JP2010065242A - 導電性高分子化合物の電気化学的改質法 - Google Patents

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壽雄 淵上
Shinsuke Inagi
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Abstract

【課題】ポリフルオレンなどのπ電子共役系を有する導電性高分子化合物を電気化学的に収率良くフッ素置換し改質する方法を提供する。
【解決手段】フルオロアルキルアルコールなどの反応剤とポリフッ化水素塩などのイオン液体の中に、ポリフルオレン系化合物からなる導電性高分子膜が形成された電極と、対極電極とを浸漬し、該電極及び対極電極間に電圧を印加して、電気化学的に導電性高分子化合物を化学反応させてフッ素化すること特徴とする導電性高分子化合物の改質法。
【選択図】なし

Description

本発明は、電気化学的に導電性高分子化合物を改質する方法に関する。特に、本発明は、導電性高分子膜が形成された電極及びイオン液体を用いる電気化学的反応により、導電性高分子化合物を化学反応させる導電性高分子化合物の改質法に関する。
既存の高分子に対し側鎖や主鎖の修飾を行う高分子変換反応は、高分子の改質法として優れた手法の一つである。従来の高分子変換反応は、高分子溶液(均一系)や高分子膜(不均一系)において、光や熱による処理や、酸処理などにより行われてきた。
より複雑かつ多様な変換反応を行う場合、一般的には酸化還元及び後続反応による分子変換によるが、酸化剤や還元剤を多量に用いるため、廃棄物や危険性が問題となる。最近、グリーンな酸化還元方法として、電気化学的手法による有機化合物の分子変換が注目され、発展してきた。この方法は、常温常圧という温和な条件の下、酸化剤や還元剤を必要としないことから、次世代型の有機反応手法として工業的にも注目されている。しかしながら、この手法は低分子化合物の反応にのみ着目されており、これまでに電気化学的に高分子反応を行った例はほとんどない。これは、一般的に高分子においては電極との電子授受が起こり難いという根本的な問題に起因している。
高分子の電気化学的反応に関連する報告として、電極上に固定されたポリチオフェンを電解反応に供して、該ポリチオフェンの側鎖を切断して目的のアミンを得る方法がある(非特許文献1、2)。しかし、この方法では、ポリチオフェンは電極担持のために使用されているにすぎず、ポリチオフェンに置換基を導入することにより、いわゆるポリチオフェンの機能化を指向したものではない。
また、ポリチオフェン膜が形成された電極を用いる電解反応により、ポリチオフェンの主鎖に塩素原子や臭素原子を導入する方法も知られている(非特許文献3)。しかしながら、この方法では、支持塩と有機溶媒とからなる溶液を電解液として使用している。
Tetrahedron 1998, 54, 9401 Tetrahedron Letters 2000, 41, 883 Chemistry of Materials 1996, 8, 701
本発明は、電気化学的に導電性高分子化合物を収率良く改質する方法を提供することを目的とする。
本発明者らは、上記課題を解決するべく鋭意検討した結果、イオン液体中に、導電性高分子膜が形成された電極と、対極電極とを浸漬し、該電極及び対極電極間に電圧を印加して、電気化学的に導電性高分子化合物を化学反応させることにより、導電性高分子化合物の改質が収率良く行えることを見出し、本発明を完成させた。
すなわち、(1)本発明は、イオン液体中に、導電性高分子膜が形成された電極と、対極電極とを浸漬し、該電極及び対極電極間に電圧を印加して、電気化学的に導電性高分子化合物を化学反応させることを特徴とする、導電性高分子化合物の改質法を提供する。
