JP2010038098A - タービン動翼および軸流タービン - Google Patents

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Abstract

【課題】動翼翼列における2次流れに起因する2次流れ渦の発生によるエネルギ損失を低減し、タービン効率を向上させることができるタービン動翼およびこのタービン動翼を備えた軸流タービンを提供することを目的とする。
【解決手段】タービン動翼10は、翼高さ方向の膨出部始点11から根元部12の間において、スロート部より前縁13側の翼背面14が根元部12に近づくとともに徐々に外側に突出する膨出部15と、翼高さ方向の凹陥部始点19から根元部12の間において、根元部12に近づくとともに徐々に翼腹面16が翼背面14側に凹陥する凹陥部17とを備える。
【選択図】図2

Description

本発明は、タービンロータ軸方向に沿って配列される動翼翼列に発生する2次流れ損失の低減を図ったタービン動翼およびこのタービン動翼を備えた軸流タービンに関する。
タービンの高効率化は、発電プラントの運転経済性を改善するとともに、環境負荷を低減することから、近年非常に重要な課題となっている。
タービン効率の向上には、タービン段落の損失を低減する必要がある。タービン段落の損失には、翼型形状に起因するプロファイル損失、壁面近傍で生じる2次流れに起因する2次損失、翼列外への作動流体の漏洩に起因する漏洩損失、流路の内外壁における摩擦に起因する環状壁損失などがある。タービン段落の動翼では、特に、タービンロータの回転による遠心力によって、動翼の根元部に発生した2次損失が翼高さ方向に広がるため、この2次損失を低減することがタービン効率を向上する上で大きな課題となっている。
図11は、一般的な軸流タービンのタービン段落の断面を示す図である。
図11に示すように、複数枚のタービン静翼300がダイヤフラム外輪301とダイヤフラム内輪302との間に備えられ、かつ周方向に配設されている。このように備えられたタービン静翼300の下流側には、複数枚のタービン動翼303が配設されている。このタービン動翼303は、タービンロータ304のロータディスク305の外周に周方向に所定間隔で列状に植設されている。また、タービン動翼303の外周端には、各タービン動翼303を固定し、作動流体の漏洩を防止するシュラウド306が備えられている。
次に、上記のように構成されたタービン段落において、タービン動翼303における2次損失の発生機構を説明する。図12は、タービン動翼303の出口側から見たときのタービン動翼303を示す斜視図である。
隣接するタービン動翼303の間に形成された動翼流路を蒸気などの作動流体が流れる際、作動流体は、この動翼流路内で円弧状に転向して流れる(図12の矢印310参照)。この際、タービン動翼303の翼背面303aから翼腹面303bの方向に遠心力が生じる。この遠心力と動翼流路内の圧力とが平衡しているため、翼腹面303bにおける静圧が高くなる。一方、翼背面303aでは、作動流体の流速が大きいため、圧力が低くなる。その結果、動翼流路内において、翼腹面303b側の圧力が高く、翼背面303a側の圧力が低い圧力勾配が生じる。
このような圧力勾配は、タービン動翼303の根元部側、およびタービン動翼303の先端部の外壁側(シュラウド306)における作動流体が低流速となる層、すなわち境界層においても生じる。しかしながら、このような境界層付近においては、作動流体の流速が小さく、作用する遠心力も小さい。そのため、作動流体の流れは、翼腹面303bから翼背面303aに向かって生じる圧力勾配に抗しきれず、翼腹面303bから翼背面303aに向かう流れである2次流れ311が生じる。この2次流れ311は、タービン動翼303の翼背面303aに衝突して巻き上がり、タービン動翼303の根元部側、およびタービン動翼303の先端部側において、2次流れ渦311aとなる。
このような2次流れ渦311aが生じると、作動流体が保有するエネルギの一部が散逸されるとともに、作動流体の不均一な流れが生じ、2次損失として動翼性能を著しく低下させる。このような2次損失を低減する多くの技術が開示されている(例えば、特許文献1−3参照。)。
