JP2010046172A - 脱臭フィルタ及びその製造方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】製造方法が簡便且つ低コストであり、多様な風路や送風手段、部品構成から成る様々な空気清浄機や脱臭機においても風速分布を均一化し、脱臭材を効率良く使用することで、脱臭寿命の長い脱臭フィルタを提供することを目的とする。
【解決手段】吸着剤とバインダ成分で構成される板状成形体7に、複数の円形の通風孔8を設けた脱臭フィルタ3であって、別途筐体内に設けられた送風手段、風路、その他構成部品によって生じる前記脱臭フィルタ内を通過する気流の風速分布に応じて風速の速い部分は開口率を小さく、風速の遅い部分は開口率を大きく、開口率を変化させることによりフィルタを通過する気流の風速分布を均一にすることを特徴とする脱臭フィルタを提供する。
【選択図】図3

Description

本発明は、例えば悪臭や有害物質などのガス成分を除去する脱臭フィルタ及びその製造方法に関するものである。
従来から悪臭や有害物質などのガス成分を除去するために、様々な形状の脱臭フィルタが報告されている。これらは吸着剤や触媒などの脱臭作用を有する材料をフィルタ化したものが大半を占めるが、材料の形状によってフィルタ化する方式やフィルタ形状も様々である。
例えば、粉末状の材料を用いる場合、材料を抄紙した紙をコルゲート加工して積層したコルゲートハニカムや、プリーツ加工したものが挙げられる。また、材料を有機バインダや無機バインダと一緒に混合し、スラリ状にしたものを、セラミックや紙で加工された基材に浸漬あるいはスプレー噴霧などで添着させたものが挙げられる。また、材料を成形助剤と一緒に混練し、押し出し成型機で成型したものが挙げられる。
また、粒状の材料を用いる場合、網状の袋体に材料を充填したものや、ハニカム基材のセル部分に材料を充填し、脱落防止の網で覆ったものが挙げられる。また、樹脂製のネット状基材にホットメルトで材料を接着したものが挙げられる。
また、繊維状の材料を用いる場合、材料を不織布に加工したものなどが挙げられる。
上に挙げたこれらの脱臭フィルタは一例にすぎないが、対象ガスによって材料の種類や形状を選定し、装置のスペックやコストによって最適なフィルタ形状を選択することが好ましい。また、特に家庭用空気清浄機や脱臭機などに搭載される場合は、省エネや低騒音の観点から低圧力損失であることが望まれ、脱臭効率と圧力損失を両立できるようなフィルタであることが好ましい。
しかし、前述したこれら従来の脱臭フィルタは、装置の中に組み込まれた際に筐体内の風路構成や、構成部品、そしてファンなどの送風手段の影響で必ず風速分布が生じ、脱臭フィルタの通風面を通過するガス成分の風量にも分布が生じるため、時間が経過するに伴いフィルタの各部分によって吸着量にムラが生じる。その結果、一枚のフィルタでも破瓜の早い部分と遅い部分が生まれ、フィルタが効率的に使用されず、フィルタの性能寿命が短くなるという課題があった。前記課題の対策としてはフィルタの上流に整流板を設けることが一般的ではあるが、この方法では整流板自身が圧力損失を上昇させる原因となり、省エネ、低騒音化の観点から最良の手段とは言えなかった。
そこで、この課題を解決する手段として特許文献1に記載のものが提案されている。すなわち、臭気成分を除去する脱臭フィルタにおいて、空気の流れ方向に対して垂直断面における中央部と周辺部の脱臭材目付量が異なり、中央部になるに従って脱臭材の目付量が周辺部の目付量よりも多くなるように設定するというものである。
特開平10−202047号公報
