JP2010056761A - 無線通信装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】無線通信装置間の周波数誤差を容易にしかも適切に補正することができる無線通信装置及び無線通信方法を提供する。
【解決手段】無線信号を受信する度に該無線信号の周波数を補正し、その際に用いた周波数補正値を第1の記憶手段に記憶する。受信された無線信号のうち、送信信号の宛先として用いるアドレスを含む無線信号について、その周波数を補正する際に用いた周波数補正値を第2の記憶手段に記憶し、前記第2の記憶手段に記憶された周波数補正値を用いて、前記アドレスを宛先とする送信信号の周波数を補正し、周波数の補正された前記送信信号を送信する。
【選択図】 図1

Description

本発明は、無線通信技術に関し、特に周波数補正技術に関する。
MU-MIMO (Multi User − Multi Input Multi Output)、SDMA(Space Division Multiple Access)、OFDMA(Orthogonal Frequency Division Multiple Access)のための周波数同期方式に関して特許文献1が知られている。特許文献1は、MIMO向けの周波数同期技術が記載されている。すなわち、特許文献1に記載されている無線通信装置は、複数のアンテナからの複数の受信信号に対して、それぞれ搬送波を乗算して検波処理を行う複数の乗算器と、各乗算器からの信号に基づいて周波数誤差を推定する周波数誤差推定部とを含み、周波数誤差推定値に基づいて、複数の乗算器からの出力信号に対して周波数誤差補正する。しかし、開示されている技術は、基地局と端末間で、事前にVCOの周波数を合わせるなど、基本的な周波数同期をとっていることを前提とし、フェージング等で発生する若干の周波数誤差を補正することを目的としている。
しかし、無線LANのようにCSMAをベースとする無線通信システムを構成する各無線通信装置では、同じネットワークに所属する他の無線通信装置のみなならず他のネットワークに所属する無線通信装置が送信した無線信号を全て受信する必要がある。そのため、各無線通信装置は、自身のVCOを基準として無線信号を送信し、受信側が、パケット受信毎に粗同期・微同期を行い、周波数誤差を補正する方式が採用されている。そのため、従来技術を用いて、このようなCSMAシステムのアップリンクでMU-MIMO、SDMA、OFDMAを行うと、各無線通信装置が送信した無線信号の周波数誤差が大きくて、互いに干渉になってしまう可能性が高い。
特開2003−283359号公報
このように従来は、無線通信装置間の周波数誤差が大きい場合にこの周波数誤差を補正することができないという問題点があった。
また、複数の無線通信装置間の周波数誤差が大きいと、これら複数の無線通信装置間で、空間多重(MU-MIMO、SDMAなど)通信や、直交周波数分割多元接続(OFDMA)通信ができないという問題点もある。
そこで、上記問題点に鑑み、本発明は、無線通信装置間の周波数誤差を容易にしかも適切に補正することができる無線通信装置及び無線通信方法を提供することを目的とする。
本発明の無線通信装置は、
無線信号を受信する受信手段と、
前記受信手段で無線信号を受信する度に、当該無線信号の周波数を補正する受信周波数補正手段と、
送信信号の周波数を補正する際に用いる周波数補正値を記憶する記憶手段(第2の記憶部)と、
前記受信手段で受信された無線信号のうち、前記送信信号の宛先として用いるアドレスを含む無線信号について、その周波数を補正する際に用いた周波数補正値を前記記憶手段に記憶する制御手段(記憶制御部)と、
前記記憶手段に記憶された周波数補正値を用いて、前記アドレスを宛先とする前記送信信号の周波数を補正する送信周波数補正手段と、
前記送信周波数補正手段で周波数の補正された前記送信信号を送信する送信手段と、
を含む。
無線通信装置間の周波数誤差を容易にしかも適切に補正することができる。
以下、本発明の実施形態について図面を参照して説明する。
(第1の実施形態)
図1は、第1の実施形態に係る無線通信装置(送受信機)の構成を示すブロック図である。図1の無線通信装置は、アンテナ1、高周波回路部2、A/D変換器3、受信周波数調整部4、復調部5、受信信号解析部6、周波数補正値記憶部7、送信信号処理部8、変調部9、送信周波数調整部10、D/A変換器11、及び高周波回路部12を含む。
アンテナ1は、電波を受信したり、送信するための素子であり、図1では、1本のアンテナで送信と受信を共用しているが、送信用と受信用を分けてもよい。また、図2に示すようにMIMOを実現するために複数のアンテナ(図2では、例えば2本)を有することもできる。以下では1本のアンテナを送受信で共用する場合の例を示す。
高周波回路部2は、フィルタ、アンプ、周波数変換器、直交復調器などを含み、局部発振器13の出力信号(周波数信号)を用いて、アンテナ1で受信した信号の周波数を搬送波帯からベースバンド帯域までダウンコンバートしてベースバンド信号を生成する。
A/D変換器3は、高周波回路部2から出力されたアナログ信号をデジタル信号に変換する。受信周波数調整部4は、A/D変換器3から出力された信号の周波数誤差を検出する。周波数誤差の検出は、例えば、受信信号のフレームの先頭付近にあるプリアンブルやヘッダ、あるいは受信フレーム内に含まれるパイロット信号を用い、これらの既知情報等の位相の変化を追跡することで行う。また、OFDMシステムでは、信号の一部をコピーして付加したガードインターバル部との相関によっても周波数誤差を検出することができる。そして、検出した周波数誤差値に基づいて、周波数補正値を決定し、周波数補正を行う。
本実施形態に係る無線通信装置は、受信信号の周波数誤差を補正する際に用いた周波数補正値を、周波数補正値記憶部7にある第1の記憶部701で一時的に保持しておく。第1の記憶部701は、フレームを受信する度に、そのフレーム受信に用いた周波数補正値が記憶される。例えば、第1の記憶部701に記憶できる周波数補正値の数が1つであれば、新たに得られた周波数補正値で既に第1の記憶部701に記憶されている周波数補正値が上書きされる。また、第1の記憶部701に記憶できる周波数補正値の数が複数である場合、第1の記憶部701に記憶されている周波数補正値の数がその上限に達すると最初に記憶された値(古い値)から順次消されて、そこに新たな周波数補正値が記憶される。
