JP2010062057A - 有機エレクトロルミネッセンス装置および電子機器 - Google Patents

有機エレクトロルミネッセンス装置および電子機器 Download PDF

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Abstract

【課題】発光効率の改善、高輝度化、素子の長寿命化が可能な有機エレクトロルミネッセンス装置を提供する。
【解決手段】画素電極30と陰極50との間に有機発光層46を含む有機機能層を挟持した発光素子60を備え、有機発光層46で発せられる光を陰極50側から外部に取り出す有機エレクトロルミネッセンス装置1であって、陰極50は、有機機能層と接して設けられた合金層である第1陰極層52を有し、第1陰極層は形成材料として、アルカリ金属または仕事関数が2.9eV以下のアルカリ土類金属である第1金属材料と、仕事関数が3.5eV以上4.2eV未満である第2金属材料と、仕事関数が4.2eV以上である第3金属材料と、を有する。
【選択図】図1

Description

本発明は、有機エレクトロルミネッセンス装置および電子機器に関するものである。
情報機器の多様化等に伴い、消費電力が少なく軽量化された平面表示装置のニーズが高まっている。この様な平面表示装置の一つとして、有機発光層を備えた有機エレクトロルミネッセンス装置(以下「有機EL装置」という)が知られている。
ところで、有機EL装置の発光方式には、有機EL素子が形成された基板側から基板を介して取り出す所謂ボトムエミッション方式と、有機EL素子が放つ光を該素子が形成された基板側とは反対側から取り出す所謂トップエミッション方式と、の2種類の発光方式がある。この2種類の発光方式を比較すると、トップエミッション方式の有機EL装置は、画素開口率を上げやすく、表示画面の高精細化・高画質化に有利な構造となっている。色変換を行うカラーフィルタと組み合わせると、トップエミッション方式の利点を活かし且つフルカラー表示が可能な、高性能な有機EL装置とすることができる。
このようなトップエミッション方式の有機EL素子では、陰極構造が品質や素子寿命と密接に関係している。まず、有機EL素子の陰極は、有機発光層での発光を促すため、良好に電子を注入する性質(電子注入性)を備えることが必要である。このような電極材料としては、仕事関数の低い金属材料が挙げられるが、一方で、仕事関数の低い金属材料は、水分・酸素等と容易に反応し劣化しやすい。陰極が劣化すると、ダークスポットと呼ばれる非発光領域を形成してしまう。これらのことから、低仕事関数の金属材料を用いる陰極は、良好な電子注入性と素子の長寿命化との両立が困難である。
また、トップエミッション方式の有機EL素子では、有機発光層で発せられた光は陰極を介して外部に光を取り出される。そのため、良好な光取り出しを実現するためには、陰極の光透過性が重要な因子となる。通常、光透過性を確保するためには、陰極を形成する金属材料を、光を透過するほどの薄膜として形成する手法が用いられるが、薄い陰極ではシート抵抗が高く成るために、有機EL装置が備える有機EL素子に流れる電流値が、該素子の配置箇所により変化してしまい、表示画面に発光ムラや輝度ムラ等の表示ムラが発生する課題があった。
これら互いに相反する課題を改善し、より高品質・高性能な有機EL素子とするため、発光効率の改善、高輝度化、素子の長寿命化などを目的とした陰極構造に関する技術が提案されている(特許文献1から7参照)。
特開2005−135624号公報 特開昭60−165771号公報 特開平04−212287号公報 特開平05−121172号公報 特開平09−32763号公報 特開2005−203337号公報 特許第2760347号明細書
