JP2010049045A - 天体望遠鏡架台 - Google Patents

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Abstract

【課題】経緯台と赤道儀の両方の機能を組み合わせることができ、かつ、安定性に優れ、小型化が可能な天体望遠鏡架台を提供する。
【解決手段】天体望遠鏡2は、水平軸回りに回転自在に上部架台11に支持され、上部架台11は、鉛直軸11b回りに回転自在に下部架台12に支持されている。下部架台12に設置されている部分ウオームホイール16は、ウオームギア17により減速駆動され、回転軸Pを中心に回転し、その結果、下部架台12が極軸12c回りに回転する。支持ローラ15Rは、部分ウオームホイール16およびウオームギア17と回転軸P方向の異なる位置において、ローラ当たり面12eに接するように設置され、下部架台12の極軸12cのラジアル方向の荷重を支え、下部架台12の極軸12c回りの回転に伴い転動する。本発明は、例えば、天体望遠鏡架台に適用できる。
【選択図】図2

Description

本発明は、天体望遠鏡架台に関し、特に、経緯台と赤道儀の両方の機能を組み合わせることが可能な天体望遠鏡架台に関する。
図12は、特許文献1に記載されている従来の赤道儀の一例を示している。なお、図12の左が赤道儀201の正面図であり、右が赤道儀201の側面図である。ここで、赤道儀201について簡単に説明する。
傾斜台220は、傾斜台面221、リブ222およびベースプレート223により構成され、傾斜台面221に対する垂線が地球の自転軸と平行になるように傾斜させて使用する。
円弧ステージ210は、傾斜プレート211、天体望遠鏡を設置する搭載台212、および、両者を結合するリブ213により構成される。傾斜プレート211の下端部には、歯車としての円弧円周面211aが形成されており、傾斜台面221に設置されている歯車231と噛合する。また、傾斜プレート211の中央部分には、円弧型のスリット211bが形成されている。
円弧ステージ210は、傾斜台面221に配置した3点の支持軸受け224A乃至224Cにより支持されるとともに、スリット211bを貫通するように設けられた押さえネジ225A,225Bにより、傾斜台面221上に保持されている。また、押さえネジ225A,225Bのスリット211bの円弧内周面と接触する面には、支持ローラが形成されている。
以上の構成により、歯車231を軸回りに回転させると、傾斜プレート211(円弧ステージ210)が、傾斜台面221の支持軸受け224A乃至224Cに密着した状態で、円弧円周面211aの仮想中心軸(図12内の極軸)回りに回転する。
また、赤道儀201では、搭載台212に天体望遠鏡だけでなく、経緯台を設置することにより、経緯台と赤道儀の両方の機能を組み合わせることが考えられる。
特開2007−72278号公報
ところで、赤道儀201の極軸回りの回転精度を上げるためには、円弧円周面211aの仮想半径を大きくする必要があり、それに合わせて傾斜プレート211の縦方向の寸法が大きくなる。しかしながら、傾斜プレート211の縦方向の寸法が大きくなり、赤道儀201の高さが高くなると、安定性が悪くなり、倒れやすくなる。搭載台212に天体望遠鏡や経緯台を設置した場合、さらに安定性は悪化する。そのため、安定性を保つために、傾斜台220を大きくしたり、重くしたりする必要が生じる。また、押さえネジ225A,225Bだけでは、傾斜プレート211を傾斜台220上に保持することが困難になり、他の保持機構を設ける必要が生じる。
本発明は、このような状況に鑑みてなされたものであり、経緯台と赤道儀の両方の機能を組み合わせることができ、かつ、安定性に優れ、小型化が可能な天体望遠鏡架台を提供できるようにするものである。
本発明の一側面の天体望遠鏡架台は、水平軸および鉛直軸の2軸回りに回転自在な経緯台が設置され、前記水平軸に対して観測地点の緯度と同じ角度だけ傾斜した回転軸を中心に回転する台と、前記台の周面に当接し、前記台の前記回転軸回りの回転を駆動する駆動機構と、前記台の下側周面に当接し、前記台の前記回転軸のラジアル方向の荷重を支え、前記台の前記回転軸回りの回転に伴い転動するローラとを備え、前記ローラと前記駆動機構とが、前記回転軸の方向において異なる位置に設置されている。
