JP2010061960A - 燃料電池システムおよび燃料電池制御方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】燃料電池の暖機運転時において排ガス水素濃度の上昇を抑える。
【解決手段】空気供給量を制限することにより前記低効率運転を実施し(S110〜S120)、排ガス中の水素濃度が所定値を上回ったと判定されたときに(ステップS130、S140:YES)、負荷を減少し(ステップS150)、空気供給量を増大する(S160、S170)。
【選択図】図2

Description

本発明は、燃料電池への酸化剤ガスの供給量を制限して低効率運転を実施する燃料電池システムと、燃料電池を制御する燃料電池制御方法とに関する。
燃料電池は、氷点以下の低温環境で運転を開始すると、カソードやアノード、拡散層に残留する水が凍結してガス流通を阻害したり、高分子電解質膜内部に残留する水が凍結してプロトン伝導性を低下させたりする。このため、低温始動時には、燃料電池の暖機運転を行ってから高効率運転に移行する必要がある。
燃料電池の暖機運転では、発電効率を低下させて自己発熱量を増大させることで暖機を促進することが提案されている(下記の特許文献1)。具体的には、燃料電池に供給される反応物(燃料ガス・酸化剤ガス)を不足状態にし、電極での過電圧を増やすことで自己発熱量を増やしている。なお、不足状態にする反応物は酸化剤ガスとすることが一般的である。燃料ガスを不足状態にした場合、カソードのカーボン酸化が生じる虞があるためである。
特表2003−504807号公報
しかしながら、酸化剤ガスを不足状態にした前記従来技術では、水素ポンピング現象により、排ガス中の水素濃度が上昇する問題があった。水素ポンピング現象は、水素極側から電解質膜を透過してきた水素ガスが、酸化剤ガスが不足したために酸化剤ガスと反応することができず、水素ガスが酸化剤ガスの流路に溜まってしまう現象である。水素ポンピング現象が生じると、排ガス中の水素濃度が上昇する。
本発明は、前記の課題の少なくとも一部を解決するためになされたものであり、燃料電池の暖機運転時において排ガス水素濃度の上昇を抑えることを目的とする。
本発明は、上述の課題の少なくとも一部を解決するためになされたものであり、以下の形態又は適用例として実現することが可能である。
[適用例1] 燃料電池への酸化剤ガスの供給量を制限して低効率運転を実施する燃料電池システムにおいて、
前記燃料電池の排ガス中の水素濃度を検出する水素濃度検出部と、
前記低効率運転の実施中に、前記水素濃度検出部により検出した水素濃度が所定値を超えるか否かを判定する水素濃度判定部と、
前記水素濃度判定部により前記水素濃度が前記所定値を超えたと判定されたとき、少なくとも前記酸化剤ガスの供給量を制御することにより前記燃料電池の発電電圧を増大する発電電圧増大部と
を備えることを特徴とする燃料電池システム。
従来、酸化剤ガスの供給量を制限して低効率運転を実施すると、酸化剤ガスが不足状態となり、水素ポンピング現象が生じ排ガス中の水素濃度が上昇する。これに対して、適用例1に記載の燃料電池システムによれば、前記低効率運転の実施中に、燃料電池の排ガス中の水素濃度が所定値を超えたとき、少なくとも前記酸化剤ガスの供給量を制御することにより燃料電池の発電電圧を増大するようにしている。発電電圧を増大するには、酸化剤ガスの供給量を増大方向に制御する必要があることから、酸化剤ガスの不足状態を回避することができる。このために、適用例1に記載の燃料電池システムによれば、燃料電池の排ガス中の水素濃度が所定値を超えたとき、水素濃度の上昇を抑えることができる。したがって、適用例1に記載の燃料電池システムによれば、排ガス水素濃度の上昇を抑えつつ、低効率運転を実施することにより燃料電池の暖機運転を行うことができる。
[適用例2] 適用例1に記載の燃料電池システムであって、前記発電電圧増大部は、前記燃料電池の負荷を減少する負荷減少部と、前記負荷減少部による負荷の減少を受けて、前記酸化剤ガスの供給量の制御を行う酸化剤ガス供給量制御部とを備える、燃料電池システム。
適用例2の構成によれば、燃料電池の負荷を減少し、酸化剤ガスの供給量の制御を行うという、比較的容易な制御により発電電圧の増大を行うことができる。
