JP2010069964A - フロントサスペンションメンバ - Google Patents
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Abstract
【課題】車体の幅方向に亘って配置され、その幅方向に延在するスタビライザが取り付けられるフロントサスペンションメンバに関し、スタビライザの取付方法を改善したフロントサスペンションメンバを提供する。
【解決手段】スタビライザ51の、このフロントサスペンションメンバ1の表面に沿って延在する部分を、スタビライザ51の延在方向に直交する方向に跨いでスタビライザ51をこのフロントサスペンションメンバ1に取り付ける取付部材4を有し、取付部材4は、一端42がこのフロントサスペンションメンバ1にボルト止めされるとともに他端44がこのフロントサスペンションメンバ1に係止されるものである。
【選択図】 図9
【解決手段】スタビライザ51の、このフロントサスペンションメンバ1の表面に沿って延在する部分を、スタビライザ51の延在方向に直交する方向に跨いでスタビライザ51をこのフロントサスペンションメンバ1に取り付ける取付部材4を有し、取付部材4は、一端42がこのフロントサスペンションメンバ1にボルト止めされるとともに他端44がこのフロントサスペンションメンバ1に係止されるものである。
【選択図】 図9
Description
本発明は、車体の幅方向に亘って配置され、その幅方向に延在するスタビライザが取り付けられるフロントサスペンションメンバに関する。
従来より、四輪車には、一種のサブフレームとしてサスペンションメンバが用いられている(例えば、非特許文献1等参照)。このサスペンションメンバにはサスペンションを構成する各種の部材等が取り付けられ、サスペンションメンバは車体に取り付けられる。サスペンションメンバを用いることにより、各種部材の取付部の剛性が高まり、サスペンションジオメトリィの精度が向上する。また、生産上も組み付け精度や生産効率の向上につながる。
図1は、従来のフロントサスペンションメンバを示す図である。
図1に示すフロントサスペンションメンバ8は、車体の幅方向に亘って配置されるものであり、図1では、右手前側が車体前側になる。以下、車体前側を向いて左右を呼び分ける。この図1では、左手前側が右側になり、右奥側が左側になる。このフロントサスペンションメンバ8は、鉄製のプレス成形品であるベース部81と取付アーム82を有する。取付アーム82は、ベース部81の左右それぞれに溶接されたパイプ状のものであり、左右の取付アーム82それぞれが不図示の車体に取り付けられる。なお、ベース部81の、車体後側の左隅と右隅それぞれにも、車体取付用の取付孔83が設けらている。また、このフロントサスペンションメンバ8の左右それぞれには、不図示のロアアームが取り付けられる。ベース部81の左右それぞれには、クレビス構造のロアアーム取付部84も設けられている。さらに、ベース部81には、車体幅方向に延在する不図示のスタビライザが取り付けられる。このスタビライザは、ベース部81の左右それぞれで、同じく不図示のバンド部材によって取り付けられる。この不図示のバンド部材は、その両端それぞれがベース部81にボルト止めされる。このため、ベース部81の左右には、このバンド部材をボルト止めするためのボルト孔85が2つずつ設けられている。
また、ベース部81の左右それぞれには、ここでは不図示のステアリングギアボックスを取り付けるギアボックス取付部861,862も溶接されている。図1に示すベース部81の右側には、先端に取付孔8611が1つ設けられたアーム状のギアボックス取付部861が溶接されており、左側には、先端に取付孔8621が2つ設けられた台座状のギアボックス取付部862が溶接されている。
図2は、図1に示すフロントサスペンションメンバに、各種の部材を取り付けた様子を示す図である。
図2では、左奧側が車体前側になり、右奧側が右側になり、左手前側が左側になる。また、図2に示すフロントサスペンションメンバ8には、ステアリングギアボックス93が取り付けられている。図2には、ステアリングギアボックス93に設けられたピニオンハウジング931が図示されている。また、図2に示すフロントサスペンションメンバ8の左右それぞれには、ロアアーム94が取り付けられている。このロアアーム94にはステアリングナックル941が接続している。図2に示すステアリングナックル941には、ハブ942が取り付けられている。このハブ942には、ドライブシャフト947が不図示のベアリングを介して連結している。また、このステアリングナックル941はショックアブソーバ943に連結しており、そのショックアブソーバ943を周回するようにコイルスプリング944が配置されている。さらに、ステアリングナックル941にはタイロッド945が連結している。加えて、図2に示すフロントサスペンションメンバ8のベース部81には、車体幅方向に延在するスタビライザ946が、ボルト9461止めされたバンド部材9462によって取り付けられている。