(2)本発明は、前記イオン液体が、導電性高分子化合物を化学反応させるための反応体としても働くイオン液体である、(1)に記載の改質法を提供する。
(3)本発明は、前記イオン液体が反応剤を更に含む、(1)又は(2)に記載の改質法を提供する。
(4)本発明は、前記反応剤のイオン液体中の含量が10%(v/v)以下である、(3)に記載の改質法を提供する。
(5)本発明は、前記導電性高分子化合物が、ポリフルオレン系化合物である、(1)〜(4)のいずれか1に記載の改質法を提供する。
(6)本発明は、前記導電性高分子化合物が、その側鎖に脱離基を有する化合物である、(1)〜(5)のいずれか1に記載の改質法を提供する。
(7)本発明は、イオン液体としてポリフッ化水素塩を用いて、導電性高分子化合物をフッ素置換する、(1)、(2)、(5)又は(6)のいずれか1に記載の改質法を提供する。
(8)本発明は、前記ポリフッ化水素塩が、テトラアルキルアンモニウムフロリドポリフッ化水素塩である、(7)に記載の改質法を提供する。
(9)本発明は、イオン液体と、前記反応剤としてフルオロアルキルアルコールとを用いて、導電性高分子化合物をフルオロアルコキシ置換する、(1)、(3)、(4)、(5)又は(6)のいずれか1に記載の改質法を提供する。
(10)本発明は、前記イオン液体が、N,N-ジエチル-N-メチル-N-(2-メトキシエチル)アンモニウム ビス(トリフルオロメチルスルホニル)イミドである、(9)に記載の改質法を提供する。
(11)本発明は、化学反応後の導電性高分子化合物を電極表面から溶出又は剥離するステップを更に含む、(1)〜(10)のいずれか1に記載の改質法を提供する。
本発明によれば、電極上に導電性高分子化合物が形成されているために、電極と導電性高分子化合物との間の電子授受がスムーズに行われ、また電解液としてイオン液体を使用することにより、反応中に、導電性高分子化合物の溶出や電極からの導電性高分子膜の剥離が起こらず、導電性高分子化合物を収率良く改質できる。この改質された導電性高分子化合物は、電子特性のコントロール、撥水撥油性、耐熱性などの機能を有し、導電材料、コンデンサ等の分野で工業的に有用である。
<導電性高分子化合物>
本発明の改質法で使用できる導電性高分子化合物は、π電子共役系を有し、実質的には半導体の性質を有する重合体である。例えば、ポリフルオレン、ポリフェニレン、ポリアニリン等のべンゼン系化合物;ポリピロール、ポリピリジン、ポリピリミジン、ポリピロール、ポリチオフェン系の複素環系化合物などを挙げることができる。また、溶解性又は製膜性の向上の点から、導電性高分子化合物の側鎖に長鎖アルキル基(例えば、炭素数6〜12のアルキル基)が導入された導電性高分子化合物の誘導体も好ましく使用できる。
本発明の改質法においては、上記の導電性高分子化合物又はその誘導体を使用できるが、反応効率の点から、その側鎖に反応点を持たせたもの(例えば、脱離基を導入したもの)を使用することがより好ましい。このような脱離基としては、低級アルキルチオキシ基、芳香族チオキシ基、低級アルキルスルホニルオキシ基、芳香族スルホニルオキシ基、ハロゲン化スルホニルオキシ基、低級アルキルホスホニルオキシ基、芳香族ホスホニルオキシ基等を例示できる。脱離基の導入は、公知の方法に準じて行うことができる。
<電極>
電極としては、金属を主とする電極であれば特に制限されず、例えば、白金、チタン、ニッケル、タリウム、タングステン等の金属単体や合金を用いることができる。また、場合により、酸化鉛、酸化スズや、黒鉛、アモルファスカーボン(grassy carbon)、導電性ダイヤモンド、インジウム-酸化スズドープ透明ガラス電極(ITO)等も使用できる。
<製膜>
