JP2010047439A - 圧電セラミックス、及びその製造方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】 圧電特性を損なうことなく、斜方晶−正方晶構造相変態温度tOTが零度以下であり、1000℃以上1200℃以下での低温焼成が可能なチタン酸バリウム系の圧電セラミックス及びその製造方法を提供すること。
【解決手段】 本発明による圧電セラミックスは、(1−x)BaTiO3−xCaTiO3(但し、0.01≦x≦0.08)の化学式に対応する混合比率の主成分に、第一副成分としてリチウム酸化物をLi2Oに換算してu重量部、第二副成分としてニオブ酸化物をNb25に換算してv重量部(但し0.040≦u≦0.081、0.02≦v≦0.10)、それぞれ添加して焼成されて作製される。
【選択図】 なし

Description

本発明は、振動子、アクチュエータ、センサ等の圧電デバイスに使用される圧電セラミックス、及びその製造方法に関する。
圧電セラミックスや圧電結晶などの圧電材料は、歪みを加えると電気分極が発生し、逆に、電界を加えると歪みが発生する物質であり、電気的信号と機械的信号との可逆的な変換が可能である性質を利用し、各種のセンサやフィルタ、アクチュエータなどの圧電デバイスに用いられている。
特に、チタン酸ジルコン酸鉛(Pb(Ti,Zr)O3)を始めとする含鉛圧電材料は、優れた圧電特性のみならず、良好な温度特性を有し、また低温で焼成が可能といった利点があり、現在最も広い領域で利用されている。しかしながら、鉛は有害物質とされているため、上記のような含鉛圧電材料に実用上代替可能となる、鉛を含有しない非鉛圧電材料の開発が世界的規模で行われている。
現在開発されている非鉛圧電材料の一つにチタン酸バリウム(BaTiO3)があり、特許文献1、特許文献2、非特許文献1、非特許文献2に、良好な圧電特性を有するチタン酸バリウム系の圧電セラミックスが提案されている。
特許文献1によれば、平均粒径が0.05から0.2μmのナノサイズのチタン酸バリウム粉末を水熱合成法で作製し、それを成型した後、抵抗加熱炉により1050から1200℃で、酸素雰囲気を調整して焼結することで、電気機械結合係数等の圧電特性が良好な圧電セラミックスを得ている。
特許文献2、及び非特許文献1によれば、平均粒径が0.2μm以下のナノサイズのチタン酸バリウム粉末を原料とし、マイクロ波によって1280から1340℃で焼結することで、電気機械結合係数等の圧電特性が良好な圧電セラミックスを得ている。
非特許文献2によれば、平均粒径が0.1μmのチタン酸バリウム粉末を原料とし、成形した後、抵抗加熱炉によって1320℃及び1150℃での二段階焼成を行うことで、電気機械結合係数等の圧電特性が良好な圧電セラミックスを得ている。
高い電気機械結合係数を有するチタン酸バリウム系圧電セラミックスを作製するためには、特許文献2、非特許文献1、及び非特許文献2においても記載されているように、マイクロ波加熱あるいは二段階加熱といった方法を用いて、1300℃以上の高温で焼成することが必要となる。しかしながら、上記の二つの方法はきわめて量産性が悪いことに加え、1300℃以上の高温焼成を行う場合、積層セラミックデバイスとして製品化するためには、内部電極として融点が高く耐熱性のあるパラジウムや白金といった高価な貴金属を使用しなければならないため、コストの高騰が懸念される。
チタン酸バリウムの低温焼成化については、主にセラミックコンデンサ開発の分野で研究が進められている。その試みの一つとして、酸化リチウム(Li2O)及び酸化ニオブ(Nb25)の同時微量添加が挙げられる。特許文献3によれば、チタン酸バリウムに10モル%未満の酸化ニオブと10モル%以下の酸化リチウムを同時に添加することにより、1200℃以下の温度で焼成が可能となることが開示されている。しかしながら、この特許文献においては、セラミックコンデンサに適用するための誘電率やその温度特性の達成のみが目的であり、得られたチタン酸バリウム系セラミックスの圧電デバイスへの応用に必須である圧電特性に関しては記載されていない。
また、チタン酸バリウムを圧電セラミックス製品として供しようとするとき、その結晶構造が室温付近で斜方晶から正方晶へと相変態し、製品使用温度領域で特性を著しく変化させてしまうという問題があり、実用の面では、使用温度領域に変態点がないことが望ましい。