復調部5は、周波数補正された信号の復調・復号処理を行う。
受信信号解析部6では、復調・復号された信号を解析して、例えば、当該受信フレームのフレーム種別、宛先アドレス、送信元アドレスを取得し、当該受信フレームのCRCチェックなどを行う。そして、当該受信フレーム中のデータを所望のデータフォーマットに変換して、受信データとして上位層に渡す。
本実施形態に係る受信信号解析部6は記憶制御部601をさらに含む。記憶制御部601は、当該受信フレームに含まれるアドレスやフレームの種別などを基に、当該受信フレームを受信する際に用いた周波数補正値(第1の記憶部701で記憶している周波数補正値)を、第2の記憶部702に記憶すべきか否かを判断する。記憶することを選択した場合には、周波数補正値記憶部7の第1の記憶部701で一時的に記憶していた周波数補正値が、第2の記憶部702に記憶される。なお、記憶制御部601における制御方法は後述する。
送信信号処理部8は、上位層から受け取った送信データから、所定のフレームを生成する。また、送信データによっては、送信時に周波数誤差の補正が必要になるため、送信信号処理部8にある補正制御部801は、周波数誤差の補正をするか否かを判断する。補正制御部801で補正が必要と判断した場合は、第2の記憶部702に記憶した周波数補正値を用いて、送信信号の周波数補正を行う。
変調部9は、送信信号処理部8で生成された信号の変調・符号化処理を行う。
補正制御部801で補正が必要と決定された場合、送信周波数調整部10は、変調部9で変調・符号化処理された信号に対し、第2の記憶部702で記憶された周波数補正値を用いて周波数補正を行う。
D/A変換器11は、送信周波数変調部10から出力されたデジタル信号をアナログ信号に変換する。
高周波回路部12は、フィルタ、アンプ、周波数変換器、直交変調器などを含み、局部発振器13の出力信号を用いて、ベースバンド帯域の(D/A変換器11から出力された)信号を搬送波周波数までアップコンバートしてアンテナ1で送信する信号を生成する。
高周波回路部12で生成された信号は、アンテナ1を介して、無線信号として送信される。
このような構成により、本実施形態に係る無線通信装置は、受信したパケットに応じて周波数補正値を保持し、補正が必要な送信信号に、適切な周波数補正をして送信することが可能になる。そのため、SDMA、MultiUser-MIMO、OFDMAなどを用いて多重伝送された無線信号の周波数誤差を所定の範囲内に抑えることが可能となり、その結果、受信局は、多重伝送された無線信号を正しく受信することが可能となる。
また、本実施形態に係る無線通信装置は、無線基地局に周波数を合わせるシステムにおいても適用可能である。すなわち、当該無線基地局に所属する無線局として本実施形態に係る無線通信装置を用いる。このとき、当該無線局は、自局が所属している無線基地局とは異なる他の無線基地局に対して無線信号を送信することがある場合、自局の無線基地局に送信するときと、他の無線基地局に対して無線信号を送信するときとで、送信周波数を適切に補正することが可能となる。
図4に、図1または図2に示したような構成を有する無線局STA1〜STA3と、無線基地局APとの間で送受信する際の通信シーケンスの例を示す。
ステップS1において、無線基地局APが送信したPollフレームを無線局STA1〜STA3が受信する。
ここで、図10を参照して、無線局STA1〜STA3が無線基地局APから送信された信号を受信したときの処理動作を説明する。なお、図10は、図1または図2に示したような構成を有する無線通信装置(ここでは無線局STA1〜STA3)が無線基地局APから送信された信号を受信したときの本実施形態に係る要部の処理動作を説明するためのフローチャートである。
ステップS101で各無線局のアンテナ1で受信されたPollフレームの信号は、高周波回路部2、A/D変換部3を経由して、受信周波数調整部4に入力される。受信周波数調整部4は、A/D変換器3から出力された信号の周波数誤差を検出し、検出した周波数誤差値に基づいて、当該受信信号に対する周波数補正値を決定し、周波数補正を行う(ステップS102)。受信周波数調整部4は、受信信号の周波数補正に用いた周波数補正値を第1の記憶部701に記憶する(ステップS103)。周波数補正後の受信信号は復調部5で復調・復号され、その後、受信信号解析部6で復調・復号後の信号のフレームの種別、宛先アドレス、送信元アドレスなどを求める。さらに、記憶制御部601は、得られた送信元アドレスなどを基に、(当該フレームの受信処理に用いた)ステップS103で第1の記憶部701に記憶された周波数補正値を第2の記憶部702に記憶するか否かを決定する(ステップS104)。
例えば、得られた送信元アドレスが無線基地局APのアドレス(無線局から送信するフレームの宛先アドレス)と一致する場合、または受信フレームが無線基地局APからの多重伝送を許可するフレームである場合、ステップS103で第1の記憶部701に記憶されている当該フレームを受信したときに用いた周波数補正値を選択し、ステップS105において、当該選択した周波数補正値を第2の記憶部702に記憶させる。
図4の説明に戻り、このようにしてPollフレームの受信処理に用いた周波数補正値が第2の記憶部702に記憶されると、その後、ステップS2〜ステップS4において、無線基地局APが各無線局(STA1〜STA3)が送信する信号を受信するための受信ビームを形成できるように、各無線局は、無線基地局APに対してサウンディングフレームを送信する。この時、サウンディングフレームの宛先アドレスは無線基地局APになっており、また、送信元アドレスも無線局(STA1〜STA3)である。従って、各無線局では、他の無線局が送信したサウンディングフレームを受信したとき、各無線局の記憶制御部601は、その受信処理に用いた周波数補正値を(第1の記憶部701に記憶しても)第2の記憶部702に記憶しない。すなわち、図10のステップS104から信号受信待ち状態に戻る。
ステップS5において、各無線局が無線基地局APに対してDataフレームを送信する際、補正制御部801からの送信周波数の補正指示を受けて、送信周波数調整部10で、第2の記憶部702に記憶されている周波数補正値を用いて送信周波数を補正する。Dataフレームは、補正後の周波数で送信される。
