JP2010042559A - レンズ部材の製造方法 - Google Patents

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【課題】 モールド用金型を用いて成形することなく、樹脂の塗布のみで、その外径および高さが一定のレンズ部材を製造することができるレンズ部材の製造方法を提供する。
【解決手段】 可撓性フィルム1の一面上にレンズの大きさとなる所定の径で、かつ、所定の高さで樹脂により台座2を形成し、その台座2の上に、表面が球面形状になるように、その台座2と同じ材料からなる液状樹脂3aを塗布し、液状樹脂3aを硬化させて凸型部3を形成することにより、台座2と共に一体化したレンズ部材4を形成し、可撓性フィルム1の他面から台座2の部分を突き上げピン8により突き上げると共に表面からレンズ部材4を吸着コレット9により吸着することにより可撓性フィルム1から台座ごとレンズ部材4を分離することにより製造する。
【選択図】 図1

Description

本発明は、たとえば発光素子や受光素子などの光学デバイスの表面に、集光用などの目的で設けられるレンズ部材の製造方法に関する。さらに詳しくは、金型などの成形金具を使用することなく、一定の形状で、しかも正確な寸法で量産することが可能なレンズ部材の製造方法に関する。
たとえば発光素子や受光素子の正面側にレンズを形成して、発光素子から放射する光をある程度集光して一定方向に光を放射したり、受光感度を高めるために受光素子上に光を集光させたりすることが一般的に行われている。このような場合、発光素子や受光素子は、一般的には、LEDチップやフォトダイオードチップ、フォトトランジスタチップをダイボンディングし、さらにワイヤボンディングしているため、それらのチップ自身の保護およびワイヤボンディング部の保護のため、透光性樹脂により封止されている。しかも、この透光性樹脂による封止は、一般的には金型を用いたモールド成形により行われているため、その金型に凹部を形成しておくことにより、簡単に凸型のレンズ部を発光面および受光面の上側に形成することができる。発光素子と受光素子との両方を有するフォトリフレクタなどにおいても、一般的には、発光素子および受光素子は個別に、または一体的にモールド成形されるため、そのモールド用金型に凹部を形成しておくことにより、発光面および受光面上にレンズ部を容易に形成することができる。
一方、たとえば非常に小形のフォトリフレクタのように、発光素子と受光素子とを一体に封止したいが、使用用途により若干外形が変るなどの多品種少量生産になる場合、金型によるモールド成形には適しない。しかし、そのような場合でも、発光面や受光面などの上にレンズ構造を設けたい場合がある。この場合、別途にレンズ部材を形成して、発光面や受光面上に貼り付けることが行われている。この場合でも、レンズ部材自体を金型によるモールド成形により形成すれば、非常に簡単に形成することができるが、そのレンズ部材の形状を若干変える場合には、金型を使用することはコスト的に問題がある。
このような要望に応えるため、たとえば基板上に一定量のUV硬化性樹脂をインクジェット装置から吐出して、所定時間経過してからUV光を照射して硬化させる方法や、図4に示すように、基板31上に所望領域より外周に撥水層32を形成して撥水処理を施し、その所望領域内に一定量のUV硬化性樹脂33を吐出して硬化させてから、基板31より分離する球面形状のレンズ部材を剥離して使用する方法が試みられている(たとえば特許文献1参照)。
特開2006−30634号公報
前述のように、基板上に一定量のUV硬化性樹脂をインクジェット装置により吐出しても、基板上でのUV硬化性樹脂の広がりが一定せず、また、図4に示すように、所定径の周囲に撥水処理を施す方法を用いても、周囲に撥水処理が施されていることから、UV硬化性樹脂が硬化する際に、UV硬化性樹脂の基板上の径が収縮して小さくなり、一定の径および高さのレンズが得られないという問題がある。
また、いずれの方法も、基板上に直接UV硬化性樹脂を吐出して硬化させた状態でレンズの上部から吸着して剥がすことになるが、レンズは基板ともかなり密着しており、非常に薄くて小さいレンズを剥がすことになるため、レンズが変形したり破損したりしやすいという問題がある。とくに、レンズの外周部は非常に薄いため、破損しやすく、この点からも、レンズの外径のバラツキが生じやすいという問題がある。
本発明は、このような問題を解決するためになされたもので、モールド用金型を用いて成形することなく、樹脂の塗布のみで、その外径および高さが一定のレンズ部材を製造することができるレンズ部材の製造方法を提供することを目的とする。
