JP2010062380A - 光電変換装置,光電変換装置の製造方法及び撮像装置 - Google Patents

光電変換装置,光電変換装置の製造方法及び撮像装置 Download PDF

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Abstract

【課題】光電変換層が劣化することを防止して、素子性能の低下を防止することができる光電変換装置、光電変換装置の製造方法及び撮像装置を提供する。
【解決手段】基板と、該基板の上方に形成された下部電極12と、下部電極12の上方に形成された光電変換層13r,13g,13bと、光電変換層13r,13g,13bの上方に形成された上部電14極とを含む光電変換素子1を有する画素が複数配列され、各画素の光電変換層13r,13g,13bが上部電極14で封止され、隣り合う画素の上部電極14が電気的に接続されている。
【選択図】図1

Description

本発明は、光電変換装置,光電変換装置の製造方法及び撮像装置に関する。
デジタルスチルカメラやデジタルビデオカメラ等に利用されているイメージセンサとしては、Si半導体基板などにホトダイオードを含む画素を配列し、各画素のホトダイオードで生じた光電子に対応した信号電荷をCCDやCMOSの信号読出回路で読出す固体撮像装置(いわゆるCCDセンサやCMOSセンサ)が広く知られている。
これら固体撮像装置は、半導体基板上にホトダイオードだけでなく、信号電荷蓄積部位・電荷転送部位・信号読出部位やそれらを接続する配線などが形成されている。そのために画素微細化が進展するにつれ一画素に占める回路領域が相対的に大きくなりホトダイオードの受光面積が小さくなるという「開口率の低下」が問題となっている。開口率の低下はそのまま感度の低下につながる。
開口率の低下を抑制するため各画素上にマイクロレンズなどを形成して集光することで実質的な開口率を増加させることが必須となる。しかし、製造工程の増加や光学設計の複雑化などコストの上昇が避けられない上に感度向上の改善は限定的である。
そこで、各回路と配線を形成した半導体基板上方に光電変換層を積層し開口率を向上させるという「積層型固体撮像装置」が提案されている。例えば、半導体基板上に積層された下部電極と、下部電極上に積層された光電変換層と、光電変換層上に積層された上部電極とを含む光電変換素子を半導体基板に対して平行な面に多数配列した構成になる。光電変換素子の、下部電極と上部電極との間にバイアス電圧を印加することで、光電変換層内で発生した電荷が下部電極と上部電極とに移動し、いずれかの電極に移動した電荷に応じた信号が、半導体基板内に設けられたCCDやCMOSで構成された信号読出回路で読出される。ここで、光電変換層とは、入射した特定の波長の光を吸収し、吸収した光量に応じた電荷(電子および正孔)を発生する層である。
また、光電変換層に色再現性に優れる有機材料を用いた構成の光電変換装置の実用化が進められている。従来、有機材料を含む層を備えたセンサとしては、例えば下記特許文献に示すものがある。
特許文献1には、導電性電極間に有機半導体の薄層が挟持された構成のフルカラーの画像センサが記載されている。
特許文献2には、基板の上方に形成された第1の電極と第2電極と、両電極間に設けられた有機層とを有する有機EL表示装置が記載され、有機層は塗布法により形成され、かつリフトオフ法によりパターニングされることが記載されている。
特表2002−502120号公報 特開2002−170669号公報
ところで、カラーイメージセンサとして用いる光電変換装置は、少なくとも1つの光電変換素子を含む画素が半導体基板上に2次元配列で複数形成され、各画素がR(赤),G(緑),B(青)の波長の光のいずれかを検出する光電変換層を含み、かつ、RGBの各画素が2次元上に所定のカラーパターンで配列される構成である。
このような構成の光電変換装置は、半導体基板上に光電変換層を形成する際に半導体微細加工技術(例えば、光リソグラフィ、ナノインプリント、レーザ描画や電子線描画による熱リソグラフィ等)を利用するが、製造時及び製造後に光電変換層に含まれる有機材料が大気中で顕著に劣化してしまうことに起因して、素子性能が低下することが懸念されている。
特許文献1には、RGBの各画素のパターニングをレーザアブレーションやプラズマエッチングによって行うことが記載されているが、有機材料を含む薄膜をパターニングする際に、該薄膜が雰囲気中の大気に曝されることを防ぐことについては何ら対策がとられていないため、製造時に有機材料が大気中で劣化することによって素子性能が低下することが懸念される。
特許文献2には、リフトオフ工程において、剥離層に弗素系樹脂を使用し、また、剥離液に弗素系溶媒を使用することで有機層の劣化を抑制している。しかし、リフトオフ時に有機層自体が溶媒に直接曝露されるため、溶媒が有機層内に浸透し、溶媒の除去が困難であり、有機材料の劣化が避けられない。
本発明は、上記事情に鑑みてなされたもので、その目的は、光電変換層が劣化することを防止して、素子性能の低下を防止することができる光電変換装置、光電変換装置の製造方法及び撮像装置を提供することにある。
本発明は、基板と、該基板の上方に形成された下部電極と、前記下部電極の上方に形成された光電変換層と、前記光電変換層の上方に形成された上部電極とを含む光電変換素子を有する画素が複数配列された光電変換装置であって、
各画素の前記光電変換層が前記上部電極で封止され、隣り合う前記画素の前記上部電極が電気的に接続されている光電変換装置である。
また、本発明は、基板と、該基板の上方に形成された下部電極と、前記下部電極の上方に形成された光電変換層と、前記光電変換層を封止するように形成された上部電極とを含む光電変換素子を有する画素が複数配列された光電変換装置の製造方法であって、
(a)第1レジストを形成する工程と、
(b)前記第1レジスト上に第2レジストを形成する工程と、
(c)前記第2レジストに、各画素の領域に応じた上方開口を設ける工程と、
(d)前記上方開口から露呈する前記第1レジストに下方開口を設ける工程と、
(e)前記下方開口内に、該下方開口よりも小さい領域に前記光電変換層を形成する工程と、
(f)前記光電変換層を覆うように前記上部電極を形成し、該光電変換層を封止する工程と、
(g)前記上方開口を設けた部位以外に形成された前記光電変換層、前記上部電極を除去する工程と、を含む光電変換装置の製造方法である。
本発明は、光電変換層を上部電極によって封止する構成とすることで、光電変換層を外気やプラズマ、水、有機溶媒等の劣化因子に直接曝すことを回避することができ、光リソグラフィ等の既存の半導体微細加工技術を利用して有機光電変換材料を高精細にパターニングすることが可能である。
本発明によれば、光電変換層が劣化することを防止して、素子性能の低下を防止することができる光電変換装置、光電変換装置の製造方法及び撮像装置を提供できる。
本発明の実施形態を説明するための光電変換装置は、基板と、該基板の上方に形成された下部電極と、下部電極の上方に形成された光電変換層を含む中間層と、前記中間層の上方に形成された上部電極とを含む光電変換素子を少なくとも1つ有する画素が複数配列された構成である。光電変換装置は、複数の画素を2次元状に配置したイメージセンサとして用いることができ、または、複数の画素を1次元状に配列したラインセンサとして用いることができる。なお、以下の実施形態では、複数の画素を2次元状に配置したイメージセンサを例に説明する。
中間層は電磁波を吸収する部位、光電変換層、電子輸送部位、正孔輸送部位、電子阻止部位、正孔阻止部位、結晶化防止部位、電極ならびに層間接触改良部位等の積み重ねもしくは混合から形成される。光電変換層は有機層を含み、該有機層は有機p形化合物または有機n形化合物を含有することが好ましい。
有機p形半導体(化合物)は、ドナ性有機半導体(化合物)であり、主に正孔輸送性有機化合物に代表され、電子を供与しやすい性質がある有機化合物をいう。さらに詳しくは2つの有機材料を接触させて用いたときにイオン化ポテンシャルの小さい方の有機化合物をいう。したがって、ドナ性有機化合物は、電子供与性のある有機化合物であればいずれの有機化合物も使用可能である。例えば、トリアリールアミン化合物、ベンジジン化合物、ピラゾリン化合物、スチリルアミン化合物、ヒドラゾン化合物、トリフェニルメタン化合物、カルバゾール化合物、ポリシラン化合物、チオフェン化合物、フタロシアニン化合物、シアニン化合物、メロシアニン化合物、オキソノール化合物、ポリアミン化合物、インドール化合物、ピロール化合物、ピラゾール化合物、ポリアリーレン化合物、縮合芳香族炭素環化合物(ナフタレン誘導体、アントラセン誘導体、フェナントレン誘導体、テトラセン誘導体、ピレン誘導体、ペリレン誘導体、フルオランテン誘導体)、含窒素ヘテロ環化合物を配位子として有する金属錯体等を用いることができる。なお、これに限らず、上記したように、n形(アクセプタ性)化合物として用いた有機化合物よりもイオン化ポテンシャルの小さい有機化合物であればドナ性有機半導体として用いてよい。
有機n形半導体(化合物)は、アクセプタ性有機半導体(化合物)であり、主に電子輸送性有機化合物に代表され、電子を受容しやすい性質がある有機化合物をいう。さらに詳しくは2つの有機化合物を接触させて用いたときに電子親和力の大きい方の有機化合物をいう。したがって、アクセプタ性有機化合物は、電子受容性のある有機化合物であればいずれの有機化合物も使用可能である。例えば、縮合芳香族炭素環化合物(ナフタレン誘導体、アントラセン誘導体、フェナントレン誘導体、テトラセン誘導体、ピレン誘導体、ペリレン誘導体、フルオランテン誘導体)、窒素原子、酸素原子、硫黄原子を含有する5ないし7員のヘテロ環化合物(例えばピリジン、ピラジン、ピリミジン、ピリダジン、トリアジン、キノリン、キノキサリン、キナゾリン、フタラジン、シンノリン、イソキノリン、プテリジン、アクリジン、フェナジン、フェナントロリン、テトラゾール、ピラゾール、イミダゾール、チアゾール、オキサゾール、インダゾール、ベンズイミダゾール、ベンゾトリアゾール、ベンゾオキサゾール、ベンゾチアゾール、カルバゾール、プリン、トリアゾロピリダジン、トリアゾロピリミジン、テトラザインデン、オキサジアゾール、イミダゾピリジン、ピラリジン、ピロロピリジン、チアジアゾロピリジン、ジベンズアゼピン、トリベンズアゼピン等)、ポリアリーレン化合物、フルオレン化合物、シクロペンタジエン化合物、シリル化合物、含窒素ヘテロ環化合物を配位子として有する金属錯体などが挙げられる。なお、これに限らず、上記したように、ドナ性有機化合物として用いた有機化合物よりも電子親和力の大きな有機化合物であればアクセプタ性有機半導体として用いてよい。
