JP2010053112A - 薬物輸送に利用できる自己会合型磁性脂質ナノ粒子、及びその製造方法 - Google Patents

薬物輸送に利用できる自己会合型磁性脂質ナノ粒子、及びその製造方法 Download PDF

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【課題】 脂溶性界面活性剤で被覆された磁性ナノ結晶と脂溶性薬剤から構成される、薬物送達システム等に応用可能な、自己会合型の磁性脂質ナノ粒子の製造方法を提供する。特に、産業利用を考慮すると、自己会合型の磁性脂質ナノ粒子の大量製造法の開発が望まれる。
【解決手段】 脂溶性界面活性剤で被覆した磁性ナノ結晶、両親媒性薬剤、脂溶性薬剤、及び水溶性界面活性剤等から構成される混合ミセルから、透析、ゲル濾過、疎水性多孔性ビーズなどを用いて、水溶性界面活性剤を除去することにより、磁性ナノ結晶を被覆する脂溶性界面活性剤の疎水基と両親媒性薬剤の疎水基間、若しくは該脂溶性界面活性剤の疎水基と脂溶性薬剤の疎水基間の疎水性相互作用による自己会合を促し、両親媒性薬剤、若しくは脂溶性薬剤の親水基をナノ粒子の最外層に表出させることにより、ナノ粒子に親水性を付与することを特徴とする自己会合型磁性脂質ナノ粒子の製造方法を提供する。
【選択図】図1

Description

本発明は、自己会合型の磁性脂質ナノ粒子の製造方法に関する。
最近、医学分野において、磁性ナノ粒子を用いた薬物送達法の開発が行われており、磁気による薬物の病巣部への運搬が期待されている。その状況の中で、出願人は先に、超音波処理、及び減圧を組み合わせることにより、大幅な省工程が可能な磁性脂質ナノ粒子の製造方法を提案した(特許文献1)。
脂質を主原料とするナノ粒子は、(1)脂質の選択により毒性を回避することが容易である、(2)ナノ粒子の材料として選択可能な脂質は無数に存在するため、脂質の種類、組み合わせ、及び比率の選択により、薬物送達システムの高性能化が容易である(非特許文献3)、といった特長をもつ。さらに、脂質を主な原料とするナノ粒子により核酸医薬を病巣に送達する遺伝子治療の臨床治験は、これまでも数多く存在する。
そのため、磁場により病巣部に集積可能な磁性脂質ナノ粒子を開発できれば、核酸医薬等の病巣部への安全、高性能かつ臨床応用可能な次世代薬物送達システムとして利用可能となる。特に、産業利用を考慮すると、自己会合型の磁性脂質ナノ粒子の大量製造法の開発が望まれる。
一方、脂溶性界面活性剤で被覆された磁性ナノ結晶を含有する脂溶性磁性流体(特許文献1、非特許文献4)は、1960年代のアポロ計画の際に宇宙服の可動部のシール部品として開発されて以降、各種ダンパーやスピーカーの構成部品、ハードディスクドライブの潤滑用シール部品等として、今日、工業分野において広範に利用されている。
並木 禎尚、並木 珠.遺伝子治療等に利用可能な自己会合型磁性脂質ナノ粒子及びその製造方法.特願2007−198104. Reimers,G.W.& Khalafalla,S.E.Production of magnetic fluids by peptization techniques.U.S.patent #US3,843,540(1974). Scherer,F.等.Magnetofection:enhancing and targeting gene delivery by magnetic force in vitro and in vivo.Gene Therapy 9,102−9(2002). Povey,A.C.等.Trapping of chemical carcinogens with magnetic polyethyleneimine microcapsules:microcapsule preparation and in vitro reactivity of encapsulated nucleophiles.Journal of Pharmaceutical sciences 75,831−7(1986). Namiki,Y.等.Preclinical study of a"tailar−made"combination of NK4−expressing gene therapy and gefitinib(ZD1839,Iressa▲TM▼)for disseminated peritoneal scirrhous gastric cancer.International Journal of Cancer 118,1545−55(2006). Rosenweig,R.E.Magnetic fluids.International Science and Technology 48−56(1966).
