JP2010066217A - 空調音の音質評価方法および空調ユニット - Google Patents

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正男 春日
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Abstract

【課題】人間の聴覚機能に基づいた空調音の心地よさの感覚を、暖房時と冷房時とで適切に評価することができる空調音の音質評価方法を提供すること。
【解決手段】評価対象となる空調音データを採取する空調音データ採取手順と、採取された空調音データから、音の大きさであるラウドネスのスペクトルを描き、スペクトル面積の重心を求め、重心位置が高周波数側であるほど高い値となるシャープネス値を計算するシャープネス計算手順と、シャープネス計算手順により計算されたシャープネス値に基づいて心地よい空調音であるか否かを評価する音質評価手順と、を備え、前記音質評価手順において、暖房時には、シャープネス値が、あらかじめ設定された暖房時評価設定範囲内であるか否かに基づいて評価し、冷房時には、シャープネス値が、あらかじめ設定された冷房時評価設定範囲内であるか否かに基づいて評価することを特徴とする空調音の音質評価方法とした。
【選択図】図1

Description

本発明は、車両用空調装置などの空調装置の空調音の音質評価に適用され、採取された空調音データに基づき空調音の音質を定量的に評価する空調音の音質評価方法、および音質評価に優れた空調ユニットに関する。
従来、空調装置の運転音などの音質を、専門家を要することなく定量的に評価することを目的とし、集音された音波形のデータを所定周波数成分に分析し、この周波数成分毎の音圧レベルの変動量を求め、この変動量に対して予め聴感実験などにより得られたデータに基づいて聴感補正を行う音質検知方法が知られている(例えば、特許文献1参照)。
特開平3−82922号公報
しかしながら、従来の音質検知方法にあっては、音の各周波数成分の変動量を測定し、変動の音圧レベル(音圧振幅)の大きさに応じた聴感補正を行うものであるため、音圧振幅が同じで周波数が異なる2つの音の場合、両者は同じ補正が行なわれることになり、人間の聴感にあった評価が行われているとは言えなかった。
すなわち、人間が接するほとんどの音は、音圧振幅が時間的に変動しているが、その変動の仕方によって、不快な音と感じたり心地よい音と感じたりする。例えば、音圧振幅が同じで、30Hzの周波数で変動している場合と、300Hzの周波数で変動している場合とを比べると、30Hzの周波数で変動している音が、300Hzの周波数で変動している音より変動感が強く、300Hzの周波数で変動している音は変動感が弱い。従来の音質検知方法は、この違いを評価できず、人間の聴感の特性を十分に考慮しているとはいえなかった。
そして、空調装置では、暖房および冷房を行うが、温かみが得られる音と、涼感が得られる音とは、異なると考えられる。
しかしながら、従来技術では、このように、暖房時と冷房時とを考慮した評価が行われておらず、その点でも、人間の聴感を考慮した評価が行われていなかった。
本発明は、上記問題に着目してなされたもので、人間の聴覚機能に基づいた空調音の心地よさの感覚を、暖房時と冷房時とで適切に評価することができる空調音の音質評価方法およびこの音質評価方法を反映させた空調ユニットを提供することを目的とする。
本願発明者達は、心理音響評価の研究過程で、「暖かみのある」、「涼しげな」という評価語に関し、シャープネス値と相関関係が存在することを解明した。なお、シャープネス値とは、空調音データから、音の大きさであるラウドネスのスペクトルを描き、スペクトル面積の重心を求め、重心位置が高周波数側であるほど高い値となる値である。
上述の目的を達成するために請求項1に記載の発明は、採取された空調音データに基づき空調音の音質を定量的に評価する空調音の音質評価方法において、評価対象となる空調音データを採取する空調音データ採取手順と、採取された空調音データから、音の大きさであるラウドネスのスペクトルを描き、スペクトル面積の重心を求め、重心位置が高周波数側であるほど高い値となるシャープネス値を計算するシャープネス計算手順と、シャープネス計算手順により計算されたシャープネス値に基づいて空調音評価を行う音質評価手順と、を備え、前記音質評価手順において、暖房時には、シャープネス値が、あらかじめ設定された暖房時評価設定範囲内であるか否かに基づいて評価し、冷房時には、シャープネス値が、あらかじめ設定された冷房時評価設定範囲内であるか否かに基づいて評価することを特徴とする空調音の音質評価方法とした。
また、請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の空調音の音質評価方法において、前記音質評価手順にて、前記暖房時評価設定範囲は、シャープネス値が1.4acum以下の範囲に設定され、前記冷房時評価設定範囲は、シャープネス値が1.4acum以上の範囲に設定され、かつ、シャープネス値が、各評価設定範囲に収まっている場合に、空調音が「心地よい」と評価することを特徴とする空調音の音質評価方法とした。
また、請求項3に記載の発明は、請求項2に記載の空調音の音質評価方法において、前記暖房時評価設定範囲は、シャープネス値が1.0〜1.4acumの範囲内の値であり、前記冷房時評価設定範囲は、シャープネス値が1.4〜1.7acumの範囲内の値であることを特徴とする空調音の音質評価方法とした。
また、上述の目的を達成するため、請求項4に記載の発明は、空気取入口から車室に連通された吹出口に向かう送風路を備えるとともに、この送風路の途中に設けられた冷却器の下流に、送風を加熱する加熱器および前記加熱器を迂回するバイパス通路を備えた空調ユニットであって、前記送風路において、前記加熱器で加熱された温風が流れる流路に、前記シャープネス値を設定可能な温風整流部材が設けられていることを特徴とする空調ユニットとした。