p形有機色素、またはn形有機色素としては、いかなるものを用いても良いが、好ましくは、シアニン色素、スチリル色素、ヘミシアニン色素、メロシアニン色素(ゼロメチンメロシアニン(シンプルメロシアニン)を含む)、3核メロシアニン色素、4核メロシアニン色素、ロダシアニン色素、コンプレックスシアニン色素、コンプレックスメロシアニン色素、アロポーラ色素、オキソノール色素、ヘミオキソノール色素、スクアリウム色素、クロコニウム色素、アザメチン色素、クマリン色素、アリーリデン色素、アントラキノン色素、トリフェニルメタン色素、アゾ色素、アゾメチン色素、スピロ化合物、メタロセン色素、フルオレノン色素、フルギド色素、ペリレン色素、フェナジン色素、フェノチアジン色素、キノン色素、インジゴ色素、ジフェニルメタン色素、ポリエン色素、アクリジン色素、アクリジノン色素、ジフェニルアミン色素、キナクリドン色素、キノフタロン色素、フェノキサジン色素、フタロペリレン色素、ポルフィリン色素、クロロフィル色素、フタロシアニン色素、金属錯体色素、縮合芳香族炭素環系色素(ナフタレン誘導体、アントラセン誘導体、フェナントレン誘導体、テトラセン誘導体、ピレン誘導体、ペリレン誘導体、フルオランテン誘導体)が挙げられる。
次に金属錯体化合物について説明する。金属錯体化合物は金属に配位する少なくとも1つの窒素原子または酸素原子または硫黄原子を有する配位子をもつ金属錯体であり、金属錯体中の金属イオンは特に限定されないが、好ましくはベリリウムイオン、マグネシウムイオン、アルミニウムイオン、ガリウムイオン、亜鉛イオン、インジウムイオン、または錫イオンであり、より好ましくはベリリウムイオン、アルミニウムイオン、ガリウムイオン、または亜鉛イオンであり、更に好ましくはアルミニウムイオン、または亜鉛イオンである。前記金属錯体中に含まれる配位子としては種々の公知の配位子が有るが、例えば、H.Yersin著「Photochemistry and Photophysics of Coordination Compounds」(Springer-Verlag、1987年)、山本明夫著「有機金属化学−基礎と応用−」(裳華房、1982年)等に記載の配位子が挙げられる。
配位子として、好ましくは含窒素ヘテロ環配位子(好ましくは炭素数1〜30、より好ましくは炭素数2〜20、特に好ましくは炭素数3〜15であり、単座配位子であっても2座以上の配位子であっても良い。好ましくは2座配位子である。例えばピリジン配位子、ビピリジル配位子、キノリノール配位子、ヒドロキシフェニルアゾール配位子(ヒドロキシフェニルベンズイミダゾール、ヒドロキシフェニルベンズオキサゾール配位子、ヒドロキシフェニルイミダゾール配位子)などが挙げられる)、アルコキシ配位子(好ましくは炭素数1〜30、より好ましくは炭素数1〜20、特に好ましくは炭素数1〜10であり、例えばメトキシ、エトキシ、ブトキシ、2−エチルヘキシロキシなどが挙げられる。)、アリールオキシ配位子(好ましくは炭素数6〜30、より好ましくは炭素数6〜20、特に好ましくは炭素数6〜12であり、例えばフェニルオキシ、1−ナフチルオキシ、2−ナフチルオキシ、2,4,6−トリメチルフェニルオキシ、4−ビフェニルオキシなどが挙げられる。)、ヘテロアリールオキシ配位子(好ましくは炭素数1〜30、より好ましくは炭素数1〜20、特に好ましくは炭素数1〜12であり、例えばピリジルオキシ、ピラジルオキシ、ピリミジルオキシ、キノリルオキシなどが挙げられる。)、アルキルチオ配位子(好ましくは炭素数1〜30、より好ましくは炭素数1〜20、特に好ましくは炭素数1〜12であり、例えばメチルチオ、エチルチオなどが挙げられる。)、アリールチオ配位子(好ましくは炭素数6〜30、より好ましくは炭素数6〜20、特に好ましくは炭素数6〜12であり、例えばフェニルチオなどが挙げられる。)、ヘテロ環置換チオ配位子(好ましくは炭素数1〜30、より好ましくは炭素数1〜20、特に好ましくは炭素数1〜12であり、例えばピリジルチオ、2−ベンズイミゾリルチオ、2−ベンズオキサゾリルチオ、2−ベンズチアゾリルチオなどが挙げられる。)、またはシロキシ配位子(好ましくは炭素数1〜30、より好ましくは炭素数3〜25、特に好ましくは炭素数6〜20であり、例えば、トリフェニルシロキシ基、トリエトキシシロキシ基、トリイソプロピルシロキシ基などが挙げられる)であり、より好ましくは含窒素ヘテロ環配位子、アリールオキシ配位子、ヘテロアリールオキシ基、またはシロキシ配位子であり、更に好ましくは含窒素ヘテロ環配位子、アリールオキシ配位子、またはシロキシ配位子が挙げられる。
下部電極と上部電極の間にp形半導体層とn形半導体層とを有し、該p形半導体とn形半導体の少なくともいずれかが有機半導体であり、かつ、それらの半導体層の間に、該p形半導体およびn形半導体を含むバルクヘテロ接合構造層を中間層として有する光電変換膜(感光層)を含有する場合が好ましい。このような場合、光電変換膜において、有機層にバルクへテロ接合構造を含有させることにより有機層のキャリア拡散長が短いという欠点を補い、光電変換効率を向上させることができる。なお、バルクへテロ接合構造については、特開2005−303266号において詳細に説明されている。
下部電極と上部電極の間にp形半導体の層とn形半導体の層で形成されるpn接合層の繰り返し構造(タンデム構造)の数を2以上有する構造を持つ光電変換膜(感光層)を含有する場合も好ましく、さらに好ましくは、前記繰り返し構造の間に、導電材料の薄層を挿入する場合である。pn接合層の繰り返し構造(タンデム構造)の数はいかなる数でもよいが、光電変換効率を高くするために好ましくは2〜50であり、さらに好ましくは2〜30であり、特に好ましくは2または10である。導電材料としては銀または金が好ましく、銀が最も好ましい。なお、タンデム構造については、特開2006−086493号において詳細に説明されている。
下部電極と上部電極の間にp形半導体の層、n形半導体の層、(好ましくは混合・分散(バルクヘテロ接合構造)層)を持つ光電変換膜において、p形半導体およびn形半導体のうちの少なくとも1方に配向制御された有機化合物を含むことを特徴とする光電変換膜の場合も好ましく、さらに好ましくは、p形半導体およびn形半導体の両方に配向制御された(可能な)有機化合物を含む場合である。光電変換膜の有機層に用いられる有機化合物としては、π共役電子を持つものが好ましく用いられるが、このπ電子平面が、基板(電極基板)に対して垂直ではなく、平行に近い角度で配向しているほど好ましい。基板に対する角度として好ましくは0°以上80°以下であり、さらに好ましくは0°以上60°以下であり、さらに好ましくは0°以上40°以下であり、さらに好ましくは0°以上20°以下であり、特に好ましくは0°以上10°以下であり、最も好ましくは0°(すなわち基板に対して平行)である。上記のように、配向の制御された有機化合物の層は、有機層全体に対して一部でも含めば良いが、好ましくは、有機層全体に対する配向の制御された部分の割合が10%以上の場合であり、さらに好ましくは30%以上、さらに好ましくは50%以上、さらに好ましくは70%以上、特に好ましくは90%以上、最も好ましくは100%である。このような状態は、光電変換膜において、有機層の有機化合物の配向を制御することにより有機層のキャリア拡散長が短いという欠点を補い、光電変換効率を向上させるものである。
有機化合物の配向が制御されている場合において、さらに好ましくはヘテロ接合面(例えばpn接合面)が基板に対して平行ではない場合である。ヘテロ接合面が、基板(電極基板)に対して平行ではなく、垂直に近い角度で配向しているほど好ましい。基板に対する角度として好ましくは10°以上90°以下であり、さらに好ましくは30°以上90°以下であり、さらに好ましくは50°以上90°以下であり、さらに好ましくは70°以上90°以下であり、特に好ましくは80°以上90°以下であり、最も好ましくは90°(すなわち基板に対して垂直)である。上記のような、ヘテロ接合面の制御された有機化合物の層は、有機層全体に対して一部でも含めば良い。好ましくは、有機層全体に対する配向の制御された部分の割合が10%以上の場合であり、さらに好ましくは30%以上、さらに好ましくは50%以上、さらに好ましくは70%以上、特に好ましくは90%以上、最も好ましくは100%である。このような場合、有機層におけるヘテロ接合面の面積が増大し、界面で生成する電子、正孔、電子正孔対等のキャリア量が増大し、光電変換効率の向上が可能となる。以上の、有機化合物のヘテロ接合面とπ電子平面の両方の配向が制御された光電変換膜において、特に光電変換効率の向上が可能である。これらの状態については、特開2006−086493号において詳細に説明されている。
光吸収の点では有機色素層の膜厚は大きいほど好ましいが、電荷分離に寄与しない割合を考慮すると、有機色素層の膜厚として好ましくは、30nm以上300nm以下、さらに好ましくは50nm以上250nm以下、特に好ましくは80nm以上200nm以下である。
(有機層の形成法)
これらの有機化合物を含む層は、乾式成膜法あるいは湿式成膜法により成膜される。乾式成膜法の具体的な例としては、真空蒸着法、スパッタ法、イオンプレーティング法,分子線エピタキシ法等の物理気相堆積(PVD)法あるいはプラズマ重合等の化学気相堆積(CVD)法が挙げられる。湿式成膜法としては、塗布法、回転塗布法、浸漬法、LB法等が用いられる。
p形半導体(化合物)、または、n形半導体(化合物)のうちの少なくとも一つとして高分子化合物を用いる場合は、作成の容易な湿式成膜法により成膜することが好ましい。蒸着等の乾式成膜法を用いた場合、高分子を用いることは分解のおそれがあるため難しく、代わりとしてそのオリゴマを好ましく用いることができる。一方、低分子を用いる場合は、乾式成膜法が好ましく用いられ、特に真空蒸着法が好ましく用いられる。真空蒸着法は抵抗加熱蒸着法、電子線加熱蒸着法等の化合物の加熱の方法、るつぼ、ボ−ト等の蒸着源の形状、真空度、蒸着温度、基板温度、蒸着速度等が基本的なパラメータである。均一な蒸着を可能とするために基板を回転させて蒸着することは好ましい。真空度は高い方が好ましく10-2Pa以下、好ましくは10-4Pa以下、特に好ましくは10-6Pa以下で真空蒸着が行われる。蒸着時のすべての工程は上記の真空中で行われることが好ましく、基本的には化合物が直接、外気の酸素、水分と接触しないようにする。真空蒸着の上述した条件は有機膜の結晶性、非晶質性、密度、緻密度等に影響するので厳密に制御する必要がある。水晶振動子、干渉計等の膜厚モニタを用いて蒸着速度をPIもしくはPID制御することは好ましく用いられる。2種以上の化合物を同時に蒸着する場合には共蒸着法、フラッシュ蒸着法等を好ましく用いることができる。
(電極)
