JP2010059538A - 微細パターン形成材料、および積層構造体、ならびにスパッタリングターゲット - Google Patents
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Abstract
【課題】基板の表面側に微細パターンを形成するために設ける合金層を一層だけとすることができる上に、数百nm周期までの極めて狭い周期で微細パターン穴を確実に形成することができる微細パターン形成材料、および積層構造体、ならびにスパッタリングターゲットを提供する。
【解決手段】基板の表面側に設けられ、レーザー光の照射によって溶融することで穴が形成される微細パターン形成材料であって、Coを30〜60原子%含有するIn合金からなる。
【選択図】なし
【解決手段】基板の表面側に設けられ、レーザー光の照射によって溶融することで穴が形成される微細パターン形成材料であって、Coを30〜60原子%含有するIn合金からなる。
【選択図】なし
Description
本発明は、レーザー光の照射によって溶融することで微細な穴が形成される微細パターン形成材料と、前記微細パターン形成材料を表面側の合金層とした積層構造体と、微細パターン形成材料でなる合金層を形成するためのスパッタリングターゲットに関するものである。
現在、光ディスク装置やデジタルカメラ、プロジェクターといった民生機器の光学素子の殆どは樹脂製である。その理由は、射出成形で作製することができ、安価であるためである。しかしながら、樹脂製光学素子は、耐熱性、耐光性、耐候性に劣り、十分な屈折率を得ることができないため、それらに優れるガラス製光学素子に対する期待が最近特に高まっている。
光ディスク装置やデジタルカメラ、プロジェクターといった民生機器の製造コストを下げるために、ガラスを含めた材料に型の微細パターンを転写して成形するインプリントと呼ばれる加工法が、近年開発されている。この微細パターンを、光学素子に設けることにより、様々な光学的な特性を上記民生機器に付与することができる。既に、ガラスの表面に数μm周期程度の微細パターンを設けるインプリント技術の事業化も始まっている。
また、ガラス等の基板の表面に微細パターンを形成する方法の一例として、熱リソグラフィーと呼ばれる加工法も開発されている。熱リソグラフィーによると数百nm周期までの極めて狭い周期で微細パターンを付与することが可能である。この熱リソグラフィーで、基板の表面に微細パターンを形成する方法は、例えば、特許文献1に記載されているが、基板の表面に少なくとも3層の反応層と熱緩衝層を形成する必要があり、基板の表面に微細パターンを形成するために、それら各層を形成するために様々な工程を経ることとなり、微細パターン形成のための製造工程が非常に手間なものとなっており、製造コストも嵩んでおり、また、構造も複雑なものとなり、実用に向かないものであった。
本発明は、上記従来の実情に鑑みてなされたもので、基板の表面側に微細パターンを形成するために設ける合金層を一層だけとすることができる上に、数百nm周期までの極めて狭い周期で微細パターン穴を確実に形成することができる微細パターン形成材料、および積層構造体、ならびにスパッタリングターゲットを提供することを課題とするものである。
請求項1記載の発明は、基板の表面側に設けられ、レーザー光の照射によって熱分解を生じることで穴が形成される微細パターン形成材料であって、Coを30〜60原子%含有するIn合金からなることを特徴とする微細パターン形成材料である。
請求項2記載の発明は、基板と、前記基板の表面側に形成された合金層を含む積層構造体であって、前記合金層は、レーザー光の照射によって熱分解を生じることで穴が形成される微細パターン形成材料で構成され、前記微細パターン形成材料は、Coを30〜60原子%含有するIn合金からなることを特徴とする積層構造体である。
請求項3記載の発明は、前記基板と合金層の間には、中間層が形成されていることを特徴とする請求項2記載の積層構造体である。
請求項4記載の発明は、前記中間層は、レジスト層であることを特徴とする請求項3記載の積層構造体である。
請求項5記載の発明は、請求項1に記載の微細パターン形成材料でなる合金層を形成するためのスパッタリングターゲットであって、Coを30〜60原子%含有するIn合金からなることを特徴とするスパッタリングターゲットである。