導電性高分子化合物を電極上に製膜する方法としては、電極上に均一の厚さの導電性高分子層が形成できる方法であればよく、例えば、キャストコート法、スピンコート法、ディッピング法、静電塗装等のスクリーン印刷法、スプレー法、インクジェット法などが使用できる。膜厚は、製膜方法によって異なるが、例えば約1.0〜約200μmの範囲が好ましく、約50〜約100μmの範囲がより好ましい。膜厚が1.0μm未満では電解後に機械的に剥離するのが難しく、また200μmを超えると反応効率が低下するおそれがある。導電性高分子膜は、陽極電極又は陰極電極のいずれの電極上に形成させてもよい。電極上に導電性高分子膜が形成されることによって、導電性高分子化合物の反応点が電極のごく近傍に固定されるために、電極と導電性高分子化合物との間の電子授受がスムーズに行われ、導電性高分子化合物の化学反応が定量的に進行する。
<イオン液体>
イオン液体は、一般に、有機カチオン、有機カチオンのカウンターとなるアニオンとの組み合わせからなるイオンのみからなる、常温で液体の化合物である。また、一般的に高い熱分解温度を有し、広い電位窓を有する。
本発明の改質法において使用できるイオン液体は、それ自身が導電性高分子化合物を化学反応するための「反応体」かつ電解質として働く性質のものであるか、あるいは、それ自身は導電性高分子化合物を化学反応するための「反応体」としては働かず、電解質としてのみ働く性質のものである。本明細書において「反応体」とは、導電性高分子化合物を化学反応させるための反応剤を言う。「化学反応」の種類は特に限定されず、原子間の結合の生成又は切断によって、既存の導電性高分子化合物をそれとは異なる導電性高分子化合物に変化させるすべての化学反応を含む。例えば、置換、脱離、付加、還元、酸化等の反応が挙げられる。本明細書では「化学反応」の代わりに「化学変化」が使用されることがあるが、「化学変化」は「化学反応」と同義である。
本発明の改質法では、電解質と溶媒とからなる一般的な電解液を用いた場合に比較して、イオン液体が溶媒を含まないために、電極上の導電性高分子化合物が溶出したり又は電極表面から剥離したりすることがなく、導電性高分子化合物は高収率で化学変化する。
従って、イオン液体が導電性高分子化合物を化学反応させるための反応体としては働かない性質のものである場合には、イオン液体の性質を損なわない範囲で、イオン液体中に反応剤を更に添加することが必要である。本明細書において「反応剤」は、反応体と同義である。また、「イオン液体の性質を損なわない範囲」とは、本発明の改質法の上記効果を失わないような範囲又は減じないような範囲であればよい。その範囲は、使用するイオン液体や反応剤の種類によって異なるが、例えば、イオン液体中の反応剤の含量は約30%(v/v)以下であることが好ましく、約20%(v/v)以下であることがより好ましく、約10%(v/v)以下であることが特に好ましい。
前記の、それ自身が導電性高分子化合物を化学反応させるための「反応体」としても働くイオン液体としては、ジアルキルイミダゾリウムイオン、トリアルキルイミダゾリウムイオン等のイミダゾリウムイオン、テトラアルキルアンモニウムイオン、アルキルピリジニウムイオン、ジアルキルピロリジニウムイオン、ジアルキルピペリジニウムイオンなどの有機カチオンと、AlCl4 -、Al2Cl7 -等のクロロアルミネートアニオン、BF4 -、PF6 -、F(HF)n -(n=1〜10)等のフッ素系アニオンなどとからなるイオン液体が挙げられる。
具体的には、トリアルキルアミンポリフッ化水素塩(R3N・nHF(R=アルキル基、n=1〜10))、テトラアルキルアンモニウムフロリドポリフッ化水素塩(R4NF・nHF(R=アルキル基、n=1〜10))等のポリフッ化水素塩が挙げられ、テトラアルキルアンモニウムフロリドポリフッ化水素塩が好ましい。テトラアルキルアンモニウムフロリドポリフッ化水素塩としては、テトラエチルアンモニウムフロリド・四フッ化水素塩(Et4NF・4HF)が特に好ましく使用できる。
