JP2010072575A - 赤外光吸収フィルター - Google Patents

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Abstract

【課題】可視域の透過率が高く、赤外域の広い波長範囲にわたり透過率が低い、光吸収型赤外光吸収フィルターを提供すること。
【解決手段】5種類以上のメチン染料から構成されている光吸収型赤外光吸収フィルター、700nmから1,100nmの範囲における最大透過率が15%以下であることが好ましく、650nmの透過率が40%以上であることがより好ましく、前記メチン染料がシアニン染料、及び/又はオキソノール染料であることがさらに好ましい。
【選択図】なし

Description

本発明は赤外光吸収フィルターに関し、詳しくはメチン染料を含む赤外光吸収フィルターに関する。
近年デジタルカメラはもちろんのこと、携帯電話やノート型パーソナルコンピュータ等の情報機器にもカメラモジュールが組み込まれ、画像情報を得ることができるようになってきている。これら機器の目の役割を果たす固体撮像素子は可視光のみならず赤外光にも感度を有している。したがって良好な画像を得るためには赤外光をカットする必要があり、カメラモジュールには通常無機干渉膜反射型の赤外カットフィルターが組み込まれている。
しかしながら反射型フィルターは光の入射角度によってカットする波長が異なり、十分な効果が得られず、画質の劣化を招くことが問題となっていた。
一方、特許文献1〜4にはこのような反射を生じないフィルターとして光吸収型の銅ドープガラスフィルターが記載されている。しかしながら特に赤色光の透過率が低く、色再現上好ましくないこと、成型、切削、研磨等の加工が難しく高コストであることから一部の用途への使用に限られている。
また、特許文献5〜7には吸収型のフィルターとしてはプラズマディスプレイパネルに用いることを目的とした近赤外カットフィルター用の材料もいくつか記載されている。しかし赤外カット波長域が狭くかつ可視光透過率も高くはないため、固体撮像素子用の赤外カットフィルターとしては不充分なものであった。
特開2000−7871号公報 特開2000−38396号公報 国際公開第99/26951号パンフレット 国際公開第99/26952号パンフレット 特開2002−90521号公報 特開2007−197492号公報 特許第3959143号公報
本発明は、可視域の透過率が高く、赤外域の広い波長範囲にわたり透過率が低い、光吸収型赤外光吸収フィルターを提供することを目的とする。
上記目的は以下に記載した手段<1>〜<8>により達成された。
<1>5種類以上のメチン染料から構成されていることを特徴とする赤外光吸収フィルター、
<2>700nmから1,100nmの範囲における最大透過率が15%以下である上記<1>に記載の赤外光吸収フィルター、
<3>650nmの透過率が40%以上である上記<1>、又は上記<2>に記載の赤外光吸収フィルター、
<4>前記メチン染料がシアニン染料、及び/又はオキソノール染料である上記<1>〜上記<3>いずれか1つに記載の赤外光吸収フィルター、
<5>前記メチン染料が下記式(I)、及び/又は下記式(II)で表される染料である上記<1>〜上記<4>いずれか1つに記載の赤外光吸収フィルター、
Figure 2010072575
(式中、Z1及びZ2は、それぞれ独立に、縮環してもよい5員又は6員の含窒素複素環を形成する非金属原子群であり;R1及びR2は、それぞれ独立に、脂肪族基又は芳香族基であり;L1は、奇数個のメチンからなるメチン鎖であり;a、b及びcは、それぞれ独立に、0又は1であり;そして、X1は、アニオンである。)
Figure 2010072575
(式中、Y1及びY2は、それぞれ独立に、脂肪族環又は複素環を形成する非金属原子群であり、L2は、奇数個のメチンからなるメチン鎖である。X2は、水素原子又はカチオンである。)
<6>前記メチン染料が下記式(III)で表されるシアニン染料である上記<1>〜上記<4>いずれか1つに記載の赤外光吸収フィルター、
Figure 2010072575