上記特許文献1に示される従来例にあっては、風速分布を一定に合わせるため、フィルタの中央部と周辺部で異なる基材に脱臭材を担持させて脱臭材の目付量を変化させているが、この方法ではある程度の風速分布は解消することはできるが、完全に均一にすることはできず、フィルタ寿命を最大限まで発揮させることができないという課題があった。また、脱臭材を担持する基材として二種類以上の基材を使用しており、構成部材が多くなるため、フィルタとしての製造が複雑になり、更にコストも高くなるという課題があった。
また、前記従来例にあっては、同一種のフィルタ内で脱臭材の目付量を連続的または断続的に変化させるために、中央部に活性炭原料の押し出し成形体あるいは金属、樹脂、紙、不織布などのハニカム体に脱臭材を担持させたものを用いているが、セル密度を連続的または断続的に変化させる場合、押し出し成形体では金型が複雑且つ、大きさにも限度があるという課題があり、また、ハニカム体ではセル密度を変化させることが困難であるため、様々な空気清浄機や脱臭機など各機種によって異なる風速分布に合わせてフレキシブルに脱臭材の目付量を変化させることが困難であるという課題があった。
また、前記従来例にあっては、脱臭材を担持する基材としてハニカムあるいは発泡ウレタンなどを用いているため、圧力損失は低くできるが、基材の性質上、脱臭材の担持量をあまり増やすことができず、耐久性やフィルタ強度に問題があった。
本発明はこのような従来の課題を鑑みてなされたものであり、構成部材を少なく、低コストで製造方法も単純でありながら、容易に脱臭フィルタの開口率を変化させることで風速分布を均一化し、低圧損でフィルタ寿命の長い脱臭フィルタを提供することを目的としている。
上記課題を解決するために本発明の脱臭フィルタは、吸着材とバインダ成分で構成される板状成形体に、複数の円形の通風孔を設けた脱臭フィルタであって、別途筐体内に設けられた送風手段、風路、その他構成部品によって生じる、前記脱臭フィルタ内を通過する気流の風速分布に応じて風速の速い部分は開口率を小さく、風速の遅い部分は開口率を大きく、開口率を変化させることにより、フィルタを通過する気流の風速分布を均一にすることを特徴とするものである。
本発明によれば、吸着材とバインダ成分という少ない部材で構成される板状成形体に、径の大きさやピッチの異なる複数の通風孔を任意且つ容易に設けることができるため、多様な風路や送風手段、部品構成から成る様々な空気清浄機や脱臭機においても風速分布を均一化することができ、脱臭材を効率良く利用することで脱臭寿命の長い脱臭フィルタを提供することができる。
上記目的を達成するために本発明の脱臭フィルタは、吸着材とバインダ成分で構成される板状成形体に、複数の円形の通風孔を設けた脱臭フィルタであって、別途筐体内に設けられた送風手段、風路、その他構成部品によって生じる、前記脱臭フィルタ内を通過する気流の風速分布に応じて風速の速い部分は開口率を小さく、風速の遅い部分は開口率を大きく、開口率を変化させることにより、フィルタを通過する気流の風速分布を均一にすることを特徴とするものである。
流体力学的に理想流体と呼ばれる流体は粘性がなく、力を加えても圧縮できない流体として定義されているのに対し、実際の水や気体などの流体は実在流体と呼ばれ、粘性や圧縮性を持っている。そのため、流体間での摩擦を生じるせん断力が作用するため、流路内で流速分布が生じる。気体は水に比べて粘性は低いが、風速が増加するにつれて圧力による体積変化が大きくなり、圧縮性を無視できなくなるため、やはり流路内で風速分布が生じる。
図1は筐体内に設置されたファンによる送風を行ったときの脱臭フィルタを通過するガス流の風速分布の断面図を模式的に表したものである。脱臭フィルタにおける通風面の圧力損失が一定で、風路内が蛇行や分岐のない平行な風路であれば、一般的に風速分布は図1に示すような分布をとる。すなわち、筐体内の壁部に近い部分ほど風速は小さく、中央部に向かうほど風速は大きくなる。このときガスに含まれる悪臭成分濃度が範囲に寄らず一様であるならば、脱臭フィルタを単位時間当たりに通過する悪臭成分の物質量は、壁部と中央部では明らかに差があることになる。