このような室温付近に存在する斜方晶−正方晶構造相変態温度tOTを室温付近から降下させる一つの方策としては、チタン酸カルシウム(CaTiO3)の微量添加が挙げられる。非特許文献3によれば、チタン酸バリウムに対するチタン酸カルシウムの添加量に応じて、tOT(非特許文献3においては、第2変態点と記載)が逐次低温側に移行することが示されている。しかしながら、tOTの低温化に対応して電気機械結合係数が低下することが記載されている。
特開2007−277031号公報 特開2006−315927号公報 特開昭58−181205号公報 H.TAKAHASHI,et al.,Japanese Journal of Applied Physics,Vol.45,No.1,2006,p.L30−32 T.KARAKI,et al.,Japanese Journal of Applied Physics,Vol.46,No.4,2007,p.L97−98 岡崎清、「第4版セラミック誘電体工学」、学献社、1992年6月1日、p.330−331
上述したように、含鉛圧電材料の代替としてチタン酸バリウムを主原料とする圧電材料は有力であると考えられるが、実用化に耐えるに十分な圧電特性を保持しつつ、斜方晶−正方晶構造相変態温度tOTを室温付近から摂氏零度以下の低温に降下させ、更に焼成温度の低温化を同時に実現したチタン酸バリウム系圧電セラミックスは示されていなかった。
このような状況に鑑み、本発明の課題は、圧電特性を損なうことなく、斜方晶−正方晶構造相変態温度tOTが零度以下であり、1000℃以上1200℃以下での低温焼成が可能なチタン酸バリウム系の圧電セラミックス及びその製造方法を提供することにある。
上記課題を解決するため、本発明による圧電セラミックスは、(1−x)BaTiO3−xCaTiO3(但し、0.01≦x≦0.08)の化学式に対応する混合比率の主成分の総量100重量部に対して、第一副成分としてリチウム酸化物をLi2Oに換算してu重量部、第二副成分としてニオブ酸化物をNb25に換算してv重量部(但し、0.040≦u≦0.081、0.02≦v≦0.10)含有し、且つ径方向振動モードの電気機械結合係数kpが0.24より大きいことを特徴とする。
また、(1−x)BaTiO3−xCaTiO3(但し、0.01≦x≦0.08)の化学式に対応する混合比率における、平均粒径が0.05μm以上0.10μm以下のBaTiO3粉末、及び平均粒径が0.05μm以上0.10μm以下のCaTiO3粉末の混合物を主成分とし、前記主成分の総量100重量部に対して、第一副成分としてリチウム酸化物をLi2Oに換算してu重量部、第二副成分としてニオブ酸化物をNb25に換算してv重量部(但し、0.040≦u≦0.081、0.02≦v≦0.10)含有し、焼成されて作製されたことを特徴とする。
また、本発明による上記圧電セラミックスの製造方法は、(1−x)BaTiO3−xCaTiO3(但し、0.01≦x≦0.08)の化学式で表されるモル比に対応する量の、平均粒径が0.05μm以上0.10μm以下のBaTiO3粉末、及び平均粒径が0.05μm以上0.10μm以下のCaTiO3粉末に、これらの粉末の総量100重量部に対して、第一副成分としてLi2CO3あるいはLi2Oから選択された少なくとも一種のリチウム酸化物粉末をLi2Oに換算してu重量部、第二副成分としてNb25粉末をv重量部(但し0.040≦u≦0.081、0.02≦v≦0.10)、それぞれ添加して混合した原料を成形した後、1000℃以上1200℃以下の温度範囲で焼結することを特徴とする。
上述したように、本発明によれば、圧電特性を損なうことなく、1200℃以下での低温焼成が可能で斜方晶−正方晶構造相変態温度tOTが零度以下となるチタン酸バリウム系圧電セラミックス及びその製造方法が得られる。このことは、環境適応型の非鉛圧電材料を利用した圧電セラミックスとして広い応用が期待できる。また、BaTiO3を主成分とする圧電セラミックスにおいて実用化の問題となっていた室温付近での斜方晶−正方晶構造相変態温度tOTを、零度以下に降下させることが可能となることから、圧電デバイスとしての利用用途が更に拡大する。