本発明の課題は、脂溶性界面活性剤で被覆された磁性ナノ結晶と、両親媒性薬剤、脂溶性薬剤から構成される、薬物送達システム等に応用可能な、自己会合型の磁性脂質ナノ粒子を大量に製造可能な方法を提供することにある。自己会合型とすることにより磁性脂質ナノ粒子の製造工程の簡略化を図り、粒子組成の変更による磁性脂質ナノ粒子の高性能化や最適化等を容易とし、特に、大量製造にも対応した産業利用できる技術を開発する。
本発明者は、先に、工業利用されている脂溶性磁性流体(特許文献2、非特許文献4)の方法論を脂質ナノ粒子の作製技術に応用し、さらに、超音波処理、及び減圧を組み合わせることにより、大幅な省工程可能な磁性脂質ナノ粒子の製造方法を提案している(特許文献1)。一方、本発明者は、脂質ナノ粒子を構成する脂質の種類、及び組み合わせの選択により比較的容易に薬物送達システムの性能向上が可能であることを既に報告している(非特許文献3)。
本発明者は、新たに界面化学的分散法を利用することにより、上記課題を解決しうるという知見を得た。
本発明は、上記知見に基づいてなされたものであり、(A)脂溶性界面活性剤で被覆した磁性ナノ結晶を、水溶性界面活性剤を添加した水溶液に分散させる工程;(B)該分散液に、両親媒性薬剤、脂溶性薬剤の何れか、若しくは両者を添加、可溶化し均一な分散混合物を得る工程;(C)該混合物からの、水溶性界面活性剤の除去により、磁性ナノ結晶を被覆する脂溶性界面活性剤の疎水基と両親媒性薬剤の疎水基間、若しくは該脂溶性界面活性剤の疎水基と脂溶性薬剤の疎水基間の疎水性相互作用による自己会合を促し、両親媒性薬剤、若しくは脂溶性薬剤の親水基をナノ粒子の最外層に表出させることにより、ナノ粒子に親水性を付与し、水溶液中で分散性の高い自己会合型磁性脂質ナノ粒子を得る自己会合型磁性脂質ナノ粒子の製造方法となる。
本発明の自己会合型磁性脂質ナノ粒子の製造方法は、(A)脂溶性界面活性剤で被覆した磁性ナノ結晶を、水溶性界面活性剤を添加した水溶液に分散させる工程;(B)該分散液に、両親媒性薬剤、脂溶性薬剤の何れか、若しくは両者を添加、可溶化し均一な分散混合物を得る工程;(C)該混合物からの、水溶性界面活性剤の除去により、磁性ナノ結晶を被覆する脂溶性界面活性剤の疎水基と両親媒性薬剤の疎水基間、若しくは該脂溶性界面活性剤の疎水基と脂溶性薬剤の疎水基間の疎水性相互作用による自己会合を促し、両親媒性薬剤、若しくは脂溶性薬剤の親水基をナノ粒子の最外層に表出させることにより、ナノ粒子に親水性を付与し、水溶液中で分散性の高い自己会合型磁性脂質ナノ粒子を得ることを特徴とする。
図1は、本発明の自己会合型磁性脂質ナノ粒子の製造方法の工程を図示したものである。図1に示すように、本発明の自己会合型磁性脂質ナノ粒子の製造方法においては、(A)脂溶性界面活性剤で被覆した磁性ナノ結晶を、水溶性界面活性剤を添加した水溶液に分散させる工程;(B)該分散液に、両親媒性薬剤、脂溶性薬剤の何れか、若しくは両者を添加、可溶化し均一な分散混合物を得る工程;(C)該混合物からの、水溶性界面活性剤の除去により、磁性ナノ結晶を被覆する脂溶性界面活性剤の疎水基と両親媒性薬剤の疎水基間、若しくは該脂溶性界面活性剤の疎水基と脂溶性薬剤の疎水基間の疎水性相互作用による自己会合を促し、両親媒性薬剤、若しくは脂溶性薬剤の親水基をナノ粒子の最外層に表出させることにより、ナノ粒子に親水性を付与し、水溶液中で分散性の高い自己会合型磁性脂質ナノ粒子を得る工程からなる。
先ず、本発明において用いられる脂溶性界面活性剤で被覆された磁性ナノ結晶について説明する。該磁性ナノ結晶は、磁性ナノ結晶、磁性ナノ結晶を被覆する脂溶性界面活性剤、及び脂溶性有機溶媒から構成される脂溶性磁性流体中において、ブラウン運動や界面活性剤の電荷による反発力等を介して均一に分散する。
本発明において用いられる磁性結晶の種類については、例えば、マグネタイト(Fe)、マグヘマイト(Fe)、ウスタイト(FeO)、鉄(Fe)、ニッケル、コバルト、コバルト白金クロム合金、バリウムフェライト合金、マンガンアルミ合金、鉄白金合金、鉄パラジウム合金、コバルト白金合金、鉄ネオジムボロン合金、及びサマリウムコバルト合金等特に限定されず、脂溶性界面活性剤により被覆可能なものは全て用いられるが、生体内利用を目的とした場合、毒性回避のため、マグネタイト、マグヘマイト、ウスタイト、鉄等の使用が好ましい。また、必要に応じて二種類以上の磁性結晶を混合して用いることも可能である。
本発明において用いられる脂溶性界面活性剤の種類としては、例えば、オレイン酸、リノレイン酸、リノレン酸等、炭素数18の脂溶性不飽和脂肪酸が好ましい。その中でも二重結合数が最小である、即ち、酸化耐性の高いオレイン酸が好ましい。但し、脂溶性磁性流体を作製可能であれば、脂溶性界面活性剤の種類に何ら制限なく用いることができる。また、必要に応じて二種類以上の脂溶性界面活性剤を混合して用いることもできる。