風速と1パスにおける脱臭フィルタの除去性能の関係は、対象となる悪臭物質の化学的性質や温湿度などの外的要因によって異なるであろうが、一般的には風速が低いほど脱臭性能は向上し、その相関は一次反比例の関係に近い。但し、その比率は1:1であることは稀で、風速低下率による1パス脱臭率の向上はそれほど大きくはない。すなわち、風速の差が大きくなればなるほど脱臭フィルタが除去する悪臭成分の除去量の差も大きくなり、同じ一枚の脱臭フィルタ内であっても、範囲によってその劣化速度が大きく異なるという事態を生じることになる。
また、近年市販されている空気清浄機や脱臭機などは以前と比べて多機能化される傾向にあり、それに伴って構成部品点数が増加し、風路構成も複雑になってきている。
これを模式的に示すと図2のような風速分布をとり、脱臭フィルタが除去する悪臭成分の除去量は範囲によって更に大きな差が生じる傾向にあると言える。
しかし、筐体内の限られたスペースの中で風速分布を一定にするためには、脱臭フィルタの上流側で十分に整流しておくか、脱臭フィルタの通風面において部分的に圧力損失を変化させ、ガス流の流量すなわち風速を範囲ごとで一定にする必要がある。整流するには別途整流板を設けるなどの手段が必要であり、整流板自身の抵抗で圧力損失が大幅に上昇してしまうため良策ではない。
そこで、脱臭フィルタの圧力損失を部分的に変化させる方法として、脱臭材の目付け量を変化させる方法が考えられる。これは単純に基材への脱臭材担持量を部分的に変化させるか、あるいは前述の特開平10−202047号公報に開示されているような、中央部と周辺部で目付量の異なる2種類以上の脱臭素材を用いるという考え方がある。しかし、これらの方法では量産時の生産効率を考えると最良な方法とは言えない。また、図1に示したような単純な風速分布を持つ場合においてはこれらの方法でも無難に対応できるが、図2に示すような複雑な風速分布を持つ筐体の場合には対応することは困難である。
本発明では吸着材とバインダ成分という少ない部材で構成される板状成形体に径の大きさやピッチの異なる複数の通風孔を任意且つ容易に設けることで脱臭フィルタの部分ごとで開口率を変化させ、圧力損失を制御することができる。すなわち本発明は、脱臭材の担持量や、基材の素材を制御するのではなく、通風孔の開口率を制御するという考え方から導き出したものであり、これまでは対応できなかった複雑な風速分布であっても通風孔の径の大きさあるいはピッチを部分的に変更することで容易に対応でき、多様な風路や送風手段、部品構成から成る様々な空気清浄機や脱臭機においても風速分布を一定に制御することで、効率の高い脱臭フィルタを提供することができる。
また、通風孔の径Rが0.5mm〜5mmであることを特徴とするものである。
気体が広い風路からフィルタに設けられた小さい通風孔へと通り抜けるとき、気体は圧力抵抗を受け、これが圧力損失となる。風路の断面積変化が大きいほど圧力損失も大きく、例えば10cm2の通風孔が1個設けられたものと、1cm2の通風孔が10個設けられ同一の風路があった場合、開口面積はどちらも10cm2であるが、1cm2の通風孔が10個設けられた風路の方が圧力損失は大きい。また、前述したように気体は水などの液体に比べて粘性が低く、風速が低いときは粘性による抵抗は無視できるレベルであるが、通風路を通過するとき、風速は瞬間的に上昇するため粘性抵抗が生じ、これも圧力損失の原因となる。すなわち、通風孔の径をあまり小さくすると、通風孔の数を増やして開効率を確保したとしても圧力損失が大きくなりすぎてエネルギーロスの原因や、騒音の原因となってしまう。逆に通風孔の径をあまり大きくすると、圧力損失は低く抑えることは可能であるが、吸着剤とガスとの接触効率が下がってしまい、脱臭性能が低下する原因となってしまう。