また、上述の目的を達成するため、請求項5に記載の発明は、空気取入口から車室に連通された吹出口に向かう送風路を備えるとともに、この送風路の途中に設けられた冷却器の下流に、送風を加熱する加熱器および前記加熱器を迂回するバイパス通路を備えた空調ユニットであって、前記バイパス通路を経た冷風が流れる流路に、前記シャープネス値を設定可能な冷風整流部材が設けられていることを特徴とする空調ユニットとした。
本発明の空調音の音質評価方法では、空調音データ採取手順により評価対象となる空調音データを採取すると、シャープネス計算手順により、採取された空調音データから、音の大きさであるラウドネスのスペクトルを描き、スペクトル面積の重心を求め、重心位置が高周波数側であるほど高い値となるシャープネスを計算する。
そして、音質評価手順で、計算されたシャープネス値を心理音響評価量として人の聴感による音質を評価する。
この音質評価手順において、暖房時には、シャープネス値が、あらかじめ設定された暖房時評価設定範囲内であるか否かに基づいて空調音の評価を行い、冷房時には、シャープネス値が、あらかじめ設定された冷房時評価設定範囲内であるか否かに基づいて空調音の評価を行う。
したがって、本発明では、人間の聴覚機能に基づいた空調音の評価を、暖房時と冷房時とで適切に行うことができる。
すなわち、自動車などの空調音を評価するのにふさわしい評価語としては、本願発明者達が以前の研究で使用した、「激しい」、「カサカサした」、「おとなしい」、「濁った」、「厚みのある」、「広がりのある」、「爽快な」などが存在するが、今回の実験では「暖かみのある」と「涼しげな」の2つの評価語を用いて被験者に主観評価実験を行った。
これらの評価語のうち粗野因子である「激しい」、「かさかさした」、「おとなしい」、「濁った」については、物理量である音圧レベル(騒音レベル)により機械的評価を行うことができる。さらに、本願発明者達は、心理音響評価の対象となる評価語として「暖かみのある」、「涼しげな」についてシャープネス値と相関関係が存在することを解明した。
つまり、実験の結果から、「暖かみのある」と評価されるときのシャープネス値と、「涼しげな」と評価されるシャープネス値とは異なる領域であることを見出した。
このことは、多数ある心理音響評価量のうち、シャープネス値を心理音響評価の音感指標とした場合、「暖かみのある」、「涼しげな」という2つの評価語に対し、総合的に空調音の音質評価を行うことができることになる。
この結果、1つの心理音響評価量であるシャープネス値を用いた簡単な評価手法でありながら、人間の聴覚機能に基づいた空調音の総合的な音質評価、言い換えると、空調音の心地良さの感覚を適切に評価することができる。
さらに、本願発明者達は、実験の結果から、シャープネス値の一定値、すなわち1.4acumを境にして「暖かみのある」と「涼しげな」の評価が相反することを見出した。
そこで、請求項2に記載の発明では、暖房時評価設定範囲と冷房時評価設定範囲とを、1.4acumを境として、前者は1.4acum以下の範囲内、後者を1.4acum以上の範囲内とした。これにより、単純な比較で、暖房時と冷房時との的確な空調音評価を行うことができる。
加えて、本願発明者達は、暖房時評価設定範囲において、シャープネス値が、1.0〜1.4acumの範囲内であれば、「暖かみのある」に加え、心理音評価量のうち「厚みのある」「高級感のある」の評価も良好で、バランスの良い空調音評価となることを見出した。一方、冷房時評価設定範囲において、シャープネス値が、1.4〜1.7acumの範囲内とすることで、心理音評価量のうち好ましくない「カサカサした」という評価を抑えることができ、より良好な空調音評価が得られることを見出した。
そこで、請求項3に記載の発明では、暖房時評価設定範囲を、シャープネス値が1.0〜1.4acumの範囲内の値とし、冷房時評価設定範囲を、シャープネス値が1.4〜1.7acumの範囲内の値とした。これにより、「暖かみのある」「涼しげな」という評価のみ成らず、他の心理音評価量である「高級感のある」「厚みのある」「カサカサした」という評価も良好な空調音評価を得ることができる。
請求項4に記載の空調ユニットでは、暖房時は、空調ユニットの送風路において、加熱器で加熱された温風は、温風整流部材により整流された後、吹出口から車室へ送られる。したがって、温風整流部材により、シャープネス値が、暖房時評価設定範囲内の値となるように設定することができる。
したがって、空調ユニットの空調音評価が、暖房時には「暖かみのある」という評価が高い空調音とすることができる。
請求項5に記載の空調ユニットでは、冷房時は、空調ユニットの送風通路において、冷却器で冷却された冷風は、バイパス通路を通り、冷風整流部材により整流された後、吹出口から車室へ送られる。したがって、冷風整流部材により、シャープネス値が、冷房時評価設定範囲内の値となるように設定することができる。
したがって、空調ユニットの空調音評価が、冷房時には「涼しげな」という評価の高い空調音とすることができる。
以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて説明する。
本発明の実施の形態の空調音の音質評価方法は、評価対象となる空調音データを採取する空調音データ採取手順と、採取された空調音データから、音の大きさであるラウドネスのスペクトルを描き、スペクトル面積の重心を求め、重心位置が高周波数側であるほど高い値となるシャープネス値を計算するシャープネス計算手順と、シャープネス計算手順により計算されたシャープネス値に基づいて空調音判定を行う音質評価手順と、を備え、前記音質評価手順において、暖房時には、シャープネス値が、あらかじめ設定された暖房時評価設定範囲内であるか否かに基づいて判定し、冷房時には、シャープネス値が、あらかじめ設定された冷房時評価設定範囲内であるか否かに基づいて判定することを特徴とする空調音の音質評価方法である。