本発明の一側面においては、経緯台が設置された台が駆動機構により回転軸回りに回転し、前記回転軸の方向において前記駆動機構と異なる位置に設置されているローラにより、前記台の前記回転軸のラジアル方向の荷重が支えられ、前記台の前記回転軸回りの回転に伴い前記ローラが転動する。
本発明の一側面によれば、経緯台と赤道儀の両方の機能を組み合わせることができ、かつ、安定性に優れ、小型化が可能な天体望遠鏡架台を提供することができる。
以下、図面を参照して本発明を適用した実施の形態について説明する。
図1乃至図7は、本発明を適用した天体望遠鏡用の架台の一実施の形態を示している。図1は、架台1および天体望遠鏡2の側面図である。図2は、架台1および天体望遠鏡2を横から見た中心断面図である。図3は、架台1および天体望遠鏡2の正面図である。図4は、架台1および天体望遠鏡2の平面図、および、架台1を極軸回りに回転させるための駆動部の平面図である。図5は、架台1および天体望遠鏡2を極軸方向から見た図である。図6は、架台1を極軸方向から見たときのウオームギア17付近における断面図である。図7は、架台1を極軸方向から見たときの支持ローラ15L,15R付近の断面図である。
なお、図1の左側が架台1および天体望遠鏡2の前側であり、右側が後ろ側である。また、以下、架台1を正面から見て左側(図3の左側)を架台1の右側とし、右側(図3の右側)を架台1の左側とする。
架台1は、上部架台11、下部架台12、ベース部13、三脚14、支持ローラ15L,15R、部分ウオームホイール16、および、ウオームギア17により構成される。
上部架台11の左右の支柱11aL,11aRは、図示せぬ軸受けおよび鉛直回転駆動系が設けられ、天体望遠鏡2の左右の水平軸2L,2Rを回転自在に支持している。すなわち、天体望遠鏡2は、水平軸2L,2R回りに回転自在に上部架台11に支持されている。
上部架台11の下部には、鉛直軸11bが形成されている。鉛直軸11bは、下部架台12に形成されている軸受け12aに嵌合され、回転自在に支持されている。すなわち、上部架台11は、鉛直軸11b回りに回転自在に下部架台12に支持されている。
以上の構成により、水平軸2L,2Rおよび鉛直軸11bの2軸回りに回転自在な経緯台が構成され、天体望遠鏡2を上下方向および左右方向に回転させることができる。
下部架台12の面12bの上部には、極軸12cが面12bに対して垂直に突出するように形成されている。極軸12cは、ベース部13に形成されている、極軸12cとほぼ同じ径の軸受け13aを貫通するように嵌合され、回転自在に支持されている。すなわち、下部架台12は、極軸12c回りに回転自在にベース部13に支持されている。
また、極軸12cの端部には、軸受け13aの径より大きい径のフランジ12dが形成されている。軸受け13aの両端は、下部架台12の面12bとフランジ12dにより挟まれている。従って、下部架台12の極軸12cのスラスト方向の荷重は、面12bおよびフランジ12dを介して、ベース部13により支えられ、極軸12cのスラスト方向の位置が安定する。
なお、架台1を使用する場合、極軸12cを、その延長線上に天の北極または天の南極が来るように、水平軸2L,2Rに対して観測地点の緯度とほぼ同じ方向に傾けた状態で使用する。例えば、観測地点が東京である場合、水平軸2L,2Rに対して約35°の方向に向くように極軸12cを傾けて使用する。
下部架台12の前方側周面には、下部架台12の極軸12c回りの回転を駆動する駆動機構として、円弧状の部分ウオームホイール16およびウオームギア17が設けられている。部分ウオームホイール16は、極軸12cの中心の延長線(以下、回転軸Pと称する)上に回転中心が位置するように下部架台12に設置されている。ウオームギア17は、ベース部13に設置され、部分ウオームホイール16を減速駆動する。従って、ウオームギア17を軸回りに回転することにより、部分ウオームホイール16が、回転軸Pを中心に回転し、その結果、下部架台12が極軸12c回りに回転する。