本発明は、(1−x)BaTiO3−xCaTiO3(但し、0.01≦x≦0.08)の化学式に対応する混合比率となるように混合した混合物を主成分とし、この主成分の総量100重量部に対して、第一副成分としてリチウム酸化物をLi2Oに換算してu重量部、第二副成分としてニオブ酸化物をNb25に換算してv重量部(但し0.040≦u≦0.081、0.02≦v≦0.10)含有し、且つ径方向振動モードの電気機械結合係数kpが0.24より大きい圧電セラミックスである。
また、本発明の製造方法において、出発原料として、平均粒径が0.05μm以上0.10μm以下のBaTiO3粉末及びCaTiO3粉末を用い、この主成分の総量100重量部に対して、第一副成分としてLi2CO3あるいはLi2Oから選択された少なくとも一種のリチウム酸化物粉末をLi2Oに換算してu重量部、第二副成分としてNb25粉末をv重量部(但し0.040≦u≦0.081、0.02≦v≦0.10)、それぞれ添加して混合した原料を成形した後、1000℃以上1200℃以下の低温で焼結するのが望ましい。なお、本発明において、1000℃以上1200℃以下の温度とは、焼成時の最高保持温度を表すものである。
BaTiO3に対するCaTiO3による置換量xは、x<0.01の場合、斜方晶−正方晶構造相変態温度tOTが零度以上となり、また、x>0.08の場合、圧電特性が劣化してしまうため、組成範囲は0.01≦x≦0.08とすることが望ましい。
第一副成分としてのリチウム酸化物の添加量を(1−x)BaTiO3−xCaTiO3に対しLi2O換算で0.040重量部未満とした場合、セラミックスの緻密化のためには1200℃よりも高温で焼成しなければならず、一方、0.081重量部を超えて添加した場合、圧電特性が劣化してしまうため、リチウム酸化物の添加量はLi2Oに換算して0.040重量部以上0.081重量部以下とすることが望ましい。
また、第二副成分としてのニオブ酸化物の添加量は、(1−x)BaTiO3−xCaTiO3に対しNb25換算で0.02重量部未満の場合、あるいは0.10重量部を超えた場合、圧電特性が劣化してしまうため、0.02重量部以上0.10重量部以下とすることが望ましい。
BaTiO3粉末及びCaTiO2粉末の平均粒径が0.10μmよりも大きい場合は、第一副成分であるリチウム酸化物の添加量をLi2Oに換算してu重量部、及び第二副成分であるニオブ酸化物の添加量をNb25に換算してv重量部 (但し0.040≦u≦0.081、0.02≦v≦0.10)の範囲であっても、緻密なチタン酸バリウム系圧電セラミックスを得るために1250℃以上での焼成が必要となる。また、BaTiO3粉末またはCaTiO3粉末の平均粒径が0.05μmよりも小さい場合は、前述したリチウム酸化物及びニオブ酸化物の添加量の範囲においても、圧電セラミックスの圧電特性が劣化してしまうという不具合が生じる。従って、BaTiO3粉末及びCaTiO3粉末の平均粒径は、0.05μm以上0.10μm以下とするのが望ましい。なお、本発明におけるBaTiO3粉末及びCaTiO3粉末の平均粒径は、SEM画像から算出した体積基準の球相当径である。
また、上記の方法で作製された圧電セラミックスは以下のようになる。即ち、(1−x)BaTiO3−xCaTiO3(但し、0.01≦x≦0.08)の化学式に対応する混合比率の主成分の総量に対して、第一副成分としてリチウム酸化物をLi2Oに換算してu重量部、第二副成分としてニオブ酸化物をNb25に換算してv重量部(但し、0.040≦u≦0.081、0.02≦v≦0.10)含有した圧電セラミックスであって、圧電特性は、径方向振動モードの電気機械結合係数kpが0.24より大きい圧電セラミックスである。
本発明におけるBaTiO3粉末及びCaTiO2粉末は、共沈法、アルコキシド法、水熱合成法、ゾル・ゲル法、噴射法、エマルジョン法、蓚酸塩法、クエン酸塩法、固相反応法等の公知の作製法によって得られる。
以下、実施例に基づき本発明による圧電セラミックス及びその製造方法を具体的に説明する。
(実施例1)
本発明の実施例1における圧電セラミックスは、以下に示す製造工程により作製した。まず、出発原料として、平均粒径が0.10μmである高純度のBaTiO3粉末及びCaTiO3粉末を用い、化学式(1−x)BaTiO3−xCaTiO3(但し、0≦x≦0.085)となるように所定比で秤量した。次に、副成分として0.05重量部以上0.25重量部以下のLi2CO3(Li2O換算で0.020重量部以上0.101重量部以下)及び0以上0.12重量部以下のNb25を添加し、エタノールを加え、ボールミルにより24時間の湿式混合を行った。ここで、比較例として副成分を添加しないものも同様に作製した。