光電変換素子の電極について詳細に説明する。光電変換層を含む中間層は、下部電極(画素電極膜)、上部電極(対向電極膜)により挟まれ、電極間材料等を含むことができる。画素電極膜とは、電荷蓄積/転送/読出部位が形成された基板上方に作成された電極膜のことで、通常1画素ごとに分割される。これは、光電変換層により変換された信号電荷を電荷蓄積/転送/信号読出回路基板上に1画素ごとに読出すことで、画像を得るためである。対向電極膜とは、光電変換層を画素電極膜と共にはさみこむことで信号電荷と逆の極性を持つ信号電荷を吐出す機能をもっている。この信号電荷の吐出しは各画素間で分割する必要がないため、通常、対向電極膜は各画素間で共通にすることができる。そのため、共通電極膜(コモン電極膜)と呼ばれることもある。
光電変換素子を構成する透明導電膜の材料は、プラズマフリーである成膜装置、電子線蒸着装置、およびパルスレーザ蒸着装置により成膜できるものが好ましい。例えば、金属、合金、金属酸化物、金属窒化物、金属硼化物、有機導電性化合物、これらの混合物等が好適に挙げられ、具体例としては、酸化錫、酸化亜鉛、酸化インジウム、酸化インジウム錫(ITO)、酸化インジウム亜鉛(IZO)、酸化インジウムタングステン(IWO)、酸化チタン等の導電性金属酸化物、窒化チタン(TiN)等の金属窒化物、Au、Pt、Ag、Cr、Ni、Al等の金属、更にこれらの金属と導電性金属酸化物との混合物または積層物、ヨウ化銅、硫化銅などの無機導電性物質、ポリアニリン、ポリチオフェン、ポリピロール等の有機導電性材料、これらとITOとの積層物、などが挙げられる。また、日本学術振興会透明酸化物光・電子材料第166委員会編「透明導電膜の技術 改訂2版」(オーム社、2006年)や、南内嗣監修「透明導電膜の新展開III―ITOとその代替材料開発の現状―」(シーエムシー出版、2008年)等に詳細に記載されているものを用いても良い。
透明導電膜の材料として特に好ましいのは、ITO、IZO、酸化錫、アンチモンドープ酸化錫(ATO)、弗素ドープ酸化錫(FTO)、酸化亜鉛、アンチモンドープ酸化亜鉛(AZO)、ガリウムドープ酸化亜鉛(GZO)のいずれかの材料である。透明導電膜の光透過率は、その透明導電膜を含む光電変換素子に含まれる光電変換層の光電変換光吸収極大波長において、60%以上が好ましく、より好ましくは80%以上で、より好ましくは90%以上、より好ましくは95%以上である。また、透明導電膜の表面抵抗は、下部電極であるか上部電極であるか、さらには電荷蓄積/転送・読出部位がCCDであるかCMOSであるか等により好ましい範囲は異なる。上部電極に使用し電荷蓄積/転送/読出部位がCMOSの場合には10kΩ/□以下が好ましく、より好ましくは、1kΩ/□以下である。上部電極に使用し電荷蓄積/転送/読出部位がCCDの場合には1kΩ/□以下が好ましく、より好ましくは、0.1kΩ/□以下である。下部電極に使用する場合には1MΩ/□以下が好ましく、より好ましくは、0.1MΩ/□以下である。
透明導電膜成膜時の条件について触れる。透明導電膜成膜時の基板温度は500℃以下が好ましく、より好ましくは、300℃以下で、さらに好ましくは200℃以下、さらに好ましくは150℃以下である。また、透明導電膜成膜中にガスを導入しても良く、基本的にそのガス種は制限されないが、Ar、He、O、Nなどを用いることができる。また、これらのガスの混合ガスを用いても良い。特に酸化物の材料の場合は、酸素欠陥が生じることが多いので、Oを用いることが好ましい。
光電変換層に電圧を印加した場合、光電変換効率が向上する点で好ましい。印加電圧としては、いかなる電圧でも良いが、光電変換層を含む中間層の膜厚により必要な電圧は変わってくる。すなわち、光電変換効率は、光電変換層に加わる電界が大きいほど向上するが、同じ印加電圧でも中間層の膜厚が薄いほど加わる電界は大きくなる。従って、中間層の膜厚が薄い場合は、印加電圧は相対的に小さくても良い。中間層に加える電界として好ましくは、10V・m−1以上であり、さらに好ましくは1×10V・m−1以上、さらに好ましくは1×10V・m−1以上、特に好ましくは1×10V・m−1以上、最も好ましくは1×10V・m−1以上である。上限は特にないが、高電界になるほど暗電流が増大するので、1×1012V・m−1以下が好ましく、さらに1×109V・m−1以下が好ましい。
(補助層)
好ましくは各画素の上方に紫外線吸収層若しくは赤外線吸収層、又は、紫外線吸収層及び赤外線吸収層を有する。紫外線吸収層は少なくとも400nm以下の光を吸収または反射することができ、好ましくは400nm以下の波長域での吸収率は50%以上である。赤外線吸収層は少なくとも700nm以上の光を吸収または反射することができ、好ましくは700nm以上の波長域での吸収率は50%以上である。これらの紫外線吸収層、赤外線吸収層は従来公知の方法によって形成できる。例えば基板上にゼラチン、カゼイン、グリュあるいはポリビニルアルコールなどの親水性高分子物質からなる媒染層を設け、その媒染層に所望の吸収波長を有する色素を添加もしくは染色して着色層を形成する方法が知られている。さらには、ある種の着色材が透明樹脂中に分散されてなる着色樹脂を用いた方法が知られている。例えば、特開昭58−46325号公報・特開昭60−78401号公報・特開昭60−184202号公報・特開昭60−184203号公報・特開昭60−184204号公報・特開昭60−184205号公報等に示されている様に、ポリアミノ系樹脂に着色材を混合した着色樹脂膜を用いることができる。感光性を有するポリイミド樹脂を用いた着色剤も可能である。特公平7−113685号公報記載の感光性を有する基を分子内に持つ、200℃以下にて硬化膜を得ることのできる芳香族系のポリアミド樹脂中に着色材料を分散すること、特公平7−69486号公報記載の含量を分散着色樹脂を用いることも可能である。好ましくは誘電体多層膜が用いられる。誘電体多層膜は光の透過の波長依存性が鮮鋭であり、好ましく用いられる。更に、マイクロレンズアレイを光電変換装置の上部に形成することにより、集光効率を向上させることができるため、このような態様も好ましい。
(信号読出回路)
信号読出回路を構成する電荷転送/読出部位については特開昭58−103166号公報、特開昭58−103165号公報、特開2003−332551号公報等を参考にすることができる。半導体基板上にMOSトランジスタが各画素単位に形成された構成や、あるいは、素子としてCCDを有する構成を適宜採用することができる。例えばMOSトランジスタを用いた撮像装置の場合、補助層、透明絶縁膜、上部電極を透過した入射光によって光電変換層の中に電荷が発生し、下部電極と上部電極との間に電圧を印加することで生じる電界によって電荷が中間層内を下部電極まで走行し、さらにMOSトランジスタの電荷蓄積部まで移動し、電荷蓄積部に電荷が蓄積される。電荷蓄積部に蓄積された電荷は、MOSトランジスタのスイッチングにより電荷読出部に移動し、さらに電気信号として出力される。これにより、フルカラーの画像信号が、信号処理部を含む撮像装置に入力される。一定量のバイアス電荷を蓄積ダイオードに注入しておき(リフレッシュモード)、一定の電荷を蓄積(光電変換モード)後、信号電荷を読出すことが可能である。光電変換素子そのものを蓄積ダイオードとして用いることもできるし、別途、蓄積ダイオードを付設することもできる。
信号の読出しについてさらに詳細に説明する。信号の読出しは、通常のカラー読出回路を用いることができる。光電変換素子で光電変換された信号電荷は、光電変換素子そのものもしくは付設されたキャパシタで蓄えられる。蓄えられた電荷は、X−Yアドレス方式を用いたMOS型撮像装置(いわゆるCMOSセンサ)の手法により、画素位置の選択とともに読出される。他には、アドレス選択方式として、1画素ずつ順次マルチプレクサスイッチとデジタルシフトレジスタで選択し、共通の出力線に信号電圧(または電荷)として読出す方式が挙げられる。2次元にアレイ化されたX−Yアドレス操作の撮像素子がCMOSセンサとして知られる。これは、X−Yの交点に接続された画素に設けられたスイッチは垂直シフトレジスタに接続され、垂直走査シフトレジスタからの電圧でスイッチがオンすると同じ行に設けられた画素から読出された信号は、列方向の出力線に読出される。この信号は水平走査シフトレジスタにより駆動されるスイッチを通して順番に出力端から読出される。
出力信号の読出しには、フローティングディフュージョン検出器や、フローティングゲート検出器を用いることができる。また画素部分に信号増幅回路を設けることや、相関二重サンプリング(Correlated Double Sampling)の手法などにより、SN比の向上をはかることができる。
信号処理には、ADC回路によるガンマ補正、AD変換機によるデジタル化、輝度信号処理や、色信号処理を施すことができる。色信号処理としては、ホワイトバランス処理や、色分離処理、カラーマトリクス処理などが挙げられる。NTSC信号に用いる際は、RGB信号をYIQ信号の変換処理を施すことができる。
電荷転送・読出部位は電荷の移動度が100cm・V−1・s−1以上であることが必要であり、この移動度は、材料IV族、III−V族、II−VI族の半導体から選択することによって得ることができる。その中でも微細化技術が進んでいることと、低コストであることからSi半導体が好ましい。電荷転送・電荷読出の方式は数多く提案されているが、何れの方式でも良い。特に好ましい方式はCMOSあるいはCCDである。更に、CMOSの方が高速読出し、画素加算、部分読出し、消費電力などの点で好ましいことが多い。
(接続)
光電変換素子の下部電極や上部電極と信号読み出し回路を連結する複数の接続部はいずれの金属で連結してもよいが、Cu、Al、Ag、Au、Cr、Wの中から選択するのが好ましい。複数の画素に応じて、それぞれの接続部を信号読み出し回路との間に設置する必要がある。
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて詳しく説明する。なお、以下で説明する図面はいずれも模式図であり、実際の構成の寸法及び形状とは必ずしも一致するものではない。
図1は、光電変換装置の構成例の1つを示す断面模式図である。光電変換装置は、光電変換素子1が2次元方向に多数配列された構成である。この光電変換装置は、光電変換素子1を1つずつ有する画素を、半導体基板の表面に形成された撮像領域において2次元状に複数配列させた構成である。各画素の光電変換素子1は、入射する光のうち所定の波長の光のみを吸収して光電変換によって電荷を生成する光電変換層を備えている。光電変換層は、光電変換作用を行う有機材料を含む。以下の構成例では、R(赤色),G(緑色),B(青色)の光を吸収して電荷を生成する画素をそれぞれ備えた構成を例に説明している。図1では、Rの画素、Gの画素、Bの画素を並べた3画素分のみを示している。