部分ウオームホイール16の弧の長さは、架台1が極軸12c回りに天体を追尾することが可能な時間である追尾可能時間の仕様により決定される。例えば、追尾可能時間が2時間に設定される場合、部分ウオームホイール16の弧の長さは、2×R×(30°/360°)となる。なお、Rは、部分ウオームホイール16の外周と回転軸Pとの間の距離、すなわち、部分ウオームホイール16の回転半径の長さである。
下部架台12の中央側周面には、回転軸Pを中心とする円弧状の面であって、回転軸Pに平行なローラ当たり面12eが形成されている。従って、ローラ当たり面12eは、下部架台12の極軸12c回りの回転に伴い、回転軸Pを中心に回転する。
そのローラ当たり面12eに接するように、支持ローラ15L,15Rがベース部13に設置されている。従って、支持ローラ15L,15Rは、下部架台12の極軸12cのラジアル方向の荷重を支え、下部架台12の極軸12c回りの回転に伴い転動する。この支持ローラ15L,15Rにより、極軸12cのラジアル方向の位置が安定するとともに、下部架台12が極軸回りに滑らかに回転するようになる。なお、本実施の形態では、支持ローラの数を2個とする例を示しているが、3個以上設けるようにしてもよい。
以上の構成により、極軸12c回りに回転可能な赤道儀が構成され、天体望遠鏡2を極軸回りに回転させることができる。
そして、ベース部13が三脚14上に固定されている。
ところで、図12の赤道儀201では、傾斜プレート211の回転軸(極軸)のラジアル方向およびスラスト方向の荷重を支える押さえネジ225A,225Bと、傾斜プレート211の極軸回りの回転を駆動する駆動機構である円弧円周面211aおよび歯車231とが、極軸を中心とするほぼ同一の平面上に存在する。換言すれば、押さえネジ225A,225Bと、円弧円周面211aおよび歯車231とが、極軸方向においてほぼ同じ位置に設置されている。
一方、架台1では、下部架台12の極軸12cのラジアル方向の荷重を支える支持ローラ15L,15Rと、下部架台12の極軸12c回りの回転を駆動する駆動機構である部分ウオームホイール16およびウオームギア17とが、回転軸Pを垂線とする同一の平面上に存在せず、異なる平面上に存在する。換言すれば、支持ローラ15L,15Rと、部分ウオームホイール16およびウオームギア17とが、回転軸P方向において異なる位置に設置されている。
従って、架台1では、支持ローラ15L,15Rとウオームギア17とをほぼ同じ高さに設定することができる。その結果、架台1の下部架台12の高さを、同じ機能を有する赤道儀201の円弧ステージ210より低くすることができ、架台1の安定性を向上させることができる。
また、架台1では、鉛直軸11bを支える軸受け12aを下部架台12に形成し、経緯台と赤道儀とを一体化する構成としている。これにより、小型化が可能になるとともに、架台1の重心を低くし、安定性を向上させることができる。
さらに、以上のように架台1の安定性が向上するのに伴い、架台1のバランスを保つための部品の削減、小型化および軽量化が可能になり、架台1を小型化することができる。
また、極軸12cが、極軸12cの端部とローラ当たり面12eの仮想中心(回転中心)の二カ所で支持される。従って、極軸12cの長さが短くても、極軸12cを長くして両端を支える場合と同様の安定性を実現することができる。
さらに、架台1では、下部架台12の極軸12cのラジアル方向の荷重を支持ローラ15L,15Rにより支えることにより、ベース部13の軸受け13aには、下部架台12の面12bおよびフランジ12dを介して、ほぼスラスト方向の荷重のみが作用する。従って、極軸12cの安定性を向上させるために予圧を与える機構を設ける必要がなく、架台1を小型化することができる。また、部分ウオームホイール16にかかる荷重を低減することができ、部分ウオームホイール16の精密駆動を可能にすることができる。