(式中、Z1及びZ2は、それぞれ独立に、縮環してもよい5員又は6員の含窒素複素環を形成する非金属原子群であり;R1及びR2は、それぞれ独立に、脂肪族基又は芳香族基であり;L3は、3個、5個、又は7個のメチンからなるメチン鎖であり;a、b及びcは、それぞれ独立に、0又は1であり;そして、X1は、アニオンである。)
<7>前記式(III)で表されるシアニン染料の、縮環してもよい5員又は6員の含窒素複素環が、置換されていてもよいベンゾオキサゾール環、ベンゾチアゾール環、ベンゾイミダゾール環、及びインドレニン環よりなる群から選ばれた環である上記<6>に記載の赤外光吸収フィルター、
<8>前記式(III)で表されるシアニン染料のa、b、及びcが0である上記<7>に記載の赤外光吸収フィルター。
本発明の構成による赤外光吸収フィルターによって、赤外域の広い波長域での透過率が低いだけでなく、可視域の透過率の高い赤外光吸収フィルターが得られた。
以下に本発明の赤外光吸収フィルターについて説明する。
本発明の赤外光吸収フィルターの一つの好ましい形態は、透明支持体とフィルター層とからなる。
透明支持体はガラスであってもポリマーフイルムであってもよく、使用形態、使用目的により自由に選択できる。透明支持体の厚みは5μm以上5cm以下であることが好ましく、25μm以上1cm以下であることがさらに好ましく、80μm以上1.2mm以下であることが最も好ましい。
透明支持体の透過率は80%以上であることが好ましく、86%以上であることがさらに好ましい。ヘイズは2%以下であることが好ましく、1%以下であることがさらに好ましい。屈折率は1.45〜1.70であることが好ましい。
透明支持体に、紫外線吸収剤を添加してもよい。紫外線吸収剤の添加量は、透明支持体の0.01〜20質量%であることが好ましく、0.05〜10質量%であることがさらに好ましい。滑り剤として、不活性無機化合物の粒子を透明支持体に添加してもよい。無機化合物の例には、SiO2 、TiO2 、BaSO4 、CaCO3 、タルク及びカオリンが含まれる。
フィルター層はメチン染料とバインダーとからなる。バインダーはゼラチンやポリビニルアルコールのような水溶性の高分子でもよいし、有機溶剤に溶解する高分子でもよく、目的により自由に選択してよい。
本発明の赤外光吸収フィルターのもう一つの好ましい形態は、半導体撮像素子を構成する部材をメチン染料のバインダーとすることである。半導体撮像素子の構造例を図1に示す。
図1の撮像素子の中で、例えば、平坦化層21、カラーフィルター層26、オンチップレンズ27は通常高分子化合物から成り立っており、これらの高分子化合物中にメチン染料を含有させて、赤外光吸収フィルターを形成してもよい。
つぎにメチン染料について説明する。
メチン染料としては、例えば、シアニン染料、メロシアニン染料、アリーリデン染料、オキソノール染料、スチリル染料を挙げることができるが、シアニン染料、又はオキソノール染料であることが好ましい。
シアニン染料は、下記式(Cy)で定義される。
Bs=Lo−Bo 式(Cy)
式中、Bsは、塩基性核であり;Boは、塩基性核のオニウム体であり;そして、Loは、奇数個のメチンからなるメチン鎖である。下記式(I)で表されるシアニン染料を、特に好ましく用いることができる。
Figure 2010072575
式中、Z1及びZ2は、それぞれ独立に、5員又は6員の含窒素複素環を形成する非金属原子群である。含窒素複素環には、他の複素環、芳香族環又は脂肪族環が縮合してもよい。含窒素複素環及びその縮合環の例には、オキサゾール環、イソオキサゾール環、ベンゾオキサゾール環、ナフトオキサゾール環、オキサゾロカルバゾール環、オキサゾロジベンゾフラン環、チアゾール環、ベンゾチアゾール環、ナフトチアゾール環、インドレニン環、ベンゾインドレニン環、イミダゾール環、ベンゾイミダゾール環、ナフトイミダゾール環、キノリン環、ピリジン環、ピロロピリジン環、フロピロール環、インドリジン環、イミダゾキノキサリン環及びキノキサリン環が含まれる。含窒素複素環は、6員環より5員環の方が好ましい。5員の含窒素複素環にベンゼン環又はナフタレン環が縮合していることがさらに好ましい。ベンゾチアゾール環、ナフトチアゾール環、インドレニン環又はベンゾインドレニン環が最も好ましい。