以下に、図1〜図10に基づいて、この発明の最良の実施の形態の実施例1の空調音の音評価システムAについて説明する。
この実施例1の空調音の音評価システムAを説明するのにあたり、図1に示す自動車のインストルメントパネル1内に搭載された車両用空調装置ACの空調音の音評価を行うものについて説明する。
まず、車両用空調装置ACの構成について説明する。
この車両用空調装置ACは、空調ユニット2を備え、その内部には、ブロワファン21を備えている。
空調ユニット2は、図3に示すように、空気取入口22から、デフ吹出口23、ベント吹出口24、フット吹出口29に至る送風路25を有している。
また、送風路25には、冷却器26が設けられ、かつ、その下流は、送風を加熱する加熱器27を備えた加熱通路25hと、加熱器27を迂回するバイパス通路25bとに、分割されている。さらに、両通路25h,25bの上部には、両通路25h,25bの流量を調節可能なエアミックスドア28が設けられている。また、送風路25において、両通路25h,25bの下流には、バイパス通路25bの冷風と、加熱通路25hの温風とが混合されるエアミックス部25mが設けられている。
したがって、エアミックス部25mで混合されて温度調節された送風は、各吹出口23,24,29から、車室に吹き出される。なお、ベント吹出口24は、図示を省略したダクトを介して、図1に示すように、インストルメントパネル1に開口された、中央ベント吹出口11と、左側ベント吹出口12と、右側ベント吹出口13と、に連通されている。
図3に戻り、送風路25において、エアミックス部25mの上流に、整流部材3が設けられている。この整流部材3は、冷風整流部材と温風整流部材とを一体に形成したもので、図4に示すように、バイパス通路25bに連通された冷風路31と、加熱通路25hに連通された温風路32とが、送風路25を横切る方向に交互に並設されている。
そして、冷風路31には、図5に示す複数の冷風整流板31sが設けられ、温風路32には、図6に示す複数の温風整流板32sが設けられている。
各整流板31s,32sは、それぞれ、後述するシャープネス値を所望の値に設定するもので、冷風整流板31sは、温風整流板32sに対し、相対的にシャープネス値を高く設定可能に形成され、一方、温風整流板32sは、冷風整流板31sに対して相対的にシャープネス値を低く設定可能に形成されている。
具体的には、実施例1では、冷風整流板31sは、シャープネス値を、1.4〜1.7acumの範囲内に設定するように形成され、温風整流板32sは、シャープネス値を、1.0〜1.4acumの範囲内に設定可能に形成されている。
次に、実施例1の空調音の音評価システムAの構成を説明する。
この実施例1の音評価システムAは、図1に示すように、左側マイクロフォン4Lと、右側マイクロフォン4Rと、A/D変換器5と、パーソナルコンピュータ6と、を備えている。
左側マイクロフォン4Lと右側マイクロフォン4Rは、空調ユニット2からの機械動作音や、中央ベント吹出口11、左側ベント吹出口12、右側ベント吹出口13の各吹出口11〜13から吹き出される冷房時の送風音や、フット吹出口29から吹き出される暖房時の送風音などを、空調音としてアナログ信号波形によりそれぞれ入力する。
なお、両マイクロフォン4L,4Rは、音源データを採取するに際し、右ハンドル車の運転席に着座している運転者を想定し、左側マイクロフォン4Lが、運転者の左耳に相当する位置に設定され、右側マイクロフォン4Rが、運転者の右耳に相当する位置に設定されている。また、助手席や後席に着座する乗員が感じる空調音を評価する場合には、同様に助手席乗員や後席乗員の左耳および右耳に相当する位置に、両マイクロフォン4L,4Rを設定する。
A/D変換器5は、左右マイクロフォン4L,4Rからのアナログ信号による音波形をデジタル信号(=音源データ)に変換する。
パーソナルコンピュータ6は、A/D変換器5からの音源データを入力情報とし、空調音の音質を、心理音響技術を用いて人による感じ方に合わせて定量的に解析し、解析による評価結果を表示する。なお、このパーソナルコンピュータ6には、自動車空調音の音質評価ソフトウェアがインストールされている。
パーソナルコンピュータ6は、音源データ記憶部61と、演算処理部62と、データベース63と、音質評価部64と、表示指令部65と、表示モニタ66と、キーボード67と、コンピュータ本体68と、を備えている。
音源データ記憶部61は、A/D変換器5からの音源データを記憶し、音質評価に必要な量の音源データを蓄積する。
演算処理部62は、音源データ記憶部61から読み出した音源データに基づき、音圧レベルの計算や音圧レベルの比較やシャープネス値の計算や評価用データの選択を実行する。
データベース63は、尺度構成法による主観評価の結果に基づき、予め作成されている評価用データ(シャープネス値による評価尺度)が複数記憶設定されていて、演算処理部62からの選択指令により、複数の評価用データの中から評価基準として用いる評価用データが選択される。
ここで、記憶設定される複数の評価用データとは、例えば、車種毎や空調ユニットの機種毎やブロワ回転数毎などにより設定されたデータをいう。
音質評価部64は、演算処理部62により計算されたシャープネス値と、データベース63から選択された評価用データの比較により、空調音を人の感じ方に合わせて定量的に解析した結果として評価する。