本発明のように通風孔の径Rを0.5mm〜5mmの範囲にすることで低い圧力損失でありながら、脱臭性能の高い脱臭フィルタを提供することができるという作用を有する。
また、同径の通風孔間のピッチPが1.2Rmm〜2.5Rmmであることを特徴とするものである。
本発明による脱臭フィルタを構成している板状成形体は吸着材とバインダ成分から構成されており、吸着材同士がバインダの点接着により保持されている状態である。つまり、吸着材が骨材としての機能も果たしており、通風孔を設ける際、ピッチ間隔が脱臭フィルタ全体の強度に大きく影響する。つまり、ピッチが狭すぎると、通風孔同士の間で形成される壁の厚みが薄くなり、強度が弱くなってしまう。逆にピッチが広すぎると壁の厚みが厚くなりすぎて通風孔をガスが通過する際、壁の内部にまでガスが行き渡り難くなり、吸着材が有効に使用されなくなってしまう。通風孔間のピッチPと脱臭フィルタの強度は通風孔の径Rにも関係しており、P=1.2R〜2.5Rの範囲にすることで強度を保ちながら脱臭性能の高い脱臭フィルタを提供することができるという作用を有する。
また、気体流の方向に対して垂直断面における脱臭フィルタの面積に対する通風孔の開孔率が14%〜65%であることを特徴とするものである。
通風孔の配列については脱臭フィルタの仕様に合わせて任意に様々な配列を選ぶことができるが、最も最密に配列するには一つの通風孔を中心に60度間隔で配列するのがよく、これは正六角形が配列したハニカム構造に近い形状となる。この配列であれば隣り合う通風孔同士のピッチが一定となるので、強度、性能を両立できる脱臭フィルタを提供できる。本発明によると、通風孔の開効率を14%〜65%の範囲にすることで、上述した最密の配列条件で通風孔を設けたとき、低い圧力損失でありながら、強度と脱臭性能を両立できる脱臭フィルタを提供することができるという作用を有する。
また、板状成形体が、脱臭材としての粒状吸着剤と、バインダ成分としての熱可塑性樹脂を混合したものを加熱成形したものであることを特徴とするものである。
通常、吸着材の表面を介して吸着性能を発現する吸着材の表面をバインダが被覆してしまうと、被処理空気の吸着材表面への到達や吸着材からの被処理空気の放出が妨げられるので機能性を発現できなくなってしまう。例えば、粒状吸着剤を使用して被処理空気中の悪臭物質を除去する場合、被処理空気が粒状吸着剤表面へ到達できなくなるので粒状吸着剤が有する吸着性能を発現できなくなる。
そこで、吸着材を成形あるいはフィルタ化するような場合、吸着材の表面を覆わないように最小限の接着面積で固定化することが求められる。しかし、こうした場合は吸着材とバインダの接着面積が少なくなるので接着強度が弱くなり、振動や衝撃によって吸着剤が脱落することが多い。
本発明では、粒状吸着剤と熱可塑性樹脂を混合して過熱成形することで、熱可塑性樹脂が架橋の役割を果たし、板状成形体の吸着剤同士が点接着されるため、バインダによる吸着剤の被覆を最小限に抑えつつ、振動や衝撃にも強い脱臭フィルタを提供することができるという作用を有する。
また、粒状吸着剤の平均粒径が100μm〜1000μmであることを特徴とするものである。
吸着材には活性炭やゼオライトなどのように微小な細孔に被処理物質を吸着することで除去するものや、イオン交換樹脂などのように分子鎖の網目構造の中に被処理物質が浸透し、分子鎖に固定されたイオン交換基によって除去するものがある。
これらは材質や製造方法によって様々な粒子径に制御が可能であり、例えば活性炭では粒子径が数十μm程度の微粉末のものから、粒子径が数mm程度の破砕炭や造粒炭などがある。これらをフィルタ化する場合、粉末状のものでは一度バインダ成分と混合し、スラリ状にした上で成形あるいは基材等に担持するやり方が一般的であるが、成形するためには多くのバインダ成分が必要であり、その結果バインダによって吸着材が埋没してしまうために、吸着材自体への被処理空気の接触が妨げられ、脱臭性能が大幅に低減してしまう恐れがあり、また、バインダ成分を減らすと接着強度が弱く、微粉末の粉落ちが発生してしまう恐れがある。