[適用例3] 適用例1に記載の燃料電池システムであって、前記発電電圧増大部は、前記燃料電池の負荷を変えずに、前記酸化剤ガスの供給量の制御を行うことにより前記発電電圧の増大を行う構成である、燃料電池システム。
適用例3の構成によれば、負荷を一定に保持した状態で、発電電圧の増大を行うことができる。このため、燃料電池システムを搭載した装置において、消費電力を変える必要がないことから、制御が容易である。
[適用例4] 適用例1に記載の燃料電池システムであって、前記発電電圧増大部は、前記酸化剤ガスの供給量を増大する酸化剤ガス供給量増大部と、前記酸化剤ガスの供給量の増大のために必要となる消費電力に基づいて、前記酸化剤ガスの供給量の制御を行う酸化剤ガス供給量制御部とを備える、燃料電池システム。
適用例4の構成によれば、酸化剤ガスの供給量を増大することで排ガス中の水素濃度が希釈されることから、排ガス水素濃度の上昇を抑えつつ、燃料電池の暖機運転を行うことができる。
[適用例5] 燃料電池制御方法であって、
燃料電池への酸化剤ガスの供給量を制限して低効率運転を実施し、
前記低効率運転の実施中に、前記燃料電池の排ガス中の水素濃度を検出し、
前記検出した水素濃度が所定値を超えたとき、少なくとも前記酸化剤ガスの供給量を制御することにより前記燃料電池の発電電圧を増大することを特徴とする燃料電池制御方法。
適用例5の燃料電池制御方法は、適用例1の燃料電池システムと同様に、排ガス水素濃度の上昇を抑えつつ、燃料電池の暖機運転を行うことができるという効果を奏する。
以下、本発明の実施の形態を実施例に基づいて、以下の順序で説明する。
A.第1実施例:
A−1.ハードウェア構成:
A−2.ソフトウェアの構成:
A−3.作用・効果:
B.第2実施例:
C.第3実施例:
D.他の実施形態:
A.第1実施例:
A−1.ハードウェア構成:
図1は、本発明の第1実施例を適用した燃料電池システム100を搭載する電気自動車の全体構成図である。図示するように、この電気自動車に搭載される燃料電池システム100は、水素を含む燃料ガスと酸素を含む酸化剤ガスの供給を受けて電力を発生する燃料電池スタック10と、燃料ガスをシステム内で流通させるための燃料ガス流路系20と、酸化剤ガスとしての空気をシステム内で流通させるためのエア流路系30と、燃料電池スタック10を冷却するための冷却水系40と、燃料電池スタック10の運転をコントロールする制御ユニット50とを備えている。
燃料電池スタック10は、燃料ガス、空気、冷却水の流路(各単セル内流路)を有するセパレータおよび一対のセパレータで挟み込まれたMEA(膜−電極接合体:Membrane Electrode Assembly)から構成される単セルを複数積層したスタック構造となっている。MEAは高分子電解質膜をアノード(燃料極)及びカソード(空気極)の二つの電極を挟み込んだ構造をしている。アノードはアノード用触媒層を多孔質支持層上に設けてあり、カソードはカソード用触媒層を多孔質支持層上に設けてある。燃料電池スタック10は水の電気分解の逆反応を起こすものであるために、陰極であるアノード側には燃料ガスが供給され、陽極であるカソード側には酸化剤ガスが供給され、これらガス供給により電気化学反応が進行し、起電力が生じる。
燃料ガス流路系20は、燃料ガス供給源(水素タンク)21の放出口から燃料電池スタック10の供給口に至る燃料ガス供給管22と、燃料電池スタック10の排出口から燃料ガス供給管22に至る燃料ガス排出管24とを備える。燃料電池スタック10の供給口および排出口は、図示しないマニホルドホールを介して単セル内燃料ガス流路に接続されている。
燃料ガス供給管22には、水素調圧バルブV1と圧力センサP1が設けられている。水素タンク21から放出された燃料ガスは、水素調圧バルブV1により所定圧力に調圧されて燃料電池スタック10へ供給される。
燃料ガス排出管24には、燃料電池スタック10の排出口側から、気液分離器25、循環用水素ポンプ26および逆止弁27が備えられている。燃料ガス排出管24の他端は、燃料ガス供給管22の水素調圧バルブV1および圧力センサP1よりも下流側に接続されている。燃料ガス排出管24により、燃料電池スタック10において電池反応に寄与しなかった排出燃料ガスを、燃料ガス排出管24を介して燃料ガス供給管22に戻すことができる。気液分離器25は、排出燃料ガスに含まれる余分な水分を除去して、供給用の燃料ガスとしての再生を図っている。
