JP2010049608A - 近接検出装置および近接検出方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】2次元座標に対応して配置された複数の電極の各交点の静電容量の変化により、人の指などの物体の接近や位置を検出する近接検出装置において、比較的簡単な構成で、瞬時的な大きなノイズを大幅に軽減することのできる近接検出装置及びその方法を実現する。
【解決手段】増幅された受信電流の大きさが一定になるようにフィードバック制御するための増幅率から受信電流に対応した値を求める構成とし、増幅率の変化に制限を設ける。
【選択図】図1
【解決手段】増幅された受信電流の大きさが一定になるようにフィードバック制御するための増幅率から受信電流に対応した値を求める構成とし、増幅率の変化に制限を設ける。
【選択図】図1
Description
本発明は、2次元座標に対応して配置された電極の各交点の静電容量の変化により、人の指などの物体の接近や位置を検出する近接検出装置に関する。
近傍に配置される2つの電極間に人の指などの物体が接近すると、電極間の静電容量が変化することが知られている。この原理を検出領域の2次元座標に対応して配置された複数の電極の各交点の静電容量の検出に応用した静電タッチセンサなどの近接検出装置が開示され、一部が実用化されている(例えば、特許文献1参照)。
このような従来の近接検出装置の一例について、図2を基に説明する。
図2の例では、支持手段1の検出領域2に縦方向の座標に対応する送信電極3と横方向の座標に対応する受信電極4が互いに直交して配置されている。
ここで、送信電極には、電圧駆動手段から周期的な交流電圧が印加される。この交流電圧は、送信電極と受信電極との交点の静電容量により、受信電極に伝達される。受信電極は仮想接地されているため、受信電極には送信電極の電圧変化と送信電極と受信電極間の静電容量に応じた受信電流が流れる。但し、送信電極や受信電極は配線抵抗や電極自体の静電容量が無視できないために、受信電流波形は高周波成分が減衰し、遅れを生じている。
積分手段41では、仮想接地された受信電極に流れる電流を積分する。積分することにより、高周波ノイズを減衰させることができる。また、受信電流は駆動電圧の変化に対応しているため、積分することにより駆動電圧波形に近い波形に復元される。また、積分手段では通常受信電流をコンデンサに蓄積して積分するため、電圧波形に変換される。
乗算手段42では、送信電極の駆動波形を遅延させたものと積分手段の出力とを乗算することにより、送信電極への駆動波形から期待される周波数と位相の成分のみを抽出することによりノイズ成分を除去する。
ADC手段43では、乗算手段の出力をアナログ・デジタル変換して、デジタル値を出力する。
近接演算手段44は、ADC手段で得られたデジタル値としての2次元の座標に対応した電極の各交点の静電容量に対応した値の変化から、検出対象の物体の接近や位置を演算により求める。
米国公開特許US2007/0257890A1
以上に示した従来の近接検出装置では、個々のバラツキ等に対応して回路のパラメータを最適なレンジに設定する必要があった。また、正確な乗算をアナログ回路で実現していたため回路が複雑であった。さらに、透明な近接検出装置を液晶表示装置と重ねて使用する場合などに課題となる液晶交流化などにより発生する一瞬の大きなノイズは、広い周波数成分を有しているため、乗算しても除去することが困難であると言う課題があった。
そこで本発明では、これらの課題を解決するために、比較的簡単な構成で、ゲイン設定が不要で瞬時的な大きなノイズを大幅に軽減することのできる近接検出装置及びその方法を実現することを目的とする。