脂溶性界面活性剤被覆磁性ナノ結晶を得る方法としては、トップダウン法、ボトムアップ法等、従来公知の方法を何ら制限なく用いることができる。磁性ナノ結晶を脂溶性界面活性剤で被覆することができれば、いかなる方法を用いてもよいが、本発明においては、ボトムアップ法、特にペプチゼーション法を用いることが好ましい。ペプチゼーション法により、短時間のうちに磁性ナノ結晶は脂溶性界面活性剤にて均一に被覆される。
ペプチゼーション法については、従来公知の方法により実施することができる。以下、ペプチゼーション法による脂溶性磁性流体の調整について簡単に説明する。ペプチゼーション法は、磁性ナノ結晶析出工程と、脂溶性界面活性剤による磁性ナノ結晶被覆工程とに分けられる。以下、マグネタイトナノ結晶をオレイン酸で被覆し、クロロホルムに分散させる場合について説明する。マグネタイト結晶析出工程は、鉄イオンを含有する水溶液のアルカリ化により行われる。かかる脂溶性界面活性剤によるマグネタイト結晶被覆工程は、得られたマグネタイト結晶表面を脂溶性界面活性剤で被覆することにより脂溶性有機溶媒中でマグネタイト結晶の均一な分散が可能な脂溶性磁性流体を調整するために行われる工程である。
ペプチゼーション法におけるマグネタイトナノ結晶析出工程は、一般的に2価、及び3価の塩化鉄、硫酸鉄、硝酸鉄等鉄塩を含有する水溶液をアルカリ処理することによりナノサイズのマグネタイト結晶を得るための工程である。アルカリ処理はアンモニア水の添加により行われることが好ましい。但し、マグネタイトナノ結晶を析出可能であれば、鉄塩の種類あるいはアルカリ処理の方法に何ら制限なく用いることができる。
次に、ペプチゼーション法における脂溶性界面活性剤による磁性ナノ結晶被覆工程について説明する。ペプチゼーション法における脂溶性界面活性剤による磁性ナノ結晶被覆工程は、先ず、アンモニア過剰のマグネタイトスラリーに灯油に溶解したオレイン酸を加え、良く攪拌することにより、オレイン酸を水溶性のオレイン酸アンモニウムに置換する。この操作により、マグネタイトナノ結晶表面の水酸基とオレイン酸アンモニウムのカルボキシル基が結合する。攪拌を続けながらセ氏95度まで加温を行っていくと、セ氏78度にてオレイン酸アンモニウムはアンモニアガスを発生しながら脂溶性のオレイン酸に分解するため上層の灯油層と下層の水層の2相に分離する。この分解により、マグネタイトナノ結晶はオレイン酸で被覆され、かつ灯油層に分散するようになる。
オレイン酸被覆マグネタイト結晶が分散する灯油層を取出し、アセトン等の極性有機溶媒を加えることによりフロキュレーションさせ、さらに永久磁石あるいは遠心分離によるフロキュレーションの回収を行う。回収したフロキュレーションにアセトンを加え、永久磁石あるいは遠心分離によるフロキュレーションの洗浄を行うことにより余剰のオレイン酸を除去する。続いて、永久磁石あるいは遠心分離によるフロキュレーションの回収ののち、減圧によりアセトンを蒸発させることにより、オレイン酸被覆マグネタイトナノ結晶を乾燥させる。
本発明の自己会合型磁性脂質ナノ粒子の製造方法における脂溶性界面活性剤による磁性結晶被覆工程においては、上述したペプチゼーション法等のように、磁性結晶析出工程により得られた磁性結晶表面を脂溶性界面活性剤で被覆する。
本発明において用いられる水溶性界面活性剤としては、ドデシル硫酸ナトリウム、コール酸ナトリウム、デオキシコール酸ナトリウム、タウロコール酸ナトリウム、タウロデオキシコール酸ナトリウム、グリココール酸ナトリウム、ケノデオキシコール酸ナトリウム、ウルソデオキシコール酸ナトリウム、ヒオコール酸ナトリウム、リトコール酸ナトリウム、ヒオデオキシコール酸ナトリウム、5−〈−シプリノール等の陰イオン性界面活性剤、セチルトリメチルアンモニウムブロミド、ドデシルトリメチルアンモニウムブロミド等の陽イオン性界面活性剤、3−[(3−コールアミドプロピル)ジメチルアンモニオ]−1−プロパンスルホン酸(CHAPS)、N,N−ビス−3−D−グルコンアミドプロピル−コールアミド(BigCHAP)、N,N−ビス−3−D−グルコンアミドプロピル−デオキシコールアミド(deoxyBigCHAP)、N−テトラデシル−N,N−ジメチル−3−3−アンモニオ−1−プロパンスルホン酸(Zwittergent 3−14)、リゾホスファチジルコリン等の両性界面活性剤、オクチルグルコシド、オクチルチオグルコシド、ヘプチルチオグルコシド、ジギトニン、デカノイル−N−メチルグルカミン(MEGA−10)、ノナノイル−N−メチルグルカミド(MEGA−9)、オクタノイル−N−メチルグルカミン(MEGA−8)、ポリオキシエチレンアルキルエーテル(Lubrol PX)、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル(Triton N)、ポリオキシエチレン−p−t−オクチルフェニルエーテル(Triton X)、ポリオキシエチレンソルビトールエステル(Tween)、Brij 56(C1610)、Atlas G2127(C12)等の非イオン性界面活性剤が挙げられる。