本発明によるレンズ部材の製造方法は、可撓性フィルムの一面上に、形成するレンズと同じ大きさの台座を形成し、該台座の上に、表面が球面形状になるように液状樹脂を塗布し、該液状樹脂を硬化させることにより、前記台座と共に一体化したレンズ部材を形成し、前記可撓性フィルムの他面から前記レンズ部材を突き上げピンにより突き上げると共に表面から前記レンズ部材を吸着することにより前記可撓性フィルムから前記レンズ部材を分離することを特徴としている。
ここに可撓性フィルムとは、たとえば半導体ウェハを各チップに個片化する際に半導体ウェハの裏面に貼り付ける、いわゆるダイシングテープのように、伸縮性を有し、部分的に突き上げれば山状に尖らせることができるフィルムを意味し、樹脂とは、たとえば紫外線硬化性樹脂(UV樹脂)や熱硬化性樹脂のように、光を透過させることができる材料で、かつ、塗布の際は液状で、硬化させることにより固形化する材料を意味する。また、台座とは、レンズと同じ大きさで0.04〜1mm程度の厚さの板状体を意味し、さらに、球面形状とは、完全な球の一部を意図するものではなく、断面形状が円弧を有する凸型の形状を有するものを意味する。
前記可撓性フィルムの一面に前記台座を形成するには、前記可撓性フィルムの一面に、前記台座と同じ大きさの開口部を有するマスクを載置し、前記マスクの開口部内に樹脂を印刷により塗布し、該樹脂の硬化後前記マスクを除去することにより形成することもできるし、前記台座と同じ大きさの凹部を有する型板を形成し、該型板のそれぞれの凹部内に、該型板の上面と表面がほぼ一致するように樹脂を塗布し、前記型板の上面に前記可撓性フィルムを貼着すると共に前記樹脂を硬化させた後に、前記型板を除去することにより形成することもできる。
本発明のレンズ部材の製造方法によれば、可撓性フィルム上にレンズと同じ大きさの台座を形成し、その台座の上に所定量の液状樹脂を、たとえばディスペンサなどにより塗布しているため、台座の上に塗布された液状樹脂は、表面張力により台座上に球面状に盛り上がる。レンズの外径を一定にし、塗布する液状樹脂の量も一定とすることにより、レンズの球面の高さも一定となる。すなわち、径および高さの両方が一定のレンズ(凸型部)を非常に簡単に形成することができる。
さらに、台座とその上に形成される球面状のレンズは、レンズを同じ材料で形成すると、両者の密着性は良く、一方、台座と可撓性フィルムとは、材料も異なり、また接着剤で貼り付けられているだけであるため、可撓性フィルムの裏側から台座を突き上げピンなどにより突き上げると、台座は平坦性を維持するのに対して、可撓性フィルムは、突き上げピンの部分は高くなるが、それ以外の部分は原状を維持しようとすることから、ピンで突き上げられている部分以外の可撓性フィルムは、台座から分離する。その結果、吸着コレットなどの吸着治具により、容易にレンズ部材のみを分離して必要な場所に移動して接着することができる。すなわち、レンズ部材に何らの変形や破損をもたらすことなく、正確な形状を維持したまま簡単に可撓性フィルムから分離して所定の場所に貼り付けることができる。
つぎに、図面を参照しながら本発明のレンズ部材の製造方法について説明する。本発明によるレンズ部材の製造方法は、図1に、その一実施形態の工程説明図を示すように、可撓性フィルム1の一面上に、レンズの大きさとなる所定の径で、かつ、所定の高さで樹脂により台座2を形成し、その台座2の上に、表面が球面状になるように、たとえばその台座2とほぼ同じ材料からなる液状樹脂3aを塗布し、液状樹脂3aを硬化させて凸型部3を形成することにより、台座2と共に一体化したレンズ部材4を形成し、可撓性フィルム1の他面から台座2を突き上げピン8により突き上げると共に表面からレンズ部材4を吸着コレット9などにより吸着することにより、可撓性フィルム1からレンズ部材4を分離するものである。
つぎに、具体例に基づき詳細に説明をする。図1では、1個のレンズ部材の製造工程が示されているが、実際には、多数個のレンズ部材4が可撓性フィルム1上に形成され、順次1個づつ可撓性フィルム1から分離して実際の装置に搭載して使用される。
