一実施の形態の撮像素子、焦点検出装置および撮像装置として、レンズ交換式デジタルスチルカメラを例に上げて説明する。図1は一実施の形態のカメラの構成を示すカメラの横断面図である。一実施の形態のデジタルスチルカメラ201は交換レンズ202とカメラボディ203から構成され、交換レンズ202がマウント部204を介してカメラボディ203に装着される。カメラボディ203には、マウント部204を介して種々の撮影光学系を有する交換レンズ202が装着可能である。
交換レンズ202はレンズ209、ズーミング用レンズ208、フォーカシング用レンズ210、絞り211、レンズ駆動制御装置206などを備えている。レンズ駆動制御装置206は不図示のマイクロコンピューター、メモリ、駆動制御回路などから構成され、フォーカシング用レンズ210の焦点調節と絞り211の開口径調節のための駆動制御や、ズーミング用レンズ208、フォーカシング用レンズ210および絞り211の位置および開口径検出などを行う他、後述するボディ駆動制御装置214との通信によりレンズ情報の送信とカメラ情報の受信を行う。絞り211は、光量およびボケ量調整のために光軸中心に開口径が可変な開口を形成する。
カメラボディ203は撮像素子212、ボディ駆動制御装置214、液晶表示素子駆動回路215、液晶表示素子216、接眼レンズ217、メモリカード219などを備えている。撮像素子212には、撮像用画素が二次元状に配列されるとともに、焦点検出位置に対応した部分に焦点検出用画素配列が組み込まれている。この撮像素子212については詳細を後述する。
ボディ駆動制御装置214はマイクロコンピューター、メモリ、駆動制御回路などから構成され、撮像素子212の駆動制御と画像信号および焦点検出信号の読み出しと、焦点検出信号に基づく焦点検出演算と交換レンズ202の焦点調節を繰り返し行うとともに、画像信号の処理と記録、カメラの動作制御などを行う。また、ボディ駆動制御装置214は電気接点213を介してレンズ駆動制御装置206と通信を行い、レンズ情報の受信とカメラ情報(デフォーカス量や絞り値など)の送信を行う。
液晶表示素子216は電気的なビューファインダー(EVF:Electronic View Finder)として機能する。液晶表示素子駆動回路215は撮像素子212によるスルー画像を液晶表示素子216に表示し、撮影者は接眼レンズ217を介してスルー画像を観察することができる。メモリカード219は、撮像素子212により撮像された画像を記憶する画像ストレージである。
交換レンズ202を通過した光束により、撮像素子212の撮像面上に被写体像が形成される。この被写体像は撮像素子212により光電変換され、画像信号と焦点検出信号がボディ駆動制御装置214へ送られる。
ボディ駆動制御装置214は、撮像素子212の焦点検出用画素からの焦点検出信号に基づいてデフォーカス量を算出し、このデフォーカス量をレンズ駆動制御装置206へ送る。また、ボディ駆動制御装置214は、撮像素子212からの画像信号を処理して画像を生成し、メモリカード219に格納するとともに、撮像素子212からのスルー画像信号を液晶表示素子駆動回路215へ送り、スルー画像を液晶表示素子216に表示させる。さらに、ボディ駆動制御装置214は、レンズ駆動制御装置206へ絞り制御情報を送って絞り211の開口制御を行う。
レンズ駆動制御装置206はフォーカシング状態、ズーミング状態、絞り設定状態、絞り開放F値などに応じてレンズ情報を更新する。具体的には、ズーミング用レンズ208とフォーカシング用レンズ210の位置と絞り211の絞り値を検出し、これらのレンズ位置と絞り値に応じてレンズ情報を演算したり、あるいは予め用意されたルックアップテーブルからレンズ位置と絞り値に応じたレンズ情報を選択する。また、レンズ駆動制御装置206は受信したデフォーカス量に基づいてレンズ駆動量を算出し、レンズ駆動量に応じてフォーカシング用レンズ210を合焦位置へ駆動する。また、レンズ駆動制御装置206は受信した絞り値に応じて絞り211を駆動する。
撮像素子212はCMOSイメージセンサである。図2は、交換レンズ202の撮影画面上(撮像素子212の撮像領域)における焦点検出位置を示す図であり、撮像素子212上の焦点検出用画素列が焦点検出の際に撮影画面上で像をサンプリングする領域(焦点検出エリア、焦点検出位置)の一例を示す。この例では、長方形の撮影画面(撮像領域)100は、水平方向の長辺110の長さが垂直方向の短辺111の長さより長くなっており、撮影画面(撮像領域)100において短辺が向かう方向(本図では縦方向。以下、短辺方向という)に沿った7つの焦点検出エリア101〜107が長辺が向かう方向(本図では横方向。以下、長辺方向という)に並んで配置される。細長い焦点検出エリアの長手方向に、焦点検出用画素が直線的に配列される。
図3は撮像素子212の詳細な構成を示す正面図であり、図2に示す撮像素子212上の焦点検出エリア101の近傍を拡大して示す。撮像素子212には撮像用画素310が二次元正方格子状に稠密に配列されるとともに、焦点検出エリア101に対応する位置には焦点検出用画素313、314が垂直方向の直線上に隣接して交互に配列される。なお、図示を省略するが、図2に示す焦点検出エリア102〜107の近傍の構成も図3に示す構成と同様である。
撮像用画素310は、図4に示すようにマイクロレンズ10、光電変換部11、および色フィルター(不図示)から構成される。色フィルターは赤(R)、緑(G)、青(B)の3種類からなり、それぞれの分光感度は図6に示す特性になっている。撮像素子212には、各色フィルターを備えた撮像用画素310がベイヤー配列されている。
焦点検出用画素313は、図5(a)に示すようにマイクロレンズ10と光電変換部13とから構成され、光電変換部13の形状は半円形である。また、焦点検出用画素314は、図5(b)に示すようにマイクロレンズ10と光電変換部14とから構成され、光電変換部14の形状は半円形である。焦点検出用画素313と焦点検出用画素314は、垂直方向の焦点検出に用いるものであり、光電変換部13と14が垂直方向、つまり画素の上下方向に並んでいる。焦点検出用画素313と焦点検出用画素314は、焦点検出エリア101〜107において垂直方向(光電変換部13と14の並び方向)に交互に配置される。
焦点検出用画素313、314には光量を増大させるために色フィルターが設けられておらず、その分光特性は光電変換を行うフォトダイオードの分光感度と、赤外カットフィルター(不図示)の分光特性とを総合した分光特性(図7参照)となる。つまり、図6に示す緑画素、赤画素および青画素の分光特性を加算したような分光特性となり、その感度の光波長領域は緑画素、赤画素および青画素の感度の光波長領域を包括している。