本発明の微細パターン形成材料によれば、その微細パターン形成材料を用いて合金層を形成することで、基板の表面側に微細パターンを形成するために設ける合金層を一層だけとすることができ、また、レーザー光を照射することにより数百nm周期までの極めて狭い周期で微細パターン穴を確実に形成することができる。
また、本発明の積層構造体によれば、基板の表面側に微細パターンを形成するために設ける合金層を一層だけとすることができる上に、レーザー光を照射することにより数百nm周期までの極めて狭い周期で微細パターン穴を確実に形成することができ、続く工程で、基板の表面側に数百nm周期の凹凸状の微細パターンを確実に付与することができる。
更には、本発明のスパッタリングターゲットによれば、上記微細パターン形成材料の作製および積層構造体の形成を行うことができる。
本発明者は、熱リソグラフィーで、ガラス、サファイヤ等の基板の表面に微細パターンを形成した際に、数百nm周期までの極めて狭い周期で微細パターン穴を確実に形成することができる微細パターン形成材料でなる合金層の開発を目指し、鋭意、実験、検討を重ねた結果、基金属元素として低融点且つ環境負荷の小さいInに着目し、これにCoを適量含有させることにより、前記の課題を有利に解決することができることを知見し、ここに発明を完成させるに至った。
まず、本発明の微細パターン形成材料において、主成分である基金属元素としてInを選定した理由、また、このInにCoを含有させたIn合金を採用した理由について、その成分範囲の規定を含めて詳細に説明する。
まず、Inを主成分の基金属元素として採用したのは、レーザー光の照射によって微細パターン穴を形成するにあたり、現在入手できる半導体レーザーの出力範囲で形成が可能であり、また、他の低融点金属であるSb、Te、Pb等に比べて環境負荷が小さいためである。
次に、Inに30〜60原子%のCoを含有させる。Coを含有させるのは、Inのみで薄膜(本発明の合金層に該当する。)を形成するとスパッタリングにより形成したその薄膜の吸収率が小さくなり、微細パターン穴を形成するために大きなレーザーパワーが必要となるため、吸収率を大きくするためである。また、Coを含有させることで薄膜の平滑性が大きく向上し、これにより均一な微細パターン穴を形成できるためでもある。更には、熱伝導率の低いCoを添加することで、薄膜の熱伝導率を低下させることができ、レーザー光の照射により発生した熱を効率的に微細パターン穴の形成に利用できるためでもある。
Coの含有量が30原子%未満では、レーザー光の照射によって微細パターン形成材料でなる合金層に微細パターン穴を形成すること自体ができない。一方、Coの含有量が60原子%を超えれば、レーザー光の照射によって合金層に微細パターン穴を形成する際に、溶融したInがマーク内に残さとして残るため、好ましくない。よって、本発明の微細パターン形成材料中のCoの含有量は、30〜60原子%とする。
尚、この微細パターン形成材料を用いて形成した合金層の膜厚は、5〜50nmとすることが好ましく、更にその下限は7nm、上限は30nmとすることがより好ましい。
この合金層は、膜厚分布を均一に制御しやすい点からスパッタリング法によって形成するのが良い。合金層は微細パターン形成材料で形成されているが、この合金層を形成するために用いるスパッタリングターゲットの成分組成は、微細パターン形成材料の合金組成と基本的に同一であり、先にIn合金として記載した合金組成に調整することで、所望の成分組成を容易に実現することができる。
尚、このスパッタリングターゲットは、真空溶解法などによって製造されるが、その製造に当たっては、雰囲気中の酸素、窒素などのガス成分や溶解炉成分が微量ながら不純物としてスパッタリングターゲット中に混入することがある。しかし、本発明の微細パターン形成材料やスパッタリングターゲットの成分組成は、それら不可避的に混入してくる微量成分まで規定するものではなく、本発明の特性が阻害されない限り、それら不可避的不純物の微量混入は許容することができる。
次に、本発明の微細パターン形成材料、および積層構造体、ならびにスパッタリングターゲットを用いて、ガラスでなる基板の表面側に微細パターンを形成する方法を、図1に基づいて詳細に説明する。尚、以下の説明は、ガラスでなる基板1と合金層2の間に、中間層3として有機材料でなるレジスト層3aを形成した事例に基づいて説明するが、必ずしも、基板1と合金層2の間に中間層3を設ける必要はなく、また、中間層3はレジスト層3aではなく、熱緩衝層のような層であっても良い。