前記の、それ自身は導電性高分子化合物を化学反応させるための「反応体」としては働かないイオン液体としては、前記の有機カチオンと、CF3COO-、CF3SO3 -(TfO)、(CF3SO2)2N-(TFSI)、(CF3SO2)3C-(TFSM)等のアニオン、NO3 -;CH3COO-などとからなるイオン液体が挙げられる。
具体的には、N,N-ジエチル-N-メチル-N-(2-メトキシエチル)アンモニウム ビス(トリフルオロメチルスルホニル)イミド(DEME-TFSI);四フッ化ホウ酸ジアルキルイミダゾリウム(DI・BF4)、四フッ化ホウ酸1-エチル-3-メチルイミダゾリウム(EMI・BF4)、六フッ化リン酸ジアルキルイミダゾリウム(DI・PF6);ジアルキルイミダゾリウムトリストリフルオロメタンスルフォニルメチド(DI・C(CF3SO23)、トリアルキルイミダゾリウムトリストリフルオロメタンスルフォニルメチド(TI・C(CF3SO23)、1-エチル-3-メチルイミダゾリウムトリストリフルオロメタンスルフォニルメチド(EMI・C(CF3SO23)、1,2-ジメチル-3-プロピルイミダゾリウムトリストリフルオロメタンスルフォニルメチド(DMPI・C(CF3SO23)などが挙げられる。これらのイオン液体は、必要に応じて、反応を妨げない限り、複数種を混合して用いてもよい。
本発明の改質法では、既存の導電性高分子化合物をさまざまな導電性高分子化合物に化学変化させることができる。置換反応を例に挙げれば、例えば、アルコキシ置換、ハロゲン置換、アセトキシ置換などである。これらの置換は、それ自身が反応体としても働くイオン液体を使用して行っても、又はそれ自身は反応体としては働かないイオン液体と反応剤とを使用して行ってもよい。反応剤のイオン液体中の含量は前記のとおりである。
具体的には、ハロゲン置換する場合には、簡便性の点から、それ自身が反応体としても働くイオン液体を使用することが好ましい。例えば導電性高分子化合物にフッ素原子を導入する場合には、トリアルキルアミンポリフッ化水素塩(R3N・nHF(R=アルキル基、n=1〜10))、テトラアルキルアンモニウムフロリドポリフッ化水素塩(R4NF・nHF(R=アルキル基、n=1〜10))等のポリフッ化水素塩が使用できる。
反応剤を添加して行う場合には、反応剤としては、例えば、ハロゲン単体、次亜塩素酸塩、次亜臭素酸塩、塩化チオニル、リン酸トリクロリド等が使用できる。
アルコキシ置換やアセトキシ置換を行う場合には、それ自身が反応剤としては働かないイオン液体と反応剤とを組み合わせて使用するのが好ましい。アルコキシ置換には、メタノール、エタノール等の一般的なアルコール化合物の他に、含フッ素アルコール(例えば、2,2,2-トリフルオロエタノール、トリフルオロメタノール、3-(2-ペルフルオロヘキシルエトキシ)-1,2-ジヒドロキシプロパン等)などが使用できる。アセトキシ置換には、酢酸の他に、含フッ素酢酸が使用できる。
<電解槽>
電解槽材料としては、耐久性や安定性の点から、ガラスライニング材料、カーボン、耐食性の優れたチタン、ステンレス、PTFE樹脂などが好ましく使用できる。
<電解条件>
電解反応は、通常、室温で行う。必要に応じて、加温してもよいが、その温度の上限は、イオン液体が分解しない程度の温度、例えば40℃程度が好ましい。電流密度は、約0.1〜約100Acm−2の範囲であることが好ましい。
<化学反応後の導電性高分子化合物の取得>
導電性高分子化合物の化学反応の進行の確認は、NMRスペクトル、サイクリックボルタンメトリ、ゲル浸透クロマトグラフィー等により行うことができる。
化学反応後の導電性高分子化合物を電極から取り出すには、一般的な方法によればよい。例えば、電極に有機溶媒(例えば、クロロホルム、四塩化炭素、ジクロロメタン等のハロゲン系溶媒)を接触させて、電極から該導電性高分子化合物を溶出させるか、又は場合によりピンセットなどを用いて該導電性高分子化合物の膜を剥離させてもよい。