本実施例1では、評価の手法としては、単にOKかNGかだけでなく、空調ユニット2の改善指針となるように、例えば、計算されたシャープネス値が、OK領域やNG領域のどの位置に存在するかまで評価する。
表示指令部65は、音質評価部64の評価結果に基づき、表示モニタ66に対し音質評価結果の表示を指令する。表示モニタ66は、音質評価部64で出された現状の空調音の評価を見やすく表示するばかりでなく、空調ユニット2の改善指針となるコメントなども併せて表示する。
図2はパーソナルコンピュータ6にて実行される空調音の音質評価処理の流れを示すフローチャートであり、以下、各ステップについて説明する。
なお、このフローチャートは、音源データを採取する評価試験環境が整った後、キーボード67やマウスなどにより音質評価の開始操作を行った場合に処理を開始する。
ステップS1では、音質評価が開始された場合、あるいは、ステップS2において必要データ量に達していないとの判断に続き、A/D変換器5からの音源データを音源データ記憶部61に記憶し、ステップS2へ移行する。
ステップS2では、ステップS1での音源データの記憶に続き、シャープネスの計算などを行うのに必要なデータ量を蓄積しているか否かを判断し、YESの場合(必要データ量の蓄積)はステップS3へ移行し、NOの場合(必要データ量の不足)はステップS1へ戻る。
ステップS3では、ステップS2での必要データ量が蓄積されているとの判断に続き、音源データ記憶部61に記憶されている評価対象の音源データを読み出し、ステップS4へ移行する。
ステップS4では、ステップS3での音源データの読み出しに続き、音圧レベル(SPL)を計算し、ステップS5へ移行する。ここで、「音圧」とは、空気中を伝わる疎密の波の圧力変化の大きさであり、「音圧レベル」とは、測定点の音圧の基準値に対する比を対数(log)で表したもので、単位はdB(デシベル)である。なお、「騒音レベル」は、定義式自体は「音圧レベル」と同一であるが、音圧信号pをそのまま用いるのではなく、人の聴感に合わせるため予め規定のバンドパスフィルタ(40phonの等感度曲線の逆特性、すなわち周波数重み付け特性A)を通した結果(信号pA)を用いたものをいう。
ステップS5では、ステップS4での音圧レベルの計算に続き、ラージクラスの音圧レベルが60dB以下か否かを判断し、YESの場合(音圧レベル≦60dB)はステップS6へ移行し、NOの場合(音圧レベル>60dB)はステップS9へ移行する。
ここで、「60dB」は、空調音の評価語として「激しい」、「カサカサした」、「おとなしい」、「濁った」といった粗野因子の持つ印象が、人の聴感上、気にならない程度の騒音レベルが60dB以下であるため、この騒音レベル60dB以下で音評価を行うようにしており、このステップS5では、その判定を行っている。
ステップS6では、ステップS5でのLクラスで音圧レベルが60dB以下であるとの判断に続き、ステップS3にて読み出された音源データに基づきシャープネスを計算し、ステップS7へ移行する。
ここで、「シャープネス」とは、心理音響評価量の一つで、低域と高域の音のバランスが高域側に偏った時に感じる音の甲高さ(音の鋭さ)を表すものであり、単位はacum(アキューム)を用いる。
このシャープネスの計算手法は、まず、音源データに基づき音の大きさであるラウドネスを計算する。そして、ラウドネスのスペクトルを描き、スペクトル面積の重心を求め、周波数の原点から重心位置までの距離を求める。この距離がシャープネスであり、重心位置が高周波数側であるほど高い値となる。
基本的には、上記シャープネス計算手法が用いられるが、この計算では人の聴感と多少合わないこともある。このため、これを補正するためにラウドネスに対し臨界帯域毎に重み係数を掛け、その後、ラウドネススペクトルの重心を求めるようにしている。
ステップS7では、ステップS6でのシャープネスの計算に続き、データベース63に記憶設定されている複数の評価用データの中から、実行している空調音の音質評価環境に対応する評価用データ(例えば、評価対象の空調ユニット1の機種や、運転席、助手席というような評価対象の位置や、吹出口に対応したデータ)を選択し、ステップS8へ移行する。
ここで、データベース63には、空調音を評価するのにふさわしい評価語として選択した「厚みのある」、「高級感のある」、「かさかさした」「涼しげな」「暖かみのある」について、シャープネス値に基づく尺度構成法による主観評価を行うことで得られた複数の評価用データを記憶設定している。なお、図7および図8に評価用データの一例を示しており、図7はシャープネス値と「涼しげな」の評価結果との相関例を、図8はシャープネス値と「暖かみのある」の評価結果との相関例を示している。両図に示すように、各評価用データは、「涼しげな」および「暖かみのある」という評価言語の主観評価が、ラウドネスの大きさに関わらず、シャープネス値と相関している。
ステップS8では、ステップS7での評価用データの選択に続き、ステップS6において計算されたシャープネス値とデータベース63から選択された評価用データ(例えば、図7、図8)との比較により空調音の評価を行い、ステップS9へ移行する。
このステップS9の空調音評価において、特に、暖房時における「暖かみのある」という評価、ならびに冷房時における「涼しげな」という評価は、以下のように行う。
すなわち、図9に示すように、シャープネス値が、1.0acum〜1.4acumの間であるとき暖房時評価設定範囲内であるとして、「暖かみのある」の評価点が高い音質の空調音と評価する。
一方、シャープネス値が、1.4acum〜1.7acumの間であるとき冷房時評価設定範囲内であるとして、「涼しげな」の評価点が高い音質の空調音と評価する。
ここで、シャープネスの基準となる音は、1KHzを中心とした狭帯域雑音で、帯域幅が1Barkの音圧レベル60dBであり、このときのシャープネスが1.0acumとなる。