例えば、特許文献3に記載されたタービン動翼320を参照して従来のタービン動翼320を説明する。図13Aは、タービン動翼320をタービンロータの軸方向から見たときの平面図である。図13Bは、タービン動翼320の先端部の周方向の断面を示す図であり、図13Cは、タービン動翼320の中央部の周方向の断面を示す図であり、図13Dは、タービン動翼320の根元部の周方向の断面を示す図である。図14は、従来のタービン動翼の出口における出口流量分布を示す図である。
図13A〜図13Dに示すように、タービンロータの回転中心を通るラジアル線321に対してタービン動翼320の中央付近における各タービン動翼320の断面重心322が翼腹面320a側にずれ量Lpずれている。また、タービン動翼320の先端部の断面重心322がラジアル線321からずれ量La、タービン動翼320の根元部の断面重心322がラジアル線321からからずれ量Lbずれるように、タービン動翼320が湾曲して形成されている。
このような湾曲したタービン動翼320では、翼間流路における速度ベクトルが、タービン動翼320の根元部ではタービンロータ側の方向に、タービン動翼320の先端部ではシュラウド323側の方向に流れを押し付ける効果がある。このタービンロータ側の流れとシュラウド323側の流れとによって境界層の成長が抑制され、タービン動翼における2次損失は、タービン動翼が湾曲されていない場合の損失に比べて低減される。
また、このタービン動翼320のように、タービン動翼320の断面重心322をずらして、タービン動翼320を翼腹面320a側に湾曲させると、タービン動翼320の前縁から後縁まで翼腹面320a側方向に傾斜することになる。そのため、作動流体に対して、タービン動翼320の前縁から後縁のすべての範囲に亘って押圧力が与えられる。それによって、図14に示すように、従来のタービン動翼の前縁から後縁まで翼腹面側方向に傾斜しない構成のタービン動翼(図14の傾斜なし)に比べて、タービン動翼320の前縁から後縁まで翼腹面320a側方向に傾斜する構成のタービン動翼320では、タービン動翼の出口における出口流量分布が、損失の大きい根元部と先端部に偏る分布となる。なお、タービン動翼320から流出した作動流体は、タービン動翼320の下流に備えられているタービン静翼に対し、損失の大きい根元部と先端部に偏って流入する。
特開平1−113504号公報 特許第2038293号公報 特許第3697296号公報
上記のように、従来のタービン段落の動翼翼列では、タービンロータ側やシュラウド側の近傍において生じる2次流れに起因して2次損失が発生し、タービン効率を大きく低下させることが課題であった。
また、上記したように、従来のタービン動翼の前縁から後縁まで翼腹面側方向に傾斜する構成のタービン動翼では、タービン動翼の出口における出口流量分布が、損失の大きい根元部と先端部に偏る分布となる。また、タービン動翼から流出した作動流体は、タービン動翼の下流に備えられているタービン静翼に対し、損失の大きい根元部と先端部に偏って流入する。したがって、このタービン動翼では、湾曲によりタービン動翼に生じる2次損失を低減することはできるが、タービン段落全体の損失を増加させる恐れがある。
そこで、本発明は、上記課題を解決するためになされたものであり、動翼翼列における2次流れに起因する2次流れ渦の発生によるエネルギ損失を低減し、タービン効率を向上させることができるタービン動翼およびこのタービン動翼を備えた軸流タービンを提供することを目的とする。
上記目的を達成するために、本発明の一態様によれば、タービンロータの外周に周方向に所定の間隔をおいて列状に植設されたタービン動翼であって、翼高さ方向の第1の位置から根元部の間において、スロート部より前縁側の翼背面が前記根元部に近づくとともに徐々に外側に突出する膨出部と、翼高さ方向の第2の位置から根元部の間において、前記根元部に近づくとともに徐々に翼腹面が翼背面側に凹陥する凹陥部とを備えることを特徴とするタービン動翼が提供される。
また、本発明の一態様によれば、上記したタービン動翼をタービンロータの外周に周方向に所定の間隔をおいて列状に植設したことを特徴とする軸流タービンが提供される。
本発明のタービン動翼およびこのタービン動翼を備えた軸流タービンによれば、動翼翼列における2次流れに起因する2次流れ渦の発生によるエネルギ損失を低減し、タービン効率を向上させることができる
以下、本発明の一実施の形態について図面を参照して説明する。
図1は、本発明に係るタービン動翼10を備えた軸流タービン100の一部の断面を示す図である。
