメントを記憶し、
    前記ファイル管理サーバは、各フィルタリング条件とそれに対する前記コメントとをネットワーク上で公開することを特徴とする請求項1から3のいずれかに記載のファイル出力管理システム。
  7. 前記条件データベースは、前記フィルタリング条件とともに当該フィルタリング条件に対するフィルタリング条件設定者のコメントを記憶し、
    前記出力可否判定部は、出力が不許可となった際に、ユーザが操作する情報端末に、前記コメントを表示させることを特徴とする請求項1から3のいずれかに記載のファイル出力管理システム。
  8. 前記ファイル管理サーバは、
    ユーザの識別情報と、当該ユーザに対し出力が許可されたファイルの識別情報とを対応づけて記憶する出力履歴データベースと、
    フィルタリング条件設定者があるユーザに対するフィルタリング条件を設定する際、前記出力履歴データベースを参照し、当該ユーザが過去に出力したファイルの識別情報と、各ファイルに対する、前記評価を表す指標の大きさと、を表した情報を、前記フィルタリング条件設定者が操作する情報端末に表示させる出力履歴管理部と、
    をさらに含むことを特徴とする請求項2に記載のファイル出力管理システム。
  9. 前記出力履歴管理部は、前記出力が許可されたファイルを前記ユーザが操作する情報端末から取得して分析することにより、当該ファイルの内容を示唆するタグおよびレイティングの少なくともいずれかを決定して前記出力履歴データベースに格納し、
    前記情報を前記フィルタリング条件設定者が操作する情報端末に表示させる際、各ファイルに対して決定したタグおよびレイティングを前記出力履歴データベースから読み出して前記情報に含めることを特徴とする請求項8に記載のファイル出力管理システム。
  10. 前記ファイル管理サーバは、
    ユーザの識別情報と、当該ユーザに対し出力が許可されたファイルの識別情報とを対応づけて記憶する出力履歴データベースと、
    フィルタリング条件設定者があるユーザに対するフィルタリング条件を設定する際、前記出力履歴データベースを参照し、当該フィルタリング条件設定者が指定した属性の条件を満たす他のユーザが過去に出力したファイルの識別情報を、前記フィルタリング条件設定者が操作する情報端末に表示させる出力履歴管理部と、
    をさらに含むことを特徴とする請求項2に記載のファイル出力管理システム。
  11. ユーザからのファイル出力処理の指示に応じて情報端末が、対象ファイルの識別情報と、当該ユーザの識別情報を、ネットワークを介してサーバに送信するステップと、
    前記対象ファイルの識別情報と前記ユーザの識別情報に基づき、前記サーバが、ユーザごとにあらかじめ設定されたフィルタリング条件を記憶するデータベースを検索し、ファイル出力指示を出したユーザに対して設定されたフィルタリング条件によって、対象ファイルの出力可否を判定するステップと、
    前記情報端末が、前記サーバから判定結果を取得し、当該結果が出力許可であった場合に当該ファイルの出力処理を行うステップと、
    を含むことを特徴とするファイル出力管理方法。
  12. 前記出力可否を判定するステップは、
    前記データベースが記憶する、他のユーザに対して設定されたフィルタリング条件に基づき、対象ファイルの評価を表す指標の大きさを算出するステップと、
    ファイル出力指示を出したユーザに対して設定されたフィルタリング条件を前記データベースから読み出し、当該フィルタリング条件に含まれる、前記評価を表す指標の大きさに対する出力可否の基準と、算出した対象ファイルの評価を表す指標の大きさと、を比較して出力可否を判定するステップと、
    を含むことを特徴とする請求項11に記載のファイル出力管理方法。
  13. ユーザが情報端末においてファイル出力処理の指示を入力した際、対象ファイルの識別情報と、当該ユーザの識別情報を、ネットワークを介して取得する機能と、
    前記対象ファイルの識別情報と前記ユーザの識別情報に基づき、ユーザごとにあらかじめ設定されたフィルタリング条件を記憶するデータベースを検索し、ファイル出力指示を出したユーザに対して設定されたフィルタリング条件によって、対象ファイルの出力可否を判定する機能と、
    判定結果を前記情報端末に送信し、当該結果が出力許可であった場合に当該ファイルの出力処理を前記情報端末に行わせる機能と、
    をコンピュータに実現させることを特徴とするコンピュータプログラム。
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