<用途>
本発明の改質法により得られた導電性高分子化合物、特にフッ素置換導電性高分子化合物は、電子特性のコントロール、撥水撥油性、耐熱性などの機能を有する。そのため、例えば、導電材料、コンデンサ、帯電防止膜、有機太陽電池、有機半導体、エレクトロクロミック材料などに適用できる。
次に実施例を挙げて本発明を詳細に説明するが、本発明はこれら実施例に何ら限定されるものではない。
なお、得られたポリマーの物性は、以下の方法を用いて測定した。
(1)NMRスペクトル:JEOL EX-270分光光度計により測定した。
(2)紫外可視吸収スペクトル:SHIMADZU UV-1600分光光度計により測定した。
(3)重量平均分子量:クロロホルムを用いてSHIMADZU Prominence GPC system (Shim-pack GPC 803C column) により測定した。尚、標準ポリスチレンを用いて校正を行い、ポリスチレン換算で重量平均分子量を求めた。
(4)サイクリックボルタンメトリ(CV):ALS 600A電気化学分析装置により測定した。
(5)エネルギー分散型蛍光X線(EDX):EMAX ENERGY EX-250 (HORIBA) により分析した。
(6)膜厚:KEYENCE共焦点レーザ度位計(LT-8100)により測定した。
(7)密度汎関数理論(DFT)計算:B3LYP/6-31G(d,p)法を用いて最適化したガウシアンプログラムにより行った。
また、電解実験は、Hokutodenko Coulomb/Amoperehour meter HF-201で通電量をモニターすることにより、Metronnix Corp. (Tokyo) 定電流供給モデル5944で行った。
製造例1:ポリ[9,9-ビス(4-イソプロピルフェニルスルファニル)フルオレン-alt-9,9-ジオクチルフルオレン](P1)の合成
Figure 2010065242
まず、鈴木-宮浦カップリング重合法(Chemical Reviews 1995, 95, 2457)によって、ポリ[9-フルオレノン-alt-9,9-ジオクチルフルオレン](PreP1)を得た。
2,7-ジブロモフルオレノン (68 mg, 0.20 mmol) 及び9,9-ジオクチルフルオレン-2,7-ジホウ酸エステル (111 mg, 0.20 mmol) をアルゴン雰囲気下に乾燥トルエン (2 mL) に溶解した。この溶液にK2CO3 (aq) (2.0 M, 1.4 mL)、Pd(PPh3)4 (3 mg, 0.003 mmol) を添加し、100℃で2日間攪拌した。その後、反応混合物を大量のメタノール中に再沈殿させた。この沈殿を濾集、減圧乾燥し、オレンジ色粉末を得た (120 mg) (PreP1)。
1H-NMR (270 MHz, CDCl3): δ(ppm)8.1-7.6 (Ar-H, br), 2.11 (CH 2 (CH2)6CH3, br), 1.25-0.77 (CH2(CH 2 )6CH 3 , br)。13C-NMR (270 MHz, CDCl3): δ(ppm)151.9, 142.9, 142.5, 142.4, 140.5, 138.7, 135.2, 133.4, 133.3, 125.7, 123.0, 121.0, 120.9, 120.7, 120.2, 55.6, 40.5, 31.8, 30.1, 29.3, 23.9, 22.7, 14.2。
元素分析 計算値 (C42H46O)n: C, 88.68; H, 8.51; S, 2.81。実測値: C, 87.95; H, 8.24; O, 3.34。