本発明による近接検出装置は、支持手段上の検出領域における2次元座標の一方の次元に対応する送信電極ともう一方の次元に対応する受信電極を互いに導通しないように接近して設け、前記送信電極に交流電圧を印加する駆動手段と、前記送信電極と前記受信電極の交点の静電容量に対応して変化する前記受信電極からの電流を増幅する増幅手段と、前記増幅手段の出力をリファレンス値と比較する比較手段と、前記比較手段からの比較結果により前記増幅手段の利得に帰還をかけるフィードバックループを安定させるループフィルタ手段と、前記利得に対応した値を前記送信電極と前記受信電極の各交点の静電容量に対応した値として入力し前記検出領域への物体の接近判定と接近位置を求める近接演算手段と、全体のステータス及びシーケンスを管理する制御手段とにより構成した。
また、本発明による近接検出方法は、前記送信電極に交流電圧を印加する駆動工程と、前記受信電極に流れ込む電流を増幅する増幅工程と、前記増幅工程の出力をリファレンス値と比較する比較工程と、前記比較工程からの比較結果により前記増幅工程の利得に帰還をかけるフィードバックループを安定させるループフィルタ工程と、前記利得に対応した値を前記送信電極と前記受信電極の各交点の静電容量に対応した値として入力し前記検出領域への物体の接近判定と接近位置を求める近接演算工程により実現した。
本発明によれば、比較的簡単な構成で、ゲイン設定が不要で瞬時的な大きなノイズを大幅に軽減することのできる近接検出装置及びその方法を実現することが出来る。
本発明による近接検出装置の好適な実施例を、図1を基に説明する。
本発明による近接検出装置は、支持手段1上の検出領域2における2次元座標の一方の次元に対応する送信電極3ともう一方の次元に対応する受信電極4を互いに導通しないように絶縁層を介して設け、前記送信電極に交流電圧を印加する駆動手段5と、前記送信電極と前記受信電極の交点の静電容量に対応して変化する前記受信電極からの電流を増幅する増幅手段6と、前記増幅手段の出力を積分する積分復元手段7と、前記積分復元手段の出力の振幅を抽出する振幅抽出手段8と、前記振幅抽出手段の出力をリファレンス値と比較する比較手段9と、前記比較手段からの比較結果により前記増幅手段の利得に帰還をかけるフィードバックループを安定させるループフィルタ手段10と、前記利得からノイズの影響を除去する後フィルタ手段11と、前記後フィルタ手段の出力あるいはその推移から前記検出領域への物体の接近判定と接近位置を求める近接演算手段12と、全体のステータス及びシーケンスを管理する制御手段13とにより構成した。
また、本発明による近接検出方法の好適な実施例を、図11を基に説明する。
本発明による近接検出方法では、全体の状態及びシーケンスを管理する制御手段により制御される連続動作工程により構成される。
連続動作工程は、送信電極と受信電極間の全交点の静電容量に対応した値を求める走査工程と、前記静電容量の対応した値あるいはその推移から前記検出領域への物体の接近及び位置の演算を行う近接演算工程を、例えば15m秒程度の一定の周期で繰り返す。
走査工程は、線順次走査やマルチライン走査などにより、複数サイクル工程を送信電極に対応して一通り実行する。
複数サイクル工程では、複数サイクルの交流を駆動して、受信電流の大きさにより駆動している送信電極に対応する交点の静電容量に対応した値を求める。物体の接近による送信電極と受信電極との交点の静電容量の変化は通常1pf以下の微小な値であり、受信電流の変化も微弱である。そのため、複数サイクルの受信電流から静電容量に対応した値を求める。
この複数サイクル工程は、利得が収束するまでの遷移工程と、ノイズを除去するための加算工程の順に実行するようにした。但し、加算工程は、ノイズ除去のために行うもので、必要に応じて実行すれば良い。
以上に説明した、連続動作工程と走査工程と複数サイクル工程は、従来の近接検出方法と同様のものである。
遷移工程及び加算工程は、1サイクルの駆動に対応した一連の動作を行う1サイクル工程を1回以上繰り返す。