まず、図1(a)に示すように、可撓性フィルム1の一面上に、レンズの大きさとなる所定の径で、かつ、所定の高さで、樹脂により台座2を形成する。この台座2の形成方法は、図2〜3に基づいて後述するが、樹脂のスクリーン印刷法や、台座2の形状に凹部を形成した型板の凹部内に樹脂を充填して硬化させると共に、その表面に可撓性フィルム1を貼り付けて型板から分離することにより形成することができる。可撓性フィルム1は、たとえば半導体ウェハを各チップに個片化する際に半導体ウェハの裏面に貼着する、いわゆるダイシングテープのように、一面に接着剤が設けられ、50〜100μm程度の厚さで伸縮性のある合成樹脂フィルムを用いることができる。樹脂としては、後述する凸型部3と同じ系統の材料であることが、凸型部3との密着性が向上するため、たとえば紫外線硬化性樹脂が好ましく用いられるが、エポキシ樹脂などの熱硬化性樹脂などを用いることもできる。しかし、熱硬化性樹脂の場合には、硬化させるための加熱温度により可撓性フィルム1が変質しないような関係で選定する必要がある。台座2の厚さは、用途によって異なるが、たとえば40〜100μm程度に形成されるが、1mm程度あっても問題はない。また、台座2の径も用途のレンズの大きさに応じて決定されるが、たとえば0.5〜1mm程度の直径に形成される。
つぎに、図1(b)〜(d)に示すように、その台座2の上に、表面が球面形状になるように、たとえば台座2とほぼ同じ種類の材料からなる液状樹脂3aを塗布する。この液状樹脂3aは、台座2と同じ種類の樹脂であることが、台座2との密着性が向上するため好ましく、前述のように、塗布する際には液状で表面張力により球面形状となり、硬化させると固化するような、紫外線硬化性樹脂や、熱硬化性樹脂などを用いることができる。前述のように、この硬化の際に、可撓性フィルム1が劣化しないことが必要で、紫外線硬化性樹脂は紫外線の照射により、殆どの可撓性フィルム1を変質させることはなく、容易に硬化させることができるため好ましい。しかし、可撓性フィルムとの関係で、可撓性フィルム1が熱により変質しない程度の温度で硬化させることができれば、エポキシ樹脂などの熱硬化性樹脂などを使用することもできる。この液状樹脂3aの塗布方法は、たとえばスクリーン印刷法や、インクジェットのようなジェット装置による液状樹脂の吐出法など、一定量の液状樹脂を台座2上に塗布することができればよい。図1では、ディスペンサ7のノズルから液状樹脂3aを吐出させて台座2に付着させ、所定量だけ台座2上に塗布した状態が示されている。この際、樹脂が液状で、底面は台座2の面積に限られているため、樹脂の量が十分であれば図1(d)に示すように、表面張力により底面は台座2の径と一致し、表面側は球面のような形状に形成される。
つぎに、図1(e)に示すように、紫外線(UV)を照射することにより、液状樹脂3aを硬化させて、凸型部3を形成することにより台座2と一体化したレンズ部材4を形成する。液状樹脂3aが熱硬化性樹脂の場合には、硬化する温度まで加熱することにより硬化させる。この凸型部3は、液状樹脂3aの表面張力により、その径は台座2の径と一致して上に盛り上がり、その高さは、塗布する液状樹脂の量によりある程度任意に設定することができるが、図1に示す例では、たとえば0.35mm程度の高さに形成され、台座2と合せた高さは、0.48mm程度で、径が0.7mm程度のレンズ部材4になっている。
その後、図1(f)〜(g)に示すように、可撓性フィルム1の他面(裏面)から台座2を突き上げピン8により突き上げると共に、表面側から吸着コレット9などの吸着治具によりレンズ部材4を吸着することにより、可撓性フィルム1からレンズ部材4を台座2ごと分離して取り上げることができる。すなわち、突き上げピン8により可撓性フィルム1が突き上げられることにより、その部分の可撓性フィルム1だけが上方に延びて山形状になり、一方レンズ部材4は固形物で変形せず、平坦性を維持したままであるため、台座2の端部側から可撓性フィルム1と分離する。そのため、表面側から吸着コレット9などにより吸着することにより、レンズ部材4を可撓性フィルム1から容易に分離することができ、吸着コレット9で吸着したまま所定の取り付け場所に移動することができる。
そのレンズ部材4を光デバイスに取り付ける工程を図1(h)〜(i)に模式化して示す。すなわち、たとえば発光素子や受光素子などの表面にレンズ部材を固着したい光デバイス5のレンズ部材4を貼り付ける場所に、紫外線硬化性樹脂などからなる接着剤6を予め塗布しておき、その接着剤6の上に、吸着コレット9により搬送したレンズ部材4を押し付け、吸着コレット9の吸引を停止させることにより、接着剤6の上にレンズ部材4を搭載することができる。その後、図1(i)に示すように、紫外線(UV)を照射することにより接着剤6が硬化してレンズ部材4と光デバイス5とが一体化される。
前述の図1(a)に示す可撓性フィルム1上に台座2を形成する具体的方法についてさらに説明をする。図2は、その一例を示す工程説明図で、たとえば図2(a)に示すように、可撓性フィルム1上に、所望の台座2の厚さ、たとえば0.1mm程度の所望の厚さに合せたステンレスなどの金属板に、レンズ部材4の径、たとえば0.7mm程度の貫通孔11aを開けたメタルマスク11を載置する。なお、可撓性フィルム1およびメタルマスク11は大きく、貫通孔11aは一定間隔で複数個マトリクス状に形成されているが、図2では、1個分の台座2の部分のみが示されている。この貫通孔11は、たとえばレーザ加工をすることにより、非常に小さな孔径でも正確に形成することができる。