含窒素複素環及びその縮合環は、置換基を有していてもよい。置換基としては、ハロゲン原子、シアノ基、ニトロ基、ヒドロキシル基、カルボキシル基、アミノ基、ホルミル基、カルバモイル基、ウレイド基、ウレタン基、メルカプト基、スルホ基、スルファモイル基、脂肪族基、芳香族基、複素環基、−O−R、−CO−R、−CO−O−R、−O−CO−R、−NH−R、−NR2、−NH−CO−R、−CO−NH−R、−CO−NR2、−NH−CO−NH−R、−NH−CO−NR2、−NH−CO−O−R、−S−R、−SO2−R、−SO2−O−R、−NH−SO2−R、−SO2−NH−R、−SO2−NR2が含まれる。Rは、それぞれ独立に、脂肪族基、芳香族基又は複素環基である。なお、カルボキシル基及びスルホ基は、水素原子が解離していても、塩の状態であってもよい。
本明細書において脂肪族基は、アルキル基、置換アルキル基、アルケニル基、置換アルケニル基、アルキニル基又は置換アルキニル基を意味する。アルキル基は、環状であってもよい。鎖状アルキル基は、分岐を有していてもよい。アルキル基の炭素原子数は、1〜20が好ましく、1〜12がさらに好ましく、1〜8が最も好ましい。アルキル基の例としては、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、t−ブチル、シクロプロピル、シクロヘキシル及び2−エチルヘキシルが挙げられる。
置換アルキル基のアルキル部分は、上記アルキル基と同様である。置換アルキル基の置換基の例としては、ハロゲン原子、シアノ基、ニトロ基、ヒドロキシル基、カルボキシル基、アミノ基、ホルミル基、カルバモイル基、ウレイド基、ウレタン基、メルカプト基、スルホ基、スルファモイル基、脂肪族基、芳香族基、複素環基、−O−R、−CO−R、−CO−O−R、−O−CO−R、−NH−R、−NR2、−NH−CO−R、−CO−NH−R、−CO−NR2、−NH−CO−NH−R、−NH−CO−NR2、−NH−CO−O−R、−S−R、−SO2−R、−SO2−O−R、−NH−SO2−R、−SO2−NH−R、−SO2−NR2が含まれる。Rは、それぞれ独立に、脂肪族基、芳香族基又は複素環基である。なお、カルボキシル基及びスルホ基は、水素原子が解離していても、塩の状態であってもよい。
置換アルキル基の例としては、2−ヒドロキシエチル、2−カルボキシエチル、2−メトキシエチル、2−ジエチルアミノエチル、3−スルホプロピル、4−スルホブチル、ベンジル及びフェネチルが挙げられる。
アルケニル基は、環状であってもよい。鎖状アルケニル基は、分岐を有していてもよい。アルケニル基の炭素原子数は、2〜20が好ましく、2〜12がさらに好ましく、2〜8が最も好ましい。アルケニル基としては、ビニル、アリル、1−プロペニル、2−ブテニル、2−ペンテニル及び2−ヘキセニルが含まれる。置換アルケニル基のアルケニル部分は、上記アルケニル基と同様である。置換アルケニル基の置換基は、アルキル基の置換基と同様である。
アルキニル基は、環状であってもよい。鎖状アルキニル基は、分岐を有していてもよい。アルキニル基の炭素原子数は2〜20が好ましく、2〜12がさらに好ましく、2〜8が最も好ましい。アルキニル基の例としては、エチニル及び2−プロピニルが挙げられる。
置換アルキニル基のアルキニル部分は、上記アルキニル基と同様である。置換アルキニル基の置換基は、アルキル基の置換基と同様である。
本明細書において、芳香族基は、アリール基又は置換アリール基を意味する。アリール基の炭素原子数は、6〜25であることが好ましく、6〜15であることがさらに好ましく、6〜10であることが最も好ましい。アリール基の例としては、フェニル及びナフチルが含まれる。
置換アリール基のアリール部分は、上記アリール基と同様である。置換アリール基の置換基の例には、ハロゲン原子、シアノ基、ニトロ基、ヒドロキシル基、カルボキシル基、アミノ基、ホルミル基、カルバモイル基、ウレイド基、ウレタン基、メルカプト基、スルホ基、スルファモイル基、脂肪族基、芳香族基、複素環基、−O−R、−CO−R、−CO−O−R、−O−CO−R、−NH−R、−NR2、−NH−CO−R、−CO−NH−R、−CO−NR2、−NH−CO−NH−R、−NH−CO−NR2、−NH−CO−O−R、−S−R、−SO2−R、−SO2−O−R、−NH−SO2−R、−SO2−NH−R、−SO2−NR2が含まれる。Rは、それぞれ独立に、脂肪族基、芳香族基又は複素環基である。なお、カルボキシル基及びスルホ基は、水素原子が解離していても、塩の状態であってもよい。