なお、無線局STA1〜STA3がサウンディングフレームを送信しない場合には、図5に示すように、ステップS2〜ステップS4をスキップすればよい。
次に、第1の記憶部701に一時的に記憶した周波数補正値を、第2の記憶部702に記憶するか否かの判断、すなわち、記憶制御部601の処理動作について説明する。第2の記憶部702で記憶すべき周波数補正値は、送信信号の周波数補正をする際に利用される。第1の記憶部701及び第2の記憶部702に記憶する周波数補正値の数は、1個であっても良いし、複数であっても良い。複数である場合は、無線局(受信信号の送信元)の識別子(たとえば、MACアドレス)とセットで記憶する。そのため、自局が送信する無線信号の宛先アドレスを、送信元アドレスとするような無線信号を受信した場合には、その受信処理に用いた周波数補正値は一時第1の記憶部701に記憶されるが、記憶制御部601により第2の記憶部702に移され、第2の記憶部702で記憶する。
たとえば、無線局STA1〜STA3が、無線基地局に対してSDMA、MU-MIMO、OFDMAで多重した無線信号を送信する場合には、各無線局が多重送信するデータの宛先アドレスが無線基地局のアドレスになる。従って、各無線局が受信した信号の送信元アドレスが、無線基地局のアドレスに一致した場合、記憶制御部601は、その無線信号の受信処理に用いた周波数補正値を、第2の記憶部702に記憶すると決定する。
同様に、無線局STA1〜STA2が、無線局STA3に対して、SDMA,MU-MIMO,OFDMAで多重した無線信号を送信する場合には、無線局STA1〜STA2が送信するデータの宛先アドレスは無線局STA3のアドレスになる。従って、無線局STA1〜STA2が受信した信号の送信元アドレスが、無線局STA3のアドレスに一致した場合、記憶制御部601は、その無線信号の受信処理に用いた周波数補正値を、第2の記憶部702に記憶すると決定する。
また、無線基地局間で通信するシステムでは、一方の無線基地局が他方の無線基地局のアドレスを送信元アドレスとする無線信号を受信した場合には、当該一方の無線基地局の記憶制御部601は、当該受信した無線信号の受信処理に用いた周波数補正値を、第2の記憶部702に記憶すると決定する。
このように記憶制御部601は、受信した信号のアドレスと、自局が送信しようとしている信号のアドレスとを比較して、(第1の記憶部701に記憶されている)周波数補正値を第2の記憶部702に記憶するか否かの判断を行う。
第2の記憶部702に周波数補正値を記憶した後、実際に、周波数補正した信号を送信するまでの間に、他の無線局が送信した無線信号を受信し、その無線信号の受信処理のために周波数誤差を補正したとしても、その補正値は、第1の記憶部701にしか記憶されない。従って、送信に用いる所望の周波数補正値は、第2の記憶部702に保持し続けることができる。
従来の無線局には、上述したような第2の記憶部702はもとより、この第2の記憶部702に周波数補正値を記憶するか否かを判断する記憶制御部601がなかった。そのため、無線信号を受信する度に、周波数補正値が上書きされてしまい、所望の送信信号に、必要な適切な周波数補正処理をすることができなかった。しかし、上記実施形態によれば、このような問題を解決することができ、周波数補正が必要な送信信号に対して適切な周波数補正をすることが可能となった。
次に、第2の記憶部702に記憶した周波数補正値を用いて、送信信号の周波数を補正するか否かの判断方法、すなわち、補正制御部801の処理動作について説明する。
送信信号処理部8に含まれている補正制御部801は、送信信号の宛先アドレスをチェックし、それが周波数補正対象のアドレスであるときは、第2の記憶部702に記憶されている周波数補正値を用いて補正すると判断する。補正対象のアドレスが1つであるならば、第2の記憶部702は、周波数補正値のみを記憶していればよい。補正対象のアドレスが複数あるならば、第2の記憶部702は、送信先のアドレスと周波数補正値とを1組として記憶する。そして、補正制御部801は、第2の記憶部702に記憶されている周波数補正値のうち、送信信号の宛先アドレスに対応する周波数補正値を選択し、選択された周波数補正値を送信周波数調整部10へ出力する。送信周波数調整部10はこの出力された周波数補正値を受け取り、送信周波数を補正する。
ここで、周波数補正対象とするアドレスの決定方法の具体例について説明する。
例えば、無線基地局や、無線基地局と類似の機能を有したマスター局が、各無線局(無線端末)に対して、SDMA、MU-MIMO、OFDMA等の多重伝送を許可するシステムでは、無線基地局やマスター局が送信する多重伝送を許可するフレームには、多重伝送の宛先アドレスが記載されている。無線局の受信信号解析部6で、この多重伝送を許可するフレームを受信・取得すると、記憶制御部601は、当該フレームの宛先アドレスを、周波数補正対象のアドレスと決定する。
多重伝送の宛先アドレスが、多重伝送を許可するフレームを送信した無線局であると予め定められている場合には、多重伝送を許可するフレームの送信元アドレスが、周波数補正対象のアドレスとなる。この場合、無線局の受信信号解析部6で、この多重伝送を許可するフレームを受信・取得すると、記憶制御部601は、当該フレームの送信元アドレスを、周波数補正対象のアドレスと決定する。
無線局が常に自局が所属している無線基地局に周波数同期する場合、記憶制御部601は、自局が所属する無線基地局のアドレスを周波数補正対象のアドレスと決定する。そして、自局が所属する無線基地局から送信された無線信号の受信処理に用いた周波数補正値は第2の記憶部702で記憶する。一方、当該無線基地局以外の局から送信された無線信号を受信したときには、その受信処理に用いた周波数補正値は第1の記憶部701で保持し、第2の記憶部702には記憶しない。そして、自局の所属する無線基地局宛てに送信する無線信号には、第2の記憶部702で記憶した周波数補正値を用いて周波数補正を行って送信する。自局が所属する無線基地局以外の局に送信する場合は、自局が所属する無線基地局宛てに送信する信号と同じ値で周波数補正しても良い場合もあるし、そうしない方が良い場合もある。これはシステムに依存する。従って、ここでは、どちらの場合にも対応できる構成例を開示し、具体的なアルゴリズムについては限定しない。
(第2の実施形態)