光電変換装置を構成する複数の画素として、Rの画素、Gの画素、Bの画素を所定の配列(例えばベイヤー配列)で配置した構成とすることができる。また、複数の画素としては、特に限定されず、例えば、第1の波長の電磁波を光電変換する光電変換素子を含む第1の画素と、第2の波長の電磁波を光電変換する光電変換素子を含む第2の画素と、を含んでいてもよい。例えば、複数の画素としては、赤色光を光電変換する光電変換素子を含む赤色画素と、緑色光を光電変換する光電変換素子を含む緑色画素と、青色光を光電変換する光電変換素子を含む青色画素と、を含んでいてもよい。
赤色の光を検出する光電変換素子1は、Si等の半導体基板(基板)上に形成された層間絶縁膜11と、該層間絶縁膜11上に形成された下部電極12と、下部電極12を覆うように形成された光電変換層13rと、光電変換層13rの上方に設けられ、該光電変換層13rを覆って外部からこれを封止する上部電極14とを含んで構成されている。緑色の光を検出する光電変換素子1は、Si等の層間絶縁膜11と、該層間絶縁膜11上に形成された下部電極12と、下部電極12を覆うように形成された光電変換層13gと、光電変換層13gの上方に設けられ、該光電変換層13gを覆って外部からこれを封止する上部電極14とを含んで構成されている。青色の光を検出する光電変換素子1は、Si等の層間絶縁膜11と、該層間絶縁膜11上に形成された下部電極12と、下部電極12を覆うように形成された光電変換層13bと、光電変換層13bの上方に設けられ、該光電変換層13bを覆って外部からこれを封止する上部電極14とを含んで構成されている。
このように、各画素の光電変換層13r,13g,13bがそれぞれ、上部電極14で完全に封止されるとともに、隣り合う画素の上部電極14が電気的に接続されている。なお、図1で示す各画素間の破線は、隣り合う光電変換素子1同士の境界を説明するために付している。
なお、以下で説明する構成例においてはいずれも、光電変換装置は光電変換素子1が中間層を光電変換層のみからなる層で構成されている場合を例に説明している。
層間絶縁膜11には、下部電極12の下面に接触するビアプラグ2が設けられている。ビアプラグ2は、下部電極12を半導体基板内に形成された図示しない基板内配線(信号読出回路)に電気的に接続する接続部として機能する。信号読出回路は電極から読出した電荷に応じた信号を出力する機能を有し、例えばCCD又はCMOSの信号読出回路を含む。
この光電変換装置の基本動作としては、上部電極14と下部電極12との間にバイアス電圧を印加した状態で、上部電極14側から光が入射すると、各画素の光電変換層13r,13g,13bで光電変換によって電荷(正孔及び電子)が生成される。そして、生成された電荷のうち、上部電極14及び下部電極12のうち一方に正孔が捕集され、他方に電子が捕集される。各画素の下部電極12に捕集された電荷は、ビアプラグ2を介して半導体基板内の読出回路によって読出される。光電変換装置をイメージセンサとして用いる場合には、各画素から読出した電荷に応じて画像信号を生成する。
図2は、光電変換装置の他の構成例を示す図である。図2に示す光電変換装置では、隣り合う光電変換素子1(画素)の境界上に位置する上部電極14に、電気接合する導電性部材15が設けられている。導電性部材15は、層間絶縁膜11上に所定の高さで形成され、図2の断面視において上部電極14の表面に向かって小さくなるように形成されている。
図3は、光電変換装置の他の構成例を示す図である。図3に示す光電変換装置では、隣り合う光電変換素子1(画素)の境界上に位置する上部電極14に、電気接合する導電性部材25が設けられている。導電性部材25は、光電変換素子1同士の境界に沿って、層間絶縁膜11から上部電極14の表面にまで延設されている。
図2及び図3に示す光電変換装置における導電性部材15,25は、上部電極14の成膜工程において隣り合う光電変換素子1の境界上の上部電極14の厚みが薄くなる場合に、隣り合う光電変換素子1間の上部電極14の電気的な接続を確保する機能を奏する。上部電極14の成膜工程については、後述する。
次に、光電変換装置の製造方法の手順を説明する。図4は、製造方法の手順の一例を示す断面図である。図5は、図4に示す手順以降の手順を示す断面図である。図6は、図5に示す手順以降の手順を示す断面図である。なお、図4から図6までの製造方法の手順では、図1に示す光電変換装置の構成例を用いて説明し、図1を適宜参照するものとする。
図4(a)に示すように、層間絶縁膜11上に、画素ごとに下部電極12を形成する。下部電極12は、層間絶縁膜11に形成されたビアプラグ2と接触する。ビアプラグ2は、半導体基板内に設けられた基板内配線に電気的に導通している。基板内配線としては、例えば、Si基板内に形成されたCMOSの信号読出回路を形成することができる。下部電極12は、既存の半導体微細加工技術(光リソグラフィ・ナノインプリント・レーザ描画や電子線描画による熱リソグラフィ等)を用いて形成することができる。下部電極12を構成する材料は、光電変換素子1の構成に対応して導電膜を適宜利用することができる。例えば、画素ピッチを2.0μmとし、各画素の下部電極12を1.8μm角にパターニングする。光電変換素子は、受光して励起子を生成した光電変換層から下部電極12に正孔を捕集する、いわゆる、正孔読出素子とすることができ、この場合には、下部電極12の材料にITOを利用する。ITOの下部電極12は、例えば膜厚50nmとし、HIを使用した乾式エッチングでパターニングして形成することができる。
図4(b)に示すように、下部電極12を形成した後、第1レジストR1を成膜する。このとき、第1レジストR1を、光電変換装置における、下部電極12と光電変換層と上部電極14の総膜厚以上となるような膜厚で成膜する。第1レジストR1は、エッチング時に後述する第2レジストR2に比べて選択比が大きくなるような材料が好ましい。第2レジストR2には一般的なホトレジスト材料のような感光性樹脂を使用できるので、第1レジストR1としてエッチング選択比が大きくなる無機材料が挙げられる。反応性イオンエッチングなど異方性エッチングもプラズマエッチングなどの等方性エッチングも共に容易な酸化珪素・窒化珪素・窒化酸化珪素が好ましく、導電性を有するAl、Ti、Mo、Ta、Wのような金属材料や多結晶Si(poly‐Si)、非晶質Si(a‐Si)が特に好ましい。
図4(c)に示すように、第1レジストR1を成膜した後で、第1レジストR1上に第2レジストR2を成膜する。第2レジストR2は、既存の半導体微細加工技術(光リソグラフィ・ナノインプリント・レーザ描画や電子線描画による熱リソグラフィ等)を用いてパターニング可能な材料が好ましい。無溶媒で塗布できる光硬化性樹脂や熱硬化性樹脂がより好ましく、蒸着・スパッタなどのPVD法で成膜できる材料が特に好ましい。
図4(d)に示すように、第2レジストR2を成膜した後で、第2レジストR2に対応した既存の半導体微細加工技術により、G画素を形成する領域の第2レジストに上方開口h1を設ける。例えば、特開2006−114882に記載されている紫外線硬化性弗素樹脂を使用した光ナノインプリントにより、G画素を形成する領域に1.9μm角の開口が設けられた弗素樹脂からなる第2レジストR2のパターンを無溶媒で形成できる。第2レジストR2に形成した上方開口h1の底面に紫外線硬化性樹脂の残渣が存在するのでOを使用した反応性イオンエッチングにより残渣を除去し、上方開口h1の底面に第1レジストR1を露出させる。
なお、この手順では、G画素を形成する領域に開口を形成したが、本発明ではR,G,B画素を形成する順番は特に限定されず、適宜変更できる。
図5(a)に示すように、第2レジストR2に形成した上方開口h1を利用して第1レジストR1をエッチングしG画素を形成する領域に下方開口s1を設ける。第1レジストR1の下方開口s1は、第2レジストR2の上方開口h1よりも開口面積が大きくなるように形成する。このために、第2レジストR2がエッチングされずに第1レジストR1がエッチングされる選択比の大きいエッチング条件を適用する。
ここで、第1レジストR1のエッチングは、湿式エッチングや乾式のプラズマエッチングなどの等方性エッチングが好ましい。理由としては、第2レジストR2の下方側面の第1レジストR1もエッチングされて(アンダーカットが得られて)第2レジストR2の上方開口h1よりも第1レジストR1の下方開口s1が広くなるためである。または、先に高精細な異方性エッチング条件が可能な反応性イオンエッチングなどの乾式エッチングを実施し、次にプラズマエッチングなどで等方性エッチングを行なうことで、第1レジストR1の下方開口s1を第2レジストR2の上方開口h1よりも広げる手段をとることがより好ましい。乾式エッチング条件を、連続的に、最初は異方性エッチングで徐々に等方性エッチング条件に変化させてゆくことも可能である。第2レジストR2は、後の工程でリフトオフする際の剥離層として利用するため、エッチング直後に除去しない。そして、次工程の有機光電変換材料を含む光電変換層の作製に進む。例えば、第1レジストR1がMoの場合は、下方開口s1が2.0μm角になるようにSFを利用したプラズマエッチングを実施できる。先に作製した下部電極12の表面が下方開口s1の底部に完全に露出するまでエッチングを行なう。
図5(b)に示すように、第1レジストR1の下方開口s1を設けた領域に、該領域より小さい領域に光電変換層13gを成膜し、続いて、図5(c)に示すように、該光電変換層13gを完全に覆って封止するように上部電極14を成膜する。ここで、光電変換層13gを完全に覆うとは、該光電変換層13gの下部電極12及び層間絶縁膜11と接触する部位以外を全て上部電極14で覆うことを意味し、以下においても同じ意味で用いる。
ここで、光電変換層13gは、有機光電変換材料に対応した成膜方法を適宜利用できる。しかし、光電変換層13gの上に成膜する上部電極で光電変換層13g全てを被覆・封止できるように、光電変換層13gのパターンが第2レジストR2の上方開口h1よりも広がらない異方性成膜が可能な蒸着などのPVD法が好ましい。例えば、G用有機光電変換素子の光電変換層として、下から順に、下記の化合物1:(膜厚)150nm/キナクリドン:(膜厚)100nm/酸化珪素:(膜厚)30nmを真空度1×10−4Pa未満で真空蒸着することができる。
Figure 2010062380

(化合物1)