一方、粒子径が数mm程度の大きいものになると、吸着材同士が重なり合う部分に大きな隙間が形成されることになるため、全体的に空隙の多いフィルタとなってしまう。これだと吸着材の重量を確保できず、脱臭性能が低下するだけでなく、本発明では吸着材自体が骨材の役割を果たしているため、フィルタとしての強度が弱くなってしまう恐れがある。そこで吸着材に粒子径が100μm〜1000μmの範囲の粒状吸着剤を用いることで、バインダによる吸着材の埋没を防ぎ、吸着材の重量を確保することで強度と脱臭性能の高い脱臭フィルタを提供できるという作用を有する。
また、粒状吸着剤の粒子径に対する熱可塑性樹脂の粒子径比が0.1〜1であることを特徴とするものである。
熱可塑性樹脂にはホットメルトと呼ばれる樹脂粉末が用いられ、この熱可塑性樹脂の粒径によって接着部の厚みや接着面積を制御することが可能となる。しかし、被接着物となる粒状吸着剤の粒子径に対して熱可塑性樹脂の粒子径があまりにも小さすぎると、粒状吸着剤表面の大部分を熱可塑性樹脂が被覆してしまい、脱臭性能が低下してしまう。また、被接着物となる粒状吸着剤の粒子径に対して熱可塑性樹脂の粒子径が大きくなりすぎると、均一に混合することが困難となり、その結果、接着強度が不十分な部分ができてしまい、粒状吸着剤が脱落してしまう。そこで粒状吸着剤の粒子径に対する熱可塑性樹脂の粒子径比が0.1〜1の範囲にすることにより、接着強度を十分に保持しつつ、脱臭性能の高い脱臭成形体を形成することが可能であるという作用を有する。
また、粒状吸着剤に対する熱可塑性樹脂の混合重量比が5%〜30%であることを特徴とするものである。
粒状吸着剤と熱可塑性樹脂を混合し、過熱成形することによって、熱可塑性樹脂が粒状吸着剤どうしを接着し、脱臭成形体を形成することが可能であるが、混合重量比が5%以下では接着強度が弱く、板状成形体を形成することは困難であり、また混合重量比が30%以上では強度は高くなるが、樹脂成分多くなりすぎて吸着剤表面の大部分を覆ってしまい、脱臭性能が低下してしまう。粒状吸着剤に対する熱可塑性樹脂の重量混合比を5%〜30%の範囲にすることで高い機械強度を持った脱臭成形体を形成可能であり、且つ高い脱臭性能を持たせることができるという作用を有する。
また、熱可塑性樹脂のメルトマスフローレートが100以下であることを特徴とするものである。
メルトマスフローレート(以下MFR)とはポリマー樹脂の溶融粘度の指標であるが、分子量とも相関をとるため、ポリマー樹脂の分子量の尺度として用いられる。測定方法はJIS K 7210:1999に規定されており、シリンダーの中で190℃に加熱した樹脂に、2.16kgの荷重をかけて、細孔(オリフィス)から10分間に流れ出る字樹脂の量を測定するというものである(単位はg/10分)。
すなわち、MFRが大きい熱可塑性樹脂ほど粘性が低く、加熱時に流動性を持つということであるが、板状成形体を形成時に加熱する際、MFRが大きすぎると溶融した熱可塑性樹脂が重力によって沈降し、フィルタの厚み方向で濃度勾配ができてしまう。つまり、上層部の接着強度は弱まり、下層部では熱可塑性樹脂によって吸着剤が覆われ、強度、脱臭性能ともに低下してしまう恐れがある。
そこで、MFRを100以下にすることで、加熱時の熱可塑性樹脂の沈降を抑制し、吸着剤と均一に混合したままの状態で接着されるため、強度と脱臭性能の高い脱臭フィルタを提供することができるという作用を有する。
また、本発明による脱臭フィルタの製造方法は、板状成形体に複数の針状突起を有する型を突き刺して、円形の断面を有する通風孔を設けることを特徴とするものである。