ステップS9では、ステップS5での音圧レベル>60dBという判断、あるいは、ステップS8での比較による空調音の評価に続き、空調音の評価結果をパーソナルコンピュータ6の表示モニタ66に表示する指令を出力し、エンドへ移行する。
ここで、表示モニタ66への表示内容は、ステップS5において音圧レベル>60dBと判断された場合には、例えば、機械的評価結果である音圧レベルを表示すると共に、現状からどのくらい音圧レベルを低下させる必要があるかを表示する。
ステップS8での比較により空調音が評価された場合には、例えば、図7、図8に示す評価用データ上に計算されたシャープネス値を重ねて表示する。さらに、暖房時には、シャープネス値が、暖房時評価設定範囲である1.0acum〜1.4acum内であるときにOK表示を行い、一方、冷房時には、冷房時評価設定範囲である1.4acum〜1.7acum内のときにOK表示を行い、シャープネス値が、各設定範囲から外れたときにはNG表示を行う。さらに、OK表示およびNG表示を行う場合、OK域における位置を含め、ぎりぎりOKか余裕を持ってOKかをコメント表示し、一方、NG表示の場合、改善目標を示すため、OK域からの高い値側へのズレ量やOK域からの低い値側へのズレ量を表示する。
次に、本発明に至る経緯を説明する。
従来、自動車の空調音は、騒音計を用いて測定した音圧レベルや周波数特性について評価されてきた。このように騒音計により測定された物理的ファクターによる評価だけでは、人間の主観的感じ方を表すには、不十分、かつ、不適切であることがわかってきた。
近年、エンジンの低騒音化や、ボディの遮音性能の向上が図られ、車室内の静粛性が大幅に向上し、空調音のみが車室内で騒音として認識されつつある。しかしながら、送風機を音源とする空調音は、空調性能の向上と低騒音化を進めるなかで、音圧レベルや周波数特性のみの評価を行ったのでは、聴感に合った評価ができない。
例えば、図10(a)に示すように音圧振幅が同じで、30Hzの周波数で変動している場合と、図10(b)に示すように300Hzの周波数で変動している場合とを比べると、30Hzの周波数で変動している音が、300Hzの周波数で変動している音よりも変動感が強く、300Hzの周波数で変動している音は変動感が弱い。
このような状況に対し、従来の物理量(騒音レベル、音圧レベル、音響パワー、周波数特性など)に基づく機械的評価には限界があることから、人の音感覚による心理音響評価量(ラウドネス、ラウドネスレベル、シャープネス、ラフネス、変動強度など)に基づく音質評価が音の改善技術として注目されている。
なお、「ラウドネス」とは、音の大きさであり、soneを単位とする。「ラウドネスレベル」とは、ラウドネスを対数表示したものであり、phonを単位とする。「シャープネス」とは、音の甲高さであり、acumを単位とする。「ラフネス」とは、ラウドネスが短い周期で変動するときに感じる粗さ感であり、(a)sperを単位とする。「変動強度」とは、ラウドネスがゆっくりとした周期で変動するときに感じる変動感であり、v(a)cilを単位とする。
これらの心理音響評価量による音質評価を導入することにより、例えば、音圧レベルが同じであっても、「いやな音」を「心地よい音」に変える音質改善や「気になる音」を「やさしい音」に変える音質改善を行えば、実際に音を聞く人間にとっては、心地よい音環境に作り替えることが可能である。
そして、人の音感覚による心理音響評価量(ラウドネス、ラウドネスレベル、シャープネス、ラフネス、変動強度など)は、それぞれの評価量が異なる指標であるため、「心地よい音」や「やさしい音」にする音質改善を行うには、多次元の評価指標(=複数の心理音響評価量)を用いた総合的な音質評価手法を採ることが、評価精度を高める上で重要であるとされている。
しかしながら、心理音響評価量は、人間の耳の構造や聴覚神経の働きを調べたり、たくさんの人間に聴感実験を行ったりした結果から導き出されるものである。聴感実験とは、実際に人間に音を聞かせ、どのように感じたかを聞いて、その反応を調べることであり、年齢や今までの経験や体調や温度などの周囲の環境によっても少しずつ音に対する反応は異なっている。そこで、たくさんの人間に何回も試験を行って、それを統計処理することで心理音響評価量が求められる。
したがって、心理音響評価量である「ラウドネス」、「ラウドネスレベル」、「シャープネス」、「ラフネス」、「変動強度」などから選択した複数の心理音響評価量に基づく音質評価を行おうとすると、データベースの作成に多大な時間を要するし、多次元による複雑な評価演算処理などが必要となり、心理音響評価量による音質評価の導入を希望しても、これらのことが実用化への阻害要因となっていたし、今後、解決すべき研究課題として残されていた。
本発明者達は、空調音に対する心理音響評価量による音質評価要求に対し、心理音響評価量のうち「シャープネス」を音感指標とすると、自動車の空調音を評価するのにふさわしい複数の評価語に対し総合的に音質評価を行ったことになる点に着目した。
この着目点にしたがって、計算されたシャープネス値を心理音響評価量とし、どのような感じの空調音かという人の聴感による音質を評価する構成を採用した。
この構成を採用したことにより、本実施例1では、複数の心理音響評価量に基づいて音質評価を行うことなく、1つの心理音響評価量により複数の評価語に対する総合的な音質評価を行うことができる。
以上のように構成された実施例1では、車両用空調装置ACの冷房運転と暖房運転を行い、そのそれぞれで、空調音の音評価システムAにより、空調音の音評価を行う。