置換アリール基の例としては、4−カルボキシフェニル、4−アセトアミドフェニル、3−メタンスルホンアミドフェニル、4−メトキシフェニル、3−カルボキシフェニル、3,5−ジカルボキシフェニル、4−メタンスルホンアミドフェニル及び4−ブタンスルホンアミドフェニルが含まれる。
本明細書において、複素環基は、無置換複素環基、又は置換複素環基を意味する。複素環基の複素環は、5員環又は6員環であることが好ましい。複素環に、脂肪族環、芳香族環又は他の複素環が縮合していてもよい。複素環(縮合環を含む)の例には、ピリジン環、ピペリジン環、フラン環、フルフラン環、チオフェン環、ピロール環、キノリン環、モルホリン環、インドール環、イミダゾール環、オキサゾール環、ピラゾール環、カルバゾール環、フェノチアジン環、フェノキサジン環、インドリン環、チアゾール環、ピラジン環、チアジアジン環、ベンゾキノリン環及びチアジアゾール環が含まれる。置換複素環基の置換基は、置換アリール基の置換基と同様である。
式(I)の、R1及びR2は、それぞれ独立に、脂肪族基又は芳香族基である。脂肪族基と芳香族基の定義及び例は、前述した通りである。
式(I)の、L1は、奇数個のメチンからなるメチン鎖である。L1は、3個、5個、又は7個のメチンからなるメチンが好ましく、5個、又は7個であることがより好ましい。メチンは置換基を有していてもよい。置換基を有するメチンは中央の(メソ位の)メチンであることが好ましい。置換基としては、ハロゲン原子、シアノ基、ニトロ基、ヒドロキシル基、カルボキシル基、アミノ基、ホルミル基、カルバモイル基、ウレイド基、ウレタン基、メルカプト基、スルホ基、スルファモイル基、脂肪族基、芳香族基、複素環基、−O−R、−CO−R、−CO−O−R、−O−CO−R、−NH−R、−NR2、−NH−CO−R、−CO−NH−R、−CO−NR2、−NH−CO−NH−R、−NH−CO−NR2、−NH−CO−O−R、−S−R、−SO2−R、−SO2−O−R、−NH−SO2−R、−SO2−NH−R、−SO2−NR2が含まれる。Rは、それぞれ独立に、脂肪族基、芳香族基又は複素環基である。メチン鎖の二つの置換基が結合して5員環又は6員環を形成してもよい。
式(I)の、a、b、及びcは、それぞれ独立に、0又は1である。a及びbは、0であることが好ましい。cはシアニン染料がスルホ基やカルボキシル基のようなアニオン性置換基を有して分子内塩を形成する場合は、0である。X1はアニオンである。アニオンの例には、ハライドイオン(Cl-、Br-、I-)、p−トルエンスルホン酸イオン、エチル硫酸イオン、PF6 -、BF4 -及びClO4 -が含まれる。シアニン染料は、カルボキシル基、又はスルホ基のいずれかを置換基として含むことが好ましい。以下に、式(I)で表されるシアニン染料の例を示す。
Figure 2010072575
Figure 2010072575
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Figure 2010072575
Figure 2010072575
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Figure 2010072575
Figure 2010072575
シアニン染料は、エフ・エム・ハーマー(F.M.Harmer)著「ヘテロサイクリック・コンパウンズーシアニンダイズ・アンド・リレイテッド・コンパウンズ(Heterocyclic Compounds Cyanine Dyes and Related Compounds)」、ジョン・ウィリー・アンド・サンズ(John Wiley & Sons)社−ニューヨーク、ロンドン、1964 年刊、及びデー・エム・スターマー(D.M.Sturmer)著「ヘテロサイクリック・コンパウンズースペシャル・トッピクス・イン・ヘテロサイクリック・ケミストリー(Heterocyclic Compounds-Special topics in heterocyclic chmistry)」、第18章、第14節、482〜515頁、ジョン・ウィリー・アンド・サンズ(John Wiley & Sons)社ーニューヨーク、ロンドン、1977年刊、「ロッズ・ケミストリー・オブ・カーボン・コンパウンズ(Rodds Chemistry of Carbon Compounds)」2nd.Ed.vol.IV,partB,1977年刊、第15章、369〜422頁、エルセビア・サイエンス・パブリック・カンパニー・インク(Elsevier Science Publishing Company Inc.)社刊、ニューヨーク、特開平5−88293号、同6−313939号の各公報の記載を参照して合成できる。