図1に示すように、軸流タービン100において、ケーシング110内にはタービンロータ111が貫設されている。また、ケーシング110の内周面にはノズルダイヤフラム外輪112が多段に接続され、各ノズルダイヤフラム外輪112に対応してノズルダイヤフラム内輪113が設けられている。また、ノズルダイヤフラム外輪112とノズルダイヤフラム内輪113との間には、ノズル翼114が周方向に複数配設され、ノズル翼翼列を構成している。また、各ノズル翼翼列に対応して、各ノズル翼翼列の下流側には、タービン動翼10が周方向に複数配設された動翼翼列が配設されている。この動翼翼列は、例えば、タービンロータ111のホイール部115に、周方向に複数のタービン動翼10を植設することで構成されている。タービン動翼10の先端には、シュラウド18が設けられ、蒸気の漏洩を抑制している。また、ノズルダイヤフラム内輪113のタービンロータ111側の面には、ノズルラビリンス116が設けられ、蒸気の漏洩を抑制している。
例えば、高圧タービンや中圧タービンなどの軸流タービン100内に流入した蒸気は、図示しないノズルボックスを介してノズル翼翼列に導かれる。ノズル翼翼列を通過した蒸気は、動翼翼列に導かれ、膨張仕事によりタービンロータ111を回転させる。
次に、本発明に係るタービン動翼10の構成について説明する。
図2は、本発明に係るタービン動翼10を前縁側から見たときの斜視図である。図3は、本発明に係るタービン動翼10を前縁正面から見たときの平面図である。図4は、膨出部15および凹陥部17を含む、図2のA−A断面を示す図である。図5は、タービン動翼10の根元部12における翼高さ方向に垂直な断面(図3のB−B断面)および膨出部始点11における翼高さ方向に垂直な断面(図3のC−C断面)を示す図である。
図2および図4に示すように、タービン動翼10は、翼高さ方向の第1の位置(以下、膨出部始点11という)から根元部12の間において、スロート部より前縁13側の翼背面14が根元部12に近づくとともに徐々に外側に突出する膨出部15と、翼高さ方向の第2の位置(以下、凹陥部始点19という)から根元部12の間において、根元部12に近づくとともに徐々に翼腹面16が翼背面14側に凹陥する凹陥部17とを備える。また、図3に示すように、タービン動翼10の先端部には、シュラウド18が備えられている。
また、図4および図5に示すように、膨出部15において、タービン動翼10の後縁端20と接するタービンロータ軸に平行な直線R1と、膨出部15の最も周方向に突出した翼背面14と接するタービンロータ軸に平行な直線S1との間の距離(以下、翼背面14側における翼幅L1という)が、膨出部始点11から根元部12に向かって徐々に増加している。
膨出部15は、タービン動翼10の根元部12において、タービンロータ111またはホイール部115からなる壁面との境界に形成されるフィレットとは異なり、タービン動翼10の翼背面14側の全体が根元部12に近づくとともに拡大するものではない。また、膨出部15は、通常のフィレットよりも翼高さ方向に広い範囲にわたって膨出する形状となる。膨出部15を備えることで、根元部12の近傍において作動流体の流線の曲率半径が小さくなり、作動流体に対してタービン動翼10の翼背面14から隣接するタービン動翼10の翼腹面16の向きに働く遠心力が大きくなる。これによって、動翼翼列間の圧力勾配により生じるタービン動翼10の翼腹面16から隣接するタービン動翼10の翼背面14に向かう流れの発生を抑制することができる。
また、膨出部15を構成する、タービン動翼10の根元部12側の翼背面14は、傾斜面となるため、作動流体の速度ベクトルにおいて、タービンロータ111またはホイール部115からなる壁面側へ押し付ける向きの成分が生じるとともに、翼背面14の圧力が根元部12に近づくとともに減少する。そのため、翼背面14において膨出部始点11から根元部12に向かう流れが生じ、根元部12の翼背面14から巻き上がるように生じる2次流れ渦の発生を抑制することができる。さらに、従来のタービン動翼のように翼腹部側にタービン動翼を傾斜させたものと違って、タービン動翼10のスロート部付近より前縁13側を膨出させることにより、上記した従来のタービン動翼と比べて流量が根元部12側に偏るのを抑えることができる。そのため、エネルギ損失の大きい根元部12近傍を作動流体が通過することで生じるタービン段落の損失を低減することができる。