気液分離器25には、配管28が接続されており、この配管28には、パージバルブV2が配設されている。上述の排出燃料ガスの再循環の際には、このパージバルブV2は、通常、閉じられているが、所定のタイミングで開弁することで、排出燃料ガスを、配管28を介して後述する希釈器37に導入し、さらにマフラ38を介して系外に排出することで、窒素ガスや水蒸気などの不純物がカソード側から電解質膜を透過してアノード側へ移動することにより、アノード側の不純物濃度が上昇することを抑えている。なお、燃料電池スタック10への燃料ガスの供給量は、水素調圧バルブV1の開閉状態の制御と、循環用水素ポンプ26の吐出量の制御との組合せにより調整することができる。
エア流路系30は、燃料電池スタック10の酸化剤ガス供給口に至るエア供給管32と、燃料電池スタック10の酸化剤ガス排出口に至るエア排出管34とを備える。前記酸化剤ガス供給口および酸化剤ガス排出口は、図示しないマニホルドホールを介して単セル内酸化剤ガス流路に接続されている。
エア供給管32には、エアクリーナ35とエアコンプレッサ36とが設けられている。エア排出管34の途中には、圧力センサP2、エア調圧バルブV3、希釈器37、およびマフラ38が設けられている。エアクリーナ35から吸入された空気は、エアコンプレッサ36によって圧縮され、エア供給管32を介して燃料電池スタック10の酸化剤ガス供給口に酸化剤ガスとして供給される。燃料電池スタック10の酸化剤ガス排出口からの排出酸化剤ガスは、エア排出管34を介して希釈器37に導入される。
希釈器37では、排出酸化剤ガスと、上述の所定のタイミングで希釈器37に導入される排出燃料ガスとを混合することによって、排出酸化剤ガスに含まれる水素の濃度が希釈される。希釈器37から排出された排ガスは、エア排出管34を介してマフラ38から燃料電池システム100の系外へ排出される。なお、エア排出管34における希釈器37とマフラ38との間には、水素濃度センサD1が設けられており、希釈器37からの排ガス中の水素濃度を検出することができる。
燃料電池スタック10への空気の供給量は、エアコンプレッサ36の回転数の制御と、エア調圧バルブV3の開閉状態の制御との組合せにより調整することができる。
冷却水系40は、冷却水配管42とラジエータ44と循環用冷却水ポンプ46とによって構成される。冷却水は、冷却水配管42を介して循環用冷却水ポンプ46によって燃料電池スタック10とラジエータ44との間を循環する。これにより、燃料電池スタック10で電気化学反応に伴う発熱を吸収し、ラジエータ44で放熱することで、燃料電池スタック10の温度を適正に保つことができる。なお、冷却水配管42における燃料電池スタック10の冷却水排出口付近には、温度センサT1が設けられており、冷却水温度、すなわち燃料電池の温度を検出することができる。
制御ユニット50は、内部にCPU、RAM、ROMを備えるマイクロコンピュータとして構成されており、ROMに記憶されたプログラムをRAMに展開して実行することで、圧力センサP1、P2、温度センサT1、水素濃度センサD1等の各種センサからの信号を受けて、水素調圧バルブV1、循環用水素ポンプ26、パージバルブV2、エア調圧バルブV3、エアコンプレッサ36、46、循環用冷却水ポンプ46等の各種アクチュエータに駆動信号を出力し、システムの運転全体を制御する。特に、制御ユニット50は、低効率運転部52、水素濃度判定部54および発電電圧増大部56として機能することで暖機運転処理を行っている。この暖機運転処理の詳細については、「A−2.ソフトウェアの構成」で後述する。
この電気自動車は、燃料電池スタック10の他に、補助電源としての2次電池(バッテリ)200を備えている。2次電池200は、DC/DCコンバータ300を介して燃料電池スタック10と並列に接続されている。インバータ400は、これらの直流電源から三相交流電源を生成して、車両駆動用のモータ500に供給し、モータ500の回転数とトルクとを制御する。