オキソノール染料は、下記式(Ox)で定義される。
Ak=Lo−Ae 式(Ox)
式中、Akはケト型酸性核であり、Aeはエノール型酸性核である。Loは、奇数個のメチンからなるメチン鎖である。下記式(II)で表されるオキソノール染料を、好ましく用いることができる。
Figure 2010072575
式(II)の、Y1及びY2は、それぞれ独立に、脂肪族環又は複素環を形成する非金属原子群である。脂肪族環よりも複素環の方が好ましい。
脂肪族環の例には、インダンジオン環が含まれる。複素環の例には、5−ピラゾロン環、イソオキサゾロン環、バルビツール酸環、ピリドン環、ローダニン環、ピラゾリジンジオン環、ピラゾロピリドン環及びメルドラム酸環が含まれる。5−ピラゾロン環及びバルビツール酸環が好ましい。脂肪族環、及び複素環は置換基を有していてもよい。置換基の例には、ハロゲン原子、シアノ基、ニトロ基、ヒドロキシル基、カルボキシル基、アミノ基、ホルミル基、カルバモイル基、ウレイド基、ウレタン基、メルカプト基、スルホ基、スルファモイル基、脂肪族基、芳香族基、複素環基、−O−R、−CO−R、−CO−O−R、−O−CO−R、−NH−R、−NR2、−NH−CO−R、−CO−NH−R、−CO−NR2、−NH−CO−NH−R、−NH−CO−NR2、−NH−CO−O−R、−S−R、−SO2−R、−SO2−O−R、−NH−SO2−R、−SO2−NH−R、−SO2−NR2が含まれる。Rは、それぞれ独立に、脂肪族基、芳香族基又は複素環基である。
式(II)の、L2は、奇数個のメチンからなるメチン鎖である。L2は、3個、5個又は7個のメチンからなるメチン鎖であることが好ましく、5個のメチンからなるメチン鎖であること特に好ましい。メチンは置換基を有していてもよい。置換基を有するメチンは中央の(メソ位の)メチンであることが好ましい。置換基の例には、ハロゲン原子、シアノ基、ニトロ基、ヒドロキシル基、カルボキシル基、アミノ基、ホルミル基、カルバモイル基、ウレイド基、ウレタン基、メルカプト基、スルホ基、スルファモイル基、脂肪族基、芳香族基、複素環基、−O−R、−CO−R、−CO−O−R、−O−CO−R、−NH−R、−NR2、−NH−CO−R、−CO−NH−R、−CO−NR2、−NH−CO−NH−R、−NH−CO−NR2、−NH−CO−O−R、−S−R、−SO2−R、−SO2−O−R、−NH−SO2−R、−SO2−NH−R、−SO2−NR2が含まれる。Rは、それぞれ独立に、脂肪族基、芳香族基又は複素環基である。メチン鎖の二つの置換基が結合して5員環又は6員環を形成してもよい。
式(II)の、X2は、水素原子又はカチオンである。カチオンの例には、アルカリ金属(例えば、Na、K)イオン、アンモニウムイオン、トリエチルアンモニウムイオン、トリブチルアンモニウムイオン、ピリジニウムイオン及びテトラブチルアンモニウムイオンが含まれる。以下に、オキソノール染料の例を示す。
Figure 2010072575
Figure 2010072575
Figure 2010072575
Figure 2010072575
Figure 2010072575
Figure 2010072575
Figure 2010072575
Figure 2010072575
式(II)で表されるオキソノール染料は、特開平7−230671号公報、欧州特許0778493号及び米国特許5459265号の各明細書の記載を参照して合成できる。
可視域の高透過率を得るためにシアニン染料、又はオキソノール染料を会合状態で用いることも好ましい。下記式(III)で表されるシアニン染料は特に会合状態で好ましく用いることができる。
Figure 2010072575