上で得られたポリマー(PreP1)(40 mg) をアルゴン雰囲気下に乾燥ジクロロメタン (5 ml) に溶解した。p-イソプロピルベンゼンチオール (0.68 ml, 4.5 mmol) を加え、続いて、三フッ化ホウ素エーテルコンプレックス (0.30 ml, 2.4 x 10-4 mmol) を加えた。室温で24時間攪拌後、反応混合物をメタノール中に再沈殿させた。得られた沈殿を濾集し、減圧乾燥させ、標題化合物(P1)を黄色粉末 (39 mg) として得た。
1H-NMR (270 MHz, CDCl3): δ(ppm) 7.9-6.8 (Ar-H, br), 2.82 (CH(CH3)2, br), 2.11 (CH 2 (CH2)6CH3, br), 1.25-0.77 (alkyl, br)。13C-NMR (270 MHz, CDCl3): δ(ppm) 151.6, 150.4, 150.1, 146.8, 139.8, 136.3, 128.9, 128.1, 127.4, 127.1, 126.4, 123.9, 121.3, 120.1, 120.1, 119.8, 55.4, 40.5, 33.9, 33.8, 32.0, 31.9, 30.2, 30.1, 29.8, 29.4, 24.0, 23.9, 23.8, 22.7, 14.2。
元素分析 計算値 (C60H68S2)n: C, 84.45; H, 8.03; S, 7.52。実測値: C, 82.43; H, 7.23; S, 7.74; Br, 0.94。
実施例1:フッ素化導電性高分子化合物の製造−1
Figure 2010065242
導電性高分子(1 mg)(P1)を含むクロロホルム溶液を白金板(1 cm×1 cm)に膜厚約50μmでキャスト製膜し、減圧乾燥してポリマー固定化電極とした。直径1.5 cmプラスチックセル内にフッ化水素塩イオン液体(3 ml)を入れ、アルゴンを5分間吹き込むことにより溶存酸素を取り除いたものを電解液兼フッ素源として用いた。この電解液中に、ポリマー固定した白金板を陽極、未処理の白金板(1 cm×1 cm)を陰極として浸漬し、室温で、電流密度10 Acm-2、通電量24 Fmol-1の条件で電解反応を行った。
図1に、電解前の導電性高分子(P1)のH−NMRスペクトル(上)、4 Fmol-1で電解後のP1の変化を示すH−NMRスペクトル(中)、及び24Fmol-1で電解後のP1の変化を示すH−NMRスペクトル(下)を示す。図2には、2 Fmol-1〜24 Fmol-1まで電流を増加させたときの、導電性高分子(P1)の脱硫率(すなわち反応率)を示す(H−NMRによる推定)。20 Fmol-1以上の通電量では反応がほぼ100%進行したことが分かる。
その後、陽極上の導電性高分子を水溶液、メタノールで洗浄し、減圧乾燥することにより、精製を行った。
精製した導電性高分子は、H−NMRスペクトル、19F−NMRスペクトル、及びエネルギー分散形X線分光分析により、フッ素化導電性高分子(P2)であると同定した。また、GPCにより分子鎖の切断などが起こっていないことも確認した。
1H-NMR (270 MHz, CDCl3): δ(ppm)7.9-6.8 (Ar-H, br), 2.11 (CH 2(CH2)6CH3, br), 1.25-0.77 (alkyl, br)。19F-NMR (270 MHz, CDCl3): δ(ppm)-33.7 (>CF2, inner unit), -34.1 (>CF2, terminal unit)。
また、精製した導電性高分子(P2)の紫外可視吸収スペクトル(図3)の測定(クロロホルム)は、420 nm〜550 nmに新たな吸収帯を示した。このことにより、P1にフッ素基が導入されたために電子不足なユニットが生じ、分子内電荷移動が起こっていることが確認された。このことはDFT計算からも示唆された。
実施例2:フッ素化導電性高分子の製造−2
Figure 2010065242