多重伝送する/しないに関わらず、本発明は、IEEE802.11e無線LANで規格化されているTXOP(Transmission Opportunity)伝送において、TXOPを獲得した際に、TXOPのアクセス権を与えた無線局に周波数同期する方法にも利用することができる。
本実施形態に係る無線局の構成は、図1または図2と同様である。
無線局は、無線基地局にTXOP伝送を用いてバースト的な通信をしたい場合に、無線基地局宛てに送信要求フレーム(たとえばRTSフレーム)を送信する。このRTSフレームには、TXOP期間が記載されている。そして、無線基地局から送信応答フレーム(たとえばCTSフレーム)を受信した時に、当該無線局は、CTSフレームの受信処理に用いた周波数補正値を第2の記憶部702で記憶する。また、当該無線局はCTSフレームを受信したことにより、CTSフレームに記載されたTXOP期間だけ、送信権が与えられたと判断する。そして、与えられたTXOP期間に送信される無線基地局宛てのフレームは、全て第2の記憶部702で記憶した周波数補正値を用いて送信周波数を補正してから送信する。
なお、TXOP期間中に、TXOPの送信権を与えた無線基地局が送信したフレームを受信した場合には、そのフレーム受信に用いた周波数補正値を用いて第2の記憶部702で既に記憶した周波数補正値を更新しても良い。
ここではRTSフレームの宛先アドレスを無線基地局としたが、無線基地局に関わらず、自局以外の他の無線局であってもかまわない。たとえば、IEEE802.11におけるダイレクトリンク伝送でTXOP伝送を行ってもよい。
ここで、第2の記憶部702で1つの周波数補正値しか記憶できない場合を例にとり説明する。本実施形態に係る第1の無線局が第2の無線局から与えられたTXOP期間に、第1の無線局が、第1の無線局に対し送信権を与えた第2の無線局(CTSフレームを送信した無線局)以外の無線局が送信したフレームを受信し、しかも、その送信元アドレスは、第1の無線局が後ほど送信したい無線局のアドレスであったとする。
より具体的には、図6に示すように、第1の無線局STA1が、第2の無線局STA2に対してRTSフレームを送信し(ステップS11)、第2の無線局から送信されたCTSフレームを受信する。このとき、第1の無線局STA1の記憶制御部601は、CTSフレームの受信処理に用いた、第1の記憶部701に一時記憶されている第1の周波数補正値を第2の記憶部702に記憶すると決定する(ステップS12)。その後、第2の無線局STA2から与えられたTXOP期間に、第1の無線局STA1は、第2の記憶部702に記憶された第1の周波数補正値を用いて周波数補正を行って、第2の無線局STA2へフレームを送信する(ステップS13)。このTXOP伝送を行っている最中に、第1の無線局STA1が、その所属する無線基地局APから送信されたフレームを受信したとする(ステップS14)。
第1の無線局STA1は、第2の無線局STA2から与えられたTXOP期間内に、第1の無線局STA1が所属する無線基地局APを送信元アドレスとするフレームを受信しても、ステップS14において、第1の無線局STA1は、そのフレームの受信処理に用いた(第1の記憶部701に記憶されている)第2の周波数補正値を第2の記憶部702に記憶しない。従って、その後も、第1の無線局STA1は、当該TXOP期間中に第2の無線局STA2に対して無線信号を送信する際には、第2の記憶部702で既に記憶されている第1の周波数補正値を用いて周波数補正した無線信号を送信する(ステップS15)。これにより、TXOP期間中に、TXOPを許可した無線局以外が送信したフレームを受信し、かつ、第2の記憶部702で記憶できる周波数補正値の数が1つのみの場合でも、当該TXOP期間中に送信される無線信号は、送信先の無線局に対応した適切な周波数補正値を用いて補正することができる。
当該TXOP期間が終了すると、第1の無線局STA1の記憶制御部601は、ステップS14で無線基地局APから送信されたフレームを受信する際に用いた、第1の記憶部701に記憶されている第2の周波数補正値を第2の記憶部702に記憶すると決定する。または、当該TXOP期間が終了後に、再び無線基地局APから送信されたフレームを受信したときに用いた(第1の記憶部701に記憶されている)第2の周波数補正値を第2の記憶部702に記憶すると決定する。この結果、第2の記憶部702には、第2の周波数補正値が記憶される(ステップS16)。その後、第1の無線局STA1は、この第2の記憶部702に記憶された第2の周波数補正値を用いて送信周波数の補正を行い、無線基地局APに対しフレームを送信する(ステップS17)。

(第3の実施形態)
多重伝送以外の伝送方式の場合には、無線局は、その所属している無線基地局以外の無線基地局のアドレスを周波数補正の対象とすることがある。また、メッシュ型システムの場合には、無線基地局は、自局以外の他の無線基地局のアドレスを周波数補正の対象とすることがある。
ここで、無線局及び無線基地局の構成は、図1または図2と同様である。
前者の場合、無線局(の記憶制御部601)は、その所属している無線基地局から送信された無線信号を受信した際に用いた周波数補正値だけでなく、他の無線基地局が送信した無線信号を受信した際に用いた周波数補正値も、各無線基地局のアドレスに対応付けて第2の記憶部702に記憶しておく。そして、当該他の無線基地局宛てに無線信号を送信する際には、補正制御部801は、第2の記憶部702に記憶されている周波数補正値の中から、当該他の無線基地局のアドレスに対応する周波数補正値を選択して、その周波数補正値を用いて周波数補正を行って送信する。
後者の場合、無線基地局に所属している各無線端末(無線局)は、当該無線基地局の周波数に合わせた周波数補正値を保持していることがある。従って、当該無線基地局が他の無線基地局宛てに周波数補正した無線信号を送信した後は、その周波数補正を行う前の値に戻すこととする。つまり、当該無線基地局は、自局のネットワーク内の自局に所属する無線局に送信するときと、他の無線基地局に送信するときとで、適用する周波数補正値を適宜選択して通信する。
受信したフレームの送信元が他の無線基地局であるか否かは、無線基地局に予め与えられているネットワーク識別子等を用いて判断する。また、フレーム中に、無線基地局から無線局に伝送されるフレームであることを識別する情報が挿入されるプロトコルであれば、明示的なネットワーク識別子は無くてもよい。この場合は、このフレームの送信元アドレスが他の無線基地局を識別するためのネットワーク識別子であると解釈できる。これにより他の無線基地局に周波数同期した無線信号を送信することが可能となる。