本発明において用いられる脂溶性薬剤については、自己会合型磁性脂質ナノ粒子を作製可能であれば、例えば、リン脂質、糖脂質、ステロール、不飽和脂肪酸、飽和脂肪酸、脂溶性抗癌剤、脂溶性光感受性物質、脂溶性造影剤等、何ら制限なく用いることができる。また、必要に応じて、二種類以上の脂溶性薬剤を混合して用いることも可能である。
本発明において用いられる両親媒性薬剤については、自己会合型磁性脂質ナノ粒子を作製可能であれば、例えば、リン脂質、糖脂質、ステロール、不飽和脂肪酸、飽和脂肪酸、両親媒性抗癌剤、両親媒性光感受性物質、両親媒性造影剤等、何ら制限なく用いることができる。また、必要に応じて、二種類以上の両親媒性薬剤を混合して用いることも可能である。
本発明において用いられるリン脂質としては、例えば、卵黄レシチン、大豆レシチン、カルジオリピン、スフィンゴミエリン、ホスファチジン酸、ホスファチジルセリン、ホスファチジルイノシトール、ホスファチジルコリン(例えば、ジオレオイルホスファチジルコリン、ジラウロイルホスファチジルコリン、ジミリストイルホスファチジルコリン、ジパルミトイルホスファチジルコリン、ジステアロイルホスファチジルコリン等)、ホスファチジルグリセロール(例えば、ジオレオイルホスファチジルグリセロール、ジラウロイルホスファチジルグリセロール、ジミリストイルホスファチジルグリセロール、ジパルミトイルホスファチジルグリセロール、ジステアロイルホスファチジルグリセロール等)、ホスファチジルエタノールアミン(例えば、ジオレオイルホスファチジルエタノールアミン、ジラウロイルホスファチジルエタノールアミン、ジミリストイルホスファチジルエタノールアミン、ジパルミトイルホスファチジルエタノールアミン、ジステアロイルホスファチジルエタノールアミン等)及びこれらの水素添加物等が挙げられる。
本発明において用いられる糖脂質としては、例えば、スフィンゴ糖脂質(例えば、ガンクリオシド、ガラクトシルセレブロシド、ラクトシルセレブロシド等)、グリセロ糖脂質(例えば、スルホキシリボシルグリセリド、ジグリコシルジグリセリド、ジガラクトシルジグリセリド、ガラクトシルジグリセリド、グリコシルジグリセリド等)等が挙げられる。
本発明において用いられるステロールとしては、例えば、動物由来ステロール(例えば、コレステロール、コレステロールコハク酸、ラノステロール、ジヒドロラノステロール、デスモステロール、ジヒドロコレステロール等)、植物由来ステロール(フィトステロール)(例えば、スチグマステロール、シトステロール、カンペステロール、ブラシカステロール等)、微生物由来ステロール(例えば、チモステロール、エルゴステロール等)等が挙げられる。
本発明において用いられる飽和脂肪酸、若しくは不飽和脂肪酸としては、例えば、パルミチン酸、オレイン酸、ステアリン酸、アラキドン酸、ミリスチン酸等の炭素数12〜20の飽和脂肪酸、若しくは不飽和脂肪酸が挙げられる。
本発明において用いられる脂質は、中性脂質、陽性荷電脂質および陰性荷電脂質に分類され、中性脂質としては、例えば、ジアシルホスファチジルコリン、ジアシルホスファチジルエタノールアミン、コレステロール、セラミド、スフィンゴミエリン、セファリン、セレブロシド等が挙げられる。陽性荷電脂質としては、例えば、DOTAP(1,2−dioleoyloxy−3−trimethylammonio propane)、DC−6−14(O,O‘−ditetradecanoyl−N−(alpha−trimethylammonioacetyl)diethanolamine chloride、DC−Chol(3beta−N−(N,N,−dimethyl−aminoethane)carbamol cholesterol)、TMAG(N−(alpha−trimethylammonioacetyl)didodecyl−D−glutamate chloride)、DOTMA(N−2,3−di−oleyloxypropyl−N,N,N−trimethylammonium)、DODAC(dioctadecyldimethylammonium chloride)、DDAB(didodecyl−ammonium bromide)、DOSPA(2,3−dioleyloxy−N−[2(sperminecarboxamido)ethyl]−N,N−dimethyl−1−propanaminum trifluoroacetane)等が挙げられる。
生体内利用を目的とする場合、自己会合型磁性脂質ナノ粒子表面に親水性ポリマーを有することが好ましい。自己会合型磁性脂質ナノ粒子表面に親水性ポリマーを修飾することにより血管内滞留時間を延長することが可能になる。自己会合型磁性脂質ナノ粒子を構成する脂質に対する親水性ポリマーの含有量は、特に限定されないが、1〜10%(モル比)、好ましくは7〜10%(モル比)である。自己会合型磁性脂質ナノ粒子を構成する脂質は、親水性ポリマーの主鎖末端に結合するのが好ましいが、側鎖に結合していても良い。