また、下部架台12において、部分ウオームホイール16の方が、ローラ当たり面12eより前に設けられている。換言すれば、下部架台12が極軸12c回りに回転する場合に、下部架台12の駆動機構により駆動される部分、すなわち、部分ウオームホイール16が設けられている部分と回転軸Pまでの距離が、支持ローラ15L,15Rにより支持されるローラ当たり面12eの回転軸Pまでの距離より大きくなる位置に設定されている。これにより、部分ウオームホイール16の回転半径Rを長く設定することができ、その結果、下部架台12の極軸12c回りの回転精度を向上させることができる。
例えば、R=150mmとし、回転精度をδ秒(角度)とした場合、ウオームギア17の送り精度は、300mm×tanδとなる。従って、送り精度を1×10-3mmとした場合、回転精度δ=0.7秒(角度)となる。なお、回転精度を向上させるためには、部分ウオームホイール16を下部架台12のできるだけ前側に設置し、回転半径Rをできるだけ長く設定するのが望ましい。
なお、架台1において、極軸12cの代わりに、Poncet式赤道儀やGee式赤道儀(例えば、米国特許第5062699号明細書参照)のようにピボットを設けたり、ベース部13に案内溝等を設けたりして、回転軸を実際に設けずに、下部架台12が回転軸P回りに回転するような構成にするようにしてもよい。
次に、図8を参照して、架台1の制御系について説明する。図8は、架台1の制御系の一実施の形態を示すブロック図である。架台1の制御系は、ユーザコントロールコンピュータ101、メインコンピュータ102、極軸回転モータ103、極軸ロータリエンコーダ104、水平軸回転モータ105、水平軸ロータリエンコーダ106、鉛直軸回転モータ107、および、鉛直軸ロータリエンコーダ108を含むように構成される。
ユーザコントロールコンピュータ101は、図示せぬ入力部を介して入力されるユーザからの各種の指令および情報を取得する。また、ユーザコントロールコンピュータ101は、図示せぬ時計から現在の時刻を示す情報を取得する。さらに、ユーザコントロールコンピュータ101は、メインコンピュータ102から、現在の架台1の向きを示す情報を取得する。ユーザコントロールコンピュータ101は、ユーザからの各種の指令および情報、現在の時刻、および、現在の架台1の向きに基づいて、必要に応じて架台1の向き(後述する仰角、方位角、極軸角)の制御指令をメインコンピュータ102に供給する。
メインコンピュータ102は、ユーザコントロールコンピュータ101からの制御指令、極軸ロータリエンコーダ104により検出される極軸12cの回転角(以下、極軸角と称する)、水平軸ロータリエンコーダ106により検出される天体望遠鏡2の水平軸2L,2Rの回転角(以下、仰角と称する)、および、鉛直軸ロータリエンコーダ108により検出される鉛直軸11bの回転角(以下、方位角と称する)に基づいて、極軸回転モータ103、水平軸回転モータ105、および、鉛直軸回転モータ107を制御することにより、架台1の向きを制御する。
なお、以下、架台1の極軸角を、鉛直軸11bが観測地点の天頂の方向を向いているとき、換言すれば、観測地点における水平面に対して鉛直軸11bが鉛直方向を向いているときの極軸12cの位置を基準(0°)にして、天体の日周運動に追尾して回転させる方向を正の方向とする極軸12cの回転角により表す。例えば、北半球の場合、下部架台12が東側に傾く方向(図5において、下部架台12および天体望遠鏡2が左側に傾く方向)が負の方向であり、西側に傾く方向(図5において、下部架台12および天体望遠鏡2が右側に傾く方向)が正の方向である。従って、追尾可能時間が2時間に設定されている場合、極軸角は、−15°〜+15°の範囲内で回転する。なお、以下、下部架台12が負の方向に最大に傾いた状態を初期状態と称する。
また、以下、架台1の仰角を、天体望遠鏡2が鉛直軸11bに対して垂直な方向を向く角度を基準(0°)にして、天体望遠鏡2が上を向く方向を正の方向、下を向く方向を負の方向とする角度により表す。従って、天体望遠鏡2が鉛直軸11bに平行かつ上方向を向いている場合の仰角は+90°となり、天体望遠鏡2が鉛直軸11bに平行かつ下方向を向いている場合の仰角は−90°となる。
さらに、以下、架台1の方位角を、観測地点において鉛直軸11bが天頂の方向を向いている場合に、天体望遠鏡2が真南を向く方向を基準(0°)とする西回り(架台1を上から見た場合の時計回り)の角度により表すものとする。