1サイクル工程は、前記送信電極に交流電圧を印加する駆動工程と、前記受信電極に流れ込む電流を増幅する増幅工程と、前記増幅工程の出力を積分する積分復元工程と、振幅を抽出する振幅抽出工程と、リファレンス値と比較する比較工程と、前記増幅工程の利得に帰還をかけるループフィルタ工程と、前記ループフィルタ工程からの利得からノイズを除去する後フィルタ工程を実行する。但し、後フィルタ工程は、加算工程の場合に実行する。
これらの各工程は、順次実行しても良いし、並列処理などにより高速に実行しても良いことは、言うまでもない。
これより本発明による近接検出装置およびその方法を構成する各手段および各工程について、詳細に説明する。
支持手段1の検出領域2には、例えば縦方向の座標に対応する送信電極3と横方向の座標に対応する受信電極4を互いに直交して配置した。しかし、送信電極と受信電極の配置はこの限りでなく、斜交座標や角度と原点からの距離からなる座標など2次元座標に対応するものであればどのように配置しても良い。これらの電極は導電性であり、送信電極と受信電極の交点では絶縁層により両電極が絶縁されているため、電気的に静電結合している。
ここで、説明の便宜上、送信電極は対応する座標値が1からNまでの自然数nになる位置ごとに存在し、対応する送信電極は添え字nによって区別されるものとする。同様に、受信電極は対応する座標値が1からMまでの自然数mになる位置ごとに存在し、対応する受信電極は添え字mによって区別されるものとする。ここで、NおよびMの最小値は1で、この場合は座標軸とは無関係に単に2電極間が接近して配置され静電容量により物体の接近を検出する。
駆動手段5あるいは駆動工程では、周期的な交流電圧を送信電極に印加するようにした。ここでの駆動は、1つの送信電極ごとに駆動する線順次駆動でも、同時に複数の送信電極を駆動するマルチライン駆動でも良い。また、周期的な交流電圧とは、例えば矩形波や正弦波や三角波などである。ただし、各電極はそれ自体に抵抗値と静電容量をもっているために高い周波数は減衰する。このため、送信電極に印加する電圧の周波数は、減衰の小さい周波数にすることが望ましい。
この送信電極nに印加された周期的な交流電圧は、送信電極nと受信電極mとの交点の静電結合を介して、受信電極mに伝達される。このとき、検出面の汚れなど接近した物体自体のインピーダンスが高い場合には、接近した物体を介しての電界により送信電極と受信電極の間の電界を増やすために、送信電極と受信電極の間の静電容量は増加し、受信電極に流れる受信電流も大きくなる。逆に検出対象の人の指など比較的インピーダンスの低い物体が接近した場合には、送信電極からの交流電界を吸収する作用の方が強いために、送信電極と受信電極の間の静電容量は減少し、受信電極に流れる受信電流は小さくなる。従って、汚れと検出対象は、容易に区別される。
ここで、受信電極は、検出対象の交点近傍以外に物体が接近しても影響がないようにするために、仮想接地などにより電圧の変動が抑えられている。このため、受信電極への伝達は、電圧と言うよりはむしろ電流である。つまり、選択された送信電極とある受信電極との交点には、送信電極の電圧と仮想接地の電圧との差と交点の静電容量の積の量の電荷が蓄えられている。送信電極の電圧が変化することにより蓄えられている電荷の量が変化するために、受信電極に受信電流が流れるのである。つまり、受信電流は、駆動波形の電圧変化に応じて流れるため、駆動波形の微分と考えることもできる。そこで、物体が接近すると、交点での交流電界が変化するために静電容量も変化し、受信電極に流れる受信電流も変化する。
増幅手段6あるいは増幅工程では、仮想接地に流れ込む受信電流を増幅するようにした。増幅手段あるいは増幅工程での増幅は、増幅後のレベルが一定になるように制御されるため、利得を変えられるようにしたものである。