まず、図1(a)に示すように、ガラスでなる基板1の表面に、中間層3として有機材料でなるレジスト層3aを形成する。次に、図1(b)に示すように、そのレジスト層3aの表面に、所望の成分組成(Coを30〜60原子%含有するIn合金)の微細パターン形成材料でなる合金層2を形成する。この合金層2は、例えば、所望の成分組成(Coを30〜60原子%含有するIn合金)のスパッタリングターゲットを用いてDCスパッタリング法によって形成する。
次に、図1(c)に示すように、合金層2の表面側からレーザー光を照射することにより数百nm周期で微細パターン穴4を形成する。合金層2にレーザー光を照射すると、レーザー光の照射を受けた部位のみが温度上昇して溶融し、膨張することにより、結果として微細パターン穴4が形成される。この方法を熱リソグラフィー法と呼び、従来の光リソグラフィー法と比べてより狭い領域に、150nm程度の極めて微細な直径の微細パターン穴4を、数百nm周期(ピッチ)で形成することができる。尚、ここで述べる周期とは、図2にaで示すような、隣り合う微細パターン穴4の中心部間の寸法のことをいう。
次に、図1(d)に示すように、RIE(反応性イオンエッチング)処理を行い、レジスト層3aに、合金層2から続く微細パターン穴4を形成する。更に、RIE処理を進めることで、図1(e)に示すように、微細パターン穴4は更に深くなり、基板1にまで到達することとなり、基板1のエッチング処理が行われる。尚、図3に示すように、RIE処理に用いるO2、BCl3、SF6等のエッチングガス(下向き矢印で示す)を適宜選択調整することにより、合金層2とレジスト層3aのエッチングレート比を調整することができる。
最後に、図1(f)に示すように、基板1からレジスト層3a並びに合金層2を剥離除去することで、基板1の表面側に、凹凸状の微細パターンを形成することができる。この微細パターンの周期および深さを制御することにより、光学素子に様々な光学的な特性を付与することができるが、本発明によると、基板1の表面側に、数百nm周期までの極めて狭い周期で微細パターンを確実に形成することができる。
また、図4に示すように、基板1をサファイヤ基板とし、その表面に凹凸状の微細パターンを形成する場合は、基板1をガラス基板とした図1に示す工程とは異なり、基板1のエッチング処理を行った図4(e)の時点で、合金層2とレジスト層3aは略消滅する。
尚、サファイヤ基板に微細パターンを形成する図4の(d)(e)及び(f)に示す工程は、ガラス基板に微細パターンを形成する図1の(d)(e)及び(f)に示す工程に夫々相当し、また、(a)(b)及び(c)の工程は図1の(a)(b)及び(c)に示す工程と同等であるので図示を省略する。また、図4のうち、(d)(e)及び(f)の左側の写真は、斜め4°の角度から縦断面を撮影した写真で、(f)の右側の写真は、斜め30°の角度から縦断面を撮影した写真である。
以下、本発明の実施例について説明する。尚、本発明はこの実施例に限定されるものではなく、本発明の趣旨に適合し得る範囲で適当に変更を加えて実施することも可能であり、それらは何れも本発明の技術範囲に含まれる。
<実施例1>
基板として2インチガラス基板(コーニング1737)を用い、その表面に、DCマグネトロンスパッタリング法によって、In−45原子%Co合金の微細パターン形成材料でなる合金層を形成した。形成した合金層の膜厚は、15nmと30nmの2種類とした。尚、この合金層の成分組成は、ICP発光分析法またはICP質量分析法で測定した。
基板として2インチガラス基板(コーニング1737)を用い、その表面に、DCマグネトロンスパッタリング法によって、In−45原子%Co合金の微細パターン形成材料でなる合金層を形成した。形成した合金層の膜厚は、15nmと30nmの2種類とした。尚、この合金層の成分組成は、ICP発光分析法またはICP質量分析法で測定した。
スパッタリングターゲットとしては、直径4インチの純Inターゲット上にCoのチップを置いた複合ターゲットを用い、スパッタ条件は、到達真空度:4×10−4Pa以下、スパッタガス圧:0.4Pa、DCスパッタパワー:100Wとした。