焦点検出用画素313、314は、撮像用画素310のBとGが配置されるべき列に配置されている。焦点検出用の焦点検出用画素313、314が、撮像用画素310のBとGが配置されるべき列に配置されているのは、画素補間処理において補間誤差が生じた場合に、人間の視覚特性上、赤画素の補間誤差に比較して青画素の補間誤差が目立たないためである。
撮像用画素310の光電変換部11は、マイクロレンズ10によって最も明るい交換レンズの射出瞳径(例えばF1.0)を通過する光束をすべて受光するような形状に設計される。また、焦点検出用画素313、314の光電変換部13、14は、マイクロレンズ10によって交換レンズの射出瞳の所定の領域(例えばF2.8)を通過する光束をすべて受光するような形状に設計される。
図8は撮像用画素310の断面図である。撮像用画素310では撮像用の光電変換部11の前方にマイクロレンズ10が配置され、マイクロレンズ10により光電変換部11の形状が前方に投影される。光電変換部11は半導体回路基板29上に形成される。なお、不図示の色フィルターはマイクロレンズ10と光電変換部11の中間に配置される。
図9(a)は焦点検出用画素313の断面図である。画面中央の焦点検出エリア101に配置された焦点検出用画素313において、光電変換部13の前方にマイクロレンズ10が配置され、マイクロレンズ10により光電変換部13の形状が前方に投影される。光電変換部13は半導体回路基板29上に形成されるとともに、その上にマイクロレンズ10が半導体イメージセンサーの製造工程により一体的かつ固定的に形成される。なお、画面上下の焦点検出エリア102〜107に配置された焦点検出用画素313の断面構造についても、図9(a)に示す断面構造と同様である。
図9(b)は焦点検出用画素314の断面図である。画面中央の焦点検出エリア101に配置された焦点検出用画素314において、光電変換部14の前方にマイクロレンズ10が配置され、マイクロレンズ10により光電変換部14の形状が前方に投影される。光電変換部14は半導体回路基板29上に形成されるとともに、その上にマイクロレンズ10が半導体イメージセンサーの製造工程により一体的かつ固定的に形成される。なお、画面上下の焦点検出エリア102〜107に配置された焦点検出用画素314の断面構造についても、図9(b)に示す断面構造と同様である。
図10は、マイクロレンズを用いた瞳分割型位相差検出方式の焦点検出光学系の構成を示す。なお、焦点検出用画素の部分は拡大して示す。図において、90は、交換レンズ202(図1参照)の予定結像面に配置されたマイクロレンズから前方dの距離に設定された射出瞳である。この距離dは、マイクロレンズの曲率、屈折率、マイクロレンズと光電変換部との間の距離などに応じて決まる距離であって、この明細書では測距瞳距離と呼ぶ。91は交換レンズの光軸、10a〜10dはマイクロレンズ、13a、13b、14a、14bは光電変換部、313a、313b、314a、314bは焦点検出用画素、73,74、83,84は焦点検出用光束である。
また、93は、マイクロレンズ10a、10cにより投影された光電変換部13a、13bの領域であり、この明細書では測距瞳と呼ぶ。図10では、説明を解りやすくするために楕円形の領域で示しているが、実際には光電変換部の形状が拡大投影された形状になる。同様に、94は、マイクロレンズ10b、10dにより投影された光電変換部14a、14bの領域であり、この明細書では測距瞳と呼ぶ。図10では、説明を解りやすくするために楕円形の領域で示しているが、実際には光電変換部の形状が拡大投影された形状になる。
図10では、撮影光軸に隣接する4つの焦点検出用画素313a、313b、314a、314bを模式的に例示しているが、焦点検出エリア101のその他の焦点検出用画素においても、また画面周辺部の焦点検出エリア102〜107の焦点検出用画素においても、光電変換部はそれぞれ対応した測距瞳93、94から各マイクロレンズに到来する光束を受光するように構成されている。焦点検出用画素の配列方向は一対の測距瞳の並び方向、すなわち一対の光電変換部の並び方向と一致させる。
マイクロレンズ10a〜10dは交換レンズ202(図1参照)の予定結像面近傍に配置されており、マイクロレンズ10a〜10dによりその背後に配置された光電変換部13a、13b、14a、14bの形状がマイクロレンズ10a〜10cから測距瞳距離dだけ離間した射出瞳90上に投影され、その投影形状は測距瞳93,94を形成する。すなわち、投影距離dにある射出瞳90上で各焦点検出用画素の光電変換部の投影形状(測距瞳93,94)が一致するように、各焦点検出用画素におけるマイクロレンズと光電変換部の相対的位置関係が定められ、それにより各焦点検出用画素における光電変換部の投影方向が決定されている。
光電変換部13aは測距瞳93を通過し、マイクロレンズ10aに向う光束73によりマイクロレンズ10a上に形成される像の強度に対応した信号を出力する。同様に、光電変換部13bは測距瞳93を通過し、マイクロレンズ10cに向う光束83によりマイクロレンズ10c上に形成される像の強度に対応した信号を出力する。また、光電変換部14aは測距瞳94を通過し、マイクロレンズ10bに向う光束74によりマイクロレンズ10b上に形成される像の強度に対応した信号を出力する。同様に、光電変換部14bは測距瞳94を通過し、マイクロレンズ10dに向う光束84によりマイクロレンズ10d上に形成される像の強度に対応した信号を出力する。
上述した2種類の焦点検出用画素を直線状に多数配置し、各画素の光電変換部の出力を測距瞳93および測距瞳94に対応した出力グループにまとめることによって、測距瞳93と測距瞳94をそれぞれ通過する焦点検出用光束が画素列上に形成する一対の像の強度分布に関する情報が得られる。この情報に対して後述する像ズレ検出演算処理(相関演算処理、位相差検出処理)を施すことによって、いわゆる瞳分割型位相差検出方式で一対の像の像ズレ量が検出される。さらに、像ズレ量に一対の測距瞳の重心間隔に応じた変換演算を行うことによって、予定結像面に対する現在の結像面(予定結像面上のマイクロレンズアレイの位置に対応した焦点検出位置における結像面)の偏差(デフォーカス量)が算出される。
図11は、焦点検出用光束のケラレ(口径蝕)を説明するための図である。図において、位置x0(像高0=撮影画面中心)と位置x1(像高h=撮影画面周辺)にある一対の焦点検出用画素は、それぞれ予定焦点面92の前方dにある測距瞳面90において測距瞳領域93、94を通過する一対の焦点検出用光束53,54および63、64を受光するように構成されている。予定焦点面92の前方d1(<d)の面95に光学系の絞り開口96がある場合には、位置x0(像高0)にある一対の焦点検出用画素が受光する一対の焦点検出用光束53,54は、絞り開口96により光軸91に対して対称に口径蝕が発生するため、一対の焦点検出用画素が受光する光量のバランスは崩れない。