増幅手段の一例を、図3を基に説明する。受信電流は、抵抗帰還による演算増幅器31により受信電圧に変換される。ここで、帰還抵抗32は、物体が接近していない場合の静電容量に対応してオフセットとして設定される抵抗と、物体の接近により変化する静電容量に対応して利得として設定される電子ボリームを合成した。物体が接近していない場合の静電容量に対応してオフセットとして設定される抵抗は、利得の分解能を高くするためのもので、必要に応じて設ければよいし、電子ボリュームでも固定抵抗でも良い。これらの電子ボリュームは、図12に示すように複数のスイッチにより複数の抵抗の出力を選択するなど、増幅率を変えられるようなものであればどのようなものを用いても良い。
ここで、図3におけるコンデンサCrは仮想接地の高周波特性を改善するためのもので、必要に応じて付加すれば良い。
増幅手段6あるいは増幅工程で増幅された受信電圧は、積分復元手段7あるいは積分復元工程で積分されて、駆動波形に近い波形に復元される。何故ならば、図8に示すように、駆動波形の変化による受信電流は、送信電極と受信電極の交点をコンデンサと考えると、駆動波形の変化に比例した電荷量を流すため、逆に積分すると復元波形の大きさは駆動波形と交点の静電容量に比例したものになる。従って、受信電流は、送信電極や受信電極の配線抵抗やそれ自体の静電容量により高周波成分が減衰して遅延しているが、この復元により送信電極や受信電極のインピーダンスによる受信電流の周波数特性や位相の影響を取り除くことが出来る。また、この積分により高い周波数のノイズを減衰させることができる。このように、積分復元手段あるいは積分復元工程は、送信電極や受信電極特性やノイズの影響を取り除くためのものであり、必要に応じて設ければよい。
積分復元手段7の一例を図4に示す。増幅手段からの受信電圧は、帰還コンデンサCiを有する演算増幅器33により復元波形に変換される。スイッチSWiは、図8に示すように、受信電流が流れる期間のみオンすることにより、受信電流が流れない時のノイズの影響を排除するためのもので、必要に応じて設ければ良い。コンデンサCiに並列に接続されている抵抗Riは、商用周波数など駆動波形の周波数より充分低い周波数のノイズにより回路を飽和させないようにするためのものである。また、コンデンサCiに並列に接続されているスイッチSWrも、同様の目的で図8に示すように積分前の電圧を初期化するものである。これらの抵抗RiやスイッチSWrは、必要に応じて設ければ良い。
以上に増幅手段6あるいは増幅工程と積分復元手段7あるいは積分復元工程を別々に実施した場合の例を示したが、積分復元手段の帰還コンデンサの静電容量を可変にして利得を制御するなど、増幅手段6あるいは増幅工程の機能と積分復元手段7あるいは積分復元工程の機能をまとめて実現するようにしても良い。また、積分復元手段7あるいは積分復元工程は、必ずしも増幅手段6あるいは増幅工程の後に設ける必要はなく、増幅手段6あるいは増幅工程の前に入れても良い。
振幅抽出手段8あるいは振幅抽出工程では、駆動電圧の立ち上がりによる影響と立下りによる影響あるいは逆相間の影響を減算することにより、低周波ノイズによる検出値への影響を除去して、復元波形の振幅に対応した値を出力する。
振幅抽出手段8の一例を、図5と図8を基に説明する。積分復元手段7で復元された復元波形は、駆動波形の立ち上がりによる受信電流が充分流れきった後にスイッチSWhを一定時間オンすることによりコンデンサChにサンプルホールドする。同様に、駆動波形の立ち下がりによる受信電流が充分流れきった後にスイッチSWlを一定時間オンすることによりコンデンサClにサンプルホールドする。サンプルホールドされた電圧は、ボルテージフォロワでバッファリングされた後に減算するようにした。ここで、抵抗Rh,Rlは、サンプリング期間中の高周波ノイズの影響を減少させるためのものであり、必要に応じて設ければ良い。
以上に積分復元手段の積分と振幅抽出手段のサンプリングを別々に構成した場合の例を示したが、例えば駆動波形の立ち上がりと立下りごとに積分復元手段を設けてそれらの入力にスイッチSWh,SWlを設けるようにすれば、積分手段にサンプルホールド機能ができるので、振幅抽出手段のサンプルホールド回路は不要となる。