極軸回転モータ103は、メインコンピュータ102の制御の基に、ウオームギア17を回転させることにより、下部架台12を極軸12c回りに回転させる。
極軸ロータリエンコーダ104は、極軸12aの回転角(極軸角)を検出し、検出結果を示す信号をメインコンピュータ102に供給する。
水平軸回転モータ105は、メインコンピュータ102の制御の基に、上部架台11の支柱11aL,11aRに設けられている鉛直回転駆動系(不図示)を回転させることにより、天体望遠鏡2を水平軸2L,2R回りに回転させる。
水平軸ロータリエンコーダ106は、水平軸2L,2Rの回転角(仰角)を検出し、検出結果を示す信号をメインコンピュータ102に供給する。
鉛直軸回転モータ107は、メインコンピュータ102の制御の基に、下部架台12に設けられている水平回転駆動系(不図示)を回転させることにより、上部架台11を鉛直軸11b回りに回転させる。
鉛直軸ロータリエンコーダ108は、鉛直軸11bの回転角(方位角)を検出し、検出結果を示す信号をメインコンピュータ102に供給する。
ところで、ユーザコントロールコンピュータ101が所定のアプリケーションプログラムを実行することにより、架台1は、天体の自動導入および自動追尾を行うことが可能である。
ここで、天体の自動導入とは、ユーザが、例えば、木星やアンドロメダ星雲などの目標とする天体(以下、目標天体と称する)をユーザコントロールコンピュータ101に指令すると、ユーザコントロールコンピュータ101が、天体望遠鏡2の視野の所定の位置(例えば、中央)に目標天体が来る架台1の経緯台の向き(方位角および仰角)を算出し、メインコンピュータ102が、算出された向きに架台1を向けるように制御する機能である。また、天体の自動追尾とは、目標天体の日周運動に追従して所定の間隔で、ユーザコントロールコンピュータ101が、天体望遠鏡2の視野の所定の位置(例えば、中央)に目標天体が来る架台1の向き(極軸角)を算出し、メインコンピュータ102が、算出された向きに架台1を向けるように制御する機能である。
ユーザコントロールコンピュータ101には、天体の自動導入および自動追尾を実行するために、各天体の赤道座標を表すデータベースが予め記憶されている。なお、赤道座標とは、天体の座標を赤経と赤緯の2つの値により表す赤道座標系における座標である。
ここで、図9乃至図11を参照して、架台1の天体の自動導入の処理についてさらに詳しく説明する。
図9は、天球座標系の1つである地平座標系を、観測地点における真南の方向をX軸、真東の方向をY軸、天頂方向をZ軸とする直交座標系により表した図である。なお、以下、図9の地平座標系における天体の地平座標を(x,y,z)で表す。
図10は、天球座標系の1つである赤緯時角座標系を、赤道面の真南の方向をX’軸、赤道面の真東の方向をY’軸、天の南極と天の北極を結ぶ極軸方向をZ’軸とする直交座標系により表した図である。なお、以下、図10の赤緯時角座標系における天体の赤緯時角座標を(x',y',z')で表す。
図11は、天球座標系の1つである赤道座標系を、赤経の0時の方向(春分点の方向)をX”軸、赤経の6時(90°)の方向をY”軸、極軸方向をZ”軸とする直交座標系により表した図である。なお、以下、図11の赤道座標系における天体の赤道座標を(x'',y'',z'')で表す。
赤緯時角座標系は、地平座標系を、Y軸を中心に(90°−観測地点の緯度Ψ)だけ回転した座標系なので、以下の式(1)により、地平座標(x,y,z)を赤緯時角座標(x',y',z')に変換することができる。
Figure 2010049045
また、赤道座標系は、赤緯時角座標系を、Z’軸を中心に地方恒星時Θだけ回転した座標系なので、以下の式(2)により、赤緯時角座標(x',y',z')を赤道座標(x'',y'',z'')に変換することができる。
Figure 2010049045
ここで、地方恒星時Θは、以下の式(3)により定義される。
Θ=ΘGO+1.002738UT−λ ・・・(3)