上部電極14は、特に信号読出回路を基板内に作込んだ能動素子基板(アクティブマトリクス)を使用した光電変換装置では、上部電極側から受光若しくは発光、又は、受光及び発光するので透明導電膜を選択する。また、上部電極14としては、有機光電変換素子に対応する透明導電材料を適宜利用する。上部電極14の成膜方法は、各透明導電膜に対応した成膜技術を利用するが、先に成膜した光電変換層全体を確実に被覆・封止できるように、第1レジストR1の下方開口s1全体(下方開口s1に露呈する第2レジストR2の下側の面を含む)に成膜できるスパッタなどのPVD法や各CVD法等の等方性成膜が可能な成膜方法が好ましい。例えば、上部透明電極としてITO:(膜厚)100nmを、Arガスを導入した真空度1Paの、ITO対向ターゲットを使用したスパッタで成膜する。
図5(d)に示すように、G画素以外の領域に積層された光電変換層13z、上部電極14zを剥離するリフトオフ工程を行なう。このリフトオフ工程では、第2レジストR2を剥離することで、第2レジストR2上に積層された光電変換層13z、上部電極14zを一括して除去する。
第2レジストR2の剥離は、使用した第2レジストR2に対応した剥離液や、第2レジストR2を分解するプラズマエッチングを適宜利用する。例えば、第2レジストR2に紫外線硬化性弗素樹脂を使用した場合は、パーフルオロ(2−ブチルテトラヒドロフラン)、メチルパーフルオロイソプロピルエーテル、メチル(パーフルオロヘキシルメチル)エーテル、メチルパーフルオロオクチルエーテルなどの弗素系有機溶剤で弗素樹脂からなる第2レジストR2を剥離できる。剥離液として弗素系有機溶剤の使用は、上部電極14の微小な欠陥(クラックやピンホールなど)から光電変換層13gへ剥離液が浸入した場合に、有機光電変換材料を劣化させないので好ましい。
続いて、上記の工程を同様に行うことで、B画素に対応する光電変換素子を作製することができる。図5(e)に示すように、第1レジストR及びG画素領域の上部電極14の全面に第2レジストR2を成膜する。
図6(a)に示すように、既存の半導体微細加工技術を用いて、B画素を形成する領域の第2レジストR2に上方開口h1を設ける。
その後、図6(b)に示すように、第2レジストR2に形成した上方開口h1を利用して第1レジストR1をエッチングしB画素を形成する領域に下方開口s1を設ける。
図6(c)に示すように、第1レジストR1の下方開口s1を設けた領域に光電変換層13bを成膜し、続いて、図6(d)に示すように、該光電変換層13bを完全に覆って封止するように上部電極14を成膜する。
図6(e)に示すように、B画素以外の領域に積層された光電変換層13z、上部電極14zを剥離するリフトオフ工程を行ない、第2レジストR2を剥離することによって第2レジストR2上に積層された光電変換層13z、上部電極14zを一括して除去する。
このように同様の手順を繰り返すことで、R画素についても形成することができる。
ここで、R画素及びB画素部分の第1レジストR1をエッチングする際に、第1レジストR1を完全に除去して既に作製した隣り合う画素の上部電極14を露出させることで、下方開口s1に作製する画素の上部電極14と接触させ、電気的接続が可能になる。
なお、R画素を形成した後で、B画素を形成してもよい。例えば、R用画素の部分を開口してから、順に、化合物1:(膜厚)150nm/スクアリリウム:(膜厚)100nm/酸化珪素:(膜厚)30nm/ITO:(膜厚)100nmを積層してリフトオフする。次に、B用画素の部分を開口してから順に化合物1:(膜厚)150nm/メロシアニン:(膜厚)100nm/酸化珪素:(膜厚)30nm/ITO:(膜厚)100nmを積層してリフトオフする。
この製造方法の手順によれば、第1レジストR1の下方開口s1及び第2レジストR2の上方開口h1の形成やリフトオフ工程のような各種半導体微細加工において、その工程以前に作製した画素の有機光電変換材料を含む光電変換層は、画素ごとに上部電極14で封止されているので第1レジストR1のエッチング時のプラズマや第2レジストR2成膜時・除去時の溶媒に素子が曝露されて劣化することがなく、このため、素子性能が低下することを防止することができる。
図2及び図3に示す構成例の光電変換装置において、第1レジストR1で導電性部材15,25を構成することができる。第1レジストR1で導電性部材15,25を構成する場合は、各画素を形成する領域の第1レジストR1に下方開口s1を形成する際に、隣り合う画素の上部電極14を露出させずに第1レジストR1を画素間に残してもよい。
図7は、第1レジストに下方開口を形成する際に、下方開口の一部に第1レジストを残した場合の例を示す断面図である。この例では、画素間の導電材料からなる第1レジストR1が、隣り合う上部電極14間の一部に配置されるように、下方開口s1の底部の隅に除去されず残されている。
図8は、第1レジストに下方開口を形成する際に、下方開口に上部電極を露出させずに第1レジストを残した場合の例を示す断面図である。この例では、画素間の導電材料からなる第1レジストR1が、破線で示す画素間の境界に略均等な厚さで残され、図3に示すように、画素間を隔てるように、層間絶縁膜11から上部電極14の上面まで第1レジストR1(導電性部材25)が延設される。
このように、隣り合う画素間に上部電極14と電気接合するように、導電材料からなる第1レジストR1を一部除去しないで残すことによって導電性部材を設ける構成とすれば、画素間に配置された第1レジストR1と隣り合う画素の上部電極14がそれぞれ接触するため、隣り合う画素の上部電極14を電気的に接続させることができる。各画素の上部電極14が薄い場合や、あまり等方性成膜できずに隣り合う画素の上部電極14同士の接触面積が大きくできない場合は、画素間に導電材料からなる第1レジストR1を配置することで、隣り合う画素の上部電極14の電気的接続がより確実になるので好ましい。
図9は、光電変換装置の別の構成例を示す断面図である。なお、以下に説明する実施形態において、すでに説明した部材などと同等な構成・作用を有する部材等については、図中に同一符号又は相当符号を付すことにより、説明を簡略化或いは省略する。図9に示す光電変換装置は、画素ごとに半導体基板の上方に形成された下部電極12と、各下部電極12を覆うように形成された光電変換層13r,13g,13bと、光電変換層13r,13g,13bの上方に設けられ、該光電変換層13r,13g,13bを覆って外部からこれを封止する上部電極14とを含んで構成されている。
さらに、各画素上の上部電極14上に、単一の膜からなる透明保護層16が設けられている。透明保護層16を設けることで、光電変換層の劣化をより一層確実に防止することができる。
図10は、光電変換装置の別の構成例を示す断面図である。図10に示す光電変換装置は、画素ごとに、半導体基板の上方に形成された下部電極12と、下部電極12を覆うように形成された光電変換層13r,13g,13bと、光電変換層13r,13g,13bの上方に、該光電変換層13r,13g,13bを覆って外部から封止する上部電極14とを含んで構成されている。
また、図10に示す光電変換装置は、隣り合う画素間の境界上に位置する上部電極14に、電気接合する導電性部材25が設けられている。導電性部材25は、光電変換素子1同士の境界に沿って、層間絶縁膜11から上部電極14の表面にまで延設されている。なお、図2に示す光電変換装置のように、隣り合う画素間の一部にのみ導電性部材15を設けてもよい。
さらに、光電変換装置には、各画素上の上部電極14及び画素間の導電性部材25の上面を覆うように単一の膜からなる透明保護層16が設けられている。透明保護層16を設けることで、光電変換層の劣化をより一層確実に防止することができる。
次に、図9に示す光電変換装置の製造方法の手順を図面に基いて説明する。図11は、製造方法の手順の一例を示す断面図である。図12は、図11に示す手順以降の手順を示す断面図である。
以下説明する製造方法の手順において、下部電極12を成膜する工程、第1レジストR1を成膜する工程、第2レジストR2を成膜する工程は、図4から6に基いて説明した製造方法の手順と基本的に同じである。
ここで、第1レジストR1を成膜するとき、第1レジストR1を、製造対象である光電変換装置を構成する下部電極14と、光電変換層13r,13g,13bと上部電極14と透明保護層16との総膜厚以上となるような膜厚で成膜する。
第1レジストの材料は、上述のものを用いることができる。
第1レジストを成膜した後に第2レジストを成膜する。このとき、第2レジストは、既存の半導体微細加工技術を用いてパターニング可能な材料が好ましい。本構成例では、第2レジストR2を除去する際に、上部電極14上に透明保護層16が既に成膜されている状態であるため、上部電極14に欠陥がある場合でも溶媒の浸入を防止できる。
第2レジストR2に使用する材料やリソグラフィ工程は制限されない。例えば、光リソグラフィにより汎用的なホトレジストを第2レジストR2として用いて、G画素を形成する領域に1.9μm角の上方開口h1が設けられた第2レジストR2のパターンを形成できる。
図11(a)に示すように、第2レジストR2に形成した上方開口h1を利用して第1レジストR1をエッチングしG画素を形成する領域に下方開口s1を設ける。第1レジストR1の下方開口s1は、第2レジストR2の上方開口h1よりも開口面積が大きくなるように形成する。このために、第2レジストR2がエッチングされずに第1レジストR1がエッチングされる選択比の大きいエッチング条件を適用する。
さらに、第1レジストR1のエッチングは、湿式エッチングや乾式のプラズマエッチングなどの等方性エッチングが、第2レジストR2の下方側面の第1レジストR1もエッチングされて(アンダーカットが得られて)第2レジストR2の上方開口h1よりも第1レジストR1の下方開口s1が広くなり好ましい。先に高精細な異方性エッチング条件が可能な反応性イオンエッチングなどの乾式エッチングを実施し、次にプラズマエッチングなどで等方性エッチングを行ない第1レジストR1の下方開口s1を第2レジストR2の上方開口h1よりも広げる手段をとることがより好ましい。乾式エッチング条件を、連続的に、最初は異方性エッチングで徐々に等方性エッチング条件に変化させてゆくことも可能である。第2レジストR2は、後の工程でリフトオフする際の剥離層として利用するためエッチング直後に除去せずに次工程の有機光電変換材料を含む光電変換層の作製に進む。例えば、第1レジストR1がMoの場合は、下方開口s1が2.0μm角になるようにSFを利用したプラズマエッチングを実施できる。先に作製した下部電極12の表面が完全に露出するまでエッチングを行なう。
図11(b)に示すように、第1レジストR1の下方開口s1を設けた領域に、光電変換層13gを成膜し、図11(c)に示すように、光電変換層13gを完全に覆うように上部電極14を成膜する。
さらに、図12(a)に示すように、上部電極14上に透明保護層16を成膜する。