本発明において用いられる親水性ポリマーの種類は特に限定されるものではなく、例えば、ポリアルキレングリコール(例えば、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリテトラメチレングリコール、ポリヘキサメチレングリコール)、デキストラン、プルラン、フィコール、ポリビニルアルコール、スチレン−無水マレイン酸交互共重合体、ジビニルエーテル−無水マレイン酸交互共重合体、アミロース、アミロペクチン、キトサン、マンナン、シクロデキストリン、ペクチン、カラギーナン等が挙げられるが、ポリアルキレングリコールが好ましく、ポリエチレングリコールがさらに好ましい。
本発明において用いられる親水性ポリマーがポリアルキレングリコールである場合、その分子量は、通常300〜10000、好ましくは1000〜5000である。
本発明において用いられる親水性ポリマーには、アルキル基(例えば、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、s−ブチル基、t−ブチル基、n−ペンチル基、イソペンチル基、t−ペンチル基、ネオペンチル基等)、アルコキシ基(例えば、メトキシ基、エトキシ基、n−プロポキシ基、イソプロポキシ基、n−ブトキシ基、イソブトキシ基、s−ブトキシ基、t−ブトキシ基等)、ヒドロキシル基、カルボニル基、アルコキシカルボニル基、シアノ基等の置換基が導入されていても良い。
自己会合型磁性脂質ナノ粒子構成脂質と親水性ポリマーとは、自己会合型磁性脂質ナノ粒子構成脂質が有する官能基と親水性ポリマーが有する官能基とを反応させることにより共有結合を介して結合させることができる。共有結合を形成可能な官能基の組み合わせとしては、例えば、アミノ基/カルボキシル基、アミノ基/ハロゲン化アシル基、アミノ基/N−ヒドロキシスクシンイミドエステル基、アミノ基/ベンゾトリアゾールカーボネート基、アミノ基/アルデヒド基、チオール基/マレイミド基、チオール基/ビニルスルホン基等が挙げられる。
次に、本発明の自己会合型磁性脂質ナノ粒子の製造方法について、工程毎に説明する。先ず、前記工程(A)について説明する。前記工程(A)は、脂溶性界面活性剤で被覆した磁性ナノ結晶を、水溶性界面活性剤を添加した水溶液に分散させる工程である。以下、オレイン酸で被覆したマグネタイトナノ結晶を、オクチルグルコシド水溶液に分散させる場合について述べる。
オレイン酸被覆マグネタイトナノ結晶を、オレイン酸濃度の約10倍以上の濃度のオクチルグルコシドを溶解した水溶液中に添加し、良く攪拌し分散させる。
引き続き、前記工程(B)について説明する。前記工程(B)は、前記工程(A)で得られた分散液に、両親媒性薬剤、脂溶性薬剤の何れか、若しくは両者を添加、可溶化し均一な分散混合物を得る工程である。以下、オレイン酸被覆マグネタイトナノ結晶が分散したオクチルグルコシド水溶液に、陽性荷電リン脂質を添加し、均一な分散混合物を得る場合について述べる。
オレイン酸被覆マグネタイトナノ結晶が分散した、オクチルグルコシド水溶液(オレイン酸の約10倍以上の濃度)中に、オクチルグルコシドの約1/10倍以下の濃度の陽性荷電リン脂質を添加、可溶化し、均一な分散混合物を得る。
さらに、前記工程(C)について説明する。前記工程(C)は、前記工程(B)で得られた分散混合物からの、水溶性界面活性剤の除去により、磁性ナノ結晶を被覆する脂溶性界面活性剤の疎水基と両親媒性薬剤の疎水基間、若しくは該脂溶性界面活性剤の疎水基と脂溶性薬剤の疎水基間の疎水性相互作用による自己会合を促し、両親媒性薬剤、若しくは脂溶性薬剤の親水基をナノ粒子の最外層に表出させることにより、ナノ粒子に親水性を付与し、水溶液中で分散性の高い自己会合型磁性脂質ナノ粒子を得る工程である。以下、オレイン酸被覆マグネタイトナノ結晶、及び陽性荷電リン脂質が分散したオクチルグルコシド水溶液から、透析によりオクチルグルコシドを除去することにより、内核がオレイン酸被覆マグネタイトナノ結晶、外殻が陽性荷電リン脂質から構成される自己会合型磁性脂質ナノ粒子を得る場合について述べる。
オレイン酸被覆マグネタイトナノ結晶、及び陽性荷電リン脂質(オクチルグルコシドの約1/10倍以下の濃度)が分散した、オクチルグルコシド水溶液(オレイン酸の約10倍以上の濃度)から、オクチルグルコシドを透析により除去し、オレイン酸被覆マグネタイトナノ結晶のオレイン酸の疎水基と、陽性荷電リン脂質の疎水基間の、疎水性相互作用による結合により、最外層表面がリン脂質の親水基で覆われたナノ粒子を得る。
本発明においては、緩衝塩(例えば、リン酸緩衝塩、クエン酸緩衝塩、酢酸緩衝塩等)、糖類、多価アルコール、水溶性高分子、非イオン性界面活性剤、抗酸化剤、水和促進剤、pH調整剤等、自己会合型磁性脂質ナノ粒子を作製可能であれば、何ら制限なく添加することができる。