車両用空調装置ACの冷房運転時には、エアミックスドア28は、加熱通路25h側を全閉とし、冷却器26を通過した冷風は、バイパス通路25bを通り、ベント吹出口24から車室へ送風される。このとき、冷風は、整流部材3を通過する際に、冷風路31を通過し、この冷風路31に設けられた冷風整流板31sにより整流される。
このとき、空調音の音評価システムAでは、中央ベント吹出口11、左側ベント吹出口12、右側ベント吹出口13からの吹出音および空調ユニット2の作動音が各マイク4L,4Rから入力され、パーソナルコンピュータ6において空調音の音質評価処理が成される。
そして、得られたシャープネス値が、冷房時評価設定範囲である1.4〜1.7acumの範囲内であれば、OK表示され、その範囲外であれば、NG表示される。
さらに、OK表示の場合は、冷房時評価設定範囲内のどのレベルであるか、すなわち、ぎりぎりOKか余裕を持ってOKかがコメント表示される。
また、NG表示の場合、改善目標を示すため、OK域からの高い値側へのズレ量やOK域からの低い値側へのズレ量が表示される。
そこで、NGの場合には、他の特性の整流部材3に交換するか、あるいは、整流部材3の冷風整流板31sの長さや厚みなどを変更し、OK判定が出るように調節する。
次に、暖房時について説明すると、車両用空調装置ACの暖房運転時には、エアミックスドア28は、バイパス通路25b側を全閉とし、加熱器27を通過した温風は、加熱通路25hを通り、フット吹出口29から車室へ送風される。このとき、温風は、整流部材3を通過する際に、温風路32を通過し、この温風路32に設けられた温風整流板32sにより整流される。
このとき、空調音の音評価システムAでは、フット吹出口29からの吹出音および空調ユニット2の作動音が各マイク4L,4Rから入力され、パーソナルコンピュータ6において空調音の音質評価処理が成される。
そして、得られたシャープネス値が、暖房時評価設定範囲である1.0〜1.4acumの範囲内であれば、OK表示され、その範囲外であれば、NG表示される。
さらに、OK表示の場合は、暖房時評価設定範囲内のどのレベルであるか、すなわち、ぎりぎりOKか余裕を持ってOKかがコメント表示される。
また、NG表示の場合、改善目標を示すため、OK域からの高い値側へのズレ量やOK域からの低い値側へのズレ量が表示される。
そこで、NGの場合には、他の特性の整流部材3に交換するか、あるいは、整流部材3の温風整流板32sの長さや厚みなどを変更し、OK判定が出るように調節する。
以上説明したように、実施例1の空調音の音評価システムAでは、以下に列挙する効果が得られる。
a)複数の心理音響評価量に基づいて音質評価を行うことなく、1つの心理音響評価量であるシャープネス値に基づいて、複数の評価語に対する総合的な音質評価を行うことができる。
特に、暖房時には、空調音が「暖かみのある」を有しているか否かを評価し、冷房時には、空調音が「涼しげな」音であるか否かを評価することができる、新規な空調音評価を行うことができる。
b)暖房時評価設定範囲を、シャープネス値が1.0〜1.4acumの範囲内の値としたため、「暖かみのある」という評価のみならず、「厚みのある」「高級感のある」という評価とのバランスの良い音質が得られる。
c)冷房時評価設定範囲を、シャープネス値が、1.4〜1.7acumの範囲内の値としたため、「カサカサした」という音評価を抑えた音質を得ることができる。
さらに、実施例1の空調ユニット2にあっては、以下に述べる効果が得られる。
d)エアミックス部25mの上流側に整流部材3を設け、この整流部材3に、冷風が通る冷風路31と温風が通る温風路32とを独立して設け、各路31,32に、それぞれ、独立して冷風整流板31sと温風整流板32sとを設けた。
したがって、冷房時と暖房時とで、それぞれ独立してシャープネスを設定できる。
これにより、冷房時の空調音のシャープネス値を、「涼しげな」音質が得られる値に独立して設定できるとともに、暖房時の空調音のシャープネス値を、「暖かみのある」音質が得られる値に独立して設定できる。
e)冷風整流用の冷風整流板31sと、温風整流用の温風整流板32sとを、備えた1個の整流部材3を用いるようにしたため、冷風用と温風用とでそれぞれ別個の整流部材を用いるものと比較して、部品点数の削減を図ることができる。これにより、コスト低減、取付工数低減、重量軽減を図ることが可能となる。
(他の実施例)
以下に、他の実施例について説明するが、これら他の実施例は、実施例1の変形例であるため、その相違点についてのみ説明し、実施例1あるいは他の実施例と共通する構成については同じ符号を付けることで説明を省略する。
実施例2の空調ユニット202は、冷風整流部材231および温風整流部材232をそれぞれ、独立して設けた例である。
すなわち、実施例2では、図11に示すように、ベント吹出口24に冷風整流部材231を設け、エアミックス部25mからフット吹出口29に至るフット用通路205の開口部に、温風整流部材232を設けている。
冷風整流部材231は、実施例1と同様に、図5に示す冷風路31が複数並設されているとともに、各冷風路31に、この冷風路31を横断する複数の冷風整流板31sを備えている。
また、温風整流部材232も、実施例1と同様に、図6に示す温風路32が複数並設されているとともに、各温風路32には、この温風路32を横断する複数の温風整流板32sを備えている。
冷房時には、冷却器26を通過した冷風は、バイパス通路25bからエアミックス部23mを経てベント吹出口24から吹き出される。この際、冷風は、冷風整流部材231を通過する際に、整流される。
このとき、空調音の音評価システムAによる評価結果がNGである場合には、冷風整流部材231の冷風整流板31sの特性を変更するか、あるいは、他の特性の冷風整流部材231に取り替えて、OK評価を目指す。