無線基地局が、他の無線基地局に対応する周波数補正値を用いてフレームを送信した後に、当該無線基地局の送信において、キャリブレーション等で周波数補正を行っていない場合には、周波数補正値を「0」にすれば、元の送信周波数に戻すことができる。一方、周波数補正を行っていた場合には、当該無線基地局が使っていた元の周波数補正値が第2の記憶部702に記憶されていればよい。以降、この元の周波数補正値を用いて、自局に所属している無線局に送信する際に周波数補正を行えば、もとの送信周波数に戻すこともできる。
このようにして、複数の無線基地局と各無線基地局に所属する無線端末とからなるシステムにおいて、全ての無線基地局間で周波数同期していなくても、無線基地局間通信と端末局との間の通信を両立することができる。
(第4の実施形態)
図1または図2に示した構成を有する無線基地局は、当該無線基地局の通信エリア内に存在する各無線局から送信された信号を受信した際には、その受信処理に用いた周波数補正値を、各無線局のアドレスとともに第2の記憶部702に記憶しておく。当該無線基地局は、各無線局に対して無線信号を送信する際に、第2の記憶部702に記憶されている当該無線局に対応する周波数補正値を用いて周波数補正を行って送信する。この結果、通信環境が劣悪である場合や、無線局の周波数補正能力が低い場合であっても、無線基地局側で適切な周波数補正が可能であるため、通信品質を向上させることも可能となる。
(第5の実施形態)
前述の第1乃至第4の実施形態では、送信周波数調整部10において、デジタル的に送信信号の周波数補正処理を行っていた。しかし、この場合に限らず、周波数補正値が、予め定めたスレッショルド以上である場合には、図3に示すような構成であってよい。なお、図3において図1と同一部分には同一符号を付し、異なる部分について説明する。すなわち、図3の無線通信装置の構成では、補正制御部801は、第2の記憶部702に記憶されている周波数補正値を用いて、局部発振器13の発振周波数を制御するとともに、送信周波数調整部10での周波数補正量を制御し、局部発振器13と送信周波数調整部10の双方を用いて、送信信号の周波数補正をする。
第2の記憶部702に複数の周波数補正値を記憶する場合、そのうちのどの周波数補正値を用いて周波数補正を行っても、送信周波数調整部10を調整するだけですむように、予め局部発振器13の発振周波数を補正しておく。このようにすることで、局部発振器13の発振周波数の制御をリアルタイムに行うことは困難な場合にも容易に対処可能である。
すなわち、第1の無線局に対する送信信号の周波数を補正するために局部発振器13の発振周波数の制御を行った結果、第2の無線局に対する送信信号の周波数補正量が変化し、第2の無線局に対する送信信号の周波数を補正するために、局部発振器13の発振周波数の制御が必要になるならば、最初から局部発振器13の発振周波数を、第1の無線局と第1の無線局との双方に都合のよい値に補正しておき、残りの補正量を送信周波数調整部10にて調整するようにする。
例えば、送信周波数調整部10での周波数補正量のスレッショルドが150KHzであり、第1の無線局と第2の無線局に対して、それぞれ+200KHz,+100KHzの周波数補正が必要であるとする。このような場合、局部発振器13の発振周波数を+200KHz補正し、送信周波数調整部10は、第1の無線局に対して0KHz補正し、第2の無線局に対して−100KHz補正する。または、局部発振器13の発振周波数を+150KHz補正し、送信周波数調整部10は、第1の無線局に対して+50KHz補正し、第2の無線局に対して−50KHz補正する。
このように局部発振器13の発振周波数を補正することで、第1の無線局、第2の無線局が送信した信号を受信した際に、受信周波数調整部4における周波数補正量も低減することができる。
より具体的には、局部発振器13の補正を行わなかった場合は、受信周波数調整部4において200KHzの周波数補正が必要であったが、局部発振器13を+200KHzまたは+150KHz補正することにより、受信周波数調整部4における周波数補正量は100KHz,±50KHzにすることができる。
その結果、受信周波数調整部4の処理をより簡易にできる。または周波数誤差補正可能な範囲を広くすることができる。
リアルタイムに局部発振器13の補正が可能な場合、第2の無線局に対して送信するときには、局部発振器13の発振周波数は補正せずに、送信周波数調整部10にて、100KHzの補正を行う。一方、第1の無線局に対して送信するときには、必要な補正量200KHzが、送信周波数調整部10のスレッショルド150KHzを超えているので、局部発振器13の発振周波数を150KHz補正し、送信周波数調整部10にて残りの50KHzの補正を行う。これにより、送信周波数調整部10で必要とされる補正値を小さくできるため、送信周波数調整10の処理を簡易にすることができる。なお、送信用と受信用で共通の局部発振器を用いている場合には、送信時に局部発振器を補正した後は、元の値に戻す。
なお、図3に示した構成の無線局及び無線基地局についても前述の第1〜第5の実施形態が適用可能である。
(第6の実施形態)
次に、各送信側無線通信装置が第2の記憶部702に記憶している、受信側無線通信装置に対する周波数補正量を、当該受信側無線通信装置から送られてきたフィードバック補正値に基づいて調整する場合について説明する。ここでは、少なくとも送信側無線通信装置が、図1乃至図3のうちのいずれか1つの構成である。さらに受信側無線通信装置も図1乃至図3のうちのいずれか1つの構成である場合も適用可能である。
複数の無線局が、無線基地局に対してSDMA、MU-MIMO、OFDMA等で多重アクセスする場合は、各無線局(送信側無線通信装置)は無線基地局(受信側無線通信装置)に対し、これまで述べた方法を用いて周波数補正した無線信号を送信する。そして、多重アクセスするにはさらなる周波数補正が必要な場合に、無線基地局は、各無線局に対しさらなる周波数補正値をフィードバックする。この周波数補正値をフィードバックするために無線基地局から送信される無線信号は、周波数補正値をフィードバックしていることを示す識別子等が付加されている。もしくは、無線局が、受信したフレームを解析することで、周波数補正値がフィードバックされていることを判断する。