本発明においては、自己会合型磁性脂質ナノ粒子の磁気誘導による送達を目的とする物質は、特に限定されるものではなく、例えば、核酸(例えば、DNA、RNA、またはこれらの類似体又は誘導体(例えば、ペプチド核酸、ホスホロチオエートDNA等)、ペプチド、タンパク質、薬物(例えば、抗癌剤、光感受性物質、造影剤等)、糖、これらの複合体等が挙げられる。尚、該核酸の形態は、一本鎖又は二本鎖、線状又は環状等、特に限定されない。
送達を目的とする物質が核酸である場合、陰性荷電をもつ核酸と自己会合型磁性脂質ナノ粒子を構成する陽性荷電脂質の静電的相互作用を介して、自己会合型磁性脂質ナノ粒子−核酸複合体を形成し、該複合体の磁気誘導による標的への送達が可能となる。但し、目的物質が送達可能であれば、自己会合型磁性脂質ナノ粒子に目的物質を結合する方法については、特に限定されることなく利用することが可能である。
目的物質を結合した、又は、目的物質との複合体を形成した自己会合型磁性脂質ナノ粒子は、目的物質の細胞内送達用運搬体として使用することが可能である。
目的物質を送達すべき標的細胞が由来する生物種は、例えば、動物、植物、微生物等、特に限定されることはないが、動物由来であることが好ましく、例えば、ヒト、サル、ウシ、ヒツジ、ヤギ、ウマ、ブタ、ウサギ、イヌ、ネコ、マウス、ラット、モルモット等、哺乳動物であることがより好ましい。また、該標的細胞の種類は、例えば、体細胞、生殖細胞、幹細胞又はこれらの培養細胞等、特に限定されない。
目的物質を結合した、又は、目的物質との複合体を形成した自己会合型磁性脂質ナノ粒子は、生体内、生体外のいずれにおいても使用することができる。生体内で使用する場合、投与経路としては、例えば、静脈内、動脈内、門脈内、実質臓器内(例えば、脳、目、甲状腺、乳腺、心臓、肺、肝臓、膵臓、腎臓、副腎、卵巣、精巣等)、管腔臓器の管腔内(例えば、食道、胃、十二指腸、空腸、回腸、大腸、胆嚢、尿管、膀胱内等)、脳脊髄腔内、胸腔内、腹腔内、筋肉内、関節内、皮下、皮内等、特に限定されない。
目的物質を結合した、又は、目的物質との複合体を形成した自己会合型磁性脂質ナノ粒子の標的細胞への送達後、該標的細胞による自己会合型磁性脂質ナノ粒子の取り込み効率を向上させるため、必要に応じて、細胞膜表面の受容体と結合可能な物質(例えば、抗体またはその断片(例えば、Fab断片、F(ab)‘2断片、単鎖抗体等)、インスリン、トランスフェリン、葉酸、ヒアルロン酸、糖鎖、アポリポタンパク(例えば、アポA−1、アポB−48、アポB−100、アポE等)、成長因子(例えば、上皮成長因子、肝細胞成長因子、線維芽細胞成長因子、インスリン様成長因子等)等、特に限定されることなく自己会合型磁性脂質ナノ粒子表面に結合することが可能である。
参考文献
特開昭49−84998
特公2006−167521
特願2007−198104
発明の効果
本発明の自己会合型磁性脂質ナノ粒子の製造方法を用いて、自己会合型磁性脂質ナノ粒子を製造した場合、磁場により集積可能な脂質ナノ粒子を大量に調整可能となり、遺伝子、抗癌剤、光感受性物質等、各種薬剤等の送達システム等として用いることができる。本発明の自己会合型磁性脂質ナノ粒子は、従来技術であるポリエチレンイミン被覆磁性体ナノ結晶と比較して、組成変更によるナノ粒子の高性能化や毒性回避が容易であり、用途に応じた設計の自由度が高い。
以下、本発明を実施例により更に詳細に説明する。なお本発明の範囲は、かかる実施例に限定されないことはいうまでもない。
実施例1(工程A)
0.04モルの塩化鉄(I)4水和物と0.08モルの塩化鉄(II)6水和物を脱イオン水50mLに溶解した。得られた塩化鉄水溶液を室温にて、スターラーバー及び温度調節可能なスターラー装置を用いて激しく攪拌しながらアンモニア水50mLを毎秒1から2mLの速度で加えたところ、マグネタイトナノ結晶のスラリーを得た。さらにスターラーバーにより攪拌を続けながら、セ氏95度まで熱し、10質量%のオレイン酸を含む灯油55mLを毎秒2から3mLの速度で加えた。この過程で、脂溶性のオレイン酸は水溶性のオレイン酸アンモニウムに置換され、マグネタイトナノ結晶表面の水酸基とオレイン酸アンモニウムのカルボキシル基が結合した。さらに、生じたオレイン酸アンモニウムはセ氏78度にてアンモニアガスを発生しながらオレイン酸へと分解されるため、マグネタイトナノ結晶は脂溶性のオレイン酸で被覆され、上層の灯油層へ均一に分散した。均一な分散を確認した後、塩化アンモニウムを大量に含む下層の水層の大半をパスツールピペットで取り除き、水層が完全に蒸発するまでセ氏95度にて加熱を続けた。得られた灯油層のうち10mLを200mL容積のビーカーに入れ、100mLのアセトンを加えることにより、オレイン酸被覆マグネタイトナノ結晶をフロキュレーションさせた。ビーカー外部より、1.4テスラの永久磁石をあて5分間室温に放置することによりフロキュレーションを磁気的に集積させた。該磁石をビーカー外部にあてフロキュレーションを集積させたまま上清をデカンテーションにより廃棄した。得られたフロキュレーションに80mLのアセトンを加え、1から2分間軽く攪拌した後、再度同様に磁石を用いて上清をデカンテーションにより廃棄することにより、オレイン酸被覆マグネタイトナノ結晶から余剰のオレイン酸を取り除いた。さらに、真空オーブンを用いてセ氏25度、50mmHgの減圧処理を8時間行うことによりオレイン酸被覆マグネタイトナノ結晶からアセトンを完全に取り除いた。ガスクロマトグラフィーによる解析を行ったところ得られたオレイン酸被覆マグネタイトナノ結晶は22.1重量%のオレイン酸を含有していた。