暖房時には、加熱器27を通過した温風は、加熱通路25hからエアミックス部25mを経て、フット吹出口29から送風される。この際、温風は、温風整流部材232を通過する際に、整流される。
このとき、空調音の音評価システムAによる空調音の評価結果がNGである場合には、温風整流部材232の温風整流板32sの特性を変更するか、あるいは、他の特性の温風整流部材232に取り替えて、OK評価を目指す。
以上説明したように、実施例2の空調ユニット202では、冷風整流部材231と温風整流部材232とを独立して設けたため、シャープネス値の設定を、冷房時と暖房時とで、独立して設定することができる。
よって、高いチューニング自由度が得られるとともに、チューニング作業性に優れる。
実施例3は、実施例2の空調ユニット202の変形例であり、冷風整流部材231および温風整流部材232の設置位置が実施例2のものと異なる。
すなわち、図12に示すように、冷風整流部材231は、バイパス通路25bの風上側の入口に設置され、温風整流部材232は、加熱通路25hの風下側の出口に設置されている。
この実施例3にあっても、実施例2と同様の作用効果が得られる。
実施例4は、実施例1とは異なる整流部材を用いた例である。
実施例4の空調ユニット402は、図13に示すように、スライド式のエアミックスドア428を備えている。
エアミックスドア428は、スライドガイド404にスライド可能に支持されており、このスライドガイド404には、図14に示すように、加熱通路25hに連通された温風用開口404aと、バイパス通路25bに連通された冷風用開口404bと、が開口されている。
この実施例4では、冷風用開口404bに、低周波数成分をカット可能で、送風を通過させることが可能な、網状やスポンジ状の樹脂あるいは金属製の冷風整流部材431が設けられている。
したがって、冷房時には、エアミックスドア428が、温風用開口404aを塞ぎ、送風は、冷風用開口404bを通り、冷風整流部材431により整流された後、ベント吹出口24から車室へ送られる。したがって、冷風整流部材431により、シャープネス値が、冷房時評価設定範囲内の値となるように設定することができる。
したがって、空調ユニット402の空調音評価が、冷房時には「涼しげな」という評価の高い空調音とすることができる。
以上、図面を参照して、本発明の実施の形態および実施例1〜4について詳述してきたが、具体的な構成は、この実施の形態および実施例1〜4に限らず、本発明の要旨を逸脱しない程度の設計的変更は、本発明に含まれる。
例えば、実施例1では、請求項3に記載の発明の実施例として、暖房時評価設定範囲を、シャープネス値が1.0〜1.4acumの範囲に設定し、冷房時評価設定範囲を、シャープネス値が1.4〜1.7acumの範囲に設定した例を示したが、これに限定されない。すなわち、請求項2に記載の発明を実施する場合は、暖房時評価設定範囲を、シャープネス値が1.4acum以下の範囲に設定し、冷房時評価設定範囲を、シャープネス値が1.4以上の範囲に設定してもよい。
また、実施例1〜4では、暖房時評価設定範囲と冷房時評価設定範囲とが、1.4acumを境に設定したが、これに限定されるものではなく、例えば、暖房時評価設定範囲として、シャープネス値が1.4acumとは異なる、例えば、1.3acumなどよりも小さな値の範囲とし、一方、冷房時評価設定範囲として、上記境界である1.3acumよりも大きな、1.4acumや1.5acumあるいはその他の値以上の範囲としてもよい。
あるいは、実施例1〜4に示したように、暖房時評価設定範囲と冷房時評価設定範囲とが、それぞれ下限および上限を有した範囲としたが、これに限定されない。例えば、暖房時評価設定値(例えば、1.4acumあるいはこれよりも小さな値)を設定し、暖房時には、算出したシャープネス値が、暖房時評価設定値以下であればOK判定を行い、暖房時評価設定値よりも大きい場合にNG判定を行うようにしてもよい。
同様に、冷房時評価設定値(例えば、1.4acumあるいはこれよりも大きな値)を設定し、冷房時には、算出したシャープネス値が、冷房時評価設定以上であればOK判定を行い、冷房時評価設定値未満であればNG判定を行うようにしてもよい。
また、実施例1〜4では、空調音の評価の結果を表示する際に、OKかNGかの表示を行うとともに、OKの程度やNGの程度を表示するようにした例を示したが、これに限定されず、OKかNGかの表示のみでもよい。あるいは、視覚的に、暖房時評価設定範囲および冷房時評価設定範囲に対し、算出したシャープネス値が、どの位置に対応するかを表示するようにしてもよい。この場合、OKかNGかの判定は、使用者が判定する。
また、実施例1〜4では、空調音データ採取手段として、評価対象となる空調音データを、人間の左右の耳に相当する位置にて採取する例を示した。しかし、例えば、1つのマイクロフォンを用いて空調音データを採取するものであってもよいし、あるいは、3つ以上のマイクロフォンを用いて空調音データを採取するものであってもよい。
また、実施例1〜4では、シャープネス計算手段として、音圧レベル計算手段により計算された空調音の音圧レベルが、設定音圧レベル以下であるときにのみシャープネス値を計算する例を示した。しかし、例えば、音圧レベルの大きさにかかわらずシャープネスの計算をするようにしてもよい。また、例えば、音圧レベルなどを物理量とする機械的評価を別の処理により行い、機械的評価処理を終えた後、シャープネス値を心理音響評価量とする音質評価を行うようにしてもよい。
実施例1〜4では、音圧レベルを物理量とする機械的評価を先に行い、続いて、シャープネス値を心理音響評価量とする音質評価を行う例を示した。しかし、例えば、シャープネス値を心理音響評価量とする音質評価を先に行い、続いて、音圧レベルを物理量とする機械的評価を行うようにしてもよい。