無線基地局からフィードバックされた周波数補正値(フィードバック補正値)を含むフレームを受信した無線局は、このフレームを受信するために用いた周波数補正値を第2の記憶部702に記憶せずに、すでに第2の記憶部702に記憶されている当該無線基地局に対する周波数補正値をフィードバック補正値を用いて修正する。
以下、図7を参照して具合的に説明する。図7は、無線基地局APから送信されたフィードバック補正値を用いて、各無線局STA1〜STA3が当該無線基地局APに対する周波数補正値を修正する場合の無線基地局と複数(ここでは3つ)の無線局との間の通信シーケンスを示している。
また、図11に、無線局STA1〜STA3が無線基地局APから送信された信号を受信したときの処理動作を示す。なお、図11において、図10と同一部分には同一符号を付している。
図7のステップS21において、各無線局STA1〜STA3は、無線基地局APが送信したアクセス許可信号を受信すると、その受信処理に用いた(第1の記憶部701に記憶されている)周波数補正値を第2の記憶部702に記憶する(図11のステップS101〜ステップS105)。
次に、各無線局STA1〜STA3は無線基地局APに対して、第2の記憶部702に記憶した周波数補正値を用いて送信周波数を補正してRTSフレームを送信する。
例えば、ステップS22において、無線局STA1が無線基地局APに対して、第2の記憶部702に記憶した周波数補正値を用いて送信周波数を補正してRTSフレーム(RTS1)を送信する。無線基地局APは、当該RTSフレームを受信すると、その受信処理に用いた周波数補正値に基づいて、無線局STA1がRTSフレームを送信する際に用いた周波数補正値に対して、さらなる補正が必要であるか否かを判断する。そして、無線局STA1がRTSフレームを送信する際に用いた周波数補正値に対し補正が必要であると判断した場合には、当該周波数補正値を補正するためのフィードバック補正値を決定する。例えば、無線基地局APは、無線局STA1からの当該RTSフレームの受信処理に用いた周波数補正値をフィードバック補正値として決定する。
ステップS23において、無線基地局APは、決定されたフィードバック補正値と、当該フィードバック補正値に関する情報(識別子など)とをCTSフレームに付加し、当該フィードバック補正値を含むCTSフレーム(CTS1)を無線局STA1へ送信する。
ステップS24において、無線局STA1はCTSフレーム(CTS1)が受信される(図11のステップS101〜103)。受信信号解析部6の記憶制御部601は、このCTSフレームに付加されている情報等から、当該CTSフレームにフィードバック補正値が含まれていると判断したとき(図11のステップS104、ステップS106)、当該CTSフレームの受信処理に用いた(現在第1の記憶部701に記憶されている)周波数補正値を選択しない。すなわち、当該周波数補正値を第2の記憶部702に記憶しないが、当該CTSフレームに含まれているフィードバック補正値を用いて、第2の記憶部702に記憶されている周波数補正値を修正する(図11のステップS107)。
そして、ステップS41において、無線局STA1は無線基地局に対してデータ送信する場合には、(送信周波数調整部10、または、送信周波数調整部10及び局部発振器13において)第2の記憶部702に記憶されている、フィードバック補正値で修正された周波数補正値を用いて送信周波数を補正する。
無線局STA2が無線基地局APに対してRTSフレーム(RTS2)を送信する場合(ステップS25〜ステップS27、ステップS42)、無線局STA3が無線基地局APに対してRTSフレーム(RTS3)を送信する場合(ステップS28〜ステップS30、ステップS43)も、上述した無線局STA1が無線基地局APに対してRTSフレーム(RTS1)を送信する場合(ステップS22〜ステップS24、ステップS41)と同様である。
以上説明したように、上記実施形態では、無線局(送信側無線通信装置)からの信号を受信した無線基地局(受信側無線通信装置)が、当該信号を受信した際に用いた周波数補正値に基づくフィードバック補正値を当該信号の送信元の無線局へ送信する。当該無線局では、受け取った当該フィードバック補正値を用いて無線基地局に対する周波数補正値を修正することができる。従って、各無線局における、無線基地局に対する周波数誤差、すなわち、周波数補正値をより小さく抑えることができる。
(第7の実施形態)
第6の実施形態では、送信側無線通信装置がCTSフレームを受信したとき(図7のステップS24、ステップS27、ステップS30)、記憶制御部601は、当該フレームの受信処理に用いた(第1の記憶部701に記憶されている)周波数補正値を選択するか否か(すなわち、当該CTSフレームの受信処理に用いた周波数補正値を第2の記憶部702に記憶するか否か)を決定するために、受信したCTSフレームにフィードバック補正値が含まれているか否かを調べていた。そして、受信したCTSフレームにフィードバック補正値が含まれている場合には、周波数補正値を第2の記憶部702に記憶せずに、第2の記憶部702に記憶されている周波数補正値を該フィードバック補正値で修正する。
送信側無線通信装置が、図7のステップS24、ステップS27、ステップS30において、より簡単に、当該フレームの受信処理に用いた周波数補正値を選択しない(すなわち、第2の記憶部702に記憶しない)と決定できるようにするために、例えば、フレーム中の未使用のフィールドに、当該フレームを受信した際に用いた(第1の記憶部701に記憶されている)周波数補正値を第2の記憶部702に記憶することを許可/禁止するための許可/禁止ビットを設ける。
例えば、フレーム中の当該許可/禁止ビットが「1」にセットされている場合は「周波数補正値保持可」を意味する。すなわち、当該フレームを受信した際に用いた周波数補正値を第2の記憶部702に記憶することを許可する。当該許可ビットが「0」にセットされている場合は「周波数補正値保持禁止」を意味する。すなわち、当該フレームを受信した際に用いた周波数補正値を第2の記憶部702に記憶することを禁止する。
例えば、図8に示すように、ステップS21でアクセス許可信号が送信された後のRTS・CTS交換(ステップS22〜ステップS30)の結果に基づいて、ステップS31において、無線基地局APが多重伝送をする無線局の選定結果をPollフレームで通知するシーケンスを採用した無線通信システムの場合を考える。