しかしながら、上記方法には、次のような問題がある。即ち、特許文献1から5に開示された技術では、有機発光層と接する金属材料として、仕事関数が小さく化学的に活性なアルカリ金属やアルカリ土類金属と、仕事関数が大きく化学的に安定なアルミニウムなどの金属との合金を用いて陰極を形成する事となっている。しかし、特許文献1から5に挙げられているような、仕事関数が大きく離れる金属同士では、合金を形成する場合に互いに分離し易く、良好な合金層を形成することが非常に困難である。
特許文献6には、アルカリ金属のフッ化物又は酸化物、若しくはアルカリ土類金属のフッ化物又は酸化物、若しくは有機物との錯体または化合物からなる第1層と、第1層よりも仕事関数が高い第2層との積層構造を有する陰極の構造が開示されている。しかし、発明者の検討により、この構造の陰極を備えた有機EL素子は、用いる有機発光層の材料によって良好に発光を行う場合と行わない場合とがあることが分かった。そのため、トップエミッション方式の有機EL素子の陰極として、広く一般的に用いる事が出来ない。
特許文献7には、仕事関数の小さな金属を仕事関数の大きな金属で覆って構成する陰極が開示されている。しかし、仕事関数が大きい金属を用い、十分な光透過性と導電性とを兼ね備えた層とすることは非常に困難である。
本発明はこのような事情に鑑みてなされたものであって、良好な電子注入性が得られ、十分な光透過性を有すると共に、水分や酸素に対して安定な陰極構造を提案し、このような陰極構造を備えることで、発光効率の改善、高輝度化、素子の長寿命化が可能な有機エレクトロルミネッセンス装置を提供することを目的とする。また、このような有機エレクトロルミネッセンス装置を備える電子機器を提供することを合わせて目的とする。
上記の課題を解決するため、本発明の有機エレクトロルミネッセンス装置は、陽極と陰極との間に有機発光層を含む有機機能層を挟持した発光素子を備え、前記有機発光層で発せられる光を前記陰極側から外部に取り出す有機エレクトロルミネッセンス装置であって、前記陰極は、前記有機機能層と接して設けられた合金層である第1陰極層を有し、前記第1陰極層は形成材料として、アルカリ金属または仕事関数が2.9eV以下のアルカリ土類金属である第1金属材料と、仕事関数が3.5eV以上4.2eV未満である第2金属材料と、仕事関数が4.2eV以上である第3金属材料と、を有することを特徴とする。
第1陰極層が備える第1金属材料は、有機機能層への良好な電子注入が可能な低い仕事関数を備えている。そのため、形成される第1陰極層は、第1金属材料の仕事関数に由来した、良好な電子注入性を示す。
また、第1陰極層が備える第3金属材料は、水分や酸素に対して安定な金属材料である。そのため、第3金属材料を含む合金層である第1陰極層は、第3金属材料の安定性に由来した、水分や酸素に対して良好な安定性を示す。
ここで、第1金属材料と第3金属材料とは、互いに仕事関数が離れているため、両者を共蒸着しても合金層に成らないが、本発明の第1陰極層は、第1金属材料の仕事関数と、第3金属材料の仕事関数との間の値の仕事関数を備える第2金属材料を含んでいる。このような値の仕事関数を備える第2金属材料は、第1金属材料と第3金属材料との合金形成を促し、第1陰極層を良好な合金層とすることができる。
本発明の有機EL装置が備える陰極は、上述の第1陰極層を備えるため、有機機能層への良好な電子注入と、水分や酸素に対する極めて良好な安定性と、を同時に実現することができ、発光効率が高く長寿命な有機EL装置とすることができる。
本発明においては、前記陰極は、前記第1陰極層の前記有機機能層とは反対側に、仕事関数が3.5eV以上4.2eV未満である第4金属材料と、仕事関数が4.2eV以上である第5金属材料と、の合金層である第2陰極層を備えることが望ましい。
この構成によれば、第1金属材料を含まず、第1陰極層よりも更に水分や酸素に安定な合金層である第2陰極層で、第1陰極層を保護することとなるため、より信頼性が高く長寿命な有機EL装置とすることができる。