式(III)の、Z1及びZ2は、それぞれ独立に、5員又は6員の含窒素複素環を形成する非金属原子群である。Z1及びZ2の定義、例及び置換基は、式(I)と同様である。式(III)の、R1及びR2は、それぞれ独立に、脂肪族基又は芳香族基である。脂肪族基及び芳香族基の定義及び例は、前述した通りである。式(III)の、L3は、3個、5個、又は7個のメチンからなるメチン鎖である。式(III)の、a、b及びcは、それぞれ独立に、0又は1である。式(III)の、縮環してもよい5員又は6員の含窒素複素環は、置換されていてもよいベンゾオキサゾール環、ベンゾチアゾール環、ベンゾイミダゾール環、及びインドレニン環が好ましい。X1は、アニオンである。アニオンの定義及び例は、式(I)と同様である。式(III)の、式(III)のシアニン染料は、カルボキシル基、又はスルホ基のいずれかを置換基として含むことが好ましい。以下に、式(III)で表されるシアニン染料の例を示す。
Figure 2010072575
Figure 2010072575
Figure 2010072575
Figure 2010072575
Figure 2010072575
Figure 2010072575
フィルター層に、褪色防止剤、酸化防止剤や紫外線防止剤を添加してもよい。褪色防止剤には、ハイドロキノン誘導体、ハイドロキノンジエーテル、フェノール誘導体、スピロインダン、メチレンジオキシベンゼン、クロマン、スピロクロマン、クマラン誘導体、ハイドロキノンモノエーテル、p−アミノフェノール誘導体及びビスフェノール誘導体が含まれる。ハイドロキノン誘導体については、米国特許3935016号、同3982944号の各明細書に記載がある。ハイドロキノンジエーテルについては、米国特許4254216号明細書、特開昭55−21004号公報に記載がある。フェノール誘導体については、特開昭54−145530号公報に記載がある。スピロインダン、メチレンジオキシベンゼンについては、英国特許2062888号、同2077455号の各明細書に記載がある。クロマン、スピロクロマン、クマラン誘導体については、米国特許3432300号、同3573050号、同3574627号、同3764337号の各明細書、特開昭52−152225号、同53−17729号、同53−20327号、同61−90156号の各公報に記載がある。ハイドロキノンモノエーテル、p−アミノフェノール誘導体については、英国特許1347556号、同2066975号の各明細書、特公昭54−12337号、特開昭55−6321号の各公報に記載がある。ビスフェノール誘導体については、米国特許3700455号明細書、特公昭48−31625号公報に記載がある。
金属錯体(米国特許4245018号明細書、特開昭60−97353号公報記載)や一重項酸素クウェンチャーをフィルター層に添加しても良い。一重項酸素クウェンチャーには、ニトロソ化合物(特開平2−300288号公報記載)、ジインモニウム化合物(米国特許465612号明細書記載)、ニッケル錯体(特開平4−146189号公報記載)及び酸化防止剤(欧州特許820057A1号明細書記載)が含まれる。
フィルター層の厚さは0.1μm〜1cmであることが好ましく、0.5μm〜100μmであることがさらに好ましい。
本発明の赤外光吸収フィルターは上記で示したメチン染料が5種類以上からなり、5〜10種類が好ましい。用いる染料の比率は、必要な光学プロファイルに応じ任意に選んでよい。
本発明の赤外光吸収フィルターの700nm〜1,100nmの範囲における最大透過率は15%以下である。より好ましくは10%以下であり、最も好ましくは3%以下である。一方、400nm〜700nmの範囲では最大透過率は70%以上、より好ましくは80%以上、最も好ましくは90%以上である。また650nmの透過率が40%以上であることが色再現上好ましい。さらに好ましくは50%以上、最も好ましくは60%以上である。
本発明の染料を水に溶解し、ゼラチン又は塩(例えば、塩化バリウム、塩化カルシウムなど)を添加して水中で会合体色素とすることができる。また、固体微粒子として分散させて会合体色素とすることもできる。分散は、色素のカリウム塩又はナトリウム塩でも可能であり、さらに、色素の水溶液に金属塩(例えば、塩化マグネシウム、塩化亜鉛、又は塩化バリウム)の水溶液を添加してレーキ顔料化して使用することもできる。逆に上記金属塩の水溶液に染料水溶液を添加してもよい。