なお、図8において、図7と同一部分には同一符号を付している。
第6の実施形態で説明したように、ステップS24、ステップS27、ステップS30では、CTSフレームはフィードバック補正値を含み、その許可/禁止ビットが「0」であるため、各無線局STA1〜STA3は、当該フレームの受信処理に用いた周波数補正値を第2の記憶部702に記憶しないと決定するとともに、第2の記憶部702に記憶されている周波数補正値を該フィードバック補正値で修正する。
ステップS31において、無線基地局APは、許可/禁止ビットが「0」にセットされたPollフレームを送信し、このPollフレームを受信した際に用いた周波数補正値を第2の記憶部702に記憶することを禁止する。すなわち、Pollフレームで周波数補正値保持禁止を通知する。
このように、Pollフレームで周波数補正値保持禁止を通知することにより、無線基地局APがCTSフレームで所望の周波数補正値を通知したにも関わらず、これが、Pollフレームの受信処理で用いた周波数補正値で上書きしてしまうことを防止することができる。
また、この方法を用いると、アクセス許可信号を送信してから、Pollフレームを送信するまでの期間における各無線局STA1〜STA3の送信タイミングを、無線基地局APが指示しなくてもすむ。また、RTS・CTS交換における伝送路情報を把握した上で、無線基地局は多重できる無線局を選択することも可能となる。
図9は、各無線局STA1〜STA3に対し、CTSフレームでフィードバック補正値を通知するのでなく、Pollフレームで、選定された無線局に対し、フィードバック補正値を通知する場合の無線基地局APと無線局STA1〜STA3との間の通信シーケンスを示している。なお、図9において、図8と同一部分には同一符号を付している。
図9において、各無線局STA1〜STA3がCTSフレームを受信したとき(図9のステップS24、ステップS27、ステップS30)、当該CTSフレーム中の許可/禁止ビットが「0」であるため、各無線局STA1〜STA3の記憶制御部601は、当該フレームの受信処理に用いた周波数補正値を第2の記憶部702に記憶しないと決定する。なお、CTSフレームにはフィードバック補正値も含まれていないため、第2の記憶部702に記憶されている(ステップS21で送信されたアクセス許可フレームを受信した際に用いた)周波数補正値を該フィードバック補正値で修正することも行わない。
ステップS31では、無線局STA3に対するフィードバック補正値と、許可/禁止ビット「0」とを含むPollフレームが送信されるので、無線局STA3は、当該フレームの受信処理に用いた周波数補正値を第2の記憶部702に記憶しないと決定するとともに、第2の記憶部702に記憶されている周波数補正値を該フィードバック補正値で修正する。その後、ステップS43において、無線基地局APに対しデータを送信する際には、送信周波数調整部10が第2の記憶部702に記憶されている修正された周波数補正値を用いて送信周波数を補正する。
この方法を用いると、たとえば、無線基地局APは、無線基地局APとの周波数誤差が小さい無線局のみを多重する無線局として選択することも可能となる。
以上説明したように、上記第1乃至第7の実施形態によれば、各無線通信装置は、任意の他の無線通信装置へ信号を送信するために、当該他の無線通信装置に対応する周波数補正値を第2の記憶部702に記憶し、この第2の記憶部702に記憶された周波数補正値を用いて当該他の無線通信装置への送信信号の周波数を補正することにより、無線通信装置間の周波数誤差を容易にしかも適切に補正することができ、周波数誤差のない高品質の通信を可能にする。
この結果、複数の無線通信装置間で、空間多重(MU-MIMO、SDMAなど)や、直交周波数分割多元接続(OFDMA)が可能となる。
なお、本発明は上記実施形態そのままに限定されるものではなく、実施段階ではその要旨を逸脱しない範囲で構成要素を変形して具体化できる。また、上記実施形態に開示されている複数の構成要素の適宜な組み合わせにより、種々の発明を形成できる。例えば、実施形態に示される全構成要素から幾つかの構成要素を削除してもよい。さらに、異なる実施形態にわたる構成要素を適宜組み合わせてもよい。
本発明の実施形態に係る無線通信装置の構成例を示す図。 本発明の実施形態に係る無線通信装置の他の構成例を示す図。 本発明の実施形態に係る無線通信装置のさらに他の構成例を示す図。 第1の実施形態に係る無線通信装置間(複数の無線局と無線基地局との間)の通信シーケンスを示す図。 第1の実施形態に係る無線通信装置間(複数の無線局と無線基地局との間)の他の通信シーケンスを示す図。 第2の実施形態に係る無線通信装置間(複数の無線局と無線基地局との間)の通信シーケンスを示す図。 第6の実施形態に係る無線通信装置間(複数の無線局と無線基地局との間)の通信シーケンスを示す図。 第7の実施形態に係る無線通信装置間(複数の無線局と無線基地局との間)の通信シーケンスを示す図。 第7の実施形態に係る無線通信装置間(複数の無線局と無線基地局との間)の他の通信シーケンスを示す図。 本発明の第1乃至第5の実施形態に係る無線通信装置の処理動作を説明するためのフローチャート。 本発明の第6及び第7の実施形態に係る無線通信装置の処理動作を説明するためのフローチャート。
符号の説明
1…アンテナ
2、12…高周波数回路部
3…A/D変換部
4…受信周波数調整部
5…復調部
6…受信信号解析部
601…記憶制御部
7…周波数補正値記憶部
701…第1の記憶部
702…第2の記憶部
8…送信信号処理部
801…補正制御部
9…変調部
10…送信周波数調整部
11…D/A変換部
13…局部発振器

Claims (18)

  1. 無線信号を受信する受信手段と、
    前記受信手段で無線信号を受信する度に、当該無線信号の周波数を補正する受信周波数補正手段と、
    送信信号の周波数を補正する際に用いる周波数補正値を記憶する記憶手段と、
    前記受信手段で受信された無線信号のうち、前記送信信号の宛先として用いるアドレスを含む無線信号について、その周波数を補正する際に用いた周波数補正値を前記記憶手段に記憶する制御手段と、
    前記記憶手段に記憶された周波数補正値を用いて、前記アドレスを宛先とする前記送信信号の周波数を補正する送信周波数補正手段と、
    前記送信周波数補正手段で周波数の補正された前記送信信号を送信する送信手段と、