ここで、本発明において「合金層」とは、2種以上の金属材料を用いて形成した層であって、用いる金属材料同士が互いに金属結合をしているものを指す。その他に、明確な金属結合は確認出来なくとも、金属材料間に相互作用を生じており金属材料単体の物性を発現しなくなっている層、または金属材料単体の物性とは異なる物性を発現する層も含む。この意味において、例えば、第1金属材料と第2金属材料と第3金属材料とが、まだらにまたは海島状に各々独立して存在しており、層内で各々の金属材料の物性を示す領域が独立しているような層は、合金層には含まない。
本発明においては、前記第2陰極層は、前記第1陰極層を構成する第2金属材料および第3金属材料を含むことが望ましい。
この構成によれば、材料が共通しているため、第1陰極層と第2陰極層との親和性が良く、層間で良好な電子注入を実現することが可能となる。また、共通の形成材料を用いて層構造を形成するため、製造装置や工程を共通化することが可能となり、容易に良好な表示特性を備える有機エレクトロルミネッセンス装置とすることができる。
本発明においては、前記第1金属材料として、Li,Cs,Ca,Sr,Baの中から選ばれることが望ましい。
この構成によれば、有機機能層に対して正孔注入能に優れた第1陰極層とすることができ、有機EL装置の発光特性を優れたものとすることができる。
本発明においては、前記第2金属材料及び前記第4金属材料として、Mg,Sc,Mn,In,Zr,Asの中から選ばれることが望ましい。
この構成によれば、仕事関数差に起因するエネルギー障壁を緩和し、良好な電子注入を促すことができる。
本発明においては、前記陰極は、前記第1陰極層側とは反対側の表面に、仕事関数が4.2eV以上である第6金属材料からなる共振層を備えており、前記陽極は光透過性を有するとともに、前記陰極は半透過反射性を有し、前記陽極を挟んで前記有機機能層の反対側には光反射層が配置され、前記光反射層と前記陰極との間で、前記有機機能層から射出された光を共振させる光共振器構造が構成されていることが望ましい。
この構成によれば、有機機能層から射出された光を共振させる光共振構造を構成することで、各々の有機EL素子からは光反射層と陰極との間の光学的距離に対応した共振波長の条件を満たす光のみが増幅されて取り出される。例えば、赤色(R),緑色(G),青色(B)の各色に対応する共振波長を有する有機EL素子を形成することで、フルカラー表示が可能な有機EL装置を提供することができる。
本発明においては、前記第3金属材料、前記第5金属材料及び前記第6金属材料として、Al,Ag,Cu,Ni,Auの中から選ばれることが望ましい。
この構成によれば、水分や酸素に対して安定な合金層、または共振層とすることができる。
本発明の電子機器は、上述の有機エレクトロルミネッセンス装置を備えることを特徴とする。
この構成によれば、発光効率が高く長寿命な有機EL装置を備え、信頼性に優れた電子機器を提供することができる。
[第1実施形態]
以下、図1を参照しながら、本発明の第1実施形態に係る有機エレクトロルミネッセンス装置(有機EL装置)について説明する。なお、以下の全ての図面においては、図面を見やすくするため、各構成要素の膜厚や寸法の比率などは適宜異ならせてある。
図1は、有機EL装置1を模式的に示す断面図である。図に示すように、有機EL装置1は、基板本体10と、基板本体10上に形成された反射層(光反射層)20や不図示の駆動素子等を備える素子層11と、を備える基板10Aと、基板10A上に形成される画素電極(陽極)30と、画素電極30と平面的に重なる開口部を備えた画素隔壁層12と、画素隔壁層12の上に形成された共通隔壁層14と、を備えている。
共通隔壁層14に囲まれた領域には、共通隔壁層14の側壁に当接して発光部40が形成されており、発光部40の上面の全面を覆う共通電極(陰極)50が形成されている。画素電極30と発光部40と陰極50とで有機EL素子(発光素子)60を形成している。
発光部40には、画素電極30からの正孔の注入を容易にする正孔注入層(有機機能層)42と、正孔注入層42からの正孔の移動を促す正孔輸送層44と、有機発光層46とを備えており、画素電極30上にこの順に積層されている。