永田元輔編集、「モータファン別冊 ニューモデル速報 No.375 SUZUKI SX4のすべて」、株式会社三栄書房、平成18年8月26日発行、第47頁
永田元輔編集、「モータファン別冊 ニューモデル速報 No.375 SUZUKI SX4のすべて」、株式会社三栄書房、平成18年8月26日発行、第47頁
このように、フロントサスペンションメンバ8には、各種の部材が取り付けられるが、少しでもコストを下げるために、フロントサスペンションメンバ8’への部材の取付方法を改善し、加工費を削減したり、取付時間を短くすることが望まれる。
本発明は上記事情に鑑み、スタビライザの取付方法を改善したフロントサスペンションメンバを提供することを目的とするものである。
上記目的を解決する本発明のフロントサスペンションメンバは、車体の幅方向に亘って配置され、その幅方向に延在するスタビライザが取り付けられるフロントサスペンションメンバにおいて、
上記スタビライザの、このフロントサスペンションメンバの表面に沿って延在する部分を、そのスタビライザの延在方向に直交する方向に跨いでそのスタビライザをこのフロントサスペンションメンバに取り付ける取付部材を有し、
上記取付部材は、一端がこのフロントサスペンションメンバにボルト止めされるとともに他端がこのフロントサスペンションメンバに係止されるものであることを特徴とする。
上記スタビライザの、このフロントサスペンションメンバの表面に沿って延在する部分を、そのスタビライザの延在方向に直交する方向に跨いでそのスタビライザをこのフロントサスペンションメンバに取り付ける取付部材を有し、
上記取付部材は、一端がこのフロントサスペンションメンバにボルト止めされるとともに他端がこのフロントサスペンションメンバに係止されるものであることを特徴とする。
フロントサスペンションメンバに取り付けられた上記スタビライザには、スタビライザの軸心回りの方向にねじれる力は加わるが、そのスタビライザをフロントサスペンションメンバから引きはがそうとする大きな力は加わらない。そこで、本発明のフロントサスペンションメンバでは、上記取付部材の他端をフロントサスペンションメンバに係止する構造とし、タップ加工等を不要として加工費を削減させた。また、こうすることで、上記取付部材の、フロントサスペンションメンバへの取付時間も短縮することができる。
さらに、本発明のフロントサスペンションメンバにおいて、上記表面に設けられた、上記取付部材の上記他端が差し込まれる係合孔を有し、
上記取付部材は、上記他端が上記係合孔に差し込まれた後にその他端がその係合孔を画定する縁に係合する態様であることが好ましい。
上記取付部材は、上記他端が上記係合孔に差し込まれた後にその他端がその係合孔を画定する縁に係合する態様であることが好ましい。
この態様によれば、上記取付部材の上記他端が、このフロントサスペンションメンバにより確実に係止される。
本発明によれば、スタビライザの取付方法を改善したフロントサスペンションメンバを提供することができる。
以下図面を参照して本発明の実施の形態を説明する。
図3は、本発明のフロントサスペンションメンバの一実施形態を斜め上方から見た斜視図である。
図3に示すフロントサスペンションメンバ1は、四輪車の車体の幅方向に亘って配置されるものである。この図3では、左奧側が車体前側になり、左手前側が左側になり、右奥側が右側になる。このフロントサスペンションメンバ1は、アルミニウム合金の鋳物で一体成形されたベース部11を有する。このベース部11は、高真空ダイカスト法によって一体鋳造されたものである。図3に示すベース部11は大物であるが、高真空ダイカスト法を用いることによって薄肉に成形することができる。しかも、ベース部11はアルミニウム合金製であるため、軽量化されている。本実施形態では、ダイカスト用アルミニウム合金材料を用いて、溶湯の射出速度を3m/s以上にするとともに増圧を300kg/cm2以上にして鋳造する。