通風孔を設ける手段としては幾つかの方法が考えられ、針状突起を多数有する型枠に吸着剤とバインダ成分を混合したものを充填し、成形後に型だけを抜き取るという方法が考えられる。しかし、この方法では成形するときにバインダ成分が型枠や針状突起に密着してしまい、型を抜き取るのが困難である。また、生産性の効率を考えると好ましいとは言えない。
また、板状成形体に穴抜き加工を施すという方法が考えられる。これは例えばパンチングメタルを製造するように、複数のパンチを有する機械を用いて板状成形体の端部から連続的に穴抜き加工を施すというものであるが、この方法では通風孔の大きさやピッチを制御することが困難であり、また、穴抜き加工した断面の吸着材が破損し、粉落ちの原因になってしまうだけでなく、穴抜きした欠片がロスとなり、材料を効率的に利用できない。
また、加工する板状成形体の厚みの制限も大きく、あまり分厚い成形体には加工が困難である。
そこで本発明では通風孔を設ける手段として、複数の先端の尖った針状の突起を有する型を用いて、これを板状成形体に突き刺して通風孔を設ける方法を用いており、一本の針状突起に対して一個の通風孔を形成するため、針状突起を任意に配置することでその配置に対応した通風孔が容易に形成できるという作用を有する。
また、少なくとも2種類の径の異なる複数の針状突起を有した型を突き刺して通風孔を設けることを特徴とするものである。
こうすることで脱臭フィルタを流れる気体流の風速分布に合わせて、板状成形体に設ける通風孔のサイズを変えて容易に開口率を制御することにより、フィルタを通過する気体流の風速分布を均一にすることができるという作用を有する。
また、本発明による脱臭フィルタの製造方法は、板状成形体を加熱成形後、加熱された状態で複数の針状突起を有する型を突き刺して通風孔を設けることを特徴とするものである。
こうすることで突き刺した針状突起によって加熱状態の板状成形体は容易に押し広げられ、簡単に通風孔を設けることができるという作用を有する。
また、板状成形体を加熱プレス成形後、加熱された状態で複数の針状突起を有する型を突き刺して通風孔を設けることを特徴とするものである。
こうすることで短時間で板状成形体を形成することができ、生産性を大幅に向上させることができるという作用を有する。
また、板状成形体を加熱プレス成形すると同時に複数の針状突起を有する型を突き刺して通風孔を設けることを特徴とするものである。
こうすることで加工の工程が一度で板状成形体を形成することができ、生産性を大幅に向上させることができるという作用を有する。
以下、本発明の実施の形態について図面を参照しながら説明するが、本発明はこれに限定されるものではない。
(実施の形態1)
本発明による脱臭フィルタの概略図を図3に示す。図3に示すように脱臭フィルタ3は、吸着材と熱可塑性樹脂と水を混合したものを加熱して板状成形体7を形成し、板状成形体7の通風方向に対して垂直な面に複数の通風孔8を設けている。
吸着材と熱可塑性樹脂を均一に混合し加熱成形された本発明による板状成形体7は、熱可塑性樹脂が架橋の役割を果たし、板状成形体7の吸着材同士が点接着されるため、熱可塑性樹脂による吸着材の被覆を最小限に抑えつつ、振動や衝撃にも強く、吸着材が脱落することを防止している。
吸着材としては活性炭、ゼオライト、シリカ、セピオライトなどの多孔質体やイオン交換樹脂などが挙げられ、熱可塑性樹脂との接着性が確保できるものであれば如何なる吸着剤を用いてもよく、脱臭の対象となるガスの性質に合わせて選ぶことができ、1種類あるいは2種類以上の吸着材を組み合わせても良い。また、吸着材の粒子径としては100μm〜1000μmの範囲であることが好ましく、より好ましくは250μm〜500μmの範囲である。こうすることで、樹脂膜による吸着材の埋没を防ぎ、脱臭性能の低下を抑制する作用を有する。