該オレイン酸被覆マグネタイトナノ結晶4mgを、14mg/mLのオクチルグルコシド水溶液10mLに加え、均一に分散するまで緩やかに攪拌した。
実施例1(工程B)
該分散液に、ジオレオイルフォスファチジルエタノールアミン(Dioleoylphosphatidylethanolamine、以下「DOPE」という、SIGMA社から購入した)5.16mg及びN−[1−(2,3−ジオレオイロキシ)プロピル)−N,N,N−トリメチルアンモニウムクロライド(N−[1−(2,3−dioleoyloxy)propyl]−N,N,N−trimethylammonium chloride、以下「DOTAP」という、SIGMA社から購入した)4.84mgを加え、均一に可溶化分散するまで良く攪拌した。
実施例1(工程C)
該可溶化分散液10mLを、内径1.5cmの透析チューブに入れ、両端を硬く縛る。1.5Lの透析外液中で、アルゴンガス雰囲気中にて、マグネティックスターラなどによる十分な攪拌のもと、約8時間透析を行った。該外液を交換したのち、引き続き、アルゴンガス雰囲気中で24時間透析を続け、オクチルグルコシドを除去することにより、最終的に自己会合型磁性脂質ナノ粒子を得た。
得られた自己会合型磁性脂質ナノ粒子のネガティブ染色後透過型電子顕微鏡(JEM1200EX、JEOL)写真を図2に示す。図2に示すように、本発明により得られた磁性脂質ナノ粒子は自己会合型であり、マグネタイトナノ結晶を脂質が被覆する構造を有していた。また、光散乱分光測定器(ELS−8000,大塚電子)による粒径計測では、得られた自己会合型磁性脂質ナノ粒子の平均直径は83.8nmであり、電子顕微鏡写真の結果と一致した。以上の結果から、自己会合による磁性脂質ナノ粒子の形成に成功したことを確認した。
実施例2
あらかじめDOPE5.16mg、及びDOTAP4.84mgをナス型フラスコに入れ、クロロホルム3mLを添加し溶解後、ロータリーエバポレーターを用いてクロロホルムを除去することにより脂質薄膜を形成した。さらに、脱気を一晩続け、脂質薄膜からクロロホルムを完全に除去した。純水10mLを、該ナス型フラスコに入れ、超音波処理を行うことによりリポソームを得た。得られたリポソーム溶液を、セファデックスG−50(GEヘルスケアバイオサイエンス株式会社製)を充填した直径3cmx高さ40cmのカラムに入れ、ゲルの飽和処理を行うことにより、ゲルへのリン脂質の非特異的吸着を防止した。引き続き、実施例1の工程A、及び工程Bと同様にして得られた可溶化分散液10mLを、該カラムに入れ、オクチルグルコシドを分画することにより、最終的に自己会合型磁性脂質ナノ粒子を得た。
光散乱分光測定器による、得られた自己会合型磁性脂質ナノ粒子の粒径計測では、得られた自己会合型磁性脂質ナノ粒子の平均直径は81.6nmであり、電子顕微鏡写真の結果(図示せず)と一致した。以上の結果から、自己会合による磁性脂質ナノ粒子の形成に成功したことを確認した。
実施例3
2x10cmのカラムに、洗浄済みの疎水性多孔ビーズ(バイオビーズSM2(GEヘルスケアバイオサイエンス株式会社製))を充填し緩衝液を3回通した。緩衝液を軽く除いた後、注射筒により、実施例1の工程A、及び工程Bと同様にして得られた可溶化分散液10mLを、該カラムに通した。該カラムからの流出液を、再度、該カラムに通すことを12回繰り返すことにより、オクチルグルコシドをビーズに吸着除去することにより、最終的に自己会合型磁性脂質ナノ粒子を得た。
光散乱分光測定器による、得られた自己会合型磁性脂質ナノ粒子の粒径計測では、得られた自己会合型磁性脂質ナノ粒子の平均直径は89.0nmであり、電子顕微鏡写真の結果(図示せず)と一致した。以上の結果から、自己会合による磁性脂質ナノ粒子の形成に成功したことを確認した。
実施例4
本実施例では、ヒト細胞における全てのメッセンジャーRNA(mRNA)を阻害しないことが確認されている遺伝子配列をもつsiRNAであるAllstars Transfection Control siRNA(キアゲン社より購入した、以下「siRNAControl」という)を陰性コントロールとして、また、ハウスキーピング遺伝子であるグリセルアルデヒド3リン酸脱水素酵素(glycer−aldehyde 3−phosphate dehydrogenase(GAPDH)のmRNAを阻害することが確認されている遺伝子配列をもつsiRNAであるAllstars Transfection GAPDHsiRNA(キアゲン社より購入した、以下「siRNAGAPDH」という)を陽性コントロールとして使用した。