乾燥後、得られた粉末について、ポリビニルアルコールをバインダーとして混合することによって造粒し、圧力1.0t/cm2の一軸加圧成形により、直径20mm、厚さ5mmの円板状試料を成形した。この成形体を大気中、1000℃以上1300℃以下の温度で3時間焼成し、圧電セラミックスの焼結体を作製した。
作製した円板状セラミックスはアルキメデス法により密度を計測した後、1mmの厚さに加工して、その両面に銀電極を焼き付けた。このようにして得られた各試料について、80℃のシリコンオイル中で1kV/mmの直流電界を30分間印加することによって分極処理を行った。
分極処理した試料については、室温で24時間放置することによって圧電特性を安定化させた後、インピーダンスアナライザーを用いて共振−反共振法により、圧電特性の一つの指標となる径方向振動モードの電気機械結合係数kp、及び長さ方向振動モードの電気機械結合係数k31を測定した。なお、k31を測定するために、長さ10mm、幅2mm、厚さ1mmの矩形状の試料も、上記円板焼結体を切断加工して作製した。更に、静電容量の温度変化を測定することによって、試料の斜方晶―正方晶相変態温度tOTを求めた。また、得られた試料の相対密度をチタン酸バリウムの理論密度6.01g/cm3から算出した。試料の緻密性は、相対密度が95.0%以上である場合に緻密化したものと判断できる。
作製した実施例及び比較例の圧電セラミックスの組成と副成分の添加量、焼成温度、相対密度、斜方晶−正方晶構造相変態温度tOT、及び電気機械結合係数kp、k31の値を表1に示す。表1においては、本発明の範囲外の試料を比較例として、試料番号に※印を付して記載した。
Figure 2010047439
表1から明らかなように、(1−x)BaTiO3−xCaTiO3において、平均粒径が0.10μmのBaTiO3粉末、及び、平均粒径が0.10μmのCaTiO3粉末を出発原料として用い、xを0.01≦x≦0.08の範囲とし、第一副成分としてLi2CO3をLi2Oに換算して0.040重量部以上0.081重量部以下、第二副成分としてNb25粉末を0.02重量部以上0.10重量部以下の範囲でそれぞれ添加した実施例の試料は、焼成温度が1000℃以上1200℃以下の範囲でも十分に緻密化し、電気機械結合係数kp、k31は、kp=0.24、k31=0.14より大きい値を示し、x=0で副成分の無添加品(試料番号1、2)と比較して、同等以上の特性となること、及び斜方晶−正方晶構造相変態温度tOTが零度以下に降下することが確認できた。これに対して、比較例の試料では、電気機械結合係数、焼成温度、相変態温度tOTのすべてを満足する特性は得られていない。
(実施例2)
本発明の実施例2における圧電セラミックスは、以下に示す製造工程により作製した。まず、出発原料として、平均粒径が0.03μm、0.05μm、0.10μm、0.20μmである高純度のBaTiO3粉末及びCaTiO3粉末を用い、0.99BaTiO3−0.01CaTiO3となるように秤量した。次に、副成分として上記のBaTiO3とCaTiO3の混合粉の総量に対し0.10重量部のLi2CO3(Li2O換算で0.040重量部)及び0.02重量部のNb25を添加し、エタノールを加え、ボールミルにより24時間の湿式混合を行った。
乾燥後、得られた粉末について、ポリビニルアルコールをバインダーとして混合することによって造粒し、圧力1.0t/cm2の一軸加圧成形により、直径20mm、厚さ5mmの円板状試料を成形した。この成形体を950℃以上1250℃以下で3時間焼成し、圧電セラミックスの焼結体を作製した。
作製した円板状圧電セラミックスはアルキメデス法により密度を計測した後、1mmの厚さに加工して、その両面に銀電極を焼き付けた。このようにして得られた各試料について、80℃のシリコンオイル中で1kV/mmの直流電界を30分間印加することによって分極処理を行った。