そして、図2(b)に示すように、メタルマスク11上に液状樹脂2aを塗布して、スキージ12によりメタルマスク11上を平坦化する。その後、図2(c)に示されるように、たとえば紫外線(UV)を照射することにより、メタルマスク11の貫通孔11a内に埋め込まれた液状樹脂2aが硬化し、台座2が形成される。この後、メタルマスク11を除去こすることにより、可撓性フィルム1上に台座2を形成することができる。
図3は、可撓性フィルム1上に台座2を形成する他の例を示す図である。すなわち、まず、図3(a)に示すように、数mm程度の厚さの金属板に、前述と同様に、所望の台座2の厚さに合せた深さ(所定の高さ)および台座2の径に合せた径(所定の径)の凹部15aを一定間隔で多数個形成した型板15を形成する。そして、図3(b)に示すように、たとえば紫外線硬化性樹脂などからなる液状樹脂2aをディスペンサ16などにより、型板15の表面とほぼ一致するように、凹部15a内に塗布(充填)する。その後、図3(c)に示すように、型板15の上面に、可撓性フィルム1を密着させ、液状樹脂2aを硬化させる。その後、型板15を除去することにより、前述の可撓性フィルム1の一面に台座2を形成することができる。
本発明のレンズ部材の製造方法によれば、台座の上に、表面張力を利用して凸型部を形成しているため、凸型部の径は、台座の径と一致し、台座はスクリーン印刷または型板に形成する凹部により正確な寸法に形成することができるため、非常に正確な寸法のレンズ部材を形成することができる。すなわち、金型によりモールド成形することなく、液状の樹脂を所定量適下または塗布するだけで、一定の径の台座上に一定の高さの凸型部を有するレンズ部材を形成することができる。その結果、非常に安価に形成することができる。しかも、可撓性フィルム上にレンズ部材を大量に形成しているため、可撓性フィルムの裏側から突き上げピンにより突き上げることにより、可撓性フィルムが台座の周囲から分離し、上面側からレンズ部材を吸着コレットなどにより吸着するだけで簡単に分離して搭載する場所に運搬して簡単に搭載することができる。その結果、非常に薄いレンズ部材でも、その端部を損傷することなく、そのままの形状で光デバイスなどの所定の場所に正確に搭載することができ、信頼性を非常に向上させることができる。
また、台座をスクリーン印刷や、凹部を形成した型板を用いて形成することにより、可撓性フィルム上でも、非常に正確な寸法で、安価に形成することができる。
本発明によるレンズ部材の製造方法の一実施形態を示す工程説明図である。 図1の可撓性フィルム上に台座を形成する方法の一例を示す図である。 図1の可撓性フィルム上に台座を形成する方法の他の例を示す図である。 従来の金型を用いないでレンズを形成する例の説明図である。
符号の説明
1 可撓性フィルム
2 台座
2a 液状樹脂
3 凸型部
3a 液状樹脂
4 レンズ部材
5 光デバイス
6 接着剤
7 ディスペンサ
8 突き上げピン
9 吸着コレット
11 メタルマスク
11a 貫通孔
12 スキージ
15 型板
15a 凹部
16 ディスペンサ

Claims (3)

  1. 可撓性フィルムの一面上に、形成するレンズと同じ大きさの台座を形成し、該台座の上に、表面が球面形状になるように液状樹脂を塗布し、該液状樹脂を硬化させることにより、前記台座と共に一体化したレンズ部材を形成し、前記可撓性フィルムの他面から前記レンズ部材を突き上げピンにより突き上げると共に表面から前記レンズ部材を吸着することにより前記可撓性フィルムから前記レンズ部材を分離することを特徴とするレンズ部材の製造方法。
  2. 前記可撓性フィルムの一面に、前記台座と同じ大きさの開口部を有するマスクを載置し、前記マスクの開口部内に樹脂を印刷により塗布し、該樹脂の硬化後前記マスクを除去することにより、前記可撓性フィルムの一面に前記台座を形成する請求項1記載のレンズ部材の製造方法。
  3. 前記台座と同じ大きさの凹部を有する型板を形成し、該型板の凹部内に、該型板の上面と表面がほぼ一致するように樹脂を塗布し、前記型板の上面に前記可撓性フィルムを貼着すると共に前記樹脂を硬化させた後に、前記型板を除去することにより、前記可撓性フィルムの一面に前記台座を形成する請求項1記載のレンズ部材の製造方法。
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