これに対し位置x1(像高h)にある一対の焦点検出用画素が受光する一対の焦点検出用光束63,64は、絞り開口96によって光軸91に対して非対称に口径蝕が発生するため、焦点検出用画素の配列方向によっては一対の焦点検出用画素が受光する光量のバランスが崩れる恐れがある。
図12(a)、(b)は、図2において画面周辺の位置108に焦点検出用画素が配置された場合の、一対の焦点検出用光束63、64と光学系の絞り開口96の関係を面95上で示した図である。図12(a)は、図2において焦点検出用画素が位置108の近傍で撮影画面中心からの放射方向と直交する方向(撮影画面の短辺方向)に配列された場合の図であって、一対の焦点検出用光束63、64は光学系の絞り開口96によって均等にけられている。
一方、図12(b)は、焦点検出用画素が位置108の近傍で撮影画面中心からの放射方向(撮影画面の長辺方向)に配列された場合の図であって、一対の焦点検出用光束63、64は光学系の絞り開口96によって不均等にけられている。測距瞳の不均等なケラレは焦点検出用光束の不均等なケラレとなり、結果的に像信号レベルのアンバランスに繋がる。一対の像信号のレベルが大きく崩れた場合には像ズレの検出精度が低下したり、像ズレ検出が不能となってしまう。
図13(a)、(b)は、図12(a)、(b)の状態において位置108(像高h)の近傍の焦点検出用画素配列が受光する一対の像の強度分布(縦軸は光量、横軸は撮影画面上の位置)の例を示したものである。図12(a)に示すように焦点検出用光束の口径蝕のバランスがとれている場合には、図13(a)に示すように、一対の像信号400,401は同一の像信号関数が単純に横方向にシフトしたものとなっている。これに対し、図12(b)に示すように焦点検出用光束の口径蝕のバランスが崩れている場合には、図13(b)に示すように、一対の像信号402,403は同一の信号を相対的に横方向にシフトしたものにはならない。
以上説明したように、長方形の撮像領域を持つ撮像素子において、長辺方向の周辺領域においても焦点検出精度を維持するためには、該領域に撮影画面中心からの放射方向と直交する方向(撮影画面の短辺方向)に焦点検出用画素を配列するほうが有利である。したがって、長方形画面の周辺においても焦点検出精度を維持するために、図2に示すように焦点検出領域101〜107を長方形画面の短辺方向に沿って設定しているのである。
図14は撮像素子212の回路構成の概念を示す図である。撮像素子212は上述したようにCMOSイメージセンサーとして構成される。CMOSイメージセンサーでは、周知のように同一走査ラインの画素間の電荷蓄積タイミングは同一であるが、異なる走査ラインの画素間の電荷蓄積タイミングは異なってくる。上述した焦点検出用画素配列において電荷蓄積タイミングが異なると、移動する被写体に対して焦点検出を行った場合に、焦点検出用画素配列が生成する一対の像の同時性(同一性)が崩れ、後述する像ズレ検出の際に検出誤差を生じてしまう。焦点検出用画素配列の電荷蓄積タイミングを揃えるため、CMOSイメージセンサーの走査ラインの方向は図2に示す焦点検出領域101〜107と同じ方向(長方形画面の短辺方向)に揃えて設定される。
この一実施の形態では、説明を解りやすくするために、撮像素子212の回路構成を水平方向8画素×垂直方向4画素のレイアウトに簡略化して説明する。垂直方向において2列目と6列目に焦点検出用画素(図中に○印で示す)が配列され、撮像用画素(図中に□印で示す)がそれ以外の列に配列される。
次に、図14に示す回路の詳細な動作を説明する。ラインメモリ320は、1列分の画素の画素信号をサンプルホールドして一時的に保持するバッファーであり、信号線501に出力されている同一列の画素信号を水平走査回路301が発する制御信号ΦSに基づいて同時にサンプルホールドする。なお、ラインメモリ320に保持される画素信号は、制御信号ΦH1〜ΦH8の立ち上がりに同期してリセットされる。
撮像用画素および焦点検出用画素からの画素信号の出力は、水平走査回路301が発する制御信号(ΦH1〜ΦH8)により列ごとに独立に制御される。制御信号(ΦH1〜ΦH8)により選択された列の画素の画素信号は、信号線501へ出力される。ラインメモリ320に保持された画素信号は、垂直走査回路302が発する制御信号(ΦV1〜ΦV4)により順次出力回路330へ転送され、出力回路330において予め設定された増幅度で増幅されて外部へ出力される。撮像用画素および焦点検出用画素は、画素信号がサンプルホールドされた後、リセット回路303が発する制御信号(ΦR1〜ΦR8)によりリセットされ、次回の画素信号のための電荷蓄積を開始する。
図15は、図14に示す撮像素子212の撮像用画素および焦点検出用画素の詳細回路図である。光電変換部はフォトダイオード(以下、PDと呼ぶ)で構成され、このPDに蓄積された電荷は浮遊拡散層(フローティングディフュージョン(以下、FDと呼ぶ)に蓄積される。FDは増幅MOSトランジスタ(以下、AMPと呼ぶ)のゲートに接続されており、AMPはFDに蓄積された電荷の量に応じた信号を発生する。FDはリセットMOSトランジスタ510を介して電源電圧Vddに接続されており、制御信号ΦRn(ΦR1〜ΦR8)によりリセットMOSトランジスタ510がオンすると、FDおよびPDに溜まった電荷がクリアされリセット状態になる。AMPの出力は列選択MOSトランジスタ512を介して出力線501に接続されており、制御信号ΦHn(ΦH1〜ΦH8)により列選択MOSトランジスタ512がオンすると、AMPの出力が出力線501に出力される。
図16は、図14に示す撮像素子212の動作を示すタイミングチャートである。1列目の撮像用画素は水平走査回路301が発する制御信号ΦH1により選択され、選択された撮像用画素の画素信号は信号線501へ出力される。制御信号ΦH1と同期して発せられる制御信号ΦSにより信号線501に出力された1列目の画素信号は、ラインメモリ320に一時的に保持される。ラインメモリ320に保持された1列目の撮像用画素の画素信号は、垂直走査回路302から順次発せられる制御信号ΦV1〜ΦV4にしたがって出力回路330へ転送され、出力回路330において予め設定された増幅度で増幅されて外部へ出力される。
1列目の撮像用画素の画素信号のラインメモリ320への転送が終了した時点で、リセット回路303より発せられる制御信号ΦR1により1列目の撮像用画素がリセットされ、制御信号ΦR1の立ち下がりで1列目の撮像用画素の次の電荷蓄積が開始される。1列目の撮像用画素の画素信号の出力回路330からの出力が終了した時点で、2列目の焦点検出用画素は水平走査回路301が発する制御信号ΦH2により選択され、選択された焦点検出用画素の画素信号が信号線501に出力される。以下、同様にして2列目の焦点検出用画素の画素信号の保持および焦点検出用画素のリセット、画素信号の出力および次の電荷蓄積の開始が行われる。