比較手段9あるいは比較工程では、復元波形の振幅をリファレンス値と比較する。リファレンス値は、回路の動作電圧範囲やノイズ等の影響を考慮した値に設定すれば良い。比較手段9は図6に示すように大小関係のみを判定しても良いが、減算によりその差を抽出したり除算によりその比率を抽出したりするなど、復元波形をリファレンス値に近づけるためにそれらの関係を抽出するものであればどのようなものを用いても良い。
単に大小関係のみを判定すると、インパルスノイズのように一瞬大きなノイズが印加された場合でも僅かな影響しか受けないため、応答速度が許容できる限り望ましい。一瞬の大きなノイズの影響を軽減しつつ応答速度を早くするには、比較結果にリミッタを設けて、物体の接近による変化に充分追従できる程度に制限すれば良い。
ループフィルタ手段10あるいはループフィルタ工程では、比較手段9での比較結果を入力し、フィルタ処理を行って、前記増幅手段6の利得に帰還をかける。ループフィルタの目的は、このフィードバックループの安定性を確保することなので、フィードバックループ内のどこに設けても良い。また、増幅手段6に出力する利得は、増幅後の値が一定になるように制御するため、通常受信電流の大きさに反比例した値である。
ループフィルタ手段10の一例は、例えば図6に示すように、比較手段9からの比較結果が大小関係の場合にはカウンタ21の値を増減することにより、利得を出力するようにした。復元波形の振幅がリファレンス値より大きい比較結果の場合は、カウンタの値を1小さくして、増幅手段への利得を小さくする。復元波形の振幅がリファレンス値より小さい比較結果の場合は、その逆である。カウンタの値の増減は、図8に示すように、比較手段での比較が確定した後に行うようにした。同様に比較手段で減算を行った場合などには、例えば減算結課の差に応じて利得を増減すればよい。
利得の初期値は、前回の複数サイクル工程で得られた利得を設定するようにすれば、遷移期間を短くすることができる。あるいは、前回の後フィルタの出力から初期値を求めるようにしても良い。また、通常物体の接近はノイズよりはるかに遅いため、例えばループフィルタ手段に加減する量を変えて、遷移期間はループゲインを高くして高速に遷移させて、加算期間は短時間ノイズの影響を抑えるためループゲインを小さくするなど、複数サイクル工程の中でループゲインを変えられるようにしても良い。
ループフィルタ手段10やループフィルタ工程はこの限りでなく、フィードバックループを安定させるものであればどのように実現しても良い。
後フィルタ手段11あるいは後フィルタ工程では、利得の推移をフィルタ処理することにより、ノイズを除去した受信電極と送信電極の交点の静電容量に対応した値を出力する。
このための後フィルタ手段11の一例は、例えば図7及び図8に示すように、加算期間の利得を加算して合計値を演算して静電容量に対応した値を求めるようにした。ここで、合計値は、加算前にクリアしておくようにした。加算期間は、図10に示すように、利得が収束するまでの遷移期間が終了してから測定が終了するまでの期間とした。後フィルタ手段11は、合計値を計算する例を示したが、平均を演算したりローパスフィルタを用いたりするなど、ノイズを除去できるものであればどのようなフィルタ処理を行っても良い。
後フィルタ手段11あるいは後フィルタ工程は、ノイズの影響を改善するために必要なので、必要に応じて設ければよい。但し、後フィルタ手段を用いない場合は、加算期間あるいは加算工程は不要であり、遷移期間あるいは遷移工程にて収束した利得が近接演算手段で用いられる。
近接演算手段12あるいは近接演算工程では、後フィルタ手段11で得られた2次元の座標に対応した電極の各交点の静電容量に対応した値あるいはその推移から、検出対象の物体の接近と位置を計算する。
制御手段13あるいは制御工程では、全体動作の状態及び工程を管理する。