図3に示すベース部11は、左右それぞれに車体取付アーム部111を有する。車体取付アーム部111は車体幅方向中央側から外側に向けて漸次高くなるアーム状のものである。この車体取付アーム部111の先端には、車体取付用の取付孔1111が設けらている。また、車体取付アーム部111先端の下方には、ロアアーム取付用の筒状のリンク構造112が設けられている。
また、フロントサスペンションメンバ1は、ロアアーム取付用のブラケット12を有する。図3では、ブラケット12が左側に1つしか図示されていないが、ブラケット12はベース部11の裏面側の左右端部分それぞれに、ボルト止めされる。本実施形態のフロントサスペンションメンバ1は、これらベース部11とブラケット12によって、図1に示すフロントサスペンションメンバ8や図2に示すフロントサスペンションメンバ8’と同等の機能を有するものになる。また、本実施形態のフロントサスペンションメンバ1は、アルミニウム合金製のため、図1に示すフロントサスペンションメンバ8よりも軽量化されている。
図4は、図3に示すベース部を斜め左側から見たときの図であり、図5は、図3に示すベース部を下方から見たときの図である。
図4に示すブラケット12は、アルミニウム合金の板材(例えば展伸材)をプレス加工して得られたものであり、略三角形の形状である。この略三角形のブラケット12の各頂点付近には取付孔121〜123が設けられている。図4に示すように、最も大きな取付孔121には、ベース部11の、車体後側の左右の隅それぞれに設けられたボルト孔1101に通される不図示のボルトが挿通される。なお、このボルト孔1101に通される不図示のボルトは、ベース部11を不図示の車体に取り付ける役目も兼ねている。また、車体中央側の小さな取付孔122には、図5に示すベース部11の裏面に設けられた車体中央側に寄ったボルト孔1102に通される不図示のボルトが挿通される。さらに、車体前側の小さな取付孔123には、図5に示すベース部11の裏面に設けられた車体前側のボルト孔1103に通される不図示のボルトが挿通される。図3や図4に示すように、ブラケット12は、ベース部11に向けて突出した円錐台形の突部125を有する。この突部125には、挿通孔1251が設けられている。また、ベース部11には、その突部125の真上になる位置に、挿通孔1104が設けられており、これら2つの挿通孔1251,1104は対向してクレビス構造を形成している。本実施形態のフロントサスペンションメンバ1では、鋳造方案を容易にし、低コストにベース部11を鋳造するために、ベース部11にはクレビス構造を設けず、ブラケット12と組み合わせることによって、クレビス構造を形成している。
本実施形態のベース部11に取り付けられるロアアームは、リンク構造とクレビス構造を有するものであり、そのロアアームのリンク構造は、ベース部11とブラケット12の間に入れ込まれ、ロアアームのクレビス構造は、ベース部11に設けられた筒状のリンク構造112を挟み込む。
また、図5に示すように、ベース部11の裏面側には、多数のリブ113がはりめぐらされている。これらのリブ113も、鋳造によって一体成形されたものである。
図6は、図3に示すベース部の鋳造方案を説明するための図である。
図6(a)では、図3に示すベース部を鋳造する際のゲートにおける湯流れが、白抜きの太い矢印で示されている。ベース部11を鋳造する際には、車体後側になる方から車体幅方向略全長にわたって溶湯が射出される。
図6(b)では、ベース部11を鋳造するキャビティ内の湯流れの方向を、ベース部11に示す矢印で表している。上述のごとく、車体取付アーム部111は車体幅方向中央側から外側に向けて漸次高くなるアーム状のものであり、その車体取付アーム部111の先端までの溶湯流路に目立って上方へ突出した部位はない。このため、図6(b)に示す矢印のように、ゲートからキャビティ内に入り込んだ溶湯は、ベース部11の中で最も高い位置にある車体取付アーム部111先端に向かってスムーズに流れる。
また、図3には、クロスメンバーフロントロア2が示されている。このクロスメンバーフロントロア2も、フロントサスペンションメンバ1のベース部11と同じように、高真空ダイカスト法によって一体鋳造されたアルミニウム合金製のものであり、鉄製のプレス成形品であるクロスメンバーフロントロアよりも軽量化されている。図3に示すクロスメンバーフロントロア2には、ラジエタを取り付けるためのラジエタ取付部21が一体成形されている。なお、ここに示す例では、車体前後方向に延在するメンバーマウンチングが省略され、クロスメンバーフロントロア2とフロントサスペンションメンバ1のベース部11にエンジンが載置される。クロスメンバーフロントロア2の車体後側中央部分と、ベース部11の車体前側中央部分それぞれには、エンジンを固定するためのボルト孔22,114が設けられている。