光電変換層13gは、有機光電変換材料に対応した成膜方法を適宜利用できるが、この後に成膜する上部電極14で光電変換層13g全てを被覆・封止できるようにパターンが第2レジストR2の上方開口h1よりも広がらない異方性成膜が可能な蒸着などのPVD法が好ましい。例えば、G用有機光電変換素子の光電変換層として、例えば、下から順に、化合物1:(膜厚)150nm/キナクリドン:(膜厚)100nm/酸化珪素:(膜厚)30nmを真空度1×10−4Pa未満で真空蒸着することができる。
上部電極14は、特に信号読出回路を基板内に作込んだ能動素子基板(アクティブマトリクス)を使用した光電変換装置では、上部電極14側から受光若しくは発光、又は、受光及び発光するので透明導電膜を選択する。また、上部電極14としては、有機光電変換素子に対応する透明導電材料を適宜利用する。上部電極14の成膜方法は、各透明導電膜に対応した成膜技術を利用するが、先に成膜した光電変換層13g全体を確実に被覆・封止できるように第1レジストR1の下方開口s1全体(第2レジストR2の下面を含む)に成膜できるスパッタなどのPVD法や各CVD法等の等方性成膜が可能な成膜方法が好ましい。例えば、上部透明電極としてITO:(膜厚)100nmを、Arガスを導入した真空度1Paの、ITO対向ターゲットを使用したスパッタで成膜する。
透明保護層16は、外気に曝露すると顕著に劣化する真空蒸着法等で作製した有機発光ダイオード(有機LED)や有機光電変換素子を封止可能な酸化アルミニウム・酸化珪素・窒化珪素・窒化酸化珪素等の透明保護膜をスパッタなどのPVD法やプラズマCVD法・触媒CVD法・原子層堆積(ALD)法等で成膜する事が好ましい。例えば、プラズマCVD法によりSiHとNを導入した真空度10Paで窒化珪素0.6μmを成膜できる。
図12(b)に示すように、G画素以外の領域に積層された光電変換層13z、上部電極14z、透明保護層16zを除去するリフトオフ工程を行なう。このリフトオフ工程では、第2レジストR2を剥離することで、第2レジストR2上に積層された光電変換層13z、上部電極14z、透明保護層16zを一括して除去する。第2レジストR2の剥離は、使用した第2レジストR2に対応した剥離液や、第2レジストR2を分解するプラズマエッチングを適宜利用する。上部電極14上に透明保護層16が配置されているので上部電極14を劣化させることなく、エッチバックやCMPといった一般的な平坦化技術によってG画素以外の領域の第1レジストR1上に積層された第2レジストR2、光電変換層13z、上部電極14z、透明保護層16zを除去することも可能である。
上記の工程を同様に行うことで、同様に、R画素及びB画素に対応する光電変換素子を作製することができる。ここで、R画素やB画素部分の第1レジストR1をエッチングする際に、第1レジストR1を完全に除去して既に作製した隣り合う画素の上部電極14を露出させることで、下方開口s1に作製する画素の上部電極14と接触させ、電気的接続が可能になる。例えば、R用画素の部分を開口してから、順に、化合物1:(膜厚)150nm/スクアリリウム:(膜厚)100nm/酸化珪素:(膜厚)30nm/ITO:(膜厚)100nm/窒化珪素:(膜厚)0.6μmを積層してリフトオフする。次に、B用画素の部分を開口してから順に化合物1:(膜厚)150nm/メロシアニン:(膜厚)100nm/酸化珪素:(膜厚)30nm/ITO:(膜厚)100nm/窒化珪素:(膜厚)0.6μmを積層してリフトオフする。
第1レジストR1の下方開口s1や第2レジストR2の上方開口h1を形成する工程やリフトオフのような各種半導体微細加工において、その工程以前に作製した画素の有機光電変換材料を含む光電変換層13r,13g,13bは、画素ごとに上部電極14で封止されているので第1レジストR1のエッチング時のプラズマや第2レジスト成膜時・除去時の溶媒に素子が曝露されて劣化することがなく、このため、素子性能が低下することを防止することができる。
図10に示す光電変換装置のように、第1レジストR1によって導電性部材を構成する場合には、各画素を形成する領域の第1レジストR1に下方開口s1を形成するとき、隣り合う画素の上部電極14を露出させずに第1レジストR1を画素間に残せばよい。こうすることで、画素間に配置された第1レジストR1と隣り合う画素の上部電極14が互いに電気接合し、隣り合う画素の上部電極14同士を電気的に接続させることができる。また、各画素の上部電極14が薄い場合や等方性成膜できずに隣り合う画素の上部電極14同士の接触面積が大きくできない場合には、画素間に導電性材料からなる第1レジストR1を配置することで、隣り合う画素の上部電極14の電気的接続がより確実になるので好ましい。画素間の導電性材料からなる第1レジストR1は、図2に示す光電変換装置のように、隣り合う上部電極14間の一部に配置されていてもよい。
なお、後述する構成例のように、全画素を作製した後に、隣り合う上部電極14同士の電気的接続を確実にするために、透明保護層16の各画素間に溝部を設けて導電性材料を埋込むことも可能である。上部電極14が露出するまで溝部を形成してから導電材料を埋め込んでもよいし、溝部の深さを層間絶縁膜11の表面まで形成してから導電性材料を埋め込んでも構わない。
上記の光電変換装置の製造方法によれば、光リソグラフィなどの半導体微細加工技術を利用した製造工程において、各画素の有機光電変換素子を劣化させずにR用・G用・B用3種類の画素を平面上に配列したカラーイメージセンサに対応した光電変換装置を作製できる。従来のマスク蒸着やインクジェット印刷による基板上へのRGB画素のパターニングでは画素ピッチが10μm未満であると作製が極めて困難だったが、本発明では既存の半導体製造工程に利用される光リソグラフィをそのまま使用できるため、開口率60%以上を保持しつつも画素ピッチ2μm以下の高解像度な光電変換装置の作製が可能である。また、半導体製造技術の進歩による更なる画素の微細化をそのまま享受でき、より一層の画素微細化・解像度向上が将来においても可能である。
また、各画素領域における、第1レジストR1の乾式エッチングによる下方開口s1を設ける工程と、光電変換層13r,13g,13bと上部電極14と透明保護層16を成膜する工程は、真空中若しくはAr・N等の不活性気体中、又は、真空中及びAr・N等の不活性気体中で、基板を一切外気に曝露せず、連続して実施する事が、有機LEDや有機光電変換素子の劣化因子が混入せずに好ましい。例えば、光電変換層13r,13g,13bを成膜する真空蒸着装置と、ITOの上部電極14を成膜するスパッタ装置と、透明保護層16を成膜するプラズマCVD装置と、第1レジストR1に下方開口s1を設ける乾式エッチング装置とが真空度1×10−4Pa以下のクラスタ型真空搬送系にそれぞれ直結された有機LED作製装置を使用することができる。
図13は、光電変換装置の他の構成例を示す図である。図13に示す光電変換装置は、隣り合う画素の境界上に位置する透明保護層16に、上部電極14の表面まで連通する溝部の内部に設けられ、上部電極14と電気接合する導電性部材35が形成されている。
図14は、光電変換装置の他の構成例を示す図である。図14に示す光電変換装置は、隣り合う画素の境界上に位置する透明保護層16に、層間絶縁膜11の表面まで連通する溝部の内部に設けられ、上部電極14と電気接合する導電性部材45が形成されている。
図13及び図14の光電変換装置の構成によれば、隣り合う画素の間に導電性部材35,45を設けることで、画素間の上部電極14同士の電気的な接続を確保することができる。また、上部電極14上に透明保護膜16を設けることで、上部電極14に欠陥があった場合でも光電変換層13r,13g,13bを構成する有光電変換材料を劣化させることを防止できる。
次に、図14に示す光電変換装置の製造方法の手順の一例を図面に基いて説明する。図15は、製造方法の手順を示す断面図である。図16は、図15に示す手順以降の手順を示す断面図である。図17は、図16に示す手順以降の手順を示す断面図である。図18は、図17に示す手順以降の手順を示す断面図である。
先に説明した製造方法の手順では、第1レジストR1の下方開口s1を第2レジストR2の上方開口h1より広くし(アンダーカットにし)かつ、光電変換層13r,13g,13bを異方性成膜し、上部電極14を等方性成膜することにより光電変換層13r,13g,13bが上部電極14に封止される構造を形成した。次の製造方法の手順では、光電変換層13r,13g,13bを成膜する際に第1レジストR1を加熱することで光電変換層13r,13g,13bが上部電極14に封止される構造を形成する点で相違する。
先ず、下部電極12を形成した後、第1レジストR1を成膜する。このとき、第1レジストR1を、光電変換装置における、下部電極12と光電変換層13r,13g,13bと上部電極14と透明保護層16の総膜厚以上となるような膜厚で成膜する。本手順では、後述するように光電変換層13r,13g,13bの成膜工程で第1レジストR1を加熱するので、第1レジストR1として一般的な発熱抵抗材料を使用できるが、成膜やエッチングの容易さから金属材料が好ましく、Ti、Mo、Ta、Wやそれらの窒化物、珪化物が特に好ましい。
第1レジストR1を成膜した後に、第2レジストR2を成膜する。第2レジストR2は、既存の半導体微細加工技術を用いてパターニング可能な材料が好ましい。本手順では、後述するように、第2レジストR2を除去する際に上部電極14上に透明保護層16が既に成膜されている状態となるため、上部電極14に欠陥がある場合でも溶媒の浸入を防止できる。第2レジストR2に使用する材料やリソグラフィ工程は制限されない。例えば、光リソグラフィにより汎用的なホトレジストを第2レジストR2として用いて、G画素を形成する領域に1.9μm角の上方開口h1が設けられた第2レジストR2のパターンを形成できる。
図15(a)に示すように、第2レジストR2に形成した上方開口h1を利用して第1レジストR1をエッチングし、G画素を形成する領域に下方開口s1を設ける。下方開口s1を形成する手順としては、高精細な異方性エッチング条件が可能な反応性イオンエッチングなどの乾式エッチングが好ましい。先に作製した下部電極12の表面が完全に露出するまでエッチングを行なう。例えば、第1レジストR1がMoの場合は、下方開口s1が1.9μm角になるようにSFを利用した反応性イオンエッチングを実施できる。
図15(b)に示すように、第1レジストR1をエッチングした後に第2レジストR2を除去する。第2レジストR2の剥離は、使用した第2レジストR2に対応した剥離液や、第2レジストR2を分解するプラズマエッチングを適宜利用する。または、第2レジストR2を先に説明した製造方法の手順のように、リフトオフでの剥離層として利用するためにこの段階で除去せずに残しても構わない。