また、図4および図5に示すように、凹陥部17において、タービン動翼10の後縁端20と接するタービンロータ軸に平行な直線R1と、凹陥部17の最も周方向に凹陥した翼腹面16と接するタービンロータ軸に平行な直線M2との間の距離(以下、翼腹面16側における翼幅A1という)が、凹陥部始点19から根元部12に向かって徐々に増加している。
また、凹陥部17を構成する、タービン動翼10の根元部12側の翼腹面16は、傾斜面となるため、作動流体の速度ベクトルにおいて、タービンロータ111またはホイール部115からなる壁面側へ押し付ける向きの成分が生じる。そのため、2次流れ渦が巻き上がる高さを抑えることができる。また、翼腹面16における圧力が根元部12に近づくとともに増加することから、翼腹面16において根元部12から凹陥部始点19に向かう流れが生じ、2次流れ渦の発生を低減することができる。
次に、根元部12から膨出部始点11までの翼高さおよび根元部12から凹陥部始点19までの翼高さについて、図6を参照して説明する。
図6は、膨出部15や凹陥部17を有さない従来のタービン動翼の根元部における翼高さ方向のエネルギ損失分布を示す図である。なお、この翼高さ方向のエネルギ損失分布は、数値シミュレーションにより算出したものである。
図6に示すように、従来のタービン動翼の根元部における翼高さ方向の2次損失の範囲は、低負荷時において5mm程度、高負荷時において50mm程度である。2次損失を低減するためには、2次損失が発生する翼高さの範囲に膨出部15や凹陥部17を形成することが好ましい。また、2次損失が発生する翼高さの範囲を超えて膨出部15や凹陥部17を形成することは、プロファイル損失を増加させる。そのため、根元部12から翼高さ方向に5mm〜50mmの範囲に膨出部15や凹陥部17を形成することが好ましい。また、この範囲に膨出部15や凹陥部17を形成することで、2次損失を低減することができる。なお、ここでは、低負荷時を、軸流タービンにて想定される運転範囲における最低負荷時とし、高負荷時を、軸流タービンの想定される運転範囲における最高負荷時として数値シミュレーションを行った。
次に、膨出部15における翼背面14の傾斜角度αおよび凹陥部17における翼腹面16の傾斜角度βについて、図5、図7〜図9を参照して説明する。
図7は、図5に示されたP1およびP2を含む平面でタービン動翼10を切ったときの断面をタービンロータ軸に垂直な平面に投影して示す図である。図8は、膨出部15における翼背面14の傾斜角度αに対するエネルギ損失を示す図である。図9は、図5に示されたQ1およびQ2を含む平面でタービン動翼10を切ったときの断面をタービンロータ軸に垂直な平面に投影して示す図である。図10は、凹陥部17における翼腹面16の傾斜角度βに対するエネルギ損失を示す図である。なお、図8および図10における、傾斜角度に対するエネルギ損失についても、上記した翼高さ方向のエネルギ損失分布と同様に、数値シミュレーションにより算出したものである。
膨出部15における翼背面14の傾斜角度αは、図5および図7に示すように、膨出部始点11における翼高さ方向に垂直な断面における、タービンロータ軸に平行な直線S1に接する膨出部15の最も周方向に突出した翼背面14をP1とし、根元部12における翼高さ方向に垂直な断面における、タービンロータ軸に平行な直線S1に接する膨出部15の最も周方向に突出した翼背面14をP2としたときに、P1とP2とを結ぶ直線がラジアル線Xとタービンロータ軸に垂直な投影平面上にてなす角度である。
この傾斜角度αは、3度以上30度であることが好ましい。この範囲が好ましい理由を説明する。
膨出部15における翼背面14の傾斜角度αは、近似的に式(1)で表すことができる。
α=arctan{(Lr−Lt)/Hb} …式(1)
ここで、Hbは、根元部12から膨出部始点11までの翼高さである。Lrは、根元部12の翼高さ方向に垂直なタービン動翼10の断面における翼背面14側における翼幅L1である。Ltは、膨出部始点11の翼高さ方向に垂直なタービン動翼10の断面における翼背面14側における翼幅L1である。