陰極50は、共通隔壁層14の頂面及び側壁を覆って有機発光層46の上面の全面を覆う第1陰極層52と、第1陰極層52上に設けられた共振層58と、を備えている。
本実施形態の有機EL装置1は、有機発光層46で生じる光が、陰極50側へ射出されるトップエミッション方式を採用している。そのため、陰極50は透光性を備えるほどに薄く形成されている必要があり、本実施形態では20nm以下の膜厚となっている。また、有機発光層46で生じる光のうち一部が、反射層20と共振層58との間で共振し、陰極50側から外部に射出される共振構造を構成している。以下、各構成要素について順に説明する。
基板本体10は、透明基板及び不透明基板のいずれも用いることができる。不透明基板としては、例えばアルミナ等のセラミックス、ステンレススチール等の金属シートに表面酸化などの絶縁処理を施したもの、また熱硬化性樹脂や熱可塑性樹脂、さらにはそのフィルム(プラスチックフィルム)などが挙げられる。透明基板としては、例えばガラス、石英ガラス、窒化ケイ素等の無機物や、アクリル樹脂、ポリカーボネート樹脂等の有機高分子(樹脂)を用いることができる。また、光透過性を備えるならば、前記材料を積層または混合して形成された複合材料を用いることもできる。本実施形態では、基板本体10の材料としてガラスを用いる。
素子層11は、有機EL装置1を駆動させるための各種配線や駆動素子、及びそれらを覆って形成される無機物または有機物の絶縁膜などを備えている。各種配線や駆動素子はフォトリソグラフィによりパターニングした後エッチングすることにより、また、絶縁膜は蒸着法やスパッタ法など通常知られた方法により適宜形成することができる。
また、素子層11内の基板本体10上には、画素電極30と平面的に重なって、反射層20が形成されている。反射層はAlNd合金を形成材料としており、マスクパターニングなど通常知られた方法で形成されている。本実施形態では、反射層20は基板本体10上に形成されることとしたが、素子層11中であっても良く、また、素子層11表面であっても良い。
素子層11の上には、画素電極30が形成されている。画素電極30の形成材料には、仕事関数が5eV以上の材料を用いることができる。このような材料は、正孔注入効果が高いため画素電極30の形成材料として好ましい。このような材料としては、例えばITO(Indium Tin Oxide:インジウム錫酸化物)等の金属酸化物を挙げることができる。本実施形態ではITOを用いる。
また、素子層11の上には、画素電極30の端部に一部が乗り上げるように、画素隔壁層12が形成されている。画素隔壁層12は画素電極30に対応する開口部を備えており、該開口部内に画素電極30が露出している。画素隔壁層12は、酸化シリコンや窒化シリコン等の無機絶縁材料で形成されており、開口部の位置に対応するマスクを介したエッチング等の公知の方法で形成することができる。
画素隔壁層12上には、画素電極30の周囲を囲むように共通隔壁層14が形成されている。共通隔壁層14は、断面形状が順テーパ状に形成されている。そのため、共通隔壁層14で囲まれた空間は、下部よりも上部が広く開口している。共通隔壁層14は、例えば光硬化性のアクリル樹脂やポリイミド樹脂等で形成される。
共通隔壁層14に囲まれた領域の底面に露出した面(ここでは画素電極30と画素隔壁層12の一部)には、共通隔壁層14の側壁に当接して、画素電極30からの正孔の注入を容易にする電荷移動層としての正孔注入層42が形成されている。正孔注入層42の形成材料は、通常知られた材料を用いる事ができる。本実施形態ではPEDOT/PSSを用いる。
正孔注入層42の上には、共通隔壁層14の側壁に当接して正孔輸送層44が形成され、更に有機発光層46が形成されている。これらの層の形成材料としては、通常知られた材料を用いる事ができる。