また、熱可塑性樹脂としてはホットメルトと呼ばれる樹脂粉末が好ましく、その材質としては、例えばポリオレフィン系樹脂、ポリビニル系樹脂、ウレタン系樹脂あるいはポリアミド系樹脂等が挙げられる。また、熱可塑性樹脂の粒子径としては、吸着材の粒子径に対する熱可塑性樹脂の粒子径比が0.1〜1の範囲であることが好ましい。こうすることで接着強度を十分に保持しつつ、脱臭性能の高い脱臭フィルタを形成することが可能であるという作用を有する。
また、熱可塑性樹脂の溶融粘度の指標としてJISで規格化されているメルトマスフローレート(MFR)は100以下であることが好ましく、より好ましくは70以下である。
こうすることで加熱時の熱可塑性樹脂の沈降を抑制し、吸着剤と均一に混合したままの状態で接着されるため、強度と脱臭性能の高い脱臭フィルタを提供することができるという作用を有する。
また、吸着材に対する熱可塑性樹脂の混合重量比は5%〜30%であることが好ましく、より好ましくは10%〜20%の範囲である。混合重量比が5%以下では接着強度が弱く、板状成形体を形成することは困難であり、また混合重量比が30%以上では強度は高くなるが、樹脂成分多くなりすぎて吸着材表面の大部分を覆ってしまい、脱臭性能が低下してしまう。吸着材に対する熱可塑性樹脂の重量混合比を前記範囲にすることで高い機械強度を持った板状成形体7を形成可能であり、且つ高い脱臭性能を持たせることができるという作用を有する。
次に本実施の形態における脱臭フィルタの製造方法について説明する。
本実施の形態では板状成形体7に複数の針状突起10を有する型9を突き刺して、円形の断面を有する通風孔8を設けている。図4に針状突起10を有する型9の概略図を示す。図4に示すように型9は土台となる板状の土台部11に針状突起10を固定化した形状をしており、これを板状成形体7に突き刺すことで容易に通風孔8を設けることができる。針状突起10の径及びピッチを任意に変更することで、その型に対応した通風孔8を設けることができるという作用を有する。針状突起10の径は脱臭フィルタの仕様となる圧力損失や、筐体内に設置したときの風速分布に合わせて変更すればよいが、径R=0.5mm〜5mmの範囲であることが好ましく、より好ましくは1mm〜2mmの範囲である。また、複数種の針状突起10を併用してもよく、本実施の形態では3種類の針状突起10を使用し、周辺部から中心部にかけて径が小さくなるように型を設計している。また、同一の針状突起10同士間のピッチはフィルタの仕様となる圧力損失や、筐体内に設置したときの風速分布に合わせて変更すればよいが、ピッチP=1.2R〜2.5Rの範囲であることが好ましく、より好ましくは1.5R〜2Rの範囲である。また、このとき1つの通風孔8を中心に60度間隔で周囲に6つの孔を配列するのが好ましく、これは正六角形が配列したハニカム構造に近い最も最密な配列となる。この配列であれば隣り合う通風孔8同士のピッチが一定となるので、強度、性能を両立できる脱臭フィルタを提供できる。また、気体流の方向に対して垂直断面における脱臭フィルタ3の面積に対する通風孔8の開孔率が14%〜65%の範囲にすることで、上述した最密の配列条件で通風孔8を設けたとき、低い圧力損失でありながら、強度と脱臭性能を両立できる脱臭フィルタを提供することができるという作用を有する。
(実施の形態2)
本発明による別の脱臭フィルタの概略図を図5に示す。図3と同じ構成、作用は、同一番号を付し、説明は省略する。
図5に示すように脱臭フィルタ3は、吸着材と熱可塑性樹脂と水を混合したものを加熱して成形した板状成形体7を複数枚用い、各板状成形体7の通風方向に対して垂直な面にそれぞれ径の異なる複数の通風孔8を設けた加工フィルタ12を複数枚並列に組み合わせて成る。