さらに、図3には、右ハンドル用のステアリングギアボックス3が示されている。図3に示すステアリングギアボックス3は、車体幅方向に延在するものであり、ラックハウジング31とピニオンハウジング32を有する。ラックハウジング31は、車体幅方向に延びるものであり、ラックが内蔵されている。ピニオンハウジング32は、車体幅方向から突出したものであり、ピニオンが内蔵されている。不図示のステアリングシャフトは、同じく不図示のステアリングシャフトジョイントを介してピニオンハウジング32に連結している。ステアリングギアボックスは、左ハンドル用と右ハンドル用で、このピニオンハウジング32の位置が異なっている。図3に示す右ハンドル用のステアリングギアボックス3では、ピニオンハウジング32は、車体幅方向中央より右側に設けられている。また、このステアリングギアボックス3は、左側に2つの取付部33,34を有するとともに、右側に1つの取付部35を有する。これらの取付部33〜35は、車体幅方向に間隔をあけて設けられたものである。左側の2つの取付部33,34のうち、一方の取付部33は左側に向かって相対的に高い位置で延在するものであり、もう一方の取付部34は車体後側に向かって相対的に低い位置で延在するものである。これら左側の2つの取付部33,34はいずれも、先端に下方に向けて開口したボルト孔331,341を有する。また、右側の取付部35も、先端に下方に向けて開口したボルト孔351を有し、このボルト孔351は、左側に向かって延在する取付部33のボルト孔331と、車体幅方向に沿った同一直線上に存在するとともに同じ高さ位置に存在する。したがって、相対的に低い位置で延在する左側に設けられた取付部34は、他の取付部33,35に比べて下方に延びた脚部342を有するものである。
一方、フロントサスペンションメンバ1のベース部11には、ステアリングギアボックス取付け用のボルト孔1151〜1154が左右に2つずつ、合計4つ設けられている。すなわち、これら4つのボルト孔1151〜1154は、車体幅方向に間隔をあけて、その幅方向の中央を除く位置に設けられたものである。また、図3に示す4つのボルト孔1151〜1154は、車体幅方向中央を基準にして線対象になる位置関係にある。すなわち、これら4つのボルト孔1151〜1154は、左右に2つずつ設けられ、車体幅方向中央を通る、その幅方向に直交する基準線(車体前後方向に延びる基準線)Lに対して左右対称となる位置に設けられたものである。左右に2つずつ設けられたボルト孔のうち、車体幅方向中央側のボルト孔1152,1153は、車体幅方向に沿った同一直線上に存在し、相対的に車体後側かつ低い位置に設けられている。一方、外側のボルト孔1151,1154も車体幅方向に沿った同一直線上に存在するが、これらのボルト孔1151,1154は、相対的に車体前側かつ高い位置に設けられている。
図3に示す右ハンドル用のステアリングギアボックス3の、左側に向かって延在する取付部33のボルト孔331は、フロントサスペンションメンバ1のベース部11の左側に設けられた、相対的に車体前側かつ高い位置のボルト孔1151に一致させ、両ボルト孔331,1151に不図示のボルトを通してボルト締めする。また、そのステアリングギアボックス3の、車体後側に向かって延在する取付部34のボルト孔341は、フロントサスペンションメンバ1のベース部11の左側に設けられた、相対的に車体後側かつ低い位置のボルト孔1152に一致させ、両ボルト孔341,1152に不図示のボルトを通してボルト締めする。さらに、そのステアリングギアボックス3の、右側に設けられた取付部35のボルト孔351は、フロントサスペンションメンバ1のベース部11の右側に設けられた、相対的に車体前側かつ高い位置のボルト孔1154に一致させ、両ボルト孔351,1154に不図示のボルトを通してボルト締めする。図3に示す右ハンドル用のステアリングギアボックス3は、ベース部11に3箇所で取り付けられるため、ベース部11に安定した状態で取り付けられる。なお、フロントサスペンションメンバ1のベース部11の右側に設けられた、相対的に車体後側かつ低い位置のボルト孔1153はボルト締めに用いられない。すなわち、図3に示す右ハンドル用のステアリングギアボックス3に、車体幅方向に間隔をあけて設けられた3つの取付部33〜35は、ベース部11の4つのボルト孔1151〜1154から1つのボルト孔1153を除いた残りの取付部1151,1152,1154に取り付けられる。