図15(c)に示すように、第1レジストR1の下方開口s1を設けた領域に光電変換層13gを成膜し、続いて、図15(d)に示すように、上部電極14を成膜する。
光電変換層13gは、有機光電変換材料に対応した成膜方法を適宜利用できる。光電変換層13gを成膜する際に、第1レジストR1を抵抗加熱または誘導加熱して表面温度を上げ、光電変換材料が第1レジストR1表面、特に、下方開口s1の側面までに成長しないようにする。
例えば、G用有機光電変換素子の光電変換層として、例えば、下から順に、化合物1:(膜厚)150nm/キナクリドン:(膜厚)100nm/酸化珪素:(膜厚)30nmを真空度1×10−4Pa未満で真空蒸着する際に、第1レジストR1表面を200℃以上に加熱すると化合物1とキナクリドンは第1レジストR1表面には成膜されない。
また、第1レジストR1近傍に近い部分の下方開口s1の底面も、第1レジストR1の加熱により表面温度が上昇するため、化合物1とキナクリドンが成膜されずに、開口部の外周近傍に光電変換層が形成されずに、第1レジストR1の下方開口s1よりも狭い領域のみに光電変換層13gを作製することができる。第1レジストR1を500℃以上に加熱すると、基板全体の温度が上昇し、第1レジストR1がない下方開口s1にも化合物1とキナクリドンが成膜されない。このため、200℃から500℃の範囲内で、光電変換層13gが下方開口s1内に約1.9μm角で形成できるよう第1レジストR1の加熱温度を調整する。
上部電極14は、特に信号読出回路を基板内に作込んだ能動素子基板(アクティブマトリクス)を使用した光電変換装置では、上部電極14側から受光若しくは発光、又は、受光及び発光することを理由に、光透過性を有する透明導電膜を選択する。
また、上部電極14としては、有機光電変換素子に対応する透明導電材料を適宜利用する。上部電極14の成膜方法は、各透明導電膜に対応した成膜技術を利用するが、先に成膜した光電変換層13g全体を確実に被覆・封止できるように第1レジストR1の下方開口s1全体(第2レジストR2の下方側面を含む)に成膜できるスパッタなどのPVD法や各CVD法等の等方性成膜が可能な成膜方法が好ましい。例えば、上部透明電極としてITO:(膜厚)100nmを、Arガスを導入した真空度1Paの、ITO対向ターゲットを使用したスパッタで成膜する。
次に、図16(a)に示すように、第1レジストR1の下方開口s1内に形成された上部電極14、及び、第1レジストR1上に形成された上部電極14z上に透明保護層16を形成する。
透明保護層16は、外気に曝露すると顕著に劣化する真空蒸着法等で作製した有機発光ダイオード(有機LED)や有機光電変換素子を封止可能な酸化アルミニウム・酸化珪素・窒化珪素・窒化酸化珪素等の透明保護膜をスパッタなどのPVD法やプラズマCVD法・触媒CVD法・原子層堆積(ALD)法等で成膜する事が好ましい。例えば、プラズマCVD法によりSiHとNを導入した真空度10Paで窒化珪素0.6μmを成膜できる。
図16(b)に示すように、G画素以外の領域に積層された上部電極14z、透明保護層16を除去する。上部電極14上に透明保護層16が配置されているので上部電極14を劣化させることなく、エッチバックやCMPといった一般的な平坦化技術によってG画素以外の領域の第1レジストR1上に積層された第2レジストR2、上部電極14z、透明保護層16を除去することも可能である。先の工程で、第2レジストR2をあらかじめ除去していなかった場合は、この段階で第2レジストR2を剥離することで除去する。第2レジストR2に対応した剥離液や、第2レジストを分解するプラズマエッチングを適宜利用してリフトオフを行ない、第2レジストR2上の上部電極14z、透明保護層16を一括して除去することもできる。
上記の工程を同様に行うことで、R画素及びB画素に対応する光電変換素子を作製することができる。本手順では、次にB画素を形成する。図16(c)に示すように、第1レジストR1及びG画素の透明保護層16の上に第2レジストR2を形成する。
図16(d)に示すように、既存の半導体微細加工技術を用いて、B画素を形成する領域の第2レジストR2に上方開口h1を設ける。
その後、図17(a)に示すように、第2レジストR2に形成した上方開口h1を利用して第1レジストR1をエッチングしB画素を形成する領域に下方開口s1を設ける。ここで、B画素を形成する領域の上方開口h1及び下方開口s1は、隣り合う画素の14が露呈しないように第1レジストR1を画素間に残すように設定される。
図17(b)に示すように、第1レジストR1の下方開口s1を設けた後、第2レジストR2を除去する。
図17(c)に示すように、B画素を形成する領域に光電変換層13bを成膜する。光電変換層13bを成膜する際には、光電変換層13gの成膜と同様に、第1レジストR1を抵抗加熱または誘導加熱して表面温度を上げ、光電変換材料が第1レジストR1表面、特に、下方開口s1の側面までに成長しないようにする。
図17(d)に示すように、該光電変換層13bを完全に覆うように上部電極14を成膜する。
その後、図18(a)に示すように、B画素を形成する領域における上部電極14上に透明保護層16を形成する。
図18(b)に示すように、平坦化技術によってB画素以外の領域の第1レジストR1上に積層された上部電極14z、透明保護層16zを除去する。同様の手順を繰り返すことによってR画素も形成することができる。
以上のように、R画素やB画素部分の第1レジストをエッチングする際に、第1レジストR1を完全に除去せずに、例えば、光電変換層13r,13bを形成する際に、G画素と同様に第1レジストR1を抵抗加熱または誘導加熱する。例えば、R用画素の部分を開口してから、順に、化合物1:(膜厚)150nm/スクアリリウム:(膜厚)100nm/酸化珪素:(膜厚)30nm/ITO:(膜厚)100nm/窒化珪素:(膜厚)0.6μmを積層して平坦化する。この際に、少なくとも、化合物1とスクアリリウムを成膜する際は第1レジストR1を200℃以上500℃以下の温度に加熱して、光電変換層13r,13bを約1.8μm角になるようにする。次に、B用画素の部分を開口してから順に化合物1:(膜厚)150nm/メロシアニン:(膜厚)100nm/酸化珪素:(膜厚)30nm/ITO:(膜厚)100nm/窒化珪素:(膜厚)0.6μmを積層して平坦化する。この際に、少なくとも、化合物1とメロシアニンを成膜する際は第1レジストR1を200℃以上500℃以下の温度に加熱して、光電変換層13r,13bを約1.8μm角になるようにする。第1レジストR1の下方開口s1及び第2レジストR2の上方開口h1を形成する工程やリフトオフのような各種半導体微細加工において、その工程以前に作製した画素の有機光電変換材料を含む光電変換層は、画素ごとに上部電極14で封止されているので第1レジストR1のエッチング時のプラズマや第2レジストR2の成膜時・除去時の溶媒や平坦化時に素子が曝露されて劣化することがなく、このため、素子性能が低下することを防止することができる。
上記の光電変換装置の製造方法によれば、光リソグラフィなどの半導体微細加工技術を利用した製造工程において、各画素の有機光電変換素子を劣化させずにR用・G用・B用3種類の画素を平面上に配列したカラーイメージセンサに対応した光電変換装置を作製できる。従来のマスク蒸着やインクジェット印刷による基板上へのRGB画素のパターニングでは画素ピッチが10μm未満であると作製が極めて困難であった。しかし、本発明では、既存の半導体製造工程に利用される光リソグラフィをそのまま使用できるため、開口率60%以上を保持しつつも画素ピッチ2μm以下の高解像度な光電変換装置の作製が可能である。また、半導体製造技術の進歩による更なる画素の微細化をそのまま享受でき、より一層の画素微細化・解像度向上が将来においても可能である。
上記製造方法では、各画素領域における、第1レジストR1の乾式エッチングによる下方開口s1を設ける工程と、光電変換層13r,13g,13bと上部電極14と透明保護層16を成膜する工程は、真空中若しくはAr・N等の不活性気体中、又は、真空中及びAr・N等の不活性気体中で、基板を一切外気に曝露せず、連続して実施する事が、有機LEDや有機光電変換素子の劣化因子が混入せずに好ましい。例えば、光電変換層13r,13g,13bを成膜する真空蒸着装置と、ITOの上部電極14を成膜するスパッタ装置と、透明保護層16を成膜するプラズマCVD装置と、第1レジストR1に下方開口s1を設ける乾式エッチング装置とが真空度1×10−4Pa以下のクラスタ型真空搬送系にそれぞれ直結された有機LED作製装置を使用することができる。
図19は、図13に示す光電変換装置の製造方法の手順を説明する断面図である。図19に示す光電変換装置の製造方法において、下部電極12、光電変換層13r,13g,13b、上部電極14、透明保護層16を形成する手順は、図9の光電変換装置と同じであるため、ここでは説明せずに省略する。
上部電極14は、図11(c)に示すように、第1レジストR1の下方開口s1に露呈する各画素を形成する領域に等方性成膜で形成されている。このため、上部電極14の、隣り合う画素との境界において局所的に薄肉になる箇所が発生することがある。
図19(a)に示すように、透明保護層16の、隣り合う画素同士の境界に相当する領域(つまり、薄肉になっている領域)に溝部14aを形成する。そして、図19(b)に示すように、溝部14aに導電性材料からなる導電性部材35を形成する。このとき、導電性部材35を構成する導電性材料が上部電極14の薄肉の箇所に補填されることで、導電性部材35と上部電極14とが電気的に接合する。こうすることで、隣り合う画素の上部電極14同士をより一層確実に電気的に接続させることができる。
次に、光電変換装置によって得られる更なる効果について説明する。図20は、光電変換装置において、電荷生成時の電荷の移動を説明する断面図である。図20(a)は、光電変換装置の構成例の1つであり、図20(b)は、図20(a)の光電変換装置と異なる構成の光電変換装置である。
図20(a)の光電変換装置は、光電変換層13r,13g,13bが上部電極14によって、その上面から側面に亘って完全に覆われている。このとき、光電変換層13r,13g,13bの全部が上部電極14と下部電極12との間に設けられている。
一方、図20(b)のの光電変換装置は、隣り合う画素の光電変換層13r,13g,13b同士がそれぞれ隣接し、その上面のみ上部電極14で覆われている。このとき、光電変換層13r,13g,13bは、図の上下方向において上部電極14と下部電極12と挟まれている部位があるものの、それ以外の部位、例えば、下方端部の部位は、上部電極14と下部電極12との間に位置していない。