図8には、傾斜角度αに対してエネルギ損失である、2次損失、プロファイル損失およびこれらの損失の和が示されている。図8に示すように、傾斜角度αが大きくなるほど2次損失は低減する。一方、傾斜角度αが大きくなると、根元部12における、翼背面14側における翼幅L1が大きくなり、前述したように、作動流体が接触する翼表面の長さが増加して、翼表面での作動流体の摩擦が大幅に増加する。そのため、図8に示すように、傾斜角度αが大きくなると、プロファイル損失が大幅に増加する。傾斜角度αが大きい条件では、2次損失の低減量よりも、プロファイル損失の増加量が大きくなり、双方の損失の和である合計損失量は、傾斜角度αが大きくなるととともに増加する。
上記した理由から、2次損失とプロファイル損失とを合計した合計エネルギ損失が、低減される傾斜角度αの範囲である3度〜30度が好ましい範囲となる。
凹陥部17における翼腹面16の傾斜角度βは、図5および図9に示すように、凹陥部始点19における翼高さ方向に垂直な断面における、タービンロータ軸に平行な直線R1に接する凹陥部17の最も周方向に凹陥した翼腹面16をQ1とし、根元部12における翼高さ方向に垂直な断面における、タービンロータ軸に平行な直線R1に接する凹陥部17の最も周方向に凹陥した翼腹面16をQ2としたときに、Q1とQ2とを結ぶ直線がラジアル線Xとタービンロータ軸に垂直な投影平面上にてなす角度である。
この傾斜角度βは、3度以上35度であることが好ましい。この範囲が好ましい理由を説明する。
凹陥部17における翼腹面16の傾斜角度βは、近似的に式(2)で表すことができる。
β=arctan{(Ar−At)/Hf} …式(2)
ここで、Hfは、根元部12から凹陥部始点19までの翼高さである。Arは、根元部12の翼高さ方向に垂直なタービン動翼10の断面における翼腹面16側における翼幅A1である。Atは、凹陥部始点19の翼高さ方向に垂直なタービン動翼10の断面における翼腹面16側における翼幅A1である。
図10には、傾斜角度βに対してエネルギ損失である、2次損失、プロファイル損失およびこれらの損失の和が示されている。図10に示すように、傾斜角度βが大きくなるほど2次損失は低減する。一方、傾斜角度βが大きくなると、根元部12における、翼腹面16側における翼幅A1が大きくなり、前述したように、作動流体が接触する翼表面の長さが増加して、翼表面での作動流体の摩擦が大幅に増加する。そのため、図10に示すように、傾斜角度βが大きくなると、プロファイル損失が大幅に増加する。傾斜角度βが大きい条件では、2次損失の低減量よりも、プロファイル損失の増加量が大きくなり、双方の損失の和である合計損失量は、傾斜角度βが大きくなるととともに増加する。
上記した理由から、2次損失とプロファイル損失とを合計した合計エネルギ損失が、低減される傾斜角度βの範囲である3度〜35度が好ましい範囲となる。
上記したように、本発明に係るタービン動翼10によれば、タービン動翼10の翼背面14側に形成される膨出部15、および翼腹面16側に形成される凹陥部17を備えることで2次損失を低減することができる。さらに、この構成を備えることで、作動流体の流線に適合した翼プロファイルを形成することができるので、2次損失ともに、翼型形状に起因するプロファイル損失も低減することができる。
また、膨出部15における翼背面14の傾斜角度αおよび凹陥部17における翼腹面16の傾斜角度βを、上記した所定の範囲とすることで、2次損失を低減させ、プロファイル損失の増加を抑えることができるので、タービン動翼10の根元部12におけるエネルギ損失を低減することができる。
また、本発明に係るタービン動翼10によれば、動翼翼列における2次流れに起因する2次流れ渦の発生によるエネルギ損失を低減することができる。また、本発明に係るタービン動翼10を備える軸流タービンにおいても、同様の効果を得ることができ、動翼翼列における2次流れに起因する2次流れ渦の発生によるエネルギ損失を低減し、タービン効率を向上させることができる。
以上、本発明を一実施の形態により具体的に説明したが、本発明はこれらの実施の形態にのみ限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で種々変更可能である。