次に、レーザー光を照射する熱リソグラフィー法によって、合金層に微細パターン穴を形成した。熱リソグラフィーは、パルステック工業株式会社製のナノ加工装置NEO−500を用いて、ステージ回転速度:4.92m/s、ピッチ:320nm、パルス幅:20nsec固定で、記録レーザーパワー(Pw)を変化させることにより実施した。
熱リソグラフィーによって、合金層に形成された微細パターン穴の周期を、AFM(原子間顕微鏡)で測定して定量化した。測定面積は2×2μmであり、無作為に微細パターン穴の周期を10点測定して平均値を得た。
膜厚:15nmのサンプルでは、記録レーザーパワー(Pw):9.5mWで微細パターン穴の周期が109nm、Pw:10mWで微細パターン穴の周期は128nmであった。また、膜厚:30nmのサンプルでは、Pw:17mWで微細パターン穴の周期は189nm、Pw:18.5mWで微細パターン穴の周期は224nm、Pw:20mWで微細パターン穴の周期は242nmであった。
以上の結果から、In−45原子%Co合金の微細パターン形成材料でなる合金層は、レーザー光を照射することにより数百nm周期までの極めて狭い周期で微細パターン穴を確実に形成でき、ドライエッチングのマスクとしての用途が期待できることが確認できた。
<実施例2>
この実施例では、ガラス等の基板に凹凸状の微細パターンを付与することを想定し、中間層として有機材料でなるレジスト層を形成した膜構成のサンプルを作製して試験を行った。
この実施例では、ガラス等の基板に凹凸状の微細パターンを付与することを想定し、中間層として有機材料でなるレジスト層を形成した膜構成のサンプルを作製して試験を行った。
基板として2インチガラス基板(コーニング1737)を用い、その表面に、東京応化工業株式会社製の有機レジストTSMR−8900を塗布後、クリーンオーブンで80℃、30分間の処理を行い、1μmの膜厚のレジスト層を形成した。
そのレジスト層の表面に、DCマグネトロンスパッタリング法によって、In−50原子%Co合金の微細パターン形成材料でなる15nmの膜厚の合金層を形成した。尚、この反応層の成分組成は、ICP発光分析法またはICP質量分析法で測定した。
スパッタリングターゲットとしては、直径4インチの純Inターゲット上にCoのチップを置いた複合ターゲットを用い、スパッタ条件は、到達真空度:4×10−4Pa以下、スパッタガス圧:0.4Pa、DCスパッタパワー:100Wとした。
次に、レーザー光を照射する熱リソグラフィー法によって、合金層に微細パターン穴を形成した。熱リソグラフィーは、パルステック工業株式会社製のナノ加工装置NEO−500を用いて、ステージ回転速度:4.92m/s、ピッチ:320nm、パルス幅:20nsec、記録レーザーパワー(Pw):6.0mWで実施した。
この熱リソグラフィーによって、合金層に形成された微細パターン穴を無作為に10個抽出し、それら微細パターン穴の直径を、SEM(走査電子顕微鏡)で測定して平均値を得ることにより定量化した結果、微細パターン穴の直径の平均値は200nmであった。
更に、サムコ社製RIE(Reactive Ion Etching) Model RIE−200Lを用い、O2:30sccm、3.3Pa、100Wの条件で2分間のドライエッチング処理(RIE処理)を行ったところ、合金層はマスクとして残存した状態で、レジスト層を介して基板の表面に達する微細パターン穴が形成された。微細パターン穴を無作為に10個抽出し、SEM(走査電子顕微鏡)で測定して平均値を求めたところ、微細パターン穴の直径の平均値は230nm、深さの平均値は335nmであった。
In−50原子%Co合金の微細パターン形成材料でなる合金層と、有機材料でなるレジスト層をマスクとすれば、基板がガラスであれば、CF系エッチングガスを用いて、基板の表面側に凹凸状の微細パターンを確実に付与することができる。
<実施例3>
以下の実施例では、合金層の形成に用いるIn合金に添加するCoの含有量の上下限、Co以外の添加金属元素としてCoと同様に熱伝導率が低いNiを添加して合金層を形成することは可能か、合金層に代えて純In層とすることが可能かの検討を行った。
以下の実施例では、合金層の形成に用いるIn合金に添加するCoの含有量の上下限、Co以外の添加金属元素としてCoと同様に熱伝導率が低いNiを添加して合金層を形成することは可能か、合金層に代えて純In層とすることが可能かの検討を行った。