なお、ΘGOは、世界時UTにおけるグリニッジ恒星時を示し、λは観測地点の経度を示している。
ここで、天体の赤道座標を(赤経α,赤緯δ)、地平座標を(方位角A,仰角h)、時角をH(=Θ−α)とした場合、上述した回転変換行列(1)および(2)と、球面三角法を用いて、以下の方程式(4)乃至(6)が得られる。
coshsinA=−cosδsinH ・・・(4)
coshcosA=cosΨsinδ−sinΨcosδcosH ・・・(5)
sinh=sinΨsinδ+cosΨcosδcosH ・・・(6)
なお、方位角Aは、観測地点の真南を基準(0°)とする西回りの角度により表される。また、仰角hは、天体と地平線との間の角距離により表され、天頂方向が+90°となり、天底方向が−90°となる。
この方程式(4)乃至(6)を、赤道座標と地平座標を相互変換するための変換式として用いることにより、天体の赤道座標(α,δ)と地平座標(A,h)を相互変換することが可能になる。従って、目標天体の赤道座標(α,δ)、並びに、観測地点の緯度Ψ、経度λおよび時刻から、その時刻の観測地点における天体の地平座標(A,h)を求めることができる。
一般的な経緯台の場合、目標天体の赤道座標を地平座標に変換し、変換した地平座標の方向に経緯台を向けることにより、目標天体を導入することが可能である。しかし、架台1の場合、下部架台12の極軸12c回りの回転に伴い、鉛直軸11bが、回転軸Pに対して傾斜した状態で回転軸Pを中心にして回転する。そのため、鉛直軸11bが天頂方向からずれてしまい、鉛直軸11bを天頂方向とした場合の見かけの地平座標系(以下、経緯台座標系と称する)と、実際の地平座標系との間にズレが生じる。従って、鉛直軸11bが天頂方向からずれている場合、目標天体の地平座標(A,h)の方向に架台1の経緯台を向けても、目標天体を導入することができない。
これに対して、求めた地平座標(A,h)を、地平座標系のZ軸を鉛直軸11bに一致するように回転させた経緯台座標系における座標に変換し、変換した座標の方向に、架台1の経緯台を向けることが考えられる。しかし、この場合、赤道座標から地平座標に変換するのと同等の座標変換をさらに追加して行う必要があり、演算量が増加する。そのため、制御の遅れが生じないように、メインコンピュータ102の処理能力を高くする必要が生じ、コストアップや、消費電力の増大を招いてしまう場合がある。
ところで、地平座標系は、地球の自転に伴い極軸を中心に東回りに回転する。従って、極軸と一致する回転軸P(極軸12c)回りに回転する経緯台座標系は、現在の時刻からその回転量に応じた時間だけずれた時刻における地平座標系と一致する。
例えば、架台1の極軸角が+15°の場合、架台1の鉛直軸11bは、観測地点の1時間前の天頂方向と一致し、経緯台座標系は、現在の時刻から1時間前の地平座標系と一致する。また、架台1の極軸角が−15°の場合、架台1の鉛直軸11bは、観測地点の1時間後の天頂方向と一致し、経緯台座標系は、現在の時刻から1時間後の地平座標系と一致する。
従って、観測地点の天頂方向が鉛直軸11bと一致する時刻(以下、補正時刻と称する)における目標天体の地平座標を算出し、算出した地平座標の方向に架台1の経緯台を向けることにより、目標天体を導入することが可能になる。
ここで、天体の自動導入時の架台1の制御系の処理の具体例について説明する。
ユーザコントロールコンピュータ101は、ユーザにより入力された目標天体を示す情報、および、観測地点の経度λおよび緯度Ψを示す情報を取得する。なお、観測地点の経度λおよび緯度Ψは、架台1にGPS(Global Positioning System)受信機を設けて測定するようにしてもよい。ユーザコントロールコンピュータ101は、上述したデータベースに基づいて、ユーザにより指定された目標天体の赤道座標(α,δ)を求める。また、ユーザコントロールコンピュータ101は、図示せぬ時計から現在の時刻を示す情報を取得し、地方恒星時Θを算出する。さらに、ユーザコントロールコンピュータ101は、極軸ロータリエンコーダ104から、極軸12cの回転角である極軸角を示す信号を取得する。