例えば、正孔輸送層44の形成材料としては、下記の化学式1で示されるADS259BE(American Dye Source社製、商品名)を用いることが出来る。また、有機発光層46の形成材料としては、化学式2で示される緑色発光高分子材料ADS109GE(同社製、商品名)、化学式3で示される赤色発光高分子材料ADS111RE(同社製、商品名)、化学式4で示される青色発光高分子材料ADS136BE(同社製、商品名)を用いることができる。
Figure 2010062057
Figure 2010062057
Figure 2010062057
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有機発光層46の上には、共通隔壁層14の頂面および側壁を覆って表面全面に第1陰極層52が形成されている。第1陰極層52は、アルカリ金属または仕事関数が2.9eV以下のアルカリ土類金属(第1金属材料)と、3.5eV以上4.2eV未満の仕事関数を有する第2金属材料と、4.2eV以上の仕事関数を有する第3金属材料とを用い、真空共蒸着にて形成された合金層である。第1陰極層52は、不図示の陰極取り出し端子へとつながる陰極コンタクト部へ接続されている。
第1金属材料としては、Li,Cs,Ca,Sr,Baを用いることができる。また、第2金属材料としては、Mg,Sc,Mn,In,Zr,Asを用いることができ、第3金属材料としては、Al,Ag,Cu,Ni,Auを用いることができる。本実施形態では、第1金属材料としてCa、第2金属材料としてMg、第3金属材料としてAgをそれぞれ用いる。
第1陰極層52が備える第1金属材料は、有機機能層への良好な電子注入が可能な低い仕事関数を備えている。そのため、形成される第1陰極層52は、第1金属材料の仕事関数に由来した、良好な電子注入性を示す。
また、第1陰極層52が備える第3金属材料は、水分や酸素に対して安定な金属材料である。そのため、第3金属材料を含む合金層である第1陰極層52は、第3金属材料の安定性に由来した、水分や酸素に対して良好な安定性を示す。
ここで、第1金属材料と第3金属材料とは、互いに仕事関数が離れているため、両者を共蒸着しても合金層に成らないことが、発明者が行った予備実験により確かめられている。例えば、CaとAgとの共蒸着膜や、CaとAlとの共蒸着膜を形成し大気に曝すと、膜表面が泡立ち膜の金属光沢が失われるという現象を確認した。これは、CaとAgまたはAlが合金を形成しておらず、Caが分離した状態であったため、大気中の水分や酸素とCaとが反応したものと考えられる。
本発明の第1陰極層52は、第1金属材料と第3金属材料との間の仕事関数を備える第2金属材料を含んでいる。このような仕事関数を備える第2金属材料は、第1金属材料と第3金属材料との合金形成を促し、第1陰極層52を良好な合金層とすることができる。上記予備実験と同様に、CaとMgとAgとを共蒸着した膜は、大気に曝しても安定な膜であることを確認している。
第1陰極層52の第1金属材料と第2金属材料と第3金属材料との共蒸着比率は、第1金属材料の体積が第2金属材料の体積以下となるような体積比であることが好ましい。本実施形態では、各金属材料の体積比を、Ca:Mg:Ag=5:10:1とした。
第1陰極層52の膜厚は、透明性の確保、及び良好な面方向の導電性の確保(低いシート抵抗値)を考慮すると、5nm以上15nm以下程度が好適である。本実施形態の第1陰極層52は、15nmの膜厚を有している。
陰極50が上述の第1陰極層52を備えることで、有機機能層への良好な電子注入と、トップエミッションに必要な陰極の十分な光透過性と、水分や酸素に対する良好な安定性と、を同時に実現することができる。また、陰極50のシート抵抗を十分に低くすることができるため、発光ムラも低減することができる。
第1陰極層52の上には、第3金属材料と同様の仕事関数を有する金属材料(第6金属材料)を形成材料とする共振層58が設けられている。本実施形態ではAgを用いて形成する。共振層58は、有機発光層46から発せられた光の一部を反射する半透過膜である。共振層58が反射層20との間で光を共振させる光共振構造を構成することで、有機EL素子60からは、反射層20と共振層58との間の光学的距離に対応した共振波長の条件を満たす光のみが増幅されて取り出される構成となっている。また、共振層58は、陰極50の一部を構成しており、陰極50のシート抵抗値を下げる機能も有している。本実施形態の共振層58は、5nmの膜厚を有している。