ステアリングギアボックス3が取り付けられたベース部11では、ステアリングギアボックス3のラックハウジング31との間に、ある程度の間隔が確保される。この間隔は、不図示のエキゾーストパイプや同じく不図示の四輪駆動用のドライブシャフトを通す間隔になる。
また、本実施形態のフロントサスペンションメンバ1はバンド部材を有するものである。
図7は、本実施形態のフロントサスペンションメンバ1が有するバンド部材の斜視図である。
図7に示すバンド部材4は、ここでは不図示のパイプ状のスタビライザ(図2に示す符号“946”参照)を図3等に示すベース部11に取り付けるためのものであり、本発明にいう取付部材の一例に相当する。このバンド部材4は、鉄板を打ち抜き加工して得られた可撓性のあるものであり、パイプ状のスタビライザの径よりも大きなU字部41を有する。このU字部41は帯状の鉄板がU字状に折り曲げられた部位である。U字部41の一端側は、90度に折り曲げられ、その折り曲げられた部位にはボルト孔42が設けられている。また、U字部41の他端側には、切欠部43が設けられており、バンド部材4の幅が極端に細くなっている。この切欠部43の先、すなわちバンド部材4の、ボルト孔42が設けられた側と反対側の端部には、矩形状の係合片44が設けられている。
図3や図4に示すように、ベース部11の左右それぞれには、図7に示すバンド部材の係合片44が差し込まれる係合孔1105と、そのバンド部材4の一端をボルト止めするためのボルト孔1106が設けられている。
図8は、ベース部に、図7に示すバンド部材を取り付ける様子を示す図である。
図8の左側には、ベース部11全体と図7に示すバンド部材4が示されており、その図8の左側に示すベース部11の丸で囲った部分(左側の係合孔1105周辺の部分)は、図8の右側に拡大して示されている。ベース部11に設けられた係合孔1105は、車体前後方向に長い長方形の孔である。この係合孔1105の長手方向の長さは、バンド部材4の係合片44の長手方向の長さより僅かに長い。バンド部材4は、一端に設けられたボルト孔42をベース部11のボルト孔1106に一致させた姿勢(図8の左側に示すベース部11の右側に示されたバンド部材4参照)から、他端の係合片44を回転中心にしてバンド部材4を反時計回りに90度回転させた姿勢(図8の右側に拡大して示すバンド部材4参照)にすると、係合片44を係合孔1105に差し込むことができる。こうして、係合片44を係合孔1105に差し込み(図8の右側に拡大して示す図中の矢印(1)参照)、係合孔1105には、バンド部材4の切欠部43が設けられた部分431(図7も参照)が位置する。バンド部材4の切欠部43が設けられた部分431の幅は、ベース部11に設けられた係合孔1105の短手方向の長さよりもわずかに短い。次いで、不図示のスタビライザを、ベース部11の表面に沿って延在させる。スタビライザの、バンド部材4によって固定される部位には、ここでは不図示の緩衝部材が設けられている。続いて、係合片44を係合孔1105に差し込んだ状態で、今度は、バンド部材4を時計回りに90度回転させる(図8の右側に拡大して示す図中の矢印(2)参照)。この際、バンド部材4は、ベース部11の表面に沿って延在するスタビライザと干渉するが、バンド部材4の可撓性を利用して、バンド部材4のボルト孔42が設けられた側を持ち上げながらバンド部材4を回転させ、バンド部材4のU字部41がスタビライザを跨ぎ、バンド部材4のボルト孔42とベース部11のボルト孔1106が一致する。バンド部材4の係合片44の上縁441(図7も参照)は、ベース部11の、係合孔1105を画定する縁1105aに裏側から引っかかり、係合片44が係止される。最後に、バンド部材4の一端に設けられたボルト孔42と、ベース部11のボルト孔1106に不図示のボルトを通してボルト締めする。
図9は、図7に示すバンド部材によってスタビライザが取り付けられたベース部を示す図である。
図9の左側には、バンド部材4によってスタビライザ51が取り付けられたベース部11全体が示されており、その図9の左側に示すベース部11の丸で囲った部分(左側に取り付けられたバンド部材4周辺の部分)は、図9の右側に拡大して示されている。なお、この図9の左側では、スタビライザ51の、ベース部11の表面に沿って延在する部分のみを示すにとどまる。図9の右側に拡大して示されるバンド部材4の一端はボルト55で固定されており、他端はベース部11に係止されている。また、そのバンド部材4では、U字部41が、スタビライザ51の、ベース部11の表面に沿って延在する部分を、スタビライザ51の延在方向に直交する方向に跨いでいる。スタビライザ51の、U字部41が跨いだ部分には、緩衝部材56が設けられている。すなわち、スタビライザ51はその緩衝部材52を介してバンド部材4によってベース部11に取り付けられている。