次に、ユーザコントロールコンピュータ101は、極軸角をθとした場合、以下の式(7)に基づいて、補正時刻と現在の時刻との間の時間のズレtを算出する。
t=−θ÷15 ・・・(7)
次に、ユーザコントロールコンピュータ101は、以下の式(8)に基づいて、補正時刻における目標天体の時角である補正時角H’を算出する。
H’=Θ−α+t ・・・(8)
最後に、ユーザコントロールコンピュータ101は、方程式(4)乃至(6)に、目標天体の現在の時角Hの代わりに補正時角H’を適用することにより、補正時刻における目標天体の地平座標(A’,h’)を算出する。すなわち、以下の方程式(9)乃至(11)に基づいて、補正時刻における目標天体の地平座標(A’,h’)を算出する。
cosh’sinA’=−cosδsinH’ ・・・(9)
cosh’cosA’=cosΨsinδ−sinΨcosδcosH’ ・・・(10)
sinh’=sinΨsinδ+cosΨcosδcosH’ ・・・(11)
ユーザコントロールコンピュータ101は、補正時刻における目標天体の地平座標(A’,h’)を示す情報をメインコンピュータ102に供給する。
メインコンピュータ102は、架台1の経緯台を座標(A’,h’)の方向に向けるように制御する。すなわち、メインコンピュータ102は、水平軸回転モータ105および鉛直軸回転モータ107を制御して、架台1の方位角をA’に設定し、仰角をh’に設定する。
これにより、経緯台の傾きに関わらず、一般的な経緯台とほぼ同じ計算量により、目標天体の自動導入を正確に行うことができる。
従って、水平軸および鉛直軸の2軸回りに回転自在な経緯台が設けられ、経緯台が極軸を中心に回転可能な天体望遠鏡架台の天体の自動導入を制御する天体望遠鏡架台制御装置において、極軸の回転角を検出する検出手段と、検出された極軸の回転角に基づいて、観測地点における天頂の方向が経緯台の鉛直軸と一致する時刻である補正時刻における天体の地平座標を算出する算出手段と、補正時刻における天体の地平座標の方向に経緯台の向きを制御する方向制御手段とを含むことを特徴とする天体望遠鏡架台制御装置により、この様な効果をもたらすことができる。特に、算出手段は、天体の赤道座標を地平座標に変換する変換式に、天体の現在の時角の代わりに補正時刻における天体の時角を適用することにより、補正時刻における天体の地平座標を算出することで、処理が軽い計算で目標天体の捕捉が可能となる。
また、上述したように、目標天体の自動追尾は、極軸12cを回転させ極軸角を制御することにより行われる。これにより、例えば、日周運動に合わせて目標天体を追尾しながら長時間露光させて撮影しても、撮影した画像において周囲の天体が回転することなく、良好な画像を取得することができる。
なお、上述したように、部分ウオームホイール16の弧の長さにより、架台1の追尾可能時間が制限さるため、ユーザが所望する追尾時間が、追尾可能時間を超えてしまう場合がある。これに対して、メインコンピュータ102は、下部架台12が正の方向に最大に傾いた状態になったとき、ユーザコントロールコンピュータ101の指令の基に、極軸回転モータ103を制御して、下部架台12を初期状態(負の方向に最大に傾いた状態)に戻す。そして、メインコンピュータ102は、ユーザコントロールコンピュータ101の指令の基に、下部架台12を初期状態に戻した状態で目標天体の自動導入を行った後、目標天体の自動追尾を開始する。これにより、追尾可能時間を超える天体の自動追尾が可能になる。
なお、本発明の自動導入および自動追尾の処理は、架台1以外にも、他の経緯台が極軸を中心に回転可能な天体望遠鏡架台に適用することが可能である。そのような天体望遠鏡架台には、例えば、経緯台と赤道儀を組み合わせた天体望遠鏡架台、経緯台を設置して使用する赤道儀(例えば、Poncet式赤道儀、Gee式赤道儀など)などが考えられる。
また、ユーザコントロールコンピュータ101とメインコンピュータ102の処理の分担は、上述した例に限定されるものではなく、例えば、目標天体の座標の変換の処理をメインコンピュータ102で実行するようにしてもよい。
なお、本発明の実施の形態は、上述した実施の形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲において種々の変更が可能である。