本発明の色素の固体微粒子分散物は、例えば、株式会社技術情報協会発行の「顔料分散技術−表面処理と分散剤の使い方及び分散性評価−」、株式会社朝倉書店発行の「顔料の事典」、株式会社技術情報協会発行の「最新『顔料分散』実務ノウハウ・事例集」に詳しく記載されている。固体微粒子分散物にするためには、通常の分散機を用いることができる。分散機の例には、ボールミル、振動ボールミル、遊星ボールミル、サンドミル、コロイドミル、ジェットミル及びローラミルが含まれる。分散機については、特開昭52−92716号公報、及び国際公開第88/074794号パンフレットに記載がある。縦型又は横型の媒体分散機が好ましい。
分散は、適当な媒体(例、水、アルコール、シクロヘキサノン、2−メトキシ−1−メチルエチルアセテート)の存在下で実施してもよい。分散用界面活性剤を用いることが好ましい。分散用界面活性剤としては、アニオン界面活性剤(特開昭52−92716号公報及び国際公開第88/074794号パンフレットに記載)が好ましく用いられる。必要に応じてアニオン性ポリマー、ノニオン性界面活性剤あるいはカチオン性界面活性剤を用いてもよい。
本発明の染料を適当な溶媒中に溶解した後、その溶液に貧溶媒を添加して、微粒子化し、必要に応じてその粉末を得てもよい。この場合も、上記の分散用界面活性剤を用いてもよい。あるいはpHを調整することによって溶解し、次にpHを変化させて色素の微粒子を析出させてもよい。この微粒子も上述した会合体染料であることが好ましい。
会合体染料が微粒子(又は微結晶)である場合、平均粒径1,000μm以下であることが好ましく、0.001μm〜100μmであることがより好ましく、0.005μm〜50μmであることが特に好ましい(本発明において、平均粒径とは特に断わらない限り、体積平均粒径をいい、レーザー回折散乱法又は動的光散乱法を用いて測定したものをいう。)。
本発明の色素の分散性を向上させる目的で通常の顔料用分散剤や界面活性剤を添加することができる。これらの分散剤としては、多くの種類の化合物が用いられるが、例えば、フタロシアニン誘導体(市販品:EFKA−745(商品名、エフカ社製))、ソルスパース5000(商品名、ゼネカ(株)製);オルガノシロキサンポリマーKP341(商品名、信越化学工業(株)製)、(メタ)アクリル酸系(共)重合体ポリフローNo.75、No.90、No.95(商品名、共栄社油脂化学工業(株)製)、W001(商品名、裕商(株)製)等のカチオン系界面活性剤;ポリオキシエチレンラウリルエーテル、ポリオキシエチレンステアリルエーテル、ポリオキシエチレンオレイルエーテル、ポリオキシエチレンオクチルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンノニルフェニルエーテル、ポリエチレングリコールジラウレート、ポリエチレングリコールジステアレート、ソルビタン脂肪酸エステル、エマルゲンA60(商品名、花王(株)製)等のノニオン系界面活性剤;W004、W005、W017(商品名、裕商(株)製)、ドデシルベンゼンスルホン酸Na、デモールSNB(商品名、花王(株)製)等のアニオン系界面活性剤;EFKA−46、EFKA−47、EFKA−47EA、EFKAポリマー100、EFKAポリマー400、EFKAポリマー401、EFKAポリマー450(以上、商品名、森下産業(株)製)、ディスパースエイド6、ディスパースエイド8、ディスパースエイド15、ディスパースエイド9100(商品名、サンノプコ(株)製)等の高分子分散剤;ソルスパース3000、5000、9000、12000、13240、13940、17000、24000、26000、28000などの各種ソルスパース分散剤(商品名、ゼネカ(株)製);アデカプルロニックL31、F38、L42、L44、L61、L64、F68、L72、P95、F77、P84、F87、P94、L101、P103、F108、L121、P−123(商品名、旭電化(株)製)及びイソネットS−20(商品名、三洋化成(株)製)が挙げられる。
上記分散剤は、単独で用いてもよくまた2種以上組み合わせて用いてもよい。上記分散剤の本発明の組成物中の添加量は、色素100質量部に対して1〜150質量部が好ましい。
以下に本発明を実施例によりさらに詳細に説明するが、本発明はそれらにより限定されるものではない。
〔実施例1〕