燃料電池システム100に備えられる制御ユニット50は、燃料電池システム100の運転だけでなく電気自動車の運転全体を制御するものであり、DC/DCコンバータ300やインバータ400に制御信号を出力している。
A−2.ソフトウェアの構成:
図2は、制御ユニット50により実行される暖機運転処理を示すフローチャートである。この処理は、制御ユニット50における燃料電池スタック10の運転制御の一部として、低温始動時に実行される。すなわち、始動時において、温度センサT1により検出された冷却水温度が氷点(すなわち0℃)以下の低温状態であるときに、この暖機運転処理は実行開始される。
図2に示すように、処理が開始されると、制御ユニット50のCPUは、まず、燃料電池スタック10への空気供給量を制限する処理を行う(ステップS110)。詳細には、燃料電池スタック10への空気の供給量を、定常運転時(温度センサT1により検出された冷却水温度が0℃を上回る時)の空気の供給量よりも減少させることにより、低効率運転を開始する。なお、この空気供給量の減少量は、燃料電池スタック10の特性やエア供給管32の径等に合わせて実験的に決定可能であり、低効率運転を実施しうる大きさである。
具体的には、低温状態のときの空気供給量(すなわち、上記減少量を考慮に入れた空気供給量)と発電電流との関係を、制御ユニット50のROMにマップとして予め用意しておき、ステップS110では、このマップに対して、燃料電池システム100が要求された発電電流を照らし合わせることで、その発電電流に応じた空気供給量を読み出して、その空気供給量となるように、エアコンプレッサ36の回転数やエア調圧バルブV3の開閉状態を制御する。この結果、燃料電池スタック10は、発電効率を低下させて自己発熱量を増大させる。
次いで、制御ユニット50のCPUは、燃料電池スタック10の単セルを0.1Vで発電する処理を行う(ステップS120)。燃料電池の発電電力は、発電電圧と発電電流の積となることから、発電電流を一定にした場合は、発電効率の低下とともに発電電圧は低下する、という関係がある。このため、ステップS110による低効率運転の開始によって発電電圧は低下することになるが、さらに、このステップS120では、単セルの発電電圧を0.1Vとする制御を行っている。定常運転時における単セルの発電電圧は約1.0Vであることから、ステップS120の処理は、定常運転時よりも低下した発電電圧を維持しつつ正確に0.1Vとすることである。
ステップS120では、具体的には、0.1Vで発電した場合に、要求される負荷を満たすことができるように空気供給量を調整する。すなわち、エアコンプレッサ36の回転数やエア調圧バルブV3の開閉状態を制御して、酸化剤ガスとしての空気供給量を調整することにより、発電電圧を0.1Vとする制御を行う。
その後、制御ユニット50のCPUは、水素濃度センサD1の出力である水素濃度Dhを取り込み(ステップS130)、その水素濃度Dhが所定値(例えば、4%)を上回るか否かを判定する(ステップS140)。ここで、水素濃度Dhが4%以下であると判定されたときには、ステップS120に処理を戻して、単セルの発電電圧を0.1Vとする制御を繰り返し実行する。一方、ステップS140で、水素濃度Dhが4%を上回ると判定されたときには、ステップS150に処理を移行する。なお、上記所定値は、4%に限る必要はなく、3%、5%等、他の値としてもより。
ステップS150では、制御ユニット50のCPUは、この電気自動車の負荷を所定量だけ減少する処理を行う。負荷としては、例えばエアコンプレッサの消費電力等が該当する。負荷を減少すると、燃料電池スタック10に要求される電力(出力電力)が低下することから、制御ユニット50のCPUは、その要求電力に見合った目標動作点を算出し(ステップS160)、運転動作点を上記算出した目標動作点にシフトする処理を行う(ステップS170)。「運転動作点」は、燃料電池の電流−電圧特性(I−V特性)上の任意の点として表される。出力電力を低下すると、電流は低下し、電圧は上昇することになる。このため、ステップS170では、ステップS150による負荷の低下を受けて、燃料電池スタック10の発電電圧を上昇させ、電流を低下させる。
ステップS170では、具体的には、
i)制御ユニット50のCPUは、DC/DCコンバータ300を用いて燃料電池スタック10の電圧を目標動作点で定まる値に制御するとともに、