陰極50の上には、不図示のSiOなどの無機膜を形成し、更に無機膜の上にはエポキシ樹脂を介してガラス基板を貼り合わせる、所謂、固体封止構造を備えるものとすると良い。
本実施形態の有機EL装置は、以上のような構成となっている。
以上のような構成の有機EL装置1によれば、有機機能層への良好な電子注入と、水分や酸素に対する極めて良好な安定性と、を同時に実現することができ、発光効率が高く長寿命な有機EL装置1とすることができる。
なお、本実施形態では、1つの有機EL素子60について説明したが、有機EL装置1は上述した有機EL素子60を複数備えることができる。その場合には、赤色(R)、緑色(G)、青色(B)の光を発する有機EL素子を設けることで、フルカラー表示が可能な有機EL装置とすることができる。このような有機EL装置では、上述した陰極構造が全ての有機EL素子に共通して設けられていることとすることができる。また、有機EL装置が複数の有機EL素子を備える場合、共振層を有機EL素子ごとにパターニングして設け、有機EL素子が発する色に応じて共振層の厚みを変化させて、光共振構造を構成することとしても良い。同様に有機EL素子が発する色に応じて反射層の厚みを変化させて光共振構造を構成することも可能である。
[第2実施形態]
図2は、本発明の第2実施形態に係る有機EL装置2の説明図である。本実施形態の有機EL装置2は、第1実施形態の有機EL装置1と一部共通している。異なるのは、第1陰極層52と共振層58との間に、
仕事関数が3.5eV以上4.2eV未満の仕事関数を有する第4金属材料と、4.2eV以上の仕事関数を有する第5金属材料との合金層である第2陰極層56を備えることである。したがって、本実施形態において第1実施形態と共通する構成要素については同じ符号を付し、詳細な説明は省略する。
第1陰極層52の上には、第1陰極層52の表面全面を覆って第2陰極層56が形成されている。第2陰極層56は、第4金属材料と第5金属材料とを用い、真空共蒸着にて形成された合金層である。本実施形態では、第4金属材料としてMg、第5金属材料としてAgを用いており、第1陰極層52の形成材料である第2金属材料および第3金属材料と共通した金属材料を用いている。第2陰極層56は、第4金属材料と第5金属材料との合金層であることで、第5金属材料単体の場合よりも低い仕事関数と、第5金属材料の性質に由来する水分や酸素に対する高い安定性とを兼ね備える陰極層となっている。
発明者が別途行った予備実験では、MgとAgとの蒸着比率が、体積比で1:10(Agの体積比率:91%)から40:1(Agの体積比率:2.4%)の範囲で成膜した第2陰極層が、いずれも水分や酸素に対して安定であることが確かめられている。そのため、第4金属材料と第5金属材料との蒸着比率は、体積比で1:10〜40:1が好適である。成膜のしやすさや再現性の確保のため、蒸着比率は5:1〜20:1がより好適である。本実施形態では、MgとAgとの共蒸着比率は、体積比で10:1とした。
また、第2陰極層56の膜厚は、透明性の確保、及び良好な面方向の導電性の確保(低いシート抵抗値)を考慮すると、5nm以上15nm以下程度が好適であり、陰極の膜厚が20nm以下となるような厚みを選択する。本実施形態では、第1陰極層52を7nmの膜厚に形成した上で、第2陰極層56を8nmの膜厚に形成している。
陰極50が上述の第1陰極層52と第2陰極層56との積層構造を備えることで、水分や酸素に対する良好な安定性がより高い陰極を実現することができる。また、陰極50の厚みを調節してシート抵抗を十分に低くすることができるため、発光ムラも低減することができる。