これらの実施例のサンプルの作製方法および試験方法は以下に示すように略共通である。基板として2インチガラス基板(コーニング1737)を用い、その表面に、DCマグネトロンスパッタリング法によって、膜厚が10nmの合金層を形成した。この合金層の成分組成は、ICP発光分析法で測定した。
スパッタリングターゲットとしては、直径4インチの純Inターゲットを用い、合金層をIn合金で形成する場合は、CoやNiのチップをチップオンすることで添加した。スパッタ条件は、到達真空度:4×10−4Pa以下、スパッタガス圧:0.4Pa、DCスパッタパワー:100Wとした。
次に、レーザー光を照射する熱リソグラフィー法によって、合金層に微細パターン穴を形成した。熱リソグラフィーは、パルステック工業株式会社製のナノ加工装置NEO−500を用いて、ステージ回転速度:4.92m/s、ピッチ:500nm、パルス幅:10nsec固定で、記録レーザーパワー(Pw)を変化させることにより実施した。
熱リソグラフィーによって合金層に形成された微細パターン穴を、SEM(走査電子顕微鏡)で観察することにより、確実に微細パターン穴を形成することができるかという観点から評価を行った。評価のポイントは、微細パターン穴を形成するための記録レーザーパワー(Pw)が低いこと、溶融したInが残さとして残らないことの2点である。
(1)In合金に添加するCoの含有量の上下限
まず、合金層の形成に用いるIn合金に添加するCoの含有量の上限を確認した。試験ではIn合金に添加するCoの含有量を徐々に上げた。Coの含有量が上がれば、合金層の熱伝導率が高くなる。Coの含有量が60原子%を超えたところで、熱伝導率は3W/m/Kを超える。そのため、記録レーザーパワー(Pw)が15mW以上となってようやく微細パターン穴が形成され始める。その際、マーク内には、溶融したInが直径50nm以下の小さな残さとなって残る。よって、In合金に添加するCoの含有量の上限は60原子%とする。
まず、合金層の形成に用いるIn合金に添加するCoの含有量の上限を確認した。試験ではIn合金に添加するCoの含有量を徐々に上げた。Coの含有量が上がれば、合金層の熱伝導率が高くなる。Coの含有量が60原子%を超えたところで、熱伝導率は3W/m/Kを超える。そのため、記録レーザーパワー(Pw)が15mW以上となってようやく微細パターン穴が形成され始める。その際、マーク内には、溶融したInが直径50nm以下の小さな残さとなって残る。よって、In合金に添加するCoの含有量の上限は60原子%とする。
一方、In合金に添加するCoの含有量を徐々に下げたところ、Coの含有量が30原子%未満となったところで、記録レーザーパワー(Pw)を20mWとしても微細パターン穴を形成することができなくなった。よって、In合金に添加するCoの含有量の下限は30原子%とする。
(2)In合金に添加する金属元素をNiとした場合
合金層の形成に用いるIn合金を、In−30原子%Ni合金とした。このIn合金で合金層を形成した場合、記録レーザーパワー(Pw)を20mWとしても微細パターン穴を全く形成することができなかった。In−30原子%Ni合金の熱伝導率は、2.7W/m/Kであり、In−65原子%Co合金の熱伝導率より低く、熱伝導率の観点からは微細パターン穴が形成されやすいと考えられるが、微細パターン穴が形成されないのは、表面張力、ガラスとの濡れ性、密着性の何れかが関与していると考えられる。
合金層の形成に用いるIn合金を、In−30原子%Ni合金とした。このIn合金で合金層を形成した場合、記録レーザーパワー(Pw)を20mWとしても微細パターン穴を全く形成することができなかった。In−30原子%Ni合金の熱伝導率は、2.7W/m/Kであり、In−65原子%Co合金の熱伝導率より低く、熱伝導率の観点からは微細パターン穴が形成されやすいと考えられるが、微細パターン穴が形成されないのは、表面張力、ガラスとの濡れ性、密着性の何れかが関与していると考えられる。
(3)合金層に代えて純In層とした場合
合金層に代えて純In層を形成した。記録レーザーパワー(Pw)が10mW以上となれば微細パターン穴が形成され始めるが、その際に溶融したInが、マーク内広範囲を占める残さとなって残るため、合金層に代えて純In層とすることは適当ではない。
合金層に代えて純In層を形成した。記録レーザーパワー(Pw)が10mW以上となれば微細パターン穴が形成され始めるが、その際に溶融したInが、マーク内広範囲を占める残さとなって残るため、合金層に代えて純In層とすることは適当ではない。