続いて3列目〜8列目の撮像用画素および焦点検出用画素の画素信号の保持および撮像用画素および焦点検出用画素のリセット、撮像用画素および焦点検出用画素の画素信号の出力および次の電荷蓄積の開始が行われる。すべての画素の画素信号の出力が終了すると、再び1列目に戻って上記動作が周期的に繰り返される。制御信号ΦR1〜ΦR8のパルス幅を変更することによって、撮像用画素および焦点検出用画素の電荷蓄積時間(露光時間)を調整することが可能である。
以上の動作によって、図17に示すように、撮像素子212の長方形の撮像領域(撮影画面)100において矢印で示す走査線にしたがって画面100の下から上へ向かって画素が走査され、走査された画素の信号が順次外部へ出力されるとともに、走査線が画面100の左から右へ順次移動して全画面100の画素の信号を外部へ出力する。走査線の方向は長方形の画面100の短辺方向と一致しており、焦点検出用画素の配列方向とも一致しているため、同一列に配列された焦点検出用画素においては電荷蓄積タイミングの同一性を維持することができる。なお、上記の説明では理解を容易にするために相関二重サンプリングの動作は省略されている。しかし、各画素からリセット時の信号も出力させて、周知の相関二重サンプリングを行ってもよい。この場合、各画素には、光電変換部とFDの間に転送トランジスターを配置させるのが好ましい。
図18は、一実施の形態のデジタルスチルカメラ(撮像装置)の撮像動作を示すフローチャートである。ボディ駆動制御装置214は、ステップ100でカメラの電源がオンされると、ステップ110以降の撮像動作を開始する。ステップ110において撮像用画素から画像信号を間引き読み出しし、電子ビューファインダーに表示させる。続くステップ120では焦点検出用画素配列から一対の像に対応した一対の焦点検出信号を読み出す。なお、焦点検出エリアは、撮影者が焦点検出エリア選択部材(不図示)を用いて焦点検出エリア101〜107の内のいずれかを予め選択しているものとする。
ステップ130では読み出された一対の焦点検出信号に基づいて後述する像ズレ検出演算処理(相関演算処理)を行い、像ズレ量を演算してデフォーカス量に変換する。ステップ140で合焦近傍か否か、すなわち算出されたデフォーカス量の絶対値が所定値以内であるか否かを調べる。合焦近傍でないと判定された場合はステップ150へ進み、デフォーカス量をレンズ駆動制御装置206へ送信し、交換レンズ202のフォーカシングレンズ210を合焦位置に駆動させる。その後、ステップ110へ戻って上述した動作を繰り返す。
なお、焦点検出不能な場合もこのステップに分岐し、レンズ駆動制御装置206へスキャン駆動命令を送信し、交換レンズ202のフォーカシングレンズ210を無限から至近までの間でスキャン駆動させる。その後、ステップ110へ戻って上述した動作を繰り返す。
ステップ140で合焦近傍であると判定された場合はステップ160へ進み、シャッターボタン(不図示)の操作によりシャッターレリーズがなされたか否かを判別する。シャッターレリーズがなされていないと判定された場合はステップ110へ戻り、上述した動作を繰り返す。一方、シャッターレリーズがなされたと判定された場合はステップ170へ進み、レンズ駆動制御装置206へ絞り調整命令を送信し、交換レンズ202の絞り値を制御F値(撮影者または自動により設定されたF値)にする。絞り制御が終了した時点で、撮像素子212に撮像動作を行わせ、撮像素子212の撮像用画素310および全ての焦点検出用画素313,314から画像データを読み出す。
ステップ180において、焦点検出用画素配列の各画素位置の画素データを焦点検出用画素の周囲の撮像用画素の画像信号に基づいて画素補間する。続くステップ190では、撮像用画素の画像信号および補間されたデータからなる画像データをメモリーカード219に記憶し、ステップ110へ戻って上述した動作を繰り返す。
図19は、図18のステップ130における焦点検出演算処理の詳細を示すフローチャートである。ボディ駆動制御装置214は、ステップ200からこの焦点検出演算処理(相関演算処理)を開始する。
ステップ210において、 焦点検出用画素列から出力される焦点検出信号の一対のデータ列(α1〜αM、β1〜βM:Mはデータ数)に対して(1)式に示すような高周波カットフィルター処理を施し、第1データ列(A1〜AN)と第2データ列(B1〜BN)を生成する。これにより、データ列から相関処理に悪影響を及ぼすノイズ成分や高周波成分を除去することができる。なお、演算時間の短縮を図る場合や、すでに大きくデフォーカスしていて高周波成分が少ないことがわかっている場合などには、ステップ210の処理を省略することもできる。
An=αn+2・αn+1+αn+2,
Bn=βn+2・βn+1+βn+2 ・・・(1)
(1)式において、n=1〜N−2である。
データ列An、Bnは、理想的には同一データ列を相対的にシフトしたものとなるはずであるが、上述した瞳分割方式の焦点検出用画素配列で得られる一対のデータ列では、焦点検出用光束のケラレ(口径蝕)により、同一性が崩れる可能性がある。
このようなケラレが発生した状態においても正確な像ズレ量を算出するために、ステップ220において第1データ列(A1〜An)と第2データ列(B1〜Bn)を相対的にずらす(シフト量k)とともに、(2)式によりケラレに対して略不変な量E(k)を定め、(3)式により量E(k)の絶対値をデータの所定区間に亘って積算して相関量C(k)を求める。
E(k)=Ai・Bi+spn+k−Bi+k・Ai+spn ・・・(2),
C(k)=Σ|E(k)| ・・・(3)
ステップ230において、(3)式による相関演算アルゴリズムで求めた相関量C(k)のグラフは、図20(a)に示すように、一対のデータの相関が高いシフト量(図20(a)ではk=kj=2)において相関量C(k)が最小(小さいほど相関度が高い)になる。(4)式〜(7)式による3点内挿の手法を用いて、連続的な相関量に対する最小値C(x)を与えるシフト量xを求める。
x=kj+D/SLOP ・・・(4),
C(x)= C(kj)−|D| ・・・(5),
D={C(kj-1)−C(kj+1)}/2 ・・・(6),
SLOP=MAX{C(kj+1)−C(kj),C(kj-1)−C(kj)} ・・・(7)
ステップ240では、(4)式で求めたシフト量xを用いて被写体像面の予定結像面に対するデフォーカス量DEFを次式により求めることができる。
DEF=KX・PY・(x+0.5) ・・・(8)