次に、図3を用いて、本実施形態の有機EL装置2の製造方法を、陰極50の形成工程を中心にして説明する。図では、蒸着装置100Aを用い、陰極50の積層構造を形成する様子を示している。蒸着装置100Aは、通常知られたものを用いる事ができ、密閉可能に形成され内部が減圧可能なチャンバ100と、第1の蒸着材料111が入った第1坩堝101、第2の蒸着材料112が入った第2坩堝102、第3の蒸着材料113が入った第3坩堝103、を有している。
本実施形態では、第1の蒸着材料111としてCaを用い、第2の蒸着材料112としてMgを用い、第3の蒸着材料113としてAgを用いた。上述のように、有機EL装置2では、第2金属材料および第4金属材料として、共通する金属材料であるMgを選択し、第3金属材料、第5金属材料および第6金属材料として、共通する金属材料であるAgを選択している。そのため、必要とする蒸着材料の種類が少なく、工程負荷が低減される。
図3(a)に示すように、有機発光層46まで形成した製造中の有機EL装置をチャンバ100の内部に配置する。そして、チャンバ100内を減圧し、第1の蒸着材料111を収容した第1坩堝101、第2の蒸着材料112を収容した第2坩堝102、第3の蒸着材料113を収容した第3坩堝103を不図示の加熱装置で加熱して、蒸発する第1,第2,第3の蒸着材料を用いて有機発光層46を覆う第1陰極層52を形成する。
次いで、図3(b)に示すように、第1陰極層52の膜厚が所定の膜厚(本実施形態では7nm)に達すると同時に、第1坩堝101のシャッタを閉めて第1の蒸着材料111の蒸着を停止する。そして、第2の蒸着材料112と第3の蒸着材料113との共蒸着により、第2陰極層56を形成する。
次いで、図3(c)に示すように、第2陰極層56の膜厚が所定の膜厚(本実施形態では8nm)に達すると同時に、第2坩堝102のシャッタを閉めて第2の蒸着材料112の蒸着を停止する。引き続き第3坩堝103のシャッタのみを開いておいて第3の蒸着材料を蒸着して共振層58を形成し、本実施形態の有機EL装置が備える陰極50を形成する。
以上のようにして陰極構造を形成し、本実施形態の有機EL装置2を製造する。
以上のような構成の有機EL装置2では、化学的に活性な第1金属材料を含まず、第1陰極層52よりも更に水分や酸素に安定な合金層である第2陰極層56で第1陰極層52を保護することとなるため、より信頼性が高く長寿命な有機EL装置2とすることができる。
また、本実施形態では、第1陰極層52と第2陰極層56に共通する金属材料を用いているため、各層間の親和性が良く、良好な電子注入を実現する層構造を備えた陰極50とすることができる。また、第1陰極層52の形成に用いる金属材料が第2陰極層56と共通するため、用いる形成材料を減らすことができ、製造負荷を緩和することができる。
なお、本実施形態では、第2陰極層56の形成材料である第4金属材料および第5金属材料は、第1陰極層52の形成材料である第2金属材料および第3金属材料と同じ材料を用いることとしたが、これに限らない。例えば第2金属材料としてMgを選択し、第4金属材料としてInを選択するなど、異なる金属材料を用いる事としても良い。
[電子機器]
次に、本発明の電子機器の実施形態について説明する。図4は、本発明の有機EL装置を用いた電子機器の一例を示す斜視図である。図4に示す携帯電話(電子機器)1300は、本発明の有機EL装置を小サイズの表示部1301として備え、複数の操作ボタン1302、受話口1303、及び送話口1304を備えて構成されている。これにより、本発明の有機EL装置により構成された、発光効率に優れ信頼性に優れた表示部を具備した携帯電話1300を提供することができる。
上記各実施の形態の有機EL装置は、上記携帯電話に限らず、電子ブック、プロジェクタ、パーソナルコンピュータ、ディジタルスチルカメラ、テレビジョン受像機、ビューファインダ型あるいはモニタ直視型のビデオテープレコーダ、カーナビゲーション装置、ページャ、電子手帳、電卓、ワードプロセッサ、ワークステーション、テレビ電話、POS端末、タッチパネルを備えた機器等々の画像表示手段として好適に用いることができる。かかる構成とすることで、表示品質が高く、信頼性に優れた表示部を備えた電子機器を提供できる。