<参考例>
この参考例では、大きな面積の基板の表面側に凹凸状の微細パターンを付与することを想定し、熱リソグラフィーを実施する装置のステージの回転速度を高速化できるかの検討を行った。
この参考例では、大きな面積の基板の表面側に凹凸状の微細パターンを付与することを想定し、熱リソグラフィーを実施する装置のステージの回転速度を高速化できるかの検討を行った。
基板として2インチガラス基板(コーニング1737)を用い、その表面に、東京応化工業株式会社製の有機レジストTSMR−8900を塗布後、クリーンオーブンで80℃、30分間の処理を行い、1μmの膜厚のレジスト層を形成した。
そのレジスト層の表面に、DCマグネトロンスパッタリング法によって、In−50原子%Co合金の微細パターン形成材料でなる10nmの膜厚の合金層を形成した。尚、この合金層の成分組成は、ICP発光分析法またはICP質量分析法で測定した。
スパッタリングターゲットとしては、直径4インチの純Inターゲット上にCoのチップを置いた複合ターゲットを用い、スパッタ条件は、到達真空度:4×10−4Pa以下、スパッタガス圧:0.4Pa、DCスパッタパワー:100Wとした。
次に、レーザー光を照射する熱リソグラフィー法によって、合金層に微細パターン穴を形成した。熱リソグラフィーは、パルステック工業株式会社製のナノ加工装置NEO−500を用いて、ステージ回転速度:4.92m/sおよび9.84m/s、ピッチ:500nm、パルス幅:10nsecで、記録レーザーパワー(Pw)を変化させることにより実施した。
熱リソグラフィーによって、合金層に形成された微細パターン穴の直径を、SEM(走査電子顕微鏡)で測定して定量化した。微細パターン穴を無作為に10個抽出し、その直径を測定して平均値を得た。
ステージ回転速度:4.92m/sの場合では、記録レーザーパワー(Pw):8.5mWで直径は205nm、Pw:9.0mWで直径は245nmであった。また、ステージ回転速度:9.84m/sの場合では、Pw:8.5mWで直径は185nm、Pw:9.0mWで直径は250nmであった。
ステージ回転速度を上げても、得られる微細パターン穴の直径は同等で、大きな面積の基板の表面側に凹凸状の微細パターンを付与するために、ステージの回転速度を高速化することは可能であることが確認できた。
<実施例4>
この実施例では、発光ダイオード(LED:Light Emitting Diode)に用いられるサファイヤ基板に凹凸状の微細パターンを付与することを想定し、試験を実施した。このナノ周期凹凸構造を有するサファイヤ基板によって、LEDの発光取り出し効率の向上が期待できる。
この実施例では、発光ダイオード(LED:Light Emitting Diode)に用いられるサファイヤ基板に凹凸状の微細パターンを付与することを想定し、試験を実施した。このナノ周期凹凸構造を有するサファイヤ基板によって、LEDの発光取り出し効率の向上が期待できる。
基板としてサファイヤ基板(株式会社オルベ・パイオニア製、φ2インチ、厚さ0.43mm、C面、両面研磨)を用い、その表面に、東京応化工業株式会社製の有機レジストTSMR−8900を塗布後、クリーンオーブンで80℃、30分間の処理を行い、凹凸ピッチが300〜400nmの場合は0.5μmの膜厚のレジスト層を、凹凸ピッチが450〜1000nmの場合は0.7μmの膜厚のレジスト層を形成した。
そのレジスト層の表面に、DCマグネトロンスパッタリング法によって、In−50原子%Co合金の微細パターン形成材料でなる10nmの膜厚の合金層を形成した。尚、この反応層の成分組成は、ICP発光分析法またはICP質量分析法で測定した。
スパッタリングターゲットとしては、直径4インチの純Inターゲット上にCoのチップを置いた複合ターゲットを用い、スパッタ条件は、到達真空度:4×10−4Pa以下、スパッタガス圧:0.4Pa、DCスパッタパワー:100Wとした。
次に、レーザー光を照射する熱リソグラフィー法によって、合金層に微細パターン穴を形成した。熱リソグラフィーは、パルステック工業株式会社製のナノ加工装置NEO−500を用いて、ステージ回転速度:4.92m/s、ピッチ:300〜1000nm、パルス幅:10nsec固定で、記録レーザーパワー(Pw):7.5〜9mWで実施した。この時点で形成された微細パターン穴のピッチおよび直径をSEM(走査電子顕微鏡)で測定して定量化した。詳しくは、微細パターン穴を無作為に10個抽出し、そのピッチ(例えば、図2にaで示す)および直径を測定して平均値を得た。ピッチはリソグラフィー時の条件と略同一の微細パターン穴のピッチで、直径は200〜400nmであり、ナノ周期の凹凸状の微細パターンを形成することができた。