本発明の化合物(例示化合物III−10)0.5g、エマルゲンA60(花王(株)製)0.05g、ジルコニアビーズ(0.1mm)10g、蒸留水10gの混合物を、遊星型ボールミル(ドイツ フリッチュ社製)を用いて分散し、分散物を得た。得られた粒子の平均粒子半径は0.25μmであった。
10質量%ゼラチン水溶液2.0gに上記で得られた分散物1.2gを加え、40℃で3時間攪拌した。
同様にして例示化合物III−11からIII−17についてもそれぞれゼラチン分散物を作成した。
作成したゼラチン分散液を表1のように組み合わせ、赤外光吸収材料を調製した。赤外光吸収材料をガラス基板にスピンコートし赤外光吸収フィルターを得た。
Figure 2010072575
(株)日立製作所製U−4100を用いて、得られた赤外光吸収フィルターの透過率測定を行った。結果を表2に示す。
Figure 2010072575
表2より、本発明のメチン色素を5種類以上使用することにより700nm〜1,100nmの赤外域での透過率が低く、かつ可視域の透過率が高い赤外光吸収フィルターが得られることがわかる。色素使用種類を増すと700nm〜1,100nmの範囲の最大透過率をさらに低下させることも可能である。
半導体撮像装置200の1画素の個体撮像素子pijの構造例を示す断面図である。
符号の説明
11・・・シリコン基板(基板)、12・・・p−WELL(半導体埋め込み層)、13・・・n型の不純物領域、14・・・p型の不純物領域、15・・・受光窓部、16・・・ゲート絶縁膜、17・・・絶縁性の膜(SiO2膜)、18・・・チャネルストッパ、19・・・電荷転送用の電極部、20・・・センサ部(撮像素子アレイ)、21・・・平坦化層、22・・・遮光膜、26・・・カラーフィルター層、27・・・オンチップレンズ、28・・・n型の不純物領域、200・・・半導体撮像装置

Claims (8)

  1. 5種類以上のメチン染料から構成されていることを特徴とする赤外光吸収フィルター。
  2. 700nmから1,100nmの範囲における最大透過率が15%以下である請求項1に記載の赤外光吸収フィルター。
  3. 650nmの透過率が40%以上である請求項1又は2に記載の赤外光吸収フィルター。
  4. 前記メチン染料がシアニン染料、及び/又はオキソノール染料である請求項1〜3いずれか1つに記載の赤外光吸収フィルター。
  5. 前記メチン染料が下記式(I)、及び/又は下記式(II)で表される染料である請求項1〜4いずれか1つに記載の赤外光吸収フィルター。
    Figure 2010072575
    (式中、Z1及びZ2は、それぞれ独立に、縮環してもよい5員又は6員の含窒素複素環を形成する非金属原子群であり;R1及びR2は、それぞれ独立に、脂肪族基又は芳香族基であり;L1は、奇数個のメチンからなるメチン鎖であり;a、b及びcは、それぞれ独立に、0又は1であり;そして、X1は、アニオンである。)
    Figure 2010072575
    (式中、Y1及びY2は、それぞれ独立に、脂肪族環又は複素環を形成する非金属原子群であり、L2は、奇数個のメチンからなるメチン鎖である。X2は、水素原子又はカチオンである。)
  6. 前記メチン染料が下記式(III)で表されるシアニン染料である請求項1〜4いずれか1つに記載の赤外光吸収フィルター。
    Figure 2010072575
    (式中、Z1及びZ2は、それぞれ独立に、縮環してもよい5員又は6員の含窒素複素環を形成する非金属原子群であり;R1及びR2は、それぞれ独立に、脂肪族基又は芳香族基であり;L3は、3個、5個、又は7個のメチンからなるメチン鎖であり;a、b及びcは、それぞれ独立に、0又は1であり;そして、X1は、アニオンである。)
  7. 前記式(III)で表されるシアニン染料の縮環してもよい5員又は6員の含窒素複素環が、置換されていてもよいベンゾオキサゾール環、ベンゾチアゾール環、ベンゾイミダゾール環、及びインドレニン環よりなる群から選ばれた環である請求項6に記載の赤外光吸収フィルター。
  8. 前記式(III)で表されるシアニン染料のa、b、及びcが0である請求項7に記載の赤外光吸収フィルター。
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