以上に、積分復元手段7あるいは積分復元工程,振幅抽出手段8あるいは振幅抽出工程を用いた場合の例を説明したが、これらは必ずしも必要ではなく、これらがない場合の動作について、図9を基に説明する。この場合には、受信電流を増幅手段で増幅して得られた受信電圧は、駆動波形が立ち上がってから一定時間遅延したタイミングでリファレンス電圧と比較して、比較結果によりループフィルタのカウンタを加減するようにすれば、比較するタイミングの受信電圧がリファレンス電圧に近づくように利得が収束し、交点の静電容量に対応した値として検出されるように動作する。
以上に、線順次走査の場合のように駆動波形と復元波形が同相の場合の例について説明したが、マルチライン走査の場合には駆動波形と復元波形が逆相になる場合がある。このような場合には、利得の値がマイナスの値になる場合があるため、例えば図13に示すように、増幅手段などに符号により反転する符号回路を付加するなど、符号が負の場合にも対応できるようにすれば良い。
以上に、増幅手段の電子ボリュームによってデジタルの利得からアナログの抵抗値に変換し、比較手段によりアナログ値からデジタル値に変換することによりループフィルタをデジタル回路にて実現した場合の例を説明したが、電子ボリームをFETで構成して比較手段やループフィルタ手段や増幅手段までもアナログで処理して近接演算手段に入力する前にアナログ・デジタル変換するなど、アナログ回路とデジタル回路の境界はこの限りではない。
さらに、利得にオフセットを加えた値は、交点の静電容量に反比例した値であるが、近接演算手段あるいは近接演算工程で交点の静電容量に比例した値が必要な場合には、容易に変換できることは言うまでもない。
以上に示したように本発明によると、透明な近接検出装置を液晶表示装置などに重ねて使用する場合に課題となる液晶駆動のライン反転交流化などで発生する短時間の大きなノイズがあっても比較手段で大小関係を比較したり、比較結果にリミッタを設けたりすることにより、ノイズの影響を大幅に緩和させることが出来る。
また、本発明によれば、従来減算回路により実現していたオフセット除去機能を簡単な電子ボリュームのみで実現したり、増幅後の信号の大きさが一定になるように自動的に制御しながら動作するためレンジ設定のためのパラメータが不要であったり、乗算が不要になるなど、比較的簡単な回路等で実現することが出来る。
1 支持手段
2 検出領域
3 送信電極
4 受信電極
5 駆動手段
6 増幅手段
7 積分復元手段
8 振幅抽出手段
9 比較手段
10 ループフィルタ手段
11 後フィルタ手段
12 近接演算手段
13 制御手段
21 カウンタ
31、33 演算増幅器
32 帰還抵抗
2 検出領域
3 送信電極
4 受信電極
5 駆動手段
6 増幅手段
7 積分復元手段
8 振幅抽出手段
9 比較手段
10 ループフィルタ手段
11 後フィルタ手段
12 近接演算手段
13 制御手段
21 カウンタ
31、33 演算増幅器
32 帰還抵抗
Claims (19)
- 物体の接近を検出する近接検出装置であって、
1つ以上の送信電極と1つ以上の受信電極を有する支持手段上の検出領域と、
前記送信電極に周期的な交流電圧を印加する駆動手段と、
前記受信電極を仮想接地して流れ込む電流を増幅するとともに電圧に変換する増幅手段と、
前記増幅手段の出力をリファレンス値と比較する比較手段と、
前記比較手段の比較結果を用いて前記増幅手段の出力の大きさが前記リファレンス値に近づくように前記増幅手段の利得に帰還をかけるループの安定性を確保するループフィルタ手段と、
前記検出領域への物体の接近判定或いは接近位置を求める近接演算手段と、
全体のステータス及びシーケンスを管理する制御手段と、
を有することを特徴とする近接検出装置。 - 前記増幅手段の入力もしくは出力を積分する積分復元手段をさらに有することを特徴とする請求項1に記載の近接検出装置。