更に、サムコ社製RIE(Reactive Ion Etching) Model RIE−200Lを用い、30Pa、50Wの条件で、O2:30sccm、5分間のエッチング処理と、Ar:30sccm、5分間のエッチング処理を1サイクルとして、凹凸ピッチが300〜400nmの場合は2サイクル、凹凸ピッチが450〜1000nmの場合は3サイクルのエッチング処理を繰り返したところ、In−Co合金層がマスクとして残存した状態で、有機レジスト層に微細パターン穴が転写された。
更に、ICP(Inductively Coupled Plasma:誘導結合プラズマ)エッチング装置を用い、Ar/Cl2/BCl3=300/90/90sccm、1.86Pa、RFパワー:500W、バイアスパワー:50W、20℃の条件で、1分30秒〜3分間のエッチング処理を実施したところ、サファイヤ基板はエッチングされ、サファイヤ基板の表面には前記微細パターン穴から続く凹部が転写形成された。
最後に、硫酸過酸化水素水溶液(硫酸:過酸化水素水=3:1(体積比))に20分、70℃の温水に10分、超純水に10分、夫々順に浸漬することによって、マスク層(In−Co合金層)と有機レジスト層を剥離除去した。以上の方法で、最終的に、サファイヤ基板の表面に、直径150〜350nm、深さ100〜300nm、凹凸ピッチ300〜1000mmの微細パターン穴を確実に付与することができた。尚、これらの数値は、SEM(走査電子顕微鏡)で定量化し、無作為に10個抽出して求めた平均値である。直径は微細パターン穴の底面部で測定した。
1…基板
2…合金層
3…中間層
3a…レジスト層
4…微細パターン穴
2…合金層
3…中間層
3a…レジスト層
4…微細パターン穴
Claims (5)
- 基板の表面側に設けられ、レーザー光の照射によって溶融することで穴が形成される微細パターン形成材料であって、
Coを30〜60原子%含有するIn合金からなることを特徴とする微細パターン形成材料。 - 基板と、前記基板の表面側に形成された合金層を含む積層構造体であって、
前記合金層は、レーザー光の照射によって溶融することで穴が形成される微細パターン形成材料で構成され、
前記微細パターン形成材料は、Coを30〜60原子%含有するIn合金からなることを特徴とする積層構造体。 - 前記基板と合金層の間には、中間層が形成されていることを特徴とする請求項2記載の積層構造体。
- 前記中間層は、レジスト層であることを特徴とする請求項3記載の積層構造体。
- 請求項1に記載の微細パターン形成材料でなる合金層を形成するためのスパッタリングターゲットであって、
Coを30〜60原子%含有するIn合金からなることを特徴とするスパッタリングターゲット。
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Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
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JP2012013396A (ja) * | 2010-07-05 | 2012-01-19 | Toshiba Corp | 伝熱部材の製造方法および伝熱部材 |
JP2013033291A (ja) * | 2008-10-14 | 2013-02-14 | Asahi Kasei Corp | 熱反応型レジスト材料、それを用いた熱リソグラフィ用積層体及びそれらを用いたモールドの製造方法 |
JP2020117418A (ja) * | 2019-01-24 | 2020-08-06 | 日亜化学工業株式会社 | 光学部材の製造方法 |
-
2009
- 2009-07-14 JP JP2009165716A patent/JP2010059538A/ja active Pending
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