ii)エアコンプレッサ36の回転数やエア調圧バルブV3の開閉状態を制御して、燃料電池スタック10への空気供給量を制御する(ここでは空気量を増大する)ことにより、燃料電池スタック10の電流を制御する。
図3は、エアストイキ比に対する総電圧Eと水素濃度Dhとの変化を示すグラフである。「エアストイキ比」とは、酸素余剰率をいい、水素と過不足なく反応するのに必要な酸素に対して、供給される酸素がどれだけ余剰であるかを示す値である。「総電圧」とは、燃料電池スタック10の発電電圧であり、グラフの例は、単セルの数が135枚であり、0.1A/cm2発電中のデータである。同グラフに示すように、ある発電状態でエアストイキ比を大きくすると、総電圧Eが上がり、水素ポンピング現象を抑えることができることから、水素濃度Dhが低下する。
図3の例示では、排気水素濃度が4%を超えない総電圧E0は、15Vである。したがって、ステップS160で算出される目標動作点の電圧値は、15Vのセル数分の1である0.11Vを十分に上回る値であり、ステップS150により減少させる所定量は、その電圧値に応じて予め決められたものである。
図2に戻って、ステップS170の実行後、制御ユニット50のCPUは、温度センサT1により検出された冷却水温度が、60℃を上回るか否かを判定する処理を行う(ステップS180)。ここで、冷却水温度が60℃以下であると判定されたときには、ステップS170でシフトした目標動作点の状態を維持する暖機運転を継続する処理を繰り返し実行し(ステップS190)、処理をステップS180に戻す。一方、ステップS180で、冷却水温度が60℃を上回ると判定されたときには、燃料電池スタック10の暖機は完了したものとして、この暖機運転処理を終了する。
前記暖機運転処理において、ステップS110ないしS130の処理により低効率運転部52(図1)を、ステップS140の処理により水素濃度判定部54(図1)を、ステップS150ないしS170の処理により発電電圧増大部56(図1)をそれぞれ実現している。
A−3.作用・効果:
以上詳述したように、第1実施例によれば、低効率運転の実施中に、燃料電池スタック10の排ガス中の水素濃度が所定値(4%)を超えたとき、燃料電池スタック10の負荷を減少し、空気の供給量を制御することにより燃料電池スタック10の発電電圧を増大するようにしている。発電電圧を増大するには、空気の供給量を増大方向に制御する必要があることから、酸化剤ガスの不足状態を回避することができる。このために、本実施例によれば、燃料電池スタック10の排ガス中の水素濃度が所定値を超えたとき、水素濃度の上昇を抑えることができる。すなわち、適用例1に記載の燃料電池システムによれば、燃料電池の排ガス中の水素濃度が所定値を超えることを抑えることができる。したがって、第1実施例の電気自動車によれば、排ガス水素濃度の上昇を抑えつつ、燃料電池スタック10の暖機運転を行うことができる。
B.第2実施例:
本発明の第2実施例について次に説明する。この第2実施例は、第1実施例と比較して、制御ユニット50により実行される暖機運転処理の構成が相違するだけであり、その他のソフトウェアおよびハードウェアの構成は同一である。なお、ハードウェア等の第1実施例と同一の部分には第1実施例と同じ符号を付けて、以下の説明を行う。
図4は、第2実施例における暖機運転処理を示すフローチャートである。この暖機運転処理は、第1実施例の暖機運転処理と比較して、第1実施例のステップS150に相当するステップがなく、ステップS260の「目標動作点を算出」する処理の詳細が、第1実施例のステップS160と相違している。その他のステップS110〜S130,S170〜S190は第1実施例と同一である。
図5は、ステップS260で算出される目標動作点を説明するためのグラフである。同グラフ中において、A(Ia、Va)はステップS260の実行前、すなわち、排ガス水素濃度が所定値(4%)を上回ったときの運転動作点であり、B(Ib、Vb)はステップS260で算出される目標動作点である。動作点A(Ia、Va)での出力電力W1は、目標動作点B(Ib、Vb)での出力電力W1と同一である。