実施例1〜4では、音質評価手段として、計算されたシャープネス値とデータベースから選択された評価用データとの比較により、シャープネス値が1.0acum〜1.4acumの間であるとき心地よい空調音であるとの空調音評価を行う例を示した。しかし、例えば、シャープネスの最適値から無段階あるいは多段階によりきめ細かく空調音の評価を行うようにしてもよい。
また、実施例1〜4では、車両用空調装置の空調音の音質評価に適用する音質評価方法および音評価システムの例を示したが、車両用空調装置以外に、例えば、家庭用空調機器や事業所用空調機器などの空調音の音質評価方法および音評価システムにも適用することができる。要するに、本発明は、採取された空調音データに基づき空調音の音質を定量的に評価する空調音の音質評価方法および音評価システムに適用できる。
本発明の最良の実施の形態の実施例1の空調音の音評価システムAの概略を示す全体図である。 実施例1の空調音の音評価システムAに適用したパーソナルコンピュータ6で実行される空調音の音評価処理の流れを示すフローチャートである。 実施例1に適用した空調ユニット2を示す断面図である。 実施例1に適用した空調ユニット2に設けられた整流部材3を示す斜視図である。 実施例1に適用した空調ユニット2に設けられた整流部材3の冷風路31を示す断面図である。 実施例1に適用した空調ユニット2に設けられた整流部材3の温風路32を示す断面図である。 実施例1の空調音の音評価システムAに適用したパーソナルコンピュータ6に記憶されたシャープネス値と「涼しげな」の評価結果との相関例を示す評価用データの一例を示すシャープネス特性図であり、(a)はデフモード時、(b)は強フットモード(強暖房)時、(c)は強ベントモード(強冷房時)のデータを示している。 実施例1の空調音の音評価システムAに適用したパーソナルコンピュータ3に記憶されたシャープネス値と「暖かみのある」の評価結果との相関例を示す評価用データの一例を示すシャープネス特性図であり、(a)はデフモード時、(b)は強フットモード(強暖房)時、(c)は強ベントモード(強冷房時)のデータを示している。 実施例1の空調音の音評価システムAにおける暖房時評価設定範囲および冷房時評価設定範囲と、「涼しげな」「暖かみのある」「カサカサした」「厚みのある」「高級感のある」という評価語との相関例を示すシャープネス特性図である。 音圧振幅が同じで振動周波数が異なる2つの音波の変動感の相違を表す周波数特性図であり、(a)は30Hzの周波数で変動している場合の音波例を示しており、(b)は300Hzの周波数で変動している場合の音波例を示している。 実施例2の空調ユニット202を示す断面図である。 実施例3の空調ユニット302を示す断面図である。 実施例4の空調ユニット402を示す断面図である。 実施例4の空調ユニット402に適用した冷風整流部材431を示す斜視図である。
符号の説明
2 空調ユニット
3 整流部材
21 ブロワファン
22 空気取入口
23 デフ吹出口
24 ベント吹出口
25 送風路
25b バイパス通路
25h 加熱通路
25m エアミックス部
26 冷却器
27 加熱器
29 フット吹出口
31s 冷風整流板
32s 温風整流板
202 空調ユニット
231 冷風整流部材
232 温風整流部材
302 空調ユニット
AC 車両用空調装置

Claims (5)

  1. 採取された空調音データに基づき空調音の音質を定量的に評価する空調音の音質評価方法において、
    評価対象となる空調音データを採取する空調音データ採取手順と、
    採取された空調音データから、音の大きさであるラウドネスのスペクトルを描き、スペクトル面積の重心を求め、重心位置が高周波数側であるほど高い値となるシャープネス値を計算するシャープネス計算手順と、
    シャープネス計算手順により計算されたシャープネス値に基づいて空調音評価を行う音質評価手順と、
    を備え、
    前記音質評価手順において、暖房時には、シャープネス値が、あらかじめ設定された暖房時評価設定範囲内であるか否かに基づいて評価し、冷房時には、シャープネス値が、あらかじめ設定された冷房時評価設定範囲内であるか否かに基づいて評価することを特徴とする空調音の音質評価方法。
  2. 前記音質評価手順において、前記暖房時評価設定範囲は、シャープネス値が1.4acum以下の範囲に設定され、前記冷房時評価設定範囲は、シャープネス値が1.4acum以上の範囲に設定され、かつ、シャープネス値が、各評価設定範囲に収まっている場合に、空調音が「心地よい」と評価することを特徴とする請求項1に記載の空調音の音質評価方法。
  3. 前記暖房時評価設定範囲は、シャープネス値が1.0〜1.4acumの範囲内の値であり、前記冷房時評価設定範囲は、シャープネス値が1.4〜1.7acumの範囲内の値であることを特徴とする請求項2に記載の空調音の音質評価方法。
  4. 空気取入口から車室に連通された吹出口に向かう送風路を備えるとともに、この送風路の途中に設けられた冷却器の下流に、送風を加熱する加熱器および前記加熱器を迂回するバイパス通路を備えた空調ユニットであって、
    前記送風路において、前記加熱器で加熱された温風が流れる流路に、前記シャープネス値を設定可能な温風整流部材が設けられていることを特徴とする空調ユニット。
  5. 空気取入口から車室に連通された吹出口に向かう送風路を備えるとともに、この送風路の途中に設けられた冷却器の下流に、送風を加熱する加熱器および前記加熱器を迂回するバイパス通路を備えた空調ユニットであって、
    前記バイパス通路を経た冷風が流れる流路に、前記シャープネス値を設定可能な冷風整流部材が設けられていることを特徴とする空調ユニット。
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