本実施の形態では同径の針状突起10のみで構成される型を異なる径で数種類用意し、通風孔8の径及びピッチの異なる数種類の加工フィルタ12を作製し、これらを並列に組み合わせて全体で1枚の脱臭フィルタとしているため、組み合わせによって様々な風速分布にも容易に対応できるという作用を有する。尚、それぞれ同径の針状突起で通風孔を設けた加工フィルタ内でピッチを任意に変更しても良い。
本発明の脱臭フィルタを用いることにより、多様な風路や送風手段、部品構成から成る様々な空気清浄機や脱臭機においても風速分布を一定に制御することができ、低コストで製造方法も単純でありながら、脱臭効率の高い脱臭フィルタを提供することができる。
筐体内における一般的な風速分布の概略断面図 風路が複雑化した筐体内における風速分布の概略断面図 実施の形態1の脱臭フィルタの概略図 複数の針状突起を有した型の概略図 実施の形態2の脱臭フィルタ概略図
符号の説明
1 通風方向
2 筐体
3 脱臭フィルタ
4 送風手段
5 風速分布
6 風路
7 板状成形体
8 通風孔
9 型
10 針状突起
11 土台部
12 加工フィルタ

Claims (14)

  1. 吸着材とバインダ成分で構成される板状成形体に、複数の円形の通風孔を設けた脱臭フィルタであって、別途筐体内に設けられた送風手段、風路、その他構成部品によって生じる、前記脱臭フィルタ内を通過する気流の風速分布に応じて風速の速い部分は開口率を小さく、風速の遅い部分は開口率を大きく、開口率を変化させることにより、フィルタを通過する気流の風速分布を均一にすることを特徴とする脱臭フィルタ。
  2. 通風孔の径Rが0.5mm〜5mmであることを特徴とする請求項1記載の脱臭フィルタ。
  3. 同径の通風孔間のピッチPが1.2Rmm〜2.5Rmmであることを特徴とする請求項1または2記載の脱臭フィルタ。
  4. 気体流の方向に対して垂直断面における脱臭フィルタの面積に対する通風孔の開孔率が14%〜65%であることを特徴とする請求項1乃至3いずれか記載の脱臭フィルタ。
  5. 板状成形体が、吸着材としての粒状吸着剤と、バインダ成分としての熱可塑性樹脂を混合したものを加熱成形したものであることを特徴とする請求項1乃至4いずれか記載の脱臭フィルタ。
  6. 粒状吸着剤の平均粒径が100μm〜1000μmであることを特徴とする請求項5記載の脱臭フィルタ。
  7. 粒状吸着剤の粒子径に対する熱可塑性樹脂の粒子径比が0.1〜1であることを特徴とする請求項5または6記載の脱臭フィルタ。
  8. 粒状吸着剤に対する熱可塑性樹脂の混合重量比が5%〜30%であることを特徴とする請求項5乃至7いずれか記載の脱臭フィルタ。
  9. 熱可塑性樹脂のメルトマスフローレートが100以下であることを特徴とする請求項5乃至8いずれか記載の脱臭フィルタ。
  10. 板状成形体に複数の針状突起を有する型を突き刺して、円形の断面を有する通風孔を設けることを特徴とする請求項1乃至9いずれか記載の脱臭フィルタの製造方法。
  11. 少なくとも2種類の径の異なる複数の針状突起を有した型を突き刺して通風孔を設けることを特徴とする請求項1乃至9いずれか記載の脱臭フィルタの製造方法。
  12. 板状成形体を加熱成形後、加熱された状態で複数の針状突起を有する型を突き刺して通風孔を設けることを特徴とする請求項1乃至9いずれか記載の脱臭フィルタの製造方法。
  13. 板状成形体を加熱プレス成形後、加熱された状態で複数の針状突起を有する型を突き刺して通風孔を設けることを特徴とする請求項1乃至9いずれか記載の脱臭フィルタの製造方法。
  14. 板状成形体を加熱プレス成形すると同時に複数の針状突起を有する型を突き刺して通風孔を設けることを特徴とする請求項1乃至9いずれか記載の脱臭フィルタの製造方法。
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