こうしてベース部11に取り付けられたスタビライザ51には、スタビライザ51の軸心回りの方向にねじれる力は加わるが、そのスタビライザ51をベース部11から引きはがそうとする大きな力は加わらない。本実施形態のフロントサスペンションメンバ1では、バンド部材4の係合片44をベース部11に係止する構造とし、タップ加工等を不要として加工費を削減させた。また、こうすることで、バンド部材4の、ベース部11への取付時間も短縮されている。
なお、鉄板を打ち抜き加工して得られたバンド部材4に代えて、樹脂製の取付部材を用いてもよい。例えば、スリットが設けられ樹脂の可撓性を利用して半径方向に縮径可能な端部を有する樹脂製の取付部材のその端部を、ベース部11の係合孔1105に押し込んで、ベース部11に係止させてもよい。また、本実施形態では、フロントサスペンションメンバ1をアルミニウム合金製のものとしたが、本発明のフロントサスペンションメンバは材質に関係なく、例えば、鉄製であってもよい。さらに、本実施形態におけるフロントサスペンションメンバ1のベース部11は一体成形された鋳造品であったが、展伸材をプレス加工して成型されたものであってもよい。
1 フロントサスペンションメンバ
11 ベース部
111 車体取付アーム部
1105 係合孔
1106 ボルト孔
12 ブラケット
3 ステアリングギアボックス
4 バンド部材
41 U字部
42 ボルト孔
44 係合片
51 スタビライザ
55 ボルト
11 ベース部
111 車体取付アーム部
1105 係合孔
1106 ボルト孔
12 ブラケット
3 ステアリングギアボックス
4 バンド部材
41 U字部
42 ボルト孔
44 係合片
51 スタビライザ
55 ボルト
Claims (2)
- 車体の幅方向に亘って配置され、該幅方向に延在するスタビライザが取り付けられるフロントサスペンションメンバにおいて、
前記スタビライザの、このフロントサスペンションメンバの表面に沿って延在する部分を、該スタビライザの延在方向に直交する方向に跨いで該スタビライザをこのフロントサスペンションメンバに取り付ける取付部材を有し、
前記取付部材は、一端がこのフロントサスペンションメンバにボルト止めされるとともに他端がこのフロントサスペンションメンバに係止されるものであることを特徴とするフロントサスペンションメンバ。 - 前記表面に設けられた、前記取付部材の前記他端が差し込まれる係合孔を有し、
前記取付部材は、前記他端が前記係合孔に差し込まれた後に該他端が該係合孔を画定する縁に係合するものであることを特徴とする請求項1記載のフロントサスペンションメンバ。
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---|---|---|---|
JP2008237230A JP2010069964A (ja) | 2008-09-16 | 2008-09-16 | フロントサスペンションメンバ |
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Cited By (3)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2012061918A (ja) * | 2010-09-15 | 2012-03-29 | Suzuki Motor Corp | 車両のトルクロッド取付構造 |
JP2012136195A (ja) * | 2010-12-27 | 2012-07-19 | Daihatsu Motor Co Ltd | サスペンションメンバ |
KR20160140634A (ko) | 2014-03-31 | 2016-12-07 | 가부시키가이샤 요로즈 | 서스펜션 부재 및 그 제조 방법 |
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2008
- 2008-09-16 JP JP2008237230A patent/JP2010069964A/ja active Pending
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