(8)式において、PYは検出ピッチ(焦点検出用画素313どうしの間隔)であり、KXは一対の測距瞳の重心の開き角の大きさによって決まる変換係数である。(8)式において画素単位のシフト量xに0.5を加えているのは、焦点検出用画素313と314が互いに焦点検出用画素313どうしの画素間隔の半分だけずれて配置されているからである。
算出されたデフォーカス量DEFの信頼性があるかどうかは、以下のようにして判定される。図20(b)に示すように、一対のデータの相関度が低い場合は、内挿された相関量の最小値C(x)の値が大きくなる。したがって、C(x)が所定値以上の場合は信頼性が低いと判定する。あるいは、C(x)をデータのコントラストで規格化するために、コントラストに比例した値となるSLOPでC(x)を除した値が所定値以上の場合は信頼性が低いと判定する。あるいはまた、コントラストに比例した値となるSLOPが所定値以下の場合は、被写体が低コントラストであり、算出されたデフォーカス量DEFの信頼性が低いと判定する。図20(c)に示すように、一対のデータの相関度が低く、シフト範囲kmin〜kmaxの間で相関量C(k)の落ち込みがない場合は、最小値C(x)を求めることができず、このような場合は焦点検出不能と判定する。焦点検出が可能であった場合には算出された像ズレ量に所定の変換係数を乗じてデフォーカス量を算出する。
ステップ250で、焦点検出演算処理(相関演算処理)を終了して図18のステップ140へリターンする。
《発明の他の実施の形態》
図3に示す撮像素子212では、焦点検出用画素313、314がひとつの画素内にひとつの光電変換部を備えた例を示したが、撮像素子における瞳分割型の焦点検出用画素の構成はこれに限定されることはなく、ひとつの画素内に一対の光電変換部を備えるようにしてもよい。図21は変形例の撮像素子212Aの部分拡大図であり、図3の撮像素子212に対応するものである。この変形例の撮像素子212では、焦点検出用画素311がひとつの画素内に一対の光電変換部を備えている。図に示す焦点検出用画素311は、図3に示す焦点検出用画素313と焦点検出用画素314のペアに相当した機能を果たす。
焦点検出用画素311は、図22に示すようにマイクロレンズ10と一対の光電変換部13,14から構成される。焦点検出用画素311には光量をかせぐために色フィルターは配置されておらず、その分光特性は光電変換を行うフォトダイオードの分光感度と、赤外カットフィルター(不図示)の分光特性とを総合した分光特性(図7参照)となる。つまり、図6に示す緑画素、赤画素および青画素の分光特性を加算したような分光特性となり、その感度の光波長領域は緑画素、赤画素および青画素の感度の光波長領域を包括している。
図23は、図21に示す撮像素子212Aの焦点検出用画素による瞳分割方式の焦点検出動作を説明するための図である。図において、90は、交換レンズの予定結像面に配置されたマイクロレンズの前方dの距離に設定された射出瞳である。ここで、距離dは、マイクロレンズの曲率、屈折率、マイクロレンズと光電変換部の間の距離などに応じて決まる距離であって、以下では測距瞳距離と呼ぶ。91は交換レンズの光軸、50,60はマイクロレンズ、(53,54)、(63,64)は焦点検出用画素の対の光電変換部、(73,74)、(83,84)は焦点検出用光束である。
さらに、93はマイクロレンズ50、60により投影された光電変換部53,63の領域であり、以下では測距瞳と呼ぶ。同様に、94はマイクロレンズ50、60により投影された光電変換部54,64の領域であり、以下では測距瞳と呼ぶ。図23では、光軸91上にある焦点検出用画素(マイクロレンズ50と一対の光電変換部53、54からなる)と、隣接する焦点検出用画素(マイクロレンズ60と一対の光電変換部63、64からなる)を模式的に例示しているが、撮像面上のその他の位置に配置された焦点検出用画素においても、一対の光電変換部はそれぞれ一対の測距瞳93、94から各マイクロレンズに到来する光束を受光する。焦点検出用画素の配列方向は一対の測距瞳の並び方向と一致させる。
マイクロレンズ50、60は光学系の予定結像面近傍に配置されており、光軸91上に配置されたマイクロレンズ50によって、その背後に配置された一対の光電変換部53、54の形状がマイクロレンズ50、60から測距瞳距離dだけ離間した射出瞳90上に投影され、その投影形状は測距瞳93,94を形成する。また、マイクロレンズ50に隣接して配置されたマイクロレンズ60によって、その背後に配置された一対の光電変換部63、64の形状が測距瞳距離dだけ離間した射出瞳90上に投影され、その投影形状は測距瞳93,94を形成する。すなわち、測距瞳距離dにある射出瞳90上で各焦点検出用画素の光電変換部の投影形状(測距瞳93,94)が一致するように、各画素のマイクロレンズと光電変換部の位置関係が決定されている。
光電変換部53は、測距瞳93を通過してマイクロレンズ50へ向う焦点検出用光束73によってマイクロレンズ50上に形成される像の強度に対応した信号を出力する。また、光電変換部54は、測距瞳94を通過してマイクロレンズ50へ向う焦点検出用光束74によってマイクロレンズ50上に形成される像の強度に対応した信号を出力する。同様に、光電変換部63は、測距瞳93を通過してマイクロレンズ60へ向う焦点検出用光束83によってマイクロレンズ60上に形成される像の強度に対応した信号を出力する。また、光電変換部64は、測距瞳94を通過してマイクロレンズ60へ向う焦点検出用光束84によってマイクロレンズ60上に形成される像の強度に対応した信号を出力する。
このような焦点検出用画素を直線状に多数配置し、各画素の一対の光電変換部の出力を測距瞳93および測距瞳94に対応した出力グループにまとめることによって、測距瞳93と測距瞳94を各々通過する焦点検出用光束が焦点検出用画素配列上に形成する一対の像の強度分布に関する情報が得られる。この情報に対して後述する像ズレ検出演算処理(相関演算処理、位相差検出処理)を施すことによって、いわゆる瞳分割方式で一対の像の像ズレ量が検出される。さらに、像ズレ量に所定の変換処理を施すことによって、予定結像面に対する現在の結像面(予定結像面上のマイクロレンズアレイの位置に対応した焦点検出位置における結像面)の偏差(デフォーカス量)が算出される。
図24は、図21に示す撮像素子212Aの回路構成を示す概念図である。説明を解りやすくするために、こここでは水平方向6画素×垂直方向4画素のレイアウトに簡略化して説明する。なお、図14に示す回路と同様な回路に対しては同一の符号を付して説明する。垂直方向において2列目と6列目に焦点検出用画素が配列され、撮像用画素(図中に□印で示す)が1、4、5、8列目に配列される。3列目、7列目には撮像用画素は配置されず、焦点検出用画素の信号出力回路のみが配置される。