血清及び抗生物質を含まないRPMI1640培地に懸濁したヒト胃癌細胞株KATOIII(1.0×10細胞/100μl)を96穴細胞培養プレート上にて12時間培養した。実施例2で得られた自己会合型磁性脂質ナノ粒子分散液0.375μlに合計25μlになるようRPMI1640培地を加え、5分間室温でインキュベートした。得られた自己会合型磁性脂質ナノ粒子/RPMI1640分散液に、300nMの濃度のsiRNA(siRNAControl又はsiRNAGAPDH)25μlを加え、10分間室温でインキュベートした。上記96穴細胞培養プレート上のKATOIIIの培養液を除去後、得られた50μl自己会合型磁性脂質ナノ粒子/siRNA複合体を加えた。
上記複合体を添加した培養プレート底面のウェル部に、直径6mm、長さ8mmの円柱形の0.2テスラのネオジム磁石を圧着させることにより細胞に磁場を照射し、10分間37度で培養を行った(磁場照射群)。又は、磁場を照射せず、10分間37度で培養を行った(磁場非照射群)。引き続き、上記複合体を除去後、血清及び抗生物質を含まないRPMI1640培地を200μl加え、48時間培養を行った。
上記培養液を除去し、さらに250μlのリン酸緩衝生理食塩水で細胞を2回洗浄後、細胞溶解処理後にGAPDH酵素定量を行った。細胞溶解処理及びGAPDH酵素定量は、GAPDH酵素定量用細胞溶解液(アンビオン社より購入した)及びGAPDH酵素定量用試薬キット(KDalert試薬キット、アンビオン社より購入した)、蛍光吸光度計(パーキンエルマー社)を用いて、該キットのマニュアルに従い行った。
上記により、GAPDH酵素活性を定量したところ、「siRNAGAPDH+非磁場照射」群は「siRNAControl+磁場照射」群(すなわち、陰性コントロール群)の95.3%のGAPDH酵素活性を示した(すなわち、自己会合型磁性脂質ナノ粒子による非磁場照射下でのGAPDH酵素阻害効果はわずか4.7%であった)。一方、「siRNAGAPDH+磁場照射」群は、「siRNAControl+磁場照射」群(すなわち、陰性コントロール群)の31.7%のGAPDH酵素活性を示した(すなわち、自己会合型磁性脂質ナノ粒子による磁場照射下でのGAPDH酵素阻害効果は68.3%であり、非磁場照射下の14.5倍の阻害効果を示した)。以上の結果から、自己会合型磁性脂質ナノ粒子は、siRNAの磁気誘導型運搬体として有用であることを確認した。
以上説明したように、本発明の自己会合型磁性脂質ナノ粒子は、構成する脂溶性薬剤の種類や混合比を変更することにより、細胞や動物組織への遺伝子導入等のバイオテクノロジー分野での利用、遺伝子・薬物の患部への送達による疾患の治療用だけでなく、患部に集積した自己会合型磁性脂質ナノ粒子の微量磁気検出装置による検出・患部に集積した放射性同位元素あるいは造影剤を含有させた自己会合型磁性脂質ナノ粒子の検出による疾患の診断用にも使用可能である。
本発明の自己会合型磁性脂質ナノ粒子の製造方法の工程を図示したものである。 本発明の自己会合型磁性脂質ナノ粒子の製造方法により実施例1において得られた自己会合型磁性脂質ナノ粒子のネガティブ染色後の透過型電子顕微鏡写真である。尚、バーは100nmを示す。

Claims (5)

  1. (A)脂溶性界面活性剤で被覆した磁性ナノ結晶を、水溶性界面活性剤を添加した水溶液に分散させる工程;(B)該分散液に、両親媒性薬剤、脂溶性薬剤の何れか、若しくは両者を添加、可溶化し均一な分散混合物を得る工程;(C)該混合物からの、水溶性界面活性剤の除去により、磁性ナノ結晶を被覆する脂溶性界面活性剤の疎水基と両親媒性薬剤の疎水基間、若しくは該脂溶性界面活性剤の疎水基と脂溶性薬剤の疎水基間の疎水性相互作用による自己会合を促し、両親媒性薬剤、若しくは脂溶性薬剤の親水基をナノ粒子の最外層に表出させることにより、ナノ粒子に親水性を付与し、水溶液中で分散性の高い自己会合型磁性脂質ナノ粒子を得る自己会合型磁性脂質ナノ粒子の製造方法。
  2. 前記脂溶性界面活性剤被覆磁性ナノ結晶、前記水溶性界面活性剤、前記両親媒性薬剤、前記脂溶性薬剤の量及び比率、若しくは反応温度を変化させることにより自己会合型磁性脂質ナノ粒子を得る、請求項1に記載の自己会合型磁性脂質ナノ粒子の製造方法。
  3. 前記水溶性界面活性剤には、イオン性界面活性剤、非イオン性界面活性剤、若しくは両者を用いる、請求項1から2のいずれか1項に記載の自己会合型磁性脂質ナノ粒子の製造方法。
  4. 前記イオン性界面活性剤、非イオン性界面活性剤の除去には、透析、ゲルろ過、疎水性ビーズ、若しくはそれらの組み合わせを用いる請求項1から3のいずれか1項に記載の自己会合型磁性脂質ナノ粒子の製造方法。
  5. 請求項1から4のいずれか1項に記載の自己会合型磁性脂質ナノ粒子の製造方法により得られた自己会合型磁性脂質ナノ粒子。
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