本発明を適用した天体望遠鏡用の架台の一実施の形態を示す側面図である。 本発明を適用した天体望遠鏡用の架台の一実施の形態を示す中心断面図である。 本発明を適用した天体望遠鏡用の架台の一実施の形態を示す正面図である。 本発明を適用した天体望遠鏡用の架台および駆動部の一実施の形態を示す平面図である。 本発明を適用した天体望遠鏡用の架台の一実施の形態を極軸方向から見た図である。 本発明を適用した天体望遠鏡用の架台の一実施の形態を示す断面図である。 本発明を適用した天体望遠鏡用の架台の一実施の形態を示す他の断面図である。 本発明を適用した天体望遠鏡用の架台の制御系の一実施の形態を示すブロック図である。 地平座標系を示す図である。 赤緯時角座標系を示す図である。 赤道座標系を示す図である。 従来の天体望遠鏡用の架台の一例を示す図である。
符号の説明
1 架台, 2 天体望遠鏡, 2L,2R 水平軸, 11 上部架台, 11aL,11aR 支柱, 11b 鉛直軸, 12 下部架台, 12a 軸受け, 12c 極軸, 12d フランジ, 12e ローラ当たり面, 13 ベース部, 13a 軸受け, 14 三脚, 15L,15R 支持ローラ, 16 部分ウオームホイール, 17 ウオームギア, 101 ユーザコントロールコンピュータ, 102 メインコンピュータ, 103 極軸回転モータ, 104 極軸ロータリエンコーダ, 105 水平軸回転モータ, 106 水平軸ロータリエンコーダ, 107 鉛直軸回転モータ, 108 鉛直軸ロータリエンコーダ

Claims (5)

  1. 水平軸および鉛直軸の2軸回りに回転自在な経緯台が設置され、前記水平軸に対して観測地点の緯度と同じ角度だけ傾斜した回転軸を中心に回転する台と、
    前記台の周面に当接し、前記台の前記回転軸回りの回転を駆動する駆動機構と、
    前記台の下側周面に当接し、前記台の前記回転軸のラジアル方向の荷重を支え、前記台の前記回転軸回りの回転に伴い転動するローラと
    を備え、
    前記ローラと前記駆動機構とが、前記回転軸の方向において異なる位置に設置されている
    ことを特徴とする天体望遠鏡架台。
  2. 前記台が前記回転軸を中心に回転するとき、前記台の前記駆動機構により駆動される部分の回転中心が、前記ローラにより支持される部分の回転中心より高い位置に設定されている
    ことを特徴とする請求項1に記載の天体望遠鏡架台。
  3. 前記鉛直軸を支える軸受けが前記台に形成されている
    ことを特徴とする請求項1に記載の天体望遠鏡架台。
  4. 前記駆動機構は、
    前記台に設けられ、前記回転軸を中心に回転する円弧状のウオームホイールと、
    前記ウオームホイールを減速駆動するウオームギアと
    を備えることを特徴とする請求項1に記載の天体望遠鏡架台。
  5. 前記台から突出するように設けられ、軸の中心が前記回転軸と一致し、端部にフランジが形成されている軸である極軸と、
    前記極軸が貫通するように嵌合され、両端が前記台と前記フランジにより挟まれている軸受けと
    をさらに備えることを特徴とする請求項1乃至4のいずれかに記載の天体望遠鏡架台。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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CN103246056A (zh) * 2012-02-07 2013-08-14 日本威信株式会社 天体观测用调整工具
RU2512257C1 (ru) * 2012-09-26 2014-04-10 Иван Иванович Канаев Монтировка телескопа
CN103913301A (zh) * 2014-03-26 2014-07-09 中国科学院长春光学精密机械与物理研究所 极轴式望远镜极轴晃动误差的光学检测方法

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