図4のステップS260では、制御ユニット50のCPUは、燃料電池スタック10の運転動作点が、排ガス水素濃度が4%を上回ったときの動作点(Ia、Va)から、出力電力を一定に保持した状態で、発電電圧がIaからIbへと変わるように、目標動作点を定めている。すなわち、Va=Vbである。続くステップS170では、制御ユニット50のCPUは、ステップS260で算出された目標動作点B(Ib、Vb)にシフトする処理を行う。
以上のように構成された第2実施例の電気自動車によれば、第1実施例と同様に、排ガス水素濃度の上昇を抑えつつ、燃料電池スタック10の暖機運転を行うことができる。また、本実施例では、燃料電池スタック10の負荷を一定に保持した状態で、発電電圧の増大を図っていることから、電気自動車において消費電力を変える必要がないことから、制御が容易である。
C.第3実施例:
本発明の第3実施例について次に説明する。この第3実施例は、第1実施例と比較して、制御ユニット50により実行される暖機運転処理の構成が相違するだけであり、その他のソフトウェアおよびハードウェアの構成は同一である。なお、ハードウェア等の第1実施例と同一の部分には第1実施例と同じ符号を付けて、以下の説明を行う。
図6は、第3実施例における暖機運転処理を示すフローチャートである。この処理は、第1実施例の暖機運転処理と比較して、図中、ステップS110〜S140、S170〜S190の処理が同一で、相違するのはステップS350、S360だけである。
ステップS140で排ガス水素濃度が所定値(4%)を超えたときに実行されるステップS350では、制御ユニット50のCPUは、空気供給量を所定量だけ増大する処理を行う。詳細には、エアコンプレッサ36の回転数やエア調圧バルブV3の開閉状態を制御して空気供給量を増大する。空気供給量を増大するのは、排ガス中の上昇した水素濃度を希釈するためであり、上記所定量は、水素濃度を低下させるに十分な空気量に予め定められている。
ステップS350の処理により、エアコンプレッサ36等の消費電力が増えるので、燃料電池スタック10の負荷は。その消費電力の増加分だけ引き上げる必要がある。続くステップS360では、制御ユニット50のCPUは、その負荷の引き上げを実現する目標動作点を算出する処理を行う。
図7は、ステップS360で算出される目標動作点を説明するためのグラフである。同グラフ中において、CはステップS360の実行前の運転動作点であり、DはステップS360で算出される目標動作点である。目標動作点Dでの出力電力W3は、動作点Cでの出力電力W2よりも大きい。出力電力W3からW2を引いた差分が、ステップS350の処理により増大した消費電力分に相当する。
図6のステップS360で目標動作点Dが算出されると、制御ユニット50のCPUは、ステップ170に処理を移行して、運転動作点をステップS360で算出された目標動作点Dにシフトする。この結果、図7からも判るように、燃料電池スタック10の発電電圧は増大する。
以上のように構成された第3実施例の電気自動車によれば、第1実施例と同様に、排ガス水素濃度の上昇を抑えつつ、燃料電池スタック10の暖機運転を行うことができる。
D.他の実施形態:
なお、この発明は前記の第1ないし第3実施例や変形例に限られるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲において種々の態様で実施することが可能であり、例えば次のような他の実施形態も可能である。
(1)前記各実施例では、水素濃度センサD1は、希釈器37とマフラ38との間に設けていたが、これに換えて、マフラ38の出口側に設ける構成としてもよい。要は、燃料電池の排ガス中の水素濃度を検出することができれば、エア排出管34の他の位置に設ける構成としてもよい。
(2)前記各実施例では、暖機運転処理の開始条件を冷却水温度が0℃以下のときとしたが、この0℃という閾値は、この温度に限る必要はなく、氷点付近の温度、あるいは氷点以下の温度等に換えることができる。また、前記各実施例では、暖機運転処理の終了条件を冷却水温度が60℃を上回ったときとしたが、これに換えて、50℃、70℃等、他の値としてもよい。燃料電池の種類に応じた運転温度に応じた温度とすることが好ましい。