- 前記増幅手段の出力もしくは前記積分復元手段の出力から振幅に対応する値を抽出する振幅抽出手段をさらに有することを特徴とする請求項1または2に記載の近接検出装置。
- 前記増幅手段の利得に対応した値からノイズを除去する後フィルタ手段をさらに有することを特徴とする請求項1に記載の近接検出装置。
- 前記増幅手段は、演算増幅器の出力から負の入力への帰還パラメータを変化させることにより増幅率を制御可能なことを特徴とする請求項1に記載の近接検出装置。
- 前記帰還パラメータは、前記検出領域に物体が接近していない場合の増幅率に対応するパラメータと物体の接近により変化する増幅率に対応するパラメータの合成であることを特徴とする請求項5に記載の近接検出装置。
- 前記積分復元手段は、その入力に前記受信電極に電流が流れ込む間にオンするスイッチ
を有することを特徴とする請求項2に記載の近接検出装置。 - 前記積分復元手段は、演算増幅器と前記演算増幅器の出力から負の入力に帰還をかける蓄電手段とを有することを特徴とする請求項2に記載の近接検出装置。
- 前記積分復元手段は、前記蓄電手段の両端を短絡するスイッチを有することを特徴とする請求項8に記載の近接検出装置。
- 前記振幅抽出手段は、サンプルホールド手段と減算手段とを有することを特徴とする請求項3に記載の近接検出装置。
- 前記比較手段は、比較器もしくは減算器もしくは除算器を有することを特徴とする請求項1に記載の近接検出装置。
- 前記ループフィルタ手段は、保持手段と増減手段とを有することを特徴とする請求項1に記載の近接検出装置。
- 前記後フィルタ手段は、保持手段と加算手段を有することを特徴とする請求項4に記載の近接検出装置。
- 前記ループフィルタが出力する利得は、符号付きであることを特徴とする請求項1に記載の近接検出装置。
- 物体の接近を検出する近接検出方法であって、
支持手段上の検出領域に配置された送信電極に周期的な交流電圧を印加する駆動工程と、前記送信電極と静電結合している受信電極を仮想接地して流れ込む電流を増幅するとともに電圧に変換する増幅工程と、前記増幅工程の出力をリファレンス値と比較する比較工程と、前記比較工程の比較結果を用いて前記増幅工程の出力の大きさが前記リファレンス値に近づくように前記増幅工程の利得に帰還をかけるループの安定性を確保するループフィルタ工程と、を有する1サイクル工程を複数含む多数サイクル工程と
前記検出領域への物体の接近判定或いは接近位置を求める近接演算工程と、
からなることを特徴とする近接検出方法。 - 前記多数サイクル工程は、前記1サイクル工程を含む遷移工程と、前記1サイクル工程を含む加算工程とからなることを特徴とする請求項15に記載の近接検出方法。
前記増幅工程の入力もしくは出力を積分する積分復元工程を前記1サイクル工程にさらに有することを特徴とする請求項15に記載の近接検出方法。 - 前記増幅工程の出力もしくは前記積分復元工程の出力から振幅に対応する値を抽出する振幅抽出工程を前記1サイクル工程にさらに有することを特徴とする請求項15または16に記載の近接検出方法。
- 前記増幅工程の利得に対応した値からノイズを除去する後フィルタ工程を前記加算工程に含まれる前記1サイクル工程にさらに有することを特徴とする請求項16に記載の近接検出工程。
- 前記複数サイクル工程において、前記ループフィルタ工程の出力から前記増幅工程の増幅率に帰還をかけるフィードバックループのループゲインを変化させることを特徴とする請求項15に記載の近接検出方法。
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JP2008215119A JP2010049608A (ja) | 2008-08-25 | 2008-08-25 | 近接検出装置および近接検出方法 |
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