以下、図24に示す撮像素子212Aの詳細な回路動作について説明する。ラインメモリ320は1列分の画素の画素信号をサンプルホールドして一時的に保持するバッファであり、信号線501に出力されている同一列の画素信号を水平走査回路301が発する制御信号ΦSに基づいてサンプルホールドする。なお、ラインメモリ320に保持される画素信号は、制御信号ΦH1〜ΦH8の立ち上がりに同期してリセットされる。撮像用画素からの画素信号の出力は、水平走査回路301が発する制御信号(ΦH1、ΦH4、ΦH5、ΦH8)により列ごとに独立に制御される。
2列目、6列目の焦点検出用画素の一方の光電変換部13からの画素信号の出力は、水平走査回路301が発する制御信号(ΦH2、ΦH6)により列ごとに独立に制御されるとともに、2列目、6列目の焦点検出用画素の他方の光電変換部14からの画素信号の出力は、水平走査回路301が発する制御信号(ΦH3、ΦH7)により列ごとに独立に制御される。制御信号(ΦH1〜ΦH8)により選択された列の画素の画素信号は、信号線501へ出力される。
なお、2列目、6列目の焦点検出用画素の一対の光電変換部13、14の画素信号は、制御信号ΦH2、ΦH6に先立って水平走査回路301から発せられる制御信号ΦL23、ΦL67により同時に固定され、光電変換部13の画素信号は制御信号ΦH2によりすぐに信号線501へ出力され、光電変換部14の画素信号は一時的に信号保持部330に保持された後、制御信号ΦH3により信号線501へ出力される。
ラインメモリ320に保持された画素信号は、垂直走査回路302が発する制御信号(ΦV1〜ΦV4)により順次出力回路330へ転送され、出力回路330において予め設定された増幅度で増幅されて外部へ出力される。
撮像用画素は、画素信号がサンプルホールドされた後、リセット回路303が発する制御信号(ΦR1、ΦR4、ΦR5、ΦR8)によりリセットされ、次回の画素信号のための電荷蓄積を開始する。2列目、6列目の焦点検出用画素は、リセット回路303が発する制御信号(ΦR23、ΦR67)により一対の光電変換部13、14が同時にリセットされ、次回の画素信号のための電荷蓄積を開始する。
以上のような構成により、同一列の焦点検出用画素ではすべての光電変換部の電荷蓄積タイミングが同一となる。
図25は、図24に示す撮像素子212Aの2列目の焦点検出用画素の詳細な回路図である。一対の光電変換部は一対のフォトダイオード(PD)13、14により構成される。制御信号ΦL23にしたがってスイッチングMOSトランジスタ523、524がオン、オフすると、一対のPD13、14で蓄積された電荷が浮遊拡散層(フローティングディフュージョン:FD)23、24へ移送され蓄積される。FD23、24は増幅MOSトランジスタ(AMP)33、34のゲートに接続されており、AMP33、34はFD23、24に蓄積された電荷の量に応じた信号を発生する。
FD23、24はリセットMOSトランジスタ503、504を介して電源電圧Vddに接続されており、制御信号ΦR23によりリセットMOSトランジスタ503、504がオンすると、FD23、24に溜まった電荷がクリアされリセット状態となる。リセットMOSトランジスタ503、504がオンするタイミングに同期して、制御信号ΦL23がスイッチングMOSトランジスタ523、524をオンすると、PD13、14に溜まった電荷もクリアされリセット状態となる。
AMP33、34の出力は選択MOSトランジスタ513、514を介して出力線501に接続されており、制御信号ΦH2、ΦH3により列選択MOSトランジスタ513、514がオンすると、AMP33、34の出力が出力線501へ出力される。
図26は、図24に示す撮像素子212Aの動作を示すタイミングチャートである。1列目の撮像用画素は水平走査回路301が発する制御信号ΦH1により選択され、選択された撮像用画素の画素信号は信号線501へ出力される。制御信号ΦH1と同期して発せられる制御信号ΦSにより信号線501へ出力された1列目の画素信号は、ラインメモリ320に一時的に保持される。ラインメモリ320に保持された1列目の撮像用画素の画素信号は、垂直走査回路302から順次発せられる制御信号ΦV1〜ΦV4にしたがって出力回路330へ転送され、出力回路330において予め設定された増幅度で増幅されて外部へ出力される。
1列目の撮像用画素の画素信号のラインメモリ320への転送が終了した時点で、リセット回路303より発せられる制御信号ΦR1により1列目の撮像用画素がリセットされ、制御信号ΦR1の立ち下がりで1列目の撮像用画素の次の電荷蓄積が開始される。
1列目の撮像用画素の画素信号の出力回路330からの出力が終了した時点で、水平走査回路301から発せられる制御信号ΦL23により2列目の焦点検出用画素の一対の光電変換部の画素信号がFD部に固定保持され、水平走査回路301が引き続いて発する制御信号ΦH2により一方の光電変換部が選択され、選択された光電変換部の画素信号が信号線501へ出力される。
制御信号ΦH2と同期して発せられる制御信号ΦSにより信号線501に出力された一方の光電変換部の画素信号は、ラインメモリ320に一時的に保持される。ラインメモリ320に保持された2列目の焦点検出用画素の一方の光電変換部の画素信号は、垂直走査回路302から順次発せられる制御信号ΦV1〜ΦV4にしたがって出力回路330へ転送され、出力回路330で設定された増幅度で増幅されて外部へ出力される。
次に2列目の焦点検出用画素の一方の光電変換部の画素信号の出力回路330からの出力が終了した時点で、水平走査回路301から発せられる制御信号ΦH3により他方の光電変換部が選択され、FD部に一時的に保持されていた他方の光電変換部の画素信号が信号線501へ出力される。制御信号ΦH3と同期して発せられる制御信号ΦSにより、信号線501に出力された他方の光電変換部の画素信号がラインメモリ320に一時的に保持される。
ラインメモリ320に保持された2列目の焦点検出用画素の他方の光電変換部の画素信号は、垂直走査回路302から順次発せられる制御信号ΦV1〜ΦV4にしたがって出力回路330へ転送され、出力回路330において予め設定された増幅度で増幅されて外部へ出力される。
2列目の焦点検出用画素の画素信号のラインメモリ320への転送が終了した時点で、リセット回路303より発せられる制御信号ΦR23と、それと同期して水平走査回路301から発せられる制御信号ΦL23により、2列目の焦点検出用画素の一対の光電変換部とFD部がリセットされ、制御信号ΦR23の立ち下がりで2列目の焦点検出用画素の一対の光電変換部の次の電荷蓄積が開始される。
以下同様にして3列目以降の撮像用画素と焦点検出用画素の画素信号の保持および焦点検出用画素のリセット、画素信号の出力および次の電荷蓄積の開始が行われる。すべての画素の画素信号の出力が終了すると、ふたたび1列目に戻って上記動作が周期的に繰り返される。制御信号ΦR1〜ΦR8のパルス幅を変更することによって、撮像用画素および焦点検出用画素の電荷蓄積時間(露光時間)を調整することが可能である。