(3)前記(2)で述べた各温度条件は、燃料電池スタック10の冷却水温度を判定するものであったが、必ずしも冷却水温度に限る必要はなく、燃料電池の温度を捕捉可能な物理量であればいずれの量を判定するものとしてもよい。例えば、外気温センサにより検出される温度であってもよい。
(4)前記各実施例では、圧力センサにより空気の圧力を検出して、この検出圧に従って空気供給圧を制御する構成としていたが、これに換えて、流量センサを備え付けて空気を制御する構成としてもよい。
(5)前記各実施例では、燃料電池スタックは固体高分子型燃料電池としたが、固体酸化物型燃料電池やリン酸型燃料電池等、異なる種類の燃料電池に適用することも可能である。また、前記各実施例では、燃料電池システムを車両に搭載する場合について説明したが、これに替えて、船舶、航空機などの他の交通手段や、その他各種産業機械などに搭載することも可能である。
本発明の第1実施例を適用した燃料電池システム100を搭載する電気自動車の全体構成図である。 制御ユニット50により実行される暖機運転処理を示すフローチャートである。 エアストイキ比に対する総電圧Eと水素濃度Dhとの変化を示すグラフである。 第2実施例における暖機運転処理を示すフローチャートである。 第2実施例における目標動作点を説明するためのグラフである。 第3実施例における暖機運転処理を示すフローチャートである。 第3実施例における目標動作点を説明するためのグラフである。
符号の説明
10…燃料電池スタック
20…燃料ガス流路系
21…水素タンク
22…燃料ガス供給管
24…燃料ガス排出管
25…気液分離器
26…循環用水素ポンプ
27…逆止弁
28…配管
30…エア流路系
32…エア供給管
34…エア排出管
35…エアクリーナ
36…エアコンプレッサ
37…希釈器
38…マフラ
40…冷却水系
42…冷却水配管
44…ラジエータ
46…循環用冷却水ポンプ
50…制御ユニット
52…低効率運転部
54…水素濃度判定部
56…発電電圧増大部
100…燃料電池システム
200…2次電池
300…DC/DCコンバータ
400…インバータ
500…モータ
V1…水素調圧バルブ
V2…パージバルブ
V3…エア調圧バルブ
P1…圧力センサ
P2…圧力センサ
T1…温度センサ
D1…水素濃度センサ

Claims (5)

  1. 燃料電池への酸化剤ガスの供給量を制限して低効率運転を実施する燃料電池システムにおいて、
    前記燃料電池の排ガス中の水素濃度を検出する水素濃度検出部と、
    前記低効率運転の実施中に、前記水素濃度検出部により検出した水素濃度が所定値を超えるか否かを判定する水素濃度判定部と、
    前記水素濃度判定部により前記水素濃度が前記所定値を超えたと判定されたとき、少なくとも前記酸化剤ガスの供給量を制御することにより前記燃料電池の発電電圧を増大する発電電圧増大部と
    を備えることを特徴とする燃料電池システム。
  2. 請求項1に記載の燃料電池システムであって、
    前記発電電圧増大部は、
    前記燃料電池の負荷を減少する負荷減少部と、
    前記負荷減少部による負荷の減少を受けて、前記酸化剤ガスの供給量の制御を行う酸化剤ガス供給量制御部と
    を備える、燃料電池システム。
  3. 請求項1に記載の燃料電池システムであって、
    前記発電電圧増大部は、
    前記燃料電池の負荷を変えずに、前記酸化剤ガスの供給量の制御を行うことにより前記発電電圧の増大を行う構成である、燃料電池システム。
  4. 請求項1に記載の燃料電池システムであって、
    前記発電電圧増大部は、
    前記酸化剤ガスの供給量を増大する酸化剤ガス供給量増大部と、
    前記酸化剤ガスの供給量の増大のために必要となる消費電力に基づいて、前記酸化剤ガスの供給量の制御を行う酸化剤ガス供給量制御部と
    を備える、燃料電池システム。
  5. 燃料電池制御方法であって、
    燃料電池への酸化剤ガスの供給量を制限して低効率運転を実施し、
    前記低効率運転の実施中に、前記燃料電池の排ガス中の水素濃度を検出し、
    前記検出した水素濃度が所定値を超えたとき、少なくとも前記酸化剤ガスの供給量を制御することにより前記燃料電池の発電電圧を増大することを特徴とする燃料電池制御方法。
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