分極処理した試料については、室温で24時間放置することによって圧電特性を安定化させた後、インピーダンスアナライザーを用いて共振−反共振法により、圧電特性の一つの指標となる径方向振動モードの電気機械結合係数kp、及び長さ方向振動モードの電気機械結合係数k31を測定した。なお、k31を測定するために、長さ10mm、幅2mm、厚さ1mmの矩形状の試料も、上記円板焼結体を切断加工して作製した。更に、静電容量の温度変化を測定することによって、試料の斜方晶―正方晶相変態温度tOTを求めた。また、得られた試料の相対密度をチタン酸バリウムの理論密度6.01g/cm3から算出した。試料の緻密性は、相対密度が95.0%以上である場合に緻密化したものと判断できる。
作製した実施例及び比較例の圧電セラミックスの組成と副成分の添加量、焼成温度、相対密度、斜方晶−正方晶構造相変態温度tOT、及び電気機械結合係数kp、k31の値を表2に示す。表2においては、本発明の範囲外の試料を比較例として、試料番号に※印を付して記載した。
Figure 2010047439
表2から明らかなように、出発原料として平均粒径が0.05μm以上0.10μm以下である高純度のBaTiO3粉末、及び平均粒径が0.05μm以上0.10μm以下である高純度のCaTiO3粉末を用いた場合に、副成分としてLi2CO3及びNb25を添加した実施例の試料は、焼成温度が1000℃以上1200℃以下の範囲でも十分に緻密化し、斜方晶−正方晶構造相変態温度tOTが零度以下に降下するとともに、電気機械結合係数kp、k31が、kp=0.24、k31=0.14より大きい値を示し、x=0で副成分の無添加品の特性(表1の試料番号1、2)と比較して同等以上の特性となることが確認できた。これに対して、比較例の試料では、1200℃以下の焼成温度で、電気機械結合係数、焼成温度、斜方晶−正方晶構造相変態温度tOTのすべてを満足する特性は得られていない。
以上詳述したように、本発明による圧電セラミックス、及びその製造方法により、圧電特性を損なうことなく、1200℃以下での低温焼成が可能で、斜方晶−正方晶構造相変態温度tOTが零度以下となるチタン酸バリウム系圧電セラミックスが得られた。
本発明の製造方法は非鉛系圧電セラミックスの製造に適用することができ、これにより得られる本発明の圧電セラミックスは非鉛系の環境適応型の低コスト圧電セラミックスとして圧電デバイスへの広い応用が期待できる。

Claims (3)

  1. (1−x)BaTiO3−xCaTiO3(但し、0.01≦x≦0.08)の化学式に対応する混合比率の主成分の総量100重量部に対して、第一副成分としてリチウム酸化物をLi2Oに換算してu重量部、第二副成分としてニオブ酸化物をNb25に換算してv重量部(但し、0.040≦u≦0.081、0.02≦v≦0.10)含有し、且つ径方向振動モードの電気機械結合係数kpが0.24より大きいことを特徴とする圧電セラミックス。
  2. (1−x)BaTiO3−xCaTiO3(但し、0.01≦x≦0.08)の化学式に対応する混合比率における、平均粒径が0.05μm以上0.10μm以下のBaTiO3粉末、及び平均粒径が0.05μm以上0.10μm以下のCaTiO3粉末の混合物を主成分とし、前記主成分の総量100重量部に対して、第一副成分としてリチウム酸化物をLi2Oに換算してu重量部、第二副成分としてニオブ酸化物をNb25に換算してv重量部(但し、0.040≦u≦0.081、0.02≦v≦0.10)含有し、焼成されて作製されたことを特徴とする圧電セラミックス。
  3. (1−x)BaTiO3−xCaTiO3(但し、0.01≦x≦0.08)の化学式で表されるモル比に対応する量の、平均粒径が0.05μm以上0.10μm以下のBaTiO3粉末、及び平均粒径が0.05μm以上0.10μm以下のCaTiO3粉末に、これらの粉末の総量100重量部に対して、第一副成分としてLi2CO3あるいはLi2Oから選択された少なくとも一種のリチウム酸化物粉末をLi2Oに換算してu重量部、第二副成分としてNb25粉末をv重量部(但し0.040≦u≦0.081、0.02≦v≦0.10)、それぞれ添加して混合した原料を成形した後、1000℃以上1200℃以下の温度範囲で焼成することを特徴とする圧電セラミックスの製造方法。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
CN109824356A (zh) * 2019-03-19 2019-05-31 武汉理工大学 一种钛酸钡基高性能压电陶瓷材料及其制备方法

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