以上の動作によって、図17に示すように、撮像素子212Aの長方形の撮像領域(撮影画面)100において矢印で示す走査線にしたがって画面100の下から上へ向かって画素が走査され、走査された画素の信号が順次外部へ出力されるとともに、走査線が画面100の左から右へ順次移動して全画面100の画素の信号を外部へ出力する。走査線の方向は長方形の画面100の短辺方向と一致しており、焦点検出用画素の配列方向とも一致しているため、同一列に配列された焦点検出用画素においては電荷蓄積タイミングの同一性を維持することができる。
図24に示す回路構成例では3列目、7列目には撮像用画素を配置せず、焦点検出用画素の光電変換部の出力回路のみを配置しているが、焦点検出用画素の光電変換部の出力回路をコンパクトに配置できる場合には、3列目、7列目に撮像用画素を配置するようにしてもよい。
このように、一実施の形態によれば、長方形の撮像領域内に複数の画素が配列され、撮像領域の短辺方向に沿って配列された複数の画素に対しては同時に電荷蓄積制御がなされるとともに、撮像領域の長辺方向に沿って配列された複数の画素に対しては順次に電荷蓄積制御がなされる撮像素子であって、撮像領域の長辺方向の周辺部には、撮像領域に像を結像する光学系の焦点調節状態を検出する焦点検出用の複数の画素が、撮像領域の短辺方向に沿って配列されるようにしたので、瞳分割方式の焦点検出用画素を備えた撮像素子をCMOS型デバイスで構成しても、撮像領域の長辺方向周辺部における焦点検出性能の低下を防止することができる。
以上の説明では、図2に示すような撮像領域に配置された複数の焦点検出用画素配列101〜107において、すべての焦点検出用画素は同一の構造で同様な焦点検出用光束を受光するとしたが、撮像領域の中心と撮像領域の周辺では図11でも説明したように焦点検出用光束のケラレ状態が異なるので、撮像領域の周辺においても撮像領域の中心と同様な焦点検出性能を確保するためには、後述するように焦点検出用画素の構造や受光する焦点検出用光束の状況を撮像領域の位置(図2において撮像領域の中心119から各配列101〜107までの長辺方向の距離)に応じて適切に変更することが望ましい。
《焦点検出用画素構造の変形例》
撮像領域の周辺では焦点検出用光束のケラレが発生するため、同一の電荷蓄積時間で撮像素子から焦点検出用画素配列の出力信号を読み出すと、撮像領域の中心近傍の焦点検出用画素配列の画素信号レベルより撮像領域の周辺の焦点検出用画素配列の画素信号レベルが低下し、撮像領域周辺の焦点検出性能が悪化する。
このような不具合を防止するために、撮像領域の中心近傍の焦点検出用画素配列に属する焦点検出用画素の光電変換部の面積を、撮像領域の周辺の焦点検出用画素配列に属する焦点検出用画素の光電変換部の面積より小さくする。これにより、撮像領域の中心近傍の焦点検出用画素配列の画素信号レベルと、撮像領域の周辺の焦点検出用画素配列の画素信号レベルとを揃えることができる。
図27は、図2において撮像領域の中心に配置された焦点検出用画素配列104に属する変形例の焦点検出用画素の構成を示す。焦点検出用画素313は、図27(a)に示すようにマイクロレンズ10と光電変換部15とから構成され、光電変換部15の形状は半円形であり、図5(a)に示す光電変換部13を縮小した形状になっている。また、焦点検出用画素314は、図25(b)に示すようにマイクロレンズ10と光電変換部16とから構成され、光電変換部16の形状は半円形であり、図5(b)に示す光電変換部14を縮小した形状になっている。その他の構成は図5に示す焦点検出用画素の構成と同じである。なお、撮像領域の周辺に配置された焦点検出用画素配列101に属する焦点検出用画素の構成は図5と同じである。
図28(a)は、図2において撮像領域の周辺に配置された焦点検出用画素配列101の位置108にある焦点検出用画素が受光する一対の焦点検出用光束63、64と、光学系の絞り開口96との関係を図12と同様に面95上で示した図である。図28(b)は、図2において撮像領域の中央に配置された焦点検出用画素配列104の位置119にある焦点検出用画素が受光する一対の焦点検出用光束65、66と、光学系の絞り開口96との関係を示した図である。
図28(a)において開口96を通過する焦点検出用光束63,64の量は、図28(b)において開口96を通過する焦点検出用光束65,66の量と略等しくなるので、同一の電荷蓄積時間で撮像素子から焦点検出用画素の出力信号を読み出した場合でも、撮像領域の中心近傍の焦点検出用画素配列の画素信号レベルと、撮像領域の周辺の焦点検出用画素配列の画素信号レベルとが揃い、撮像領域の周辺においても撮像領域の中心と同様な焦点検出性能を確保することができる。
なお、撮像領域の長辺方向中央部の焦点検出用画素で受光する焦点検出用光束が通過する瞳領域の大きさを、撮像領域の長辺方向周辺部の焦点検出用画素で受光する焦点検出用光束が通過する瞳領域の大きさより小さくしてもよい。これにより、撮像領域の中心近傍の焦点検出用画素配列の画素信号レベルと、撮像領域の周辺の焦点検出用画素配列の画素信号レベルとを揃えることができる。
《焦点検出用画素構造の他の変形例》
図2に示す撮像領域の周辺に配置された焦点検出用画素配列101において、撮像領域の中心119から長辺方向へ離れた位置108にある焦点検出用画素では、一対の焦点検出用光束が均等にけられるが、位置108から短辺方向に離れた位置109の焦点検出用画素では、図30に示すように一対の焦点検出用光束63,64が不均等にケラレるために、焦点検出性能の維持が困難になる。
このような不具合を防止するために、撮像領域の周辺の焦点検出用画素配列に属する焦点検出用画素の光電変換部の面積を、撮像領域の中央近傍の焦点検出用画素配列に属する焦点検出用画素の光電変換部の面積より小さくする。これにより、撮像領域の中心119より長辺方向に離れた位置からさらに短辺方向に離れた位置においても、一対の焦点検出用光束のケラレの不均等性を緩和することができ、焦点検出性能を確保することができる。なお、撮像領域の中央近傍に配置された焦点検出用画素配列104に属する焦点検出用画素の構成は、図5に示す構成と同じである。また、撮像領域の周辺に配置された焦点検出用画素配列101に属する焦点検出用画素の構成は、図25に示す構成と同じである。
図29(a)は、図2において撮像領域の周辺に配置された焦点検出用画素配列101の位置109にある焦点検出用画素が受光する一対の焦点検出用光束65、66と、光学系の絞り開口96との関係を図12と同様に面95上で示した図である。また、図29(b)は、図2において撮像領域の中央に配置された焦点検出用画素配列104の位置119にある焦点検出用画素が受光する一対の焦点検出用光束63、64と、光学系の絞り開口96との関係を示した図である。