導電性高分子(1 mg)(P1)を含むクロロホルム溶液を白金板(1 cm×1 cm)に膜厚約50μmでキャスト製膜し、減圧乾燥してポリマー固定化電極とした。直径1.5 cmのプラスチックセル内に、N,N-ジエチル-N-メチル-N-(2-メトキシエチル)アンモニウム ビス(トリフルオロメチルスルホニル)イミド(DEME-TFSI)(2.7 ml)、トリフルオロエタノール(0.3 ml)を入れ、アルゴンを5分間吹き込むことで溶存酸素を取り除いたものを電解液兼アルコキシ化剤として用いた。この電解液中に、ポリマー固定した白金板を陽極、未処理の白金板(1 cm×1 cm)を陰極として浸漬し、室温で、電流密度10 mAcm-2、通電量24 Fmol-1の条件で電解反応を行った。その後、陽極上の導電性高分子を水溶液、メタノールで洗浄し、減圧乾燥することにより、精製を行った。
精製した導電性高分子は、H−NMRスペクトル、19F−NMRスペクトル、及びエネルギー分散形X線分光分析により、フッ素化導電性高分子(P3)であると同定した。また、ゲル浸透クロマトグラフィーにより分子鎖の切断などが起こっていないことも確認した。
1H-NMR (270 MHz, CDCl3): δ(ppm)7.9-6.8 (Ar-H, br), 3.28 (OCH 2 CF3, br), 2.82 (CH(CH3)2, br), 2.11 (CH 2 (CH2)6CH3, br), 1.25-0.77 (alkyl, br)。19F-NMR (270 MHz, CDCl3): δ(ppm)-0.577 (OCH2CF 3 , t)。
図1は、電解前の導電性高分子(P1)のH−NMRスペクトル(上)、4 Fmol-1で電解後のP1の変化を示すH−NMRスペクトル(中)、及び24 Fmol-1で電解後のP1の変化を示すH−NMRスペクトル(下)を示す。 図2は、実施例1の電解反応における、電流に対する導電性高分子(P1)の脱硫率の変化を示す。 図3は、導電性高分子(P1)及びフッ素化導電性高分子(P2)の紫外可視吸収スペクトルの比較を示す。

Claims (11)

  1. イオン液体中に、導電性高分子膜が形成された電極と、対極電極とを浸漬し、該電極及び対極電極間に電圧を印加して、電気化学的に導電性高分子化合物を化学反応させることを特徴とする、導電性高分子化合物の改質法。
  2. 前記イオン液体が、導電性高分子化合物を化学反応させるための反応体としても働くイオン液体である、請求項1に記載の改質法。
  3. 前記イオン液体が反応剤を更に含む、請求項1又は2に記載の改質法。
  4. 前記反応剤のイオン液体中の含量が10%(v/v)以下である、請求項3に記載の改質法。
  5. 前記導電性高分子化合物が、ポリフルオレン系化合物である、請求項1〜4のいずれか1項に記載の改質法。
  6. 前記導電性高分子化合物が、その側鎖に脱離基を有する化合物である、請求項1〜5のいずれか1項に記載の改質法。
  7. イオン液体としてポリフッ化水素塩を用いて、導電性高分子化合物をフッ素置換する、請求項1、2、5又は6のいずれか1項に記載の改質法。
  8. 前記ポリフッ化水素塩が、テトラアルキルアンモニウムフロリドポリフッ化水素塩である、請求項7に記載の改質法。
  9. イオン液体と、前記反応剤としてフルオロアルキルアルコールとを用いて、導電性高分子化合物をフルオロアルコキシ置換する、請求項1、3、4、5又は6のいずれか1項に記載の改質法。
  10. 前記イオン液体が、N,N-ジエチル-N-メチル-N-(2-メトキシエチル)アンモニウム ビス(トリフルオロメチルスルホニル)イミドである、請求項9に記載の改質法。
  11. 化学反応後の導電性高分子化合物を電極表面から溶出又は剥離するステップを更に含む、請求項1〜10のいずれか1項に記載の改質法。
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