    を含む無線通信装置。
  2. 前記制御手段は、空間多重または直交周波数分割多元接続される前記送信信号の宛先アドレスを含む前記無線信号の周波数を補正する際に用いた周波数補正値を前記記憶手段に記憶する請求項1記載の無線通信装置。
  3. 前記制御手段は、前記送信信号の宛先アドレスを送信元とする前記無線信号の周波数を補正する際に用いた周波数補正値を前記記憶手段に記憶する請求項1記載の無線通信装置。
  4. 前記制御手段は、前記送信信号の送信を許可する期間を示す情報をさらに含む前記無線信号の周波数を補正する際に用いた周波数補正値を前記記憶手段に記憶し、
    前記送信周波数補正手段は、前記期間内に送信される前記送信信号の周波数を、前記記憶手段に記憶された周波数補正値を用いて補正することを特徴とする請求項1記載の無線通信装置。
  5. 前記制御手段は、基地局であることを示す識別子をさらに含む前記無線信号の周波数を補正する際に用いた周波数補正値を前記記憶手段に記憶する請求項1記載の無線通信装置。
  6. 前記受信手段及び前記送信手段へ周波数信号を供給する発振器をさらに含み、
    前記送信周波数補正手段は、前記発振器の発振周波数を補正するとともに、前記記憶手段に記憶された周波数補正値から、前記発振周波数の補正量を差し引いた残りの補正値を用いて前記送信信号の周波数を補正する請求項1記載の無線通信装置。
  7. 前記制御手段は、前記送信手段で前記送信信号を送信した後に前記受信手段で受信された、送信元が前記宛先アドレスである無線信号に、前記送信信号の周波数を補正するためのフィードバック補正値が含まれているとき、前記フィードバック補正値で前記記憶手段に記憶されている周波数補正値を補正する請求項1記載の無線通信装置。
  8. 前記受信手段は、前記受信周波数補正手段で周波数を補正する際に用いた周波数補正値を前記記憶手段に記憶することを許可する第1のビット情報、または該周波数補正値を前記記憶手段に記憶することを禁止する第2のビット情報を含む無線信号を受信し、
    前記制御手段は、送信元が前記宛先アドレスである無線信号のうち、(a)前記第1のビット情報を含む無線信号の周波数を補正する際に用いた周波数補正値は前記記憶手段に記憶し、(b)前記第2のビット情報を含む無線信号の周波数を補正する際に用いた周波数補正値は前記記憶手段に記憶しないことを特徴とする請求項1記載の無線通信装置。
  9. 前記制御手段は、前記送信手段で前記送信信号を送信した後に前記受信手段で受信された、送信元が前記宛先アドレスである無線信号に、前記第2のビット情報と、前記送信信号の周波数を補正するためのフィードバック補正値とが含まれているとき、当該無線信号の周波数を補正する際に用いた周波数補正値を前記記憶手段に記憶しないで、前記フィードバック補正値で前記記憶手段に記憶されている周波数補正値を補正することを特徴とする請求項8記載の無線通信装置。
  10. 前記記憶手段は、複数の宛先アドレスのそれぞれに対応する複数の周波数補正値を記憶し、
    前記送信周波数補正手段は、前記記憶手段に記憶されている前記複数の周波数補正値のうち、前記送信信号の宛先アドレスに対応する周波数補正値を用いて前記送信信号の周波数を補正する請求項1記載の無線通信装置。
  11. 無線信号を受信する受信ステップと、
    受信された無線信号の周波数を補正する受信周波数補正ステップと、
    前記受信ステップで受信された無線信号のうち、送信信号の宛先として用いるアドレスを含む無線信号について、その周波数を補正する際に用いた周波数補正値を記憶手段に記憶する制御ステップと、
    前記記憶手段に記憶された周波数補正値を用いて、前記アドレスを宛先とする送信信号の周波数を補正する送信周波数補正ステップと、
    周波数の補正された前記送信信号を送信する送信ステップと、
    を含む無線通信方法。
  12. 前記制御ステップは、空間多重または直交周波数分割多元接続される前記送信信号の宛先アドレスを含む前記無線信号の周波数を補正する際に用いた周波数補正値を前記記憶手段に記憶する請求項11記載の無線通信方法。
  13. 前記制御ステップは、前記送信信号の宛先アドレスを送信元とする前記無線信号の周波数を補正する際に用いた周波数補正値を前記記憶手段に記憶する請求項11記載の無線通信方法。
  14. 前記制御ステップは、前記送信信号の送信を許可する期間を示す情報をさらに含む前記無線信号の周波数を補正する際に用いた周波数補正値を前記記憶手段に記憶し、
    前記送信周波数補正ステップは、前記期間内に送信される前記送信信号の周波数を、前記記憶手段に記憶された周波数補正値を用いて補正することを特徴とする請求項11記載の無線通信方法。
  15. 前記制御ステップは、基地局であることを示す識別子をさらに含む前記無線信号の周波数を補正する際に用いた周波数補正値を前記記憶手段に記憶する請求項11記載の無線通信方法。
  16. 前記送信周波数補正ステップは、前記無線信号の受信及び前記送信信号の送信に用いる周波数信号を供給する発振器の発振周波数を補正するとともに、前記記憶手段に記憶された周波数補正値から、前記発振周波数の補正量を差し引いた残りの補正値を用いて前記送信信号の周波数を補正する請求項11記載の無線通信方法。
  17. 前記送信ステップで前記送信信号を送信した後に、該送信信号に対する応答信号を受信するステップと、
    前記応答信号に含まれている前記送信信号の周波数を補正するためのフィードバック補正値で、前記記憶手段に記憶されている周波数補正値を補正するステップと、
    をさらに含む請求項11記載の無線通信方法。
  18. 前記受信ステップは、周波数を補正する際に用いた周波数補正値を前記記憶手段に記憶することを許可する第1のビット情報、または該周波数補正値を前記記憶手段に記憶することを禁止する第2のビット情報を含む無線信号を受信し、
    前記制御ステップは、送信元が前記宛先アドレスである無線信号のうち、(a)前記第1のビット情報を含む無線信号の周波数を補正する際に用いた周波数補正値は前記記憶手段に記憶し、(b)前記第2のビット情報を含む無線信号の周波数を補正する際に用いた周波数補正値は前記記憶手段に記憶しないことを特徴とする請求項11記載の無線通信方法。
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