図29(a)において開口96を通過する焦点検出用光束65の量と焦点検出用光束66の量との不均一性は、図30において開口96を通過する焦点検出用光束63の量と焦点検出用光束64の量との不均一性より改善されており、撮像領域の周辺においても撮像領域の中心と同様な焦点検出性能を確保することができる。一方、図29(b)において開口96を通過する焦点検出用光束63,64にはケラレが発生していない。撮像領域の中央に配置された焦点検出用画素配列104に属する位置119の焦点検出用画素が受光する一対の焦点検出用光束63、64は、一対の焦点検出用光束65、66のように縮小されていないため、低輝度の状況においても焦点検出用画素の受光量が確保され、低輝度での焦点検出性能を確保することができる。
なお、撮像領域の長辺方向中央部の焦点検出用画素で受光する焦点検出用光束が通過する瞳領域の大きさを、撮像領域の長辺方向周辺部の焦点検出用画素で受光する焦点検出用光束が通過する瞳領域の大きさより小さくしてもよい。これにより、撮像領域の長辺方向中央部に配置される焦点検出用画素の出力信号と、撮像領域の長辺方向周辺部に配置される焦点検出用画素の出力信号とが同じレベルになる。
《焦点検出用画素構造の他の変形例》
上述した変形例では、撮像領域の周辺の焦点検出用画素配列に属する焦点検出用画素の光電変換部の面積を、撮像領域の中央近傍の焦点検出用画素配列に属する焦点検出用画素の光電変換部の面積より小さくすることによって、撮像領域の中心119から長辺方向に離れた位置からさらに短辺方向に離れた位置においても、一対の焦点検出用光束のケラレの不均等性を緩和しているが、このようにした場合には低輝度において撮像領域の周辺の焦点検出用画素の受光量が確保されず、低輝度での焦点検出性能が低下するおそれがある。
このような不具合を防止するために、撮像領域の周辺の焦点検出用画素配列に属する焦点検出用画素の光電変換部の面積を大きくし、一対の焦点検出用画素を重ねたときに、一対の焦点検出用光束が互いにオーバーラップされるように、各光電変換部は配置される。これにより、撮像領域の中心119より長辺方向に離れた位置からさらに短辺方向に離れた位置においても、一対の焦点検出用光束のケラレの不均等性を緩和してケラレによる焦点検出性能の低下を防止するとともに、低輝度における焦点検出性能を確保することができる。なお、撮像領域の中央に配置された焦点検出用画素配列101に属する焦点検出用画素の構成は、図5に示す構成と同じである。
図31は、図2において撮像領域の周辺に配置された焦点検出用画素配列101に属する焦点検出用画素の構成を示す。焦点検出用画素313は、図31(a)に示すようにマイクロレンズ10と光電変換部17とから構成され、光電変換部17の形状は、図5(a)に示す光電変換部13の半円形の形状の元になる円形の一部(半円より小さな部分)を切り取ったような形状である。また、焦点検出用画素314は、図31(b)に示すようにマイクロレンズ10と光電変換部18とから構成され、光電変換部18の形状は、図5(b)に示す光電変換部14の半円形の形状の元になる円形の一部(半円より小さな部分)を切り取ったような形状である。
図32は、図2において撮像領域の周辺に配置された焦点検出用配列101に属する位置109の焦点検出用画素が受光する一対の焦点検出用光束67、68と、光学系の絞り開口96との関係を図12と同様に面95上で示した図である。図32において開口96を通過する焦点検出用光束67の量と焦点検出用光束68の量との不均一性は、焦点検出用光束67と焦点検出用光束68とのオーバーラップ量が大きくなるため、図30において開口96を通過する焦点検出用光束63の量と焦点検出用光束64の量との不均一性より改善されており、撮像領域の周辺においても撮像領域の中心と同様な焦点検出性能を確保することができる。
また、一対の焦点検出用光束67、68は、ケラレが生じた場合でももともとの光束の大きさが大きいため、低輝度の状況においても焦点検出用画素の受光量が確保され、低輝度での焦点検出性能を確保することができる。
《一実施の形態の他の変形例》
図3に示す撮像素子212では、撮像用画素310がベイヤー配列の色フィルターを備えた例を示したが、色フィルターの構成や配列はこれに限定されることはなく、補色フィルター(緑:G、イエロー:Ye、マゼンタ:Mg,シアン:Cy)の配列を採用してもよい。また、図3に示す撮像素子212では焦点検出用画素313、314に色フィルターを設けない例を示したが、撮像用画素310と同色の色フィルターの内のひとつのフィルター(例えば緑フィルター)を設けるようにした場合でも、本発明を適用することができる。
また、上述した一実施の形態の図5および図22に示す焦点検出用画素311、313、314では、光電変換部の形状を半円形や矩形にした例を示したが、焦点検出用画素の光電変換部の形状はこれらに限定されず、他の形状であってもよい。例えば焦点検出用画素の光電変換部の形状を楕円や多角形にすることも可能である。
上述した一実施の形態では、マイクロレンズを用いた瞳分割方式による焦点検出動作を説明したが、本発明はこのような方式の焦点検出に限定されず、特開2008−15157に開示された偏光素子による瞳分割型位相差検出方式の焦点検出装置にも適用可能である。
上述した一実施の形態では、撮像用画素の二次元配列中に焦点検出用画素配列を配置した撮像素子を例に挙げて説明したが、撮影画面内の焦点検出位置に対応して焦点検出用画素配列のみを設けた焦点検出専用の撮像素子に対しても本願発明を適用することができる。この場合、例えば、撮影光学系からの光束をハーフミラーやビームスプリッターなどで分割し、一方の光束を焦点検出専用の撮像素子で受光し、他方の光束を撮像専用の撮像素子で受光する構成とする。
なお、撮像装置としては、上述したようなカメラボディに交換レンズが装着される構成のデジタルスチルカメラやフィルムスチルカメラに限定されない。例えばレンズ一体型のデジタルスチルカメラ、フィルムスチルカメラ、あるいはビデオカメラにも本発明を適用することができる。さらには、携帯電話などに内蔵される小型カメラモジュール、監視カメラやロボット用の視覚認識装置、車載カメラなどにも適用できる。
また、本発明は、カメラ以外の焦点検出装置や測距装置、さらにはステレオ測距装置にも適用できる。
なお、上述した実施の形態とそれらの変形例において、実施の形態と変形例とのあらゆる組み合わせが可能である。
10;マイクロレンズ、11,13,14,15,16,17,18;光電変換部、202;交換レンズ、212,212A;撮像素子、214;ボディ駆動制御装置、310,311;撮像用画素、313,314;焦点検出用画素