光入射時において、図20(a)の光電変換装置では、光電変換層13r,13g,13bの全部が下部電極12と上部電極14とに挟まれているため、光電変換層13r,13g,13bのどの領域で発生した電荷(電子又は正孔)Cに安定して電界がかかるため、該電荷Cがドリフトで速やかに下部電極12又は上部電極14に捕集できるようになる。このため、捕集されない電荷Cが光電変換層13r,13g,13bに残存することに起因して生じる残像を低減させる効果を得ることができる。一方で、図20(b)の光電変換装置では、光電変換層の全部が下部電極と上部電極とに挟まれている構成ではないため、電荷Cが電界のかけられている上下方向に対して垂直な方向である水平方向(図の左右方向)への移動が拡散によるので図20(a)の光電変換装置に比べて時間がかかる。このため、光電変換層で発生した電荷(電子又は正孔)Cのうち一部が下部電極又は上部電極に捕集されずに残存し、残像が発生する可能性がある。
以上のように、本発明には、次の事項が開示されている。
(1)基板と、該基板の上方に形成された下部電極と、前記下部電極の上方に形成された光電変換層と、前記光電変換層の上方に形成された上部電極とを含む光電変換素子を有する画素が複数配列された光電変換装置であって、
各画素の前記光電変換層が前記上部電極で封止され、隣り合う前記画素の前記上部電極が電気的に接続されている光電変換装置。
(2)上記(1)に記載の光電変換装置であって、前記上部電極が透明である光電変換装置。
(3)上記(1)又は(2)に記載の光電変換装置であって、隣り合う前記画素間に前記上部電極と電気接合する導電性部材が配置されている光電変換装置。
(4)上記(1)から(3)のいずれか1つに記載の光電変換装置であって、前記上部電極上に透明保護層が形成されている光電変換装置。
(5)上記(1)から(4)のいずれか1つに記載の光電変換装置であって、各画素において前記光電変換層の全部が、前記上部電極と前記下部電極との間に設けられている光電変換装置。
(6)(1)から(5)のいずれか1つに記載の光電変換装置であって、前記複数の画素が、第1の波長の電磁波を光電変換する光電変換素子を含む第1の画素と、第2の波長の電磁波を光電変換する光電変換素子を含む第2の画素と、を含む光電変換装置。
(7)上記(1)から(5)のいずれか1つに記載の光電変換装置であって、前記複数の画素が、赤色光を光電変換する光電変換素子を含む赤色画素と、緑色光を光電変換する光電変換素子を含む緑色画素と、青色光を光電変換する光電変換素子を含む青色画素と、を含む光電変換装置。
(8)上記(1)から(7)のいずれか1つに記載の光電変換装置を備えた撮像装置であって、前記基板内に、前記下部電極と電気的に接続され、前記光電変換層で生成された電荷に応じた信号を出力する信号読出回路が設けられている撮像装置。
(9)上記(8)に記載の撮像装置であって、前記信号読出回路がCCD又はCMOSである撮像装置。
(10)基板と、該基板の上方に形成された下部電極と、前記下部電極の上方に形成された光電変換層と、前記光電変換層の上方に形成された上部電極とを含む光電変換素子を有する画素が複数配列された光電変換装置の製造方法であって、
(a)第1レジストを成膜する工程と、
(b)前記第1レジスト上に第2レジストを成膜する工程と、
(c)前記第2レジストに、各画素の領域に応じた上方開口を設ける工程と、
(d)前記上方開口から露呈する前記第1レジストに下方開口を設ける工程と、
(e)前記下方開口内に、前記光電変換層を成膜する工程と、
(f)前記光電変換層上に前記上部電極を成膜し、該光電変換層を覆う工程と、
(g)前記上方開口を設けた部位以外に成膜された前記光電変換層、前記上部電極を除去する工程と、を含む光電変換装置の製造方法。
(11)上記(10)に記載の光電変換装置の製造方法であって、前記下方開口が、前記上方開口に比べて開口面積が大きい光電変換装置の製造方法。
(12)上記(10)又は(11)に記載の光電変換装置の製造方法であって、前記光電変換層を形成する工程において、前記第1レジストを加熱する光電変換装置の製造方法。
(13)上記(12)に記載の光電変換装置の製造方法であって、前記加熱が、前記第1レジストの抵抗加熱又は誘導加熱である光電変換装置の製造方法。
(14)上記(12)又は(13)に記載の光電変換装置の製造方法であって、前記第1レジストが導電性材料であり、前記第1レジストに下方開口を設ける工程において、前記下方開口に露呈する各画素の領域の、隣り合う画素側に前記第1レジストの一部を残す光電変換装置の製造方法。
(15)上記(10)から(13)に記載の光電変換装置の製造方法であって、前記上部電極上に透明保護層を形成する工程と、前記透明保護層に、隣り合う画素の前記上部電極の少なくとも一部が露呈するように溝部を形成する工程と、 前記溝部の内部に、前記上部電極に接合する導電性材料を形成する工程と、を有する光電変換装置の製造方法。
光電変換装置の構成例の1つを示す断面模式図である。 光電変換装置の他の構成例を示す図である。 光電変換装置の他の構成例を示す図である。 製造方法の手順の一例を示す断面図である。 図4に示す手順以降の手順を示す断面図である。 図5に示す手順以降の手順を示す断面図である。 第1レジストに下方開口を形成する際に、下方開口の一部に第1レジストを残した場合の例を示す断面図である。 第1レジストに下方開口を形成する際に、下方開口に上部電極を露出させずに第1レジストを残した場合の例を示す断面図である。 光電変換装置の別の構成例を示す断面図である。 光電変換装置の別の構成例を示す断面図である。 製造方法の手順の一例を示す断面図である。 図11に示す手順以降の手順を示す断面図である。 光電変換装置の他の構成例を示す図である。 光電変換装置の他の構成例を示す図である。 製造方法の手順を示す断面図である。 図15に示す手順以降の手順を示す断面図である。 図16に示す手順以降の手順を示す断面図である。 図17に示す手順以降の手順を示す断面図である。 図13に示す光電変換装置の製造方法の手順を説明する断面図である。 光電変換装置において、電荷生成時の電荷の移動を説明する断面図である。
符号の説明
1 光電変換素子
2 ビアプラグ
11 層間絶縁膜
12 下部電極
13r,13g,13b 光電変換層
14 上部電極
15,25,35,45 導電性部材
R1 第1レジスト
R2 第2レジスト
h1 上方開口
s1 下方開口

Claims (15)

  1. 基板と、該基板の上方に形成された下部電極と、前記下部電極の上方に形成された光電変換層と、前記光電変換層の上方に形成された上部電極とを含む光電変換素子を有する画素が複数配列された光電変換装置であって、
    各画素の前記光電変換層が前記上部電極で封止され、隣り合う前記画素の前記上部電極が電気的に接続されている光電変換装置。
  2. 請求項1に記載の光電変換装置であって、
    前記上部電極が透明である光電変換装置。
  3. 請求項1又は2に記載の光電変換装置であって、
    隣り合う前記画素間に前記上部電極と電気接合する導電性部材が配置されている光電変換装置。
  4. 請求項1から3のいずれか1つに記載の光電変換装置であって、
    前記上部電極上に透明保護層が形成されている光電変換装置。
  5. 請求項1から4のいずれか1つに記載の光電変換装置であって、
    各画素において前記光電変換層の全部が、前記上部電極と前記下部電極との間に設けられている光電変換装置。
  6. 請求項1から5のいずれか1つに記載の光電変換装置であって、
    前記複数の画素が、第1の波長の電磁波を光電変換する光電変換素子を含む第1の画素と、第2の波長の電磁波を光電変換する光電変換素子を含む第2の画素と、を含む光電変換装置。
  7. 請求項1から5のいずれか1つに記載の光電変換装置であって、
    前記複数の画素が、赤色光を光電変換する光電変換素子を含む赤色画素と、緑色光を光電変換する光電変換素子を含む緑色画素と、青色光を光電変換する光電変換素子を含む青色画素と、を含む光電変換装置。
  8. 請求項1から7のいずれか1つに記載の光電変換装置を備えた撮像装置であって、
    前記基板内に、前記下部電極と電気的に接続され、前記光電変換層で生成された電荷に応じた信号を出力する信号読出回路が設けられている撮像装置。
  9. 請求項8に記載の撮像装置であって、
    前記信号読出回路がCCD又はCMOSである撮像装置。
  10. 基板と、該基板の上方に形成された下部電極と、前記下部電極の上方に形成された光電変換層と、前記光電変換層を封止するように形成された上部電極とを含む光電変換素子を有する画素が複数配列された光電変換装置の製造方法であって、
    (a)第1レジストを形成する工程と、
    (b)前記第1レジスト上に第2レジストを形成する工程と、
    (c)前記第2レジストに、各画素の領域に応じた上方開口を設ける工程と、
    (d)前記上方開口から露呈する前記第1レジストに下方開口を設ける工程と、
    (e)前記下方開口内に、該下方開口よりも小さい領域に前記光電変換層を形成する工程と、
    (f)前記光電変換層を覆うように前記上部電極を形成し、該光電変換層を封止する工程と、
    (g)前記上方開口を設けた部位以外に形成された前記光電変換層、前記上部電極を除去する工程と、を含む光電変換装置の製造方法。
  11. 請求項10に記載の光電変換装置の製造方法であって、
    前記下方開口が、前記上方開口に比べて開口面積が大きい光電変換装置の製造方法。
  12. 請求項10又は11に記載の光電変換装置の製造方法であって、
    前記光電変換層を形成する工程において、前記第1レジストを加熱する光電変換装置の製造方法。
  13. 請求項12に記載の光電変換装置の製造方法であって、
    前記加熱が、前記第1レジストの抵抗加熱又は誘導加熱である光電変換装置の製造方法。
  14. 請求項12又は13に記載の光電変換装置の製造方法であって、
    前記第1レジストが導電性材料であり、前記第1レジストに下方開口を設ける工程において、前記下方開口に露呈する各画素の領域の、隣り合う画素側に前記第1レジストの一部を残す光電変換装置の製造方法。
  15. 請求項10から13に記載の光電変換装置の製造方法であって、
    前記上部電極上に透明保護層を形成する工程と、
    前記透明保護層に、隣り合う画素の前記上部電極の少なくとも一部が露呈するように溝部を形成する工程と、
    前記溝部の内部に、前記上部電極に接合する導電性材料を形成する工程と、を有する光電変換装置の製造方法。
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