本発明に係るタービン動翼を備えた軸流タービンの一部の断面を示す図。 本発明に係るタービン動翼を前縁側から見たときの斜視図。 本発明に係るタービン動翼を前縁正面から見たときの平面図。 膨出部および凹陥部を含む、図2のA−A断面を示す図。 タービン動翼の根元部における翼高さ方向に垂直な断面(図3のB−B断面)および膨出部始点における翼高さ方向に垂直な断面(図3のC−C断面)を示す図。 膨出部や凹陥部を有さない従来のタービン動翼の根元部における翼高さ方向のエネルギ損失分布を示す図。 図5に示されたP1およびP2を含む平面でタービン動翼を切ったときの断面をタービンロータ軸に垂直な平面に投影して示す図。 膨出部における翼背面の傾斜角度αに対するエネルギ損失を示す図。 図5に示されたQ1およびQ2を含む平面でタービン動翼を切ったときの断面をタービンロータ軸に垂直な平面に投影して示す図。 凹陥部における翼腹面の傾斜角度βに対するエネルギ損失を示す図。 一般的な軸流タービンのタービン段落の断面を示す図。 タービン動翼の出口側から見たときのタービン動翼を示す斜視図。 従来のタービン動翼をタービンロータの軸方向から見たときの平面図。 従来のタービン動翼の先端部の周方向の断面を示す図。 従来のタービン動翼の中央部の周方向の断面を示す図。 従来のタービン動翼の根元部の周方向の断面を示す図。 従来のタービン動翼の出口における出口流量分布を示す図。
符号の説明
10…タービン動翼、11…膨出部始点、12…根元部、13…前縁、14…翼背面、15…膨出部、16…翼腹面、17…凹陥部、18…シュラウド、19…凹陥部始点、20…後縁端。

Claims (8)

  1. タービンロータの外周に周方向に所定の間隔をおいて列状に植設されたタービン動翼であって、
    翼高さ方向の第1の位置から根元部の間において、スロート部より前縁側の翼背面が前記根元部に近づくとともに徐々に外側に突出する膨出部と、
    翼高さ方向の第2の位置から根元部の間において、前記根元部に近づくとともに徐々に翼腹面が翼背面側に凹陥する凹陥部と
    を備えることを特徴とするタービン動翼。
  2. 翼高さ方向に垂直な前記タービン動翼の断面において、
    後縁端と接するタービンロータ軸に平行な直線と、前記膨出部の最も周方向に突出した翼背面と接するタービンロータ軸に平行な直線との間の距離が、前記翼高さ方向の第1の位置から前記根元部に向かって徐々に増加していることを特徴とする請求項1記載のタービン動翼。
  3. 翼高さ方向に垂直な前記タービン動翼の断面において、
    後縁端と接するタービンロータ軸に平行な直線と、前記凹陥部の最も周方向に凹陥した翼腹面と接するタービンロータ軸に平行な直線との間の距離が、前記翼高さ方向の第2の位置から前記根元部に向かって徐々に増加していることを特徴とする請求項1または2記載のタービン動翼。
  4. 前記第1の位置が、前記根元部から5mm〜50mmであることを特徴とする請求項1乃至3のいずれか1項記載のタービン動翼。
  5. 前記第2の位置が、前記根元部から5mm〜50mmであることを特徴とする請求項1乃至4のいずれか1項記載のタービン動翼。
  6. 前記根元部から前記第1の位置までの翼高さをHb、前記根元部の翼高さ方向に垂直な前記タービン動翼の断面における、後縁端と接するタービンロータ軸に平行な直線と、前記膨出部の最も周方向に突出した翼背面と接するタービンロータ軸に平行な直線との間の距離をLr、前記第1の位置の翼高さ方向に垂直な前記タービン動翼の断面における、後縁端と接するタービンロータ軸に平行な直線と、前記膨出部の最も周方向に突出した翼背面と接するタービンロータ軸に平行な直線との間の距離をLtとした場合、
    3度≦arctan{(Lr−Lt)/Hb}≦30度
    の関係を満たすように構成されたことを特徴とする請求項1乃至5のいずれか1項記載のタービン動翼。
  7. 前記根元部から前記第2の位置までの翼高さをHf、前記根元部の翼高さ方向に垂直な前記タービン動翼の断面における、後縁端と接するタービンロータ軸に平行な直線と、前記凹陥部の最も周方向に凹陥した翼腹面と接するタービンロータ軸に平行な直線との間の距離をAr、前記第2の位置の翼高さ方向に垂直な前記タービン動翼の断面における、後縁端と接するタービンロータ軸に平行な直線と、前記凹陥部の最も周方向に凹陥した翼腹面と接するタービンロータ軸に平行な直線との間の距離をAtとした場合、
    3度≦arctan{(Ar−At)/Hf}≦35度
    の関係を満たすように構成されたことを特徴とする請求項1乃至6のいずれか1項記載のタービン動翼。
  8. 請求項1乃至7のいずれか1項記載のタービン動翼をタービンロータの外周に周方向に所定の間隔をおいて列状に植設したことを特徴とする軸流タービン。
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