更には、上記各実施の形態の有機EL装置をラインヘッドとして用いることができ、該ラインヘッドを光源として備えた画像形成装置(光プリンタ)として好適に用いることができる。このようにすると、輝度ムラが無く信頼性に優れた光プリンタとすることができる。
以上、添付図面を参照しながら本発明に係る好適な実施の形態例について説明したが、本発明は係る例に限定されないことは言うまでもない。上述した例において示した各構成部材の諸形状や組み合わせ等は一例であって、本発明の主旨から逸脱しない範囲において設計要求等に基づき種々変更可能である。
本発明の第1実施形態に係る有機EL装置を模式的に示す断面図である。 本発明の第2実施形態に係る有機EL装置を模式的に示す断面図である。 第2実施形態の有機EL装置の製造工程を示す工程図である。 本発明に係る電子機器の一例を示す斜視図である。
符号の説明
1,2…有機EL装置(有機エレクトロルミネッセンス装置)、20…反射層(光反射層)、30…画素電極(陽極)、42…正孔注入層(有機機能層)、44…正孔輸送層(有機機能層)、46…有機発光層、50…共通電極(陰極)、52…第1陰極層、56…第2陰極層、58…共振層、60…有機EL素子(発光素子)、1300…携帯電話(電子機器)

Claims (8)

  1. 陽極と陰極との間に有機発光層を含む有機機能層を挟持した発光素子を備え、前記有機発光層で発せられる光を前記陰極側から外部に取り出す有機エレクトロルミネッセンス装置であって、
    前記陰極は、前記有機機能層と接して設けられた合金層である第1陰極層を有し、
    前記第1陰極層は形成材料として、アルカリ金属または仕事関数が2.9eV以下のアルカリ土類金属である第1金属材料と、
    仕事関数が3.5eV以上4.2eV未満である第2金属材料と、
    仕事関数が4.2eV以上である第3金属材料と、を有することを特徴とする有機エレクトロルミネッセンス装置。
  2. 前記陰極は、前記第1陰極層の前記有機機能層とは反対側に、仕事関数が3.5eV以上4.2eV未満である第4金属材料と、
    仕事関数が4.2eV以上である第5金属材料と、の合金層である第2陰極層を備えることを特徴とする請求項1に記載の有機エレクトロルミネッセンス装置。
  3. 前記第2陰極層は、前記第1陰極層を構成する第2金属材料および第3金属材料を含むことを特徴とする請求項2に記載の有機エレクトロルミネッセンス装置。
  4. 前記第1金属材料は、Li,Cs,Ca,Sr,Baの中から選ばれることを特徴とする請求項1から3のいずれか1項に記載の有機エレクトロルミネッセンス装置。
  5. 前記第2金属材料及び前記第4金属材料は、Mg,Sc,Mn,In,Zr,Asの中から選ばれることを特徴とする請求項1から4のいずれか1項に記載の有機エレクトロルミネッセンス装置。
  6. 前記陰極は、前記第1陰極層側とは反対側の表面に、仕事関数が4.2eV以上である第6金属材料からなる共振層を備えており、
    前記陽極は光透過性を有するとともに、前記陰極は半透過反射性を有し、前記陽極を挟んで前記有機機能層の反対側には光反射層が配置され、前記光反射層と前記陰極との間で、前記有機機能層から射出された光を共振させる光共振器構造が構成されていることを特徴とする請求項1から5のいずれか1項に記載の有機エレクトロルミネッセンス装置。
  7. 前記第3金属材料、前記第5金属材料及び前記第6金属材料は、Al,Ag,Cu,Ni,Auの中から選ばれることを特徴とする請求項1から6のいずれか1項に記載の有機エレクトロルミネッセンス装置。
  8. 請求項1から7のいずれか1項に記載の有機エレクトロルミネッセンス装置を備えることを特徴とする電子機器。
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